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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002515
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】車載装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20241226BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
H02J7/00 302B
B60R16/02 645A
H02J7/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102743
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】内藤 一孝
(72)【発明者】
【氏名】中口 真之介
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA04
5G503DA17
5G503FA06
5G503GA12
(57)【要約】
【課題】接続された車載負荷に応じて効率的に対応する車載装置等を提供する。
【解決手段】車載装置は、車載負荷が接続される車載装置であって、前記車載負荷に給電する電源装置に入力端が接続される2つの上流側開閉スイッチと、グランドに出力端が接地される2つの下流側開閉スイッチと、前記上流側開閉スイッチ又は前記下流側開閉スイッチが接続される4つのスイッチ側端子と、前記車載負荷が接続される複数の負荷側端子とを含むマルチ入出力部とを備え、前記マルチ入出力部の前記スイッチ側端子それぞれには、2つの前記上流側開閉スイッチそれぞれの出力端それぞれ、及び2つの前記下流側開閉スイッチの入力端それぞれが接続され、前記マルチ入出力部は、前記負荷側端子に接続された前記車載負荷に応じて、前記スイッチ側端子それぞれと、前記車載負荷が接続された前記負荷側端子とを接続する内部結線の接続状態を設定可能に構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載負荷が接続される車載装置であって、
前記車載負荷に給電する電源装置に入力端が接続される2つの上流側開閉スイッチと、
グランドに出力端が接地される2つの下流側開閉スイッチと、
前記上流側開閉スイッチ又は前記下流側開閉スイッチが接続される4つのスイッチ側端子と、前記車載負荷が接続される複数の負荷側端子とを含むマルチ入出力部とを備え、
前記マルチ入出力部の前記スイッチ側端子それぞれには、2つの前記上流側開閉スイッチそれぞれの出力端それぞれ、及び2つの前記下流側開閉スイッチの入力端それぞれが接続され、
前記マルチ入出力部は、前記負荷側端子に接続された前記車載負荷に応じて、前記スイッチ側端子それぞれと、前記車載負荷が接続された前記負荷側端子とを接続する内部結線の接続状態を設定可能に構成されている
車載装置。
【請求項2】
前記マルチ入出力部の前記負荷側端子に接続される前記車載負荷は、正逆転モータを含む正逆転負荷であり、
前記正逆転負荷の一端が接続される前記負荷側端子は、前記内部結線により、一方の前記上流側開閉スイッチの出力端が接続される前記スイッチ側端子と、一方の前記下流側開閉スイッチの入力端が接続される前記スイッチ側端子とに接続され、
前記正逆転負荷の他端が接続される前記負荷側端子は、前記内部結線により、他方の前記上流側開閉スイッチの出力端が接続される前記スイッチ側端子と、他方の前記下流側開閉スイッチの入力端が接続される前記スイッチ側端子とに接続され、
一方の前記上流側開閉スイッチ、一方の前記下流側開閉スイッチ、他方の前記上流側開閉スイッチ、及び他方の前記下流側開閉スイッチによりフルブリッジ回路が構成されるように、前記マルチ入出力部の前記内部結線の接続状態が設定される
請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記マルチ入出力部の前記負荷側端子に接続される前記車載負荷は、一方向のみに電流が流れる正転負荷であり、
前記正転負荷は、前記正転負荷の入力端が前記電源装置に接続される電源側負荷、及び前記正転負荷の出力端が前記グランドに接地されるグランド側負荷の少なくともいずれか一つを含み、
前記正転負荷が前記電源側負荷である場合、前記電源側負荷の出力端が接続される前記負荷側端子は、前記内部結線により、前記下流側開閉スイッチの入力端が接続される前記スイッチ側端子に接続され、
前記正転負荷が前記グランド側負荷である場合、前記グランド側負荷の入力端が接続される前記負荷側端子は、前記内部結線により、前記上流側開閉スイッチの出力端が接続される前記スイッチ側端子に接続される
請求項1に記載の車載装置。
【請求項4】
前記マルチ入出力部の前記負荷側端子に接続される前記車載負荷は、一方向のみに電流が流れる正転負荷であり、
前記正転負荷は、前記正転負荷の入力端が前記電源装置に接続される電源側負荷、及び前記正転負荷の出力端が前記グランドに接地されるグランド側負荷の少なくともいずれか一つを含み、
前記正転負荷が前記電源側負荷である場合、前記電源側負荷の出力端が接続される前記負荷側端子は、前記内部結線により、2つの前記下流側開閉スイッチの入力端それぞれが接続される前記スイッチ側端子それぞれに接続され、
前記正転負荷が前記グランド側負荷である場合、前記グランド側負荷の入力端が接続さ
れる前記負荷側端子は、前記内部結線により、2つの前記上流側開閉スイッチの出力端が接続される前記スイッチ側端子それぞれに接続される
請求項1に記載の車載装置。
【請求項5】
前記車載負荷の駆動制御を行う制御部を備え、
前記制御部は、
前記車載負荷に流れる負荷電流が所定値未満である場合、2つの前記下流側開閉スイッチ、又は2つの前記上流側開閉スイッチにおいて、同じ側の2つの開閉スイッチを相補的に開閉制御することにより、フェールセーフ制御を行い、
前記車載負荷に流れる負荷電流が所定値以上である場合、2つの前記下流側開閉スイッチ、又は2つの前記上流側開閉スイッチにおいて、同じ側の2つの開閉スイッチを同時に開閉制御することにより、負荷電流を分流する
請求項4に記載の車載装置。
【請求項6】
前記車載負荷は、機電一体型負荷であり、
前記マルチ入出力部と前記機電一体型負荷とは、前記機電一体型負荷の負荷仕様に応じて接続される
請求項1に記載の車載装置。
【請求項7】
前記スイッチ側端子は、第1スイッチ側端子、第2スイッチ側端子、第3スイッチ側端子、及び第4スイッチ側端子を含み、
前記負荷側端子は、第1負荷側端子、第2負荷側端子、第3負荷側端子、及び第4負荷側端子を含み、
前記内部結線は、前記第1スイッチ側端子と前記第1負荷側端子とを結ぶ第1結線、前記第2スイッチ側端子と前記第2負荷側端子とを結ぶ第2結線、前記第3スイッチ側端子と前記第3負荷側端子とを結ぶ第3結線、及び前記第4スイッチ側端子と前記第4負荷側端子とを結ぶ第4結線を含み、
前記内部結線の接続状態の変更は、前記第1結線、前記第2結線、前記第3結線及び前記第4結線における、少なくともいずれか2つの結線を接続することにより行われる
請求項1に記載の車載装置。
【請求項8】
前記車載負荷の駆動制御を行う制御部を備え、
前記制御部は、
前記負荷側端子に接続される前記車載負荷に関する負荷情報を取得し、
取得した前記負荷情報に基づいて、前記第1結線、前記第2結線、前記第3結線及び前記第4結線における、少なくともいずれか2つの結線を接続するための処理を行うことにより、前記内部結線の接続状態を変更する
請求項7に記載の車載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、バッテリから負荷への給電を制御する給電制御装置(例えば、特許文献1を参照)が搭載されている。特許文献1に記載の給電制御装置では、バッテリから負荷に流れる電流の電流経路に下流半導体ヒューズが設けられ、下流半導体ヒューズをオン又はオフに切り替えることによって、バッテリから負荷への給電を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-143905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の給電制御装置では、接続された車載負荷に対し効率的に対応する点については考慮されていない。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、接続された車載負荷に応じて効率的に対応する車載装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る車載装置は、車載負荷が接続される車載装置であって、前記車載負荷に給電する電源装置に入力端が接続される2つの上流側開閉スイッチと、グランドに出力端が接地される2つの下流側開閉スイッチと、前記上流側開閉スイッチ又は前記下流側開閉スイッチが接続される4つのスイッチ側端子と、前記車載負荷が接続される複数の負荷側端子とを含むマルチ入出力部とを備え、前記マルチ入出力部の前記スイッチ側端子それぞれには、2つの前記上流側開閉スイッチそれぞれの出力端それぞれ、及び2つの前記下流側開閉スイッチの入力端それぞれが接続され、前記マルチ入出力部は、前記負荷側端子に接続された前記車載負荷に応じて、前記スイッチ側端子それぞれと、前記車載負荷が接続された前記負荷側端子とを接続する内部結線の接続状態を設定可能に構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、接続された車載負荷に応じて効率的に対応する車載装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る車載装置等を含む車載システムの構成を例示する模式図である。
図2】車載装置の内部構成を例示するブロック図である。
図3】車載装置と車載負荷(正逆転負荷)との接続態様を例示する模式図である。
図4】車載装置と車載負荷(正転負荷)との接続態様を例示する模式図である。
図5】車載装置と車載負荷(フェールセーフ等)との接続態様を例示する模式図である。
図6】車載装置と車載負荷(両端接続)との接続態様を例示する模式図である。
図7】マルチ入出力部の内部結線の結線状態を説明する説明図である。
図8】実施形態2に係る車載装置と車載負荷(機電一体型負荷)との接続態様を例示する模式図である。
図9】実施形態3に係る車載装置の制御部の処理を例示するフローチャートである。
図10】接続される車載負荷の負荷情報(負荷情報テーブル)を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0010】
(1)本開示の一態様に係る車載装置は、車載負荷が接続される車載装置であって、前記車載負荷に給電する電源装置に入力端が接続される2つの上流側開閉スイッチと、グランドに出力端が接地される2つの下流側開閉スイッチと、前記上流側開閉スイッチ又は前記下流側開閉スイッチが接続される4つのスイッチ側端子と、前記車載負荷が接続される複数の負荷側端子とを含むマルチ入出力部とを備え、前記マルチ入出力部の前記スイッチ側端子それぞれには、2つの前記上流側開閉スイッチそれぞれの出力端それぞれ、及び2つの前記下流側開閉スイッチの入力端それぞれが接続され、前記マルチ入出力部は、前記負荷側端子に接続された前記車載負荷に応じて、前記スイッチ側端子それぞれと、前記車載負荷が接続された前記負荷側端子とを接続する内部結線の接続状態を設定可能に構成されている。
【0011】
本態様にあたっては、車載装置は、2つの上流側開閉スイッチ、2つの下流側開閉スイッチ、及びこれら開閉スイッチが接続されるマルチ入出力部(マルチI/O)を備える。車載装置は、当該マルチ入出力部(マルチI/O)を介して、2つの上流側開閉スイッチ及び2つの下流側開閉スイッチにおけるこれら開閉スイッチの内の少なくとも、いずれか1つの開閉スイッチに接続される。このように2つの上流側開閉スイッチ、及び2つの下流側開閉スイッチそれぞれがマルチ入出力部に接続され、車載負荷に応じて内部結線を変更可能に構成されているマルチ入出力部を介して車載負荷に接続されることにより、車載負荷が接続されない未使用スイッチが発生することを抑制することができる。接続された車載負荷の分類に応じてマルチ入出力部の内部結線を設定(変更)することにより、予め想定されている複数の分類において、いずれの分類の車載負荷が接続された場合であっても、当該車載負荷に対する駆動制御を行うことが可能となり、可用性及び柔軟性の高い車載装置を提供できる。すなわち、マルチ入出力部のスイッチ側端子に接続される開閉スイッチの個数及び接続態様は共通化(固定化)することができる。マルチ入出力部の荷側端子に接続される車載負荷の分類に応じて、当該マルチ入出力部の内部結線の接続状態(結線状態)を設定(変更)することにより、当該車載負荷に対し柔軟に対応することができる。従って、車載装置は、異なる車種に対し汎用的に搭載(適用)することが可能となり、部品の共通化を促進することにより、製品コストの低減を図ることができる。
【0012】
(2)本開示の一態様に係る車載装置は、前記マルチ入出力部の前記負荷側端子に接続される前記車載負荷は、正逆転モータを含む正逆転負荷であり、前記正逆転負荷の一端が接続される前記負荷側端子は、前記内部結線により、一方の前記上流側開閉スイッチの出力端が接続される前記スイッチ側端子と、一方の前記下流側開閉スイッチの入力端が接続される前記スイッチ側端子とに接続され、前記正逆転負荷の他端が接続される前記負荷側端子は、前記内部結線により、他方の前記上流側開閉スイッチの出力端が接続される前記スイッチ側端子と、他方の前記下流側開閉スイッチの入力端が接続される前記スイッチ側端子とに接続され、一方の前記上流側開閉スイッチ、一方の前記下流側開閉スイッチ、他方の前記上流側開閉スイッチ、及び他方の前記下流側開閉スイッチによりフルブリッジ回路
が構成されるように、前記マルチ入出力部の前記内部結線の接続状態が設定される。
【0013】
本態様にあたっては、マルチ入出力部の負荷側端子に接続される車載負荷(車載装置に接続される車載負荷)は、正逆転モータを含む正逆転負荷であり、入力される電流(正逆転負荷に流れる)の向き(極性)に応じて、正転駆動、又は逆転駆動する。このような正逆転負荷が接続された場合、一方の上流側開閉スイッチと一方の下流側開閉スイッチとにより第1ハーフブリッジ回路が構成され、他方の上流側開閉スイッチと他方の下流側開閉スイッチとにより第2ハーフブリッジ回路が構成され、これら第1ハーフブリッジ回路及び第2ハーフブリッジ回路によるフルブリッジ回路が構成されるようにマルチ入出力部の内部結線の接続状態は設定される。このようにマルチ入出力部(マルチI/O)の内部結線が接続されることにより、正逆転モータを含む正逆転負荷に対し、極性が異なる電流が流れるフルブリッジ回路を構成することができ、当該正逆転負荷に対する正転及び逆転の駆動制御を行うことができる。
【0014】
(3)本開示の一態様に係る車載装置は、前記マルチ入出力部の前記負荷側端子に接続される前記車載負荷は、一方向のみに電流が流れる正転負荷であり、前記正転負荷は、前記正転負荷の入力端が前記電源装置に接続される電源側負荷、及び前記正転負荷の出力端が前記グランドに接地されるグランド側負荷の少なくともいずれか一つを含み、前記正転負荷が前記電源側負荷である場合、前記電源側負荷の出力端が接続される前記負荷側端子は、前記内部結線により、前記下流側開閉スイッチの入力端が接続される前記スイッチ側端子に接続され、前記正転負荷が前記グランド側負荷である場合、前記グランド側負荷の入力端が接続される前記負荷側端子は、前記内部結線により、前記上流側開閉スイッチの出力端が接続される前記スイッチ側端子に接続される。
【0015】
本態様にあたっては、マルチ入出力部の負荷側端子に接続される車載負荷は、一方向のみに電流が流れる正転負荷であり、当該正転負荷は、電源装置に接続される電源側負荷、及びグランドに接地されるグランド側負荷の少なくとも、いずれかの正転負荷が接続される。電源装置に接続される電源側負荷に対し、内部結線を介して直列に接続される下流側開閉スイッチは、ローサイドスイッチに相当する。グランドに接地(接続)されるグランド側負荷に対し、内部結線を介して直列に接続される上流側開閉スイッチは、ハイサイドスイッチに相当する。このように正転負荷は、当該負荷特性又は製品仕様に応じて、ローサイドスイッチに接続される車載負荷と、ハイサイドスイッチに接続される車載負荷とを含むものであるが、いずれの接続態様の車載負荷であっても、内部結線の接続状態を設定することにより、柔軟に対応することができる。
【0016】
(4)本開示の一態様に係る車載装置は、前記マルチ入出力部の前記負荷側端子に接続される前記車載負荷は、一方向のみに電流が流れる正転負荷であり、前記正転負荷は、前記正転負荷の入力端が前記電源装置に接続される電源側負荷、及び前記正転負荷の出力端が前記グランドに接地されるグランド側負荷の少なくともいずれか一つを含み、前記正転負荷が前記電源側負荷である場合、前記電源側負荷の出力端が接続される前記負荷側端子は、前記内部結線により、2つの前記下流側開閉スイッチの入力端それぞれが接続される前記スイッチ側端子それぞれに接続され、前記正転負荷が前記グランド側負荷である場合、前記グランド側負荷の入力端が接続される前記負荷側端子は、前記内部結線により、2つの前記上流側開閉スイッチの出力端が接続される前記スイッチ側端子それぞれに接続される。
【0017】
本態様にあたっては、マルチ入出力部の負荷側端子に接続される車載負荷は、一方向のみに電流が流れる正転負荷であり、当該正転負荷は、電源装置に接続される電源側負荷、及びグランドに接地されるグランド側負荷の少なくとも、いずれかの正転負荷が接続される。電源装置に接続される電源側負荷に対し、内部結線を介して、2つの下流側開閉スイ
ッチが並列接続された並列回路が、直列に接続される。グランドに接地(接続)されるグランド側負荷に対し、内部結線を介して、2つの上流側開閉スイッチが並列接続された並列回路が、緒直列に接続される。このように、いずれの正転負荷(電源側負荷又はグランド側負荷)に対し、当該正転負荷を駆動制御する際に開閉される開閉スイッチ(上流側開閉スイッチ、又は下流側開閉スイッチ)は、並列接続されることにより二重化されている。従って、マルチ入出力部の内部結線の接続状態を設定(変更)することにより、車載負荷(正転負荷)の負荷特性に応じて、当該車載負荷(正転負荷)に接続される開閉スイッチ(上流側開閉スイッチ、又は下流側開閉スイッチ)を二重化することができる。
【0018】
(5)本開示の一態様に係る車載装置は、前記車載負荷の駆動制御を行う制御部を備え、前記制御部は、前記車載負荷に流れる負荷電流が所定値未満である場合、2つの前記下流側開閉スイッチ、又は2つの前記上流側開閉スイッチにおいて、同じ側の2つの開閉スイッチを相補的に開閉制御することにより、フェールセーフ制御を行い、前記車載負荷に流れる負荷電流が所定値以上である場合、2つの前記下流側開閉スイッチ、又は2つの前記上流側開閉スイッチにおいて、同じ側の2つの開閉スイッチを同時に開閉制御することにより、負荷電流を分流する。
【0019】
本態様にあたっては、車載装置は、車載負荷の駆動制御を行う制御部(マイコン)を備え、当該制御部(マイコン)は、車載負荷の駆動制御を行うにあたり、当該車載負荷に対し直列に接続されている開閉スイッチ(上流側開閉スイッチ、又は下流側開閉スイッチ)の開閉制御(オンオフ制御)を行う。正転負荷(電源側負荷又はグランド側負荷)に対し、並列接続された2つの開閉スイッチ(上流側開閉スイッチ、又は下流側開閉スイッチ)が、直列に接続されている場合、制御部(マイコン)は、当該正転負荷の負荷特性に応じて、これら並列接続された2つの開閉スイッチそれぞれの開閉制御を行う。正転負荷の負荷特性において、当該正転負荷に流れる負荷電流が所定値未満(小電流負荷)である場合、制御部(マイコン)は、正転負荷を駆動(オン)する際、並列接続された2つの開閉スイッチのいずれか一方のみを閉(オン)にする相補的な開閉制御することによりフェールセーフ制御を行う。すなわち、正転負荷が小電流負荷である場合、制御部(マイコン)は、並列接続された2つの開閉スイッチのいずれか一方の開閉スイッチに異常が発生した場合、他方の開閉スイッチを用いることにより、フェールセーフ制御を行うものであってもよい。開閉スイッチに対する異常検知に関しては、例えば、開閉スイッチの両端電圧値及び当該開閉スイッチに出力した制御信号(オン信号、又はオフ信号)に基づき、オン固着(ハーフオン等)又はオフ固着等の異常を検出するものであってもよい。又は、制御部(マイコン)は、並列接続された2つの開閉スイッチのいずれもが正常な場合であっても、正転負荷を駆動する際の閉(オン)、当該2つの開閉スイッチを交互に閉(オン)にすることにより、これら2つの開閉スイッチにおける接点回数を平準化して、耐用年数の長期化を図るものであってもよい。正転負荷の負荷特性において、当該正転負荷に流れる負荷電流が所定値以上(大電流負荷)である場合、制御部(マイコン)は、正転負荷を駆動(オン)する際、並列接続された2つの開閉スイッチの双方を同時に閉(オン)にし、正転負荷を停止(オフ)する際、並列接続された2つの開閉スイッチの双方を同時に開(オフ)にする。これにより、正転負荷が大電流負荷であっても、当該正転負荷を駆動(オン)する際に流れる負荷電流は、同時に閉(オン)された2つの開閉スイッチに分かれて流れるものとなり、従って、比較的に大きい負荷電流を、並列接続された2つの開閉スイッチによって分流することができる。このように車載負荷(正転負荷)の負荷特性に含まれる負荷電流(定格電流)の大きさに応じて、マルチ入出力部の内部結線の接続状態を設定(変更)することにより、当該車載負荷に対し柔軟に対応することができる。
【0020】
(6)本開示の一態様に係る車載装置は、前記車載負荷は、機電一体型負荷であり、前記マルチ入出力部と前記機電一体型負荷とは、前記機電一体型負荷の負荷仕様に応じて接続される。
【0021】
本態様にあたっては、車載装置は、機電一体型負荷であり、例えばインバータと減速機(ギア)とモータがセット(一体)になったモジュール等により構成され、これらインバータ等を制御するマイコン等の制御モジュールを含むものであってもよい。すなわち、機電一体型負荷は、車載装置と同様に車載ネットワークに接続され、車載ECUとして機能するものであってもよい。車載装置に機電一体型負荷が接続された場合、車載装置の制御部(マイコン)は、当該機電一体型負荷と通信し、機電一体型負荷の負荷仕様を取得するものであってもよい。車載装置の制御部(マイコン)は、機電一体型負荷から取得した負荷仕様と、当該機電一体型負荷が接続された負荷側端子の端子番号等に基づき、当該機電一体型負荷に対する接続態様(内部結線の接続態様)を確定(設定)し、機電一体型負荷の駆動制御を行うものであってもよい。このように機電一体型負荷が車載装置に接続された場合であっても、機電一体型負荷の負荷仕様に応じて、マルチ入出力部と機電一体型負荷とを接続し、内部結線の接続態様を設定することにより、柔軟に対応することができる。
【0022】
(7)本開示の一態様に係る車載装置は、前記スイッチ側端子は、第1スイッチ側端子、第2スイッチ側端子、第3スイッチ側端子、及び第4スイッチ側端子を含み、前記負荷側端子は、第1負荷側端子、第2負荷側端子、第3負荷側端子、及び第4負荷側端子を含み、前記内部結線は、前記第1スイッチ側端子と前記第1負荷側端子とを結ぶ第1結線、前記第2スイッチ側端子と前記第2負荷側端子とを結ぶ第2結線、前記第3スイッチ側端子と前記第3負荷側端子とを結ぶ第3結線、及び前記第4スイッチ側端子と前記第4負荷側端子とを結ぶ第4結線を含み、前記内部結線の接続状態の変更は、前記第1結線、前記第2結線、前記第3結線及び前記第4結線における、少なくともいずれか2つの結線を接続することにより行われる。
【0023】
本態様にあたっては、マルチ入出力部(マルチI/O)のスイッチ側端子は、第1スイッチ側端子、第2スイッチ側端子、第3スイッチ側端子、及び第4スイッチ側端子を含み、これら4つのスイッチ側端子により構成される。マルチ入出力部(マルチI/O)の負荷側端子は、第1負荷側端子、第2負荷側端子、第3負荷側端子、及び第4負荷側端子を含み、これら4つの負荷側端子により構成される。対応するスイッチ側端子それぞれと、負荷側端子それぞれとは、内部結線それぞれにより、接続(結線)されている。当該内部結線は、第1スイッチ側端子と第1負荷側端子とを結ぶ第1結線、第2スイッチ側端子と第2負荷側端子とを結ぶ第2結線、第3スイッチ側端子と第3負荷側端子とを結ぶ第3結線、及び第4スイッチ側端子と第4負荷側端子とを結ぶ第4結線を含む。内部結線の変更は、第1結線、第2結線、第3結線及び第4結線における、少なくともいずれか2つの結線を、例えば、ジャンパー線又はジャンパーピン等の結線間接続導体を用いて接続することにより行われる。このように結線間接続導体を用いることにより、内部結線の接続状態を比較的に容易に設定(変更)することができる。又は、結線間接続導体それぞれは、スイッチ側端子それぞれと、負荷側端子それぞれとを全網羅的に接続するように予め配置されており、個々の結線間接続導体には、半導体リレー又は機械式リレー等のリレー(結線間接続リレー)が配置されているものであってもよい。この際、制御部(マイコン)は、当該結線間接続リレーを開又は閉とすることにより、内部結線同士を接続又は遮断して、内部結線の接続状態を設定(変更)するものであってもよい。
【0024】
(8)本開示の一態様に係る車載装置は、前記車載負荷の駆動制御を行う制御部を備え、前記制御部は、前記負荷側端子に接続される前記車載負荷に関する負荷情報を取得し、取得した前記負荷情報に基づいて、前記第1結線、前記第2結線、前記第3結線及び前記第4結線における、少なくともいずれか2つの結線を接続するための処理を行うことにより、前記内部結線の接続状態を変更する。
【0025】
本態様にあたっては、車載装置の制御部(マイコン)は、マルチ入出力部(マルチI/O)のに負荷側端子に接続される車載負荷に関する負荷情報を取得する。制御部(マイコン)は、例えば、マイコンが備える入出力I/Fに接続されたダイアグ装置等の入力デバイスから、当該車載負荷に関する負荷情報を取得するものであってもよい。又は、制御部(マイコン)は、マルチ入出力部(マルチI/O)に負荷側端子に接続された車載負荷が備えるRFタグ(radio frequency identification)と通信し、当該車載負荷に関する負荷情報を取得するものであってもよい。制御部(マイコン)は、取得した負荷情報に基づいて、第1結線、第2結線、第3結線及び第4結線における、少なくともいずれか2つの結線を接続するための処理を行うことにより、内部結線の接続状態を変更するため、マルチ入出力部(マルチI/O)に接続された車載負荷に対し、柔軟に対応することができる。
【0026】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。本開示の実施形態に係る車載装置1を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0027】
(実施形態1)
以下、実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る車載装置1等を含む車載システムSの構成を例示する模式図である。図2は、車載装置1の内部構成を例示するブロック図である。車載システムSは、車両Cに搭載される車載装置1、当該車載装置1に電力線51を介して接続される車載負荷4により構成される。車載装置1は、車載ネットワーク3を介して複数の車載ECU2と通信可能に接続され、これら車載ECU2から送信されるメッセージ又は各種センサー等からの出力信号に応じて、当該車載装置1に接続される車載負荷4の駆動(給電開始)又は停止(給電遮断)を行う。
【0028】
車両Cには、鉛バッテリ、オルタネータ又は二次電池等にて構成される電源装置5が搭載されている。電源装置5と車載装置1とは、電力線51にて接続されている。電源装置5と車載装置1とは、電力線51にて直接的に接続されている場合に限定されず、電源装置5と車載装置1との間にリレーボックス又はヒューズボックス等の電気箱(ジャンクションボックス)が介在し、間接的に接続されているものであってもよい。
【0029】
車載装置1と、複数の車載負荷4とは、電力線51にて接続されており、車載装置1は、これら複数の車載負荷4に対し、電力を分配する。すなわち、車載装置1は、電力線51を介して電源装置5から供給された電力を、電流の流れ方向にて下流側に配置される複数の車載負荷4に対し分配する電源分配装置として機能する。
【0030】
車載負荷4は、例えば、カーエアコン、ランプ、又は駆動モータ等のアクチュエータである。車載負荷4は、負荷種類に応じて接続態様が異なり、当該接続態様は、例えば、ハイサイドスイッチ接続態様(負荷種類:正転負荷42/グランド側負荷)、ローサイドスイッチ接続態様(負荷種類:正転負荷42/電源側負荷)、又はフルブリッジ92接続態様(負荷種類:正逆転負荷41)を含む。正転負荷42は、一方向のみに電流が流れる車載負荷4である。正逆転負荷41は、正逆転モータを含み、入力される電流(正逆転負荷41に流れる)の向き(極性)に応じて、正転駆動、又は逆転駆動する車載負荷4である。詳細は後述するが、車載負荷4は、1つ以上(図示では2つ)のマルチ入出力部6(マルチI/O)を備え、当該マルチ入出力部6それぞれには、4つの開閉スイッチ(第1上流側開閉スイッチ71、第2上流側開閉スイッチ72、第1下流側開閉スイッチ81及び第2下流側開閉スイッチ82)が接続される。
【0031】
マルチ入出力部6(マルチI/O)に接続される車載負荷4の分類(製品仕様又は型式等)に応じて、マルチ入出力部6の内部結線62(第1結線621、第2結線622、第3結線623、及び第4結線624)の接続態様(接続状態)を設定(変更)することにより、車載負荷4の負荷種類にかかわらず、汎用的に接続(対応)することができ、車載装置1を負荷種別選別マルチIO装置として機能させることができる。車載装置1は、接続された車載負荷4の負荷情報(接続態様)を取得し、取得した負荷情報に基づき、当該車載負荷4の接続態様を確定し、設定(変更)するものであってもよい。車載装置1は、確定した接続態様に応じて、車載負荷4の駆動制御を行うことにより、車載負荷4等の起動又は停止を制御する電源制御装置として機能する。
【0032】
車載装置1は、車載負荷4の駆動又は停止を制御する電源制御装置として機能し、例えばCANゲートウェイ等の中継機能を有する装置であってもよい。又は、車載装置1は、車両Cの全体を統合的に制御し、中継機能を有する統合ECU(ヴィークルコンピュータ)であってもよい。又は、車載装置1は、統合ECUの配下に接続され、車両Cの各エリアに配置される個別ECUであってもよい。又は、車載装置1は、車両Cのボディ系アクチュエータを制御するボディECU等として構成されるものであってもよい。又は、車載装置1は、通信に関する中継に加え、二次電池等の電源装置5から出力された電力を分配及び中継し、アクチュエータ等の車載器に電力を供給する電力分配装置としても機能するPLB(Power Lan Box)であってもよい。
【0033】
車載装置1は、制御部11、記憶部12、通信部13、及び入出力I/F14を含み、これらは例えば、マイコン10等によりパッケージ化されて構成されるものであってもよい。更に、車載装置1は、1つ以上(図示では2つ)のマルチ入出力部6(マルチI/O)を備える。マルチ入出力部6(マルチI/O)には、2つの上流側開閉スイッチ(第1上流側開閉スイッチ71、第2上流側開閉スイッチ72)と、2つの下流側開閉スイッチ(第1下流側開閉スイッチ81、第2下流側開閉スイッチ82)とが、当該マルチ入出力部6(マルチI/O)のスイッチ側端子(第1スイッチ側端子601、第2スイッチ側端子602、第3スイッチ側端子603、第4スイッチ側端子604)それぞれに接続される。これら第1上流側開閉スイッチ71、第2上流側開閉スイッチ72、第1下流側開閉スイッチ81、及び第2下流側開閉スイッチ82は、信号線140にて入出力I/F14(マイコン10)に接続されている。
【0034】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等により構成してあり、記憶部12に予め記憶された制御プログラムP(プログラム製品)及びデータを読み出して実行することにより、種々の制御処理及び演算処理等を行うようにしてある。制御部11は、入出力I/F14及び信号線140を介して、デューティ等の制御信号を出力することにより、マルチ入出力部6(マルチI/O)に接続される第1上流側開閉スイッチ71、第2上流側開閉スイッチ72、第1下流側開閉スイッチ81、及び第2下流側開閉スイッチ82の開閉制御を行う。
【0035】
記憶部12は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性のメモリ素子又は、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)若しくはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子、又は、これら記憶デバイスの組み合わせにより構成してあり、制御プログラムP(プログラム製品)及び処理時に参照するデータが予め記憶してある。記憶部12に記憶された制御プログラムP(プログラム製品)は、車載装置1が読み取り可能な記録媒体Mから読み出された制御プログラムP(プログラム製品)を記憶したものであってもよい。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部コンピュータから制御プログラムP(プログラム製品)をダウンロードし、記憶部12に記憶させたものであってもよい。
【0036】
通信部13は、例えばCAN、CAN-FD又はイーサネット(Ethernet/登録商標)等の通信プロトコルを用いた入出力インターフェイスであり、制御部11は、通信部13を介して車載ネットワーク3に接続されている車載ECU2と相互に通信する。車載装置1において、通信部13は、複数個、設けられているものであってもよい。
【0037】
入出力I/F14は、例えばシリアル通信するための通信インターフェイスである。入出力I/F14は、複数の端子(信号端子)を含み、端子それぞれには、第1上流側開閉スイッチ71、第2上流側開閉スイッチ72、第1下流側開閉スイッチ81、及び第2下流側開閉スイッチ82それぞれのゲート端子それぞれに延設される信号線140それぞれが、接続されている。信号線140は、例えば、シリアルケーブル、ワイヤーハーネス又は、一つの信号のみを送信する導電ケーブル(じか線)等により構成される。
【0038】
マルチ入出力部6(マルチI/O)それぞれには、2つの上流側開閉スイッチ(第1上流側開閉スイッチ71、第2上流側開閉スイッチ72)と、2つの下流側開閉スイッチ(第1下流側開閉スイッチ81、第2下流側開閉スイッチ82)とが、接続されている。これら第1上流側開閉スイッチ71、第2上流側開閉スイッチ72、第1下流側開閉スイッチ81、及び第2下流側開閉スイッチ82は、例えば、NchFET(Field effect transistor)等の半導体スイッチにて構成される。又は、これら開閉スイッチは、NchFETを含むIPD(Intelligent Power Device)にて構成されるものであってもよい。又は、これら開閉スイッチは、PchFETにて構成されるものであってもよい。
【0039】
2つの上流側開閉スイッチ(第1上流側開閉スイッチ71、第2上流側開閉スイッチ72)の入力端は、電力線51を介して電源装置5に接続されている。これら2つの上流側開閉スイッチ(第1上流側開閉スイッチ71、第2上流側開閉スイッチ72)は、ハイサイドスイッチとして機能する。2つの上流側開閉スイッチ(第1上流側開閉スイッチ71、第2上流側開閉スイッチ72)の出力端は、内部バス又はランド等の導電体により、マルチ入出力部6(マルチI/O)のスイッチ側端子(第1上流側開閉スイッチ71が第1スイッチ側端子601、第2上流側開閉スイッチ72が第2スイッチ側端子602)に接続されている。2つの上流側開閉スイッチ(第1上流側開閉スイッチ71、第2上流側開閉スイッチ72)の制御端は、信号線140を介して入出力I/F14(マイコン10)に接続されている。
【0040】
2つの下流側開閉スイッチ(第1下流側開閉スイッチ81、第2下流側開閉スイッチ82)の入力端は、内部バス又はランド等の導電体により、マルチ入出力部6(マルチI/O)のスイッチ側端子(第1下流側開閉スイッチ81が第3スイッチ側端子603、第2下流側開閉スイッチ82が第4スイッチ側端子604)に接続されている。これら2つの下流側開閉スイッチ(第1下流側開閉スイッチ81、第2下流側開閉スイッチ82)は、ローサイドスイッチとして機能する。2つの下流側開閉スイッチ(第1下流側開閉スイッチ81、第2下流側開閉スイッチ82)の出力端は、電力線51を介して、例えば車両Cのボディ等にて構成される共通グランド(GND)に接続(接地)される。2つの下流側開閉スイッチ(第1下流側開閉スイッチ81、第2下流側開閉スイッチ82)の制御端は、信号線140を介して入出力I/F14(マイコン10)に接続されている。
【0041】
マルチ入出力部6(マルチI/O)は、4つのスイッチ側端子(第1スイッチ側端子601、第2スイッチ側端子602、第3スイッチ側端子603、及び第4スイッチ側端子604)と、4つの負荷側端子(第1負荷側端子611、第2負荷側端子612、第3負荷側端子613、及び第4負荷側端子614)とを備える。マルチ入出力部6(マルチI/O)は、更に、これら4つのスイッチ側端子それぞれと、4つの負荷側端子それぞれとを接続する4つの内部結線62(第1結線621、第2結線622、第3結線623、及び第4結線624)を備える。
【0042】
第1スイッチ側端子601と第1負荷側端子611とは、第1結線621により接続される。第2スイッチ側端子602と第2負荷側端子612とは、第2結線622により接続される。第3スイッチ側端子603と第3負荷側端子613とは、第3結線623により接続される。第4スイッチ側端子604と第4負荷側端子614とは、第4結線624により接続される。
【0043】
スイッチ側端子それぞれには、いずれかの開閉スイッチが接続される。いずれかの負荷側端子には、車載負荷4が接続される。従って、マルチ入出力部6(マルチI/O)は、第1上流側開閉スイッチ71、第2上流側開閉スイッチ72、第1下流側開閉スイッチ81、及び第2下流側開閉スイッチ82と、車載装置1に接続される車載負荷4との間に介在して配置されるものとなる。
【0044】
4つの内部結線62(第1結線621、第2結線622、第3結線623、及び第4結線624)における、いずれか2つの内部結線62は、車載装置1に接続される車載負荷4の分類(製品仕様又は型式等)に応じて、結線間接続導体63によって接続される。当該結線間接続導体63によって接続されることにより、内部結線62の接続態様(接続状態、結線状態)が設定(変更)される。結線間接続導体63は、例えば、ジャンパー線又はジャンパーピンにより構成され、接続される車載負荷4の分類(製品仕様又は型式等)、及び当該車載負荷4が接続される負荷側端子の端子番号に応じて、対応する2つの内部結線62を接続する(架け渡す)ように配置される。又は、結線間接続導体63は、全ての内部結線62(第1結線621、第2結線622、第3結線623及び第4結線624)同士を接続するように全網羅的に配置されており、これら結線間接続導体63それぞれに配置されたリレー(結線間接続リレー)それぞれを閉(オン)とすることにより、対応する2つの内部結線62を通電可能に接続するものであってもよい。
【0045】
本実施形態における例示として、上方のマルチ入出力部6(マルチI/O)には、2つの正転負荷42が接続されている。図示にて、上方の正転負荷42(電源側負荷)の一端は電源装置5に接続され、他端は第3負荷側端子613に接続され、当該第3負荷側端子613を介して、ローサイドスイッチとして機能する2つの下流側開閉スイッチ(第1下流側開閉スイッチ81、第2下流側開閉スイッチ82)に接続される。この場合、第1下流側開閉スイッチ81及び第2下流側開閉スイッチ82が接続される第3結線623と第4結線624とが、結線間接続導体63により接続される。図示にて、下方の正転負荷42(グランド側負荷)の一端は第2負荷側端子612に接続され、他端はグランドに接地(接続)されている。当該下方の正転負荷42(グランド側負荷)は、第2負荷側端子612を介して、ハイサイドスイッチとして機能する2つの上流側開閉スイッチ(第1上流側開閉スイッチ71、第2上流側開閉スイッチ72)に接続される。第1上流側開閉スイッチ71、第2上流側開閉スイッチ72が接続される第1結線621と第2結線622とが、結線間接続導体63により接続される。
【0046】
本実施形態における例示として、下方のマルチ入出力部6(マルチI/O)には、1つの正逆転負荷41が接続されている。正逆転負荷41の一端は第1負荷側端子611に接続され、正逆転負荷41の他端は第4負荷側端子614に接続されている。この場合、第1上流側開閉スイッチ71及び第1下流側開閉スイッチ81が接続される第1結線621と第3結線623とが、結線間接続導体63により接続される。第2上流側開閉スイッチ72及び第2下流側開閉スイッチ82が接続される第2結線622と第4結線624とが、結線間接続導体63により接続される。このように結線間接続導体63が配置されることにより、1上流側開閉スイッチ、第2上流側開閉スイッチ72、第1下流側開閉スイッチ81、及び第2下流側開閉スイッチ82によりフルブリッジ92回路が構成され、正逆転モータを含む正逆転負荷41に対し、極性が異なる電流を流すことができる。
【0047】
図3は、車載装置1と車載負荷4(正逆転負荷41)との接続態様を例示する模式図である。スイッチ側端子(第1スイッチ側端子601、第2スイッチ側端子602、第3スイッチ側端子603、第4スイッチ側端子604)それぞれと、開閉スイッチそれぞれ(第1上流側開閉スイッチ71、第2上流側開閉スイッチ72、第1下流側開閉スイッチ81、第2下流側開閉スイッチ82)との接続は、上述のとおりである。本実施形態における図示において、車載装置1に接続される車載負荷4は、正逆転負荷41である。正逆転負荷41の一端は、第1負荷側端子611に接続される。正逆転負荷41の他端は、第4負荷側端子614に接続される。第1結線621と第3結線623とが、結線間接続導体63により接続される。第2結線622と第4結線624とが、結線間接続導体63により接続される。これにより、第1上流側開閉スイッチ71、第2上流側開閉スイッチ72、第1下流側開閉スイッチ81、及び第2下流側開閉スイッチ82によるフルブリッジ92回路が構成される。
【0048】
制御部11(マイコン10)は、第1上流側開閉スイッチ71を閉(オン)、第2上流側開閉スイッチ72を開(オフ)、第1下流側開閉スイッチ81を開(オフ)、第2下流側開閉スイッチ82を閉(オン)にすることにより、正逆転負荷41に対し、正転時の電流を流し、正転駆動する。制御部11(マイコン10)は、第1上流側開閉スイッチ71を開(オフ)、第2上流側開閉スイッチ72を閉(オン)、第1下流側開閉スイッチ81を閉(オン)、第2下流側開閉スイッチ82を開(オフ)にすることにより、正逆転負荷41に対し、逆転時の電流を流し、逆転駆動する。このようにマルチ入出力部6(マルチI/O)における対応する2つの内部結線62を結線間接続導体63にて接続することにより、正逆転負荷41を駆動制御することができる。
【0049】
図4は、車載装置1と車載負荷4(正転負荷42)との接続態様を例示する模式図である。本実施形態における図示において、車載装置1に接続される車載負荷4は、正転負荷42である。車載装置1には、4つの正転負荷42が接続されており、すなわち、荷側端子の個数と同数の正転負荷42を接続することができる。4つの正転負荷42は、2つの電源側負荷と、2つのグランド側負荷とを含む。
【0050】
電源側負荷の一端は、電源装置5に接続される。左方の電源側負荷の他端は、第3負荷側端子613に接続される。右方の電源側負荷の他端は、第4負荷側端子614に接続される。
【0051】
左方のグランド側負荷の一端は、第2負荷側端子612に接続される。右方のグランド側負荷の一端は、第1負荷側端子611に接続される。グランド側負荷の他端は、グランドに接地される。
【0052】
このように4つの正転負荷42(2つの電源側負荷、2つのグランド側負荷)がマルチ入出力部6(マルチI/O)に接続される場合、いずれか2つの内部結線62同士を接続する結線間接続導体63は、配置されない。すなわち、個々の内部結線62(第1結線621、第2結線622、第3結線623、第4結線624)それぞれは、他の内部結線62と接続されないものとなる。
【0053】
制御部11(マイコン10)は、マルチ入出力部6(マルチI/O)に接続されている4つの正転負荷42を駆動制御するにあたり、当該正転負荷42が接続されている開閉スイッチを開閉制御する。制御部11(マイコン10)は、第1上流側開閉スイッチ71を開閉制御することにより、右方のグランド側負荷(正転負荷42)を駆動制御する。制御部11(マイコン10)は、第2上流側開閉スイッチ72を開閉制御することにより、左方のグランド側負荷(正転負荷42)を駆動制御する。制御部11(マイコン10)は、
第1下流側開閉スイッチ81を開閉制御することにより、左方の電源側負荷(正転負荷42)を駆動制御する。制御部11(マイコン10)は、第2下流側開閉スイッチ82を開閉制御することにより、右方の電源側負荷(正転負荷42)を駆動制御する。このようにマルチ入出力部6(マルチI/O)における内部結線62同士を接続しないことにより、4つの正転負荷42(2つの電源側負荷、2つのグランド側負荷)を駆動制御することができる。
【0054】
図5は、車載装置1と車載負荷4(フェールセーフ等)との接続態様を例示する模式図である。本実施形態における図示において、車載装置1に接続される車載負荷4は、正転負荷42である。車載装置1には、2つの正転負荷42が接続されており、当該2つの正転負荷42は、1つの電源側負荷と、1つのグランド側負荷とを含む。
【0055】
電源側負荷の一端は、電源装置5に接続される。電源側負荷の他端は、第3負荷側端子613に接続される。第3結線623と第4結線624とが、結線間接続導体63により接続される。従って、電源側負荷の他端は、第1下流側開閉スイッチ81及び第2下流側開閉スイッチ82の入力端に接続され、第1下流側開閉スイッチ81及び第2下流側開閉スイッチ82により並列回路が形成(二重化)される。
【0056】
グランド側負荷の一端は、第2負荷側端子612に接続される。グランド側負荷の他端は、グランドに接地される。第1結線621と第2結線622とが、結線間接続導体63により接続される。従って、グランド側負荷の一端は、第1上流側開閉スイッチ71及び第2上流側開閉スイッチ72の入力端に接続され、第1上流側開閉スイッチ71及び第2上流側開閉スイッチ72により並列回路が形成(二重化)される。
【0057】
電源側負荷又はグランド側負荷である正転負荷42は、当該正転負荷42に流れる負荷電流が所定値未満である小電流負荷と、負荷電流が所定値以上である大電流負荷とを含む。正転負荷42(電源側負荷又はグランド側負荷)が小電流負荷である場合、制御部11(マイコン10)は、当該小電流負荷を駆動制御する際、小電流負荷に接続される2つの開閉スイッチのいずれかの開閉スイッチのみを開(オン)にし、他方は開(オフ)することにより、これら並列接続される2つの開閉スイッチを相補的に制御する。更に、制御部11(マイコン10)は、例えば開閉スイッチの両端電圧値等に基づき、当該開閉スイッチの故障判定を行い、いずれかの開閉スイッチの故障時に、並列回路を構成する他方の開閉スイッチを用いたフェールセーフ制御を行うものであってもよい。
【0058】
正転負荷42(電源側負荷又はグランド側負荷)が大電流負荷である場合、制御部11(マイコン10)は、当該大電流負荷を駆動制御する際、大電流負荷に接続される2つの開閉スイッチの双方の開閉スイッチを同時に開(オフ)又は閉(オン)にする。これにより、正転負荷42が大電流負荷であり、負荷電流が比較的に大きい(所定値以上)場合であっても、並列回路を構成する2つの開閉スイッチそれぞれに流れる電流を分流し、当該負荷電流値の半分の電流値とすることができる。
【0059】
電源側負荷が小電流負荷である場合、制御部11(マイコン10)は、並列回路を構成する第1下流側開閉スイッチ81と第2下流側開閉スイッチ82とを用いて相補的制御を行うことにより、フェールセーフ構成にて電源側負荷を駆動制御する。電源側負荷が大電流負荷である場合、制御部11(マイコン10)は、制御部11(マイコン10)は、並列回路を構成する第1下流側開閉スイッチ81と第2下流側開閉スイッチ82とを同時に開閉制御することにより、第1下流側開閉スイッチ81と第2下流側開閉スイッチ82とに流れる負荷電流を分流する。
【0060】
グランド側負荷が小電流負荷である場合、制御部11(マイコン10)は、並列回路を
構成する第1上流側開閉スイッチ71と第2上流側開閉スイッチ72とを用いて相補的制御を行うことにより、フェールセーフ構成にてグランド側負荷を駆動制御する。グランド側負荷が大電流負荷である場合、制御部11(マイコン10)は、並列回路を構成する第1上流側開閉スイッチ71と第2上流側開閉スイッチ72とを同時に開閉制御することにより、第1上流側開閉スイッチ71と第2上流側開閉スイッチ72とに流れる負荷電流を分流する。
【0061】
図6は、車載装置1と車載負荷4(両端接続)との接続態様を例示する模式図である。本実施形態における図示において、車載装置1に接続される車載負荷4は、正転負荷42であり、一端及び他端が共にマルチ入出力部6(マルチI/O)に接続される両端接続負荷である。両端接続負荷の一端は、第1負荷側端子611に接続される。両端接続負荷の他端は、第4負荷側端子614に接続される。第1結線621と第2結線622とが、結線間接続導体63により接続される。第3結線623と第4結線624とが、結線間接続導体63により接続される。
【0062】
両端接続負荷の一端は、第1上流側開閉スイッチ71及び第2上流側開閉スイッチ72の入力端に接続され、第1上流側開閉スイッチ71及び第2上流側開閉スイッチ72により並列回路が形成(二重化)される。両端接続負荷が小電流負荷である場合、制御部11(マイコン10)は、並列回路を構成する第1上流側開閉スイッチ71と第2上流側開閉スイッチ72とを相補的に用いて、フェールセーフ制御を行う。両端接続負荷が大電流負荷である場合、制御部11(マイコン10)は、並列回路を構成する第1上流側開閉スイッチ71及び第2上流側開閉スイッチ72を同時に開閉制御し、負荷電流を分流する。
【0063】
両端接続負荷の他端は、第1下流側開閉スイッチ81及び第2下流側開閉スイッチ82の入力端に接続され、第1下流側開閉スイッチ81及び第2下流側開閉スイッチ82により並列回路が形成(二重化)される。両端接続負荷が小電流負荷である場合、制御部11(マイコン10)は、並列回路を構成する第1下流側開閉スイッチ81と第2下流側開閉スイッチ82とを相補的に用いて、フェールセーフ制御を行う。両端接続負荷が大電流負荷である場合、制御部11(マイコン10)は、並列回路を構成する第1下流側開閉スイッチ81及び第2下流側開閉スイッチ82を同時に開閉制御し、負荷電流を分流する。
【0064】
図7は、マルチ入出力部6の内部結線62の結線状態を説明する説明図である。マルチ入出力部6(マルチI/O)は、4つの内部結線62を有し、当該内部結線62は、第1結線621、第2結線622、第3結線623、及び第4結線624を含む。第1結線621は、第1スイッチ側端子601と第1負荷側端子611と接続する。第2結線622は、第2スイッチ側端子602と第2負荷側端子612と接続する。第3結線623は、第3スイッチ側端子603と第3負荷側端子613と接続する。第4結線624は、第4スイッチ側端子604と第4負荷側端子614と接続する。これら内部結線62において、接続される車載負荷4の分類に応じて、いずれか2つの内部結線62が、結線間接続導体63により接続される。
【0065】
接続される車載負荷4が正逆転負荷41である場合、第1結線621と第3結線623とが結線間接続導体63により接続され、更に第2結線622と第4結線624とが結線間接続導体63により接続される。これにより、ブルブリッジ回路接続となる接続態様(パターンA)が、構成される。
【0066】
接続される車載負荷4が後述する機電一体型負荷43による正逆転負荷41である場合、第1結線621と第4結線624とが結線間接続導体63により接続され、更に第2結線622と第3結線623とが結線間接続導体63により接続される。これにより、ハーフブリッジ91回路接続となる接続態様(パターンB)が、構成される。
【0067】
接続される車載負荷4が正逆転負荷41であり、当該正逆転負荷41の負荷電流に応じてフェールセーフ型接続、又は大電流通電型接続を行う場合、第1結線621と第2結線622とが結線間接続導体63により接続され、更に第3結線623と第4結線624とが結線間接続導体63により接続される。これにより、フェールセーフ型接続又は大電流通電型接続となる接続態様(パターンC)が、構成される。
【0068】
接続される車載負荷4が正逆転負荷41であり、例えば、4つの負荷側端子の全てに正逆転負荷41を接続する場合、いずれの内部結線62同士の接続はなく、結線間接続導体63が配置されないものであってもよい。これにより、内部結線62同士の接続無し(1:1接続)となる接続態様(パターンD)が、構成される。マルチ入出力部6(マルチI/O)は、車載装置1に接続される車載負荷4の分類に応じて確定される接続態様(接続パターン)によって、いずれかの接続パターン(パターンAからDのいずれか)に切り替えられるように構成されている。
【0069】
(実施形態2)
図8は、実施形態2に係る車載装置1と車載負荷4(機電一体型負荷43)との接続態様を例示する模式図である。本実施形態における図示において、車載装置1に接続される車載負荷4は、機電一体型負荷43である。当該機電一体型負荷43は、正逆転負荷41と同様に正逆転モータを含み、インバータと減速機(ギア)とモータがセット(一体)になったモジュール等により構成される。機電一体型負荷43は、更に、インバータ等を制御するマイコン10等の制御モジュールを含み、車載ネットワーク3に接続され、車載ECU2として機能するものであってもよい。
【0070】
本実施形態における図示において、上方の機電一体型負荷43の一端は、第1負荷側端子611に接続される。第1結線621と第4結線624とが、結線間接続導体63により接続される。これにより、第1上流側開閉スイッチ71と第2下流側開閉スイッチ82とによりハーフブリッジ91が構成される。制御部11(マイコン10)は、ハーフブリッジ91を構成する第1上流側開閉スイッチ71と第2下流側開閉スイッチ82とを開閉制御することにより、上方の機電一体型負荷43の駆動制御を行う。
【0071】
本実施形態における図示において、下方の機電一体型負荷43の一端は、第3負荷側端子613に接続される。第2結線622と第3結線623とが、結線間接続導体63により接続される。これにより、第2上流側開閉スイッチ72と第1下流側開閉スイッチ81とによりハーフブリッジ91が構成される。制御部11(マイコン10)は、ハーフブリッジ91を構成する第2上流側開閉スイッチ72と第1下流側開閉スイッチ81とを開閉制御することにより、下方の機電一体型負荷43の駆動制御を行う。本実施形態において、機電一体型負荷43は、正逆転負荷41と同様に正逆転モータを含むとしたが、これに限定されない。機電一体型負荷43は、正転負荷42と同様に一方向のみに電流が流れるものであってもよく、実施形態1における正転負荷42と同様の接続態様であってもよい。
【0072】
(実施形態3)
図9は、実施形態3に係る車載装置1の制御部11の処理を例示するフローチャートである。車載装置1の制御部11は、当該車載装置1のマルチ入出力部6(マルチI/O)に車載負荷4が接続された際、例えば入出力I/F14等から入力された操作信号に応じて、以下の処理を行う。
【0073】
車載装置1の制御部11は、接続された車載負荷4に関する負荷情報を取得する(S101)。車載装置1の制御部11は、例えば、車両Cの生産段階(生産工程)において、
接続される車載負荷4の製品仕様等の情報が車載装置1の記憶部12に書き込まれ、制御部11は、当該記憶部12を参照することにより、車載装置1に接続される車載負荷4の負荷情報を取得する。又は、車載負荷4が、車両Cの生産出荷後に増設される場合、制御部11は、当該負荷情報を取得するにあたり、例えば、車載装置1に通信可能に接続されたダイアグ装置等から、車載装置1に接続される車載負荷4の製品仕様等の情報を、負荷情報として取得するものであってもよい。又は、車載装置1の制御部11は、マルチ入出力部6(マルチI/O)に負荷側端子に接続された車載負荷4が備えるRFタグ(radio frequency identification)と通信し、当該RFタグに記憶されている負荷情報を参照することにより、取得するものであってもよい。又は、マルチ入出力部6(マルチI/O)に負荷側端子に接続された車載負荷4が機電一体型負荷43である場合、車載装置1の制御部11は、当該機電一体型負荷43と車載ネットワーク3を介して通信することにより、機電一体型負荷43の負荷情報を取得するものであってもよい。
【0074】
車載装置1の制御部11は、マルチ入出力部6(マルチI/O)に接続された車載負荷4に関する負荷情報を取得する際、併せて当該車載負荷4が接続された負荷側端子の端子番号を取得するものであってもよい。車載装置1の制御部11は、車載負荷4が接続された負荷側端子の端子番号を取得するにあたり、当該端子番号はダイアグ装置又はキーボード等の入力デバイスが入力されるものであってもよく、又は車載装置1の制御部11は、マルチ入出力部6(マルチI/O)の負荷側端子(第1負荷側端子611、第2負荷側端子612、第3負荷側端子613、第4負荷側端子614)それぞれの電位を検出することにより、接続された負荷側端子を検出(端子番号を特定)するものであってもよい。
【0075】
車載装置1の制御部11は、取得した負荷情報に応じて、内部結線62の接続態様を確定する(S102)。車載装置1の制御部11は、取得した負荷情報等(接続された負荷側端子の端子番号を含む)に基づき、例えば記憶部12に記憶されている負荷情報テーブルを参照することにより、内部結線62の接続態様を確定(取得)するものであってもよい。
【0076】
図10は、接続される車載負荷4の負荷情報(負荷情報テーブル)を例示する説明図である。接続される車載負荷4の負荷情報に基づき、確定される内部結線62の接続態様に関する情報は、例えばテーブル形式(負荷情報テーブル)にて車載装置1の記憶部12に記憶されている。負荷情報テーブルは、管理項目(フィールド)として、例えば、負荷種類、車載負荷4が接続される負荷側端子、結線間接続導体63(接続される内部結線62)、及び制御対象の開閉スイッチを含む。
【0077】
負荷種類の管理項目には、マルチ入出力部6(マルチI/O)に接続される車載負荷4の分類が格納される。車載負荷4が接続される負荷側端子の管理項目には、マルチ入出力部6(マルチI/O)が備える負荷側端子それぞれを一意に示す端子番号等が格納される。結線間接続導体63(接続される内部結線62)の管理項目には、同一のレコードに格納される車載負荷4の分類に応じて、接続される内部結線62の組み合わせが、格納される。当該内部結線62の組み合わせは、2つの内部結線62を接続するための結線間接続導体63の配置場所を示す。制御対象の開閉スイッチの管理項目には、同一のレコードに格納される車載負荷4の分類、及び当該車載負荷4が接続される負荷側端子に応じて、当該分類の車載負荷4を駆動制御する際に用いられる開閉スイッチを一意に示すスイッチ番号等が格納される。
【0078】
負荷種類が、正逆転負荷41であり、車載負荷4が接続される負荷側端子が、第1負荷側端子611及び第4負荷側端子614である場合、結線間接続導体63(接続される内部結線62)は、第1結線621と第3結線623とを接続する結線間接続導体63、及び第2結線622と第4結線624とを接続する結線間接続導体63となる。制御対象の
開閉スイッチは、第1上流側開閉スイッチ71、第2上流側開閉スイッチ72、第1下流側開閉スイッチ81、及び第2下流側開閉スイッチ82であり、これらによりフルブリッジ92が構成される。
【0079】
負荷種類が、電源側負荷(正転負荷42)であり、車載負荷4が接続される負荷側端子が、第3負荷側端子613である場合、結線間接続導体63(接続される内部結線62)は、無いもの(接続無し)となる。制御対象の開閉スイッチは、第1下流側開閉スイッチ81となる。
【0080】
負荷種類が、電源側負荷(正転負荷42)であり、車載負荷4が接続される負荷側端子が、第4負荷側端子614である場合、結線間接続導体63(接続される内部結線62)は、無いもの(接続無し)となる。制御対象の開閉スイッチは、第2下流側開閉スイッチ82となる。
【0081】
負荷種類が、グランド側負荷(正転負荷42)であり、車載負荷4が接続される負荷側端子が、第1負荷側端子611である場合、結線間接続導体63(接続される内部結線62)は、無いもの(接続無し)となる。制御対象の開閉スイッチは、第1上流側開閉スイッチ71となる。
【0082】
負荷種類が、グランド側負荷(正転負荷42)であり、車載負荷4が接続される負荷側端子が、第2負荷側端子612である場合、結線間接続導体63(接続される内部結線62)は、無いもの(接続無し)となる。制御対象の開閉スイッチは、第2上流側開閉スイッチ72となる。
【0083】
負荷種類が、電源側負荷(小電流の正転負荷42)であり、車載負荷4が接続される負荷側端子が、第3負荷側端子613である場合、結線間接続導体63(接続される内部結線62)は、第3結線623と第4結線624とを接続する結線間接続導体63となる。制御対象の開閉スイッチは、第1下流側開閉スイッチ81又は第2下流側開閉スイッチ82のいずれかとなる。
【0084】
負荷種類が、グランド側負荷(小電流の正転負荷42)であり、車載負荷4が接続される負荷側端子が、第2負荷側端子612である場合、結線間接続導体63(接続される内部結線62)は、第1結線621と第2結線622とを接続する結線間接続導体63となる。制御対象の開閉スイッチは、第1上流側開閉スイッチ71又は第2上流側開閉スイッチ72のいずれかとなる。
【0085】
負荷種類が、電源側負荷(大電流の正転負荷42)であり、車載負荷4が接続される負荷側端子が、第3負荷側端子613である場合、結線間接続導体63(接続される内部結線62)は、第3結線623と第4結線624とを接続する結線間接続導体63となる。制御対象の開閉スイッチは、第1下流側開閉スイッチ81及び第2下流側開閉スイッチ82の双方となる。
【0086】
負荷種類が、グランド側負荷(大電流の正転負荷42)であり、車載負荷4が接続される負荷側端子が、第2負荷側端子612である場合、結線間接続導体63(接続される内部結線62)は、第1結線621と第2結線622とを接続する結線間接続導体63となる。制御対象の開閉スイッチは、第1上流側開閉スイッチ71及び第2上流側開閉スイッチ72の双方となる。
【0087】
負荷種類が、両端接続負荷(大電流の正転負荷42)であり、車載負荷4が接続される負荷側端子が、第1負荷側端子611及び第4負荷側端子614である場合、結線間接続
導体63(接続される内部結線62)は、第1結線621と第2結線622とを接続する結線間接続導体63と、第3結線623と第4結線624とを接続とを接続する結線間接続導体63となる。制御対象の開閉スイッチは、第1上流側開閉スイッチ71及び第2上流側開閉スイッチ72の双方、及び第1下流側開閉スイッチ81及び第2下流側開閉スイッチ82の双方となる。
【0088】
負荷種類が、両端接続負荷(小電流の正転負荷42)であり、車載負荷4が接続される負荷側端子が、第1負荷側端子611及び第4負荷側端子614である場合、結線間接続導体63(接続される内部結線62)は、第1結線621と第2結線622とを接続する結線間接続導体63と、第3結線623と第4結線624とを接続とを接続する結線間接続導体63となる。制御対象の開閉スイッチは、第1上流側開閉スイッチ71又は第2上流側開閉スイッチ72のいずれか、及び第1下流側開閉スイッチ81又は第2下流側開閉スイッチ82のいずれかとなる。
【0089】
負荷種類が、機電一体型負荷43(正逆転負荷41)であり、車載負荷4が接続される負荷側端子が、第1負荷側端子611である場合、結線間接続導体63(接続される内部結線62)は、第1結線621と第4結線624とを接続する結線間接続導体63となる。制御対象の開閉スイッチは、第1上流側開閉スイッチ71及び第2下流側開閉スイッチ82であり、これらによりハーフブリッジ91が構成される。
【0090】
負荷種類が、機電一体型負荷43(正逆転負荷41)であり、車載負荷4が接続される負荷側端子が、第3負荷側端子613である場合、結線間接続導体63(接続される内部結線62)は、第2結線622と第3結線623とを接続する結線間接続導体63となる。制御対象の開閉スイッチは、第2上流側開閉スイッチ72及び第1下流側開閉スイッチ81であり、これらによりハーフブリッジ91が構成される。
【0091】
上述した各接続態様に関する事項は一例であり、これらに限定されるものではない。負荷情報テーブルには、車載負荷4のおける各種の分類それぞれ、及び接続される負荷側端子それぞれの組み合わせに応じて、適切な接続態様それぞれが定義されるものとなる。車載装置1が、2つ以上のマルチ入出力部6(マルチI/O)を有する場合、これら複数のマルチ入出力部6それぞれに対応する複数の負荷情報テーブルそれぞれが、記憶部12に記憶されているものであってもよい。
【0092】
車載装置1の制御部11は、確定した接続態様となるように内部結線62の結線状態を変更する(S103)。内部結線62それぞれ(第1結線621、第2結線622、第3結線623及び第4結線624)を接続する結線間接続導体63は、全ての内部結線62(第1結線621、第2結線622、第3結線623及び第4結線624)同士を接続するように全網羅的に配置されている。内部結線62それぞれを接続する結線間接続導体63それぞれには、例えば、半導体リレー又は機械式リレー等のリレー(結線間接続リレー)が配置されているものであってもよい。車載装置1の制御部11は、負荷情報テーブルを参照した確定した接続態様に応じて、接続すべき2つの内部結線62の間に配置されている結線間接続リレーを閉(オン)とし、遮断すべき2つの内部結線62の間に配置されている結線間接続リレーを開(オフ)とすることにより、内部結線62の結線状態を変更する。
【0093】
車載装置1の制御部11は、車載負荷4の駆動制御を開始する(S104)。車載装置1の制御部11は、他の車載ECU2から受信したメッセージ又は当該車載装置1に接続された各種の操作スイッチ等からの信号に応じて、例えば負荷情報テーブルを参照することにより接続された車載負荷4に対する駆動制御を行う。すなわち、車載装置1の制御部11は、負荷情報テーブルを参照することにより接続された車載負荷4に対応する制御対
象の開閉スイッチ(第1上流側開閉スイッチ71、第2上流側開閉スイッチ72、第1下流側開閉スイッチ81及び第2下流側開閉スイッチ82のいずれか1つ以上の開閉スイッチ)を特定し、当該開閉スイッチを開閉(オン・オフ)制御する。
【0094】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0095】
特許請求の範囲に記載されている複数の請求項に関して、引用形式に関わらず、相互に組み合わせることが可能である。特許請求の範囲では、複数の請求項に従属する多項従属請求項を記載してもよい。多項従属請求項に従属する多項従属請求項を記載してもよい。多項従属請求項に従属する多項従属請求項が記載されていない場合であっても、これは、多項従属請求項に従属する多項従属請求項の記載を制限するものではない。
【符号の説明】
【0096】
C 車両
S 車載システム
1 車載装置
10 マイコン
11 制御部
12 記憶部
M 記録媒体
P 制御プログラム(プログラム製品)
13 通信部
14 入出力I/F
140 信号線
2 車載ECU
3 車載ネットワーク
4 車載負荷
41 正逆転負荷
42 正転負荷
43 機電一体型負荷
5 電源装置
51 電力線
6 マルチ入出力部(マルチI/O)
601 第1スイッチ側端子
602 第2スイッチ側端子
603 第3スイッチ側端子
604 第4スイッチ側端子
611 第1負荷側端子
612 第2負荷側端子
613 第3負荷側端子
614 第4負荷側端子
62 内部結線
621 第1結線
622 第2結線
623 第3結線
624 第4結線
63 結線間接続導体
71 第1上流側開閉スイッチ
72 第2上流側開閉スイッチ
81 第1下流側開閉スイッチ
82 第2下流側開閉スイッチ
91 ハーフブリッジ
92 フルブリッジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10