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特開2025-25203配光制御レンズ及び配光制御レンズを備えた照明装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025203
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】配光制御レンズ及び配光制御レンズを備えた照明装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 3/08 20060101AFI20250214BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20250214BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20250214BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20250214BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20250214BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20250214BHJP
【FI】
G02B3/08
F21V5/04 650
F21V5/00 510
F21V5/04 100
F21V5/04 500
F21S2/00 100
G02B5/00 Z
F21Y115:10 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129776
(22)【出願日】2023-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】糸賀 賢二
【テーマコード(参考)】
2H042
【Fターム(参考)】
2H042AA02
2H042AA03
2H042AA07
2H042AA21
(57)【要約】      (修正有)
【課題】レンズを1個にしつつ、レンズ径を所定の寸法内に納めても必要な光束を得ることができる配光制御レンズを提供する。
【解決手段】光が入射する入射面と光が出射する出射面とを有し、光源が発した光の配光を制御する配光制御レンズにおいて、底面から上面側へ凹むように形成された主凹部を有し、入射面は、底面側に光源と対向するように設けられ、出射面は、主凹部の上方及び側方に主凹部よりも広範囲に設けられ、上面に設けられ、配光制御レンズの中心軸から径方向外側に進むにつれて光源に近づくように傾斜する面である第一面と、第一面よりも径方向外側の上面に設けられ、径方向外側に進むにつれて光源から離れるように傾斜する面である第二面と、第二面よりも径方向外側の上面に設けられ、径方向外側に進むにつれて光源に近づくように傾斜する面である第三面と、第三面よりも径方向外側の側面に設けられたトーラス状の曲面である第四面と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が入射する入射面と光が出射する出射面とを有し、光源が発した光の配光を制御する配光制御レンズにおいて、
底面から上面側へ凹むように形成された主凹部を有し、
前記入射面は、前記底面側に前記光源と対向するように設けられ、
前記出射面は、
前記主凹部の上方及び側方に前記主凹部よりも広範囲に設けられ、
上面に設けられ、前記配光制御レンズの中心軸から径方向外側に進むにつれて前記光源に近づくように傾斜する面である第一面と、
前記第一面よりも径方向外側の上面に設けられ、径方向外側に進むにつれて前記光源から離れるように傾斜する面である第二面と、
前記第二面よりも径方向外側の上面に設けられ、径方向外側に進むにつれて前記光源に近づくように傾斜する面である第三面と、
前記第三面よりも径方向外側の側面に設けられたトーラス状の曲面である第四面と、を有する
配光制御レンズ。
【請求項2】
前記光源の正面方向を基準に0~40°方向に放射され、前記第一面において反射された光を前記第四面によって全反射させて偏向し、前記第三面から取り出す
請求項1に記載の配光制御レンズ。
【請求項3】
前記光源の正面方向を基準に40~70°方向に放射され、前記第一面から透過した光を前記第三面から再入射させ、前記第四面によって全反射させて偏向し、前記第一面から取り出す
請求項1に記載の配光制御レンズ。
【請求項4】
前記主凹部を囲むように、前記底面から前記出射面側へ凹んだリング状の溝である副凹部を有し、
前記出射面は、
前記副凹部に設けられ、前記光源から前記第一面側へ進むにつれて、径が大きくなるような斜面である第五面を有し、
前記光源の正面方向を基準に70~80°方向に放射され、前記第五面に到達した光を反射させ、前記第一面の前記中心軸側から取り出す
請求項1に記載の配光制御レンズ。
【請求項5】
前記出射面は、
前記第五面の外側の前記副凹部に設けられたV字形状の第六面を有し、
前記光源の正面方向を基準に70~80°方向に放射され、前記第五面から透過した光を前記第六面から再入射させ、前記第三面から取り出す
請求項4に記載の配光制御レンズ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の配光制御レンズと、
前記光源と、を備えた
照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光源が発した光の配光を制御する配光制御レンズ及びこの配光制御レンズを備えた照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
非常灯を常用光源と並べて配置する場合には、隔壁を設けることがJIL規格(JIL5501)に定められている。これによると、非常灯を常用光源と併設する場合には、非常灯と常用光源との間に区画壁を設け、非常灯のレンズは区画壁の高さを越えてはいけないという制約条件がかかることになる。
【0003】
この制約条件に対応したレンズ形状として、特許文献1のような構造が考えられている。しかしながら、この構造では、広角度の光は区画壁に遮られ、必要な光束を得ることができない恐れがある。そこで、同じ形状のレンズを2個用いて必要な光束を得られるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第7258512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、レンズを1個にして必要な光束を得られるようにするためには、さらに大きな光源サイズのLEDを用いることが必須となる。しかしながら、特許文献1のレンズ形状であれば、そのままレンズ径を大きくしなければならず、所定の寸法内に納めることができないという課題があった。
【0006】
本開示は、以上のような課題を解決するためになされたもので、レンズを1個にしつつ、レンズ径を所定の寸法内に納めても必要な光束を得ることができる配光制御レンズ及び配光制御レンズを備えた照明装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る配光制御レンズは、光が入射する入射面と光が出射する出射面とを有し、光源が発した光の配光を制御する配光制御レンズにおいて、底面から上面側へ凹むように形成された主凹部を有し、前記入射面は、前記底面側に前記光源と対向するように設けられ、前記出射面は、前記主凹部の上方及び側方に前記主凹部よりも広範囲に設けられ、上面に設けられ、前記配光制御レンズの中心軸から径方向外側に進むにつれて前記光源に近づくように傾斜する面である第一面と、前記第一面よりも径方向外側の上面に設けられ、径方向外側に進むにつれて前記光源から離れるように傾斜する面である第二面と、前記第二面よりも径方向外側の上面に設けられ、径方向外側に進むにつれて前記光源に近づくように傾斜する面である第三面と、前記第三面よりも径方向外側の側面に設けられたトーラス状の曲面である第四面と、を有するものである。
【0008】
また、本開示に係る照明装置は、上記の配光制御レンズと、上記の光源と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る配光制御レンズ及び配光制御レンズを備えた照明装置によれば、配光制御レンズの出射面の第一面と第四面との間の径方向外側の上面に、第二面及び第三面によって段差面を形成し、径方向外側の上面を不連続的に上側にシフトさせている。このため、レンズの出射面の径方向外側の上面の出射位置が上にシフトし、区画壁を越えることができるため、レンズの外側に区画壁がある場合でも光量の低下を抑制でき、レンズを1個にしつつ、レンズ径を所定の寸法内に納めても必要な光束を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る照明装置の分解斜視図である。
図2】実施の形態1に係る照明装置のX軸に沿った方向のレンズ中心における断面図である。
図3】実施の形態1に係る照明装置のA群の光について説明する断面図である。
図4】実施の形態1に係る照明装置のB群の光について説明する断面図である。
図5】実施の形態1に係る照明装置のC群の光について説明する断面図である。
図6】実施の形態1に係る照明装置の出射面で反射される光が取り出されるまでの軌跡を示した断面図である。
図7】実施の形態1に係る照明装置の出射面で再入射される光が取り出されるまでの軌跡を示した断面図である。
図8】実施の形態1に係る照明装置のレンズより取り出される光の配光分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本開示が限定されるものではない。また、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明装置100の分解斜視図である。図1に示すように、実施の形態1に係る照明装置100は、光源モジュール1と、光源ホルダ2と、レンズ3と、レンズホルダ4と、筐体5と、意匠カバー6とを備えている。以下、レンズ3を、配光制御レンズと称する場合がある。
【0013】
図2は、実施の形態1に係る照明装置100のX軸に沿った方向のレンズ中心における断面図である。ここで、図2において、筐体5の一部及び意匠カバー6は、レンズ3の動作機能とは無関係であるため省略している。なお、後述する図3図7についても同様である。図2に示すように、光源モジュール1は、光源1aと、光源モジュール基板1bとを備えている。光源1aは、例えば、円盤形状を有し、光源モジュール基板1bの中央に設けられている。光源1aは、例えば、複数の表面実装型のLEDを配列させたもの、又はCOB(Chip On Board)等の面光源を回路基板上に実装させたLEDパッケージである。なお、光源1aとして、1又は複数のCSP(Chip Scale Package)と呼ばれるLEDパッケージを用いてもよい。光源モジュール基板1bは、光源1aを点灯させるための回路が実装されたプリント基板であり、放熱性を考慮して例えばアルミニウム等により構成されている。
【0014】
光源モジュール1は、光源ホルダ2に嵌め込むことにより固定されると共に、光源ホルダ2の電極(図示せず)と接合され外部より電力を供給される構造となっている。光源モジュール1は、光源ホルダ2によって配線(図示せず)に接続され、レンズ3とはレンズホルダ4を介して一定距離を保った位置に保持される。光源ホルダ2は、レンズ3と光源モジュール1との間に配置され、光源モジュール1とレンズ3とを固定する。
【0015】
レンズ3は、透明なガラス等で構成され、例えば中心軸CAを中心とする回転対称形状に形成されている。レンズ3は、光が入射する入射面10と、光が出射する出射面20とを有し、光源1aが発する光の配光を制御する。レンズ3の入射面10は、底面31側に、光源1aと対向するように設けられている。また、レンズ3は、底面31から上面32側へ凹むように形成された主凹部41と、主凹部41を囲むように、底面31から出射面20側へ凹んだリング状の溝である副凹部42と、を有している。ここで、主凹部41、及び、底面31における主凹部41と副凹部42との間の部分が、レンズ3の入射面10である。レンズ3の出射面20は、主凹部41の上方及び側方に主凹部41よりも広範囲に設けられている。また、レンズ3の出射面20は、上面32に設けられ、レンズ3の中心軸CAから径方向外側に進むにつれて光源1aに近づくように傾斜する面である第一面51と、第一面51よりも径方向外側の上面32に設けられ、径方向外側に進むにつれて光源1aから離れるように傾斜する面である第二面52と、第二面52よりも径方向外側の上面32に設けられ、径方向外側に進むにつれて光源1aに近づくように傾斜する面である第三面53と、第三面53よりも径方向外側の側面33に設けられたトーラス状の曲面である第四面54と、副凹部42に設けられ、光源1aから第一面51側へ進むにつれて、径が大きくなるような斜面である第五面55と、第五面55の外側の副凹部42に設けられたV字形状の第六面56と、を有する。つまり、レンズ3の出射面20は、上面32、側面33、及び、副凹部42に設けられている。
【0016】
レンズホルダ4は、筐体5に固定される機能を持ち、意匠カバー6を取り付けることによって、レンズ3の出射面20のみが露出されるようになっている。筐体5は、光源モジュール1と光源ホルダ2とにより固定されたレンズ3の底面31及び中心軸CAに沿って延びる側面33を覆う。図1に示すように、筐体5の上面は開口しており、レンズ3から出射した光は筐体5の開口から照射される。筐体5においてレンズ3の側面33の外側には、区画壁5aが設けられている。実施の形態1に係る照明装置100が常用光源と併設され非常灯として使用される場合には、区画壁5aは常用光源との隔壁として機能する。区画壁5aは、レンズ3の高さと同程度の高さを有し、レンズ3の外周を囲むように、例えば筒形状に形成されている。なお、区画壁5aは、レンズ3の全周囲を囲む必要は無く、レンズ3よりも外側の常用光源との間にのみ設けられてもよい。法規則に従えば、常用光源との間にのみ隔壁が設けられていれば足る。意匠カバー6は、レンズ3の出射面20以外を覆い、照明装置100の意匠面を構成する。
【0017】
図3は、実施の形態1に係る照明装置100のA群の光について説明する断面図である。図4は、実施の形態1に係る照明装置100のB群の光について説明する断面図である。図5は、実施の形態1に係る照明装置100のC群の光について説明する断面図である。図3図5では、光源1aの中心から放射される光を矢印で示している。また、光源1aの正面方向を基準に0~40°方向に放射される光をA群、40~70°方向に放射される光をB群、70~80°方向に放射される光をC群とする。
【0018】
以下、A群からの放射光の挙動については図3、B群からの放射光の挙動については図4、C群からの放射光の挙動については図5を用いて説明する。また、レンズ機能を説明するためにレンズ3のレンズ面を分割するが、その分岐点をレンズ入射面側に対しては入射面ポイントIS1~IS4とし、レンズ出射面側に対しては出射面ポイントOS1~OS8とする。また、分割されたレンズ面を入射面側に対しては入射面311~314、出射面側に対しては出射面321~328とする。
【0019】
[A群からの放射光の挙動]
図3に示すように、レンズ3の中心軸CAと入射面ポイントIS1との間の入射面311から入射した光は、ほぼ正面方向に沿った光が出射される。
【0020】
入射面ポイントIS1と入射面ポイントIS2との間の入射面312から入射した光は、レンズ3の中心軸CAと出射面ポイントOS1との間のほぼ水平な出射面321より出射され、その方向はレンズ3の中心軸CAから離れる方向に進み、出射面321上にてレンズ3の中心軸CAから離れる程Z軸に対して広角となるように出射される。
【0021】
[B群からの放射光の挙動]
図4に示すように、入射面ポイントIS2と入射面ポイントIS3との間の入射面313は、入射面312の延長面とそれに比べ垂直面に近い面とで構成されている。入射面313において入射面312の延長面から入射する光は、出射面321より出射される。一方、入射面313において垂直面に近い面から入射した光は、出射面ポイントOS2と出射面ポイントOS3との間の出射面323より出射される。すなわち、入射面313は面の角度を大きく変えることにより、出射面ポイントOS1と出射面ポイントOS2とで挟まれる出射面322へ光を入射させないようにしている。
【0022】
出射面322の役割は、出射面323のZ方向の位置をより区画壁5aの高さへと近づけ、出射面323から取り出される光が区画壁5aに遮られないようにするためである。そのため、フレネルレンズのような段差のある面としているが、フレネルレンズのようにエッジの立った形状にしていないのは、出射面321から出射した光をできるだけ遮らないためである。
【0023】
出射面322~出射面323を本形状のようにエッジの立っていない緩い段差面としても、一部の光は出射面322より取り込まれてしまうが、これに対応した形状が、出射面ポイントOS3~OS6で挟まれた出射面324~出射面326である。これについては後述する。B群の光はA群の光よりもZ軸に対してより広角側に光を取り出すことを特徴としている。
【0024】
[C群からの放射光の挙動]
図5に示すように、入射面ポイントIS3と入射面ポイントIS4との間の入射面314は、入射面312よりも水平面に近い傾斜角とし、入射した光は出射面ポイントOS7と出射面ポイントOS8とに挟まれた出射面328に到達し、ほとんどの光は全反射し、出射面321の中心軸CA側より出射される。出射面321の中心軸CA側より出射された光の出射方向は、元々の光源1aから光が出射した方向(入射面314に光が入射した方向)とは正反対の方向となる。
【0025】
入射面ポイントIS4に近い入射面314から入射する光は、全反射条件となる入射角度より若干小さいため、ある確率で出射面328を透過する光が発生する(フレネル則により、レンズ屈折率とレンズ界面への入射角とにより、界面からの透過率及び界面での反射率が物理的に決まる)。このような光を回生させる構造が、出射面ポイントOS5と出射面ポイントOS6とに挟まれた出射面326、及び、出射面ポイントOS6と出射面ポイントOS7とに挟まれた略V字形状の出射面327である。
【0026】
出射面328を透過し出射面326に入射した光は、ほとんど進行方向を変えず出射面323より出射される。また、出射面328を透過し出射面327に入射した光も出射面327から再入射させ、出射面323より出射される。
【0027】
図6は、実施の形態1に係る照明装置100の出射面20で反射される光が取り出されるまでの軌跡を示した断面図である。図7は、実施の形態1に係る照明装置100の出射面20で再入射される光が取り出されるまでの軌跡を示した断面図である。次に、図6及び図7を用いて、出射面324~出射面326の働きについて説明する。
【0028】
図6は、A群の光に関して、出射面321で反射する一部の光を回生させる機能について説明するための断面図である。出射面321より出射される光はZ軸に対して広角になるよう設定しているため、出射面321への入射角は臨界角に近く、そのため出射面321で反射光が発生する確率も高い。
【0029】
図6の矢印はそのような出射面321で反射される光の軌跡を表している。出射面321で反射された光は、出射面326で全反射し、続いて出射面325でも全反射し、出射面323より出射される。
【0030】
図7は、B群の光に関して、出射面321で反射する一部の光を回生させる機能について説明するための断面図である。出射面322から出射した光の一部は出射面322に再び入射する。この光は、出射面323、出射面324、出射面325、出射面326と全反射し、出射面321より出射される。
【0031】
このように出射面324~出射面326は、光源モジュール1側に偏向された光を再びレンズ3の出射面20側に偏向させて取り出す機能を果たすためのものである。
【0032】
なお、出射面321は上記の第一面51に相当し、出射面322は上記の第二面52に相当し、出射面323は上記の第三面53に相当し、出射面324は上記の第四面54に相当し、出射面328は上記の第五面55に相当し、出射面327は上記の第六面56に相当する。
【0033】
図8は、実施の形態1に係る照明装置100のレンズ3より取り出される光の配光分布図である。図8の横軸は光の進行方向の角度(°)を示し、レンズ3の正面方向(図2の矢印Z方向)を0°としている。図8の縦軸は光度(a.u.)を表している。ここで、光度は各角度方向へ照射される光の明るさを相対的に表した物理量であり、任意単位で表される。また、図8において、A群の光は実線、B群の光は細い実線、C群の光は点線、A~Cを足し合わせたレンズ3全体の配光分布は太い実線であり、目標とする配光分布は一点鎖線である。図8に示すように、レンズ3全体の配光分布(太い実線)が、目標とする配光分布(一点鎖線)を上回っていることが分かる。
【0034】
実施の形態1では、光源1aの直径6.7mmに対し、レンズ3の直径は32.4mmである。レンズ3の直径/光源1aの直径は4.83である。またレンズ3の中心軸CAから区画壁5aまでの距離は21mmであり、レンズ3の中心軸CAから区画壁5aまでの距離/レンズ3の半径(レンズ3の直径/2)は1.3である。
【0035】
また、レンズ3の全高は9.3mmであり、光の出光位置はすべて高さ8.1mm以上の面から出光されるようになっている。すなわち、レンズ3の高さの87%以上の高さより光を取り出す構造となっている。このような構造で光源光束の約90%を取り出している。
【0036】
ちなみに、特許文献1では、X方向の光源全幅4.6mmに対して、レンズの直径が38mmであり、光源の直径に対するレンズの直径の比率が8.26であった。すなわち、光源の直径に対するレンズの直径の比率が8.26よりも小さくなる場合において、実施の形態1の形状を適用することにより、所望の配光分布を得ることができるようになる。
【0037】
以上、実施の形態1に係る配光制御レンズは、光が入射する入射面10と光が出射する出射面20とを有し、光源1aが発した光の配光を制御する配光制御レンズにおいて、底面31から上面32側へ凹むように形成された主凹部41を有し、入射面10は、底面31側に光源1aと対向するように設けられ、出射面20は、主凹部41の上方及び側方に主凹部41よりも広範囲に設けられ、上面32に設けられ、配光制御レンズの中心軸CAから径方向外側に進むにつれて光源1aに近づくように傾斜する面である第一面51と、第一面51よりも径方向外側の上面32に設けられ、径方向外側に進むにつれて光源1aから離れるように傾斜する面である第二面52と、第二面52よりも径方向外側の上面32に設けられ、径方向外側に進むにつれて光源1aに近づくように傾斜する面である第三面53と、第三面53よりも径方向外側の側面33に設けられたトーラス状の曲面である第四面54と、を有するものである。
【0038】
実施の形態1に係る配光制御レンズによれば、配光制御レンズの出射面20の第一面51と第四面54との間の径方向外側の上面32に、第二面52及び第三面53によって(傾き方向を変化させることで)段差面を形成し、径方向外側の上面32を不連続的に上側にシフトさせている。このため、配光制御レンズの出射面20の径方向外側の上面32の出射位置が上にシフトし、区画壁5aを越えることができるため、配光制御レンズの外側に区画壁5aがある場合でも光量の低下を抑制でき、レンズを1個にしつつ、レンズ径を所定の寸法内に納めても必要な光束を得ることができる。
【0039】
また、実施の形態1に係る配光制御レンズは、光源1aの正面方向を基準に0~40°方向に放射され、第一面51において反射された光を第四面54によって全反射させて偏向し、第三面53から取り出すものである。
【0040】
実施の形態1に係る配光制御レンズによれば、出射面20から入射した光を全反射で偏向させ、再び出射させることができる。
【0041】
また、実施の形態1に係る配光制御レンズは、光源1aの正面方向を基準に40~70°方向に放射され、第一面51から透過した光を第三面53から再入射させ、第四面54によって全反射させて偏向し、第一面51から取り出すものである。
【0042】
実施の形態1に係る配光制御レンズによれば、出射面20で全反射した光を第四面54によって全反射させて偏向し、再び出射させることができる。
【0043】
また、実施の形態1に係る配光制御レンズにおいて、主凹部41を囲むように、底面31から出射面20側へ凹んだリング状の溝である副凹部42を有し、出射面20は、副凹部42に設けられ、光源1aから第一面51側へ進むにつれて、径が大きくなるような斜面である第五面55を有し、光源1aの正面方向を基準に70~80°方向に放射され、第五面55に到達した光を反射させ、第一面51の中心軸CA側から取り出すものである。
【0044】
実施の形態1に係る配光制御レンズによれば、光源1aの正面方向を基準に70~80°方向に放射された光を第五面55で反射させ、区画壁5aに遮られることなく出射面20の中央部から取り出すことができる。
【0045】
また、実施の形態1に係る配光制御レンズにおいて、出射面20は、第五面55の外側の副凹部42に設けられたV字形状の第六面56を有し、光源1aの正面方向を基準に70~80°方向に放射され、第五面55から透過した光を第六面56から再入射させ、第三面53から取り出すものである。
【0046】
実施の形態1に係る配光制御レンズによれば、光源1aの正面方向を基準に70~80°方向に放射され、第五面55から透過した光を第六面56から再入射させ、区画壁5aに遮られることなく出射面20から取り出すことができる。
【0047】
また、実施の形態1に係る照明装置100は、上記の配光制御レンズと、上記の光源1aと、を備えたものである。
【0048】
実施の形態1に係る照明装置100によれば、上記の配光制御レンズと同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 光源モジュール、1a 光源、1b 光源モジュール基板、2 光源ホルダ、3 レンズ、4 レンズホルダ、5 筐体、5a 区画壁、6 意匠カバー、10 入射面、20 出射面、31 底面、32 上面、33 側面、41 主凹部、42 副凹部、51 第一面、52 第二面、53 第三面、54 第四面、55 第五面、56 第六面、100 照明装置、311~314 入射面、321~328 出射面、CA 中心軸、IS1~IS4 入射面ポイント、OS1~OS8 出射面ポイント。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8