(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025211
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】プリフォーム
(51)【国際特許分類】
B29C 49/06 20060101AFI20250214BHJP
B65D 1/02 20060101ALI20250214BHJP
B29B 11/14 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
B29C49/06
B65D1/02 100
B65D1/02 200
B29B11/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129786
(22)【出願日】2023-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 量哉
(72)【発明者】
【氏名】関根 章智
(72)【発明者】
【氏名】笹倉 直也
【テーマコード(参考)】
3E033
4F201
4F208
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA18
3E033BA30
3E033BB08
3E033CA07
3E033DA03
3E033DB01
3E033DD03
3E033EA04
3E033FA03
4F201AA24
4F201AG07
4F201AH55
4F201AR12
4F201AR15
4F201BA03
4F201BC02
4F201BD06
4F201BM05
4F201BM12
4F208AA24
4F208AG07
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4F208AR15
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4F208LA08
4F208LB01
4F208LG03
4F208LG14
4F208LG15
4F208LG16
4F208LG19
4F208LG28
4F208LH06
(57)【要約】
【課題】軽量、かつ、耐熱特性の良好な加温用プラスチックボトルを成形可能なプリフォームを提供する。
【解決手段】加温用プラスチックボトルは、サポートリング14を有する口部11と、口部11に連結された首部21と、首部21に連結され首部21から離れるにしたがって縮径しながら肉厚が変化する肉厚変化部22と、肉厚変化部22に連結され首部21よりも外径が小さく肉厚が略均一である胴部23と、胴部23の肉厚変化部22とは反対側に設けられた底部24と、を備え、首部21の重量と肉厚変化部22の重量と胴部23の重量と底部24の重量とを合計した重量は、10.0gよりも大きく、16.4g未満であり、胴部23の肉厚である胴肉厚T3は、2.7mmよりも大きく、底部24の肉厚の内で最も厚さの薄い最先端部の厚さを底肉厚T5としたとき、底肉厚T5/胴肉厚T3の値は71%よりも大きい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加温用プラスチックボトル用のプリフォームにおいて、
サポートリングを有する口部と、
前記口部に連結された首部と、
前記首部に連結され、前記首部から離れるにしたがって縮径しながら肉厚が変化する肉厚変化部と、
前記肉厚変化部に連結され、前記首部よりも外径が小さく肉厚が略均一である胴部と、
前記胴部の前記肉厚変化部とは反対側に設けられた底部と、
を備え、
前記首部の重量と前記肉厚変化部の重量と前記胴部の重量と前記底部の重量とを合計した重量は、10.0gよりも大きく、16.4g未満であり、
前記胴部の肉厚である胴肉厚は、2.7mmよりも大きく、
前記底部の肉厚の内で最も厚さの薄い最先端部の厚さを底肉厚としたとき、底肉厚/胴肉厚の値が71%よりも大きい、プリフォーム。
【請求項2】
請求項1に記載のプリフォームにおいて、
前記底部の先端から前記首部と前記口部との境界部までの長さは、55mmより大きい、プリフォーム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のプリフォームにおいて、
ポリエチレンテレフタレート樹脂により形成されている、プリフォーム。
【請求項4】
請求項3に記載のプリフォームにおいて、
前記ポリエチレンテレフタレート樹脂の重合触媒として、アルミニウム化合物を含む、プリフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加温用のブロー成形プラスチックボトル用のプリフォームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、射出成形等により作製した樹脂製のプリフォームを二軸延伸ブロー成形し、プラスチックボトルを作製することが行われている。また、環境への配慮のためプラスチックボトルに使用されるプラスチック材料の使用量を減らし、プラスチックボトルを軽量化することが望まれている。
【0003】
また、冬季等には店頭でボトルウォーマーと呼ばれる加温装置によってプラスチックボトルに充填された飲料を加温して販売されることも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、プラスチックボトルを軽量化するために、従来のプリフォームの厚みを単純に薄くした場合、ブロー成形により作製されたプラスチックボトルの耐熱特性が劣化することが懸念される。例えば、ブロー成型時に適切に樹脂が延伸されていないと、加温によって樹脂が白化(結晶化)するおそれがある。また、耐熱特性の低いプラスチックボトルに充填された飲料をボトルウォーマーによって加温すると、内圧の上昇によって底部の形状が外方にむけて飛び出すように変形する反転(バックリング)と呼ばれる現象が発生するおそれがある。また、加温による変形は、底部に限らず、例えば、プラスチックボトルの口部の付け根付近においても生じるおそれがあった。
【0006】
本開示の課題は、軽量、かつ、耐熱特性の良好な加温用プラスチックボトルを成形可能なプリフォームを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本開示の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0008】
第1の開示は、加温用プラスチックボトル(40、50)用のプリフォーム(10)において、サポートリング(14)を有する口部(11)と、前記口部(11)に連結された首部(21)と、前記首部(21)に連結され、前記首部(21)から離れるにしたがって縮径しながら肉厚が変化する肉厚変化部(22)と、前記肉厚変化部(22)に連結され、前記首部(21)よりも外径が小さく肉厚が略均一である胴部(23)と、前記胴部(23)の前記肉厚変化部(22)とは反対側に設けられた底部(24)と、を備え、前記首部(21)の重量と前記肉厚変化部(22)の重量と前記胴部(23)の重量と前記底部(24)の重量とを合計した重量は、10.0gよりも大きく、16.4g未満であり、前記胴部(23)の肉厚である胴肉厚(T3)は、2.7mmよりも大きく、前記底部(24)の肉厚の内で最も厚さの薄い最先端部の厚さを底肉厚(T5)としたとき、底肉厚(T5)/胴肉厚(T3)の値が71%よりも大きい、プリフォーム(10)である。
【0009】
第2の開示は、第1の開示に記載のプリフォーム(10)において、前記底部(24)の先端から前記首部(21)と前記口部(11)との境界部までの長さは、55mmより大きい、プリフォーム(10)である。
【0010】
第3の開示は、第1の開示又は第2の開示に記載のプリフォーム(10)において、ポリエチレンテレフタレート樹脂により形成されている、プリフォーム(10)である。
【0011】
第4の開示は、第3の開示に記載のプリフォーム(10)において、前記ポリエチレンテレフタレート樹脂の重合触媒として、アルミニウム化合物を含む、プリフォーム(10)である。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、軽量、かつ、耐熱特性の良好な加温用プラスチックボトルを成形可能なプリフォームを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示によるプリフォームの実施形態を示す正面図である。
【
図2】プリフォームの中心軸に沿って切断した断面図である。
【
図3】本実施形態のプリフォームを用いて作製可能なプラスチックボトルの例を示す図である。
【
図4】本実施形態のプリフォームを用いて作製可能なプラスチックボトルの例を底部側から見た斜視図である。
【
図7】実施例1のプリフォームで280mlボトルをブロー成形したときのボトル底部と、比較例1のプリフォームで280mlボトルをブロー成形したときのボトル底部とを比較する写真である。
【
図8】ポリエチレンテレフタレート樹脂の重合触媒の評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。
【0015】
(実施形態)
図1は、本開示によるプリフォームの実施形態を示す正面図である。
図2は、プリフォームの中心軸に沿って切断した断面図である。
先ず、
図1及び
図2を用いて本開示のプリフォームの概要について説明する。
以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
また、以下の説明において、「上」及び「下」とは、それぞれプリフォーム10の口部11を鉛直方向上方に向け、プリフォーム10の底部24を鉛直方向下方に向けた状態(
図1及び
図2に示す状態)における上方及び下方のことをいう。また、プリフォーム10の「中心軸CL」とは、プリフォーム10の口部11の内面を構成する円筒の中心軸をいう。
【0016】
また、本明細書中、「高さ方向」とは、プリフォーム10の中心軸CLに沿う方向をいう。また、「周方向」とは、プリフォーム10の中心軸CLを中心とする円の円周方向をいう。また、「水平断面」とは、プリフォーム10の中心軸CLに対して直交する平面で切断した断面をいう。「垂直断面」とは、プリフォーム10の中心軸CLを含む平面で切断した断面をいう。
【0017】
図1及び
図2に示すプラスチックボトル用のプリフォーム10は、開口部15を有する口部11を備え、さらに口部11から下方に向けて順に連結された首部21と、肉厚変化部22と、胴部23と、底部24とを備えている。
【0018】
口部11は、円筒状の口部本体12と、口部本体12の外周に設けられたねじ部13と、ねじ部13の下方に設けられたサポートリング14とを有している。ねじ部13は、プリフォーム10を二軸延伸ブロー成形してプラスチックボトル40(
図3から
図4)を作製した後、図示しないキャップを螺合するためのものである。また、口部本体12は、高さ方向の長さL1と、外径D1と内径D2とを有している。口部本体12の外径D1は、20mm以上40mm以下としてもよく、口部本体12の内径D2は、15mm以上30mm以下としてもよい。また口部11の高さ方向の長さL1は、例えば9mm以上26mm以下としてもよい。
【0019】
また、サポートリング14は、口部11の下部に設けられており、全周にわたって円環状に突設されている。サポートリング14の下方には、首部21が連結されている。
【0020】
首部21は、サポートリング14の下部に連結されており、高さ方向の長さL2を有している。中心軸CLに沿って切断した断面図で見たとき、首部21の外径側は中心軸CLと略平行となっている。首部21は、全体として略円筒形状であり、外面21aと内面21b、外径D3と内径D4、肉厚T1を有している。また、首部21の内径D4は、上述した口部本体12の内径D2と略同一であってもよい。首部21の肉厚T1は、サポートリング14直下における肉厚を指す。なお首部21の高さ方向全体にわたって肉厚T1と略均一の肉厚であってもよいし、肉厚が変化していてもよい。なお、プリフォーム10を射出成形等により作製するとき、金型から抜き取りやすくするための抜き勾配を設けるため、内径D4は、内径D2よりも若干細くなるように作られていてもよい。
【0021】
肉厚変化部22は、首部21の下部に連結されており、首部21側から胴部23側に向けて(首部21から離れるにしたがって)徐々に縮径しながら肉厚が変化する形状となっている。具体的には、肉厚変化部22は、首部21から離れるにしたがって、外径及び内径が徐々に小さくなるとともに、肉厚が徐々に変化している。肉厚変化部22は、略円錐台形の筒状であり、外面22aと内面22bとを有する。
【0022】
肉厚変化部22の高さ方向の長さL3は、例えば10mm以上16mm以下である。肉厚変化部22の水平断面は、高さ方向全体にわたって円形状であってもよい。肉厚変化部22の外面22aは、高さ方向に沿って変化する外径D5を有し、肉厚変化部22の内面22bは、高さ方向に沿って変化する内径D6を有している。肉厚変化部22の外径D5及び内径D6は、それぞれ首部21側から胴部23側に向けて徐々に細くなっている。肉厚変化部22の外面22a及び内面22bは、それぞれプリフォーム10の中心軸CLに対して傾斜している。
【0023】
また、肉厚変化部22の肉厚T2は、首部21側から胴部23側に向けて徐々に変化している。すなわち、肉厚変化部22の肉厚T2は、首部21における肉厚T1よりも、胴部23における厚みである胴肉厚T3の方が厚くなるように変化している。このように肉厚変化部22の肉厚T2は、首部21側から胴部23側に向けて徐々に厚くなっているが、肉厚が均一である箇所や肉厚が薄く変化している箇所が部分的にあってもよい。
【0024】
胴部23は、肉厚変化部22の下部に連結されており、円筒状に形成された部分である。中心軸CLに沿って切断した断面図で見たとき、胴部23の外径側は中心軸CLと略平行となっている。胴部23は、外面23aと内面23bと、高さ方向の長さL4と、外径D7と内径D8とを有している。胴部23の外面23aは、プリフォーム10の中心軸CLに対して略平行な円筒面である。内面23bもプリフォーム10の中心軸CLに対して略平行な円筒面であるが、内面23bの肉厚変化部22付近や底部24付近は中心軸CLに対して略平行な円筒面でなくともよい。胴部23の水平断面は、高さ方向全体にわたって円形状である。したがって胴部23の肉厚である胴肉厚T3は略均一である。ここで、「略」均一としたのは、胴部23の外面23a及び内面23bは、抜き勾配として0.1°以上0.5°以下の傾斜を設けてもよく、外面23a及び内面23bの抜き勾配の設け方によっては若干の肉厚変化があり、また内面23bの肉厚変化部22付近や底部24付近は中心軸CLに対して略平行な円筒面ではない場合があるからである。なお抜き勾配とは、中心軸CLと外面23a又は内面23bとがなす角度の事を言う。この抜き勾配を設けることにより外径D7と内径D8は、口部11側よりも底部24側の方が僅かに細く構成されていてもよい。また、肉厚が最大である最大肉厚部の厚さと、肉厚が最小である最小肉厚部の厚さとの差が0.1mm以下であれば、肉厚が略均一であるとみなせる。
【0025】
ここで、胴部23の内径D8は、最も細いところでもφ12mm以上あることが望ましい。プリフォーム10を用いて二軸延伸ブロー成形法で後述するプラスチックボトルを成形する際、プリフォームを加熱した後、延伸ロッドでプリフォームを軸方向に伸ばした後、高圧エアでプリフォームを膨らませる。このとき、胴部23の内径D8がφ12mm未満であると、延伸ロッドでプリフォームを伸ばした時に、延伸ロッドとプリフォーム内壁が干渉するおそれがあるためである。
【0026】
底部24は、胴部23の下部に連結されており、円筒状の胴部23の開口を塞ぐようにして設けられている。底部24は、外面24aと内面24bとを有する。底部24は、全体として略半球形状である。垂直断面において、底部24の外面24aは全体として半円形状であるが、底部24の外面24aが非円弧の部分を含む曲線形状であってもよい。同様に、垂直断面において、底部24の内面24bは全体として半円形状であるが、底部24の内面24bの一部が非円弧の部分を含む曲線形状であってもよい。垂直断面において、底部24の外面24aを構成する半円の中心O1は中心軸CLに存在する。また、底部24の内面24bを構成する半円の中心O2は中心軸CLに存在する。なお、底部24の外面24aを構成する半円の中心O1は、底部24の内面24bを構成する半円の中心O2よりも口部11側に存在する。よって、底部24の肉厚T6は、胴部23との境界部分で最も厚く、底部24の先端(下端)側に行くにしたがい徐々に薄くなり、底部24の先端での厚みである底肉厚T5が最も薄くなっている。
また、底部24の最下端(先端)には、プリフォーム10を射出成形するときには、樹脂を流し込むゲートGが形成されているが、このゲートGは底部24の先端で切除されてゲートGの切除痕が残っている。なお、
図1中には、切除されて本来は存在しないゲートGを説明のために図示している。
【0027】
底部24の外面24aを構成する半球の曲率半径R1は、胴部23の外径D7の半分である。同様に、底部24の内面24bを構成する半球の曲率半径R2は、胴部23の内径D8の半分である。
底部24が全体として略半球形状である場合には、底部24の高さ方向の長さL5は、外面24aの半球形状の半径、すなわち、胴部23の外径D7の半分となる。
また、底部24の水平断面は、高さ方向全体にわたって円形状である。
【0028】
ここで、首部21と肉厚変化部22と胴部23と底部24とを有する範囲を変形部20とも呼ぶこととする。ブロー成形時には、この変形部20が主に変形する。
首部21と肉厚変化部22と胴部23と底部24との高さ方向の合計長さ、すなわちプリフォーム10のうち、底部24の先端から首部21と口部11との境界部までの長さ(変形部20の高さ方向の長さ)は、L6である。この変形部20の長さL6は、上述した長さL2、L3、L4、及びL5の合計である(L6=L2+L3+L4+L5)。この変形部20の長さL6は、55mmより大きいことが望ましい。この理由は後述する。
また、プリフォーム10の全長は、L7であり、この全長L7は、上述した変形部20の長さL6とL1との合計である(L7=L1+L6)。プリフォーム10の全長L7は、76mm以上113mm以下としてもよい。
【0029】
プリフォーム10の主材料としては熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)を使用することが好ましく、植物由来のバイオマス系プラスチック、例えばPLA(ポリ乳酸)を用いることも可能である。あるいは、上述した各種樹脂をブレンドした樹脂を用いてもよい。PETにおいては、メカニカルリサイクル材やケミカルリサイクル材であってもよい。また植物由来原料を用いて製造したPETやPEF(ポリエチレンフラノエート)であってもよい。また、プリフォーム10は、2層以上の多層成形プリフォームとして形成することもできる。すなわち射出成形により、例えば、中間層をMXD6、MXD6+脂肪酸塩、PGA(ポリグリコール酸)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)又はPEN(ポリエチレンナフタレート)等のガスバリア性を有する樹脂(中間層)として3層以上からなるプリフォーム10として形成してもよい。
【0030】
プリフォームがPETやPENなどのポリエステル樹脂で構成される場合、ポリエステルは、アンチモン触媒ポリエステル、マンガン触媒ポリエステル、チタン触媒ポリエステル、アルミニウム触媒ポリエステル、リチウム触媒ポリエステル及びゲルマニウム触媒ポリエステルから選択されてもよい。本明細書において、例えば、アンチモン触媒ポリエステルとは、ポリエステルの製造時に、重合触媒として、アンチモン触媒が用いられたポリエステルを意味する。したがって、上記列挙したポリエステルは、重合触媒として、それぞれの触媒が用いられたポリエステルを意味する。
【0031】
アンチモン触媒としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、トリフェニルアンチモン、アンチモングリコールなどが挙げられる。
【0032】
マンガン触媒としては、例えば、酢酸マンガンなどの脂肪酸マンガン塩、炭酸マンガン、塩化マンガン、マンガンのアセチルアセトナート塩、水酸化マンガンなどが挙げられる。
【0033】
チタン触媒としては、例えば、テトラ-n-プロピルチタネート、テトラ-i-プロピルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネートテトラマー、テトラ-t-ブチルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラベンジルチタネート等のチタンアルコキシド、チタンアルコキシドの加水分解により得られるチタン酸化物、酢酸チタン、シュウ酸チタン、シュウ酸チタンカリウム、シュウ酸チタンナトリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸-水酸化アルミニウム混合物、塩化チタン、塩化チタン-塩化アルミニウム混合物、臭化チタン、フッ化チタン、六フッ化チタン酸カリウム、六フッ化チタン酸コバルト、六フッ化チタン酸マンガン、六フッ化チタン酸アンモニウム及びチタンアセチルアセトナートなどが挙げられる。
【0034】
アルミニウム触媒としては、例えば、アルミニウムトリスアセチルアセテート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)及びエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートなどが挙げられる。
【0035】
リチウム触媒としては、例えば、エチルリチウム、プロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム及びフェニルリチウムなどが挙げられる。
【0036】
ゲルマニウム触媒としては、例えば、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラメトキシド、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラプロポキシド、ゲルマニウムテトラブトキシド、ゲルマニウムテトラペンタキシド及びゲルマニウムテトラヘキソキシドなどが挙げられる。
これら触媒の中でも、後述する
図8に示すように、アルミニウム触媒が望ましい。
【0037】
次に、
図3から
図4を用いて、本実施形態のプリフォーム10を二軸延伸ブロー成形することにより作製可能なプラスチックボトルの例について説明する。
図3は、本実施形態のプリフォームを用いて作製可能なプラスチックボトルの第1の例を示す図である。
図3(a)は、正面図であり、
図3(b)は、底部の断面図である。
図4は、本実施形態のプリフォームを用いて作製可能なプラスチックボトルの第1の例を底部側から見た斜視図である。
【0038】
図3及び
図4に示すプラスチックボトル40は、容量が280mlであり、不図示の蓋を含まない全高132mm、最大胴径φ65mmである。
プラスチックボトル40は、口部41と、口部41下方に設けられた本体部42とを備えている。さらに本体部42は、肩部42a、胴部42b、底部42cから構成されている。また口部41のサポートリング47下方と、肩部42aの上部の間には、首部45が形成されている。
【0039】
プラスチックボトル40の首部45は、ほぼ円筒形状でありサポートリング47の下方に向かってほぼ直線状に伸び、径が拡大して肩部42aとなる。
さらに口部41の外周には、キャップを螺合するためのねじ部46(上述したプリフォーム10のねじ部13に対応する)が設けられ、口部41の外周のうちねじ部46下方部分には、外方に突出する環状のサポートリング47(上述したプリフォーム10のサポートリング14に対応する)が設けられている。
【0040】
胴部42bは、略円筒状であり、周囲には内側へ向けて凹んだ周方向溝43が複数設けられている。プラスチックボトルが加温されて内部圧力が上昇した場合、周方向溝43が設けられていることにより胴部42bが上下方向に膨張する。胴部42bの水平断面は、略円形状である。さらに、肩部42aは、略円錐台形状であり、この肩部42aの水平断面は略円形状であり、その面積は、首部45側から胴部42b側へ向けて徐々に大きくなっている。
【0041】
底部42cは、プラスチックボトル40の内方へ向けて円錐台形状を基本とした形状で凹んでおり、底部42cの補強のために円錐台面42eよりも外側(ボトルの下方側)へ膨出した膨出部42dが複数カ所設けられている。なお、
図3(b)には、円錐台面42eの位置で切断した断面と、膨出部42dの位置で切断した断面とを中心線の左右でそれぞれ示している。
底部42cの中央は平坦面42fとなっており、この平坦面42fの中央付近にプリフォーム10におけるゲートGの痕跡(不図示)が残っている。
【0042】
次に、このような構成からなるプラスチックボトル40の製造方法について述べる。
まず
図1及び
図2に示すプリフォーム10を準備する。この場合、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の熱可塑性樹脂製ペレットを射出成形機に投入し、このペレットが射出成形機によって加熱溶融される。その後、ペレットは溶融プラスチックとなって、プリフォーム10に対応する内部形状を有する射出成形金型内に射出される。所定時間の経過後、射出成形金型内で溶融プラスチックが硬化し、プリフォーム10が形成される。その後、射出成形金型を分離し、射出成形金型内から
図1及び
図2に示すプリフォーム10を取り出す。なお、プリフォーム10の製作は射出成形法に限定するものではなく、例えば圧縮成形法等の他の成形法であってもよい。
【0043】
次に、プリフォーム10は、加熱装置によって加熱される。このとき、プリフォーム10は、回転しながら、加熱装置によって周方向に均等に加熱される。この加熱工程におけるプリフォーム10の加熱温度は、例えば90℃~130℃としてもよい。
【0044】
続いて、加熱装置によって加熱されたプリフォーム10は、ブロー成形金型に送られ、このブロー成形金型を用いてプラスチックボトル40が成形される。この場合、ブロー成形金型は互いに分割された一対の胴部金型と、底部金型とからなる。これらの金型内にプリフォーム10が装着される。次に図示しない延伸ロッドによってプリフォーム10が長手方向に伸ばされ、さらに、プリフォーム10内に空気が圧入され、プリフォーム10に対して二軸延伸ブロー成形が施される。
【0045】
以上の工程によって、ブロー成形金型内でプリフォーム10からプラスチックボトル40が得られる。この間、胴部金型は20℃~75℃に温度調整され、底部金型は8℃~20℃に温度調整される。この際、ブロー成形金型内では、プリフォーム10が膨張され、ブロー成形金型の内面に対応する形状に賦形される。このようなブロー成形によって、
図3から
図4に示すプラスチックボトル40が得られる。
【0046】
(プリフォームの適切な形態)
次に、プリフォームの具体的な実施例と比較例を比較してプリフォームの適切な形態について説明する。
【0047】
ここでは、
図3から
図4に示すプラスチックボトル40(以下、単に「ボトル」とも称呼する)をプリフォーム10によって作ることができることを目的として、各種評価を行った。また、作製されたプラスチックボトル40は、加温用のプラスチックボトルとして利用可能とするための十分な特性を持つことについても評価した。
図5は、評価項目の一覧を示す図である。
図5に示す評価項目について、項目ごとに説明する。
【0048】
(プリフォームの偏肉の評価)
プリフォームの偏肉の評価として、胴部の肉厚を測定し、最も厚い箇所と最も薄い箇所の差を評価する。この評価のための測定は22℃の環境下で行った。この評価の結果、最も厚い箇所と最も薄い箇所の差が0.05mm以下の場合には、〇(使用可の評価、以下同じ)と評価し、上記差が0.05mmを超える場合には、×(使用不可の評価、以下同じ)と評価した。
【0049】
(ボトル首付け根の肉溜まりの評価)
ボトル首付け根の肉溜まりの評価として、ボトルを横から見た時の首の付け根の見えを評価した。この評価は目視による官能評価であり、22℃の環境下で行った。この評価の結果、首の付け根に輪が見えない場合には、〇の評価とし、首の付け根に輪が見える場合は、×の評価とした。
【0050】
(ボトルの接地性の評価)
ボトルの接地性の評価として、ボトルを平坦なテーブルに置いたときのボトルの接地性を評価した。この評価は22℃の環境下で行った。この評価の結果、ボトルを平坦なテーブルに置いたときガタツキや隙間なく底部がテーブルに接地している場合は、〇の評価とし、ガタツキがある状態、テーブルと隙間がある状態の少なくとも一方であった場合は、×の評価とした。
【0051】
(ボトルの芯ずれの評価)
ボトルの芯ずれの評価として、プリフォームのゲート中心がボトル底部の中心からずれている量を評価した。この評価は22℃の環境下で行った。この評価の結果、プリフォームのゲート中心が、ボトル底部の中心から5mm以内の位置にある場合は、〇の評価とし、プリフォームのゲート中心が、ボトル底部の中心から5mm超の位置にある場合は、×の評価とした。
【0052】
(ウォーマー評価:底部反転の評価)
ウォーマー評価のうち底部反転の評価として、ボトルに22℃の水を充填して閉栓後、液温70℃になるようヒーターの出力を調整したボトルウォーマー(日本ヒーター機器製、TW75-C3)に3週間保存後の底部の状態を評価した。この評価の結果、ボトル底部が反転(バックリング)していない場合は、〇の評価とし、ボトル底部が反転(バックリング)している場合は、×の評価とした。
【0053】
(ウォーマー評価:首曲がりの評価)
ウォーマー評価のうち首曲がりの評価として、ボトルに22℃の水を充填して閉栓後、液温70℃になるようヒーターの出力を調整したボトルウォーマー(日本ヒーター機器製、TW75-C3)に3週間保存後の首曲がりを評価した。具体的には、ボトルのキャップ天面の高さを測定し、1本のボトルで最も高い箇所と低い箇所の差(全高偏差)を評価した。この評価の結果、全高偏差が1mm以内の場合は、〇の評価とし、全高偏差が1mm超の場合は、×の評価とした。
全高偏差の測定は、接地面(テーブル)からキャップ天面までのボトル高さを、キャップのいろいろな個所で測定する。測定はハイトゲージを用いて、ボトルの位置を動かすことで、キャップ天面のいろいろな位置での、ボトル接地面からキャップ天面までの高さを測定した。そして、全高偏差は以下の式で求める。
全高偏差=最も高い箇所のボトル高さ-最も低い箇所のボトル高さ
なお、キャップを含んでボトルの高さを測る理由は、水を充填してキャップで閉栓しており、開栓するとボトル内部の圧力が下がって、ボトルの寸法が変わることがあるためである。
【0054】
(ホットプレート評価)
ホットプレート評価として、ボトルに22℃の水を充填して閉栓後、加温販売時の過酷試験として、加温面の表面温度が200℃のホットプレート(アズワン株式会社製ホットプレート EC-1200N)上に置き、60分後にボトル底部の状態を評価した。この評価の結果、ボトル底部が反転(バックリング)していない場合は、〇の評価とし、ボトル底部が反転(バックリング)した場合には、×の評価とした。
【0055】
図6は、評価の結果をまとめた図である。
評価には、
図6に示すようにプリフォームの実施例1~実施例3と、比較例1~比較例5の合計8種類のそれぞれについて、
図3のプラスチックボトル40(以下280mlボトルとも呼称する)を作製して評価を行った。各実施例及び比較例のプリフォームの寸法は
図6に示した。ここで、
図6中の「変形部重量」とは、プリフォーム10において口部11を除く部分の重量であり、首部21の重量と肉厚変化部22の重量と胴部23の重量と底部24の重量とを合計した重量(変形部20の重量)である。口部についてはブロー成形で変形しないことから、プラスチックボトルのブロー成形に影響を与えるのは口部11を除く部分が支配的であることから、この部分の重量に着目している。
【0056】
なお、実施例1~実施例3と、比較例1~比較例5のプリフォーム10は、いずれもPET(ポリエチレンテレフタレート)を用いて作製した。口部11の形態は、口部規格であるPCO1810に準拠した形態とした。
【0057】
先ず、望ましい結果が得られなかった比較例について説明する。
(比較例1)
比較例1の結果から、変形部重量16.4g(説明引用した数値には
図6中で下線を付した)以上では、280mlボトルでホットプレート評価×であった。これは、比較例1のプリフォームの延伸が実施例のプリフォームの場合より少なく、加温で底部が結晶化して変形しやすかったためと考えられる。
【0058】
図7は、実施例1のプリフォームで280mlボトルをブロー成形したときのボトル底部と、比較例1のプリフォームで280mlボトルをブロー成形したときのボトル底部とを比較する写真である。
図7(a)は、実施例1のプリフォームで280mlボトルをブロー成形したときの、ボトル底部を示し、
図7(b)は、比較例1のプリフォームで280mlボトルをブロー成形したときの、ボトル底部を示している。
図7の写真は、未加熱の各ボトルの底部を切断して撮影したものである。
図7(a)の実施例1の場合には、肉厚で延伸不足と考えられる範囲P1が狭いのに対して、
図7(b)の比較例1の場合には、肉厚で延伸不足と考えられる範囲P2が広い。この範囲P2が広いということは延伸不足の範囲が広いということである。
【0059】
PETは延伸すると熱に強くなる(熱によって変形しにくく、また結晶化しにくくなる)性質がある。そのため軽いプリフォームの方が延伸が大きくなり、そのため
図7の写真に示す延伸不足部分が小さくなり、加温に強いボトルとなると考えられる。ただし、軽すぎると物理的強度が弱くなり、逆に加温に弱くなる。
【0060】
比較例2の結果から、変形部重量10.0g以下では、280mlボトルでホットプレート評価×であった。これは、比較例1の結果とは逆に、変形部重量が軽いことからブロー成形後の肉厚が薄くなり過ぎて強度が不足しているためと考えられる。
【0061】
比較例3、4の結果から、胴肉厚2.7mm以下では、首付け根の肉溜まり評価×であった。また、これに関連して、ウォーマー評価の首曲がりの評価が×であった。これは、首部と胴部との肉厚差が少ないので、ブロー成形時に首部が伸びづらかったためと考えられる。なお比較例2は胴肉厚2.5mmとさらに薄いが、変形部重量が比較例3、4は11.4であるのに対し、比較例2は10.0gと軽いため、首付け根の肉溜まり評価が〇になったと考える。
また、比較例3、4の結果から、変形部20の長さL6が55mm以下であるとホットプレート評価が×であった。これは、変形部20の長さL6が55mm以下であると、プラスチックボトル40に成形するときボトルの高さ方向に大きく伸ばされすぎるので、プラスチックボトル40に熱を加えた時に元に戻ろうと収縮する力が大きく働き、加熱によりボトルが変形しやすくなったからと考えられる。
縦延伸倍率=口部を除いたボトルの高さ÷(変形部の長さ-底肉厚÷2) としたとき、比較例3、4は縦延伸倍率が2を超えており、高さ方向に大きく伸ばされると言える。
したがって、縦延伸倍率は、2以下であることが望ましい。
【0062】
比較例5の結果から、底肉厚/胴肉厚の値が71%以下だと、プリフォームの偏肉の評価が×であった。また、プリフォームの偏肉が大きいことに起因してブロー成形時に胴部が均一に伸びないことから、ボトルの芯ずれ評価も×であった。これは、プリフォームを射出成形するときのゲートGがプリフォーム底部にあり、この底肉厚T5が胴肉厚T3に対して薄いと、射出成形のときに溶融樹脂が均一に流れにくくなるためと考えられる。
【0063】
上述した各比較例に対して、実施例1、2、3のいずれについても、各種評価項目が〇の評価となった。よって、上記比較例と実施例とのプリフォーム10の寸法及び重量から、以下の形態のプリフォームとすることが望ましいといえる。
(望ましいプリフォームの形態1)
先ず、変形部重量(首部の重量と肉厚変化部の重量と胴部の重量と底部の重量とを合計した重量)は、10.0gよりも大きく、16.4g未満であることがプリフォームの望ましい形態(形態1)である。
(望ましいプリフォームの形態2)
また、胴部の肉厚である胴肉厚T3は、2.7mmよりも大きいことがプリフォームの望ましい形態(形態2)である。
(望ましいプリフォームの形態3)
さらに、底部の肉厚の内で最も厚さの薄い最先端部の厚さである底肉厚T5と、胴部の肉厚である胴肉厚T3との比である、底肉厚/胴肉厚の値が71%よりも大きいことがプリフォームの望ましい形態(形態3)である。
(望ましいプリフォームの形態4)
さらにまた、変形部20の長さL6が55mmより大きいことがプリフォームの望ましい形態(形態4)である。
(望ましいプリフォームの形態5)
また、縦延伸倍率が、2以下であることがプリフォームの望ましい形態(形態5)である。
【0064】
また、上記評価とは別に、プリフォームの材料としてPET(ポリエチレンテレフタレート)を使う場合において、ポリエチレンテレフタレート樹脂の重合触媒として、アルミニウム化合物を含む場合と、ゲルマニウム化合物を含む場合とのどちらが加温ボトルに適しているかを検討した。
具体的には、重合触媒として、アルミニウム化合物を含むPET樹脂と、ゲルマニウム化合物を含むPET樹脂とを用いて、実施例1のプリフォームを作製して、ホットプレート評価を行った。この評価では、さらに過酷な条件の評価として60分を超えてバックリングが発生するまでボトルをホットプレートの上に継続して置き続けてバックリングが発生するまでの時間を計測した。
【0065】
図8は、ポリエチレンテレフタレート樹脂の重合触媒の評価結果を示す図である。
実際に用いた触媒の種類及び銘柄と、評価結果は
図8に示す通りである。
図8に示すように、加温用ボトルとして使用するプリフォームは、重合触媒として、アルミニウム化合物を含むポリエチレンテレフタレート樹脂によって作製されることがより望ましいといえる。
この理由を探るため、加温前のボトルの胴部をX線回析法によって結晶度の測定を行った結果を
図8に併記した。この結果から、アルミニウム化合物を含むポリエチレンテレフタレート樹脂の方がゲルマニウム化合物の場合よりも結晶化度が高いことから、好成績が得られたと考えられる。
なお、ゲルマニウム化合物を含むポリエチレンテレフタレート樹脂によって作製されるプラスチックボトルであっても、十分な加温特性を備えている。
【0066】
以上説明した形態1から形態5の条件を満たすことにより、加温用プラスチックボトルの成形に適したプリフォームとすることができる。このプリフォームを用いてブロー成形を行うことにより、加温特性が良好で、かつ、軽量な加温用プラスチックボトルを作製することができる。
【0067】
なお、ボトルは、上記実施形態で例示した周方向溝を有する280mlに限定するものではなく、例えば圧力吸収パネルを有するボトルであったり、または溝や圧力吸収パネル等を一切有さないボトルであったりしてもよい。またボトルの容量も280mlに限定するものではなく、140ml以上、420ml以下、望ましくは190ml以上、350ml以下であってもよい。
【0068】
なお、本開示は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0069】
10 プリフォーム
11 口部
12 口部本体
13 ねじ部
14 サポートリング
15 開口部
21 首部
21a 外面
21b 内面
22 肉厚変化部
22a 外面
22b 内面
23 胴部
23a 外面
23b 内面
24 底部
24a 外面
24b 内面
40 プラスチックボトル
41 口部
42 本体部
42a 肩部
42b 胴部
42c 底部
42d 膨出部
42e 円錐台面
42f 平坦面
43 周方向溝
45 首部
46 ねじ部
47 サポートリング
G ゲート