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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025153
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体診断装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20250214BHJP
   G01R 31/3181 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
G01R31/28 G
G01R31/3181
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129658
(22)【出願日】2023-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】前田 洋一
(72)【発明者】
【氏名】松嶋 潤
【テーマコード(参考)】
2G132
【Fターム(参考)】
2G132AA01
2G132AB01
2G132AC03
2G132AC14
2G132AD06
2G132AG02
2G132AG08
2G132AK27
2G132AL16
(57)【要約】
【課題】クロックを高速化することが可能な技術を提供することにある。
【解決手段】半導体装置は、カウント回数が所定回数になると読み出し信号を生成するよう構成されるカウンタ回路と、テストデータを格納し、前記読み出し信号が有効値を示すと、前記テストデータを格納した順に前記テストデータを順次出力するよう構成されるバッファと、前記バッファから出力される前記テストデータを順次取り込む第1スキャンテスト回路と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1クロック信号に同期してカウントし、カウント回数が所定回数になると読み出し信号を生成するよう構成されるカウンタ回路と、
テストデータを格納し、前記読み出し信号が有効値を示すと、前記第1クロック信号に同期して前記テストデータを格納した順に前記テストデータを順次出力するよう構成されるバッファと、
前記第1クロック信号に同期して前記バッファから出力される前記テストデータを順次取り込む第1スキャンテスト回路と、を有する第1半導体回路を備える、
半導体装置。
【請求項2】
請求項1の半導体装置において、
前記カウンタ回路は、
前記第1クロック信号に同期して、カウントアップ、または、カウントダウン、または、それらに準ずる規則的な変化を行うカウンタレジスタと、
前記カウンタレジスタの値と前記所定回数との一致および不一致を判定する比較器と、
を有し、
スキャンイネーブルが有効かつ前記比較器が不一致を示している場合にカウント動作を行い、
スキャンイネーブルが有効かつ前記比較器が一致を示している場合に前記読み出し信号を有効にするよう構成される、
半導体装置。
【請求項3】
請求項1の半導体装置において、
さらに、前記所定回数が前記半導体装置の外部から任意の値の設定が可能な設定レジスタを有する、
半導体装置。
【請求項4】
請求項2の半導体装置において、
前記バッファは、
前記テストデータを格納する複数のレジスタを有し、
前記読み出し信号が有効であるときに、前記第1クロック信号に同期して、前記複数のレジスタのうち最も早く有効なデータが格納されたレジスタから前記テストデータを読み出し、
書き込み信号が有効であるときに、第2クロック信号に同期して、前記複数のレジスタのうち空のレジスタに前記テストデータを書き込むよう構成される、
半導体装置。
【請求項5】
請求項1の半導体装置において、
さらに、第2半導体回路を備え、
前記第1半導体回路は、さらに、
入力端子と、
前記入力端子に入力されるテストデータを、第2クロック信号に同期して、前記バッファに順次書き込む受信回路と、
を有し、
前記第2半導体回路は、
第3クロック信号に同期して、外部から入力されるテストデータを取り込む第2スキャンテスト回路と、
出力端子と、
前記第2スキャンテスト回路が出力するテストデータを、第4クロック信号に同期して、前記出力端子に出力する送信回路と、
を有し、
前記入力端子が前記出力端子に接続される、
半導体装置。
【請求項6】
請求項5の半導体装置において、
前記送信回路は、次のデータがテストデータの先頭であることを示すフラグを前記出力端子へ出力したのち、前記第2スキャンテスト回路が出力する前記テストデータを前記出力端子へ順次出力するよう構成され、
前記受信回路は、前記入力端子から入力される前記フラグを検知したのち、書き込み信号を有効にして、前記入力端子から入力されるテストデータを前記バッファに順次出力するよう構成される、
半導体装置。
【請求項7】
請求項5の半導体装置において、
前記第1スキャンテスト回路は、Nビット(Nは2以上の整数)の入出力を有し、
前記バッファは、前記第1スキャンテスト回路のテストデータを格納するNビットの入出力を有し、
前記受信回路は、1ビットの連続した入力信号をNビットのテストデータに変換し出力するデシリアライザであり、
前記第2スキャンテスト回路は、Nビットの入出力を有し、
前記送信回路は、Nビットのテストデータを1ビットの連続したシリアルデータに変換し出力するシリアライザであり、前記シリアルデータを高速シリアルI/Fを介して前記受信回路へ転送するよう構成される、
半導体装置。
【請求項8】
請求項5の半導体装置において、
前記第1半導体回路は、さらに、
出力端子と、
前記第1スキャンテスト回路が出力するテストデータを、第2クロック信号に同期して、前記出力端子に出力する送信回路と、を有し、
前記第2半導体回路は、さらに、
第3クロック信号に同期してカウントし、カウント回数が所定回数になると読み出し信号を生成するよう構成されるカウンタ回路と、
テストデータを格納し、前記読み出し信号が有効値を示すと、前記第3クロック信号に同期して前記テストデータを順次出力するよう構成されるバッファと、
入力端子と、
前記入力端子に入力されるテストデータを、第4クロック信号に同期して、前記バッファに順次書き込む受信回路と、を有する、
半導体装置。
【請求項9】
請求項8の半導体装置において、
前記第1スキャンテスト回路は、Nビット(Nは2以上の整数)の入出力を有し、
前記バッファは、前記第1スキャンテスト回路のテストデータを格納するNビットの入出力を有し、
前記受信回路は、1ビットの連続した入力信号をNビットのテストデータに変換し出力するデシリアライザであり、
前記第2スキャンテスト回路は、Nビットの入出力を有し、
前記送信回路は、Nビットのテストデータを1ビットの連続した信号に変換し出力するシリアライザであり、
前記シリアライザは、前記1ビットの連続した信号を高速シリアルI/Fを介して前記デシリアライザへ転送するよう構成される、
半導体装置。
【請求項10】
第1クロック信号に同期してカウントし、カウント回数が所定回数になると読み出し信号を生成するよう構成されるカウンタ回路と、テストデータを格納し、前記読み出し信号が有効値を示すと、前記第1クロック信号に同期して前記テストデータを格納した順に順次出力するよう構成されるバッファと、前記第1クロック信号に同期して前記バッファから出力される前記テストデータを順次取り込む第1スキャンテスト回路と、入力端子と、前記入力端子に入力されるテストデータを、第2クロック信号に同期して、前記バッファに順次書き込む受信回路と、出力端子と、前記第1スキャンテスト回路が出力するテストデータを、第2クロック信号に同期して、前記出力端子に出力する送信回路と、を有する第1半導体回路を診断する半導体診断装置であって、
第1テスト装置と、
前記第1半導体回路の前記入力端子に接続される出力端子と、第3クロック信号に同期して、前記第1テスト装置から入力されるテストデータを、第4クロック信号に同期して、前記出力端子に出力する送信回路と、第3クロック信号に同期してカウントし、カウント回数が所定回数になると読み出し信号を生成するよう構成されるカウンタ回路と、テストデータを格納し、前記読み出し信号が有効値を示すと、前記第3クロック信号に同期して前記テストデータを順次出力するよう構成されるバッファと、前記第1半導体回路の前記出力端子に接続される入力端子と、前記入力端子に入力されるテストデータを、第4クロック信号に同期して、前記バッファに順次書き込む受信回路と、前記バッファからの前記テストデータが出力される出力端子と、を有する、第2テスト装置と、
を備える、
半導体診断装置。
【請求項11】
請求項10の半導体診断装置において、
前記第1テスト装置は、Nビットのテストデータ出力と、テストクロック出力と、Nビットのテストデータ入力と、を備え、
前記送信回路は、Nビットのテストデータを1ビットの連続した信号に変換するシリアライザであり、
前記受信回路は、1ビットの連続した信号をNビットのテストデータに変換するデシリアライザであり、
前記バッファは、Nビットのテストデータの入出力を有し、
前記第2テスト装置の前記送信回路は、高速シリアルI/Fを介して前記第1半導体回路の前記受信回路に送信するよう構成され、
前記第1半導体回路の前記送信回路は、高速シリアルI/Fを介して前記第2テスト装置の前記受信回路に送信するよう構成される、
半導体診断装置。
【請求項12】
第1クロック信号に同期してカウントし、カウント回数が所定回数になると読み出し信号を生成するよう構成されるカウンタ回路と、テストデータを格納し、前記読み出し信号が有効値を示すと、前記第1クロック信号に同期して前記テストデータを格納した順に順次出力するよう構成されるバッファと、前記第1クロック信号に同期して前記バッファから出力される前記テストデータを順次取り込むデバッグインタフェースと、入力端子と、前記入力端子に入力されるテストデータを、第2クロック信号に同期して、前記バッファに順次書き込む受信回路と、出力端子と、前記デバッグインタフェースが出力するテストデータを、第2クロック信号に同期して、前記出力端子に出力する送信回路と、を有する第1半導体回路と、
前記第1半導体回路の前記入力端子に接続される出力端子と、第3クロック信号に同期して、デバッグ装置から入力されるテストデータを、第4クロック信号に同期して、前記出力端子に出力する送信回路と、第3クロック信号に同期してカウントし、カウント回数が所定回数になると読み出し信号を生成するよう構成されるカウンタ回路と、テストデータを格納し、前記読み出し信号が有効値を示すと、前記第3クロック信号に同期して前記テストデータを順次出力するよう構成されるバッファと、前記第1半導体回路の前記出力端子に接続される入力端子と、前記入力端子に入力されるテストデータを、第4クロック信号に同期して、前記バッファに順次書き込む受信回路と、前記バッファからの前記テストデータが出力される出力端子と、を有する、第2半導体回路と、
を備える、半導体装置。
【請求項13】
請求項12の半導体装置において、
前記送信回路は、Nビットのテストデータを1ビットの連続した信号に変換するシリアライザであり、
前記受信回路は、1ビットの連続した信号をNビットのテストデータに変換するデシリアライザであり、
前記バッファは、Nビットのテストデータの入出力を有し、
前記第2半導体回路の前記送信回路は、高速シリアルI/Fを介して前記第1半導体回路の前記受信回路に送信するよう構成され、
前記第1半導体回路の前記送信回路は、高速シリアルI/Fを介して前記第2半導体回路の前記受信回路に送信するよう構成される、
半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は半導体装置に関し、例えば、スキャンチェーンを備える半導体装置に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
スキャンテストの分野では、ロックアップラッチ(lock-up latch)が用いられる。ロックアップラッチは、クロックツリーの異なるブランチ上のスキャンシフトレジスタ間のクロックスキューを固定するための技術である(特表2009-508101号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009-508101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クロックを高速化すると、スキャンシフトレジスタ間にロックアップラッチを設けていても正常な転送ができないことがある。
【0005】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば次の通りである。
半導体装置は、カウント回数が所定回数になると読み出し信号を生成するよう構成されるカウンタ回路と、テストデータを格納し、前記読み出し信号が有効値を示すと、前記テストデータを格納した順に前記テストデータを順次出力するよう構成されるバッファと、前記バッファから出力される前記テストデータを順次取り込む第1スキャンテスト回路と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
上記半導体装置によれば、クロックを高速化することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は半導体装置のスキャンテストを説明する図である。
図2図2図1に示す論理回路のスキャンテストを説明する図である。
図3図3は実施形態における二つの論理回路の概略構成およびそのATPGモデルを示すブロック図である。
図4図4は前段のスキャンチェーンと後段のスキャンチェーンを直接接続する場合のタイミングチャートである。
図5図5は前段のスキャンチェーンと後段のスキャンチェーンとの間にロックアップラッチを設ける場合のタイミングチャートである。
図6図6は前段のスキャンチェーンと後段のスキャンチェーンとの間にロックアップラッチを設ける場合においてホールド違反が発生するときのタイミングチャートである。
図7図7は前段のスキャンチェーンと後段のスキャンチェーンとの間にロックアップラッチを設ける場合においてセットアップ違反が発生するときのタイミングチャートである。
図8図8は第一実施形態における半導体装置の構成を示すブロック図である。
図9図9図8に示すカウンタ回路の構成例を示すブロック図である。
図10図10図8に示すFIFOの構成例を示すブロック図である。
図11図11図8に示す送信回路の構成例を示すブロック図である。
図12図12図8に示す受信回路の構成例を示すブロック図である。
図13図13図8に示す半導体装置の動作を示すタイミングチャートである。
図14図14は第二実施形態における半導体装置の構成を示すブロック図である。
図15図15図14に示す半導体装置の動作を示すタイミングチャートである。
図16図16は第三実施形態における半導体装置の構成が示されるブロック図である。
図17図17は第三実施形態における半導体装置の概略構成を示す断面図である。
図18図18図17に示す半導体装置のスキャンテストを説明する図である。
図19図19は比較例における半導体装置のスキャンテストを説明する図である。
図20図20は第四実施形態における半導体診断装置の構成が示されるブロック図である。
図21図21は第五実施形態における半導体装置の構成が示されるブロック図である。
図22図22図8に示す半導体装置の回路データを示す図である。
図23図23図8に示す半導体装置のテスト設計データを示す図である。
図24図24図23に示すATPGモデルを示す図である。
図25図25図8に示す半導体装置の製造、テストパターン生成および診断のフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、図面を用いて説明する。ただし、説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。
【0010】
<実施形態の概要>
本開示の前提の技術であるスキャンテストについて図1および図2を用いて説明する。
【0011】
図1に示すように、半導体装置1は、半導体チップ10およびパッケージ基板30を備える。半導体チップ10は論理回路(LC)100を有する。論理回路100は、組合せ回路(CC)110、スキャンチェーン(SC)120およびマルチプレクサ130を有する。また、半導体チップ10は、端子141,142,143,144を有する。
【0012】
パッケージ基板30には、外部端子41、外部端子42、外部端子43および外部端子44が設けられている。外部端子41にはスキャン入力信号(SCAN_IN)が入力され、外部端子41は端子141に接続される。外部端子42にはスキャンイネーブル信号(SCAN_EN)が入力され、外部端子42は端子142に接続される。外部端子43にはクロック信号(CLOCK)が入力され、外部端子43は端子143に接続される。外部端子44にはスキャン出力信号(SCAN_OUT)が出力され、外部端子44は端子144に接続される。
【0013】
スキャンテストは、図2に示すように、論理回路100中のフリップフロップ(FF)121をシフトレジスタ状に接続してスキャンチェーン120を構築し、シフト動作によってテストデータの入出力を行う。テストデータには、テストパターンおよびテスト結果が含まれる。
【0014】
具体的な動作としては、テスト装置(TSTR)2は外部端子41に入力するSCAN_ENを有効にして、テストパターンとしてのSCAN_INを外部端子41に入力する。外部端子41に入力されたSCAN_INは端子141およびマルチプレクサ(セレクタ)122を介して各フリップフロップ121に順に入力されて、テストパターンが組合せ回路110に供給される。
【0015】
その後、テスト装置2は外部端子41に入力するSCAN_ENを無効にする。そうすると、組合せ回路110の値がマルチプレクサ122を介して各フリップフロップ121に記憶される。
【0016】
その後、テスト装置2は外部端子41に入力するSCAN_ENを有効にする。そうすると、フリップフロップ121に記憶された値は、テスト結果としてのSCAN_OUTとしてマルチプレクサ130および端子144を介して外部端子44から順に出力される。テスト装置2は出力されたSCAN_OUTを期待値と照合する。ここで、フリップフロップ121はクロック信号(CLOCK)の立ち上がりエッジに同期してデータ信号を取り込むフリップフロップである。
【0017】
スキャンテストによる製造テスト(パッケージテスト)は、テスト装置2に同期して行われる。したがって、スキャンテストを正しく動作させるには、スキャンチェーン120内のFF121は、全て、テスト装置2から供給するCLOCKで同期転送する必要がある。また、SCAN_EN、SCAN_INおよびSCAN_OUTは、全て、テスト装置2から直接制御する必要がある。なお、外部端子41,42,43,44は、パッケージ基板30に設けられる外部端子を増やさない観点から論理回路100のスキャンテスト以外の機能(本来の機能)の入力端子や出力端子と共有している。SCAN_EN、SCAN_INおよびSCAN_OUTは、テストモード時にのみ入力または出力が有効となる。
【0018】
複数の論理回路のスキャンチェーンを縦続接続した状態で、スキャンテストのクロック信号を高速化することが可能な技術(実施形態)について図3を用いて説明する。
【0019】
第1半導体回路としての論理回路100aは、第1スキャンテスト回路としてのスキャンチェーン120aと、バッファとしてのFIFO(First In First Out)150aと、カウンタ回路(CNTR)160aを備える。カウンタ回路160aはFIFO150aの読み出し信号(RD)を制御する。FIFO150aはスキャンチェーン120aと論理回路100bの第2スキャンテスト回路としてのスキャンチェーン120bとの間に配置される。論理回路100aは、図2に示す論理回路100の組合せ回路110と同様な組合せ回路を備えている。
【0020】
スキャンチェーン120aは、図2に示すスキャンチェーン120と同様の構成である。ただし、図3においては、スキャンチェーン120aは簡略化して記載されている。例えば、SCAN_ENやマルチプレクサ122の記載は省略されている。また、フリップフロップ121は二段のフリップフロップ(FFA、FF1)のみが示されている。FFA、FF1には、第1クロック信号としてのCLKAが入力される。CLKAは第2クロック信号としてのCLKRが遅延したクロック信号である。スキャンチェーン120aには、FIFO150aからの読み出しデータ(R_DATA)が入力される。
【0021】
第2半導体回路としての論理回路100bは、図2に示す論理回路100と同様の構成である。スキャンチェーン120bは図2に示すスキャンチェーン120と同様の構成である。ただし、図3においては、スキャンチェーン120bは簡略化して記載されている。例えば、SCAN_ENやマルチプレクサ122の記載は省略されている。また、フリップフロップ121は二段のフリップフロップ(FF2、FFB)のみが示されている。FF2、FFBには、第3クロック信号としてのCLKBが入力される。CLKBは、CLKRとして論理回路100aに入力される。スキャンチェーン120bからは出力信号(S_OUT)が出力される。
【0022】
FIFO150aによって2つのスキャンチェーン120a,120b間の非同期関係(CLKBとCLKAとのスキュー)を吸収できる。そして、カウンタ回路160aによって2つのスキャンチェーン120a,120bの転送にかかるクロックサイクル数を固定化できる。これにより、CLOCKの周波数を上げても(CLOCKの高速化をしても)、スキャンチェーン120a,120bを同期化できる。
【0023】
FIFO150aの入力側のスキャンチェーン120bの最終段のフリップフロップとしてのFFBは、その前段のフリップフロップとしてのFF2から送られてくるテストデータをFIFO150aに対して毎サイクル書き続ける。この時、FFBからFIFO150aへの書き込みは、同期化して行うのが好ましい。例えば、FFBとFIFO150aの書き込みだけ同期化を図っても良いし、論理回路100aと論理回路100b間にハンドシェイクでデータ転送を行う回路が入っても良い。ただし、その場合は、CLKAおよびCLKBの1周期内のスループットが保証されるものとする。
【0024】
FIFO150aの出力側のスキャンチェーン120aの初段のフリップフロップとしてのFFAは、FIFO150aから読み出されるR_DATAを取り込み続ける。ただし、FIFO150aがその先頭データを更新する(ポインタを変更する)のは、カウンタ回路160aがRDを有効にしてからとなる。したがって、RDが無効のときにFFA取り込まれたR_DATAは無効なものである。
【0025】
例えば、カウンタ回路160aはCLKAに対して4サイクル目にRDを有効にするものとする。その場合、FF3は、5サイクル目から有効なテストデータを出力し始める。この時のテストデータは、1サイクル目にFF2からFIFO150aに書き込まれたデータである。
【0026】
なお、これは、FFBとFFAの間に、FFのパイプラインが4段入っている構造で、FFB、FFA含め、それらが同期転送できる状態(ATPGモデル)と、ほぼ等価なものとみなすことができる。ただし、FFのパイプラインの初期値がFIFO150aのものと厳密には異なる。このATPG(Automatic Test Pattern. Generation)モデル(ATPG_M)に対するテストパターンを作成する。そして、作成したテストパターンをFIFO150aとカウンタ回路160aがある実回路で使用する。これにより、スキャンテストの高速化ができる。
【0027】
実施形態の効果について図4から図7を用いて説明する。
【0028】
スキャンテストが半導体チップ間の転送を挟んで行われる場合、図4に示すように、スキャンチェーン120bの最終段のフリップフロップ(FFB)とスキャンチェーン120aの初段のフリップフロップ(FFA)との間に大きなクロックスキュー(skew)が発生する。このため、ホールド違反(Hold violation)により正常な転送ができないことがある。図4では、クロックスキューは約1/4クロックサイクルの例が示されている。
【0029】
対策案として、図5に示すように、このFFBとFFAの間にロックアップラッチ(LUL)を挿入し、FFBからの転送データを半クロックサイクル遅らせてFFAに伝搬させることが考えられる。これにより、半導体チップ間転送における同期転送を成立させて正常な転送(Normal transfer)ができる。
【0030】
テストコストの削減を目的に、テスト時間を短縮するためスキャンテストのクロックの高速化が求められている。しかし、半導体チップ間の転送にLULを用いる構成であっても、クロックを高速化すると、図6で示すように、ホールド違反が発生してしまう場合がある。これは、クロックスキュー(CLKAとCLKBのタイミング差)が、クロックの立ち上がりの期間よりも長い場合に生じる。図6では、クロックスキューは約3/4クロックサイクルの例が示されている。ホールド違反があると、LULのデータが正常にFFAにラッチされる(expected)よりも1クロックサイクル早くラッチされてしまう。
【0031】
また、半導体チップ間の転送の問題は、ホールド違反だけとは限らない。セットアップ(Setup)違反の問題、つまり、図7に示すように、出力側の半導体チップのスキャンデータ(LULの出力)を受け取る入力側の半導体チップのクロック(CLKA)がデータの到達よりも先に動いてしまい、正常な転送ができないこともある。図7では、クロックスキューは約3/4クロックサイクルの例が示されている。セットアップ違反があると、LULのデータが正常にFFAにラッチされる(expected)よりも1クロックサイクル遅く転送されてしまう。
【0032】
異なる半導体チップのクロックのレイテンシを揃えてスキュー無くすことは、莫大な設計コストを必要とするため現実的に困難であり、また、それぞれの半導体チップが異なる拠点で開発され互いにブラックボックスであれば、それは不可能であると言える。ホールド違反およびセットアップ違反の何れの問題が生じる場合でも、クロックを遅くすることでしか解決できない。つまり、クロックの高速化ができない。
【0033】
本実施形態では、上述したように、FIFO150によって2つのスキャンチェーン120a,120b間の非同期関係を吸収し、カウンタ回路160aによって2つのスキャンチェーン120a,120bの転送にかかるクロックサイクル数を固定化することが可能である。これにより、CLOCKの周波数を上げても(CLOCKの高速化をしても)、スキャンチェーン120a,120bを同期化することが可能になる。
【0034】
以下、より具体的な実施形態について、幾つか例示する。以下の実施形態の説明において、上述の実施形態の概要にて説明されているものと同様の構成および機能を有する部分に対しては、上述の実施形態の概要と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部分の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態の概要における説明が適宜援用され得るものとする。また、上述の実施形態の概要の一部、および、複数の実施形態の全部または一部が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0035】
[第一実施形態]
第一実施形態における半導体装置について図8を用いて説明する。
【0036】
半導体装置1は、第1半導体回路としての半導体チップ10aと、第2半導体回路としての半導体チップ10bを備える。半導体装置1は、さらに、SCAN_INが入力される外部端子41、CLOCKが入力される外部端子43、SCAN_OUTが出力される外部端子44および制御信号(CS)が入力される外部端子45を備える。なお、半導体装置1は、図1に示す半導体装置の外部端子42と同様のSCAN_ENが入力される外部端子を備えるが、記載が省略されている。
【0037】
半導体チップ10aは、スキャンチェーン120a、FIFO150a、カウンタ回路160a、設定レジスタ(S_REG)170aおよび受信回路(RX)180aを備える。半導体チップ10aは、さらに、入力端子としての端子141a、端子143a、端子144aおよび端子145aを備える。端子141aには半導体チップ10bからの出力信号(SO)が入力信号(SI)として入力される。端子143aには外部端子43からのCLOCKがCLKAとして入力される。端子144aにはスキャンチェーン120aからのSCAN_OUTが出力される。端子145aには外部端子45からのCSが入力される。設定レジスタ170aは、端子145aから入力されたCSを保持する。なお、半導体チップ10aは図1に示す半導体チップの外部端子142と同様にSCAN_ENが入力される端子を備えるが、記載が省略されている。
【0038】
半導体チップ10bは、スキャンチェーン120bおよび送信回路(TX)190bを備える。半導体チップ10bは、さらに、外部端子41からのSCAN_INが入力される端子141b、外部端子43からのCLOCKがCLKBとして入力される端子143bおよび送信回路190bからのSOが出力される出力端子としての端子144bを備える。SOにはテスト装置2からのテストデータおよびスキャンチェーン120bからのスキャンテスト結果が含まれる。なお、半導体チップ10bは図1に示す半導体チップの外部端子142と同様にSCAN_ENが入力される端子を備えるが、記載が省略されている。
【0039】
カウンタ回路160aの構成例について図9を用いて説明する。
【0040】
カウンタ回路160aは、インクリメンタ161、セレクタ162、カウンタレジスタ(C_REG)163、比較器(CMP)164およびAND回路165,166を備える。カウンタ回路160aは、SCAN_ENをトリガー(ここでは、0→1の変化)とし、カウントを始める。カウンタレジスタ163の値が設定レジスタ170aの値と一致する場合、カウントをやめるように構成される。また、カウンタ回路160aは、RDを有効にし、FIFO150aからの読み出しを始めるように構成される。
【0041】
SCAN_ENが無効を示す“0”の場合、AND回路165の出力信号は“0”になり、セレクタ162は、カウンタレジスタ163の出力信号(O1)を選択する。その結果、カウンタレジスタ163の入力信号(IN)はO1になり、カウンタレジスタ163の値は変化せず、カウンタレジスタ163の出力信号(O1、O2)も変化しない。その結果、比較器164の出力信号(O3)も変化せず、例えば、不一致を示す“0”を出力続ける。また、SCAN_ENが“0”の場合、AND回路166の出力信号であるRDは無効を示す“0”になる。
【0042】
SCAN_ENが有効を示す“1”の場合、比較器164の出力信号が不一致を示す“0”であるとき、AND回路165の出力信号は“1”になり、セレクタ162は、インクリメンタ161の出力信号を選択する。その結果、カウンタレジスタ163の入力信号(IN)はO1の値が+1加算された値になり、カウンタレジスタ163の値は+1加算された値になる。その結果、O1、O2の値も+1加算された値になる。カウンタレジスタ163の値が設定レジスタ170aの値と一致するまで、カウントアップされる。比較器164の出力信号が一致を示す“1”になると、SCAN_ENが“1”であるので、AND回路166の出力信号であるRDは有効を示す“1”になる。また、比較器164の出力信号が一致を示す“1”になると、AND回路165の出力信号は“0”になり、セレクタ162は、カウンタレジスタ163のO1を選択する。その結果、SCAN_ENが“0”の場合と同様に、カウンタレジスタ163の値は変化しない。このときのカウンタレジスタ163の値は設定レジスタ170aの設定値+1になっている。
【0043】
なお、設定レジスタ170aを用いないで、比較器164の比較対象は固定値の設定値あってもよい。カウンタ回路160aとして、アップカウンタの例を説明したが、カウンタの方式は限定されず、任意のサイクルを刻めれば良く、例えばダウンカウンタであってもよい。
【0044】
FIFO150aの構成例について図10を用いて説明する。
【0045】
FIFO150aは、CLKRに同期して動作する書き込み系回路151と、CLKAに同期して動作する読み出し系回路152とを備える。書き込み系回路151はデマルチプレクサ(DEMUX)1511、グレイコードカウンタ(G_CNTR)1512およびレジスタ群1513を備える。レジスタ群1513はREG_1からREG_Mである。読み出し系回路152はマルチプレクサ(MUX)1521、グレイコードカウンタ(G_CNTR)1522およびレジスタ(REG)1523を備える。
【0046】
グレイコードカウンタ1512は書き込み信号(WR)が有効のとき、CLKRの変化毎にカウント値が変化する。カウント値は2進数の表現で、隣り合う値でビットの変化が1ビットしかないように変化する。デマルチプレクサ1511は、グレイコードカウンタ1512のカウント値に対応するレジスタをレジスタ群1513から選択し、書き込みデータ(W_DATA)が選択されたレジスタに書き込まれる。レジスタ群1513のレジスタは、REG_1からREG_Mの順に選択される。
【0047】
グレイコードカウンタ1522はRDが有効のとき、CLKAの変化毎にカウント値が変化する。マルチプレクサ1521は、グレイコードカウンタ1522のカウント値に対応するレジスタをレジスタ群1513から選択し、選択されたレジスタの値がレジスタ1523に読み出される。レジスタ群1513のレジスタは、REG_1からREG_Mの順に選択される。レジスタ1523に格納されたデータはR_DATAとしてスキャンチェーン120aに出力される。
【0048】
なお、書き込み系回路151および読み出し系回路152に用いるカウンタ回路は、グレイコードカウンタに限定されるものではなく、バイナリコードカウンタであってもよい。
【0049】
送信回路190aの構成例について図11を用いて説明する。
【0050】
送信回路190aは、M個のFF191からFF19Mで構成されるシフトレジスタを備える。ここで、Mは3以上の整数である。FF191からFF19Mは第4クロック信号としてのCLKTの立ち上がりエッジに同期してデータ信号を取り込むフリップフロップである。FF191はSCAN_ENが有効になるとセットされ(“1”にされ)、FF192からFF19MはSCAN_ENが有効になるとリセットされる(“0”にされる)。FF191には、スキャンチェーン120bの出力信号(S_OUT)が入力される。
【0051】
送信回路190aは、SCAN_ENが有効になると、(M-1)個連続した“0”を出力した後、1サイクルだけ“1”を出力信号(SO)として出力する。この1サイクルだけの“1”はテストデータの先頭であることを示すフラグである。その後は、S_OUTを順次SOとして送信していく。
【0052】
受信回路180aの構成について図12を用いて説明する。図12図8に示す受信回路の構成例を示すブロック図である。
【0053】
受信回路180aは、FF181、FF182、FF183で構成されるシフトレジスタ、FF184、AND回路185およびOR回路186を備える。FF181、FF182、FF183およびFF184はCLKRの立ち上がりエッジに同期してデータ信号を取り込むフリップフロップである。FF181、FF182、FF183はSCAN_ENが有効になるとセットされ(“1”にされ)、FF184はSCAN_ENが有効になるとリセットされる(“0”にされる)。FF181には、送信回路190aからのSOが入力信号(SI)として入力される。
【0054】
AND回路185はSIとして連続した“0”の後に“1”が入力されると“1”になる。AND回路185の出力はOR回路186を介してFF184に入力され、FF184は“1”になり、WRが有効になる。その後、AND回路185の出力は“0”になるが、FF184の出力がOR回路186を介してFF184に入力されるので、FF184は“1”を保持する。
【0055】
受信回路180aは、連続した“0”の後の“1”を検出するとWRを有効にする。WRが有効になるサイクルに合わせて、検出した連続した“0”の後の“1”の後のデータがW_DATAとして出力されるよう調整する。
【0056】
送信回路190a、受信回路180a、FIFO150a、カウンタ回路160aの動作について図13を用いて説明する。
【0057】
CLKTはCLKBと略位相が同じであり、CLKRはCLKAと略位相が同じであるので省略されている。CLKBの立ち上がりのタイミングをt0、t2、t4、・・・、t14とする。CLKAの立ち上がりのタイミングをt1、t3、t5、・・・、t15とする。図13では、CLKBとCLKAのクロックスキュー(t1-t0)は約3/4クロックサイクルの例が示されている。
【0058】
送信回路190aは、t0で“0”、t2で“0”、t4で“1”を出力し、その後、t6、t8、t10、t12、t14においてテストデータとしての“A”、“B”、“C”、“D”、“E”を出力する。
【0059】
受信回路180aは、t1で“0”、t3で“0”、t5で“1”を入力して出力し、その後、t7で“A”、t9で“B”、t11で“C”、t13で“D”、t15で“E”を入力して出力する。受信回路180aはt5で入力した“1”を検知して、t7でWRを有効にする。
【0060】
FIFO150aは、t7におけるWRのアクティブによって“A”をREG_1に書き込む。その後、t9で“B”をREG_2に、t11で“C”をREG_3に、t13でス“D”をREG_4に、書き込む。カウンタ回路160aは、t1でカウンタレジスタ163が“1”になり、1クロックサイクル毎にカウントアップしていき、t11でカウンタレジスタ163が“6”になると、RDを有効にする。
【0061】
FIFO150aは、t11におけるRDの有効によって“A”をREG_1から読み出す。その後、t13で“B”をREG_2から、t15で“C”をREG_3から読み出す。スキャンチェーン120aは、t13で“A”を入力し、t15で“B”を入力する。
【0062】
第一実施形態では、スキャンチェーン120bの後段に送信回路190b、FIFO150aの前段に受信回路180aを備える。これにより、スキャンチェーン120bからFIFO150aへの書き込みを正常に行うことができる。
【0063】
[第二実施形態]
第二実施形態における半導体装置について図14を用いて説明する。
【0064】
第二実施形態における半導体装置は、テストデータが複数ビット(Nビット、N>2)で構成されており、半導体チップ間をシリアライザおよびデシリアライザ(Serializer / Deserializer:SerDes)を使用して転送する例である。
【0065】
半導体装置1は、第1半導体回路としての半導体チップ10aと、第2半導体回路としての半導体チップ10bを備える。半導体装置1は、さらに、SCAN_INが入力される外部端子41、CLOCKが入力される外部端子43、SCAN_OUTが出力される外部端子44およびCSが入力される外部端子45を備える。SCAN_INはNビット長のデータであり、外部端子41はN個ある。外部端子43はN個あり、SCAN_OUTはNビット長のデータである。ここで、Nは2以上の整数である。なお、半導体装置1は、図1に示す半導体装置の外部端子42と同様のSCAN_ENが入力される外部端子を備えるが、記載が省略されている。
【0066】
半導体チップ10aは、スキャンチェーン120a、FIFO150a、カウンタ回路160a、レジスタとしての設定レジスタ(S_REG)170aおよび受信回路としてのデシリアライザ(DES)280aを備える。半導体チップ10aは、さらに、半導体チップ10bからの出力信号(SO)が入力信号(SI)として入力される端子141a、外部端子43からのCLOCKがCLKAとして入力される端子143a、スキャンチェーン120aからのSCAN_OUTが出力される端子144aおよび外部端子45からのCSが入力される端子145aを備える。端子144aはN個ある。なお、半導体チップ10aは図1に示す半導体チップの外部端子142と同様にSCAN_ENが入力される端子を備えるが、記載が省略されている。
【0067】
半導体チップ10bは、スキャンチェーン120b、送信回路としてのシリアライザ(SER)290b、端子141b、端子143bおよび端子144bを備える。端子141bには外部端子41からのSCAN_INが入力される。端子143bには外部端子43からのCLOCKがCLKBとして入力される。端子144bにはシリアライザ290bからのSOが出力される。シリアライザ290bとデシリアライザ280aとは端子141bおよび端子141aを介して1ギガビット毎秒(Gbps)超の高速なシリアルインタフェース(SIF)で接続されれる。なお、半導体チップ10bは図1に示す半導体チップの外部端子142と同様にSCAN_ENが入力される端子を備えるが、記載が省略されている。
【0068】
スキャンチェーン120a,120bは、図8に示すスキャンチェーン120a,120bと同様の構成である。ただし、本実施形態におけるスキャンチェーン120a,120bには、Nビット長のデータが並列に入力され、並列に出力される。
【0069】
FIFO150aは、図10に示すFIFO150aと同様の構成である。ただし、本実施形態におけるFIFO150aには、Nビット長のデータが並列に入力され、並列に出力される。書き込み系回路151は第2クロック信号としてのCLKDに同期して動作する。読み出し系回路152はCLKAに同期して動作する。
【0070】
カウンタ回路160aは、図9に示すカウンタ回路160aと同様の構成である。設定レジスタ170aは、図8に示す設定レジスタ170aと同様の構成である。
【0071】
シリアライザ290bは、第4クロック信号としてのCLKSに同期してNビット幅のテストデータ(S_OUT)を1ビットの連続したシリアルデータ信号(SO)に変換し出力する。CLKSはCLKBを逓倍したクロック信号である。デシリアライザ280aは、CLKDに同期して1ビットの連続した入力信号(SI)をNビット幅のテストデータ(W_DATA)に変換し出力する。CLKDはCLKAを逓倍したクロック信号である。
【0072】
シリアライザ290b、デシリアライザ280a、FIFO150a、カウンタ回路160aの動作について図15を用いて説明する。
【0073】
CLKBの立ち上がりのタイミングをt0、t2、t4、・・・、t22とする。CLKAの立ち上がりのタイミングをt1、t3、t5、・・・、t23とする。CLKBとCLKAのクロックスキュー(t1-t0)は約1/4クロックサイクルの例が示されている。図15では、CLKSはCLKBの3倍の周波数(1/3の周期)のクロック信号の例が示されている。図15では、CLKDはCLKAの3倍の周波数(1/3の周期)のクロック信号の例が示されている。
【0074】
スキャンチェーン120bは、t0、t2、t4、・・・、t20においてテストデータとしての“A”、“B”、“C”、・・・、“L”を出力する。シリアライザ290bは、t2の立ち上がり後のCLKSの1クロックサイクル後の3クロックサイクル間に“A”を直列化する。直列化された“A”はSIFを介してデシリアライザ280aに入力される。
【0075】
デシリアライザ280aは、CLKDの立ち上がりで“A”の直列化された最初のビットを入力し、その後のCLKDの2クロックサイクル間に“A”の直列化された残りの2ビットを入力して並列化する。並列化の所定のタイミングにおいてWRを活性化する。
【0076】
FIFO150aはWRのアクティブによって“A”をREG1に書き込む。カウンタ回路160aは、t1でカウンタレジスタ163が“1”になり、1クロックサイクル毎にカウントアップしていき、t11でカウンタレジスタ163が“6”になると、RDを有効にする。
【0077】
FIFO150aは、t11におけるRDの有効によって“A”をREG_1から読み出す。その後、t13で“B”をREG_2から、t15で“C”をREG_3から読み出す。スキャンチェーン120aは、t13で“A”を入力し、t15で“B”を入力する。
【0078】
[第三実施形態]
第三実施形態における半導体装置について図16を用いて説明する。
【0079】
第三実施形態における半導体装置は、テストデータを半導体チップ10bから半導体チップ10aに送り、半導体チップ10aに送ったテストデータを、さらに半導体チップ10bに戻す例である。
【0080】
第三実施形態における半導体チップ10aは、第二実施形態における半導体チップ10aに対して、さらに、送信装置としてのシリアライザ290aを備える。シリアライザ290aはスキャンチェーン120aと端子144aの間に配置される。なお、端子144aは、第三実施形態と異なり1個である。
【0081】
第三実施形態における半導体チップ10bは、第二実施形態における半導体チップ10bに対して、さらに、バッファとしてのFIFO150b、カウンタ回路160b、設定レジスタ170bおよび受信回路としてのデシリアライザ(DES)280bを備える。半導体チップ10bは、さらに、半導体チップ10aからの出力信号(SO)が入力信号(SI)として入力される端子141c、FIFO150bからのSCAN_OUTが出力される端子144cおよび外部端子45からのCSが入力される端子145bを備える。シリアライザ290aとデシリアライザ280bとは端子144aおよび端子141cを介して高速なシリアルインタフェース(SIF)で接続されれる。
【0082】
FIFO150bは、FIFO150aと同様の構成である。書き込み系回路151は第4クロック信号としてのCLKSに同期して動作する。読み出し系回路152はCLKBに同期して動作する。
【0083】
カウンタ回路160bは、カウンタ回路160aと同様の構成である。設定レジスタ170bは、設定レジスタ170aと同様の構成である。
【0084】
シリアライザ290aは、第2クロック信号としてのCLKDに同期してNビット幅のテストデータ(S_OUT)を1ビットの連続したシリアルデータ信号(SO)に変換し出力する。CLKSはCLKBを逓倍したクロック信号である。デシリアライザ280bは、CLKSに同期して1ビットの連続した入力信号(SI)をNビット幅のテストデータ(W_DATA)に変換し出力する。CLKSはCLKBを逓倍したクロック信号である。
【0085】
次に、本実施形態における半導体装置のスキャンテストについて図17および図18を用いて説明する。
【0086】
図17に示すように、本実施形態における半導体装置1は、半導体チップ10a,10b、シリコンインタポーザ20、パッケージ基板30を備える。シリコンインタポーザ20は、半導体チップ10aの端子と半導体チップ10bの端子を接続する配線、および半導体チップ10bの端子とパッケージ基板30とを接続する配線を有する。パッケージ基板30の上面には、シリコンインタポーザ20の配線を介して半導体チップ10bの端子と電気的に接続される配線が設けられる。パッケージ基板30の下面には、半導体チップ10bの端子と電気的に接続される複数の外部端子40が接続されている。
【0087】
図18に示すように、半導体チップ10aは、組合せ回路110aおよびスキャンチェーン120aを有する。半導体チップ10bは、組合せ回路110b、スキャンチェーン120bおよびマルチプレクサ130を有する。複数の外部端子40には、外部端子41,42,43,44,45が含まれる。図18では、図16に示す他の構成要素は省略されているので、適宜図16を参照して説明する。
【0088】
テスト装置2からのSCAN_INは、N個の外部端子41に入力され、半導体チップ10bのN個の端子141b(図16参照)を介してスキャンチェーン120bに入力される。テスト装置2からのSCAN_ENは、外部端子42に入力され、半導体チップ10bの端子142bを介してスキャンチェーン120bに入力される。テスト装置2からのCLOCKは外部端子43に入力され、半導体チップ10bの端子143b(図16参照)を介してスキャンチェーン120bに入力される。テスト装置2からのCSは外部端子45に入力され、半導体チップ10bの端子145b(図16参照)を介して設定レジスタ170bに入力される。
【0089】
スキャンチェーン120bの出力信号は端子144b(図16参照)から出力され、入力信号として半導体チップ10aの端子141a(図16参照)を介してスキャンチェーン120aに入力される。半導体チップ10bの端子142bを介して入力されたSCAN_ENは、半導体チップ10aの端子142aを介してスキャンチェーン120aに入力される。半導体チップ10bの端子143b(図16参照)を介して入力されたCLOCKは、半導体チップ10aの端子143a(図16参照)を介してスキャンチェーン120aに入力される。
【0090】
スキャンチェーン120aの出力信号は端子144a(図16参照)から出力され、半導体チップ10bの端子141c、デシリアライザ280b、FIFO150b、マルチプレクサ130およびN個の端子144cを介してN個の外部端子44から出力される。
【0091】
半導体チップ10aのスキャンチェーン120aを、半導体チップ10bのスキャンチェーン120bと繋げて、半導体チップ10b経由でスキャンテストが実施される。また、半導体チップ10aは外部端子40と接続される半導体チップ10bを経由してテストデータの入出力が行われる。これにより、半導体チップ10aは外部端子を必要としない場合またはスキャンテストに必要な外部端子数よりも少ない端子しか外部端子と接続されない場合でもスキャンテストが可能になる。
【0092】
第三実施形態における半導体装置1の他の効果について図19を用いて説明する。
【0093】
半導体チップ10aにスキャンテスト専用の外部端子41a,42a,43a,44aを設けることによっても半導体チップ10aのスキャンテストを行うことが可能である。しかし、外部端子40の数は、本実施形態に比べて(2N+2)個増加することになる。すなわち、本実施形態によれば、外部端子の増加を抑止できる。
【0094】
[第四実施形態]
第四実施形態における半導体診断装置について図20を用いて説明する。
【0095】
第四実施形態における半導体診断装置は、第三実施形態における半導体チップ10aで構成される半導体装置1aを診断する装置の例である。半導体診断装置は、テスト装置2と第2テスト装置3とを備える。
【0096】
第2テスト装置3は、第三実施形態における半導体チップ10bからスキャンチェーン120bおよびテスト対象の組合せ回路110bを除いた構成である。第2テスト装置3は、第三実施形態における半導体チップ10bの端子141b,143b,144b,145b,141c,144cに対応する外部端子41b,43b,44b,45b,41c,44cを備える。テスト装置2から外部端子41bにテストデータ出力(T_D_OUT)が入力され、外部端子43bにテストクロック(T_CLK)が入力され、外部端子45bからCSが入力される。外部端子44cから出力されるテストデータ入力(T_D_IN)がテスト装置2に入力される。
【0097】
本実施形態における半導体装置1aは、第三実施形態における半導体チップ10aの端子141a,143a,144a,145aに対応する外部端子41a,43a,44a,45aを備える。半導体装置1aは、第三実施形態における半導体チップ10a,10bと同様に第2テスト装置3に接続される。
【0098】
テスト装置2は、第三実施形態における半導体チップ10bのスキャンチェーン120bを介さずに半導体装置1aをテスト(診断)できる。
【0099】
[第五実施形態]
第五実施形態における半導体装置について図21を用いて説明する。
【0100】
第五実施形態における半導装置は、第三実施形態における半導体チップ10aのスキャンチェーン120aをデバッグインタフェース(DBGI/F)120dに置き換えた例である。
【0101】
本実施形態における半導体装置1は、第1半導体回路としての半導体チップ10aと第2半導体回路としての半導体チップ10bとを備える。本実施形態における半導体チップ10bは、第三実施形態における半導体チップ10bからスキャンチェーン120bおよびテスト対象の組合せ回路110bを除いた構成である。
【0102】
デバッガ装置4から外部端子41にテストデータ入力(T_D_IN)が入力され、外部端子43にテストクロック(T_CLK)が入力され、外部端子45からCSが入力される。テストデータ出力(T_D_OUT)が外部端子44から出力されてデバッガ装置4に入力される。
【0103】
デバッガ装置4は、第三実施形態における半導体チップ10bのスキャンチェーン120bおよび半導体チップ10aのスキャンチェーン120aを介さずに半導体チップ10aをデバッグできる。
【0104】
第一実施形態における半導体装置のテストパターン生成および診断について図22から図25を用いて説明する。
【0105】
図22に示すように、半導体装置1の回路データは第1回路データ(1CD)1010aと第2回路データ(2CD)1010bを含む。第1回路データ1010aは半導体チップ10aの回路データである。第2回路データ1010bは半導体チップ10bの回路データである。
【0106】
第1回路データ(1CD)1010aは、スキャンチェーン120aの回路データ1120a、FIFO150aの回路データ1150a、カウンタ回路160aの回路データ1160a、設定レジスタ170aの回路データ1170aおよび受信回路180aの回路データ1180aを含む。回路データ1150aおよび回路データ1180aはATPGモデルへの置き換え対象モジュール(ATPG_M)1200aである。
【0107】
第2回路データ(2CD)1010bは、スキャンチェーン120bの回路データ1120b、および送信回路190bの回路データ1190bを有する。回路データ1190bはATPGモデルへの置き換え対象モジュール(ATPG_M)1200bである。
【0108】
図23に示すように、半導体装置1のテスト設計データは第1テスト設計データ(1TD)2010aと第2テスト設計データ(2TD)2010bと第3テスト設計データ(3TD)2010cを含む。第1テスト設計データ(1TD)2010aは半導体チップ10aのテストパターン生成用設計データである。第2テスト設計データ(2TD)2010bは半導体チップ10bのテストパターン生成用設計データである。第3テスト設計データ(3TD)2010cは半導体装置1のテストパターン生成用設計データである。
【0109】
第1テスト設計データ(1TD)2010aは、スキャンチェーン120aのテスト設計データ2120a、カウンタ回路160aのテスト設計データ2160a、設定レジスタ170aのテスト設計データ2170aおよびATPG_M2000aのテスト設計データ2200aを含む。
【0110】
第2テスト設計データ(2TD)2010bは、スキャンチェーン120bのテスト設計データ2120bおよびATPG_M2000bのテスト設計データ2200bを含む。
【0111】
図24に示すように、ATPG_M2000a,2000bは、N個のFF(FF_1、FF_2、FF_3、・・・、FF_N)によってN段のシフトレジスタを構成する。
【0112】
図25に示すように、第1回路データ1010aに基づいて半導体チップ(1CHIP)10aを製造する(ステップS11a)。第2回路データ1010bに基づいて半導体チップ(1CHIP)10bを製造する(ステップS11b)。半導体チップ10aおよび半導体チップ10bをパッケージして半導体装置(SD)を製造する(ステップS12)。
【0113】
第1回路データ1010aおよび第2回路データ1010bのATPG_M2000aおよびATPG_M2000bをATPGに置き換えて、カウント回数(CN)第1テスト設計データ2010aと第2テスト設計データ2010bと第3テスト設計データ2010cを生成する(ステップS21)。第1テスト設計データ2010aと第2テスト設計データ2010bと第3テスト設計データ2010cに基づいてテストパターン生成ツールによってテストパターン(TP)を生成する(ステップS22)。
【0114】
半導体装置(SD)をテストパターン(TP)によって診断する(ステップS13)。
【0115】
以上、本開示者らによってなされた開示を実施形態に基づき具体的に説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0116】
100a・・・論理回路(第1半導体回路)
120a・・・スキャンチェーン(第1スキャンテスト回路)
150a・・・FIFO(バッファ)
160a・・・カウンタ回路
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