(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025146
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】配線器具取付枠
(51)【国際特許分類】
H02G 3/02 20060101AFI20250214BHJP
H01H 9/02 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
H02G3/02
H01H9/02 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129648
(22)【出願日】2023-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】390005038
【氏名又は名称】神保電器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101867
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 寿武
(72)【発明者】
【氏名】福井 清
(72)【発明者】
【氏名】中田 友満
【テーマコード(参考)】
5G052
5G357
【Fターム(参考)】
5G052AA12
5G357CA06
5G357CB04
5G357CC01
5G357CD02
5G357CF10
(57)【要約】
【課題】 数枚を連接配置して施設できるとともに、配線器具20を大きく回動操作することなく取り付けることができる配線器具取付枠を提供する。
【解決手段】 取付枠本体10における一方の側縁部に係止突部13が形成され、他方の側縁部には、正面から裏面方向に延出するように屈曲して支持板部14が設けてある。この支持板部14に爪固定部15が形成してある。爪固定部15は、案内隙間16とカシメ部17を備えている。配線器具20を取付枠本体10の裏側から内側開口部11に挿通して配置するときは、案内隙間16に配線器具20の被係止爪25を配置し、この案内隙間16に沿って被係止爪25を移動させる。そして、案内隙間16の端部に配置した被係止爪25を、カシメ部17によって爪固定部15にかしめて固定する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の側部に被係止部を有するとともに、他方の側部から突き出して被係止爪が設けられた配線器具を取付対象とし、
前記配線器具を配置する内側開口部を有し、当該内側開口部を囲むように取付枠本体が形成してあり、
前記取付枠本体における一方の側縁部には、前記内側開口部に接する内側縁に、前記配線器具の被係止部を固定するための係止部が形成され、
前記取付枠本体における他方の側縁部には、正面から裏面方向に延出するように屈曲して支持板部が設けられ、この支持板部に前記配線器具の被係止爪を固定するための爪固定部が形成してあり、
前記爪固定部は、
前記配線器具を前記取付枠本体の裏側から前記内側開口部に挿通して配置するとき、前記配線器具の被係止爪との干渉を避けて当該被係止爪を案内するための案内隙間と、
前記配線器具を前記内側開口部に配置した状態で、前記案内隙間の端部に配置された前記被係止爪を、当該爪固定部にかしめて固定するカシメ部と、を備えることを特徴とした配線器具取付枠。
【請求項2】
前記カシメ部は、棒状に延びる弾力性のある脚部と、当該脚部の先端部分に形成したカシメ爪部とを有し、
前記カシメ爪部を前記内側開口部の裏側空間側に飛び出して配置してあり、
前記内側開口部に前記配線器具を配置するとき、当該配線器具に前記カシメ爪部が当接して、当該配線器具を前記係止部が形成された一方の内側縁部に向けて押圧する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の配線器具取付枠。
【請求項3】
前記爪固定部の案内隙間は、前記支持板部をくり抜いて形成してあり、
前記カシメ部は、前記支持板部の基部から前記案内隙間に沿って前記脚部が立ち上がるように形成してあることを特徴とする請求項1又は2に記載の配線器具取付枠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スイッチやコンセント等の配線器具を装着して、屋内の壁面等に施設するために用いられる配線器具取付枠に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の配線器具取付枠は、従来から広く知られており、取付対象となる配線器具には、
図1に示すように両側部に被係止金具23が装着されていることも周知である。被係止金具23には、中央部分に被係止溝24が設けられ、さらに被係止溝24の両脇からは被係止爪25が突き出して設けられている。
【0003】
従来、配線器具取付枠に配線器具を装着する方式には、主に2種類の方式が採用されている。特許文献1にこの2種類の方式についての記載があるので、これを参照して説明する。なお、以下の特許文献1の説明に用いられる符号および図番は、同文献1で付された符号および図番である。
【0004】
第1の方式は、同文献1の
図8、
図9および明細書の段落「0003」に記載されているように、スイッチ102(配線器具)の係止孔108を利用する方式であり、取付枠101の固定係止部107をスイッチ102の一方の係止孔108に挿入して係止した上で、スイッチ102の他方の係止孔(図示されず)に取付枠101のかしめ係止部109を挿入して係止することで、スイッチ102を取付枠101に取り付ける。
かしめ係止部109は、開口部104に面した雲形部110と、この雲形部110に沿って器具支持部105bに形成された切欠部111とによって形成されている。そこで、スイッチ102の図示しない方の係止孔を雲形部110に対面させた状態で、切欠部111にマイナスドライバ等を挿入して、雲形部110を係止孔に向けて変形させることで、かしめ係止部109が開口部に104に突出するように変形する。この操作により、かしめ係止部109がスイッチ102の図示しない方の係止孔に挿入される。これにより、スイッチ102が取付枠101にかしめられた状態で取り付けられる。
【0005】
第2の方式は、同文献1の明細書段落「0004」に記載されているように、配線器具の係止爪112を利用する方式であり、配線器具に設けられた係止爪112を挟持する器具支持部と可動係止部とを設けることで、ワンタッチでスイッチを取り付けることができるようにした方式である。可動係止部は、係止爪112の延出方向に弾性変形可能となっている。そこで、配線器具を器具支持部に係止した上で、その係止部分を支点として配線器具を回動して取付枠に装着すると、配線器具の係止爪112が可動係止部を弾性変形させつつその可動係止部を乗り越えて、当該可動係止部に係止される。
【0006】
さらに、特許文献1には、上記2つの方式をミックスした方式(第3の方式)の配線器具取付枠も開示されている。すなわち、同文献1の段落「0033」には次のように記載されている。「スイッチ102の一側方に設けられた係止孔108に器具支持部3の固定係止部5を挿入させて係止した状態で(
図5(a)参照)、枠体4の開口部2にスイッチ102の作用部103を挿入する。すると、その挿入動作に伴い、スイッチ102の他側部から側方に向けて延出する係止爪112が可動係止部6を弾性変形させつつ可動係止部6の係止作用部13を乗り越える。これにより、スイッチ102の係止爪112が器具支持部3bの裏面と可動係止部6との間に挟持されて係止される。この状態において、スイッチ102は、その表面が一方の器具支持部3aの裏面に当接支持されると共に他方の器具支持部3bの裏面に金属弾性片11を介して当接支持された状態でその両側部が固定係止部5と可動係止部6とに係止され、作用部103を枠体4の開口部2から挿通させた状態で取付枠1に取り付けられる(
図5(b)参照)。つまり、スイッチ102の一側部を固定係止部5に係止させた状態で枠体4の開口部2にスイッチ102の作用部103を挿入するだけという簡単な作業によって、スイッチ102を取付枠1に容易に取り付けることができる。」
なお、同文献1の上記係止孔108が、本願の
図1に示す被係止溝24に相当し、同文献1の係止爪112が、本願の
図1に示す被係止爪25に相当する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した従来の第1の方式の配線器具取付枠は、かしめ係止部109を押圧して変形させるための雲形部110や、マイナスドライバ等の工具を挿入するための切欠部111などが必要となるので、側方へ大きくはみ出る寸法構造になることは避けられない。
一方、複数枚の配線器具取付枠を並べて用いる、いわゆる連接配置とする場合は、各配線器具取付枠の中心間距離(ビス締結ライン間距離)が、配線業界の独自規格(日本配線システム工業会規格)で規格化されている(JWDS0032)。
そして、第1の方式の配線器具取付枠は、上述したとおり、かしめ係止部が側方へ大きくはみ出る寸法構造のために規格外とされており、連接配置による利用ができない欠点があった。
【0009】
また、上述した従来の第2の方式および特許文献1に開示された第3の方式の配線器具取付枠は、同文献1の
図5aに描かれているように、取付枠1に対するスイッチ102の取り付けに際し、スイッチ102の一側方に設けられた係止孔108に係止させた固定係止部5を支点として、スイッチ102を回動させながら、スイッチ102の他側部から延出する係止爪112を可動係止部6に係止させる。
このようにスイッチ102(すなわち、配線器具)の大きな回動操作が必要なため、表面(ボス面)から大きく膨出する構成要素が存在する配線器具(例えば、光ファイバコンセント)では、回動操作を行う際に当該構成要素が取付枠に干渉して装着できないおそれがあった。
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、複数枚を連接配置して施設できるとともに、配線器具を大きく回動操作することなく取り付けることができる配線器具取付枠の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、一方の側部に被係止部を有するとともに、他方の側部から突き出して被係止爪が設けられた配線器具を取付対象とし、前記配線器具を配置する内側開口部を有し、当該内側開口部を囲むように取付枠本体が形成してあり、前記取付枠本体における一方の側縁部には、前記内側開口部に接する内側縁に、前記配線器具の被係止部を固定するための係止部が形成され、前記取付枠本体における他方の側縁部には、正面から裏面方向に延出するように屈曲して支持板部が設けられ、この支持板部に前記配線器具の被係止爪を固定するための爪固定部が形成してある。
そして、前記爪固定部は、前記配線器具を前記取付枠本体の裏側から前記内側開口部に挿通して配置するとき、前記配線器具の被係止爪との干渉を避けて当該被係止爪を案内するための案内隙間と、前記配線器具を前記内側開口部に配置した状態で、前記案内隙間の端部に配置された前記被係止爪を、当該爪固定部にかしめて固定するカシメ部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記カシメ部が、棒状に延びる弾力性のある脚部と、当該脚部の先端部分に形成したカシメ爪部とを有し、前記カシメ爪部を前記内側開口部の裏側空間側に飛び出して配置してあり、前記内側開口部に前記配線器具を配置するとき、当該配線器具に前記カシメ爪部が当接して、当該配線器具を前記係止部が形成された一方の内側縁部に向けて押圧する構成とすることもできる。
【0013】
前記爪固定部の案内隙間は、前記支持板部をくり抜いて形成してあり、前記カシメ部は、前記支持板部の基部から前記案内隙間に沿って前記脚部が立ち上がるように形成することができる。
【発明の効果】
【0014】
上述した構成の本発明に係る配線器具取付枠は、取付枠本体における側縁部を正面から裏面方向に延出するように屈曲して支持板部を設け、この支持板部に爪固定部を形成したので、爪固定部に案内隙間やカシメ部を形成してあっても、支持板部の寸法形状が裏面方向に広がるだけで、取付枠本体の側方には大きくはみ出すことはない。よって、複数枚を連接配置して施設することが可能となる。
また、配線器具を取り付ける際に、案内隙間に被係止爪を入れて、案内隙間に沿って被係止爪を移動案内することで、配線器具を大きく回動操作することなく取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】取付対象となる配線器具の構成例を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る配線器具取付枠の外観を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る配線器具取付枠に配線器具を装着する工程を説明するための斜視図である。
【
図4】
図3に続く、本発明の実施形態に係る配線器具取付枠に配線器具を装着する工程を説明するための斜視図である。
【
図5】(a)~(c)は爪固定部を拡大して示す部分側面図である。
【
図6】(a)は爪固定部に配線器具の被係止爪をかしめ固定する操作を説明するための拡大部分側面図、(b)はかしめ固定された配線器具の被係止爪を爪固定部から取り外す際の操作を説明するための拡大部分側面図である。
【
図7】(a)(b)はカシメ部の構成を拡大して示す
図5(b)のA-A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
まず、
図1を参照して本実施形態に係る配線器具取付枠への取付対象となる配線器具20の構成例について説明する。
図1に示す配線器具20は、屋内の壁面などに施設されるコンセントであり、器具本体の表面(ボス面)21に一対のプラグ挿入孔22が設けてある。器具本体の両側部には、被係止金具23が装着してある。被係止金具23には、中央部に四角形状の切欠孔が設けてあり、この切欠孔が被係止溝(被係止部)24を形成する。
図1では、一方の側部に装着された被係止金具23の被係止溝24しか視認できないが、他方の側部に装着された被係止金具23にも、同様に被係止溝24が形成されている。さらに、被係止金具23において被係止溝24の両脇からは、それぞれ側方に突き出して一対(2本)の被係止爪25が設けてある。
【0017】
配線器具20は、機能に応じてボス面21の構成が変わり、例えば、スイッチであればボス面21に操作釦が設けられ、また光ファイバコンセントであれは、光ファイバの接続口とこれを保護する膨出カバー部が設けられている。ただし、いずれの機能をもつ配線器具20も、両側部には被係止金具23が装着してある。
【0018】
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る配線器具取付枠を説明する。
配線器具取付枠は、金属板をプレス加工して製作される。配線器具取付枠は、外縁が正面からみて略四角形状に形成された取付枠本体10を有し、その取付枠本体10の内側には略四角形状の内側開口部11が切り欠いて形成してある。配線器具20は、ボス面21をこの内側開口部11から正面側に突き出した状態で、この内側開口部11の内側に配置して取り付けられる。
【0019】
取付枠本体10の上縁部および下縁部には、装着孔12が設けてある。これらの装着孔12にボルトやねじ等の締結具を挿通し、屋内の壁内に埋設した埋込みボックス等に、当該締結具を使って取付枠本体10が固定される。
配線器具取付枠を連接配置する場合は、各配線器具取付枠におけるこれら装着孔12の中心間距離が、一定の寸法以内に収まっていることが必要となる。
【0020】
取付枠本体10における一方の側縁部には、内側開口部11に接する内側縁に、係止突部(係止部)13が形成してある。この係止突部13は、配線器具20の被係止溝24に挿入して当該被係止溝24を係止する機能を有している。
図に示す配線器具取付枠は、3個の配線器具20を取り付けることができる構成になっており、そのため係止突部13は、一方の内側縁部の3箇所に設けられている。後述する爪固定部15も、同様に係止突部13と対向する3箇所に設けられている。なお、これら係止突部13と爪固定部15の形成個数は、取り付け可能とする配線器具20の個数に応じて任意に設計される。
【0021】
また、取付枠本体10の他方の側縁部には、正面からほぼ垂直に屈曲して、裏面方向に延出する支持板部14が設けてある。この支持板部14には爪固定部15が形成してある。爪固定部15は、配線器具20の被係止爪25を固定する機能を有している。
爪固定部15には、支持板部14をくり抜いて形成した案内隙間16と、配線器具20の被係止爪25をかしめ固定するためのカシメ部17とが形成してある。
【0022】
案内隙間16は、1本の被係止爪25を挿入できる幅で、支持板部14の基端縁近くから器具本体の正面方向に向かって直線的に延びており、器具本体の正面近傍の端部が、配線器具20の被係止爪25をかしめ固定する位置に合わせてある。被係止爪25が当該位置にかしめ固定された配線器具20は、配線器具取付枠に適正に装着された状態となる。
なお、1つの爪固定部15には、一対の被係止爪25をそれぞれ挿入して案内するために2本の案内隙間16と、それら一対の被係止爪25をかしめ固定するために2本のカシメ部17とが形成してある。
【0023】
カシメ部17は、棒状に延びる弾力性のある脚部17aと、当該脚部17aの先端部分に形成したカシメ爪部17bとを含み、支持板部14の基部から案内隙間16に沿って脚部17aが立ち上がるように形成してある。このカシメ部17は、マイナスドライバ等の工具を用いて脚部17aを押し曲げることで、配線器具20の被係止爪25にカシメ爪部17bに圧接させて、当該被係止爪25を案内隙間16の端部(取付枠本体10の正面近傍の端部)にかしめ固定することができる。
【0024】
次に、
図3~
図5を参照して、本実施形態に係る配線器具取付枠への配線器具20の取り付け工程と作用効果について説明する。
まず、
図3に示すように、取付枠本体10の裏面側に配線器具20を配置して、配線器具20の被係止爪25を爪固定部15に形成した案内隙間16に挿入する(
図5(a)も参照)。
【0025】
続いて、
図5(b)に示すように、被係止爪25を案内隙間16に沿って移動させながら、配線器具20を取付枠本体10の内側開口部11に嵌め込む。
この過程で、配線器具20をわずかに傾けて、取付枠本体10の係止突部13を配線器具20の被係止溝24に挿入する。係止突部13の近傍まで被係止溝24を移動させた位置で配線器具を傾ければよいため、配線器具20を僅かに傾けるだけで、係止突部13を被係止溝24に挿入させることが可能である。また、この位置では、配線器具20のボス面21がすでに内側開口部11を通り抜けているので、ボス面21が取付枠本体10と干渉するおそれもない。
【0026】
なお、配線器具20のボス面21に大きく突き出した構成要素がなく、取り付けに際して配線器具20を回動させても取付枠本体10と干渉しない場合は、まず係止突部13を被係止溝24に挿入した後、配線器具20を回動させて被係止爪25を案内隙間16に挿入してもよい。
【0027】
係止突部13を被係止溝24に挿入した後、被係止爪25を案内隙間16の端部(取付枠本体10の正面近傍の端部)まで移動させる(
図5(b)参照)。被係止爪25を案内隙間16の当該端部まで移動させたとき、配線器具20は取付枠本体10の内側開口部11に適正な状態で嵌め込まれており、被係止溝24は係止突部13に係止されている。
そして、マイナスドライバ等の工具30を用いてカシメ部17の脚部17aを押し曲げて、被係止爪25にカシメ爪部17bを圧接させ、当該被係止爪25を案内隙間16の端部(器具本体の正面近傍の端部)にかしめ固定する(
図4および
図5(c)参照)。このかしめ操作をもって、配線器具20が取付枠本体10に取り付けられる。
【0028】
ここで、支持板部14の爪固定部15には、
図6に示すように、かしめ操作用壁部18が、カシメ部17の脚部17aの根元と対向する位置に、工具を差し込める間隔をあけて形成してある。このかしめ操作用壁部18は、マイナスドライバ等の工具30によりカシメ部17をかしめる際の支点となる壁である。すなわち、
図6(a)に示すように、このかしめ操作用壁部18と脚部17aの間に、マイナスドライバ等の工具30を差し込んで、かしめ操作用壁部18を支点として、
図6(a)の矢印方向に同工具30を回すことで、カシメ部17の脚部17aを押し曲げて、配線器具20の被係止爪25をかしめ固定する。
【0029】
さらに、支持板部14の爪固定部15には、
図6に示すように、かしめ解除用壁部19が、案内隙間16を隔ててカシメ部17の脚部17aと対向する位置に形成してある。かしめ解除用壁部19は、かしめ固定されている被係止爪25のかしめ固定状態を解除して、取付枠本体10から配線器具20を取り外せるようにするための壁である。すなわち、
図6(b)に示すように、このかしめ解除用壁部19と脚部17aとの間に、マイナスドライバ等の工具30を挿入し、かしめ解除用壁部19を支点として、
図6(b)の矢印方向に同工具30を回すことで、カシメ部17の脚部17aをもとの状態(かしめる前の状態)に戻して、被係止爪25のカシメ固定状態を解除することができる。
【0030】
また、本実施形態の配線器具取付枠は、支持板部14の爪固定部15に設けたカシメ部17を、配線器具20のがたつき防止手段として機能するように構成してある。すなわち、
図7(a)に示すように、カシメ部17の先端部分に形成したカシメ爪部17bを、取付枠本体10の内側開口部11の裏側にある空間側に飛び出して配置してある。
案内隙間16に沿って移動してきた配線器具20は、被係止金具23における被係止爪25が立ち上がっている基端縁部分26(
図1参照)がカシメ爪部17bに当接する(
図7(b)参照)。そして、このカシメ爪部17bが、係止突部13の形成された一方の内側縁部に向けて、
図7(b)に矢印で示すように、被係止金具23(すなわち、配線器具20)を押圧する。これにより、取付枠本体10に取り付けられた配線器具20は、係止突部13とカシメ部17との間に、がたつくことなく固定される。
【0031】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施や応用実施が可能であることは勿論である。
例えば、取付対象となる配線器具の被係止部と被係止爪は、
図1に示したような形状・構造のものである必要はなく、被係止部は突部形状でなく溝形状であってもよい。この場合は、配線器具取付枠の係止部を被係止部の溝に挿入できる突部形状とする。
さらに、
図1に示したような被係止金具23に被係止部や被係止爪を形成せずに、配線器具の本体に直接、被係止部や被係止爪を形成した構成の配線器具も取付対象とすることができる。
【0032】
また、配線器具取付枠に形成した係止部および爪固定部も、
図2に示したような形状・構造のものである必要はない。
【符号の説明】
【0033】
10:取付枠本体
11:内側開口部
12:装着孔
13:係止突部(係止部)
14:支持板部
15:爪固定部
16:案内隙間
17:カシメ部
17a:脚部
17b:カシメ爪部
18:かしめ操作用壁部
19:かしめ解除用壁部
20:配線器具
21:表面(ボス面)
22:プラグ挿入孔
23:被係止金具
24:被係止溝(被係止部)
25:被係止爪
26:基端縁部分
30:マイナスドライバ等の工具