(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025184
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
F21S 8/04 20060101AFI20250214BHJP
F21V 29/77 20150101ALI20250214BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
F21S8/04 110
F21V29/77
F21V19/00 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129747
(22)【出願日】2023-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】天羽 裕史
【テーマコード(参考)】
3K013
【Fターム(参考)】
3K013AA04
3K013BA01
3K013EA01
(57)【要約】
【課題】放熱フィンの損傷を防止することができる照明器具を得る。
【解決手段】照明器具は、発光素子が実装された基板を有する発光部と、板状に構成されて一方の面に発光部が取り付けられたベース部、及び、ベース部の他方の面から第1方向に突設された放熱フィンを有するヒートシンク部と、放熱フィンの第1方向側の端部を覆うように、ヒートシンク部に取り付けられた天板部と、ベース部の他方の面から第1方向に突出し、放熱フィンを囲っているフレームと、フレームに固定され、フレームから第1方向と交差する第2方向に延出し、放熱フィンと共に天板部を挟持している押さえ板と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子が実装された基板を有する発光部と、
板状に構成されて一方の面に前記発光部が取り付けられたベース部、及び、前記ベース部の他方の面から第1方向に突設された放熱フィンを有するヒートシンク部と、
前記放熱フィンの前記第1方向側の端部を覆うように、前記ヒートシンク部に取り付けられた天板部と、
前記ベース部の前記他方の面から前記第1方向に突出し、前記放熱フィンを囲っているフレームと、
前記フレームに固定され、前記フレームから前記第1方向と交差する第2方向に延出し、前記放熱フィンと共に前記天板部を挟持している押さえ板と、
を備えた照明器具。
【請求項2】
前記天板部は、
前記放熱フィンと対抗する面から前記第1方向に突出し、前記放熱フィンに嵌合される爪部を有する
請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記押さえ板は、
前記天板部に面接触している
請求項1又は2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記押さえ板は、
前記天板部による前記第1方向の移動を規制し、且つ、前記天板部による前記第2方向の移動を許容する
請求項1又は2に記載の照明器具。
【請求項5】
前記押さえ板は、
前記天板部の前記第2方向における一方の端部から他方の端部に渡って設けられている
請求項1又は2に記載の照明器具。
【請求項6】
前記押さえ板は、
前記天板部の前記第2方向における一方の端部から延びる第1押さえ板と、
前記第2方向における他方の端部にから延びる第2押さえ板と、
を含む
請求項1又は2に記載の照明器具。
【請求項7】
前記押さえ板は、複数の押さえ板を含み、
前記複数の押さえ板は、前記天板部の縁部から前記天板部の中央に向かって延びるように配置されている
請求項1又は2に記載の照明器具。
【請求項8】
前記天板部には、前記天板部を保持する保持部が形成されており、
前記保持部において、前記天板部が、前記放熱フィンに接触している
請求項1又は2に記載の照明器具。
【請求項9】
前記天板部と、前記押さえ板との界面に、摩擦を低減させることを目的とした表面処理が施されている
請求項1又は2に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒートシンクを備えた照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
照明器具として、例えば、特許文献1に記載されるように、光源部が取り付けられているベースプレートと、ベースプレートから立設された放熱フィンと、放熱フィンの先端に嵌合する爪を有する天板と、を備えた構成が提案されている。特許文献1は、爪を有する天板を備えることで、放熱フィンが振動することを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の天板は、ベースプレートに設けられ、放熱フィンを囲っているフレームに固定されており、フレームに対し、上下方向及び水平方向共に移動することができない構成になっている。そのため、放熱フィンに振動による力がかかった場合に、天板と放熱フィンとがそれぞれ別の動きをして、天板の爪が放熱フィンに当たってしまい、放熱フィンが損傷してしまう。
【0005】
本開示は、放熱フィンの損傷を防止することができる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る照明器具は、発光素子が実装された基板を有する発光部と、板状に構成されて一方の面に前記発光部が取り付けられたベース部、及び、前記ベース部の他方の面から第1方向に突設された放熱フィンを有するヒートシンク部と、前記放熱フィンの前記第1方向側の端部を覆うように、前記ヒートシンク部に取り付けられた天板部と、前記ベース部の前記他方の面から前記第1方向に突出し、前記放熱フィンを囲っているフレームと、前記フレームに固定され、前記フレームから前記第1方向と交差する第2方向に延出し、前記放熱フィンと共に前記天板部を挟持している押さえ板と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る照明器具によれば、押さえ板がヒートシンク部とともに天板部を挟持しており、ヒートシンク部が移動すると天板部がフレームと連動せず、ヒートシンク部に伴って移動することができる。このため、天板部がフレームと連動することによるヒートシンク部の放熱フィンの損傷が抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る照明器具の斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係る照明器具の分解斜視図である。
【
図3】実施の形態1に係る照明器具の正面図である。
【
図4】実施の形態1に係る照明器具の上面図である。
【
図5】実施の形態1に係る照明器具の側面図である。
【
図6】実施の形態1に係る照明器具の下面図である。
【
図7】実施の形態1に係る照明器具の押さえ板の斜視図である。
【
図8】実施の形態1に係る照明器具の押さえ板の側面図である。
【
図9】実施の形態1に係る照明器具の押さえ板の上面図である。
【
図10】実施の形態1に係る照明器具の押さえ板がフレームに取り付けられた状態を示す側面模式図である。
【
図11】比較例に係る照明器具に振動を加えた際の挙動を示す模式図である。
【
図12】実施の形態1の変形例1に係る照明器具の上面図である。
【
図13】実施の形態1の変形例2に係る照明器具の上面図である。
【
図14】実施の形態1の変形例3に係る照明器具において押さえ板と天板部との間隔がある場合の部分側面図である。
【
図15】実施の形態1の変形例3に係る照明器具において天板部が保持部により保持されている場合の部分側面図である。
【
図16】比較例に係る照明器具1において押さえ板と天板部との間隔がある場合の部分側面図である。
【
図17】比較例に係る照明器具1において天板部が保持部により保持されている場合の部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して説明する。本開示は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、本開示は、以下の実施の形態及びその変形例に示す構成のうち、組み合わせ可能な構成のあらゆる組み合わせを含むものである。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。なお、各図面では、各構成部材の相対的な寸法関係又は形状等が実際のものとは異なる場合がある。
【0010】
なお、以下の説明では、方向を表す用語が適宜用いられているが、これは説明のためのものであって、これらの用語は照明器具を限定するものではない。方向を表す用語としては、例えば、「上」、「下」、「右」、「左」、「前」又は「後」等が挙げられる。また、以下に説明する各図において、Z軸は上下方向を示し、X軸は、左右方向すなわち幅方向を示し、Y軸は、前後方向すなわち奥行方向を示す。X軸、Y軸、Z軸は、直交しており、X軸及びY軸は水平方向であり、Z軸は垂直方向(例えば、鉛直方向)である。なお、これらの呼称は説明のために便宜上定めたものであり、装置及び部品等の配置及び向き等を限定するものではない。また、Z方向は「第1方向」と呼ばれることがあり、XY方向は「第2方向」と呼ばれることがある。
【0011】
<照明器具の構成>
図1は、実施の形態1に係る照明器具1の斜視図である。
図2は、実施の形態1に係る照明器具1の分解斜視図である。
図3は、実施の形態1に係る照明器具1の正面図である。
図4は、実施の形態1に係る照明器具1の上面図である。
図5は、実施の形態1に係る照明器具1の側面図である。
図6は、実施の形態1に係る照明器具1の下面図である。
【0012】
図1~
図6に示すように、照明器具1は、発光部11と、カバー部12と、ヒートシンク部13と、天板部15と、フレーム14と、押さえ板17と、電源装置16とを備えている。照明器具1は、例えば、天井などの被取付部に取り付けられるものである。
【0013】
発光部11は、発光素子111が実装された基板112を備えている。基板112は、円形で平板形状の電子基板である。基板112の一方の面は、発光素子111が実装される実装面になっている。基板112には、発光素子111の電極に電気的に接続された配線用の導体(図示省略)が設けられている。また、基板112は、不図示の基板端子を介し、電源装置16からの電力供給を受ける。
【0014】
カバー部12は、発光部11を保護するものである。カバー部12は、透過性を有する材料、例えば、ガラスにより形成されている。カバー部12は、発光部11を覆うように、ヒートシンク部13のベース部131に取り付けられている。カバー部12の発光部11と対向する面には、発光素子111からの光を所定の配光に制御するレンズ121が設けられている。
【0015】
ヒートシンク部13は、発光部11が取り付けられるものである。ヒートシンク部13には、発光部11が発光する際に発生する熱が伝熱される。ヒートシンク部13は、伝熱された熱を放熱する。ヒートシンク部13は、ベース部131と、フィン部132とを有している。フィン部132は、放熱フィンの一例である。ベース部131及びフィン部132は、それぞれ、板状の金属部材を加工して形成されている。金属部材は、例えば、放熱性が良く、鉄などより軽い、アルミニウムである。アルミニウムを用いることで、ヒートシンク部13が軽量になるとともに、放熱性が向上される。
【0016】
ベース部131は、金属の板材をプレス加工などにより曲げて形成されている。ベース部131は、矩形状に形成されている。ベース部131の一方の面、つまり、下方向Z2側の面は、発光部11が保持する光源取付部1311aになっている。光源取付部1311aには、発光部11の基板112の実装面とは反対側の面が当接するように、発光部11が取り付けられている。ベース部131の他方の面、つまり、上方向Z1側の面は、フィン取付部1311bになっている。フィン取付部1311bには、フィン部132が取り付けられる。
【0017】
ベース部131には、各側辺より下方向Z2側に突出したベース鍔部1312が形成されている。ベース鍔部1312は、ベース部131に対して直交するように設けられており、ベース部131の剛性を補強するものである。ベース鍔部1312は、下方向Z2側に突出しているため、上方向Z1側に突出する場合と比較して、ベース部131に埃又は雨水及び結露水などの水が溜まるのを抑制することができる。
【0018】
フィン部132は、ベース部131のフィン取付部1311bに、複数配設されている。フィン部132は、ベース部131から第1方向に延びるようにベース部131に取り付けられている。すなわち、フィン部132は、ベース部131に交差する方向に延びている。フィン部132は、例えば、ベース部131に直交するように上方向Z1へ突設されている。
【0019】
フィン部132は、フィン取付部1311bの中央を中心に、渦巻状になるように配設されている。フィン部132は、板状の金属部材により形成されており、不図示のフィン固定部により、ベース部131のフィン取付部1311bに固定されている。フィン部132は、フィン固定部においては、例えば、ネジなどの部材、又は、かしめ加工などにより、フィン取付部1311bに固定されている。
【0020】
複数のフィン部132は、周方向に配設されている。複数のフィン部132は、隣接するフィン部132と間隔を設けて配設されている。複数のフィン部132は、水平方向XYにおいて、ベース部131のフィン取付部1311bの中心を挟んで径方向に対向する他のフィン部132との間に空間を設けて配設されている。
【0021】
フィン部132には、フィン凸部1324が設けられている。フィン凸部1324は、天板部15に差し込まれる部分である。フィン凸部1324は、フィン部132の上方向Z1側の側部である上端部1325から、上方向Z1側へ突出するように設けられている。
【0022】
フレーム14は、ヒートシンク部13を支持し、且つ、天井などの被取付部に取り付けられるアームとして機能する。フレーム14は、ヒートシンク部13のベース部131の対向する2つの辺に沿って2つ配設されている。フレーム14は、ヒートシンク部13のフィン部132を囲うように、ヒートシンク部13のベース部131から立設されている。フレーム14は、ヒートシンク部13のベース部131の対向する辺に沿って2つ配設された構成に限定されず、例えば、ヒートシンク部13のベース部131の各辺に配設された構成であってもよい。
【0023】
フレーム14は、フレーム主部141と、フレーム側部142と、フレーム上側部146と、ベース固定部143と、アーム部144と、を有している。フレーム14は、例えば、板状の金属板が折り曲げられて形成されている。フレーム14は、ベース部131と比較して、ベース部131よりも強度の高い金属部材を用いて構成されていても良い。その場合、フレーム14は、例えば、鉄又はステンレスなどから構成される。あるいは、フレーム14は、ベース部131と同様に、アルミニウムなどの熱伝導率の大きい材料にすることで、放熱能力を向上させることも可能である。
【0024】
フレーム主部141は、矩形の板形状であり、ベース部131の他方の面であるフィン取付部1311bから、上方向Z1側、つまり、第1方向に突出するように配置されている。フレーム主部141は、上下方向Zにおいて、フィン部132がフィン取付部1311bから突出している寸法と同じ寸法を有する。フレーム側部142は、フレーム主部141の両側辺に形成されている。フレーム側部142は、ベース部131の辺に沿うように、フレーム主部141の両側縁から屈曲して延び出た部分である。フレーム側部142は、フレーム主部141の上側縁から屈曲して、ベース部131の面と平行な方向に延び出た部分である。フレーム主部141とフレーム側部142とフレーム上側部146とにより、ヒートシンク部13の側面が覆われている。
【0025】
フレーム主部141には、フレーム14の板厚方向に貫通する貫通孔である押さえ板固定部1441が設けられている。押さえ板固定部1441は、フレーム主部141のうち、天板部15よりも上方Z1側に延び出た部分であって、アーム部144に至る部分に設けられている。押さえ板固定部1441は、押さえ板17をフレーム14に固定するための穴であり、例えば、タップ加工により螺旋状の溝が形成された穴、又は、リベット用に形成された穴などである。押さえ板固定部1441には、アーム部144の外側から固定部材1722が挿し込まれる。
【0026】
ベース固定部143は、フレーム主部141の下方向Z2側に形成されている。ベース固定部143は、フレーム側部142と同じように、ベース部131のフィン取付部1311bに沿うように、フレーム主部141から屈曲して延び出た部分である。ベース固定部143には、貫通孔である不図示のフレーム固定部が設けられており、フレーム固定部にカバー固定部材40が挿し込まれ、螺合されている。カバー固定部材40が螺合されることで、カバー部12と発光部11とヒートシンク部13とフレーム14とが一体になるように接続されている。
【0027】
アーム部144は、フレーム主部141の上方向Z1側に形成されている。アーム部144は、フレーム主部141から上方向Z1側に延び出ている。アーム部144は、照明器具1を天井などの被取付部に取り付け固定するための部分である。アーム部144は、2つのフレーム主部141のそれぞれから上方に延び、更に屈曲して互いに離れる方向に延びるように形成されている。アーム部144には、フレーム14の板厚方向に貫通する貫通孔であるアーム部固定部1442が設けられている。アーム部固定部1442には、例えば、被取付部に設けられた吊りボルトなど固定するための部材が挿し込まれる。
【0028】
天板部15は、円板形状に形成された部材である。天板部15は、フィン部132の上方向Z1側の上端部1325、つまり、第1方向側の上端部1325を覆っている。天板部15は、ヒートシンク部13に埃などが溜まらないように設けられている。天板部15は、板材にプレス加工などを施して形成されている。天板部15は、放熱性が良く、鉄よりも軽い材料の板材から構成されている。天板部15は、例えば、アルミニウムから構成されている。
【0029】
天板部15は、ヒートシンク部13のベース部131に対し、上下方向Zで対向して配置されている。天板部15には、天板開口部151と、爪部152と、が設けられている。天板開口部151、及び、爪部152は、それぞれ、天板部15の中央部を中心とする同心円の周方向に、一定の間隔を空けて配置されている。
【0030】
天板開口部151は、フィン部132のフィン凸部1324が挿し込まれる開口である。天板開口部151は、例えば、天板部15の中央部を中心とした円周に沿って延びた楕円形状をした長穴である。天板開口部151は、それぞれ、複数のフィン凸部1324が挿し込めるように形成されている。天板開口部151に、フィン凸部1324が挿し込まれることで、天板部15とヒートシンク部13とが固定される。
【0031】
爪部152は、天板部15の下方向Z2側の面から突出するように設けられている。爪部152は、ヒートシンク部13のフィン部132が突設されている方向と逆向きに延びている。すなわち、ヒートシンク部13のフィン部132は、Z方向の上方向Z1に向かって延びており、爪部152は、Z方向の下方向Z2に向かって延びている。爪部152は、天板部15の中央部を中心とした円周状に複数設けられている。
【0032】
爪部152は、隣接するフィン部132の間に配置されている。爪部152は、第2方向から、すなわち、右方向X1及び左方向X2から、フィン部132を押圧し、フィン部132の振動を規制する。爪部152は、外風対策として、風が吹いた場合にフィン部132の振幅を抑制し、フィン部132が破壊されないように設けられている。外風対策がなされていないと、風でフィン部132の振幅が増大し、フィン部132が破断してしまう。
【0033】
爪部152は、例えば、切り起こし等の曲げ加工によって形成される。切り起こしとは、板金に対して、曲げたい部分の周囲に切り目を入れる抜き加工が行われ、当該曲げたい部分に金型がセットされて、その部分だけが曲げ加工される加工技術である。爪部152が切り起こしによって形成されている場合、爪部152を天板部15に対して別部品で構成する必要がなくなるため、安価に且つ容易に形成することができる。切り起こしの場合、抜き加工の際に、抜き金型を用いて切り目を形成することができるため、爪部152が設置される位置及びその角度の精度を向上させることができる。なお、この場合に限らず、爪部152は、別部品で構成され、天板部15に対して溶接などにより接合されていてもよい。
【0034】
電源装置16は、外部から供給される電力を変換して発光部11の点灯制御をするものである。電源装置16は、例えば、電源ユニット161と、電源ユニット161を覆うサイドパッキン162及び端板163とにより構成されている。電源装置16は、略直方体の箱形状の外形を有する。電源装置16は、例えば、ヒートシンク部13の側方に、対向しているフレーム14の側縁部に固定されて配置されている。電源装置16が配置される場所は、電源装置16が天板部15に固定される構造でなければ、特に限定されず、例えば、天板部15の上方に配置されていてもよい。
【0035】
押さえ板17は、ヒートシンク部13のフィン部132との間で天板部15を挟持するものである。押さえ板17は、フレーム14に固定されている。押さえ板17は、長尺で板状の部材である。押さえ板17は、例えば、フレーム14と同じ金属材料により形成されていればよい。押さえ板17は、例えば、天板部15と同じ金属材料により形成されていてもよい。
【0036】
<押さえ板の構成>
図7は、実施の形態1に係る照明器具1の押さえ板17の斜視図である。
図8は、実施の形態1に係る照明器具1の押さえ板17の側面図である。
図9は、実施の形態1に係る照明器具1の押さえ板17の上面図である。
図7~
図9に示すように、押さえ板17は、主部171と、立ち上がり部172とを有する。主部171と、立ち上がり部172とは、例えば、長尺状の金属部材を折り曲げ加工することで形成される。
【0037】
主部171は、下方向Z2側の面が、天板部15の上方向Z1側の面と対向するように配置される部分である。
【0038】
立ち上がり部172は、主部171の長手方向における両端部から主部171と交差する方向に延びている。立ち上がり部172は、押さえ板17がフレーム14のアーム部144に固定される部分である。立ち上がり部172は、押さえ板17がフレーム14に固定された状態において、主部171から上方向Z1側、つまり、第1方向に延びる。
【0039】
立ち上がり部172には、押さえ板17の板厚方向に貫通するフレーム固定穴1721が形成されている。フレーム固定穴1721は、固定部材1722が挿通される穴である。固定部材1722は、例えば、ネジ、又は、リベットである。フレーム固定穴1721は、例えば、タップ加工により螺旋状の溝が形成された穴である。フレーム固定穴1721は、リベット用に形成された穴であってもよい。フレーム固定穴1721は、例えば、上下方向Zと交差する方向に、2つ設けられている。
【0040】
図10は、実施の形態1に係る照明器具1の押さえ板17がフレーム14に取り付けられた状態を示す側面模式図である。
図10に示すように、押さえ板17の主部171は、天板部15の上方向Z1側に面接触している。立ち上がり部172は、フレーム主部141の内向面に沿うように配置されている。押さえ板17は、立ち上がり部172に形成されたフレーム固定穴1721に、アーム部144の押さえ板固定部1441を貫通した固定部材1722が挿し込まれ、締結されることで、フレーム14のフレーム主部141に固定されている。
【0041】
押さえ板17の主部171は、天板部15の上方向Z1側の面に当接しているが、天板部15の上方向Z1側の面に対してスライドして移動できるようになっている。このため、フレーム14から押さえ板17に上下方向Zと直交する方向、つまり、第2方向の力が作用しても、その力が天板部15に伝わることが抑制される。
【0042】
また、押さえ板17の主部171は、天板部15の上方向Z1側に面接触しており、天板部15が上下方向Zに移動することが規制されているため、天板部15の爪部152がフィン部132から抜け出ることが防止される。なお、天板部15の面との摺動を容易にするため、主部171の下方向Z2側の面には、摩擦を低減させることを目的とした表面処理が施されているとよい。表面処理は、例えば、フッ素樹脂コーティングであるが、界面の摩擦を低減できれば、フッ素樹脂コーティングに限定されない。
【0043】
<押さえ板の作用>
図11は、比較例に係る照明器具1に振動を加えた際の挙動を示す模式図である。
図11において、点線は、振動が加わった場合のフレーム14の挙動を示し、矢印は、天板部15の挙動を示している。
図11に示すように、比較例に係る照明器具1は、天板部15が押さえ板17により挟持された構成ではなく、直接フレーム14に固定された構成である。
【0044】
照明器具1に上下方向Zと交差する方向の振動が加わると、フレーム14が追従して振動する。天板部15が、フレーム14に固定されている場合、フレーム14が移動すると、天板部15もフレーム14に連動する。
【0045】
一方、ヒートシンク部13のフィン部132は、フレーム14が振動すると、フレーム14に追従して振動すると同時に、フィン部132を通過する風によっても振動するため、フレーム14とは別の動きをする。つまり、フィン部132は、天板部15と異なる動きをする。天板部15とフィン部132とが異なる動きをすると、天板部15の爪部152がフィン部132にあたってしまうと、フィン部132が損傷してしまう。
【0046】
このような比較例に対し、本実施の形態1は、フィン部132の上方向Z1側の上端部1325を覆っている天板部15が、押さえ板17とフィン部132とにより挟持された構成である。このため、天板部15の上下方向Zの移動は規制され、上下方向Zに交差する方向への移動が許容される。
【0047】
天板部15は、天板開口部151においてフィン部132に固定されていることで、フレーム14の振動から独立した挙動を示し、フィン部132と連動して振動することができる。このため、天板部15は、フィン部132が上下方向Zに交差する方向に移動すると、フィン部132に連動して、フィン部132が移動した方向である上下方向Zに交差する方向に移動する。これにより、天板部15の爪部152が、フィン部132にあたることが抑制され、天板部15の爪部152によるフィン部132の損傷が防止できる。
【0048】
<変形例1>
図12は、実施の形態1の変形例1に係る照明器具1の上面図である。
図12に示すように、照明器具1は、第1押さえ板17aと、第2押さえ板17bとを含む。第1押さえ板17aは、フレーム14に固定されている第1立ち上がり部172aと、から天板部15の中心に向かい延びる第1主部171aとにより構成されている。第2押さえ板17bは、フレーム14に固定されている第2立ち上がり部172bと、から天板部15の中心に向かい延びる第2主部171bとにより構成されている。
【0049】
第1押さえ板17aの第1主部171aは、第1立ち上がり部172aから、第2押さえ板17bの第2立ち上がり部172bに向かい延びている。第2押さえ板17bの第2主部171bは、第2立ち上がり部172bから、第1押さえ板17aの第1立ち上がり部172aに向かい延びている。
【0050】
第1押さえ板17aの第1主部171aと、第2押さえ板17bの第2主部171bとは、2つに分割されており、端部同士が離間して配置されている。第1押さえ板17aの第1主部171aと、第2押さえ板17bの第2主部171bとの端部同士の距離Lは、天板部15の上下方向Zの移動を規制できる程度であればよく、特に限定されない。
【0051】
照明器具1が第1押さえ板17aと、第2押さえ板17bとを含むことで、照明器具1に使用する材料が削減され、照明器具1にかかるコストが低減できる。
【0052】
<変形例2>
図13は、実施の形態1の変形例2に係る照明器具1の上面図である。
図13に示すように、照明器具1は、第1押さえ板17aと、第2押さえ板17bとに加え、第3押さえ板17cと、第4押さえ板17dと、の複数の押さえ板17を含む。第1押さえ板17aと、第2押さえ板17bと、第3押さえ板17cと、第4押さえ板17dとは、フレーム14に固定されている端部から天板部15の中央に向かう方向に延びるように配置されている。第3押さえ板17cと、第4押さえ板17dとは、例えば、第1押さえ板17aと、第2押さえ板17bと、が配置されている方向から90度回転させた位置、つまり、4つが周方向に等間隔で配置されている。
【0053】
照明器具1が、第1押さえ板17aと、第2押さえ板17bと、第3押さえ板17cと、第4押さえ板17dとの複数の押さえ板17を含むことで、天板部15の上下方向Zの移動をより安定して規制することができる。
【0054】
<変形例3>
図14は、実施の形態1の変形例3に係る照明器具1において、押さえ板17と天板部15との間隔G1がある場合の部分側面図である。
図15は、実施の形態1の変形例3に係る照明器具1において天板部15が保持部152aにより保持されている場合の部分側面図である。
【0055】
図14及び15に示すように、押さえ板17と天板部15とに間隔G1が生じる場合、天板部15が保持部152aにより保持されることで、天板部15と押さえ板17との間隔G1が埋められ、面接触させることができる。間隔G1は、例えば、押さえ板17が固定される位置の個体差などにより生じ得る。保持部152aは、例えば、天板部15に形成された少なくとも一部の爪部152の高さを増加させることで形成することができる。間隔G1は、爪部152の先端が、フィン部132と重なる状態の隙間であって、例えば、2.5mm未満である。間隔G1は、押さえ板17と天板部15とのクリアランスである。クリアランスの限界値は、例えば、天板部15の材料、又は、板厚によって決まる。
【0056】
天板部15に形成された保持部152aにより、保持部152aにおいて、天板部15がフィン部132に接触し、間隔G1が埋められるため、天板部15の上下方向Zの移動を確実に規制することができる。保持部152aにより押さえ板17と天板部15との間隔G1が埋められることで、天板部15とフィン部132の上部とが離間するため、天板部15とフィン部132の上部との間に空気が流入し、ヒートシンク部13における冷却性能を向上させることができる。
【0057】
<比較例>
図16は、比較例に係る照明器具1において押さえ板17と天板部15との間隔G2がある場合の部分側面図である。
図17は、比較例に係る照明器具1において天板部15が保持部152aにより保持されている場合の部分側面図である。
【0058】
図16及び17に示すように、押さえ板17と天板部15とが、間隔G1よりも大きい間隔G2をおいて配置されている場合、天板部15が保持部152aにより保持されると、押さえ板17と天板部15とが、間隔G2よりも小さい間隔G3になる。間隔G2は、フィン部132と重ならない程度の隙間であって、例えば、2.5mm以上である。押さえ板17と天板部15とが、間隔G2をおいて配置されている場合、保持部152aが設けられたとしても、天板部15と押さえ板17との間隔G2が間隔G3に縮小されるだけで、間隔G2を埋めることはできない。
【0059】
天板部15と押さえ板17との間隔G2を埋めるために、天板部15を上方に移動させると、天板部15とフィン部132との固定が解除され、フィン部132の振動を抑制することができない。一方で、天板部15と押さえ板17との間隔G2が埋められず、天板部15と押さえ板17とが面接触しない場合には、フィン部132の上下方向Zの移動を規制することができない。従って、押さえ板17は、天板部15が保持部152aにより保持され、天板部15との接触を保つことができる位置に固定されている。
【0060】
以上説明した、実施の形態1に係る照明器具1によれば、押さえ板17とフィン部132とにより、天板部15が挟持されており、天板部15がフレーム14に対して移動することが可能である。このため、天板部15は、フィン部132が移動するとその動きに伴って水平方向に移動し、フレーム14と連動することがなく、天板部15とフレーム14とが連動することによるフィン部132の損傷が抑制できる。
【0061】
また、天板部15の爪部152により、天板部15がフィン部132に篏合していても、天板部15が押さえ板17とフィン部132とに挟持されているため、天板部15がフレーム14と連動して移動することがなく、フィン部132の損傷が抑制できる。
【0062】
また、押さえ板17は、天板部15に面接触しているため、天板部15による第1方向である上下方向の移動を規制しながら、第2方向である水平方向の移動を許容することができる。
【0063】
また、押さえ板17が、天板部15による第1方向、つまり、上下方向の移動を規制しているため、天板部15がフィン部132から外れることが抑制されて、フィン部132の間隔が維持される。同時に、押さえ板17が、天板部15による第2方向、つまり、水平方向の移動を許容し、天板部15がフィン部132の移動に伴って第2方向に移動することができるため、天板部15がフィン部132にぶつかることによるフィン部132の損傷が抑制できる。
【0064】
また、押さえ板17は、天板部15の第2方向、つまり、水平方向における一方の端部から他方の端部に渡って設けられているため、天板部15を安定して保持することができる。
【0065】
また、第1押さえ板17aと、第2押さえ板17bとを含むことで、照明器具1に使用する材料が削減され、照明器具1にかかるコストが低減できる。
【0066】
また、第1押さえ板17aと、第2押さえ板17bと、第3押さえ板17cと、第4押さえ板17dとの複数の押さえ板17を含むことで、天板部15の上下方向の移動をより安定して規制することができる。
【0067】
また、押さえ板17は、天板部15に面接触しているため、天板部15による第1方向である上下方向の移動を規制しつつ、第2方向である水平方向への移動を許容することができる。
【0068】
また、天板部15と、押さえ板17との界面には、コーティングが施されているため、天板部15が第2方向へ移動しやすくなる。
【0069】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0070】
(付記1)
発光素子が実装された基板を有する発光部と、
板状に構成されて一方の面に前記発光部が取り付けられたベース部、及び、前記ベース部の他方の面から第1方向に突設された放熱フィンを有するヒートシンク部と、
前記放熱フィンの前記第1方向側の端部を覆うように、前記ヒートシンク部に取り付けられた天板部と、
前記ベース部の前記他方の面から前記第1方向に突出し、前記放熱フィンを囲っているフレームと、
前記フレームに固定され、前記フレームから前記第1方向と交差する第2方向に延出し、前記放熱フィンと共に前記天板部を挟持している押さえ板と、
を備えた照明器具。
(付記2)
前記天板部は、
前記放熱フィンと対抗する面から前記第1方向に突出し、前記放熱フィンに嵌合される爪部を有する
付記1に記載の照明器具。
(付記3)
前記押さえ板は、
前記天板部に面接触している
付記1又は2に記載の照明器具。
(付記4)
前記押さえ板は、
前記天板部による前記第1方向の移動を規制し、且つ、前記天板部による前記第2方向の移動を許容する
付記1~3のいずれか一つに記載の照明器具。
(付記5)
前記押さえ板は、
前記天板部の前記第2方向における一方の端部から他方の端部に渡って設けられている
付記1~4のいずれか一つに記載の照明器具。
(付記6)
前記押さえ板は、
前記天板部の前記第2方向における一方の端部から延びる第1押さえ板と、
前記第2方向における他方の端部にから延びる第2押さえ板と、
を含む
付記1~4のいずれか一つに記載の照明器具。
(付記7)
前記押さえ板は、複数の押さえ板を含み、
前記複数の押さえ板は、前記天板部の縁部から前記天板部の中央に向かって延びるように配置されている
付記1~4のいずれか一つに記載の照明器具。
(付記8)
前記天板部には、前記天板部を保持する保持部が形成されており、
前記保持部において、前記天板部が、前記放熱フィンに接触している
付記1~6のいずれか一つに記載の照明器具。
(付記9)
前記天板部と、前記押さえ板との界面に、摩擦を低減させることを目的とした表面処理が施されている
付記1~8のいずれか一つに記載の照明器具。
【符号の説明】
【0071】
1 照明器具、11 発光部、12 カバー部、13 ヒートシンク部、14 フレーム、15 天板部、16 電源装置、17 押さえ板、17a 第1押さえ板、17b 第2押さえ板、17c 第3押さえ板、17d 第4押さえ板、40 カバー固定部材、111 発光素子、112 基板、121 レンズ、131 ベース部、132 フィン部、141 フレーム主部、142 フレーム側部、143 ベース固定部、144 アーム部、146 フレーム上側部、151 天板開口部、152 爪部、152a 保持部、161 電源ユニット、162 サイドパッキン、163 端板、171 主部、171a 第1主部、171b 第2主部、172 立ち上がり部、172a 第1立ち上がり部、172b 第2立ち上がり部、1311a 光源取付部、1311b フィン取付部、1312 ベース鍔部、1324 フィン凸部、1325 上端部、1441 押さえ板固定部、1442 アーム部固定部、1721 フレーム固定穴、1722 固定部材。