(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025160
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】再循環システム
(51)【国際特許分類】
F02M 26/44 20160101AFI20250214BHJP
F02M 26/07 20160101ALI20250214BHJP
F02B 29/02 20060101ALI20250214BHJP
F02B 37/00 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
F02M26/44
F02M26/07 301
F02B29/02 E
F02B37/00 302F
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129685
(22)【出願日】2023-08-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(74)【代理人】
【識別番号】100167793
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 学
(72)【発明者】
【氏名】高塚 智博
(72)【発明者】
【氏名】橋本 宗昌
【テーマコード(参考)】
3G005
3G062
【Fターム(参考)】
3G005FA51
3G005HA12
3G005HA13
3G005JA39
3G005JA42
3G005JA45
3G062ED08
3G062ED12
3G062FA11
3G062GA01
3G062GA06
3G062GA15
(57)【要約】
【課題】排気を冷却するとともに、冷却器への煤の堆積を抑制する。
【解決手段】再循環システムSは、エンジン11に吸気を供給する吸気管路12と、エンジン11の排気が流れる排気管路14と、吸気管路12に設けられて吸気を冷却する第1冷却器13と、エンジン11の排気を冷却する第2冷却器19と、第2冷却器19で冷却された排気を吸気管路12に還流する再循環管路15と、を有し、再循環管路15は、第2冷却器19で冷却された排気を吸気管路12における第1冷却器13の上流に還流する第1管路16と、第2冷却器19で冷却された排気を吸気管路12における第1冷却器13の下流に還流する第2管路17と、第2冷却器19により冷却された排気を、第1管路16又は第2管路17のいずれを通して吸気管路に還流するかを切替え可能な第1制御弁211及び第2制御弁212と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンに吸気を供給する吸気管路と、
前記エンジンの排気が流れる排気管路と、
前記吸気管路に設けられて吸気を冷却する第1冷却器と、
前記エンジンの排気を冷却する第2冷却器と、
前記第2冷却器で冷却された排気を前記吸気管路に還流する再循環管路と、
を有し、
前記再循環管路は、
前記第2冷却器で冷却された前記排気を前記吸気管路における前記第1冷却器の上流に還流する第1管路と、
前記第2冷却器で冷却された前記排気を前記吸気管路における前記第1冷却器の下流に還流する第2管路と、
前記第2冷却器により冷却された前記排気を、前記第1管路又は前記第2管路のいずれを通して前記吸気管路に還流するかを切替え可能な一以上の制御弁と、
を有する再循環システム。
【請求項2】
前記第2冷却器は、前記排気管路から前記再循環管路が分岐する第1分岐点と、前記再循環管路における前記第1管路及び前記第2管路が分岐する第2分岐点との間に設けられる、
請求項1に記載の再循環システム。
【請求項3】
前記エンジンの燃焼室に供給された吸気及び燃料の混合気中の空気の余剰度を示す空気過剰率が所定値以上の場合、前記第1管路を通して前記吸気管路における前記第1冷却器の上流に前記排気を還流させるように前記制御弁を制御し、前記空気過剰率が所定値未満の場合、前記第2管路を通して前記吸気管路における前記第1冷却器の下流に前記排気を還流させるように前記制御弁を制御する制御部を有する、
請求項1に記載の再循環システム。
【請求項4】
前記エンジンの回転数が、低回転閾値未満である場合、前記第2管路を通して前記吸気管路に前記排気を還流させるように前記制御弁を制御する弁制御部と、を有する、
請求項1に記載の再循環システム。
【請求項5】
前記エンジンの回転数が、高回転閾値以上であり、かつ、前記エンジンの負荷が、負荷閾値以上である場合、前記第2管路を通して前記吸気管路に前記排気を還流させるように前記制御弁を制御する制御部と、を有する、
請求項1に記載の再循環システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記回転数が前記高回転閾値未満である場合、又は前記負荷が前記負荷閾値未満である場合、前記第1管路を通して前記吸気管路に前記排気を還流させるように前記制御弁を制御する、
請求項5に記載の再循環システム。
【請求項7】
前記エンジンの回転数が、低回転閾値以上、かつ高回転閾値未満である場合、前記第1管路を通して前記吸気管路に前記排気を還流させるように前記制御弁を制御する制御部と、を有する、
請求項1に記載の再循環システム。
【請求項8】
前記排気管路に設けられて、前記排気が通過することで回転するタービンと、
前記第1冷却器の上流の前記吸気管路に設けられて、前記タービンの回転により吸気を過給するコンプレッサと、を有し、
前記第1管路は、前記排気管路における前記タービンの上流から、前記吸気管路における前記第1冷却器と前記コンプレッサとの間に前記排気を還流し、
前記第2管路は、前記排気管路における前記タービンの上流から、前記吸気管路における前記第1冷却器と前記エンジンとの間に前記排気を還流する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の再循環システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの燃焼室に排気を導入する再循環システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンから排出される排気をエンジンに導入することで、排気中の窒素酸化物を低減する技術が知られている。特許文献1には、排気を冷却する冷却器(EGRクーラー)を通過した排気を、吸気を冷却する冷却器(インタークーラー)の下流に供給する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、吸気を冷却する冷却器の下流に排気を供給する場合、排気の温度が高いと排気を十分に冷却できないことがあった。しかし、排気をより冷却するために冷却器の上流に排気を供給すると、排気中の煤が冷却器に堆積して、冷却器の冷却性能が低下してしまう。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、排気を冷却するとともに、冷却器への煤の堆積を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様においては、エンジンに吸気を供給する吸気管路と、前記エンジンの排気が流れる排気管路と、前記吸気管路に設けられて吸気を冷却する第1冷却器と、前記エンジンの排気を冷却する第2冷却器と、前記第2冷却器で冷却された排気を前記吸気管路に還流する再循環管路と、を有し、前記再循環管路は、前記第2冷却器で冷却された前記排気を前記吸気管路における前記第1冷却器の上流に還流する第1管路と、前記第2冷却器で冷却された前記排気を前記吸気管路における前記第1冷却器の下流に還流する第2管路と、前記第2冷却器により冷却された前記排気を、前記第1管路又は前記第2管路のいずれを通して前記吸気管路に還流するかを切替え可能な一以上の制御弁と、を有する再循環システムを提供する。
【0007】
前記第2冷却器は、前記排気管路から前記再循環管路が分岐する第1分岐点と、前記再循環管路における前記第1管路及び前記第2管路が分岐する第2分岐点との間に設けられていてもよい。
【0008】
前記再循環システムは、前記エンジンの燃焼室に供給された吸気及び燃料の混合気中の空気の余剰度を示す空気過剰率が所定値以上の場合、前記第1管路を通して前記吸気管路における前記第1冷却器の上流に前記排気を還流させるように前記制御弁を制御し、前記空気過剰率が所定値未満の場合、前記第2管路を通して前記吸気管路における前記第1冷却器の下流に前記排気を還流させるように前記制御弁を制御する制御部を有してもよい。
【0009】
前記再循環システムは、前記エンジンの回転数が、低回転閾値未満である場合、前記第2管路を通して前記吸気管路に前記排気を還流させるように前記制御弁を制御する弁制御部と、を有してもよい。
【0010】
前記再循環システムは、前記エンジンの回転数が、高回転閾値以上であり、かつ、前記エンジンの負荷が、負荷閾値以上である場合、前記第2管路を通して前記吸気管路に前記排気を還流させるように前記制御弁を制御する制御部と、を有してもよい。
【0011】
前記制御部は、前記回転数が前記高回転閾値未満である場合、又は前記負荷が前記負荷閾値未満である場合、前記第1管路を通して前記吸気管路に前記排気を還流させるように前記制御弁を制御してもよい。
【0012】
前記再循環システムは、前記エンジンの回転数が、低回転閾値以上、かつ高回転閾値未満である場合、前記第1管路を通して前記吸気管路に前記排気を還流させるように前記制御弁を制御する制御部と、を有してもよい。
【0013】
前記再循環システムは、前記排気管路に設けられて、前記排気が通過することで回転するタービンと、前記第1冷却器の上流の前記吸気管路に設けられて、前記タービンの回転により吸気を過給するコンプレッサと、を有し、前記第1管路は、前記排気管路における前記タービンの上流から、前記吸気管路における前記第1冷却器と前記コンプレッサとの間に前記排気を還流し、前記第2管路は、前記排気管路における前記タービンの上流から、前記吸気管路における前記第1冷却器と前記エンジンとの間に前記排気を還流してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、排気を冷却するとともに、冷却器への煤の堆積を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施の形態の再循環システムの構成を説明するための図である。
【
図2】第1実施の形態における還流先を決定する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図3】第2実施の形態の再循環システムの構成を説明するための図である。
【
図4】第2実施の形態における還流先を決定する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施の形態の再循環システムSの構成]
図1は、第1実施の形態の再循環システムSの構成を説明するための図である。第1実施の形態の再循環システムSは、エンジン11から排出された排気を吸気管路12に還流するシステムである。再循環システムSは、エンジン11、吸気管路12、第1冷却器13、排気管路14、再循環管路15、第1管路16、第2管路17、第2冷却器19、第1制御弁211及び第2制御弁212を有する。
【0017】
エンジン11は、燃料と吸気(空気)との混合気を燃焼、膨張させて、動力を発生させる内燃機関である。エンジン11は、例えば自動車や船舶に搭載されたディーゼルエンジンである。
【0018】
吸気管路12は、エンジン11に吸気を供給する管路である。吸気管路12には、第1冷却器13が設けられている。第1冷却器13は、エンジン11に供給される吸気を冷却する。第1冷却器13は、エンジン11の冷却水又は外気と、吸気とを熱交換させることで吸気を冷却する熱交換器である。
【0019】
吸気管路12には、センサ5が設けられている。センサ5は、例えば吸気管路12を通る吸気の流量を検出する吸気流量センサである。また、センサ5は、吸気の圧力を検出する圧力センサ、又は吸気に含まれる酸素の濃度を検出する酸素濃度センサであってもよい。なお、吸気管路12には、上記の3つのセンサのうちの少なくとも一つが設けられていればよいが、3つのセンサのうち2種類以上のセンサが設けられていてもよい。
【0020】
排気管路14は、エンジン11の排気を外部に排出する管路である。排気管路14には、タービン41が設けられている。タービン41は、排気が通過することで回転する。コンプレッサ42は、吸気管路12において第1冷却器13の上流に設けられている。コンプレッサ42は、タービン41に連結されている。コンプレッサ42は、タービン41の回転に連動して回転することで、吸気を過給する。
【0021】
再循環管路15は、排気管路14においてタービン41の上流の第1分岐点181から分岐しており、エンジン11の排気を吸気管路12に還流させる管路である。再循環管路15は、排気管路14の第1分岐点181から分岐する管路182と、管路182から第2分岐点183で分岐する第1管路16及び第2管路17とを有する。
【0022】
管路182における第2分岐点183の上流には、第2冷却器19が設けられている。第2冷却器19は、吸気管路12に還流する排気を冷却する。第2冷却器19は、エンジン11の冷却水又は外気と、吸気管路12に還流される排気とを熱交換させることで還流される排気を冷却する熱交換器である。
【0023】
第1管路16は、吸気管路12における第1冷却器13の上流に排気を還流する。具体的には、第1管路16は、排気管路14におけるタービン41の上流の第1分岐点181で分岐する管路182に設けられた第2冷却器19を通過した排気を、吸気管路12における第1冷却器13とコンプレッサ42との間に還流する。
【0024】
第1管路16には、第1逆止弁31が設けられている。第1逆止弁31は、第1管路16において第2冷却器19と吸気管路12の間に設けられている。第1逆止弁31は、第1管路16から吸気管路12に向かう排気を通過させ、吸気管路12から第1管路16に向かう吸気を遮断する。
【0025】
第2管路17は、吸気管路12における第1冷却器13の下流に排気を還流する。具体的には、第2管路17は、排気管路14におけるタービン41の上流の第1分岐点181で分岐する管路182に設けられた第2冷却器19を通過した排気を、吸気管路12における第1冷却器13とエンジン11との間に還流する。
【0026】
第2管路17には、第2逆止弁32が設けられている。第2逆止弁32は、第2管路17において第2冷却器19と吸気管路12の間に設けられている。第2逆止弁32は、第2管路17から吸気管路12に向かう排気を通過させ、吸気管路12から第2管路17に向かう吸気を遮断する。
【0027】
再循環管路15には、第2冷却器19を通過した排気を、第1管路16又は第2管路17のいずれを通して吸気管路12に還流するかを切替え可能な一以上の制御弁が設けられている。例えば、再循環管路15には、第1制御弁211及び第2制御弁212が設けられている。第1制御弁211は、吸気管路12における第1冷却器13の上流に排気を還流するか否かを切り替える。第2制御弁212は、吸気管路12における第1冷却器13の下流に排気を還流するか否かを切り替える。具体的には、第1制御弁211を全開、第2制御弁212を全閉にすることにより、吸気管路12における第1冷却器13の上流に排気が還流される。第1制御弁211を全閉、第2制御弁212を全開にすることにより、吸気管路12における第1冷却器13の下流に排気が還流される。
【0028】
なお、第1制御弁211及び第2制御弁212は、通過する排気の量を調整可能である。具体的には、第1制御弁211及び第2制御弁212は、開弁度を調整することで吸気管路12に還流する排気の量を調整できる。
【0029】
弁制御装置6は、記憶部61及び制御部62を有する。記憶部61は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等を含む記憶媒体である。記憶部61は、制御部62が実行するプログラムを記憶する。
【0030】
制御部62は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含む計算リソースである。制御部62は、記憶部61に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部621及び弁制御部622としての機能を実現する。
【0031】
取得部621は、エンジン11の燃焼室に供給された吸気及び燃料の混合気中の空気の余剰度を示す空気過剰率を取得する。例えば、取得部621は、吸気流量センサが検出した吸気の流量と、エンジン11の燃焼室に噴射された燃料の量とに基づく空気過剰率を取得する。また、取得部621は、センサ5が検出した酸素の濃度又は吸気の圧力と、エンジン11の燃焼室に噴射された燃料の量に基づく空気過剰率を取得してもよい。空気過剰率は、混合気中の酸素と燃料が過不足なく反応するときに必要な空気の量に対する、実際に供給された空気の量の比である。なお、エンジン11から排出される煤の量は、空気過剰率により決まり、空気過剰率が小さくエンジン11に供給される空気の量が少ないほど多くなる。
【0032】
弁制御部622は、第1制御弁211及び第2制御弁212の開閉を制御して、第2冷却器19を通過した排気を、第1管路16又は第2管路17のいずれを通して吸気管路12に還流するかを切り替える。例えば、弁制御部622は、空気過剰率が所定値以上の場合、第1管路16を通して排気を還流させるように第1制御弁211を開き、第2制御弁212を全閉にする。所定値は、例えば、排気に含まれる煤の量が第1冷却器13に問題が生じない量であるか否かを判定するための値である。所定値は、第1冷却器13の仕様や実験などにより定められている。このように、弁制御部622は、煤の発生が少ない場合には吸気管路12における第1冷却器13の上流に排気を還流するので、第1冷却器13の下流に排気を還流するよりも排気を冷却できる。
【0033】
弁制御部622は、空気過剰率が所定値未満の場合、第2管路17を通して排気を還流させるように第1制御弁211を全閉にし、第2制御弁212を開く。このようにすることで、弁制御部622は、煤の発生が比較的多い場合には吸気管路12における第1冷却器13の下流に煤を含む排気を還流するので、第1冷却器13への煤の堆積を抑制できる。第1冷却器13に煤が堆積すると、第1冷却器13と吸気の間の熱交換が阻害されて冷却効率が低下するが、上記のとおり、弁制御部622は、第1冷却器13への煤の堆積を抑制できるので、第1冷却器13の冷却性能の低下を抑制できる。
【0034】
[第1実施の形態における還流先を決定する処理]
図2は、第1実施の形態における還流先を決定する処理の一例を示すフローチャートである。第1実施の形態における還流先を決定する処理は、エンジン11が始動している間、所定間隔で実行される。所定間隔は、例えば1秒であるが、これに限定するものではない。
【0035】
取得部621は、空気過剰率を取得する(ステップS11)。例えば、取得部621は、吸気の圧力と、エンジン11の燃焼室に噴射された燃料の量に基づく空気過剰率を取得する。
【0036】
弁制御部622は、取得された空気過剰率が所定値未満であるか否かを判定する(ステップS12)。弁制御部622は、空気過剰率が所定値未満である場合(ステップS12でYes)、第1制御弁211を閉じ、第2制御弁212を開く(ステップS13)。具体的には、弁制御部622は、第1制御弁211を全閉にし、第2制御弁212を開く。これにより、弁制御部622は、排出される煤の量が多くなる場合に、吸気管路12における第1冷却器13の下流に排気を還流するので、第1冷却器13への煤の堆積を抑制できる。
【0037】
弁制御部622は、空気過剰率が所定値以上である場合(ステップS12でNo)、第2制御弁212を閉じ、第1制御弁211を開く(ステップS14)。具体的には、弁制御部622は、第2制御弁212を全閉にし、第1制御弁211を開く。これにより、弁制御部622は、排出される煤の量が少なくなる場合に、吸気管路12における第1冷却器13の上流に排気を還流するので、第1冷却器13の下流に排気を還流するよりも排気を冷却できる。
【0038】
[第1実施の形態の再循環システムSの効果]
以上説明したとおり、第1実施の形態の再循環システムSは、エンジン11に吸気を供給する吸気管路12に設けられて吸気を冷却する第1冷却器13の上流にエンジン11の排気を還流する第1管路16、及び吸気管路12における第1冷却器13の下流に排気を還流する第2管路17を有する。また、第1実施の形態の再循環システムSは、第1管路16及び第2管路17が分岐する第2分岐点183とエンジン11との間に設けられて、吸気管路12に還流する排気を冷却する第2冷却器19と、第2冷却器19を通過した排気を、第1管路16又は第2管路17のいずれを通して吸気管路12に還流するかを切替え可能な第1制御弁211及び第2制御弁212とを有する。
【0039】
第1実施の形態の再循環システムSは、第1制御弁211及び第2制御弁212の開閉を制御することで、吸気管路12における第1冷却器13の上流に排気を還流するか、第1冷却器13の下流に排気を還流するかを切替え可能である。これにより、第1実施の形態の再循環システムSは、排気に含まれる煤の量が多い場合には吸気管路12における第1冷却器13の下流に排気を還流することで、第1冷却器13への煤の堆積を抑制できる。また、第1実施の形態の再循環システムSは、排気に含まれる煤の量が少ない場合には吸気管路12における第1冷却器13の上流に排気を還流することで、排気をより冷却できる。
【0040】
[第2実施の形態の再循環システムS]
図3は、第2実施の形態の再循環システムSの構成を説明するための図である。以下、第2実施の形態の再循環システムSについて、第1実施の形態の再循環システムSと異なる点について説明し、同様の点については割愛する。第2実施の形態の再循環システムSは、第1実施の形態の再循環システムSの第1制御弁211及び第2制御弁212に替えて、第1実施の形態の第2分岐点183が設けられていた所に三方弁213が設けられている。三方弁213は、第2冷却器19を通過した排気を、第1管路16又は第2管路17のいずれを通して吸気管路12に還流するかを切替え可能な三方弁である。
【0041】
第2実施の形態に係る再循環システムSは、還流する排気の流量を調整するための流量調節弁を有する。流量調節弁は、例えば再循環管路15に設けられている。具体例を挙げると、流量調節弁は、再循環管路15における第1分岐点181と第2冷却器19の間、もしくは第2冷却器19と三方弁213の間に設けられている。また、流量調整弁は、一つだけでなく複数設けられていてもよい。この場合、流量調節弁は、第1管路16及び第2管路17の各々に一つずつ設けられる。そして、第2実施の形態に係る再循環システムSは、流量調節弁の開弁度を調節することで還流する排気の量を調整することができる。
【0042】
第2実施の形態の取得部621は、空気過剰率に替えて、エンジン11の回転数及び負荷を取得する。取得部621は、例えばエンジン11の出力軸の回転数を検出するセンサからエンジン11の回転数を取得する。また、取得部621は、エンジン11の出力軸にかかる負荷を取得するトルクセンサが検出したトルクを負荷として取得する。
【0043】
第2実施の形態の弁制御部622は、空気過剰率に替えて、エンジン11の回転数及び負荷の少なくともいずれかに基づいて第1管路16又は第2管路17のいずれを通して吸気管路12に還流するかを切り替える。
【0044】
例えば、エンジン11の回転数が、回転数が低回転か否かを判定するための低回転閾値未満の場合、排出される排気の量や圧力が低下するため、タービン41の回転数が低下する。タービン41の回転数が低下すると、コンプレッサ42の回転数が低下するので、吸気の圧縮率が低下する。この場合、エンジン11に供給される吸気の量が低下するため、空気過剰率が低くなり、排気の煤の量が増加する。そのため、弁制御部622は、取得された回転数が低回転閾値未満である場合、第2管路17を通して吸気管路12に排気を還流させるように三方弁213を制御する。これにより、弁制御部622は、吸気の圧縮率が低下することで空気過剰率が低下し、煤の量が増加する場合に、第2管路17を通して吸気管路12に排気を還流させるので、第1冷却器13への煤の堆積を抑制することが可能になる。
【0045】
エンジン11の回転数が中程度の場合には、低回転の場合よりも多くの空気が供給されるので、回転数が低回転の場合よりも煤の発生が減少する。そこで、弁制御部622は、回転数が低回転閾値以上であり、かつ回転数が高回転閾値未満である場合、第1管路16を通して吸気管路12に排気を還流させるように三方弁213を制御する。これにより、再循環システムSは、煤の発生が抑制される場合には吸気管路12における第1冷却器13の上流に排気を還流することで、排気をより冷却できる。
【0046】
ところで、排気の煤の量は、エンジン11の回転数及び負荷が高い場合にも増加する。具体的には、コンプレッサ42が吸気を過給しても、エンジン11に供給される吸気の量が不足するため空気過剰率が低下するため、煤の量は増加する。
【0047】
そこで、弁制御部622は、エンジン11の回転数及び負荷が高い場合、第2管路17を通して吸気管路12に排気を還流させる。具体的には、弁制御部622は、回転数が高回転か否かを判定するための高回転閾値以上であり、かつ負荷が、負荷が高負荷か否かを判定するための負荷閾値以上である場合、第2管路17を通して吸気管路12に排気を還流させるように三方弁213を制御する。これにより、弁制御部622は、エンジン11に供給される吸気の量が不足するために煤の量が増加する場合にも、第2管路17を通して吸気管路12に排気を還流させるので、第1冷却器13への煤の堆積を抑制することが可能になる。
【0048】
上記のとおり、エンジン11の回転数及び負荷が高い場合にはエンジン11に供給される吸気の量が不足するので、発生する煤の量が増加する。一方、エンジン11の負荷が低い場合には燃焼に必要な量の吸気をエンジン11に供給できるので、煤の発生が抑制される。
【0049】
そこで、弁制御部622は、エンジン11の負荷が負荷閾値未満の場合、第1管路16を通して吸気管路12に排気を還流させる。具体的には、弁制御部622は、回転数が高回転閾値以上であっても、負荷が負荷閾値未満である場合、第1管路16を通して、吸気管路12における第1冷却器13の上流に排気を還流させるように三方弁213を制御する。このようにすることで、弁制御部622は、エンジン11の負荷が低く煤の発生が抑制される場合には、排気をより冷却することができる。
【0050】
[第2実施の形態における還流先を決定する処理]
図4は、第2実施の形態における還流先を決定する処理の一例を示すフローチャートである。第2実施の形態における還流先を決定する処理は、エンジン11が始動している間、所定間隔で実行される。所定間隔は、例えば1秒であるが、これに限定するものではない。
【0051】
取得部621は、エンジン11の回転数を取得する(ステップS21)。例えば、取得部621は、エンジン11の出力軸の回転数を検出するセンサからエンジン11の回転数を取得する。
【0052】
弁制御部622は、取得部621が取得したエンジン11の回転数が低回転閾値以上であるか否かを判定する(ステップS22)。弁制御部622は、回転数が低回転閾値未満である場合(ステップS22でNo)、第2管路17を通して排気を還流させる(ステップS26)。具体的には、弁制御部622は、第2管路17を通して吸気管路12における第1冷却器13の下流に排気を還流させるように三方弁213を制御する。
【0053】
弁制御部622は、エンジン11の回転数が低回転閾値以上である場合(ステップS22でYes)、エンジン11の回転数が高回転閾値以上であるか否かを判定する(ステップS23)。取得部621は、回転数が高回転閾値以上であると弁制御部622が判定した場合(ステップS23でYes)、エンジン11の負荷を取得する(ステップS24)。例えば、取得部621は、エンジン11の出力軸にかかる負荷を取得するトルクセンサが検出したトルクを負荷として取得する。
【0054】
弁制御部622は、取得部621が取得した負荷が負荷閾値以上であるか否かを判定する(ステップS25)。弁制御部622は、負荷が閾値以上の場合(ステップS25でYes)、つまりエンジン11が高回転かつ高負荷の場合、第2管路17を通して排気を還流させる(ステップS26)。
【0055】
弁制御部622は、回転数が低回転閾値以上かつ高回転閾値未満である場合(ステップS23でNo)、又は回転数が高回転閾値以上かつ負荷が負荷閾値未満である場合(ステップS25でNo)、第1管路16を通して排気を還流させる(ステップS27)。具体的には、弁制御部622は、第1管路16を通して吸気管路12における第1冷却器13の上流に排気を還流させるように三方弁213を制御する。
【0056】
[第2実施の形態の再循環システムSの効果]
以上説明したとおり、第2実施の形態の再循環システムSは、第1実施の形態の再循環システムSの第1制御弁211及び第2制御弁212に替えて、第1管路16又は第2管路17のいずれを通して吸気管路12に還流するかを切替え可能な三方弁213を有する。
【0057】
第2実施の形態の再循環システムSは、三方弁213を制御することで、吸気管路12における第1冷却器13の上流に排気を還流するか、第1冷却器13の下流に排気を還流するかを切替え可能である。これにより、第2実施の形態の再循環システムSは、排気に含まれる煤の量が多い場合には吸気管路12における第1冷却器13の下流に煤を含む排気を還流することで、第1冷却器13への煤の堆積を抑制できる。また、第2実施の形態の再循環システムSは、排気に含まれる煤の量が少ない場合には吸気管路12における第1冷却器13の上流に排気を還流することで、排気をより冷却できる。
【0058】
(変形例)
再循環システムSは、第1実施の形態の構成と、第2の実施の形態の構成とを組み合わせてもよい。例えば、再循環システムSは、三方弁213を有し、空気過剰率が所定値未満の場合に第2管路17を通して吸気管路12に排気を還流させるように三方弁213を制御し、空気過剰率が所定値以上の場合に第1管路16を通して、吸気管路12における第1冷却器13の上流に排気を還流させるように三方弁213を制御してもよい。また、再循環システムSは、エンジン11の回転数及び負荷の少なくともいずれかに基づいて第1制御弁211及び第2制御弁212の開閉を制御して、第2冷却器19を通過した排気を、第1管路16又は第2管路17のいずれを通して吸気管路12に還流するかを切り替えてもよい。
【0059】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0060】
S 再循環システム
11 エンジン
12 吸気管路
13 第1冷却器
14 排気管路
15 再循環管路
16 第1管路
17 第2管路
181 第1分岐点
182 管路
183 第2分岐点
19 第2冷却器
31 第1逆止弁
32 第2逆止弁
41 タービン
42 コンプレッサ
5 センサ
6 弁制御装置
61 記憶部
62 制御部
211 第1制御弁
212 第2制御弁
213 三方弁
621 取得部
622 弁制御部
【手続補正書】
【提出日】2024-05-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンに吸気を供給する吸気管路と、
前記エンジンの排気が流れる排気管路と、
前記吸気管路に設けられて吸気を冷却する第1冷却器と、
前記エンジンの排気を冷却する第2冷却器と、
前記第2冷却器で冷却された排気を前記吸気管路に還流する再循環管路と、
を有し、
前記再循環管路は、
前記第2冷却器で冷却された前記排気を前記吸気管路における前記第1冷却器の上流に還流する第1管路と、
前記第2冷却器で冷却された前記排気を前記吸気管路における前記第1冷却器の下流に還流する第2管路と、
前記第2冷却器により冷却された前記排気を、前記第1管路又は前記第2管路のいずれを通して前記吸気管路に還流するかを切替え可能な一以上の制御弁と、
を有し、
前記エンジンの回転数が高回転閾値以上であり、かつ、前記エンジンの負荷が負荷閾値以上である場合、前記第2管路を通して前記吸気管路に前記排気を還流させるように前記制御弁を制御する制御部を更に有する再循環システム。
【請求項2】
前記第2冷却器は、前記排気管路から前記再循環管路が分岐する第1分岐点と、前記再循環管路における前記第1管路及び前記第2管路が分岐する第2分岐点との間に設けられる、
請求項1に記載の再循環システム。
【請求項3】
前記エンジンの燃焼室に供給された吸気及び燃料の混合気中の空気の余剰度を示す空気過剰率が所定値以上の場合、前記第1管路を通して前記吸気管路における前記第1冷却器の上流に前記排気を還流させるように前記制御弁を制御し、前記空気過剰率が所定値未満の場合、前記第2管路を通して前記吸気管路における前記第1冷却器の下流に前記排気を還流させるように前記制御弁を制御する制御部を有する、
請求項1に記載の再循環システム。
【請求項4】
前記エンジンの回転数が、低回転閾値未満である場合、前記第2管路を通して前記吸気管路に前記排気を還流させるように前記制御弁を制御する弁制御部と、を有する、
請求項1に記載の再循環システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記回転数が前記高回転閾値未満である場合、又は前記負荷が前記負荷閾値未満である場合、前記第1管路を通して前記吸気管路に前記排気を還流させるように前記制御弁を制御する、
請求項1に記載の再循環システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記エンジンの回転数が、低回転閾値以上、かつ高回転閾値未満である場合、前記第1管路を通して前記吸気管路に前記排気を還流させるように前記制御弁を制御する、
請求項1に記載の再循環システム。
【請求項7】
前記排気管路に設けられて、前記排気が通過することで回転するタービンと、
前記第1冷却器の上流の前記吸気管路に設けられて、前記タービンの回転により吸気を過給するコンプレッサと、を有し、
前記第1管路は、前記排気管路における前記タービンの上流から、前記吸気管路における前記第1冷却器と前記コンプレッサとの間に前記排気を還流し、
前記第2管路は、前記排気管路における前記タービンの上流から、前記吸気管路における前記第1冷却器と前記エンジンとの間に前記排気を還流する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の再循環システム。