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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025249
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】ペレット製造時の制御システム
(51)【国際特許分類】
   B29B 9/06 20060101AFI20250214BHJP
   B29K 67/00 20060101ALN20250214BHJP
【FI】
B29B9/06
B29K67:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129846
(22)【出願日】2023-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】牧野 正孝
【テーマコード(参考)】
4F201
【Fターム(参考)】
4F201AA25
4F201AG14
4F201AJ08
4F201AR09
4F201BA02
4F201BC02
4F201BC13
4F201BC17
4F201BL08
4F201BL12
4F201BL15
4F201BL25
4F201BL36
(57)【要約】      (修正有)
【課題】寸法や形状のバラツキが抑制され、かつミスカットの発生を抑制することでミスカットの混入がない、カッティング性良好な樹脂ペレット製造時の制御システムの提供。
【解決手段】曲げ弾性率が600~1950MPaである樹脂ペレット製造時の制御システムであって、吐出され冷却固化したストランドを引取り、固定刃と固定刃近接位置を回転する回転刃からなるカッターを用いて該ストランドを切断するに際し、式(1)~(4)を満たすことを特徴とする樹脂ペレット製造時の制御システム。
0.010g≦M/nN≦0.050g式(1)
4.70m/s≦2πnR≦19.0m/s式(2)
10°≦θ≦25°式(3)
0.70g/cm≦ρ≦1.50g/cm式(4)
単孔吐出量:M(g/s)、回転刃の回転数:nc(回/s)、回転刃の刃数:N、回転刃の半径:R(m)、回転刃のすくい角:θ(°)、樹脂溶融密度:ρ
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲げ弾性率が600~1950MPaである樹脂の樹脂ペレット製造時の制御システムであって、溶融状態で孔から吐出され冷却固化したストランドを引取ロールで引取り、固定部に設けられた固定刃と回転体の外周に突設され固定刃近接位置を回転軌跡として回転する回転刃からなるカッターを用いて該ストランドを切断するに際し、式(1)~(4)を満たすことを特徴とする樹脂ペレット製造時の制御システム。
0.010g≦M/nN≦0.050g ・・・式(1)
4.70m/s≦2πnR≦19.0m/s ・・・式(2)
10°≦θ≦25° ・・・式(3)
0.70g/cm≦ρ≦1.50g/cm ・・・式(4)
ただし、
単孔吐出量 :M(g/s)
回転刃の回転数 :n(回/s)
回転刃の半径 :R(m)
回転刃のすくい角 :θ(°)
回転刃の刃数 :N
樹脂溶融密度 :ρ(g/cm
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂ペレット製造時の制御システムであって、さらに式(5)を満たすことを特徴とする樹脂ペレット製造時の制御システム。
【数1】
ただし、
回転刃周速度と引取ロール周速度の比 :r
【請求項3】
請求項1または2に記載の樹脂ペレット製造時の制御システムであって、さらに式(6)を満たすことを特徴とする樹脂ペレット製造時の制御システム。
【数2】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストランドのミスカットを抑制し、カッティング性を良好とするペレット製造時の制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂製品の原料であるペレット(チップ)を製造する際には、熱可塑性樹脂を溶融状態で吐出部から押し出してストランド状にし、ニップロールと回転ロールとからなる引取ロールにより引き取り、固定部に設けられた固定刃と回転体の外周に突設され固定刃近接位置を回転軌跡として回転する回転刃からなるカッターを用いてペレットに切断する。
【0003】
曲げ弾性率が大きい、すなわち硬い樹脂からなるストランドをペレットに切断する場合には、ニップロールと回転ロールの間でストランドが変形しにくく、引取ロールでストランドを把持することができるため、吐出孔と引取ロールの間でストランドの揺れが生じにくい。このため、ストランドは固定刃と回転刃からなる切断部に垂直に挿入され、ストランドは一定間隔で切断されるため、寸法や形状にバラツキの少ないペレットを容易に生産可能である。
【0004】
一方で、曲げ弾性率が小さい、すなわち柔軟な樹脂からなるストランドをペレットへと切断する際には、ニップロールと回転ロール間でストランドが潰れてしまい、ストランドを十分に把持することができず、ストランドが横揺れを起こしやすい。また、ストランド自体が柔軟であり曲がりやすいため、ストランドが蛇行するように引取ロールによって引き取られて固定刃と回転刃からなる切断部に挿入される。このため、引取ロールへのストランド挿入角度にバラつきが生じることで切断部への挿入角度が一定にならず斜め切りが発生し、ペレット形状にバラつきが生じることが頻発する。また、引取ロールと切断部の間でストランドが揺れることで、ストランドの切断間隔は一定とならずペレット寸法にもバラつきが発生し、ひどい場合にはミスカットストランドが発生する。その結果、ペレット収率が著しく低下するほか、ペレットの中に混入したミスカットストランドは、下流工程において装置駆動部に巻き付くなどの操業トラブルが発生を発生させる原因となる。このため、柔軟な樹脂からなるストランドから、寸法や形状にバラつきの少ないペレットを生産する際には、硬いストランドを扱う場合と比較してより高度に操業条件を制御することが求められる。
【0005】
寸法安定性に優れるペレットの製造方法に関して、例えば特許文献1、特許文献2では吐出部と引取ロールとの間でストランド径を検知するとともに、得られたペレット寸法を計測し、所望のペレット寸法となるように引取ロールの回転数を制御することでペレット径を調整するストランドの冷却切断装置が提案されている。
【0006】
また、特許文献3では、吐出孔に備えられた駆動部で吐出孔寸法を調整しストランドの太細を抑制することで、寸法のバラつきが少ないペレットを製造するための押出装置が提案されている。
【0007】
しかし、これら従来技術では、樹脂ストランドの柔軟性を考慮したものはなく、柔軟な樹脂ストランドからペレットを製造する際にはより高度な操業条件の制御が求められるがその制御は難しく、制御がうまくいかない場合にはミスカットが頻発し、ミスカットストランドの混入が起こっているのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5-345317号公報
【特許文献2】特開平5-278027号公報
【特許文献3】特開2021-66035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は、柔軟な熱可塑性樹脂ストランドをペレットに切断する際においても、ペレット寸法や形状のバラツキを抑制し、かつストランドのミスカットの発生を抑制することでミスカットストランドの混入を防げ、カッティング性を良好とする樹脂ペレット製造時の制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために、主として次の手段を採用する。
【0011】
すなわち、曲げ弾性率が600~1950MPaである樹脂の樹脂ペレット製造時の制御システムであって、溶融状態で孔から吐出され冷却固化したストランドを引取ロールで引取り、固定部に設けられた固定刃と回転体の外周に突設され固定刃近接位置を回転軌跡として回転する回転刃からなるカッターを用いて該ストランドを切断するに際し、式(1)~(4)を満たすことで、カッティング性良好でありペレット収率も良好となる樹脂ペレット製造時の制御システムである。
【0012】

0.010g≦M/nN≦0.050g ・・・式(1)
4.70m/s≦2πRn≦19.0m/s ・・・式(2)
10°≦θ≦25° ・・・式(3)
0.70g/cm≦ρ≦1.50g/cm ・・・式(4)
ただし、
単孔吐出量 :M(g/s)
回転刃の回転数 :n(回/s)
回転刃の刃数 :N
回転刃の半径 :R(m)
回転刃のすくい角 :θ(°)
樹脂溶融密度 :ρ(g/cm
【発明の効果】
【0013】
本発明により、柔軟な熱可塑性樹脂ストランドであっても寸法や形状にバラつきがないペレットを生産可能であり、かつストランドのミスカットの発生を抑制することでミスカットストランドの混入を防げ、カッティング性良好でありペレット収率も良好となる樹脂ペレット製造時の制御システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明で使用するペレタイザーの回転刃の一部の概略図及び刃先の拡大図であり、すくい角(θ)を示す。
図2】本発明で使用するペレタイザーの概略図である。
図3】ストランドを切断する際の速度及び力の関係を示す概略図である。
図4】ペレット切断面の長手方向および非切断面に対して垂直方向からペレットを見た際のペレットの形状を示しており、本発明での正常ペレットおよび斜め切りのペレットにおけるペレット径、ペレット長さ及びペレット非切断面長さの関係を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】
まず、本発明における樹脂ペレット製造時の制御システムとは、柔軟な熱可塑性樹脂のストランドをペレットに切断する際に、寸法や形状にバラつきがないペレットを生産可能とするため、後述する各種式が規定範囲内となるように制御するシステムである。
【0017】
本明細書において、ペレタイザーとはニップロールと回転ロールとからなる引取ロールおよび固定刃と回転刃からなる切断部からなり、熱可塑性樹脂を溶融し吐出孔から押し出された樹脂ストランドを引取ロールで引取り、切断部へと送り、固定刃と回転刃によってストランドを切断し、ペレットにする装置のことを指す。
【0018】
本発明の制御システムは、式(1)~(4)のすべてを満たす樹脂ペレット製造時の制御システムである。
【0019】
まず、以下に示す式(1)におけるM/nNは、所定時間の間に重合缶、あるいは押出機から吐出された溶融樹脂量(単孔吐出量:M(g/s))を、同時間での切断頻度、すなわち回転刃の回転数(n(回/s))と回転刃の歯数(N)の積で除した式であり、ペレットの理論重量を表している。
0.010g≦M/nN≦0.050g ・・・式(1)
本発明の樹脂ペレット製造時の制御システムにおいて、単孔吐出量(M(g/s))および回転刃の回転数(n(回/s))と回転刃の歯数(N)から求まるM/nNが0.050g以下かつ0.010g以上の範囲になることが必須である。ペレット重量が大きい場合、ペレット内部の冷却が不十分になりやすく半溶融状態の場合には自重で変形し、ペレット寸法のバラツキが大きくなる。このため、本発明の制御システムにおいては、理論ペレット重量の値は0.050g以下となることが必須である。より好ましくは0.046g以下であり、さらに好ましくは0.043g以下であり、最も好ましくは0.039g以下である。また、理論ペレット重量が0.010g未満では、後の乾燥工程でペレット間融着が発生したり、押出機を用いた溶融成形工程などで噛みこみ不良が発生したりするなど、ハンドリング性が悪化する。このため、ペレット重量の値は0.010g以上になることが必須であり、より好ましくは0.012g以上になることである。
【0020】
式(2)における2πRnは、回転刃先端の回転軌跡である回転刃円周(2πR)と回転刃の回転数(n)の積であり、回転刃先端の周速度を表している。
4.70m/s≦2πRn≦19.0m/s ・・・式(2)
本発明の樹脂ペレット製造時の制御システムにおいて、回転刃半径(R)と回転刃の回転数(n)から求められる回転刃の周速度の値は4.70m/s以上19.0m/s以下となることが必須である。発明者らは、柔軟な樹脂ストランドを切断して寸法のバラツキの少ないペレットを得るための樹脂ペレット製造時の制御システム(操業条件)について鋭意検討を行い、回転刃の周速度が一定範囲内であることで、吐出孔から引取ロールまでの間でのストランド揺れの抑制に有効であることを見出した。この理由については、以下のように考えている。
【0021】
通常の(柔らかくない)樹脂ストランドは、ニップロールと回転ロールに把持されながら引取ロールにより引取られ、吐出孔と引取ロールの間でストランドに張力がかかりストランドの揺れが抑制される。しかし、柔軟なストランドの場合、先述の通りニップロールと回転ロールにはさみこまれると同時にストランドが潰れるように変形してストランドのはさみこみが弱くなり、かつ引取時にストランドが引取方向にも変形しやすく、吐出孔と引取ロールの間で張力がかかりにくい。このため、柔軟な樹脂のストランドを引取ロールで引き取る際には、硬い樹脂のストランドと比較してストランドの揺れが生じやすい。そこで、回転刃の周速度を一定範囲内にすることで、ストランドに十分な張力を発生させ、ストランドの揺れを抑制することができる。このため、回転刃の周速度の範囲について、ストランドの揺れを抑制し、ペレット収率が良好となる観点から、回転刃の周速度の値は4.70m/s以上になることが必須である。また、この時、ペレット収率については50%以上になることが好ましく、75%以上がより好ましく、95%以上がさらに好ましく、98%以上になることが最も好ましい。回転刃の周速度の上限値については、回転刃周速度が19.0m/sを超えると、モーター回転音が極めて大きく、作業環境が悪化し、作業者への負担が大きくなる。このため、回転刃の周速度の値は19.0m/s以下となることが必須である。このとき、使用される回転刃の半径について特に制限はなく、一般的な回転刃を用いることができる。
【0022】
本発明の樹脂ペレット製造時の制御システムにおいて、ペレタイザーに使用される回転刃のすくい角(θ)は10°以上、25°以下の範囲であることが必須である。ここで、すくい角とは図1に示されるように、回転刃中心を通る直線と回転刃刃面がなす角度をいう。
10°≦θ≦25° ・・・式(3)
すくい角が大きいと、回転刃の摩耗が進みやすく、回転刃の整備頻度が多くなるため、操業性が低下し非効率である。また、後述するが、吐出孔と引取ロールの間でのストランドの揺れを抑えるためには回転刃でストランドを固定刃方向に抑え込む必要がある。この際、すくい角が大きく鋭利になると、ストランドを抑え込む力が弱くなり、ストランドの揺れを抑制する効果が発現できなくなる。このため、回転刃の整備頻度を減らし操業性を向上する観点、および効率的にストランドの揺れを抑制できるという観点から、回転刃のすくい角は25°以下であることが必須である。一方で、すくい角が小さいほど鋭利さは失われ、押しちぎるようにストランドが切断され、得られるペレットの切断面が粗くなる、あるいは毛羽立ちが生じた形状の悪いペレットとなる。このため、形状の良い品位に優れるペレットを得られる観点から、本発明において制御されるペレタイザーの回転刃のすくい角は10°以上である必要がある。このとき、使用される回転刃の逃げ角やリード角、刃数については特に制限はなく、一般的な回転刃の設計範囲内で任意のものを用いることができる。
【0023】
また、本発明の樹脂ペレット製造時の制御システムにおいて、使用される樹脂の溶融密度(ρ)は0.70g/cm以上かつ1.50g/cm以下である。
0.70g/cm≦ρ≦1.50g/cm ・・・式(4)
本発明の樹脂ペレット製造時の制御システムにおいて、樹脂の溶融密度が上記範囲を超えた場合、樹脂ストランドが細くなり、ニップロールと回転ロールの間をすり抜け、ストランドの揺れが大きくなる不具合が発生する。また、樹脂の溶融密度が上記範囲を下回る場合には、ストランド径が太く、ニップロールと回転ロールからなる引取ロールへスムーズに挿入されず、ストランドが屈曲し、斜め切りの原因となりうる。本発明の樹脂ペレット製造時の制御システムであってもペレット寸法の制御が困難になる。このため、本発明の樹脂ペレット製造時の制御システムにおいて、使用される樹脂の溶融密度(ρ)は0.70g/cm以上かつ1.50g/cm以下である必要がある。溶融密度の上限に関して、より好ましくは1.20g/cm以下であり、さらに好ましくは1.15g/cm以下であり、特に好ましくは1.10g/cm以下である。また、溶融密度の下限に関して、より好ましくは0.80g/cm以上であり、さらに好ましくは0.90g/cm以上である。ここで、樹脂の溶融密度(ρ)は実施例の欄に後述する方法で測定した値をいう。
【0024】
また、本発明の樹脂ペレット製造時の制御システムは曲げ弾性率が1950MPa以下、600MPa以上の樹脂に特に有効であり、好ましい適用可能な範囲は曲げ弾性率が1950MPa以下、600MPa以上の樹脂である。先述の通り、本発明の樹脂ペレット製造時の制御システムは、引取ロールでのストランド潰れによるペレット寸法不良や、吐出孔と引取ロールの間でのストランドの揺れを抑制することを目的とした制御システムであり、ストランドの潰れや揺れは曲げ弾性率が1950MPaより大きい樹脂では発生しにくいため、本発明の制御システムは有効に作用しないどころか、不適切な操業条件を導く場合がある。また、樹脂の曲げ弾性率が600MPaを下回ると、樹脂ストランドが柔軟すぎるため、本発明の樹脂ペレット製造時の制御システムであっても、吐出孔と引取ロール間でのストランドの揺れを抑制することができず、結果としてペレットの潰れや斜め切り、ミスカットストランドが発生し、十分な制御ができない。このため、本発明の樹脂ペレット製造時の制御システムは曲げ弾性率が1950MPa以下かつ600MPa以上の樹脂に有効である。本制御システムが有効に作用する樹脂の曲げ弾性率について、1800MPa以下である樹脂に対してより有効であり好ましく、1600MPa以下である樹脂に対してさらに有効であり好ましい。
【0025】
また、理論ストランド径(G)は下記式(5)を満たすことが好ましい。
【0026】
【数1】
【0027】
ただし、回転刃周速度と引取ロール周速度の比:r
理論ストランド径(G)の導出について、ストランド断面が円形状と仮定し、引取ロールの周速度(ストランド引取速度)をVとすると、以下式が成立する。
M=π(G/2)Vρ
このとき、ストランド引取速度は引取ロールの周速度と等しいため、引取ロールの周速度と回転刃周速度の関係は、引取ロールと回転刃の周速度の比をrとして、以下式で表される。
V=2πRn
これらの式より、理論ストランド径は単孔吐出量と回転刃回転数の関係式として、以下の式で表される。
【0028】
【数2】
【0029】
本発明の樹脂ペレット製造時の制御システムにおいて、理論ストランド径(G)の値は0.0020m以上、0.0046m以下になることが好ましい。式(5)が示す通り、理論ストランド径は単孔吐出量(M)と樹脂溶融密度(ρ)、回転刃回転数(R)、回転刃回転数(n),回転刃と引取ロールの周速度の比(r)から決定される。理論ストランド径が0.0020mより小さい場合には、ストランドが細くコシのないものになりストランドが蛇行しやすくなる上に、ニップロールと回転ロールの間で把持されずにすり抜けやすくなるため、ストランドが横揺れを起こしやすい。蛇行したストランドは引取ロールによって引き取られて固定刃と回転刃からなる切断部に挿入され、この際、引取ロールへのストランド挿入角度にバラつきが生じるため切断部への挿入角度が一定にならず斜め切りが発生しやすくなる。このため、理論ストランド径の値は0.0020m以上になることが好ましい。また、理論ストランド径の値が0.0046mを超える場合には、ニップロールと回転ロール間でストランドが大きく押し潰されることで、所望の寸法のペレットが得難い。このため、理論ストランド径の値は0.0020m以上、0.0046m以下になることが好ましい。ストランドの蛇行による斜め切りをより抑制できる観点から、理論ストランド径の値は0.0022m以上になることがより好ましい。また、ペレット寸法のバラツキを抑制する観点から、理論ストランド径の値が0.0044m以下になることがより好ましく、0.0042m以下になることがさらに好ましく、0.0040m以下になることが特に好ましい。
【0030】
また、ストランド切断時に回転刃がストランドに対して刃面方向に与える力について、式(6)を満たすことが好ましい。
【0031】
【数3】
【0032】
ストランド切断時に回転刃がストランドに対して刃面方向に与える力の導出について、図2のように、回転刃が角速度:ω(=2πn)で回転しており、回転刃がストランドに衝突し、重さ:mのペレットが切断される過程に関して、切断までに切断方向に与える力をFとすると刃平面方向に与える力はFcosθで表される。垂直方向にペレットはストランドの理論径:G分移動した際、刃平面方向にG/cosθ移動し、ペレットは刃と同速(2πnRcosθ)で動き切断に至る。この推移について、仕事量と運動エネルギーの関係から、
Fcosθ(G/cosθ)=m(2πnRcosθ)/2
で表され、
F=m(2πRncosθ)/(2G)
と整理できる。
【0033】
先述の通り、理論ペレット重量(m)は単孔吐出量/(刃数×回転刃の回転数)で表される。
m=M/(Nn
また、先述の通り、理論ストランド径(G)は以下の式で表される
G=(2M/(πρRnr))1/2
この3つの式より、
F=m(2πRncosθ)/(2G)
=(M/(Nn))(2πRncosθ)/(2(2M/(πρRnr))1/2
=21/2πρ1/21/2 3/25/2r1/2cosθ/N
したがって、以下の式が導かれる。
【0034】
【数4】
【0035】
ただしK=21/2πであり定数であるため、ストランド切断時に回転刃がストランドに対して刃面方向に与える力の関数としては
【0036】
【数5】
【0037】
として表すことができる。
【0038】
本発明の樹脂ペレット製造時の制御システムにおいて、ストランド切断時に回転刃が刃面方向にストランドに与える力の値は1.0g・m/s以上かつ35.0g・m/s以下となることが好ましい。本発明者らは、柔軟な樹脂ストランドから寸法や形状にバラつきのない樹脂ペレット製造時の制御システムの操業条件について鋭意検討を行い、回転刃がストランドに固定刃方向に与える力を適正範囲内に制御することで、ストランド引き取り時のストランドの蛇行が抑制され、ミスカットストランドが減少することでペレット収率が向上するほか、ミスカットストランドの混入による操業性の低下を防ぐことができることを見出した。この理由としては、以下のように考えている。通常の樹脂ストランドでは、ストランド引取時にニップロールと回転ロールに把持されながら引き取られることで吐出孔と引取ロールの間でストランドに十分に張力がかかりストランドの揺れが抑制されるが、柔軟なストランドの場合、ニップロールと回転ロールにはさみこまれると同時にストランドが潰れるように変形し、ストランドの把持が不十分となり、吐出孔と引取ロールの間でストランドに張力がかからず、ストランドの揺れが抑制できずにストランドが蛇行する。このため、ストランドの蛇行を抑制するためには、ストランドを切断するカッターで回転刃によって固定刃方向にストランドを抑え込むことが有効であることを見出した。発明者らは、ストランド切断時に回転刃が刃面方向にストランドに与える力の値が1.0g・m/s以上になることで、柔軟な樹脂ストランドであっても引取時のストランドの蛇行を抑制でき、ミスカットストランドの発生を抑制しペレット収率が良好となり、かつ斜め切りに起因するペレット形状のバラツキが改善し、形状の安定したペレットを生産可能になることを見出した。よりストランドの蛇行を抑制し、斜め切りがなく形状のバラツキの少ないペレットを生産可能となるという観点から、ストランド切断時に回転刃が刃面方向にストランドに与える力の値の好ましい範囲としては、式(6)が2.4g・m/s以上になることがより好ましく、3.2g・m/s以上になることがさらに好ましく、3.8g・m/s以上になることが特に好ましい。上限については特に制限されないが、ストランドと回転刃が接触した際の衝撃が大きく、極めて大きな振動が発生するため作業環境が悪化し、作業者への負担が大きくなるという観点からストランド切断時に回転刃が刃面方向にストランドに与える力の値として、式(6)が35.0g・m/s以下となることが好ましく、28.0g・m/s以下となることがより好ましい。
【0039】
本発明の樹脂ペレット製造時の制御システムにおいて、吐出装置の単孔吐出量(M)、すなわち樹脂の供給速度や、回転刃の回転数(n)を所定の範囲内に制御することで、上述した各種式の値を規定範囲内とすることができる。
【0040】
単孔吐出量(M)については特に制限はなく、樹脂供給装置の能力に応じて任意の値を設定することができるが、ペレットを効率的に生産できる観点から1.0g/s以上であることが好ましく、2.5g/s以上であることがより好ましい。単孔吐出量の上限値については特に制限はないが、吐出孔の温度低下による吐出ムラやストランドの太細発生を抑制することで、チップ寸法のバラツキを抑制する観点から50.0g/s以下が好ましく、40.0g/s以下がより好ましい。
【0041】
また、回転刃の回転数(n)については、回転刃の周速度についての式(2)が所定の範囲内に制御されていれば特に制限はなく、ペレタイザーの能力に応じて任意の値を設定することができるが、回転刃の回転数が100s-1を超えるとモーターに発熱が発生し、装置トラブルの原因となることから、回転刃の回転数が100s-1以下であることが好ましい。また、回転刃の回転数が3s-1を下回るとミスカットストランドが発生しやすくなるため、回転刃の回転数は3s-1以上であることが好ましい。
【0042】
本発明の樹脂ペレット製造時の制御システムにおいては、引取ロールのニップロールと回転ロールとの間の距離については、0.0010m以下であれば、ストランドはニップロールと回転ロールの間にスムーズに挿入されず、ストランドが屈曲し、斜め切りの原因となりうる。このため斜め切りを抑制する観点から、引取ロールのニップロールと回転ロールとの間の距離は0.0010m以上であることが好ましい。上限について、ニップロールと回転ロールとの間でストランドを把持しストランドの揺れを抑制する観点から、0.0050m以下であることが好ましく、0.045m以下であることがより好ましく、0.0040m以下であることがさらに好ましい。
【0043】
本発明の樹脂ペレット製造時の制御システムにおいては、引取ロールと回転刃の周速度の比については、ペレタイザーの引取ロールと回転刃の回転数がギアで連動する場合には、操業前に設定することができる。また、ペレタイザーの引取ロールと回転刃がギアによって連動せず独立して決定される場合には、引取ロールと回転刃の周速度の比を操業中に調整することもできる。
【0044】
本発明の樹脂ペレット製造時の制御システムにおいて、引取ロールの周速度、すなわちストランドの引取速度については特に制限はなく、溶融樹脂の供給能力に応じて任意の値を設定することができるが、ペレットを効率的に生産できる観点から20m/min以上であることが好ましく、50m/min以上であることがより好ましく、55m/min以上であることがさらに好ましく、60m/min以上であることが特に好ましい。また、上限については特に制限されるものではないが、吐出孔から押し出された直後に溶融樹脂が急激に引き延ばされ、ストランド切れの原因となることから300m/min以下であることが好ましく、250m/min以下であることがより好ましく、200m/min以下であることがさらに好ましい。
【0045】
本発明の樹脂ペレット製造時の制御システムについて、ストランドを引取ロールで引取り、回転刃でストランドを切断する機構を備えるペレタイザーであれば特に制限なく採用することができる。また、樹脂の冷却はダイから押出されたストランドの状態で行い、ストランドの冷却方法は特に制限されず、水冷、空冷、またはその組み合わせなど公知のあらゆる方法を採用することができる。冷却効率に優れる点から吐出孔と引取ロールの間で水冷工程を備えることが好ましい。本発明の樹脂ペレット製造時の制御システムは、ストランドを水冷し半溶融状態でストランドの切断を行うUSGカッターに好適に採用される。
【0046】
本発明の樹脂ペレット製造時の制御システムにおいて、ペレタイザーの固定刃、および回転刃、引取ロールの材質は特に制限はなく、公知のものであれば特に制限なく採用することができる。
【0047】
また、回転刃と固定刃のクリアランス、すなわち回転刃の最先端が固定刃の先に最も近づいた際の距離は0.015mm以上であることが好ましい。また、上限について、0.050mm以下であることが好ましく、0.040mm以下であることがより好ましい。
【0048】
上記の制御システムにより、柔軟な樹脂ストランドであっても寸法や形状にばらつきのない均一なペレットを製造可能となる操業条件を簡便に決定することができる。これにより、得られるペレットの品位に優れ、後の工程における工程通過性やハンドリング性が良好となるほか、ミスカットストランドの発生が少なくペレット収率が良好となる。
【実施例0049】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中の各特性値は、以下の方法で求めた。
【0050】
A.固有粘度
固有粘度はo-クロロフェノールを溶媒として25℃で測定を行った。
【0051】
B.溶融密度
樹脂密度は以下の通り測定を行った。乾燥し水分率300ppm以下とした樹脂ペレット約5gをメルトインデクサー(東洋精機製F-F01 シリンダー内径:9.476mm、オリフィス内径:2.09mm、オリフィス長:7.984mm)に投入し、240℃で4分間かけて溶融した後、ピストンにより荷重1kgで押出しを開始した。ピストンの高さ変位が25.4mmとなる間に押出された樹脂の重量を測定し、下式により溶融密度を算出した。
溶融密度(g/cm):ρ=樹脂重量/(π×0.4738×2.54)
なお、測定は5回実施し、その平均値を溶融密度とした。
【0052】
C.曲げ弾性率
各実施例で使用した樹脂組成物を乾燥し水分率300ppm以下とした。住友重工業製射出成形機“SE75DU”を使用して、シリンダー温度260℃、金型温度80℃の条件で、ISO178に従って試験片(80mm×10mm×4.0mm)を成形した。得られた試験片各5本を用いて、ISO178に準拠して曲げ弾性率を測定した。
【0053】
D.カッティング性評価
(1)ペレット収率
得られたペレット1kgを目開き5.6mmのステンレス製ふるいに2度かけ、ペレット中に混入したミスカットストランドや長尺ペレットを除去し、ふるいを通過したペレット重量からペレット収率を算出した。
【0054】
(2)ペレット寸法のバラツキ
ペレット寸法のバラツキについては以下の基準で評価した。前記(1)に記載の方法でふるいがけしたペレットからランダムに100粒を採取し、切断面の長手方向の長さであるペレット径(R)、切断面に対して垂直方向の長さであるペレット長さ(L)をそれぞれ測定し、平均値(ペレット径平均値:Rp,AVE、ペレット長さ平均値:(L,AVE)を算出した。ペレット長さ、ペレット径が算出した平均値からの差が10%以内であるペレットを計数し、該当するペレット数が95%以上であればS(4点)、75%以上95%未満であればA(3点)、50%以上75%未満であればB(2点)、25%以上50%未満であればC(1点)、25%未満であればD(0点)とし、5段階で評価した。
【0055】
(3)斜切りの評価
斜切りについては以下の基準で評価した。前記(1)に記載の方法でふるいがけしたペレットからランダムに100粒を採取し、ペレットの非切断面長さ(L’)を測定し、平均値(L’,AVE)を算出した。(2)記載の方法により算出したペレット長さの平均値(L,AVE)に対するL’,AVEの比が98%以上であればS(4点)、94%以上98%未満であればA(3点)、87%以上94%未満であればB(2点)、87%以上87%未満であればC(1点)、87%未満であればD(0点)とし、5段階で評価した。
【0056】
(4)カッティング性
カッティング性については以下の基準で評価した。前記(2)によるペレット寸法のバラツキの評価、および前記(3)斜め切りの評価の5段階評価の合計点を算出し、最高点を8点として評価した。8点であればSS、7点であればS、6点であればA、5点であればB、4点であればC、3点であればD、2点以下であればEとして6段階で評価を行った。
【0057】
(実施例1)
吐出孔を一つ備える単軸押出機(スクリュー:φ65mm、吐出孔径:8.5mm)を用い、ダイ温度250℃としてポリエチレングリコールを50wt%共重合したポリブチレンテレフタレート(曲げ弾性率:650MPa、樹脂密度1.15g/cm、固有粘度:2.0)の押出しを開始し、単孔吐出量は10kg/hr(2.8g/s)であり、脈動なく吐出性に問題はなかった。押出機から吐出されたストランド1本を直接水温20℃、1.4mの水浴に投入して冷却したのち、回転刃半径:0.076m、刃数:28、すくい角:10°の回転刃を備え、固定刃と回転刃のクリアランスを0.02mm、ニップロールと回転ロールとのクリアランスを1.5mmと設定したペレタイザーにストランドを挿入し、ペレット長さが3mmとなるよう、引取ロールと回転刃の周速比0.177に固定して回転刃回転数を調整し、回転数が10回/sとなったときにペレットの採取を開始した。このときのストランドの引取速度は50m/minであった。得られたペレットを目開き5.6mmのステンレスふるいに2度かけ、ミスカットストランドおよび長尺ペレットを除去したところ、ペレット収率は56%であった。得られたペレットの形状について評価を行い、寸法のバラツキはA,斜め切りはCであり、カッティング性はDであった。得られたペレットの切断面について、ペレットの80%程度が斜め切りとなっていた。また、ペレット寸法が小さくハンドリング性に欠けるものであった。
【0058】
(実施例2)
すくい角:15°の回転刃を用いたこと以外は実施例1と同様にペレットを製造した。ペレット収率は54%であった。得られたペレットの形状について評価を行い、寸法のバラツキはA、斜め切りはCであり、カッティング性はDであった。得られたペレットの切断面について、ペレットの80%程度が斜め切りとなっていた。また、ペレット寸法が小さくハンドリング性に欠けるものであった。
【0059】
(実施例3)
すくい角:20°の回転刃を用いたこと以外は実施例1と同様にペレットを製造した。ペレット収率は52%であった。得られたペレットの形状について評価を行い、寸法のバラツキはA、斜め切りはCであり、カッティング性はDであった。得られたペレットの切断面について、ペレットの80%程度が斜め切りとなっていた。また、ペレット寸法が小さくハンドリング性に欠けるものであった。
【0060】
(実施例4)
すくい角:25°の回転刃を用いたこと以外は実施例1と同様にペレットを製造した。ペレット収率は50%であった。得られたペレットの形状について評価を行い、寸法のバラツキはA,斜め切りはCであり、カッティング性はAであった。得られたペレットの切断面について、ペレットの80%程度が斜め切りとなっていた。また、ペレット寸法が小さくハンドリング性に欠けるものであった。
【0061】
(実施例5)
単孔吐出量を17.0kg/h(4.7g/s)、回転刃回転数を14回/秒としたこと以外は実施例1と同様にペレットを製造した。ストランドの引取速度は70m/minであり、ペレット収率は81%であった。得られたペレットの形状について評価を行い、寸法のバラツキはS、斜め切りはBであり、カッティング性はAであった。得られたペレットの切断面について、ペレットの50%程度が斜め切りとなっていた。
【0062】
(実施例6)
単孔吐出量を50.0kg/h(12.8g/s)、回転刃回転数を10回/秒としたこと以外は実施例1と同様にペレットを製造した。ストランドの引取速度は50m/minであり、ペレット収率は82%であった。得られたペレットの形状について評価を行い、寸法のバラツキはC、斜め切りはBであり、カッティング性はDであった。得られたペレットの切断面について、ペレットの50%程度が斜め切りとなっていた。
【0063】
(実施例7)
単孔吐出量を46.0kg/h(12.8g/s)、回転刃回転数を10回/秒としたこと以外は実施例1と同様にペレットを製造した。ストランドの引取速度は50m/minであり、ペレット収率は80%であった。得られたペレットの形状について評価を行い、寸法のバラツキはB、斜め切りはBであり、カッティング性はCであった。得られたペレットの切断面について、ペレットの50%程度が斜め切りとなっていた。
【0064】
(実施例8)
単孔吐出量を43.0kg/h(11.9g/s)、回転刃回転数を10回/秒としたこと以外は実施例1と同様にペレットを製造した。ストランドの引取速度は50m/minであり、ペレット収率は80%であった。得られたペレットの形状について評価を行い、寸法のバラツキはA、斜め切りはBであり、カッティング性はBであった。得られたペレットの切断面について、ペレットの50%程度が斜め切りとなっていた。
【0065】
(実施例9)
単孔吐出量を43.0kg/h(11.9g/s)、回転刃回転数を11回/秒としたこと以外は実施例1と同様にペレットを製造した。ストランドの引取速度は55m/minであり、ペレット収率は86%であった。得られたペレットの形状について評価を行い、寸法のバラツキはS、斜め切りはBであり、カッティング性はAであった。得られたペレットの切断面について、ペレットの50%程度が斜め切りとなっていた。
【0066】
(実施例10)
単孔吐出量を43.0kg/h(11.9g/s)、回転刃回転数を12回/秒としたこと以外は実施例1と同様にペレットを製造した。ストランドの引取速度は60m/minであり、ペレット収率は86%であった。得られたペレットの形状について評価を行い、寸法のバラツキはS、斜め切りはAであり、カッティング性はAであった。得られたペレットの切断面について、ペレットの10%程度が斜め切りとなっていた。
【0067】
(実施例11)
単孔吐出量を40.0kg/h(11.1g/s)、回転刃回転数を14回/秒としたこと以外は実施例1と同様にペレットを製造した。ストランドの引取速度は70m/minであり、ペレット収率は95%であった。得られたペレットの形状について評価を行い、寸法のバラツキはS、斜め切りはSであり、カッティング性はSであった。得られたペレットの切断面について、目視ではほとんどのペレットがストランド長手方向に対して90°に切断されていた。
【0068】
(実施例12)
単孔吐出量を40.0kg/h(11.1g/s)、回転刃回転数を16回/秒としたこと以外は実施例1と同様にペレットを製造した。ストランドの引取速度は80m/minであり、ペレット収率は98%以上であった。得られたペレットの形状について評価を行い、寸法のバラツキはS、斜め切りはSであり、カッティング性はSSであった。得られたペレットの切断面について、目視ではほとんどのペレットがストランド長手方向に対して90°に切断されていた。
【0069】
(実施例13)
単孔吐出量を43.0kg/h(11.9g/s)、回転刃回転数を20回/秒としたこと以外は実施例1と同様にペレットを製造した。ストランドの引取速度は100m/minであり、ペレット収率は98%以上であった。得られたペレットの形状について評価を行い、寸法のバラツキはS、斜め切りはSであり、カッティング性はSSであった。得られたペレットの切断面について、目視ではほとんどのペレットがストランド長手方向に対して90°に切断されていた。
【0070】
(実施例14)
単孔吐出量を40.0kg/h(11.1g/s)、回転刃回転数を28回/秒としたこと以外は実施例1と同様にペレットを製造した。ストランドの引取速度は140m/minであり、ペレット収率は98%以上であった。得られたペレットの形状について評価を行い、寸法のバラツキはS、斜め切りはSであり、カッティング性はSSであった。得られたペレットの切断面について、目視ではほとんどのペレットがストランド長手方向に対して90°に切断されていた。
【0071】
(実施例15)
単孔吐出量を100.0kg/h(27.8g/s)、回転刃回転数を28回/秒としたこと以外は実施例1と同様にペレットを製造した。ストランドの引取速度は140m/minであり、ペレット収率は98%以上であった。得られたペレットの形状について評価を行い、寸法のバラツキはS、斜め切りはSであり、カッティング性はSSであった。得られたペレットの切断面について、目視ではほとんどのペレットがストランド長手方向に対して90°に切断されていた。
【0072】
(実施例16)
単孔吐出量を60.0kg/h(16.7g/s)、回転刃回転数を36回/秒としたこと以外は実施例1と同様にペレットを製造した。ストランドの引取速度は180m/minであり、ペレット収率は98%以上であった。得られたペレットの形状について評価を行い、寸法のバラツキはS、斜め切りはSであり、カッティング性はSSであった。得られたペレットの切断面について、目視ではほとんどのペレットがストランド長手方向に対して90°に切断されていた。
【0073】
(実施例17)
単孔吐出量を120.0kg/h(33.3g/s)、回転刃回転数を36回/秒としたこと以外は実施例1と同様にペレットを製造した。ストランドの引取速度は180m/minであり、ペレット収率は98%以上であった。得られたペレットの形状について評価を行い、寸法のバラツキはS、斜め切りはSであり、カッティング性はSSであった。得られたペレットの切断面について、目視ではほとんどのペレットがストランド長手方向に対して90°に切断されていた。
【0074】
(実施例18)
単孔吐出量を135.0kg/h(37.5g/s)、回転刃回転数を40回/秒としたこと以外は実施例1と同様にペレットを製造した。ストランドの引取速度は200m/minであり、ペレット収率は98%以上であった。ペレタイザーの運転音は大きく、また操業中に振動していた。得られたペレットの形状について評価を行い、寸法のバラツキはS、斜め切りはSであり、カッティング性はSSであった。得られたペレットの切断面について、目視ではほとんどのペレットがストランド長手方向に対して90°に切断されていた。
【0075】
(実施例19)
使用する樹脂をポリエチレングリコールが30wt%共重合されたポリブチレンテレフタレートとし、単孔吐出量を40.0kg/h(11.1g/s)、回転刃回転数を20回/秒としたこと以外は実施例1と同様にペレットを製造した。ストランドの引取速度は100m/minであり、ペレット収率は98%以上であった。得られたペレットの形状について評価を行い、寸法のバラツキはS、斜め切りはSであり、カッティング性はSSであった。得られたペレットの切断面について、目視ではほとんどのペレットがストランド長手方向に対して90°に切断されていた。
【0076】
(比較例1)
使用する樹脂をポリエチレングリコールが30wt%共重合されたポリブチレンテレフタレートとし、単孔吐出量を40.0kg/h(11.1g/s)、回転刃回転数を20回/秒としたこと以外は実施例1と同様にペレットを製造した。ストランドの引取速度は100m/minであり、ペレット収率は40%であり、篩には極度な斜め切りにより発生した長尺ペレットが大量に捕集された。得られたペレットの形状について、寸法のバラツキはD、斜め切りはDであり、カッティング性はEであった。得られたペレットの切断面について、ペレットの80%程度が斜め切りとなっていた。
【0077】
(比較例2)
単孔吐出量を135.0kg/h(37.5g/s)、回転刃回転数を10回/秒としたこと以外は実施例1と同様にペレットを製造した。ストランドの引取速度は50m/minであり、ペレット収率は40%であり、篩にはミスカットストランドが捕集された。得られたペレットの形状について評価を行い、寸法のバラツキはD、斜め切りはBであり、カッティング性はEであった。ペレットの切断面に関して、50%程度が斜め切りとなっていた。
【0078】
(比較例3)
単孔吐出量を7.0kg/h(1.9g/s)、回転刃回転数を10回/秒としたこと以外は実施例1と同様にペレットを製造した。ストランドの引取速度は50m/minであり、ストランドは蛇行しながらペレット収率は30%であり、篩にはミスカットストランドが大量に捕集された。得られたペレットの形状について評価を行い、寸法のバラツキはB、斜め切りはDであり、カッティング性はEであった。ペレットの切断面に関して、ほとんどのペレットが斜め切りとなっていた。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【符号の説明】
【0081】
1 すくい角(θ)
2 回転刃
2‘ 回転刃刃面
3 固定刃
4 ニップロール
5 回転ロール
6 ストランド引取方向
7 ペレタイザー
8 ストランド
9 ペレット長さ(L)
10 ペレット径(R
11 ペレットの非切断面長さ(L’)
12 ペレットの切断面
a 回転刃周速度
b 刃平面方向速度
c 回転刃からストランドに与える固定刃方向の力
d 回転刃からストランドに与える刃平面方向の力
e ストランド径
f ペレットの回転刃方向速度
g ペレットの回転刃刃平面方向速度
h ペレット移動距離
i 切断後ペレット
図1
図2
図3
図4