(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025125
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】アナログ時計、時刻表示方法、および、時刻表示プログラム
(51)【国際特許分類】
G04C 3/00 20060101AFI20250214BHJP
G04B 19/00 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
G04C3/00 D
G04B19/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129616
(22)【出願日】2023-08-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】396006860
【氏名又は名称】柿見 富雄
(74)【代理人】
【識別番号】100191189
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 哲平
(72)【発明者】
【氏名】柿見 富雄
【テーマコード(参考)】
2F101
【Fターム(参考)】
2F101AA00
2F101AC01
2F101AC06
(57)【要約】
【課題】アナログ時計において新たな感覚の時刻表示方式を提供すること。
【解決手段】秒針20の回転方向を1回転するごとに逆向きに反転させる。または、時間の経過に応じて回りながら時刻の秒を表示する秒表示部32を1周するごとに回る向きを反転させる。あるいは、指針の回転方向を午前と午後で逆向きに反転させる。このように、時刻を表示するための要素である秒針20、秒表示部32あるいは指針が回る方向を定期的に反転させることにより、従来の単調な表示方式とは異なる新たな感覚の時刻表示方式を提供することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
秒針の回転方向が1回転するごとに逆向きに反転することを特徴とする、アナログ時計。
【請求項2】
時間の経過に応じて回りながら時刻の秒を表示する秒表示部が1周するごとに回る向きが反転することを特徴とする、アナログ時計。
【請求項3】
秒針またはすべての指針の回転方向が午前と午後で逆向きに反転することを特徴とする、アナログ時計。
【請求項4】
時間の経過に応じて回りながら時刻の秒を表示する秒表示部が午前と午後で回る向きが反転することを特徴とする、アナログ時計。
【請求項5】
秒針の回転方向を1回転するごとに逆向きに反転させることを特徴とする、時刻表示方法。
【請求項6】
時間の経過に応じて回りながら時刻の秒を表示する秒表示部を1周するごとに回る向きを反転させることを特徴とする、時刻表示方法。
【請求項7】
秒針またはすべての指針の回転方向を午前と午後で逆向きに反転させることを特徴とする、時刻表示方法。
【請求項8】
時間の経過に応じて回りながら時刻の秒を表示する秒表示部を午前と午後で回る向きを反転させることを特徴とする、時刻表示方法。
【請求項9】
コンピュータのディスプレイに時刻を表示する時刻表示プログラムであって、
前記コンピュータに、請求項5から請求項8の何れか1項に記載の時刻表示方法を実行させる、時刻表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナログ時計、時刻表示方法、および、時刻表示プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
時計で時刻を表示する方式は、「デジタル式」と「アナログ式」に大別される。デジタル式では、時、分、秒といった時刻要素を数字で表示する。アナログ式では、それぞれの時刻要素に対応した指針(時針、分針および秒針)が時間の経過に応じて回転することによって時刻を表示する。
【0003】
一般的なアナログ時計は、時針、分針および秒針がすべて右回り(時計回り)方向へ回転するようになっている。また、特許文献1には、秒針が時針、分針とは逆向きの左回り(反時計回り)方向へ回転する時計が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、アナログ時計において新たな感覚の時刻表示方式を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るアナログ時計および時刻表示方法は、秒針の回転方向が1回転するごとに逆向きに反転することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るアナログ時計および時刻表示方法は、時間の経過に応じて回りながら時刻の秒を表示する秒表示部が1周するごとに回る向きが反転することを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明に係るアナログ時計および時刻表示方法は、秒針またはすべての指針の回転方向が午前と午後で逆向きに反転することを特徴とする。
【0009】
加えて、本発明に係るアナログ時計および時刻表示方法は、時間の経過に応じて回りながら時刻の秒を表示する秒表示部を午前と午後で回る向きを反転させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、コンピュータのディスプレイに時刻を表示する時刻表示プログラムであって、前記コンピュータに、上記した構成のいずれかを有する時刻表示方法を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、アナログ時計において、時刻を表示するための要素である秒針、秒表示部あるいは指針が回る方向を定期的に反転させることにより、従来の単調な表示方式とは異なる新たな感覚の時刻表示方式を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係るアナログ時計の概略構成を示す図である。
【
図2】第2実施形態に係るアナログ時計の概略構成を示す図である。
【
図3】変形例に係るアナログ時計の文字盤の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る、アナログ時計、時刻表示方法、および、時刻表示プログラムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
<第1実施形態>
第1実施形態に係るアナログ時計10(以下、単に「時計10」という。)は、コンピュータの一種であるスマートフォンが備えるディスプレイに表示されるものである。
【0015】
本実施形態で使用されるスマートフォンには、広く一般に普及している種々の既製品デバイスを採用することができる。このスマートフォンは、CPU、メモリやストレージなどの記憶部、外部機器と通信を行う通信モジュール、バッテリーのほか、ディスプレイおよびタッチパネルといった基本的な構成要素を備えている。
【0016】
スマートフォンには、通常、時計機能が標準装備されている。この時計機能は、携帯電話の通信回線を利用できる場合には、NITZ(Network Identity and Time Zone)と呼ばれる規格に基づいて正確な時刻情報に自動補正される。また、携帯電話の通信回線が利用できない環境であっても、インターネット回線などの通信環境下では、NTP(Network Time Protocol)を使用して時刻情報を正確に自動補正できるように構成されている。そこで、本実施形態では、この時計機能に基づく時刻情報の表示態様に工夫を凝らしている。
【0017】
図1に示すように、時計10は、時刻を表示する時刻表示面12を備える。本実施形態では、時計10が表示されるスマートフォンのディスプレイが時刻表示面12を構成している。なお、本例では、
図1の紙面をスマートフォンのディスプレイに見立てて時刻表示面12を表示しているが、ディスプレイには、時刻要素以外の他の要素(例えば、カレンダーのような日付要素やアプリのアイコンなど)が時刻表示面12に表示されていても構わない。
【0018】
時計10の時刻表示面12は、公知のアナログ時計と同じ基本構成を有する。すなわち、円形をした文字盤14の周縁に沿って1から12までの数字が等ピッチで順に配置され、時間の経過に応じて回転する時針16、分針18および秒針20によって時刻が表示される。時針16、分針18および秒針20は、それぞれ、時、分、秒に対応する時刻要素に対応する指針である。
【0019】
円形をした文字盤14の内側には、その円の中心点から放射状に30°間隔の等ピッチで延出する仮想放射線上に、一般的な時計における5分間隔を示す目印線が表示されている。さらに、上記した円の中心点から放射状に6°間隔の等ピッチで延出する仮想放射線上に、一般的な時計における1分間隔を示す目印線が、文字盤14の周縁から中心点に向かって短く表示されている。
【0020】
時針16は、一般的な時計と同様、右回り(時計回り)方向へ12時間で1回転する。分針18も、一般的な時計と同様、右回り(時計回り)方向へ60分で1回転する。
【0021】
一方、秒針20は60秒で1回転するが、その回転方向が1回転するごとに反転するように構成されている。すなわち、秒針20は、0分を基点として、偶数分から奇数分までの間は右回り(時計回り)方向へ回転し、奇数分から偶数分までの間は、左回り(反時計回り)方向へ回転する。
【0022】
上記したとおり、本実施形態では、時針16、分針18および秒針20が時間の経過に応じて回転しながら時刻を表示する表示部として機能する。より詳しくは、時、分、秒の時刻要素のうち、時針16が時刻の「時」を表示する時表示部を、分針18が時刻の「分」を表示する分表示部を、秒針20が時刻の「秒」を表示する秒表示部をそれぞれ構成している。
【0023】
上記構成を有する時計10の動作、すなわち、第1実施形態に係る時刻表示方法は、スマートフォンのCPUがメモリに記憶されている時刻表示プログラムを実行することにより実現される。具体的には、上記した構成のうち、時針16、分針18および秒針20を除く、文字盤14を主とする要素を基本画面として、スマートフォンのディスプレイに表示する。また、スマートフォンに組み込まれている時計機能を利用して時刻情報を取得する。そして、取得した時刻情報に基づいて、時針16、分針18をそれぞれ時間経過に対応する回転角度で表示する。また、秒針20については、取得した時刻情報に基づいて、初期の回転方向を設定し、0分の位置を基点として、回転方向を1回転するごと(60秒ごと)に反転させながら時間経過に対応する回転角度で繰り返し表示する。こうして、スマートフォンを、時計10の時刻表示面12を表示する時刻表示手段として機能させることにより、本実施形態に係る時刻表示方法を実行させるのである。
【0024】
このように、本実施形態のような時刻表示方式によれば、アナログ時計10において、秒針20が回転する方向を1回転するごとに反転させることにより、従来の単調な表示方式とは異なる新たな感覚の時刻表示方式を提供することが可能となっている。また、1回転ごとに回転方向が反転するのは秒針20のみであり、時針16と分針18は従来の時計と同じ動きをするため、時刻を正確に表示するという点においても特に不具合はない。さらに、秒針20の回転方向によって、現在の時間経過状況が「偶数分から奇数分までの間」なのか「奇数分から偶数分までの間」なのかを簡単に把握できるので、1分間という時間感覚を認識することも可能となっている。
【0025】
<第2実施形態>
上記した第1実施形態では、秒針20のみが1回転するごとに回転方向が反転するものであったが、第2実施形態に係る時計30は、
図2に示すように、秒針20以外の指針である時針16、分針18の回転方向も反転するものである。時計30は、指針の動きと回転方向が反転するタイミングが異なる以外、基本的な構成は第1実施形態に係る時計10と同じである。よって、
図2において、
図1に示した時計10と同じ構成には同じ符号を付して、その説明は省略することとし、異なる部分を中心に説明する。
【0026】
時計30では、時刻要素の時、分、秒に対応する指針である時針16、分針18および秒針20それぞれの回転方向が午前と午後で逆向きに反転するように構成されている。具体的には、0時0分0秒を基点として、午前の時刻表示(午前0時から正午になるまでの間)は、
図2(a)に示すように、時針16、分針18および秒針20それぞれが右回り(時計回り)方向へ回転する。そして、午後の時刻表示(正午から午前0時になるまでの間)は、
図2(b)に示すように、時針16、分針18および秒針20それぞれが左回り(反時計回り)方向へ回転するのである。
【0027】
また、時計30では、指針(時針16、分針18および秒針20)の回転方向が反転するタイミングで、文字盤14の周縁に沿って配置されている1から12までの数字も反転するように、すなわち、12と6の数字の配置は変わらず、その他の数字の配置が左右で入れ替わるように構成されている。
【0028】
上記構成を有する時計30において、
図2(a)は午前10時8分37秒を表示しており、
図2(b)は午後10時8分37秒を表示している。このように、本実施形態では、午前と午後で時刻表示が左右対称に表示されるようになっている。
【0029】
時計30の動作、すなわち、第2実施形態に係る時刻表示方法は、上記した時計10と同様、スマートフォンのCPUがメモリに記憶されている時刻表示プログラムを実行することにより実現される。具体的には、スマートフォンに組み込まれている時計機能を利用して時刻情報を取得する。続いて、取得した時刻情報に基づいて、現在時刻が午前であるか午後であるかを判別し、文字盤14における1から12の数字の初期位置および指針(時針16、分針18および秒針20)の初期の回転方向をそれぞれ設定する。そして、取得した時刻情報と初期設定に基づいて、スマートフォンのディスプレイに、文字盤14その他の要素、ならびに、時針16、分針18および秒針20を時間経過に対応する回転角度で表示する。その後は、時間の経過に応じて午前と午後を切り替えるタイミングで、文字盤14における1から12の数字の配置と指針の回転方向を反転させるという一連の動作を繰り返す。こうして、スマートフォンを、時計30の時刻表示面12を表示する時刻表示手段として機能させることにより、本実施形態に係る時刻表示方法を実行させるのである。
【0030】
第2実施形態に係る時計30によれば、指針(時針16、分針18および秒針20)の回転方向によって、午前と午後を判別できるように切り替えて表示することが可能となる。これにより、「午前」と「午後」を感覚的に把握することができる。
【0031】
なお、時計30では、すべての指針の回転方向が午前と午後で逆向きに反転するように構成されているが、指針の一つである秒針20の回転方向のみを午前と午後で逆向きに反転させるようにしてもよい。これにより、従来のアナログ時計と比較しても何ら違和感なく時刻を表示することができ、かつ、秒針20の回転方向を確認するだけで午前と午後を簡単に判別することが可能となる。
【0032】
さらに、時計30では、文字盤14に表示する1から12の数字の配置を午前と午後で変更することとしているが、これらの数字自体を表示しない形態(例えば、
図3を参照)で実施することとしても構わない。あるいは、文字盤14に表示する1から12の数字の配置を午前と午後で変更し、秒針20を省略した形態で実施することも可能である。
【0033】
以上、本発明に係るアナログ時計、時刻表示方法、および、時刻表示プログラムを実施形態に基づいて説明したが、本発明は、上記した形態に限らないことは勿論であり、例えば、以下のように変形した形態で実施しても構わない。
【0034】
<変形例>
(1)上記実施形態では、秒針20の回転中心が時針16、分針18と同じであったが、文字盤14の範囲内であれば秒針を表示する位置は特に限定されるものではない。例えば、時針16と分針18の回転中心の下方の領域に、回転半径が小径の秒針を独立して設けるようにしても構わない。
【0035】
(2)上記実施形態および変形例では、指針(秒針)によって時刻の秒を表示しているが、時間の経過に応じて回りながら時刻の秒を表示するものであれば、秒表示部は指針以外の形態であっても構わない。例えば、秒針20に替えて、
図3に示すように、時針と分針の回転中心Oの下方に秒表示部32を設けてもよい。この秒表示部32に写真やロゴなどの適当な画像を表示し、表示した画像を時間の経過に応じて回転させるのである。なお、
図3では、秒表示部32として円形の表示領域を例示しているが、文字盤14(あるいは、時刻表示面12)の範囲内において、秒表示部32の位置、形状、大きさなどはユーザの好みに応じて変更することが可能である。また、例えば、時間の経過に応じて円、楕円、多角形その他任意の形状の輪郭の軌跡を表示させるといった形態の秒表示部を採用してもよい。この場合、1周60秒ごとに表示された輪郭形状を一旦リセットして、軌跡を表示させる方向を反転させるようにすればよい。
【0036】
(3)上記実施形態では、スマートフォンのディスプレイに表示される時計を例示したが、これに限らず、スマートウォッチ、タブレット、ノートパソコンなどの携帯情報端末、あるいは、デスクトップ型のパソコンやテレビ、デジタルサイネージなどの電子機器に表示される時計にも適用することができる。また、当然ながら、腕時計、掛け時計、置き時計などの各種時計への適用も可能である。
【0037】
(4)上記実施形態は、携帯情報端末、各種電子機器、時計などに時刻表示プログラムが標準的に組み込まれた態様のものを前提として説明してきたが、インターネット経由でユーザに提供されるアプリケーションプログラムとしての実施であっても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0038】
(5)上記実施形態および変形例は、電子機器の表示画面に表示される時計を例示しているが、機械式やクォーツ式の時計に適用することとしても勿論構わない。
【0039】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、何れかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
【符号の説明】
【0040】
10 時計
16 時針(指針)
18 分針(指針)
20 秒針(指針)
30 時計
32 秒表示部