IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧 ▶ 三菱電機照明株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-照明器具 図1
  • 特開-照明器具 図2
  • 特開-照明器具 図3
  • 特開-照明器具 図4
  • 特開-照明器具 図5
  • 特開-照明器具 図6
  • 特開-照明器具 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025234
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/02 20060101AFI20250214BHJP
   F21V 15/00 20150101ALI20250214BHJP
   F21V 3/02 20060101ALI20250214BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20250214BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20250214BHJP
【FI】
F21S8/02 410
F21V15/00
F21V3/02
F21V3/00 320
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129826
(22)【出願日】2023-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲濱▼ 佑一郎
(72)【発明者】
【氏名】松田 康平
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 公史
(57)【要約】
【課題】散乱板の意匠性を確保すると共にモアレ現象を抑制することが可能な照明器具を得ることを目的とする。
【解決手段】照明器具は、一面に開口を有する器具本体と、器具本体内に配置された光源と、光源からの光の出射面となる発光面と発光面に対向する裏面とを有し、発光面が器具本体の開口から外方を向くように器具本体内に配置された板状の散乱板と、散乱板の発光面に垂直な方向において発光面から離間して配置され、発光面を覆う板状の保護カバーと、を備え、保護カバーは、散乱板との対向面が、複数の突部を有するシボ加工面である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面に開口を有する器具本体と、
前記器具本体内に配置された光源と、
前記光源からの光の出射面となる発光面と前記発光面に対向する裏面とを有し、前記発光面が前記器具本体の前記開口から外方を向くように前記器具本体内に配置された板状の散乱板と、
前記散乱板の前記発光面に垂直な方向において前記発光面から離間して配置され、前記発光面を覆う板状の保護カバーと、を備え、
前記保護カバーは、前記散乱板との対向面が、複数の突部を有するシボ加工面である照明器具。
【請求項2】
前記シボ加工面の前記複数の突部のそれぞれは、前記対向面の面方向の幅が5μm~10μmである請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記器具本体の内部において前記保護カバーの前記対向面側とは反対側に配置され、前記散乱板の前記発光面に垂直な方向から見て枠状に形成された拡散カバーと、
前記拡散カバーの外側に配置され、前記拡散カバーに向かって第1の光を出射する第1光源モジュールと、
前記光源を有し、前記散乱板に向かって前記光源から第2の光を出射する第2光源モジュールと、を備え、
前記保護カバーの前記対向面と前記散乱板の前記発光面との距離が、前記第1の光の前記保護カバーを介した前記散乱板への映り込みを抑制する距離に設定されている請求項1又は請求項2記載の照明器具。
【請求項4】
前記距離は、0mm超~2mm以下である請求項3記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明器具に関し、特に、散乱板を有する照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天井などの被取付部に設置された照明器具がある。照明器具は、下方が開口している箱形の器具本体と、器具本体の内部に配置された矩形板状の散乱板と、散乱板の対向する2つの端面に対向するように配置されたLEDなどで構成される光源と、を備える。照明器具は、光源から出射した光を散乱板の端面に入射させ、散乱板において器具本体の開口側を向いた面である出射面からその光を出射させる。散乱板は、出射面が発光面となって面発光し、器具本体の開口から光を照射する(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-26796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている照明器具では、散乱板の発光面がむき出しの状態となっている。このため、特許文献1に開示されている照明器具は、埃又は水等の外的異物等により、散乱板の発光面で拡散反射が発生してしまい、意匠性が低下するという問題があった。
【0005】
また、照明器具では、意匠性が低下するため、散乱板の発光面にモアレ現象が発生しない構成が求められている。
【0006】
本開示は、かかる課題を解決するためのものであり、散乱板の意匠性を確保すると共にモアレ現象を抑制することが可能な照明器具を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る照明器具は、一面に開口を有する器具本体と、器具本体内に配置された光源と、光源からの光の出射面となる発光面と発光面に対向する裏面とを有し、発光面が器具本体の開口から外方を向くように器具本体内に配置された板状の散乱板と、散乱板の発光面に垂直な方向において発光面から離間して配置され、発光面を覆う板状の保護カバーと、を備え、保護カバーは、散乱板との対向面が、複数の突部を有するシボ加工面であるものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る照明器具は、散乱板の発光面を覆う保護カバーを有するため、散乱板の発光面に外的異物等が付着することによる拡散反射を抑制できて意匠性を確保できる。また、照明器具は、保護カバーの散乱板との対向面が、複数の突部を有するシボ加工面となっているため、散乱板が撓んで保護カバーに接触した場合の接触部分を、対向面が突部を有さない平坦面である場合に比べて小さくでき、接触部分から広がるモアレ現象を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る照明器具の全体構成の概略を示す分解斜視図である。
図2】実施の形態1に係る照明器具の構成を示す斜視図である。
図3】実施の形態1に係る光源部の一部を含む光源ユニットの下部部分の分解斜視図である。
図4】実施の形態1に係る光源部の残り部分と電源とを含む光源ユニットの上部部分の分解斜視図である。
図5】実施の形態1に係る光源ユニットの散乱板及び保護カバーを含む部分の断面図である。
図6】実施の形態1に係る照明器具1の意匠性と、従来の照明器具の意匠性の比較結果を示す図である。
図7】モアレ現象の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る照明器具1の実施の形態について図面を参照して説明する。各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。また、明細書の全文において、床面から天井に向かう方向、即ちZ方向のうちZ1方向を「上方向」と呼び、天井側を「上側」と呼ぶ場合がある。また、同様に、天井から床面に向かう垂直な方向、即ちZ2方向を「下方向」と呼び、床面側を「下側」と呼ぶ場合がある。また、X方向及びY方向は、Z方向に垂直である。また、以下の説明の中で、位置関係及び方向を説明する際に「内」「外」という表現(内側、外側、内面、外面を含む)を使う場合があるが、特に断りのない限り照明器具1の中央部分側を内とし、照明器具1の外部側を外とする。なお、各図面では、各構成部材の相対的な寸法関係又は形状等が実際のものとは異なる場合がある。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明器具1の全体構成の概略を示す分解斜視図である。図2は、実施の形態1に係る照明器具1の構成を示す斜視図である。照明器具1は、光を照射するものであり、器具本体30と、光源部10を有する光源ユニット100と、を有している。照明器具1は、天井埋め込み型の照明器具である。照明器具1は、Z方向に見て(以下、平面視という)四角形に形成されている。
【0012】
器具本体30は、下側が開口した長方形の箱形に形成されている。器具本体30の内部には、平面視で矩形状の光源ユニット100が配置されている。光源ユニット100は、光源部10の後述の化粧枠11に固定されたVばね19によって器具本体30に取り付けられている。Vばね19は、矩形の枠形に形成された化粧枠11のフランジ部11aにおいて、長手方向に延びる一対の長手部の上面に2つずつ固定されている。照明器具1は、光源ユニット100のVばね19が器具本体30に固定されたVばね取り付け金具(図示せず)に取り付けられることで、器具本体30に取り付けられて構成されている。
【0013】
照明器具1は、天井Cに設けられた埋め込み穴Hに埋め込まれるように設置される。天井Cの埋め込み穴Hからは、吊り下げボルトBが吊り下げられている。照明器具1は、器具本体30が吊り下げボルトBに吊り下げられて埋め込み穴Hに埋め込まれる。照明器具1は、フランジ部11aを除く部分が埋め込み穴Hに埋め込まれ、フランジ部11aの下端面Aが天井面に沿って露出するようにして天井に設置される。
【0014】
以上に、照明器具1の天井との取り付け構造の概要について説明したが、取付構造は上記に限定されるものではなく、適宜変更できるものである。
【0015】
図3は、実施の形態1に係る光源部10の一部を含む光源ユニット100の下部部分の分解斜視図である。図4は、実施の形態1に係る光源部10の残り部分と電源部20とを含む光源ユニット100の上部部分の分解斜視図である。図5は、実施の形態1に係る光源ユニット100の散乱板17及び保護カバー13を含む部分の断面図である。以下、図3図5を用いて照明器具1の光源ユニット100の構成の詳細について説明する。
【0016】
光源ユニット100は、光源部10と、光源部10の上方に配置された電源部20と、を備えている。光源部10は、化粧枠11と、拡散カバー12と、保護カバー13と、第1光源モジュール14と、光源モジュール保持部材15と、第2光源モジュール16と、散乱板17と、弾性部材18と、を有する。
【0017】
(化粧枠11)
化粧枠11は、Z方向に貫通した枠状に構成されている。化粧枠11は、XY平面方向に延びる板状であって、平面視で矩形の枠形に形成されたフランジ部11aと、フランジ部11aのZ1側の面からZ1方向及びX方向に延びる矩形板状の保持部11bと、を有する。保持部11bは、フランジ部11aにおいてY方向に対向する2辺のそれぞれに設けられている。フランジ部11aにおいてY方向に対向する2辺には更に、上述のVばね19が固定されているが、図3では図示省略されている。化粧枠11は、図5に示すように例えば金属製の板材を折り曲げてフランジ部11aと保持部11bとを有するように構成されている。なお、化粧枠11は、金属製のものに限定されるものではない。
【0018】
(拡散カバー12)
拡散カバー12は、平面視で矩形の枠形に形成されている。拡散カバー12は、化粧枠11のフランジ部11a上に設置される。拡散カバー12は、例えば、乳白色などの白色の樹脂から構成される。拡散カバー12は、上側と下側が開口した四角錐台に形成される。したがって、拡散カバー12の4つの側面のそれぞれは、上下方向に対して予め設定された角度で傾斜している。拡散カバー12の4つの側面のそれぞれは、台形形状の拡散板12aから構成され、上辺の長さが下辺の長さよりも短くなっている。また、拡散カバー12の4つの側面のそれぞれが傾斜している関係で、Z方向から見たときに上辺の位置が下辺の位置よりも内側になるように配置されている。それにより、拡散カバー12の内部空間は、下方向に向かってテーパ状に大きくなっている。拡散カバー12は、上述したように、4枚の台形形状の拡散板12aを組み合わせて形成されている。しかしながら、この形成方法に限らず、拡散カバー12を一体成型で形成してもよい。
【0019】
拡散カバー12を構成している4つの拡散板12aのうち、3つの拡散板12aは発光面12a1を有し、他の1つの拡散板12aは非発光面12a2を有している。3つの発光面12a1は、後述のU字形の第1光源モジュール14に合わせて、U字形状に配置されている。3つの発光面12a1は、第1光源モジュール14から出射される白色光を発する面である。
【0020】
非発光面12a2を有する拡散板12aの外面には、遮光シート(図示せず)が貼付され、非発光面12a2から光が漏れないように構成されている。
【0021】
このように、拡散カバー12は、第1光源モジュール14から出射される白色光を発する3つの発光面12a1と、光を発しない1つの非発光面12a2と、を組み合わせた構成を有している。そのため、拡散カバー12から発せられる光は、3方向からの光となるため、太陽光に照らされた日向の窓枠又は日陰の窓枠越しに、外からの光が差し込んでいるような奥行き感のある視覚効果を演出することができる。
【0022】
拡散カバー12の上側の端面には、図3に示すように外方に延びる固定部12bが設けられている。固定部12bは、保護カバー13が固定される部分であって、平面視で矩形環状に形成されている。
【0023】
(保護カバー13)
保護カバー13は、板状に形成された透明で透光性のカバーで、例えばアクリルなどの透明樹脂材料で形成されている。保護カバー13は、平面視で矩形状である。保護カバー13は、拡散カバー12の固定部12bに接着剤によって接着されて固定される。保護カバー13は、固定部12bに固定される構造に限られたものではなく、拡散カバー12と一体成型で形成されていてもよい。保護カバー13は、拡散カバー12の上側の開口を覆うように配置され、拡散カバー12と共に器具本体30の下側の開口を塞ぐ。
【0024】
保護カバー13は、図5に示すように散乱板17の下面である後述の発光面17aに対向して配置される。保護カバー13は、散乱板17の発光面17aに垂直な方向(Z方向)において発光面17aから離間して配置される。保護カバー13は、散乱板17の下側の発光面17a1から出射された光を透す。保護カバー13は、散乱板17への外的異物の付着、外力による表面の傷の発生等を防ぐためのカバーである。なお、外的異物とは、例えば、埃又は水、及び施工時に付着した皮脂等である。
【0025】
保護カバー13は、散乱板17との対向面13aがシボ加工面50となっている。シボ加工面50は、図5に示すように複数の微小な突部51を有する面である。突部51は微小なため、図3では図示を省略している。突部51の対向面13aの面方向の幅wは、5μm~10μmである。シボ加工面50は、図示の例では、同一断面形状の突部51を複数有する構成を示しているが、この構成に限定されない。シボ加工面50は、断面形状の異なる突部51を複数有する構成でもよい。また、シボ加工面50は、図示の例のように複数の突部51が規則的に配置された構成でもよいし、不規則に配置された構成でもよい。
【0026】
(第1光源モジュール14)
第1光源モジュール14は、平面視でU字形に形成されている。すなわち、第1光源モジュール14は、矩形の4辺のうち3つの辺を形成するように構成されている。第1光源モジュール14は、板状の3つの基板14aと、3つの基板14aのそれぞれに設けられ、白色LEDで構成された光源14bとを有し、隣接する基板同士のなす角度は90°になっている。このように、第1光源モジュール14は、光源14bを有する光モジュールである。
【0027】
第1光源モジュール14は、3つの基板14aのそれぞれに設けられた光源14bから、U字形の内側に向かって第1の光として白色光を出射する。このように、第1光源モジュール14は、U字を構成する3方向から白色光を出射する。第1光源モジュール14は、図5に示すように後述の光源モジュール保持部材15の第1保持部15aに固定されて拡散カバー12の外側に配置され、拡散カバー12に向かって白色光を出射する。
【0028】
照明器具1は、第1光源モジュール14の白色光が拡散カバー12の発光面12a1から出射され、発光面12a1の斜め下方向を照らす照明器具として用いることができる。なお、後述する散乱板17の発光面17aから出射される青色光は、青空を見るような視覚効果を演出するための照明であって、照明用として用いる場合には光束が不足する。一方、発光面12a1から出射される光は、照明用として用いる場合の光束を満たしている。このように、発光面12a1から出射される白色光の光強度は、散乱板17の発光面17aから出射される青色光の光強度と異なり、白色光の光強度の方が、青色光の光強度よりも強い。
【0029】
なお、発光面12a1から出射される白色光は、単一の色温度の白色光でなくてもよい。すなわち、具体的には、第1光源モジュール14が、色温度の異なる2種類の白色LEDを備えるようにしてもよい。このように、第1光源モジュール14が、白色LEDとして、1種類の白色LEDのみを備えていてもよく、あるいは、昼色用の白色LEDと暖色用の白色LEDとの2種類の白色LEDを備えるようにしてもよい。第1光源モジュール14が2種類の白色LEDを備えている場合、2種類の白色LEDの調光率を変化させることにより、発光面12a1から、様々な色温度及び様々な光束の白色光を出射することができる。
【0030】
また、時刻に合わせて、昼色用の白色LEDと暖色用の白色LEDとを切り替えて使用するようにしてもよい。具体的には、例えば、午前8:00から午後5:00までの日中の時間帯は昼色用の白色LEDを用い、それ以外の時間帯は暖色用の白色LEDを用いるようにしてもよい。このような時間に応じた色調の調整は第2光源モジュール16においても同様に行うようにしてもよい。なお、これらの時間帯は、単なる一例であって、これらに限定されず、適宜設定してよい。
【0031】
第1光源モジュール14に用いられる白色LEDの配光は、広角タイプである。第1光源モジュール14に広角タイプのLEDを用いることにより、拡散カバー12の発光面12a1の傾斜角度を変化させても、拡散カバー12から発せられる光の光度を変化しにくくできる。したがって、傾斜角度が異なる拡散カバー12に対して、同じタイプの白色用LEDモジュールを用いることができる。
【0032】
なお、ここでは第1光源モジュール14が白色LEDで構成された光源14bを有するとしているが、光源14bから出射される光の色は照明器具1の用途などによって適宜変更されるものであり、光源14bの色は限定されない。また、光源14bは、LEDに限定されず、他の発光素子又は発光装置を用いてもよい。
【0033】
(光源モジュール保持部材15)
光源モジュール保持部材15は、平面視で矩形の枠形に形成されている。光源モジュール保持部材15は、第1光源モジュール14及び第2光源モジュール16を保持する部分である。光源モジュール保持部材15はZ方向に延びて形成され、第1光源モジュール14を保持する矩形の枠形の第1保持部15aと、第1保持部15aのZ1側の端部から内方に延びて形成され、第2光源モジュール16を保持する矩形の枠形の第2保持部15bと、を有する。
【0034】
第1保持部15aは、Z方向及びX方向に延びて形成され、Y方向に対向する一対の長手側面部15a1と、Z方向及びY方向に延びて形成され、X方向に対向する一対の短手側面部15a2と、を有する。第1保持部15aのうち、一対の長手側面部15a1と、一対の短手側面部15a2の一方と、で形成されるU字状部分の内側に、図5に示すように第1光源モジュール14が固定されている。
【0035】
第2保持部15bは、第1保持部15aのZ1側の端部から内方に延びて形成され、その先端部で下ガイドプレート15b2を形成している。下ガイドプレート15b2は、平面視で矩形環状である。図5に示すように、下ガイドプレート15b2においてZ1方向に向いた面にはZ2方向に突出する凸部が形成され、凸部の端面(上面)は、散乱板17が載置される支持面15b2aとなっている。凸部は、平面視で矩形環状に形成されており、散乱板17の4辺の外周部を下方から支持している。
【0036】
第2保持部15bのうち、Y方向に対向し、X方向に延びる一対の長手部分には、第2光源モジュール16が固定される一対の固定部15b1を有する。一対の固定部15b1は、X方向及びZ方向に延びる矩形板状に構成され、一対の固定部15b1の内面側に第2光源モジュール16が固定されている。
【0037】
(第2光源モジュール16)
第2光源モジュール16は、X方向を長手方向とする板状に構成されており、Y方向に対向して2つ設けられている。第2光源モジュール16は、X方向を長手方向とする長板状の基板16aと、基板16aに設けられた青色LEDで構成された複数の光源16bと、を有する。このように、第2光源モジュール16は、光源16bを有する光モジュールである。第2光源モジュール16は、第2の光として青色光を出射する。第2光源モジュール16は、後述の散乱板17に向かって光源16bから青色光を出射する。なお、ここでは第2光源モジュール16が青色LEDで構成された光源16bを有するとしているが、光源16bから出射される光の色は照明器具1の用途などによって適宜変更されるものであり、光源16bの色は限定されない。また、光源16bは、LEDに限定されず、他の発光素子又は発光装置を用いてもよい。
【0038】
第2光源モジュール16は、図5に示すように、光源モジュール保持部材15の第2保持部15bの一対の固定部15b1に固定される。第2光源モジュール16は、基板16aと第2保持部15bの固定部15b1とのそれぞれの上端部がクリップ状の固定部材41で挟まれることで第2保持部15bに固定されている。
【0039】
(散乱板17)
散乱板17は、アクリルなどの透明性樹脂材料で板状に形成されたものである。図4に示すように、散乱板17は、平面視で矩形に形成されている。散乱板17は、下面であって光源16bからの光の出射面となる発光面17aと、上面であって発光面17aに対向する裏面17bと、対向する長手方向に延びた2つの端面17cと、対向する短手方向に延びた2つの端面17dと、を有している。
【0040】
散乱板17は、4辺の外周部が下ガイドプレート15b2の支持面15b2aで支持されて上下方向(Z方向)の位置が決まり、第2光源モジュール16の光源16bから出射された光が端面17cから入射するように構成されている。散乱板17は、保護カバー13との間に隙間Sを有した状態で支持面15b2aに支持されている。
【0041】
散乱板17は、第2光源モジュール16から出射された光を透光させて、出射面となる発光面17aから青色光を出射する。散乱板17は、光を散乱させる粒子である散乱体を内部に備える。散乱体は、例えばシリカを含むものである。
【0042】
散乱板17の裏面17bは、全反射するために平滑である。散乱板17の裏面17bは、鏡面仕上げであることが望ましい。照明器具1の組立て作業中に、散乱板17の裏面17bに傷がつくと、傷がついた箇所で全反射が起こりにくくなる。そのため、裏面17bの傷がついた箇所に対応する下面の一部分が白っぽく光って見えてしまい、青空を演出できなくなるおそれがある。そこで、散乱板17の裏面17bの傷つきを防止するために、散乱板17の上面を反射シートで覆うようにしてもよい。
【0043】
ここで、散乱板17の裏面17bを反射シートで覆う際、散乱板17の裏面17bと反射シートとの間に隙間を空けずに貼り付けると、散乱板17の裏面17bで全反射が起こりにくくなる。散乱板17の裏面17bで確実に光を全反射させるためには、散乱板17と反射シートとの間に空気層が必要となる。空気層を形成するために、散乱板17の裏面17bに対向する反射シートの反射面は、マット加工されている。マット加工とは、すりガラス状に微細な凹凸を形成する加工である。反射シートの反射面がマット加工されることにより、散乱板17と反射シートとの間に空気層を設けることができる。また、反射シートを散乱板17に固定する目的で、反射シートの縁に接着部を設けてもよい。
【0044】
(弾性部材18)
弾性部材18は、枠状のパッキンであり、散乱板17の裏面17bと後述の背面カバー23との間に配置されるものである。弾性部材18は、照明器具1が地震等により揺れた場合の緩衝材として機能する。
【0045】
(電源部20)
電源部20は、電源ユニット21と、制御ユニット22と、背面カバー23と、を有する。電源ユニット21は、第1光源モジュール14及び第2光源モジュール16のそれぞれに電力を供給して光源14b及び光源16bを発光させるものである。制御ユニット22は、第1光源モジュール14及び第2光源モジュール16の発光を制御する装置である。電源ユニット21及び制御ユニット22は、背面カバー23の電源収容部23aに収容され、背面カバー23と共に器具本体30の内部に固定されている。
【0046】
ところで、従来の照明器具は、保護カバーが設けられておらず、散乱板の発光面がむき出しの状態となっている。このため、従来の照明器具は、外的異物の付着等により散乱板の発光面で拡散反射が発生してしまい、意匠性が低下する。
【0047】
これに対し、照明器具1は、散乱板17の発光面17aを覆う保護カバー13を備えている。このため、照明器具1は、散乱板17の発光面17aに対する外的異物の付着等を防止でき、防汚性能を向上できる。その結果、照明器具1は、散乱板17の発光面17aにおける拡散反射を防止でき、意匠性を向上できる。
【0048】
保護カバー13の有無に応じた意匠性の改善結果を以下の図6に示す。
【0049】
図6は、実施の形態1に係る照明器具1の意匠性と、従来の照明器具の意匠性の比較結果を示す図である。図6は、照明器具1の露出面に異物としての水滴が付着した場合の発光面を示す図である。水滴の付着部分は、一点鎖線の円内に示されている。図6(a)は、保護カバー13を有する場合であり、露出面は保護カバーの下面である。図6(b)は、保護カバー13を有さない従来の場合であり、露出面は散乱板の下面である。
【0050】
図6(b)に示すように、散乱板自身に異物が付着すると、拡散反射現象が発生し、製品の意匠が著しく低下する。これに対し、図6(a)に示すように、保護カバー13に異物が付着した場合には、拡散反射現象が抑制され、製品の意匠が向上している。図6では色が表現できていないが、図6(b)では、青色の発光面に異物が白く鮮明に映り込むが、図6(a)では、青色の発光面に、発光面の青色よりやや薄い青色で異物が映り込む程度である。
【0051】
このように、照明器具1は、保護カバー13を有することで、異物が散乱板17に直接、付着することを防ぎ、拡散反射現象を抑制できる。
【0052】
なお、照明器具1は、散乱板17と保護カバー13との隙間Sが極力小さいことが望ましい。照明器具1は、隙間Sが小さいほうが散乱板17の発光面17aにおいてきれいな面発光を実現できる。一方で、照明器具1は、隙間Sが大きくなればなるほど、保護カバー13に付着した外的異物が発光体となり、この発光体による保護カバー13を介した散乱板17への映り込みが顕著になっていく。
【0053】
また、照明器具1は、隙間Sが大きく、仮に保護カバー13が第1光源モジュール14のZ方向の位置よりもZ2側の位置にあると、第1光源モジュール14の光源14bから出射された白色光の散乱板17への映り込みが顕著になっていく。これは、隙間Sが大きく、保護カバー13が第1光源モジュール14のZ方向の位置よりもZ2側にあると、第1光源モジュール14の光源14bから出射された白色光が、保護カバー13の上面である対向面13aで反射し、その白色光が散乱板17へ映り込む。このように、照明器具1は、隙間Sが大きくなればなるほど、きれいな面発光が実現し難くなり、意匠性が低下する。
【0054】
よって、照明器具1は、隙間SのZ方向の距離が、光源14bから出射された白色光の保護カバー13を介した映り込みを抑制できる距離に設定されている。この距離は、0mm超、2mm以下である。
【0055】
このように、照明器具1は、散乱板17と保護カバー13との隙間SのZ方向の距離を極力小さくすることで、散乱板17の発光面17aできれいな面発光を実現できるが、その一方で、次のような課題が生じる可能性がある。
【0056】
照明器具1は、散乱板17が熱膨張や吸湿などによってXY面方向に延びた際、散乱板17が下方に撓んで保護カバー13に接触する可能性がある。保護カバーの対向面が仮に平坦面であると、散乱板が保護カバーの対向面に面接触した場合に、例えば、次の図7に示すようなモアレ現象が発生する。
【0057】
図7は、モアレ現象の一例を示す図である。図7に示したモアレ現象は、保護カバーの対向面が平坦面である場合に、散乱板が下方に撓んで保護カバーに面接触した際のモアレ現象を示しており、面接触部分60を中心とした複数の同心円による縞模様が発生した現象を示している。具体的には、モアレ現象(ニュトンリング現象)は、面接触部分60が暗部となり、その暗部を中心として外側に明線と暗線とが広がった現象である。
【0058】
このように、保護カバーの散乱板との対向面が平坦面である場合、モアレ現象が発生する可能性がある。このため、照明器具1の保護カバー13は、散乱板17との対向面13aが、シボ加工面50となっている。照明器具1は、保護カバー13の対向面13aがシボ加工面50となっていることで、散乱板17が下方に撓んだ場合、シボ加工面50の突部51が突部51の頂点部分で散乱板17に点接触する。このため、照明器具1は、保護カバー13の対向面13aが平坦面である場合の面接触に比べて、対向面13aがシボ加工面50であることで点接触となり、接触面積を低減できてモアレ現象を抑えることができる。
【0059】
ここで、突部51の幅wは、散乱板17の透明度及びモアレ現象の発生に影響する。具体的には、幅wが小さい程、散乱板17の透明度を高めることができ、逆に幅wが大きい程、散乱板17の透明度が低下する。また、幅wが小さい程、モアレ現象の発生を抑制でき、逆に幅が大きい程、モアレ現象の発生が促進される。よって、幅wは、上記の影響を考慮して、5μm~10μmに設定されることが好ましい。
【0060】
以上説明したように、実施の形態1の照明器具1は、一面に開口を有する器具本体30と、器具本体30内に配置された光源16bを備える。照明器具1は、光源16bからの光の出射面となる発光面17aと発光面17aに対向する裏面17bとを有し、発光面17aが器具本体30の開口から外方を向くように器具本体30内に配置された板状の散乱板17を備える。照明器具1は、散乱板17の発光面17aに垂直な方向において発光面17aから離間して配置され、発光面17aを覆う板状の保護カバー13を備える。保護カバー13は、散乱板17との対向面13aが、複数の突部51を有するシボ加工面50である。
【0061】
このように、照明器具1は、保護カバー13を有するため、散乱板17の発光面17aに外的異物等が付着することによる拡散反射を抑制できて意匠性を確保できる。また、照明器具1は、保護カバー13の散乱板17との対向面13aがシボ加工面50となっているため、散乱板17が撓んで保護カバー13に接触した場合の接触部分を、対向面13aが突部51を有さない平坦面である場合に比べて小さくでき、接触部分から広がるモアレ現象を抑制できる。
【0062】
シボ加工面50の突部51は、対向面13aの面方向の幅が5μm~10μmである。これにより、照明器具1は、散乱板17が撓んで保護カバー13に接触した場合の接触部分を小さくでき、接触部分から広がるモアレ現象を抑制できる。
【0063】
照明器具1は、器具本体30の内部において保護カバー13の対向面13a側とは反対側に配置され、散乱板17の発光面17aに垂直な方向から見て枠状に形成された拡散カバー12を備える。照明器具1は、拡散カバー12の外側に配置され、拡散カバー12に向かって第1の光を出射する第1光源モジュール14と、光源16bを有し、散乱板17に向かって光源16bから第2の光を出射する第2光源モジュール16と、を備える。保護カバー13の対向面13aと散乱板17の発光面17aとの距離(隙間SのZ方向の距離)が、第1の光の保護カバー13を介した散乱板17への映り込みを抑制する距離に設定されている。この距離は、0mm超~2mm以下である。
【0064】
これにより、照明器具1は、第1の光の保護カバー13を介した散乱板17への映り込みを抑制できる。
【0065】
以上に本開示を実施の形態に基づいて説明したが、本開示は上述した実施の形態の構成のみに限定されるものではない。例えば、照明器具1は、各部からの光の漏れを防ぐための遮光シートを備えていても良い。更に、照明器具1は、実施の形態においてZ方向を上下に向けた態様で説明されているが、例えば傾斜させて設置されても良いし、壁面などに取り付けられていても良い。つまり、いわゆる当業者が必要に応じてなす種々なる変更、応用、利用の範囲をも本開示の要旨(技術的範囲)に含むことを念のため申し添える。
【符号の説明】
【0066】
1 照明器具、10 光源部、11 化粧枠、11a フランジ部、11b 保持部、12 拡散カバー、12a 拡散板、12a1 発光面、12a2 非発光面、12b 固定部、13 保護カバー、13a 対向面、14 第1光源モジュール、14a 基板、14b 光源、15 光源モジュール保持部材、15a 第1保持部、15a1 長手側面部、15a2 短手側面部、15b 第2保持部、15b1 固定部、15b2 下ガイドプレート、15b2a 支持面、16 第2光源モジュール、16a 基板、16b 光源、17 散乱板、17a 発光面、17a1 発光面、17b 裏面、17c 端面、17d 端面、18 弾性部材、19 Vばね、20 電源部、21 電源ユニット、22 制御ユニット、23 背面カバー、23a 電源収容部、30 器具本体、41 固定部材、50 シボ加工面、51 突部、60 面接触部分、100 光源ユニット、A 下端面、B 吊り下げボルト、C 天井、H 埋め込み穴、S 隙間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7