(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025219
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】モデル図作成方法、情報処理システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 8/10 20180101AFI20250214BHJP
G06F 40/279 20200101ALI20250214BHJP
【FI】
G06F8/10
G06F40/279
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129803
(22)【出願日】2023-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】木野 泰伸
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376BB03
5B376BB08
5B376BB09
5B376BB11
5B376BC06
(57)【要約】
【課題】人の考えを概念化、図式化できる図作成方法、情報処理システムおよびプログラムを提供すること。
【解決手段】コンピュータが実行するモデル図作成方法は、テキスト化されたインタビューの内容を形態素毎に分割し、分割された複数の前記形態素のそれぞれに形態素の品詞を付加し、品詞が付加された複数の形態素を、意味に基づいて一又は複数のグループに集約し、一又は複数のグループの各々に含まれる複数の形態素を一般化するための形態素を生成し、生成した一般化するための一又は複数の形態素の各々に形態素の品詞を付加し、品詞が付加された一般化するための一又は複数の形態素および品詞が付加された複数の形態素のうち一又は複数のグループの各々に含まれる複数の形態素以外の形態素を、モデル図の構成要素に関係づける処理を行い、複数の形態素をモデル図の構成要素に関係づけた結果に基づいてモデル図を作成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが実行するモデル図作成方法であって、
テキスト化されたインタビューの内容を形態素毎に分割し、分割された複数の前記形態素のそれぞれに前記形態素の品詞を付加するステップと、
前記付加するステップで品詞が付加された複数の前記形態素を、意味に基づいて一又は複数のグループに集約するステップと、
一又は複数の前記グループの各々に含まれる複数の形態素を一般化するための形態素を生成するステップと、
生成した一般化するための一又は複数の前記形態素の各々に前記形態素の品詞を付加するステップと、
前記品詞が付加された一般化するための一又は複数の前記形態素および前記品詞が付加された複数の前記形態素のうち一又は複数の前記グループの各々に含まれる複数の形態素以外の形態素を、モデル図の構成要素に関係づける処理を行うステップと、
前記関係づけるステップで複数の形態素をモデル図の構成要素に関係づけた結果に基づいてモデル図を作成するステップと
を有する、モデル図作成方法。
【請求項2】
前記モデル図を作成するステップでは、UMLで定義された図を作成する、請求項1に記載のモデル図作成方法。
【請求項3】
前記モデル図を作成するステップでは、ER図、フローチャートおよび状態遷移図を少なくとも作成する、請求項2に記載のモデル図作成方法。
【請求項4】
前記関係づける処理を行うステップでは、概念及び前記概念の品詞の複数の組み合わせとモデル図の構成要素とを関連付けた情報に基づいて、前記品詞が付加された一般化するための一又は複数の前記形態素を、モデル図の構成要素に関係づける、請求項1に記載のモデル図作成方法。
【請求項5】
前記関係づける処理を行うステップでは、概念及び前記概念の品詞の複数の組み合わせとモデル図の構成要素とを関連付けた情報に基づいて、前記品詞が付加された複数の前記形態素のうち一又は複数の前記グループの各々に含まれる複数の形態素以外の形態素を、モデル図の構成要素に関係づける、請求項1に記載のモデル図作成方法。
【請求項6】
前記関係づける処理を行うステップでは、前記概念に含まれる要素、属性および関係に基づいて、複数の形態素をER図の構成要素に関係づける、請求項4又は請求項5に記載のモデル図作成方法。
【請求項7】
前記関係づける処理を行うステップでは、前記概念に含まれる属性、変化および判断に基づいて、複数の形態素をフローチャートの構成要素に関係づける、請求項4又は請求項5に記載のモデル図作成方法。
【請求項8】
前記関係づける処理を行うステップでは、前記概念に含まれる状態および変化に基づいて、複数の形態素を状態遷移図の構成要素に関係づける、請求項4又は請求項5に記載のモデル図作成方法。
【請求項9】
前記関係づける処理を行うステップでは、前記概念に含まれる要素、状態、属性、関係、変化および判断に基づいて、複数の形態素をUMLで定義された図の構成要素に関係づける、請求項4又は請求項5に記載のモデル図作成方法。
【請求項10】
インタビューの内容をテキストデータ化するステップ
をさらに備える、請求項1に記載のモデル図作成方法。
【請求項11】
モデル図を作成する情報処理システムであって、
テキスト化されたインタビューの内容を形態素毎に分割し、分割された複数の前記形態素のそれぞれに前記形態素の品詞を付加する付加部と、
前記付加部によって品詞が付加された複数の前記形態素を、意味に基づいて一又は複数のグループに集約し、一又は複数の前記グループの各々に含まれる複数の形態素を一般化するための形態素を生成し、生成した一般化するための一又は複数の前記形態素の各々に前記形態素の品詞を付加する生成部と、
前記品詞が付加された一般化するための一又は複数の前記形態素および品詞が付加された複数の前記形態素のうち一又は複数の前記グループの各々に含まれる複数の形態素以外の形態素を、モデル図の構成要素に関係づける処理部と、
前記処理部で複数の形態素をモデル図の構成要素に関係づけた結果に基づいてモデル図を作成する作成部と
を備える、情報処理システム。
【請求項12】
コンピュータに、
テキスト化されたインタビューの内容を形態素毎に分割し、分割された複数の前記形態素のそれぞれに前記形態素の品詞を付加するステップと、
前記付加するステップで品詞が付加された複数の前記形態素を、意味に基づいて一又は複数のグループに集約するステップと、
一又は複数の前記グループの各々に含まれる複数の形態素を一般化するための形態素を生成するステップと、
生成した一般化するための一又は複数の前記形態素の各々に前記形態素の品詞を付加するステップと、
前記品詞が付加された一般化するための一又は複数の前記形態素および品詞が付加された複数の前記形態素のうち一又は複数の前記グループの各々に含まれる複数の形態素以外の形態素を、モデル図の構成要素に関係づけるステップと、
前記関係づけるステップで複数の形態素をモデル図の構成要素に関係づけた結果に基づいてモデル図を作成するステップと
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、モデル図作成方法、情報処理システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
新製品、新サービス開発のためには、顧客ニーズ、現状の課題の的確な把握が重要である。顧客ニーズ、現状の課題の的確な把握は、実務的にはとても難しく、熟練者の経験に依存しがちである。担当者やユーザーが、自分たちの課題やニーズを明確に把握しているわけではない。そのため、要求/要件定義は難航することが多い。中途半端な要求/要件定義で実施されたプロジェクトの成果物は、ユーザーのニーズを満たさなくなる可能性が高い。
【0003】
顧客ニーズ、現状の課題の把握に、エスノグラフィー、GTA(Grounded Theory Approach)、KJ法などの質的研究法を利用する動きがある。質的研究法は、文化人類学、看護学、心理学などの人文社会系の分野で発展してきた。
例えば、GTAでは、データ(書き起こし文章)に密着して分析が行われる。GTAでは、切片化、オープンコーディング、選択的コーディングが行われる。
【0004】
KJ法では、カード(ポストイット)を用い、似たカードを集め、名前をつけ、構造図をつくり、説明を記載する。KJ法では、カードを用いることで切片化され、似たカードを集め、名前をつけることで概念化される。
テキストマイニングは、一般的には、文書データを形態素解析し、共起ネットワーク図を作成する。形態素解析によって形態素に切片化され、統計的手法や共起ネットワーク図等を用いて、GTAにおけるオープンコーディング及び選択コーディングやKJ法における概念化を支援できる(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】木野泰伸、“高校生が考えるグローバル人材に必要な能力とその構造”, 横幹, 第10巻, 第2号, 2016
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
GTAやKJ法は、人が思考しながら実施するため、膨大な時間を要し、また図の表記に関しての方法論がない。
本発明の目的は、人の考えを概念化、図式化できるモデル図作成方法、情報処理システムおよびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、コンピュータが実行するモデル図作成方法であって、テキスト化されたインタビューの内容を形態素毎に分割し、分割された複数の前記形態素のそれぞれに前記形態素の品詞を付加するステップと、前記付加するステップで品詞が付加された複数の前記形態素を、意味に基づいて一又は複数のグループに集約するステップと、一又は複数の前記グループの各々に含まれる複数の形態素を一般化するための形態素を生成するステップと、生成した一般化するための一又は複数の前記形態素の各々に前記形態素の品詞を付加するステップと、前記品詞が付加された一般化するための一又は複数の前記形態素および品詞が付加された複数の前記形態素のうち一又は複数の前記グループの各々に含まれる複数の形態素以外の形態素を、モデル図の構成要素に関係づける処理を行うステップと、前記関係づけるステップで複数の形態素をモデル図の構成要素に関係づけた結果に基づいてモデル図を作成するステップとを有する、モデル図作成方法である。
【0008】
本発明の一実施形態は、前述のモデル図作成方法において、前記モデル図を作成するステップでは、UMLで定義された図を作成する。
【0009】
本発明の一実施形態は、前述のモデル図作成方法において、前記モデル図を作成するステップでは、ER図、フローチャートおよび状態遷移図を少なくとも作成する。
【0010】
本発明の一実施形態は、前述のモデル図作成方法において、前記関係づける処理を行うステップでは、概念及び前記概念の品詞の複数の組み合わせとモデル図の構成要素とを関連付けた情報に基づいて、前記品詞が付加された一般化するための一又は複数の前記形態素を、モデル図の構成要素に関係づける。
【0011】
本発明の一実施形態は、前述のモデル図作成方法において、前記関係づける処理を行うステップでは、概念及び前記概念の品詞の複数の組み合わせとモデル図の構成要素とを関連付けた情報に基づいて、前記品詞が付加された複数の前記形態素のうち一又は複数の前記グループの各々に含まれる複数の形態素以外の形態素を、モデル図の構成要素に関係づける。
【0012】
本発明の一実施形態は、前述のモデル図作成方法において、前記関係づける処理を行うステップでは、前記概念に含まれる要素、属性および関係に基づいて、複数の形態素をER図の構成要素に関係づける。
【0013】
本発明の一実施形態は、前述のモデル図作成方法において、前記関係づける処理を行うステップでは、前記概念に含まれる属性、変化および判断に基づいて、複数の形態素をフローチャートの構成要素に関係づける。
【0014】
本発明の一実施形態は、前述のモデル図作成方法において、前記関係づける処理を行うステップでは、前記概念に含まれる状態および変化に基づいて、複数の形態素を状態遷移図の構成要素に関係づける。
【0015】
本発明の一実施形態は、前述のモデル図作成方法において、前記関係づける処理を行うステップでは、前記概念に含まれる要素、状態、属性、関係、変化および判断に基づいて、複数の形態素をUMLで定義された図の構成要素に関係づける。
【0016】
本発明の一実施形態は、前述のモデル図作成方法において、インタビューの内容をテキストデータ化するステップをさらに備える。
【0017】
本発明の一実施形態は、モデル図を作成する情報処理システムであって、テキスト化されたインタビューの内容を形態素毎に分割し、分割された複数の前記形態素のそれぞれに前記形態素の品詞を付加する付加部と、前記付加部によって品詞が付加された複数の前記形態素を、意味に基づいて一又は複数のグループに集約し、一又は複数の前記グループの各々に含まれる複数の形態素を一般化するための形態素を生成し、生成した一般化するための一又は複数の前記形態素の各々に前記形態素の品詞を付加する生成部と、前記品詞が付加された一般化するための一又は複数の前記形態素および品詞が付加された複数の前記形態素のうち一又は複数の前記グループの各々に含まれる複数の形態素以外の形態素を、モデル図の構成要素に関係づける処理部と、前記処理部で複数の形態素をモデル図の構成要素に関係づけた結果に基づいてモデル図を作成する作成部とを備える、情報処理システムである。
【0018】
本発明の一実施形態は、コンピュータに、テキスト化されたインタビューの内容を形態素毎に分割し、分割された複数の前記形態素のそれぞれに前記形態素の品詞を付加するステップと、前記付加するステップで品詞が付加された複数の前記形態素を、意味に基づいて一又は複数のグループに集約するステップと、一又は複数の前記グループの各々に含まれる複数の形態素を一般化するための形態素を生成するステップと、生成した一般化するための一又は複数の前記形態素の各々に前記形態素の品詞を付加するステップと、前記品詞が付加された一般化するための一又は複数の前記形態素および品詞が付加された複数の前記形態素のうち一又は複数の前記グループの各々に含まれる複数の形態素以外の形態素を、モデル図の構成要素に関係づけるステップと、前記関係づけるステップで複数の形態素をモデル図の構成要素に関係づけた結果に基づいてモデル図を作成するステップとを実行させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の実施形態によれば、人の考えを概念化、図式化できるモデル図作成方法、情報処理システムおよびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態の情報処理システム100の構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る情報処理システム100が形態素をモデル図の構成要素に関係づける際に使用するテーブルの一例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る情報処理システム100の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図4】実施形態の変形例1に係る情報処理システム100aの構成例を示す図である。
【
図5】実施形態の変形例1に係る情報処理システム100aが形態素をモデル図の構成要素に関係づける際に使用するテーブルの一例を示す図である。
【
図6】実施形態の変形例2に係る情報処理システム100bの構成例を示す図である。
【
図7】実施形態の変形例2に係る情報処理システム100bの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本実施形態のモデル図作成方法、情報処理システムおよびプログラムを、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施形態は、以下の実施形態に限られない。
なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
また、本願でいう「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0022】
(実施形態)
(情報処理システム)
図1は、本発明の実施形態の情報処理システム100の構成例を示す図である。情報処理システム100には、テキストデータ化された文書データが入力される。情報処理システム100は、入力された文書データを形態素毎に分割し、分割された複数の形態素のそれぞれにその形態素の品詞を付加する。情報処理システム100は、品詞が付加された複数の形態素を、意味に基づいて一又は複数のグループに集約する。
【0023】
情報処理システム100は、一又は複数のグループの各々に含まれる複数の形態素を一般化するための形態素を生成し、生成した一般化するための一又は複数の形態素の各々に形態素の品詞を付加する。情報処理システム100は、品詞が付加された一般化するための一又は複数の形態素を、モデル図の構成要素に関係づける処理を行う。情報処理システム100は、品詞が付加された複数の形態素のうち一又は複数のグループの各々に含まれる複数の形態素以外の形態素を、モデル図の構成要素に関係づける処理を行う。情報処理システム100は、複数の形態素をモデル図の構成要素に関係づけた結果に基づいてモデル図を作成し、作成したモデル図を出力する。
【0024】
情報処理システム100は、パーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。情報処理システム100は、例えば、入力部102と、付加部104と、生成部106と、処理部108と、作成部110と、出力部112と、記憶部150とを備える。
【0025】
入力部102は、情報を入力する。一例として、入力部102は、キーボードおよびマウスなどの操作部を有してもよい。この場合、入力部102は、ユーザーによって当該操作部に対して行われる操作に応じた情報を入力する。他の例として、入力部102は、外部の装置から情報を入力してもよい。当該外部の装置は、例えば、可搬な記憶媒体であってもよい。入力部102には、テキストデータ化された文書データが入力される。文書データの一例は、インタビューの内容である。以下、文書データがインタビューの内容をテキストデータ化したものである場合について説明を続ける。入力部102に、テキストデータ化されたインタビューの内容が入力されることによって、情報処理システム100は、分析対象のデータを取得できる。
【0026】
付加部104は、入力部102からインタビューの内容を取得する。付加部104は、取得したインタビューの内容を形態素毎に分割し、分割された複数の形態素のそれぞれにその形態素の品詞を付加する。例えば、付加部104は、インタビューの内容を形態素解析することによって形態素毎に分割し、分割することによって得られた複数の形態素のそれぞれにその形態素の品詞を付加する。
【0027】
形態素解析とは、文法的な情報の注記の無い自然言語のテキストデータ(文)から、対象言語の文法や、辞書と呼ばれる形態素の品詞等の情報に基づいて、形態素に分割し、それぞれの形態素の品詞等を判別することをいう。付加部104によって、複数の形態素のそれぞれに品詞が割り付けられるため、品詞ごとに複数の形態素を分類できる。
【0028】
生成部106は、付加部104から品詞が付加された形態素を複数取得する。生成部106は、取得した品詞が付加された複数の形態素の各々を、形態素の意味に基づいて一又は複数のグループに集約する処理を行う。生成部106は、一又は複数のグループの各々に含まれる複数の形態素を一般化するための形態素を生成し、生成した一般化するための一又は複数の形態素の各々に形態素の品詞を付加する。
【0029】
具体的には、生成部106は、品詞が割り付けられた複数の形態素を、類義語ごとに一又は複数のグループに集約する処理を行う。生成部106は、一又は複数のグループの各々について、グループに含まれる複数の形態素から共通する概念を抽出し、抽出した共通する概念に基づいて複数の形態素を一般化するための形態素を生成する。生成部106は、生成した一般化するための一又は複数の形態素の各々にその形態素の品詞を付加する。
【0030】
例えば、生成部106は、テキストマイニングによって一又は複数のグループの各々に含まれる複数の形態素から共通する概念を抽出し、抽出した共通する概念に基づいて複数の形態素を一般化するための形態素を生成する。
テキストマイニングは、文字列を対象としたデータマイニングのことであり、通常の文章からなるデータを形態素や文節で区切り、それらの出現の頻度や共出現の相関、出現傾向、時系列などを解析することで有用な情報を取り出すことである。生成部106によって、一又は複数のグループの各々に含まれる複数の形態素を一般化するための形態素を生成できるため、一又は複数のグループの各々に含まれる複数の形態素を纏めることができる。
例えば、生成部106は、辞書を使用することによって一又は複数のグループの各々に含まれる複数の形態素から共通する概念を抽出し、抽出した共通する概念に基づいて複数の形態素を一般化するための形態素を生成するようにしてもよい。
【0031】
処理部108は、生成部106から、品詞が付加された一般化するための一又は複数の形態素を取得する。処理部108は、取得した品詞が付加された一般化するための一又は複数の形態素を、モデル図の構成要素に関係づける処理を行う。
処理部108は、生成部106から、品詞が付加された複数の形態素のうち一又は複数のグループの各々に含まれる複数の形態素以外の形態素を取得する。処理部108は、取得した品詞が付加された複数の形態素のうち一又は複数のグループの各々に含まれる複数の形態素以外の形態素を、モデル図の構成要素に関係づける処理を行う。
【0032】
具体的には、処理部108は、品詞が付加された一般化するための一又は複数の形態素および品詞が付加された複数の形態素のうち一又は複数のグループの各々に含まれる複数の形態素以外の形態素を、少なくともER(Entity Relationship)図、フローチャートおよび状態遷移図の構成要素に関係づける。ここでは、一例として、ER図、フローチャートおよび状態遷移図について説明するが、ER図、フローチャートおよび状態遷移図に限定されるものではない。
【0033】
図2は、本実施形態に係る情報処理システム100が形態素をモデル図の構成要素に関係づける際に使用するテーブルの一例を示す図である。
図2には、ER図、フローチャートおよび状態遷移図の各々について、概念及びその概念の品詞の複数の組み合わせとモデル図の構成要素とを関連付けたテーブル形式の情報を示す。
【0034】
処理部108が、品詞が割り付けられた複数の形態素をER図の構成要素に関係づける場合について説明する。ER図は、「エンティティ」、「リレーション」、「アトリビュート」と呼ばれる構成要素(オブジェクト)を含む。「エンティティ」はデータのまとまりであり、「リレーション」はエンティティ同士の関係であり、「アトリビュート」はエンティティの詳細情報である。
【0035】
図2によれば、処理部108は、形態素の概念が要素を表し且つ名詞である場合にはその形態素をエンティティに関係づけ、形態素の概念が関係を表し且つ動詞である場合にはその形態素をリレーションに関係づけ、形態素の概念が属性を表し且つ形容詞又は副詞である場合にはその形態素をアトリビュートに関係づける。
【0036】
処理部108が、品詞が割り付けられた複数の形態素をフローチャートの構成要素に関係づける場合について説明する。フローチャートは、「プロセス」、「判断」と呼ばれる構成要素(記号)を含む。フローチャートは、「データ」と呼ばれる構成要素を含む。「プロセス」は処理機能を表し、「判断」は作業工程のなかで、フローが複数に分岐することを示す。
【0037】
図2によれば、処理部108は、形態素の概念が変化を表し且つ動詞である場合にはその形態素をプロセスに関係づけ、形態素の概念が判断を表し且つ動詞である場合にはその形態素を判断に関係づけ、形態素の概念が属性を表し且つ形容詞又は副詞である場合にはその形態素をデータに関係づける。
【0038】
処理部108が、品詞が割り付けられた複数の形態素を状態遷移図の構成要素に関係づける場合について説明する。状態遷移図は、「状態」、「遷移(イベント、トリガー)」と呼ばれる構成要素を含む。「状態」は状態名を表し、「遷移(イベント、トリガー)」は行った動作を表す。
【0039】
図2によれば、処理部108は、形態素の概念が要素を表し且つ名詞である場合にはその形態素をエンティティに関係づけ、形態素の概念が状態を表し且つ形容詞である場合にはその形態素を状態に関係づけ、形態素の概念が変化を表し且つ動詞である場合にはその形態素を遷移(イベント、トリガー)に関係づける。
【0040】
作成部110は、処理部108から、ER図について構成要素およびその構成要素に関係づけた形態素を取得し、フローチャートについて構成要素およびその構成要素に関係づけた形態素を取得し、状態遷移図について構成要素およびその構成要素に関係づけた形態素を取得する。
【0041】
作成部110は、ER図について取得した構成要素およびその構成要素に関係づけた形態素とER図の構成要素間の関係に基づいてER図を作成する。具体的には、作成部110は、エンティティにアトリビュートを含め、リレーションによってエンティティ同士の関係を表現することによってER図を作成する。
【0042】
作成部110は、フローチャートについて取得した構成要素およびその構成要素に関係づけた形態素とフローチャートの構成要素の関係とに基づいてフローチャートを作成する。具体的には、作成部110は、プロセスと判断との間を遷移によって接続し、データの流れを表現することによってフローチャートを作成する。
【0043】
作成部110は、状態遷移図について取得した構成要素およびその構成要素に関係づけた形態素と、状態遷移図の構成要素の関係とに基づいて状態遷移図を作成する。具体的には、作成部110は、状態を四角で表し、遷移を矢印でつなぎ、イベントを矢印近傍に記載し、状態の遷移を表現することによって状態遷移図を作成する。
【0044】
出力部112は、作成部110からER図、フローチャートおよび状態遷移図を取得する。出力部112は、取得したER図、フローチャートおよび状態遷移図を出力する。例えば、出力部112は、取得したER図、フローチャートおよび状態遷移図を表示部(図示なし)に出力することによって、表示部にER図、フローチャートおよび状態遷移図を表示させてもよい。
【0045】
(情報処理システムの動作)
図3は、本実施形態に係る情報処理システム100の動作の一例を示すフローチャートである。
図3を参照して、情報処理システム100にテキストデータ化されたインタビューの内容が入力された場合の動作について説明する。
(ステップS1-1)
入力部102に、テキストデータ化されたインタビューの内容が入力される。
【0046】
(ステップS2-1)
付加部104は、入力部102からインタビューの内容を取得する。付加部104は、取得したインタビューの内容を形態素毎に分割する。
(ステップS3-1)
付加部104は、分割された複数の形態素のそれぞれにその形態素の品詞を付加する。
【0047】
(ステップS4-1)
生成部106は、付加部104から品詞が付加された形態素を複数取得する。生成部106は、取得した品詞が付加された複数の形態素の各々を、形態素の意味に基づいて一又は複数のグループに集約する処理を行う。
(ステップS5-1)
生成部106は、一又は複数のグループの各々に含まれる複数の形態素を一般化するための形態素を生成し、生成した一般化するための一又は複数の形態素の各々に形態素の品詞を付加する。
【0048】
(ステップS6-1)
処理部108は、生成部106から、品詞が付加された一般化するための一又は複数の形態素および品詞が付加された複数の形態素のうち一又は複数のグループの各々に含まれる複数の形態素以外の形態素を取得する。処理部108は、取得した品詞が付加された一般化するための一又は複数の形態素および品詞が付加された複数の形態素のうち一又は複数のグループの各々に含まれる複数の形態素以外の形態素を、モデル図の構成要素に関係づける処理を行う。
【0049】
(ステップS7-1)
作成部110は、処理部108から、モデル図について構成要素とその構成要素に関係づけた形態素とを取得する。作成部110は、モデル図の構成要素とその構成要素に関係づけた形態素と、モデル図の構成要素間の関係とに基づいてモデル図を作成する。
(ステップS8-1)
出力部112は、作成部110からモデル図を取得する。出力部112は、取得したモデル図を出力する。
【0050】
前述した実施形態では、一例として、情報処理システム100において、作成部110が、ER図、フローチャートおよび状態遷移図を少なくとも作成する場合について説明したが、この例に限られない。例えば、作成部110は、ER図、フローチャートおよび状態遷移図の少なくとも一つ作成するようにしてもよい。
【0051】
前述した実施形態では、一例として、情報処理システム100が形態素をモデル図の構成要素に関係づける際に使用するテーブルの一例に、概念として要素、状態、属性、関係、変化および判断が含まれる場合について説明したが、この例に限られない。
例えば、要素が物理的要素と概念的要素とに分けられていてもよい。この場合、処理部108は、形態素の概念が物理的要素を表し且つ名詞である場合にはその形態素をエンティティに関係づけ、形態素の概念が概念的要素を表し且つ名詞である場合にはその形態素をエンティティに関係づける。
【0052】
前述した実施形態において、生成部106は、取得した品詞が付加された複数の形態素にオープンコーディングおよび選択コーディングを行い、共起ネットワーク図を生成するようにしてもよい。このように構成することによって、形態素が共通に出現する関係(共起関係)を円と線で表すことができるため、インタビューの内容に含まれる形態素を感覚的に把握できる。
【0053】
実施形態に係る情報処理システム100によれば、情報処理システム100は、モデル図を作成する。情報処理システムは、テキスト化されたインタビューの内容を形態素毎に分割し、分割された複数の形態素のそれぞれに形態素の品詞を付加する付加部104と、付加部104によって品詞が付加された複数の形態素を、意味に基づいて一又は複数のグループに集約し、一又は複数のグループの各々に含まれる複数の形態素を一般化するための形態素を生成し、生成した一般化するための一又は複数の形態素の各々に形態素の品詞を付加する生成部106と、品詞が付加された一般化するための一又は複数の形態素および品詞が付加された複数の形態素のうち一又は複数のグループの各々に含まれる複数の形態素以外の形態素を、モデル図の構成要素に関係づける処理部108と、処理部108で複数の形態素をモデル図の構成要素に関係づけた結果に基づいてモデル図を作成する作成部110とを備える。
【0054】
このように構成することによって、情報処理システム100は、品詞が付加された複数の形態素を、意味に基づいて一又は複数のグループに集約し、一又は複数のグループの各々に含まれる複数の形態素を一般化するための形態素を生成し、生成した一般化するための一又は複数の形態素の各々に形態素の品詞を付加することができるため、複数の形態素を、意味に基づいて集約した一又は複数のグループの各々に含まれる複数の形態素を纏めることができる。
【0055】
また、情報処理システム100は、品詞が付加された一般化するための一又は複数の形態素および品詞が付加された複数の形態素のうち一又は複数のグループの各々に含まれる複数の形態素以外の形態素を、モデル図の構成要素に関係づけることができるため、複数の形態素をモデル図の構成要素に関係づけた結果に基づいてモデル図を作成できる。インタビューの内容などの複数の人の漠然とした考えを元データとして、思考の見える化を行うことができる。GTAをはじめとした質的研究を迅速に、客観的に実施できる。また、システム開発を行う場合に、ユーザーの漠然とした想いをデータとして、要件を整理し、明確にすることが可能となる。
【0056】
情報処理システム100において、作成部110は、ER図、フローチャートおよび状態遷移図を少なくとも作成する。
このように構成することによって、情報処理システム100は、ER図、フローチャートおよび状態遷移図を少なくとも作成できるため、ER図によって分析対象に複数の要素がある場合にその要素間の関係を表現でき、フローチャートによって変化させるプロセスと判断を中心に時間軸に沿って追っていくことを表現でき、状態遷移図によって一つもしくは複数の分析対象の状態の変化を時間軸に沿って追っていくことを表現できる。
【0057】
情報処理システム100において、処理部108は、概念及び概念の品詞の複数の組み合わせとモデル図の構成要素とを関連付けた情報に基づいて、品詞が付加された一般化するための一又は複数の形態素を、モデル図の構成要素に関係づける。
情報処理システム100において、処理部108は、概念及び概念の品詞の複数の組み合わせとモデル図の構成要素とを関連付けた情報に基づいて、品詞が付加された複数の形態素のうち一又は複数のグループの各々に含まれる複数の形態素以外の形態素を、モデル図の構成要素に関係づける。
【0058】
このように構成することによって、情報処理システム100は、品詞が付加された一般化するための一又は複数の形態素および品詞が付加された複数の形態素のうち一又は複数のグループの各々に含まれる複数の形態素以外の形態素を、モデル図の構成要素に関係づけることができるため、複数の形態素をモデル図の構成要素に関係づけた結果に基づいてモデル図を作成できる。
【0059】
情報処理システム100において、処理部108は、概念に含まれる要素、属性および関係に基づいて、複数の形態素をER図の構成要素に関係づける。
このように構成することによって、情報処理システム100は、概念に含まれる要素およびその要素の品詞、属性およびその属性の品詞および関係およびその関係の品詞の組み合わせとER図の構成要素とを関連付けた情報に基づいて、品詞が付加された一般化するための一又は複数の形態素および品詞が付加された複数の形態素のうち一又は複数のグループの各々に含まれる複数の形態素以外の形態素を、ER図の構成要素に関係づけることができるため、複数の形態素をER図の構成要素に関係づけた結果に基づいてER図を作成できる。
【0060】
情報処理システム100において、処理部108は、概念に含まれる属性、変化および判断に基づいて、複数の形態素をフローチャートの構成要素に関係づける。
このように構成することによって、情報処理システム100は、概念に含まれる属性およびその属性の品詞、変化およびその変化の品詞および判断およびその判断の品詞の組み合わせとフローチャートの構成要素とを関連付けた情報に基づいて、品詞が付加された一般化するための一又は複数の形態素および品詞が付加された複数の形態素のうち一又は複数のグループの各々に含まれる複数の形態素以外の形態素を、フローチャートの構成要素に関係づけることができるため、複数の形態素をフローチャートの構成要素に関係づけた結果に基づいてフローチャートを作成できる。
【0061】
情報処理システム100において、処理部108は、概念に含まれる状態および変化に基づいて、複数の形態素を状態遷移図の構成要素に関係づける。
このように構成することによって、情報処理システム100は、概念に含まれる状態およびその状態の品詞および変化およびその変化の品詞の組み合わせと状態遷移図の構成要素とを関連付けた情報に基づいて、品詞が付加された一般化するための一又は複数の形態素および品詞が付加された複数の形態素のうち一又は複数のグループの各々に含まれる複数の形態素以外の形態素を、状態遷移図の構成要素に関係づけることができるため、複数の形態素を状態遷移図の構成要素に関係づけた結果に基づいて状態遷移図を作成できる。
【0062】
(実施形態の変形例1)
(情報処理システム)
図4は、実施形態の変形例1に係る情報処理システム100aの構成例を示す図である。情報処理システム100aは、情報処理システム100において、UML(Unified Modeling Language)で定義されているモデル図を作成し、作成したモデル図を出力する点で異なる。
【0063】
情報処理システム100aは、パーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。情報処理システム100aは、例えば、入力部102と、付加部104と、生成部106と、処理部108aと、作成部110aと、出力部112aと、記憶部150とを備える。
【0064】
処理部108aは、処理部108を適用できる。ただし、処理部108aは、品詞が付加された一般化するための一又は複数の形態素および品詞が付加された複数の形態素のうち一又は複数のグループの各々に含まれる複数の形態素以外の形態素を、UMLで定義されているモデル図の構成要素に関係づける。UMLで定義されているモデル図の一例として、クラス図・オブジェクト図、活動図、状態機械図およびユースケース図を使用した場合について説明を続ける。
【0065】
図5は、実施形態の変形例1に係る情報処理システム100aが形態素をモデル図の構成要素に関係づける際に使用するテーブルの一例を示す図である。
図5には、UMLに含まれるクラス図・オブジェクト図、活動図、状態機械図およびユースケース図の各々について、概念及びその概念の品詞の複数の組み合わせとモデル図の構成要素とを関連付けたテーブル形式の情報を示す。
【0066】
品詞が割り付けられた複数の形態素をUMLで定義された図の構成要素に関係づける場合について説明する。UMLの概念レベルには、クラス図・オブジェクト図、活動図、状態機械図およびユースケース図が含まれる。このため、一例として、UMLに含まれるクラス図・オブジェクト図、活動図、状態機械図およびユースケース図に分けて説明する。
【0067】
処理部108aが、品詞が割り付けられた複数の形態素をクラス図・オブジェクト図の構成要素に関係づける場合について説明する。クラス図・オブジェクト図は、「クラス」・「オブジェクト」、「メソッド」、「属性」と呼ばれる構成要素を含む。
図5によれば、処理部108aは、形態素の概念が要素を表し且つ名詞である場合にはその形態素を「クラス」・「オブジェクト」に関係づけ、形態素の概念が関係を表し且つ動詞である場合にはその形態素を「メソッド」に関係づけ、形態素の概念が属性を表し且つ形容詞又は副詞である場合にはその形態素を「属性」に関係づける。
【0068】
処理部108aが、品詞が割り付けられた複数の形態素を活動図(アクティビティ図)の構成要素に関係づける場合について説明する。活動図は、「アクション」、「判断」と呼ばれる構成要素を含む。
図5によれば、処理部108aは、形態素の概念が変化を表し且つ動詞である場合にはその形態素をアクションに関係づけ、形態素の概念が判断を表し且つ動詞である場合にはその形態素を判断に関係づける。
【0069】
処理部108aが、品詞が割り付けられた複数の形態素を状態機械図の構成要素に関係づける場合について説明する。状態機械図は、「状態」、「遷移」と呼ばれる構成要素を含む。「状態」は状態名を表し、「遷移」は状態が変化するためのイベントを表す。
図5によれば、処理部108aは、形態素の概念が状態を表し且つ名詞又は形容詞である場合にはその形態素を状態に関係づけ、形態素の概念が変化を表し且つ動詞である場合にはその形態素を遷移に関係づける。
【0070】
処理部108aが、品詞が割り付けられた複数の形態素をユースケース図の構成要素に関係づける場合について説明する。ユースケース図は、「アクター」、「行為」と呼ばれる構成要素を含む。
図5によれば、処理部108aは、形態素の概念が人物という要素を表し且つ名詞である場合にはその形態素を「アクター」に関係づけ、形態素の概念が変化を表し且つ動詞である場合にはその形態素を「行為」に関係づけ、形態素の概念が判断を表し且つ動詞である場合にはその形態素を「行為」に関係づける。
【0071】
作成部110aは、作成部110を適用できる。ただし、作成部110aは、作成部110の機能に加え、以下の機能を有する。作成部110aは、処理部108aから、UMLに含まれるクラス図・オブジェクト図、活動図、状態機械図およびユースケース図について構成要素とその構成要素に関係づけた形態素とを取得する。
作成部110aは、UMLに含まれるクラス図・オブジェクト図、活動図、状態機械図およびユースケース図について取得した構成要素とその構成要素に関係づけた形態素と、UMLに含まれるクラス図・オブジェクト図、活動図、状態機械図およびユースケース図の構成要素間の関係とに基づいてUML図を作成する。
【0072】
出力部112aは、出力部112を適用できる。ただし、出力部112aは、出力部112の機能に加え、以下の機能を有する。出力部112aは、作成部110aからUMLに含まれるクラス図・オブジェクト図、活動図、状態機械図およびユースケース図を取得する。出力部112aは、取得したUMLに含まれるクラス図・オブジェクト図、活動図、状態機械図およびユースケース図を出力する。例えば、出力部112aは、取得したUMLに含まれるクラス図・オブジェクト図、活動図、状態機械図およびユースケース図を表示部(図示なし)に出力することによって、表示部にUMLに含まれるクラス図・オブジェクト図、活動図、状態機械図およびユースケース図を表示させてもよい。
【0073】
(情報処理システムの動作)
実施形態の変形例1に係る情報処理システム100aの動作の一例は、
図3を適用できるため、ここでの説明は省略する。
【0074】
前述した実施形態の変形例1では、UML図の一例として、クラス図・オブジェクト図、活動図、状態機械図およびユースケース図について説明したが、この例に限られない。例えば、コンポーネント図、シーケンス図、ステートチャート図などについても適用できる。
【0075】
実施形態の変形例1に係る情報処理システム100aによれば、情報処理システム100aは、情報処理システム100において、作成部110aは、UMLで定義された図を作成する。
情報処理システム100aにおいて、処理部108aは、概念に含まれる要素、状態、属性、関係、変化および判断に基づいて、複数の形態素をUML図の構成要素に関係づける。
このように構成することによって、情報処理システム100aは、概念に含まれる要素およびその要素の品詞、状態およびその状態の品詞、属性およびその属性の品詞、関係およびその関係の品詞、変化およびその変化の品詞および判断およびその判断の品詞の組み合わせとUMLで定義された図の構成要素とを関連付けた情報に基づいて、品詞が付加された一般化するための一又は複数の形態素および品詞が付加された複数の形態素のうち一又は複数のグループの各々に含まれる複数の形態素以外の形態素を、UMLで定義された図の構成要素に関係づけることができる。このため、複数の形態素をUMLで定義された図の構成要素に関係づけた結果に基づいてUMLで定義された図を作成できる。
【0076】
(実施形態の変形例2)
(情報処理システム)
図6は、実施形態の変形例2に係る情報処理システム100bの構成例を示す図である。情報処理システム100bは、情報処理システム100と比較して、インタビューの内容などの複数の人の漠然とした考えを含むデータが入力され、入力されたデータを認識し、テキストデータ化する点で異なる。
【0077】
例えば、情報処理システム100bに、音声データが入力されてもよい。以下、一例として、情報処理システム100bに音声データが入力される場合について説明を続ける。情報処理システム100bは、テキストデータ化した音声データを形態素毎に分割し、分割された複数の形態素のそれぞれにその形態素の品詞を付加する。
【0078】
情報処理システム100bは、パーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。情報処理システム100bは、例えば、入力部102と、認識部103b、付加部104と、生成部106と、処理部108と、作成部110と、出力部112と、記憶部150とを備える。
【0079】
入力部102には、音声データが入力される。音声データの一例は、インタビューの内容である。以下、音声データがインタビューの内容である場合について説明を続ける。入力部102に、インタビューの内容の音声データが入力されることによって、情報処理システム100bは、分析対象のデータを取得できる。
【0080】
認識部103bは、入力部102からインタビューの内容の音声データを取得する。認識部103bは、取得したインタビューの内容の音声データを音声認識することによってテキストデータに変換する。
付加部104は、認識部103bからインタビューの内容を取得する。付加部104は、取得したインタビューの内容を形態素毎に分割し、分割された複数の形態素のそれぞれにその形態素の品詞を付加する。
【0081】
(情報処理システムの動作)
図7は、実施形態の変形例2に係る情報処理システム100bの動作の一例を示すフローチャートである。
図7を参照して、情報処理システム100bにインタビューの音声データが入力された場合の動作について説明する。
(ステップS1-2)
入力部102に、インタビューの内容の音声データが入力される。
【0082】
(ステップS2-2)
認識部103bは、入力部102からインタビューの内容の音声データを取得する。認識部103bは、取得したインタビューの内容の音声データを音声認識することによってテキストデータに変換する。
【0083】
(ステップS3-2)
付加部104は、認識部103bからインタビューの内容を取得する。付加部104は、取得したインタビューの内容を形態素毎に分割し、分割された複数の形態素のそれぞれにその形態素の品詞を付加する。
ステップS4-2からS9-2は、
図3のステップS3-1からS8-1を適用できるため、ここでの説明は省略する。
【0084】
実施形態の変形例2に係る情報処理システム100bによれば、情報処理システム100bは、情報処理システム100において、インタビューの内容をテキストデータ化する認識部103bをさらに備える。
このように構成することによって、情報処理システム100bは、インタビューの内容をテキストデータ化できるため、仮にインタビューの内容の音声データが入力された場合でも、その音声データに基づいて、インタビューの内容などの複数の人の漠然とした考えを元データとして、思考の見える化を行うことができる。GTAをはじめとした質的研究を迅速に、客観的に実施できる。
【0085】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組合わせを行うことができる。例えば、実施形態と、実施形態の変形例2とが組み合わされてもよい。これら実施形態およびその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0086】
なお、前述の情報処理システム100、情報処理システム100aおよび情報処理システム100bは内部にコンピュータを有している。そして、前述した各装置の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。
【0087】
ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどをいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0088】
100、100a、100b…情報処理システム、 102…入力部、 103b…認識部、 104…付加部、 106…生成部、 108、108a…処理部、 110、110a…作成部、 112、112a…出力部、 150…記憶部