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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025133
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】筒状のタイヤ部材の製造装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/30 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
B29D30/30
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129627
(22)【出願日】2023-08-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】近藤 正智
(72)【発明者】
【氏名】松村 謙介
(72)【発明者】
【氏名】沼崎 康
(72)【発明者】
【氏名】河合 勝広
(72)【発明者】
【氏名】大石 潤平
(72)【発明者】
【氏名】善養寺 千裕
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 武大
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 大
(72)【発明者】
【氏名】松丸 輝明
(72)【発明者】
【氏名】大西 康平
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 誠之
【テーマコード(参考)】
4F215
4F501
【Fターム(参考)】
4F215AH20
4F215AP06
4F215AR07
4F215VA02
4F215VD10
4F215VD22
4F215VK02
4F215VK03
4F215VL11
4F215VL14
4F215VM01
4F215VM07
4F215VP28
4F215VP36
4F215VQ02
4F215VR01
4F215VR03
4F501TA02
4F501TC10
4F501TC21
4F501TD03
4F501TD04
4F501TE10
4F501TF01
4F501TF07
4F501TL27
4F501TL35
4F501TQ02
4F501TR06
4F501TT01
4F501TT03
4F501TU07
4F501TV12
(57)【要約】
【課題】帯状のタイヤ材料を、成形ドラム体を幅方向に移動させてその基準位置に位置決めして巻き付けた際の位置決め程度を正確に把握し、その把握に使用するセンサに要するスペースをコンパクト化する筒状のタイヤ部材の製造装置および方法を提供する。
【解決手段】成形ドラム体6と共にセンサ10をドラム幅方向に移動させる連結部が、ドラム体6からコンベヤ16aの反対側に向かって水平方向に対して30°以上60°以下の傾斜角度Sで上方に延びる延在部分Lを有し、側面視で延在部分Lにセンサ10を配置して、センサ10により逐次検知した成形ドラム体6上でのタイヤ材料M1の幅方向位置データと、成形ドラム体6に対するセンサ10の幅方向設置位置データとに基づいて、制御部17により成形ドラム体6の幅方向の基準位置に対するタイヤ材料M1の全長に渡る幅方向位置を算出する。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のタイヤ材料を平置き状態で供給するコンベヤと、前記コンベヤにより供給された前記タイヤ材料が巻き付けられて筒状に成形される成形ドラム体と、前記成形ドラム体をドラム幅方向に移動させるドラム移動機構とを備えた筒状のタイヤ部材の製造装置において、
前記成形ドラム体上での前記タイヤ材料を検知するセンサと、前記センサにより検知された前記成形ドラム体上での前記タイヤ材料の幅方向位置データが逐次入力される制御部と、前記成形ドラム体と前記センサとを連結して前記成形ドラム体とともに前記センサをドラム幅方向に移動させる連結部とを有し、
前記連結部が前記成形ドラム体から前記コンベヤの反対側に向かって水平方向に対して30°以上60°以下の傾斜角度で上方に延びる延在部分を有し、
側面視で前記延在部分に前記センサが配置されていて、
前記センサを昇降移動させるセンサ昇降機構を有し、前記センサが前記センサ昇降機構によって前記延在部分に沿って昇降して、前記成形ドラム体に対して所望高さ位置に固定され、
前記ドラム移動機構により前記成形ドラム体をドラム幅方向に移動させることにより、蛇行が抑制されて前記タイヤ材料が前記成形ドラム体に巻き付けられ、
前記成形ドラム体に対する前記センサの幅方向設置位置データと、前記制御部に逐次入力される前記幅方向位置データとに基づいて、前記制御部により、前記成形ドラム体の幅方向の基準位置に対する前記タイヤ材料の全長に渡る幅方向位置が算出される構成にした筒状のタイヤ部材の製造装置。
【請求項2】
前記センサをドラム幅方向に移動させるセンサスライド機構を有し、前記センサが前記センサスライド機構によってドラム幅方向の所望位置に移動して固定される構成にした請求項1に記載の筒状のタイヤ部材の製造装置。
【請求項3】
前記センサがドラム幅方向に間隔をあけた2箇所に配置されている請求項1または2に記載の筒状のタイヤ部材の製造装置。
【請求項4】
コンベヤにより平置き状態で供給される帯状のタイヤ材料を成形ドラム体に巻き付けて筒状に成形する際に、ドラム移動機構により前記成形ドラム体をドラム幅方向に移動させて蛇行を抑制して前記タイヤ材料を前記成形ドラム体に巻き付ける筒状のタイヤ部材の製造方法において、
前記成形ドラム体とセンサとを連結部により連結して、前記ドラム移動機構により前記成形ドラム体とともに前記センサをドラム幅方向に移動させる構成にして、
前記連結部が前記成形ドラム体から前記コンベヤの反対側に向かって水平方向に対して30°以上60°以下の傾斜角度で上方に延びる延在部分を有し、側面視で前記延在部分に前記センサを配置して、
前記タイヤ材料を前記成形ドラム体に巻き付けて筒状に成形する際には、前記センサをセンサ昇降機構によって前記延在部分に沿って昇降させて、前記成形ドラム体に対して所望高さ位置に固定し、
前記センサにより検知された前記成形ドラム体上での前記タイヤ材料の幅方向位置データを制御部に逐次入力して、
前記成形ドラム体に対する前記センサの幅方向設置位置データと前記制御部に逐次入力される前記幅方向位置データとに基づいて、前記制御部により、前記成形ドラム体の幅方向の基準位置に対する前記タイヤ材料の全長に渡る幅方向位置を算出する筒状のタイヤ部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状のタイヤ部材の製造装置および方法に関し、さらに詳しくは、コンベヤにより平置き状態で供給される帯状のタイヤ材料を、成形ドラム体をドラム幅方向に移動させて成形ドラム体の幅方向の基準位置に位置決めして巻き付けた際に、その位置決め程度を正確に把握できるとともに、その把握に使用されるセンサに要するスペースをコンパクトにできる筒状のタイヤ部材の製造装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤはグリーンタイヤを加硫することで製造される。グリーンタイヤは多数種類のタイヤ材料が積層して成形される。コンベヤによって平置き状態で供給される帯状のタイヤ材料を成形ドラムに巻き付けて筒状に成形する際に、タイヤ材料が蛇行することを防止するために、供給されるタイヤ材料の幅方向中心位置と、成形ドラムの幅方向中心位置とを位置合わせしてタイヤ材料を巻き付けることが種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。従来、特許文献1で提案されているように、計測器(センサ)によって検知したコンベヤに載置されているタイヤ材料の幅方向位置データに基づいてタイヤ材料の幅方向中心位置が逐次算出される。そして、算出したタイヤ材料の幅方向中心位置と、成形ドラムの幅方向中心位置との差異を逐次算出して、この差異をゼロにするようにコンベヤを幅方向に移動させる。
【0003】
コンベヤを幅方向に移動させるのではなく、成形ドラムを幅方向に移動させて両者の幅方向中心位置の差異をゼロにする場合は、上述したようにタイヤ材料の幅方向中心位置を逐次算出するとともに、成形ドラムの幅方向中心位置を逐次算出する必要がある。それ故、演算処理が煩雑になり、また、双方の幅方向位置のうち、いずれか一方の幅方向中心位置の算出に誤差があると、両者の差異をゼロにして精度よくタイヤ材料を巻き付けることができない。そして、このように成形ドラムを幅方向に移動させる制御をしてタイヤ材料を巻き付けても、成形ドラム上のタイヤ材料の位置を検知しなければ、実際に、成形ドラムの幅方向中心位置(基準位置)に対してタイヤ材料の幅方向中心位置がどの程度精度よく位置決めされていて巻き付けられているかは把握できない。
【0004】
この位置決め程度を把握するためにセンサを成形ドラムの上方に設置するには、センサ用のフレームを地盤に構築する、或いは、天井から吊り下げて、このフレームにセンサを取付ける必要がある。そして、成形ドラム上でタイヤ材料の幅方向位置を精度よく検知できる位置にセンサを配置する必要がある。これに伴い、センサ用のフレームが占めるスペースが大きくなる。それ故、コンベヤにより平置き状態で供給される帯状のタイヤ材料を成形ドラムの幅方向の基準位置に位置決めして巻き付けた際に、その位置決め程度を正確に把握し、その把握に使用されるセンサに要するスペースをコンパクトにするには改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-127986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、コンベヤにより平置き状態で供給される帯状のタイヤ材料を、成形ドラム体をドラム幅方向に移動させて成形ドラム体の幅方向の基準位置に位置決めして巻き付けた際に、その位置決め程度を正確に把握できるとともに、その把握に使用されるセンサに要するスペースをコンパクトにできる筒状のタイヤ部材の製造装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明の筒状のタイヤ部材の製造装置は、帯状のタイヤ材料を平置き状態で供給するコンベヤと、前記コンベヤにより供給された前記タイヤ材料が巻き付けられて筒状に成形される成形ドラム体と、前記成形ドラム体をドラム幅方向に移動させるドラム移動機構とを備えた筒状のタイヤ部材の製造装置において、前記成形ドラム体上での前記タイヤ材料を検知するセンサと、前記センサにより検知された前記成形ドラム体上での前記タイヤ材料の幅方向位置データが逐次入力される制御部と、前記成形ドラム体と前記センサとを連結して前記成形ドラム体とともに前記センサをドラム幅方向に移動させる連結部とを有し、前記連結部が前記成形ドラム体から前記コンベヤの反対側に向かって水平方向に対して30°以上60°以下の傾斜角度で上方に延びる延在部分を有し、側面視で前記延在部分に前記センサが配置されていて、前記センサを昇降移動させるセンサ昇降機構を有し、前記センサが前記センサ昇降機構によって前記延在部分に沿って昇降して、前記成形ドラム体に対して所望高さ位置に固定され、前記ドラム移動機構により前記成形ドラム体をドラム幅方向に移動させることにより、蛇行が抑制されて前記タイヤ材料が前記成形ドラム体に巻き付けられ、前記成形ドラム体に対する前記センサの幅方向設置位置データと、前記制御部に逐次入力される前記幅方向位置データとに基づいて、前記制御部により、前記成形ドラム体の幅方向の基準位置に対する前記タイヤ材料の全長に渡る幅方向位置が算出される構成にしたことを特徴とする。
【0008】
本発明の筒状のタイヤ部材の製造方法は、コンベヤにより平置き状態で供給される帯状のタイヤ材料を成形ドラム体に巻き付けて筒状に成形する際に、ドラム移動機構により前記成形ドラム体をドラム幅方向に移動させて蛇行を抑制して前記タイヤ材料を前記成形ドラム体に巻き付ける筒状のタイヤ部材の製造方法において、前記成形ドラム体とセンサとを連結部により連結して、前記ドラム移動機構により前記成形ドラム体とともに前記センサをドラム幅方向に移動させる構成にして、前記連結部が前記成形ドラム体から前記コンベヤの反対側に向かって水平方向に対して30°以上60°以下の傾斜角度で上方に延びる延在部分を有し、側面視で前記延在部分に前記センサを配置して、前記タイヤ材料を前記成形ドラム体に巻き付けて筒状に成形する際には、前記センサをセンサ昇降機構によって前記延在部分に沿って昇降させて、前記成形ドラム体に対して所望高さ位置に固定し、前記センサにより検知された前記成形ドラム体上での前記タイヤ材料の幅方向位置データを制御部に逐次入力して、前記成形ドラム体に対する前記センサの幅方向設置位置データと前記制御部に逐次入力される前記幅方向位置データとに基づいて、前記制御部により、前記成形ドラム体の幅方向の基準位置に対する前記タイヤ材料の全長に渡る幅方向位置を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、前記タイヤ材料を前記成形ドラム体に巻き付ける際に、前記成形ドラム体をドラム幅方向に移動させることで、蛇行を抑制して前記タイヤ材料を前記成形ドラム体の幅方向の基準位置に位置決めして巻き付けるには有利になる。そして、前記センサと前記成形ドラム体とは連結されていて一緒にドラム幅方向に移動するので、前記成形ドラム体に対する前記センサの幅方向設置位置データは、前記成形ドラム体の幅方向移動の有無に拘わらず不変であり、前記成形ドラム体の前記基準位置との差異は予め把握された既知の値になる。したがって、前記成形ドラム体に対する前記センサの幅方向設置位置データと前記制御部に逐次入力される前記幅方向位置データとに基づいて、前記成形ドラム体の基準位置に対する前記タイヤ材料の全長に渡る幅方向位置を正確に算出するには有利になる。即ち、前記成形ドラム体に巻き付けられた前記タイヤ材料の幅方向位置が前記基準位置に対してどの程度一致しているか(ずれているか)を正確に把握できるので品質を担保できる。
【0010】
そして、前記連結部が前記成形ドラム体から前記コンベヤの反対側に向かって水平方向に対して30°以上60°以下の傾斜角度で上方に延びる前記延在部分を有して、側面視で前記延在部分に前記センサが配置されているので、前記センサを設置するためのフレーム類を地盤や天井に設ける必要がない。また、前記センサをセンサ昇降機構によって前記延在部分に沿って昇降させて、前記成形ドラム体に対して所望高さ位置に固定するが、前記延在部分が30°以上60°以下の傾斜角度で延在しているので、前記延在部分を上下方向および前後方向に過剰に延在させなくても、前記成形ドラム体上での前記タイヤ材料の幅方向位置を精度よく検知できる位置に前記センサを配置することができる。その結果、前記センサに要するスペースをコンパクトするには有利になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】筒状のタイヤ部材の製造装置の実施形態を平面視で例示する説明図である。
図2図1の製造装置を正面視で例示する説明図である。
図3図1の製造装置を側面視で例示する説明図である。
図4図1のドラムユニットの拡大図である。
図5図1のドラムユニットを一方の巻付け位置に移動させた状態を平面視で例示する説明図である。
図6図5のドラムユニットを側面視で例示する説明図である。
図7図5の巻き付け位置でタイヤ材料を成形ドラム体に巻付けている状態を例示する説明図である。
図8図7のドラムユニットを側面視で例示する説明図である。
図9図7のドラムユニットを他方の巻付け位置に移動させた状態を平面視で例示する説明図である。
図10図9のドラムユニットを側面視で例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の筒状のタイヤ部材の製造装置および方法を、図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0013】
図1図4に例示する筒状のタイヤ部材の製造装置1の実施形態を用いて、コンベヤ16a、16bにより供給される帯状のタイヤ材料M1、M2が、成形ドラム体6に巻付けられて筒状のタイヤ部材Mが製造される。例えば、タイヤ材料M1、M2としてインナーライナ、カーカス材が使用されて、成形ドラム体6に順次供給されて、筒状のタイヤ部材Mとしてインナーライナ層、カーカス層が製造されて積層される。このインナーライナ層、カーカス層が使用されてグリーンタイヤGが成形される。成形されたグリーンタイヤGが加硫されることでタイヤTが製造される。
【0014】
製造装置1は、成形ドラム体6を含むドラムユニット2と、コンベヤ16a、16bと、制御部17とを備えている。ドラムユニット2は、上下にベース部3と上部構造部4とに区分されていて、ベース部3と上下構造部4とは上下移動機構9により連結されている。ドラムユニット2は、ベース部3、上部構造部4、上下移動機構9を含む全体の構造体である。図中のX、Y、Z矢印はそれぞれ、製造装置1(ドラムユニット2や成形ドラム体6)の幅方向、前後方向、高さ方向を示していて互いに直交する方向である。図面では、前後方向(Y方向)でコンベヤ16a、16bから成形ドラム体6に向かう方向が前方である。
【0015】
コンベヤ16a、16bは、平置き状態でタイヤ材料M1、M2を成形ドラム体6に供給するベルトコンベヤ或いはこれに類する搬送手段である。複数のコンベヤ16a、16bが幅方向に並列されている。それぞれのコンベヤ16a、16bは、基本的に地盤の一定位置に固定されていて移動しない。この実施形態では、それぞれのコンベヤ16a、16bの前端の前後方向位置は実質的に同じ位置に設定されていて、上下方向位置は若干異なる位置に設定されている。それぞれのコンベヤ16a、16bの前端の前後方向位置を異ならせた設定にすることも、上下方向位置を実質的に同じ位置に設定することもできる。
【0016】
ベース部3は、地盤上で幅方向に延在するガイドレール2aに載置されている。ベース部3には、スライド移動機構8を構成する駆動モータなどが設置されている。スライド移動機構8としては、ベース部3をガイドレール2aに沿って移動させる公知の種々の機構を用いることができる。スライド移動機構8によってベース部3をガイドレール2aに沿って移動させると、ドラムユニット2が一体として幅方向に移動する。
【0017】
上部構造部4は、載置板5a、スライド板5b、成形ドラム体6、回転駆動部6a、ドラム移動機構7、センサ10a、10b(総称してセンサ10という)、センサスライド機構12、センサ昇降機構13を含んでいる。載置板5aの下面に上下移動機構9が連結されていて、載置板5aの上にはスライド板5bおよびドラム移動機構7が設置されている。
【0018】
スライド板5bは、ドラム移動機構7によって載置板5aに対して幅方向に移動する。スライド板5bは例えば、載置板5aに形成されている幅方向に延在する溝などに係合している。ドラム移動機構7としては流体シリンダやサーボモータで進退するロッドなどの公知の種々の機構を用いることができる。ドラム移動機構7はスライド移動機構8とは別の機構である。
【0019】
スライド板5bの上には成形ドラム体6、回転駆動部6aが設置されている。成形ドラム体6は、コンベヤ16a、16bにより供給されたタイヤ材料M1、M2が巻き付けられて筒状に成形する。成形ドラム体6のドラム軸心CはX方向に延在している。成形ドラム体6は、回転駆動部6aによってドラム軸心Cを中心にして回転する。
【0020】
回転駆動部6bには支柱14が立設されていて、支柱14からは幅方向に延在する横梁14aが連結されている。この横梁14aには門型の支持枠15が固定されている。支持枠15には幅方向に延在するセンサ支持梁11が架け渡されている。図3に例示するように、支柱14は高さ方向中途の位置でコンベヤ16a、16bの反対側に向かって上方に傾斜していて、水平に対する傾斜角度Sは45°程度(例えば30°以上60°以下)に設定されている。支持枠15もこの傾斜角度Sで傾斜している。即ち、支柱14の一部および支持枠15は、成形ドラム体6からコンベヤ16a側に向かって水平方向に対して30°以上60°以下の傾斜角度Sで上方に延びる延在部分Lになっている。
【0021】
センサ支持梁11には、2つのセンサ10a、10bが幅方向に間隔をあけて設置されている。センサ10a、10bは、それぞれのセンサスライド機構12によってセンサ支持梁11に沿って幅方向の所望位置に移動して固定される。センサスライド機構12としては、サーボモータで進退するロッドや流体シリンダなどの公知の種々の機構を用いることができる。センサ10を、幅方向に延在する支持軸に回転可能に軸支して、上下方向に首振り可能にすることで検知する向きを可変にした仕様にすることもできる。
【0022】
センサ支持梁11は、センサ昇降機構13によって支持枠15に沿って傾斜角度Sで昇降して高さ方向の所望位置に固定される。この実施形態では、センサ昇降機構13が横梁14aに設置されていて、その進退するロッドがセンサ支持梁11に接続されている。センサ昇降機構13としては、流体シリンダやサーボモータで進退するロッドなどの公知の種々の機構を用いることができる。センサ昇降機構13によってセンサ支持梁11が昇降すると、センサ10は傾斜角度Sで昇降して高さ方向の所望位置に固定される。
【0023】
センサ10は、成形ドラム体6の上方に配置されていて、成形ドラム体6に供給されるタイヤ材料M1、M2の有無や位置を検知する。センサ10としては、非接触タイプの公知の種々の検知センサを用いることができる。この実施形態では、それぞれのタイヤ材料M1、M2に対してその幅方向全範囲を網羅して検知するために、センサ10a、10bが、幅方向(X方向)に間隔をあけた2箇所に配置されている。それぞれのセンサ10a、10bが幅方向に移動することで、あらゆる幅寸法のタイヤ材料M1の幅方向位置データを精度よく取得することができる。尚、1つのセンサ10によってそれぞれのタイヤ材料M1、M2に対してその幅方向全範囲を網羅して検知できるならば、センサ10を1つにすることもできる。センサ10による検知データは制御部17に逐次入力される。この検知データには、成形ドラム体6上でのタイヤ材料M1、M2の幅方向位置データが含まれる。
【0024】
制御部17は、入力されたデータや記憶されているデータ等を用いて演算処理を行うとともに、製造装置1の様々な構成部品の制御を行なう。制御部17としては、公知の種々のコンピュータを用いることができる。
【0025】
上下移動機構9は、ベース部3に対して上部構造部4を上下移動させる。上下移動機構9としては、流体シリンダやサーボモータで進退するロッドなどの公知の種々の機構を用いることができる。この実施形態では、上下移動機構9は、ベース部3と載置板5aとの間に介在している。
【0026】
したがって、上部構造部4は、上下移動機構9によって一体的に上下移動する。また、スライド板5bに直接および間接的に連結されている種々の構成部品は、ドラム移動機構7によって一体的に幅方向に移動する。即ち、成形ドラム体6とセンサ10は、ドラム移動機構7によって、幅方向に同じ量だけ同期して移動する。
【0027】
この実施形態では、スライド板5b、回転駆動部6a、支柱14、横梁14a、支持枠15およびセンサ支持梁11が、成形ドラム体6とセンサ10とを連結して成形ドラム体6とともにセンサ10を幅方向に移動させる連結部として機能している。そして、図3に例示するように、この連結部は、成形ドラム体6からコンベヤ16aの反対側に向かって傾斜角度Sで上方に延びる延在部分Lを有している。センサ10は、側面視でこの延在部分Lに配置されている。支柱14を回転駆動部6aではなく、例えばスライド板5bに直接立設することで成形ドラム体6とセンサ10とを間接的に連結し、側面視でセンサ10を延在部分Lに配置した仕様にすることもできる。
【0028】
次に、この製造装置1を用いて筒状のタイヤ部材Mを製造する手順の一例を説明する。
【0029】
この実施形態では、成形ドラム体6に対して幅方向に並列されている複数のコンベヤ16a、16bによりタイヤ材料M1、M2が平置き状態で成形ドラム体6に供給されて巻き付けられる。それぞれのタイヤ材料M1、M2が供給される際に、そのタイヤ材料M1、M2を供給するコンベヤ16a、16bの先端部近傍(巻き付け位置P1、P2)に成形ドラム体6を移動させて設置する。
【0030】
まず、図5図6に例示するように、成形ドラム体6にタイヤ材料M1を供給するコンベヤ16aの前端部近傍の巻付け位置P1に成形ドラム体6を移動させて設置する。そのため、図5に例示するように、スライド移動機構8によってドラムユニット2を一体として幅方向に移動させて巻き付け位置P1(X方向位置)に位置合わせする。また、図6に例示するように、上下移動機構9によって上部構造部4を上下方向に移動させて巻き付け位置P1(Z方向位置)に位置合わせする。巻き付け位置P1は、タイヤ材料M1をコンベヤ16aから成形ドラム体6に円滑に移載させることができる適切な位置である。
【0031】
コンベヤ16aの前端部の位置(X方向、Y方向およびZ方向位置)は予め設定されていて、成形ドラム体6のY方向位置も予め設定されている。そこで、成形ドラム体6の位置(X方向およびZ方向位置)を様々に異ならせてコンベヤ16aから成形ドラム体6にタイヤ材料M1を移載させる事前テストなどを行って、巻き付け位置P1を予め決定しておく。他方のコンベヤ16bについても同様に巻き付け位置P2を決定しておく。
【0032】
このように巻き付け位置P1を予め決定しておくことで、タイヤ材料M1を成形ドラム体6に供給する際には、スライド移動機構8を用いて成形ドラム体6の幅方向位置を調整し、かつ、上下移動機構9を用いて成形ドラム体6の上下位置を調整して成形ドラム体6を巻付け位置P1に設置する。具体的には、成形ドラム体6を巻き付け位置P1に設置するには、タイヤ材料M1を供給するコンベヤ16aの先端部の幅方向位置に基づいて、制御部17によってスライド移動機構8を制御して成形ドラム体6の幅方向位置を調整する。また、そのコンベヤ16aの先端部の上下位置に基づいて、制御部17によって上下移動機構9を制御して成形ドラム体6の上下位置を調整する。このように制御することで、成形ドラム体6を巻き付け位置P1に自動的に設置することができる。成形ドラム体6を巻き付け位置P1により迅速に設置するには、スライド移動機構8によって成形ドラム体6(ドラムユニット2)を巻き付け位置P1に向かって幅方向に移動させている間に、上下移動機構9によって成形ドラム体6を上下方向に移動させて巻き付け位置P1の高さ位置に位置合わせするとよい。
【0033】
また、センサ10をそれぞれのセンサスライド機構12によって幅方向に移動させ、かつ、センサ昇降機構13によって昇降移動させて検知位置に移動させて固定する。検知位置は、センサ10が成形ドラム体6上でのタイヤ材料M1の両端の幅方向位置を精度よく検知できる適切な位置である。この検知位置は、成形ドラム体6に対するコンベヤ16aの配置およびタイヤ材料M1の幅方向サイズなどによって異なる。そこで、センサ10の位置(X方向、Y方向およびZ方向位置)を様々に異ならせて、成形ドラム体6上でのタイヤ材料M1を検知する事前テストなどを行って、検知位置を予め決定しておく。他方のコンベヤ16bおよびタイヤ材料M2についても同様に検知位置を決定しておく。スライド移動機構8によって成形ドラム体6(ドラムユニット2)を巻き付け位置P1に向かって幅方向に移動させている間に、センサ10を検知位置に移動させておくとよい。この検知位置は制御部17に記憶される。
【0034】
センサ10が傾斜角度Sで傾斜する延在部分Lに沿って昇降移動するので、この昇降移動によってセンサ10の高さ方向(Z方向)の位置とともに前後方向(Y方向)の位置が一度に調整できる。傾斜角度Sを30°以上60°以下、より好ましくは40°以上50°以下にして概ね45°に設定することで、延在部分Lを過剰に長くしなくても、センサ10を、成形ドラム体6に対するコンベヤ16aの配置およびタイヤ材料M1の幅方向サイズに応じた検知位置に移動させて固定配置するには有利になる。
【0035】
次いで、図7図8に例示するように、巻き付け位置P1でドラム軸心Cを中心にして成形ドラム体6を回転させて、コンベヤ16aにより供給されるタイヤ材料M1を巻付ける。コンベヤ16aに載置されているタイヤ材料M1は少なからず幅方向に蛇行している。そこで、コンベヤ16a上でのタイヤ材料M1の幅方向位置などを公知のセンサ類によって検知して、この検知データに基づいて制御部17はドラム移動機構7を制御して成形ドラム体6を幅方向に移動させる。このようにして、タイヤ材料M1を蛇行を抑制して成形ドラム体6の幅方向の基準位置Pxに位置決めしつつ巻き付ける。この基準位置Pxは任意の位置に設定することができる。例えば成形ドラム体6の幅方向中心位置を予め基準位置Pxに設定して、この基準位置Pxに対して、タイヤ材料M1の幅方向中心位置を一致するように位置決めして成形ドラム体6に巻き付けて筒状に成形する。
【0036】
このように位置決めしてタイヤ材料M1を成形ドラム体6に巻き付けても、実際に巻付けられたタイヤ材料M1の幅方向中心位置が基準位置Pxに対してどの程度一致しているか(ずれているか)は不明である。そこで、この実施形態では、成形ドラム体6に対するセンサ10の幅方向設置位置データと、制御部17に逐次入力されるセンサ10が検知した成形ドラム体6上でのタイヤ材料M1の幅方向位置データとに基づいて、制御部17により、成形ドラム体6の基準位置Pxに対するタイヤ材料M1の全長に渡る幅方向位置が算出される。
【0037】
詳述すると、成形ドラム体6に対するセンサ10の幅方向設置位置データに基づいて成形ドラム体6の幅方向中心位置(即ち、基準位置Px)を算出する。また、成形ドラム体6に対してタイヤ材料M1を巻き付け開始から終了の間で、それぞれのセンサ10a、10bが逐次検知したタイヤ材料M1の幅方向位置データに基づいて、制御部17が成形ドラム体6上でのタイヤ材料M1の全長に渡る幅方向中心位置を逐次算出する。そして、算出した基準位置Pxと算出したタイヤ材料M1の幅方向中心位置との幅方向の差異Dxをタイヤ材料M1の全長に渡って算出する。
【0038】
ここで、センサ10と成形ドラム体6とは連結されていて一緒に幅方向に移動するので、成形ドラム体6に対するセンサ10の幅方向設置位置データは、成形ドラム体6の幅方向移動の有無に拘わらず不変である。そして、それぞれのセンサ10の位置は制御部17に記憶されていて既知であるので、それぞれのセンサ10と成形ドラム体6の基準位置Pxとの幅方向距離も既知の値である。換言すると、それぞれのセンサ10の位置に基づいて正確に基準位置Pxが把握される。したがって、差異Dxを算出するには、それぞれのセンサ10の位置に基づいて正確に把握されている基準位置Pxを利用すればよい。即ち、上述した差異Dxは、センサ10が逐次検知したタイヤ材料M1の幅方向位置データに基づいて、成形ドラム体6上でのタイヤ材料M1の幅方向中心位置をタイヤ材料M1の全長に渡って算出し、その算出結果と、制御部17に記憶されているそれぞれのセンサ10の位置に基づいて正確に把握されている基準位置Pxとの差異として算出できる。
【0039】
そのため、この製造装置1は、センサ10と成形ドラム体6とを連結して成形ドラム体6とともにセンサ10を幅方向に移動させるという簡便な構成でありながら、成形ドラム体6を頻繁に幅方向に移動させる場合であっても、基準位置Pxに対するタイヤ材料M1の全長に渡る幅方向位置を正確に算出するには有利になる。即ち、成形ドラム体6に巻き付けられたタイヤ材料M1の幅方向中心位置が、基準位置Pxに対して幅方向においてどの程度一致しているか(ずれているか)を正確に把握できるので、製造した筒状タイヤ部材Mの品質を担保できる。
【0040】
この製造装置1では、成形ドラム体6に対してタイヤ材料M1の巻き付け開始から終了するまでの間で、それぞれのセンサ10a、10bがタイヤ材料M1の幅方向位置データを逐次検知するので、基準位置Pxに対するタイヤ材料M1の全長に渡る幅方向位置を算出するための別途の工程(時間)が不要になる。即ち、タイヤ材料M1を筒状にした後に、再度、ドラム軸心Cを中心にして成形ドラム体6を回転させて筒状のタイヤ部材Mの幅方向ずれ具合をセンサ10によって検知する必要がない。それ故、タイヤ部材Mの生産性を向上させるには有利になる。
【0041】
次いで、図9図10に例示するように、他方のコンベヤ16bから供給されるタイヤ材料M2によって筒状のタイヤ部材Mを製造するために、この成形ドラム体6を他方のコンベヤ16bの前端部近傍の巻付け位置P2に移動させる。成形ドラム体6を巻き付け位置P2に設置する手順は、上述した巻き付け位置P1に設置する手順と同様である。即ち、図9に例示するように、スライド移動機構8によってドラムユニット2を一体として幅方向に移動させる。また、図10に例示するように、上下移動機構9によって上部構造部4を上下方向に移動させる。
【0042】
センサ10a、10bを検知位置に移動させて固定する手順も、巻き付け位置P1で行った手順と同様である。即ち、センサ10a、10bをセンサスライド機構12によって幅方向に移動させ、センサ昇降機構13によって昇降させて、コンベヤ16およびタイヤ材料M2に応じた検知位置に固定する。
【0043】
次いで、上述したタイヤ材料M1の場合と同様の手順で、成形ドラム体6をドラム移動機構7によって幅方向に移動させることにより、タイヤ材料M2を蛇行を抑制して成形ドラム体6の幅方向の基準位置Pxに位置決めしつつ巻き付ける。成形ドラム体6には既に筒状のタイヤ部材Mが製造されて巻付いているので、巻き付け位置P2では、このタイヤ部材Mの外周面にタイヤ材料M2を巻き付けることになる。そのため、巻き付け位置P2では、タイヤ材料M2によって筒状に成形されたタイヤ部材Mは、成形ドラム体6上で既に製造されているタイヤ部材Mに対して積層された状態で製造される。積層されたぞれぞれのタイヤ部材M1の幅方向のずれが抑制されるので、品質の優れたタイヤ部材Mの積層体が製造される。そして、タイヤ材料M2についても、タイヤ材料M1と同様に、基準位置Pxと算出したタイヤ材料M2の幅方向中心位置との幅方向の差異Dxをタイヤ材料M2の全長に渡って算出する。
【0044】
この製造装置1によれば、上述したように側面視で延在部分Lにセンサ10が配置されていて、センサ10は成形ドラム体6に間接的に連結されている。したがって、成形ドラム体6上でのタイヤ材料M1、M2の幅方向位置を検知するために使用するセンサ10を取付けるフレーム類を地盤や天井に設ける必要がない。また、成形ドラム体6からコンベヤ16a、16bの反対側に向かって水平方向に対して延在部分Lが30°以上60°以下の傾斜角度Sの範囲で延在しているので、延在部分Lを上下方向および前後方向に過剰に延在させることなく、成形ドラム体6上でのタイヤ材料M1、M2の幅方向位置を精度よく検知できる位置にセンサ10を配置し易くなる。その結果、センサ10に要するスペースをコンパクトするには有利になる。
【0045】
これに伴い、製造装置1の操作やメンテナンスをするためのスペースがより広く確保するには有利になる。また、製造装置1を設置するスペースが狭い場合であっても、センサ10を検知位置に配置し易くなる。
【0046】
この実施形態では、巻き付け位置P1、P2において、成形ドラム体6をドラム移動機構7により幅方向に移動させることで、タイヤ材料M1、M2の幅方向位置のバラつきを是正しながら成形ドラム体6に巻き付けることができる。ドラム移動機構7は、ドラムユニット2ではなく、スライド板5の上に設置されたドラムユニット2の構成部品を幅方向に移動させるので、ドラムユニット2に比して成形ドラム体6を所望の幅方向位置に迅速、かつ、頻繁に移動させるには有利になる。
【0047】
図1では、幅方向に離間した2か所の一方の位置にコンベヤ16aが配置されていて、他方の位置にコンベヤ16bが配置されているが、それぞれの位置に配置されるコンベヤ16a、16bは、1台に限らず複数台(例えば2台~4台)が縦列配置されることもある。一方の位置で複数台のコンベヤ16aが縦列配置されている場合は、縦列されたそれぞれのコンベヤ16aによって、複数のタイヤ材料M1が順次連続的に成形ドラム体6に供給され、それぞれが筒状に形成されて積層される。上述した実施形態のように、所定位置に固定されているそれぞれのコンベヤ16aに対して、成形ドラム体6を幅方向に移動させることで、順次連続的に供給されるタイヤ材料M1は蛇行が抑制されて成形ドラム体6の幅方向の基準位置Pxに位置決めしつつ巻き付けられる。即ち、順次供給される複数のそれぞれのタイヤ材料M1を、成形ドラム体6にセンタリングして巻き付ける際に、縦列配置されているそれぞれのコンベヤ16aの位置は固定されているので、それぞれのコンベヤ16aを通じてそれぞれのタイヤ材料M1を連続的に成形ドラム体6に供給することができる。
【0048】
一方、成形ドラム体6が所定位置に固定されていて、成形ドラム体6の直前のコンベヤ16aを幅方向に移動させることで、順次供給されるそれぞれのタイヤ材料M1を成形ドラム体6にセンタリングして巻き付ける方式では、成形ドラム体6の直前のコンベヤ16aを幅方向に移動させている間は、後方のコンベヤ16aから成形ドラム体6の直前のコンベヤ16aにタイヤ材料M1を移載できない。その結果、成形ドラム体6へのタイヤ材料M1の供給が滞り、直前のコンベヤ16aによるセンタリング工程が完了するまでに余分な待ち時間が発生する。これに伴い、筒状のタイヤ部材Mの生産性が低下する。したがって、上述したように、所定位置に固定されているそれぞれのコンベヤ16aに対して、成形ドラム体6を幅方向に移動させることで、順次連続的に供給されるタイヤ材料M1の蛇行を抑制して成形ドラム体6の幅方向の基準位置Pxに位置決めしつつ巻き付ける方式では、それぞれのタイヤ材料M1を成形ドラム体6に供給するまでの余分な待ち時間が抑制されて、筒状のタイヤ部材Mの生産性を向上させるには有利になる。他方の位置で複数台のコンベヤ16bが縦列配置されている場合も、上記と同様であり、所定位置に固定されて縦列配置されたコンベヤ16bに対して、成形ドラム体6を幅方向に移動させて、順次供給される複数のそれぞれのタイヤ材料M2を、成形ドラム体6にセンタリングして巻き付ける方式にすることで、筒状のタイヤ部材Mの生産性を向上させるには有利になる。
【0049】
実施形態では、それぞれのコンベヤ16a、16bの先端は、成形ドラム体6の上方位置に設定されているが、下方位置に設定することもできる。一方のコンベヤ16aの先端を成形ドラム体6の上方位置に設定し、他方のコンベヤ16bの先端を成形ドラム体6の下方に設定することもできる。コンベヤ16a、16bは2つに限らず、1つの場合、3つ以上の並列されている場合にもこの製造装置1を適用することができる。コンベヤが1つの場合は、ドラムユニット2を一体として幅方向に移動させる必要がないのでスライド移動機構8などの不要な構成部品を省略できる。
【0050】
成形ドラム体6は、一般的な公知の様々な成形ドラムに限らず、例えば製造するタイヤTの内面と実質的に同じ外面を有する所謂、剛性コアであってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 製造装置
2 ドラムユニット
2a ガイドレール
3 ベース部
4 上部構造部
5a 載置板
5b スライド板
6 成形ドラム体
6a 回転駆動部
7 ドラム移動機構
8 スライド移動機構
9 上下移動機構
10(10a、10b) センサ
11 センサ支持梁
12 センサスライド機構
13 センサ昇降機構
14 支柱
14a 横梁
15 支持枠
16a、16b コンベヤ
17 制御部
L 延在部分
M1、M2 帯状のタイヤ材料
M タイヤ部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10