(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025293
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
A45D 29/00 20060101AFI20250214BHJP
B41J 11/02 20060101ALI20250214BHJP
B41J 3/407 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
A45D29/00
B41J11/02
B41J3/407
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129938
(22)【出願日】2023-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】723005698
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148460
【弁理士】
【氏名又は名称】小俣 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100168125
【弁理士】
【氏名又は名称】三藤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】福山 照一
【テーマコード(参考)】
2C058
【Fターム(参考)】
2C058AB02
2C058AC07
2C058AE01
2C058AF31
2C058DA03
2C058DA12
2C058DA20
(57)【要約】
【課題】小型化及び軽量化を実現することができる印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷装置2は、第1の載置部16a及び第1の載置部16aに対して傾動可能な第2の載置部16bを有するホルダ16と、ホルダ16に載置された指10の爪12に向けてインクを吐出するヘッド部20と、ホルダ16をヘッド部20に対して昇降させる昇降機構34と、第2の載置部16bを第1の載置部16aに対して傾動させる傾動機構36とを備える。傾動機構36は、ユーザにより回転操作されるダイヤル48aと、ダイヤル48aの回転操作に連動して回転するシャフト52と、シャフト52の回転を第2の載置部16bの傾動動作に変換する変換機構54とを有している。昇降機構34と傾動機構36の変換機構54とは、シャフト52を介して互いに連結されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの指の爪に印刷を施すための印刷装置であって、
前記指を載置するためのホルダであって、第1の載置部と、前記第1の載置部に対して傾動可能な第2の載置部と、を有するホルダと、
前記ホルダに載置された前記指の前記爪に向けてインクを吐出するヘッド部と、
前記ホルダに載置された前記指の前記爪の高さ位置を、前記ヘッド部から所定の距離だけ離れた目標高さ位置に調整するために、前記ホルダを前記ヘッド部に対して昇降させる昇降機構と、
前記ホルダに載置された前記指の前記爪の傾きを調整するために、前記第2の載置部を前記第1の載置部に対して傾動させる傾動機構と、を備え、
前記傾動機構は、
前記ユーザにより回転操作されるダイヤルと、
前記ダイヤルの回転操作に連動して回転するシャフトと、
前記シャフトの回転を、前記第2の載置部の傾動動作に変換する変換機構と、を有し、
前記昇降機構と前記傾動機構の前記変換機構とは、前記シャフトを介して互いに連結されている
印刷装置。
【請求項2】
前記変換機構は、
前記シャフトと一体的に回転するカムと、
前記カムの回転に伴って、前記第2の載置部を前記ヘッド部に向けて押し上げることにより、前記第2の載置部を前記第1の載置部に対して傾動させるリフト機構と、を有し、
前記カムは、前記昇降機構に対して左右方向に隣り合うように配置されている
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記リフト機構は、
突部が形成された第1の端部及び前記第1の端部と反対側の第2の端部を有し、前記第1の端部と前記第2の端部との間に配置された回転軸を中心に回転可能な回転部材と、
前記回転部材の前記突部を前記カムに押し当てるように、前記回転部材を付勢する第1の付勢部材と、
前記回転部材の前記第2の端部と前記ホルダの前記第2の載置部との間に配置されるリフト部材と、を有し、
前記カムの回転角度に応じて前記回転部材の前記突部が前記第1の付勢部材の付勢力によって下降した際に、前記リフト部材は、前記回転部材の前記第2の端部により押し上げられることにより、前記第2の載置部を前記ヘッド部に向けて押し上げる
請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記回転部材の前記回転軸と前記第2の端部の先端との間の距離は、前記回転部材の前記回転軸と前記突部との間の距離よりも長い
請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記回転部材の前記回転軸と前記第1の端部の先端との間の距離は、前記回転部材の前記回転軸と前記第2の端部の先端との間の距離よりも長い
請求項3に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記ダイヤルは、前記昇降機構による前記ホルダの昇降動作に連動して、前後方向に移動可能である
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記印刷装置は、さらに、筐体を備え、
前記ダイヤルは一対設けられており、
前記一対のダイヤルはそれぞれ、前記筐体の左右の両側面に配置されている
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記昇降機構は、
前記ホルダを支持するベース部材と、
前記ベース部材を前記ヘッド部に向けて付勢する第2の付勢部材と、を有する
請求項1に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの指の爪に印刷を施すための印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式により、ユーザの指の爪に色又は絵柄等のマニキュア用の印刷を施すための印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の印刷装置は、指を載置するホルダと、ホルダに載置された指の爪に向けてインクを吐出するヘッド部と、ホルダに載置された指の爪の高さ位置を調整するためにホルダをヘッド部に対して昇降させる昇降用モータと、ホルダに載置された指の爪の傾きを調整するためにホルダをヘッド部に対して傾動させる傾動用モータとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された印刷装置では、昇降用モータ及び傾動用モータを備えているので、装置全体が大型化及び重量化するという課題が生じる。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、その目的は、小型化及び軽量化を実現することができる印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る印刷装置は、ユーザの指の爪に印刷を施すための印刷装置であって、前記指を載置するためのホルダであって、第1の載置部と、前記第1の載置部に対して傾動可能な第2の載置部と、を有するホルダと、前記ホルダに載置された前記指の前記爪に向けてインクを吐出するヘッド部と、前記ホルダに載置された前記指の前記爪の高さ位置を、前記ヘッド部から所定の距離だけ離れた目標高さ位置に調整するために、前記ホルダを前記ヘッド部に対して昇降させる昇降機構と、前記ホルダに載置された前記指の前記爪の傾きを調整するために、前記第2の載置部を前記第1の載置部に対して傾動させる傾動機構と、を備え、前記傾動機構は、前記ユーザにより回転操作されるダイヤルと、前記ダイヤルの回転操作に連動して回転するシャフトと、前記シャフトの回転を、前記第2の載置部の傾動動作に変換する変換機構と、を有し、前記昇降機構と前記傾動機構の前記変換機構とは、前記シャフトを介して互いに連結されている。
【0007】
本態様によれば、傾動機構はユーザにより手動で操作される構成であるので、印刷装置を軽量化することができる。また、昇降機構と傾動機構の変換機構とは、シャフトを介して互いに連結されているので、傾動機構の変換機構は、昇降機構によるホルダの昇降動作に連動して昇降するようになる。これにより、昇降機構及び傾動機構の配置をコンパクトにすることができ、印刷装置を小型化することができる。
【0008】
例えば、本発明の第2の態様に係る印刷装置では、第1の態様において、前記変換機構は、前記シャフトと一体的に回転するカムと、前記カムの回転に伴って、前記第2の載置部を前記ヘッド部に向けて押し上げることにより、前記第2の載置部を前記第1の載置部に対して傾動させるリフト機構と、を有し、前記カムは、前記昇降機構に対して左右方向に隣り合うように配置されているように構成してもよい。
【0009】
本態様によれば、変換機構を小型化及び軽量化することができる。
【0010】
例えば、本発明の第3の態様に係る印刷装置では、第2の態様において、前記リフト機構は、突部が形成された第1の端部及び前記第1の端部と反対側の第2の端部を有し、前記第1の端部と前記第2の端部との間に配置された回転軸を中心に回転可能な回転部材と、前記回転部材の前記突部を前記カムに押し当てるように、前記回転部材を付勢する第1の付勢部材と、前記回転部材の前記第2の端部と前記ホルダの前記第2の載置部との間に配置されるリフト部材と、を有し、前記カムの回転角度に応じて前記回転部材の前記突部が前記第1の付勢部材の付勢力によって下降した際に、前記リフト部材は、前記回転部材の前記第2の端部により押し上げられることにより、前記第2の載置部を前記ヘッド部に向けて押し上げるように構成してもよい。
【0011】
本態様によれば、リフト機構を小型化及び軽量化することができる。
【0012】
例えば、本発明の第4の態様に係る印刷装置では、第3の態様において、前記回転部材の前記回転軸と前記第2の端部の先端との間の距離は、前記回転部材の前記回転軸と前記突部との間の距離よりも長いように構成してもよい。
【0013】
本態様によれば、カムの外径を小さくした場合であっても、回転部材が回転した際における、回転部材の第2の端部の上昇量を、回転部材の突部の下降量よりも大きくすることができる。
【0014】
例えば、本発明の第5の態様に係る印刷装置では、第3の態様において、前記回転部材の前記回転軸と前記第1の端部の先端との間の距離は、前記回転部材の前記回転軸と前記第2の端部の先端との間の距離よりも長いように構成してもよい。
【0015】
本態様によれば、指をホルダに載置した際に第1の付勢部材に加わる荷重を、指の保持力よりも小さくすることができる。
【0016】
例えば、本発明の第6の態様に係る印刷装置では、第1の態様~第5の態様のいずれか一態様において、前記ダイヤルは、前記昇降機構による前記ホルダの昇降動作に連動して、前後方向に移動可能であるように構成してもよい。
【0017】
本態様によれば、昇降機構によりホルダがヘッド部に対して昇降する際に、ダイヤルの動きを前後方向に拘束することにより、ダイヤルの上下方向のふらつきを抑制することができる。
【0018】
例えば、本発明の第7の態様に係る印刷装置では、第1の態様~第6の態様のいずれか一態様において、前記印刷装置は、さらに、筐体を備え、前記ダイヤルは一対設けられており、前記一対のダイヤルはそれぞれ、前記筐体の左右の両側面に配置されているように構成してもよい。
【0019】
本態様によれば、ユーザが片方の手の指をホルダに載置している際に、他方の手で一対のダイヤルのいずれかを容易に操作することができる。
【0020】
例えば、本発明の第8の態様に係る印刷装置では、第1の態様~第7の態様のいずれか一態様において、前記昇降機構は、前記ホルダを支持するベース部材と、前記ベース部材を前記ヘッド部に向けて付勢する第2の付勢部材と、を有するように構成してもよい。
【0021】
本態様によれば、昇降機構はユーザにより手動で操作される構成であるので、印刷装置をより一層軽量化することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様に係る印刷装置によれば、小型化及び軽量化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施の形態1に係る印刷装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係る印刷装置の内部構造を示す斜視図である。
【
図3】実施の形態1に係る調整ユニットを抜き出して示す斜視図である。
【
図4】実施の形態1に係る調整ユニットの傾動機構を拡大して示す斜視図である。
【
図5】実施の形態1に係る調整ユニットの傾動機構の動作を説明するための斜視図である。
【
図6】実施の形態1に係る調整ユニットの傾動機構の動作を説明するための斜視図である。
【
図7】実施の形態2に係る印刷装置の内部構造を示す斜視図である。
【
図8】実施の形態2に係る調整ユニットを抜き出して示す斜視図である。
【
図9】実施の形態2に係る傾動機構の構成を説明するための斜視図である。
【
図10】実施の形態2に係る傾動機構の構成を説明するための斜視図である。
【
図11】実施の形態3に係る印刷装置の内部構造を示す斜視図である。
【
図12】実施の形態3に係る調整ユニットを抜き出して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0025】
(実施の形態1)
[1-1.印刷装置の概要]
まず、
図1及び
図2を参照しながら、実施の形態1に係る印刷装置2の概要について説明する。
図1は、実施の形態1に係る印刷装置2の外観を示す斜視図である。
図2は、実施の形態1に係る印刷装置2の内部構造を示す斜視図である。
【0026】
なお、
図1及び
図2において、印刷装置2の左右方向をX軸方向、印刷装置2の前後方向をY軸方向、印刷装置2の上下方向をZ軸方向として説明する。
【0027】
図1及び
図2に示すように、印刷装置2は、筐体4と、印刷ユニット6と、調整ユニット8とを備えている。印刷装置2は、ユーザの手の指10の爪12に例えば色又は絵柄等のマニキュア用の印刷を施すための、いわゆるネイルプリンタである。
【0028】
なお、印刷装置2は、例えばスマートフォン又はタブレット端末等の外部端末(図示せず)と無線通信可能である。ユーザは、外部端末にインストールされた専用のアプリケーションをユーザインタフェースとして用いることにより、印刷装置2を操作することができる。
【0029】
図1に示すように、筐体4は、例えば樹脂製であり、箱形状に形成されている。筐体4の前面には、ユーザの指10を差し込むための開口部14が形成されている。開口部14の下側(Z軸のマイナス側)には、ユーザの指10の爪12を含む部分(例えば、指10の先端から第2関節までの部分)を載置するためのホルダ16が配置されている。また、開口部14の上側(Z軸のプラス側)には、ユーザの指10を上方から押さえるための押さえカバー18が配置されている。
【0030】
ホルダ16は、調整ユニット8により、ヘッド部20(後述する)に対して上下方向(Z軸方向)に上限位置と下限位置との間を昇降可能である。
図2に示すように、ホルダ16は、第1の載置部16aと、第2の載置部16bとを有している。第1の載置部16aは、ベース部材40(後述する)の上端部に固定されている。第2の載置部16bは、ベース部材40の上端部において第1の載置部16aと隣り合う位置に配置されており、第1の載置部16aよりも筐体4の開口部14から遠い側に配置されている。第1の載置部16aの上面には、例えば指10の第1関節から第2関節までの部分を載置するための凹面状の載置面が形成されている。また、第2の載置部16bの上面には、例えば指10の先端から第1関節までの部分を載置するための凹面状の載置面が形成されている。第2の載置部16bの一端部(第1の載置部16aに近い側の端部)は、X軸方向に延びる回転軸19を介して、第1の載置部16aの一端部(第2の載置部16bに近い側の端部)に傾動可能に支持されている。これにより、第2の載置部16bは、回転軸19を中心に、第1の載置部16aに対して傾動可能である。
【0031】
図2に示すように、印刷ユニット6は、ホルダ16に載置された指10の爪12にマニキュア用の印刷を施すためのユニットであり、筐体4の内部に配置されている。印刷ユニット6の印刷方式は、指10の爪12に向けてインクをミスト状に吐出することにより印刷を施すインクジェット方式である。印刷ユニット6は、インクを吐出するためのヘッド部20と、ヘッド部20を駆動するための駆動機構22とを有している。
【0032】
ヘッド部20は、キャリッジ24と、キャリッジ24に搭載されたインクタンク26とを有している。インクタンク26の内部には、例えばCMYK(C:シアン、M:マゼンタ、Y:イエロー、K:ブラック)の4種類のインクが充填されている。ヘッド部20の下端部には、複数の微細なノズル孔が配置されたノズル面28が形成されている。ノズル面28は、インクタンク26から供給されたインクを、ホルダ16に載置された指10の爪12に向けて下方に吐出する。なお、ノズル面28は、水平面(XY平面)上に配置されている。
【0033】
駆動機構22は、ヘッド部20を、主走査方向(X軸方向)及び主走査方向と略直交する副走査方向(Y軸方向)に二次元的に移動させるための機構である。図示しないが、駆動機構22は、指10の爪12に対してヘッド部20を主走査方向に移動させるためのX軸駆動機構と、指10の爪12に対してヘッド部20を副走査方向に移動させるためのY軸駆動機構とを有している。
【0034】
調整ユニット8は、ホルダ16に載置された指10の爪12のヘッド部20に対する高さ位置(Z軸方向における位置)を、ヘッド部20のノズル面28から所定の距離(例えば、2mm程度)だけ離れた目標高さ位置に調整するために、ホルダ16をヘッド部20に対して上下方向に昇降させる。また、調整ユニット8は、ホルダ16に載置された指10の爪12の傾きを調整するために、ホルダ16の第2の載置部16bを第1の載置部16aに対して傾動させる。なお、「爪12の傾き」とは、YZ側面視で、ヘッド部20のノズル面28に対する爪12の上面の傾きを意味する。例えば、爪12の上面がヘッド部20のノズル面28に対して略平行である場合、爪12の傾きは0°である。
【0035】
また、
図2に示すように、筐体4の内部において、ホルダ16の側方にはミラー30が配置されている。ミラー30は、ホルダ16に載置された指10の爪12の側面を映すための鏡面を有するサイドビューミラーである。ミラー30は、その鏡面が垂直方向(Z軸方向)に対して斜め上方を向くように配置されている。
【0036】
さらに、筐体4の内部において、ホルダ16の上方にはカメラユニット32が配置されている。カメラユニット32は、ホルダ16に載置された指10の爪12の正面を真上から直接撮像するとともに、ミラー30の鏡面に映った指10の爪12の側面を撮像する。カメラユニット32により撮像された爪12の画像データは、印刷装置2から外部端末に無線で送信され、当該外部端末の表示部に表示される。
【0037】
上述した印刷装置2で印刷を行う際には、まず、ユーザは、指10の爪12が上側を向くようにして、指10を真っ直ぐに伸ばした状態で筐体4の開口部14に差し込み、指10の腹側をホルダ16に載置する。これにより、指10の爪12を含む部分が筐体4の内部に配置される。
【0038】
次いで、ユーザが調整ユニット8を手動で操作することにより、ホルダ16がヘッド部20に対して上昇する。これにより、ホルダ16に載置した指10がホルダ16と押さえカバー18とで上下から挟持されるようになる。
【0039】
次いで、ユーザが、外部端末の表示部に表示された爪12の画像データを見ながら、調整ユニット8を手動で操作することにより、ホルダ16の第2の載置部16bが第1の載置部16aに対して傾動する。これにより、ホルダ16に載置された指10の爪12の傾きを調整することができ、例えば、爪12の位置を上方向に約6mm、下方向に約3mmの範囲で調整することができる。次いで、印刷ユニット6により指10の爪12に対して印刷が施される。
【0040】
[1-2.調整ユニットの構成]
次に、
図1~
図6を参照しながら、調整ユニット8の構成について説明する。
図3は、実施の形態1に係る調整ユニット8を抜き出して示す斜視図である。
図4は、実施の形態1に係る調整ユニット8の傾動機構36を拡大して示す斜視図である。
図5及び
図6は、実施の形態1に係る調整ユニット8の傾動機構36の動作を説明するための斜視図である。
【0041】
図2及び
図3に示すように、調整ユニット8は、昇降機構34と、傾動機構36とを有している。
【0042】
まず、昇降機構34の構成について説明する。昇降機構34は、ホルダ16に載置された指10の爪12のヘッド部20に対する高さ位置を、ヘッド部20のノズル面28から所定の距離だけ離れた目標高さ位置に調整するために、ホルダ16をヘッド部20に対して昇降させるための機構である。
図2及び
図3に示すように、昇降機構34は、ガイド部材38と、ベース部材40と、コイルバネ42(第2の付勢部材の一例)とを有している。
【0043】
ガイド部材38は、筐体4の内部に配置されたベースプレート44の上面に立設されている。
【0044】
ベース部材40は、略矩形状の筒状に形成されており、ガイド部材38に昇降可能に支持されている。ベース部材40は、ガイド部材38に沿って上下方向に昇降可能である。ベース部材40の上端部には、ホルダ16が支持されている。
【0045】
コイルバネ42は、ベース部材40をヘッド部20に向けて付勢するためのものである。コイルバネ42の上端部はベース部材40の内部に係合され、コイルバネ42の下端部はベースプレート44の上面に係合されている。
【0046】
図3及び
図4に示すように、傾動機構36は、一対の支持プレート46a,46bと、一対のダイヤル48a,48bと、一対のギア機構50a,50bと、シャフト52と、変換機構54とを有している。
【0047】
一対の支持プレート46a,46bは、筐体4の内部に配置され、ベースプレート44の上面に立設されている。一対の支持プレート46a,46bは、左右方向において互いに対向するように配置されている。
図2に示すように、支持プレート46aには、前後方向に沿って延在するガイド孔58aと、上下方向に沿って延在するガイド孔60aとが形成されている。なお、ガイド孔60aは、ガイド孔58aよりも筐体4の前面に近い側に配置されている。また、
図3に示すように、支持プレート46bには、前後方向に沿って延在するガイド孔58bと、上下方向に沿って延在するガイド孔60bとが形成されている。なお、ガイド孔60bは、ガイド孔58bよりも筐体4の前面に近い側に配置されている。
【0048】
一対のダイヤル48a,48bの各々は、円形状に形成され、ユーザにより回転操作される。
図1に示すように、一対のダイヤル48a,48bはそれぞれ、筐体4の外部において、筐体4の左右の両側面に配置されている。具体的には、一対のダイヤル48a,48bはそれぞれ、筐体4の前面に向かって、左側及び右側に配置されている。
【0049】
ギア機構50aは、リンク62aと、大径ギア64aと、小径ギア66aとを含んでいる。
【0050】
リンク62aは、大径ギア64aと小径ギア66aとを互いに連結するためのものである。リンク62aには、挿通孔68aと、軸受部70aとが形成されている。
【0051】
大径ギア64aは、ダイヤル48aの裏面(すなわち、筐体4の側面に近い側の面)に対向して配置されている。大径ギア64aの回転軸72aは、リンク62aの挿通孔68aを通してダイヤル48aの裏面に固定されている。これにより、ダイヤル48aは、大径ギア64aと一体的に回転可能である。また、大径ギア64aの回転軸72aは、支持プレート46aのガイド孔58aに移動可能且つ回転可能に挿通されている。これにより、ダイヤル48aは、大径ギア64aと一体的に、筐体4に対してガイド孔58aの長手方向(前後方向)に沿って移動可能である。
【0052】
小径ギア66aは、大径ギア64aと噛み合わされている。小径ギア66aのギア歯の数は、大径ギア64aのギア歯の数よりも少ない。小径ギア66aの回転軸74aは、リンク62aの軸受部70aに回転可能に支持されているとともに、支持プレート46aのガイド孔60aに回転可能且つ移動可能に挿通されている。これにより、シャフト52は、小径ギア66aと一体的に、ガイド孔60aの長手方向(上下方向)に沿って移動可能である。
【0053】
なお、大径ギア64aと小径ギア66aとを入れ替えることにより、大径ギア64aを小径ギア、小径ギア66aを大径ギアとしてもよい。また、大径ギア64a及び小径ギア66aの各々のギア歯の数としては、ダイヤル48aの操作トルクとカム76の負荷トルクとの関係、及び、ダイヤル48aの回転角度とカム76の回転角度との関係から、最適な値が選択される。
【0054】
ギア機構50bは、リンク62bと、大径ギア64bと、小径ギア66bとを含んでいる。
【0055】
リンク62bは、大径ギア64bと小径ギア66bとを互いに連結するためのものである。リンク62bには、挿通孔68bと、軸受部70bとが形成されている。
【0056】
大径ギア64bは、ダイヤル48bの裏面(すなわち、筐体4の側面に近い側の面)に対向して配置されている。大径ギア64bの回転軸72bは、リンク62bの挿通孔68bを通してダイヤル48bの裏面に固定されている。これにより、ダイヤル48bは、大径ギア64bと一体的に回転可能である。また、大径ギア64bの回転軸72bは、支持プレート46bのガイド孔58bに移動可能且つ回転可能に挿通されている。これにより、ダイヤル48bは、大径ギア64bと一体的に、筐体4に対してガイド孔58bの長手方向(前後方向)に沿って移動可能である。
【0057】
小径ギア66bは、大径ギア64bと噛み合わされている。小径ギア66bのギア歯の数は、大径ギア64bのギア歯の数よりも少ない。小径ギア66bの回転軸74bは、リンク62bの軸受部70bに回転可能に支持されているとともに、支持プレート46bのガイド孔60bに回転可能且つ移動可能に挿通されている。これにより、シャフト52は、小径ギア66bと一体的に、ガイド孔60bの長手方向(上下方向)に沿って移動可能である。
【0058】
なお、大径ギア64bと小径ギア66bとを入れ替えることにより、大径ギア64bを小径ギア、小径ギア66bを大径ギアとしてもよい。また、大径ギア64b及び小径ギア66bの各々のギア歯の数としては、ダイヤル48bの操作トルクとカム76の負荷トルクとの関係、及び、ダイヤル48bの回転角度とカム76の回転角度との関係から、最適な値が選択される。
【0059】
シャフト52は、左右方向に沿って延在している。シャフト52の長手方向における一端部は、ギア機構50aの小径ギア66aの回転軸74aに固定されている。また、シャフト52の長手方向における他端部は、ギア機構50bの小径ギア66bの回転軸74bに固定されている。これにより、シャフト52は、小径ギア66a,66bの各々と一体的に回転可能である。また、シャフト52は、昇降機構34のベース部材40を貫通している。すなわち、昇降機構34のベース部材40と傾動機構36の変換機構54とは、シャフト52を介して互いに連結されている。
【0060】
変換機構54は、シャフト52の回転を、第2の載置部16bの傾動動作に変換するための機構である。
図4に示すように、変換機構54は、カム76と、リフト機構78とを有している。
【0061】
カム76は、シャフト52の外周面に固定されており、シャフト52と一体的に回転可能である。カム76の回転中心は、シャフト52の回転中心と一致している。カム76は、カム76の回転中心からカム76の外周面までの距離が、カム76の回転位相に応じて変化する形状を有している。また、カム76は、昇降機構34に対して左右方向に隣り合うように配置されている。
【0062】
リフト機構78は、カム76の回転に伴って、第2の載置部16bをヘッド部20に向けて押し上げることにより、第2の載置部16bを第1の載置部16aに対して傾動させるための機構である。リフト機構78は、回転部材80と、トーションバネ82(第1の付勢部材の一例)と、リフト部材84とを有している。
【0063】
回転部材80は、第1の端部86と、第1の端部86と反対側の第2の端部88と、第1の端部86と第2の端部88との間に配置された回転軸90とを有している。第1の端部86には、カム76の外周面に向けて突出する突部92が形成されている。第2の端部88は、リフト部材84の下端部と係合されている。回転軸90は、筐体4の内部に配置された軸受部(図示せず)に回転可能に支持されている。これにより、回転部材80は、回転軸90を中心に回転可能である。
【0064】
トーションバネ82は、回転部材80の回転軸90の外周面に配置されている。トーションバネ82の一端部は、回転部材80の第1の端部86に係合され、トーションバネ82の他端部は、筐体4の内部に配置された係合部(図示せず)に係合されている。トーションバネ82は、回転部材80の突部92(すなわち、第1の端部86)をカム76の外周面に押し当てるように、回転部材80を所定の回転方向(
図4において矢印で示す方向)に付勢する。
【0065】
リフト部材84は、回転部材80の第2の端部88とホルダ16の第2の載置部16bとの間に配置されている。具体的には、リフト部材84は、第2の載置部16bの下方に配置され、リフト部材84の上端部は、第2の載置部16bの下面に接触している。また、リフト部材84の下端部は、回転部材80の第2の端部88と係合している。
【0066】
ここで、昇降機構34の動作について説明する。印刷開始前にユーザが指10をホルダ16に載置した時点では、ホルダ16は、ベース部材40に設けられたラッチ(図示せず)により、上限位置と下限位置との間の待機位置に保持されている。この状態から、ユーザが指10でホルダ16をコイルバネ42の付勢力に抗して待機位置から下限位置まで押し下げることにより、ベース部材40のラッチが解除される。これにより、ホルダ16は、コイルバネ42の付勢力を受けて、ベース部材40とともに下限位置から上限位置に向けて上昇する。そして、指10の第1関節付近が押さえカバー18(
図1参照)に接触した時点で、ホルダ16の上昇が停止する。これにより、ホルダ16に載置した指は、ホルダ16と押さえカバー18とで上下から挟持される。
【0067】
なお、上述したように、昇降機構34のベース部材40と傾動機構36の変換機構54とは、シャフト52を介して互いに連結されているので、ベース部材40が昇降するのに伴って、変換機構54がシャフト52とともに昇降するようになる。この時、シャフト52は一対の支持プレート46a,46bの各ガイド孔60a,60bに沿って昇降し、小径ギア66a,66bの各々はシャフト52とともに昇降する。小径ギア66aの昇降動作は、リンク62aを介して大径ギア64aの前後方向の移動動作に変換され、小径ギア66bの昇降動作は、リンク62bを介して大径ギア64bの前後方向の移動動作に変換される。
【0068】
すなわち、シャフト52が一対の支持プレート46a,46bの各ガイド孔60a,60bに沿って昇降するのに伴って、大径ギア64aの回転軸72aが支持プレート46aのガイド孔58aに沿って前後方向に例えば5~10mm程度移動し、且つ、大径ギア64bの回転軸72bが支持プレート46bのガイド孔58bに沿って前後方向に例えば5~10mm程度移動する。これにより、一対のダイヤル48a,48bの各々は、昇降機構34によるホルダ16の昇降動作に連動して、前後方向に移動する。
【0069】
このようにして、ホルダ16に載置された指10の爪12のヘッド部20に対する高さ位置が、ヘッド部20のノズル面28から所定の距離だけ離れた目標高さ位置に調整される。なお、目標高さ位置を変更することにより、爪12に印刷される色の濃さを調節することができる。
【0070】
しかしながら、ユーザ毎に爪12の形状や大きさ等に個人差があるため、この時点では、指10の爪12の上面がヘッド部20のノズル面28に対して略平行になっていない場合がある。そのため、ユーザは、上述したように爪12の高さ位置を調整した後に、後述するように傾動機構36を手動で操作することにより、指10の爪12の上面がヘッド部20のノズル面28に対して略平行になるように、ホルダ16に載置された指10の爪12の傾きを調整する。
【0071】
次に、傾動機構36の動作について説明する。例えば、ユーザが右手の指10をホルダ16に載置している場合には、左手でダイヤル48aを所定の方向(
図5において矢印で示す方向)に回転操作する。なお、ユーザが左手の指10をホルダ16に載置している場合には、右手でダイヤル48bを所定の方向(
図5において矢印で示す方向)に回転操作すればよい。本実施の形態では、ダイヤル48a,48bの各回転方向を、上記所定の方向(
図5において矢印で示す方向)としたが、これに限定されず、上記所定の方向とは反対方向としてもよい。以下、ユーザが左手でダイヤル48aを所定の方向に回転操作する場合について説明する。
【0072】
ダイヤル48aが所定の方向に回転操作されると、ダイヤル48aの回転が大径ギア64a及び小径ギア66aを介してシャフト52に伝達されることにより、シャフト52が所定の方向(
図5において矢印で示す方向)に回転する。すなわち、シャフト52は、ダイヤル48aの回転操作に連動して、所定の方向に回転する。この時、シャフト52の回転が小径ギア66b及び大径ギア64bを介してダイヤル48bに伝達されることにより、ダイヤル48bが所定の方向(
図5において矢印で示す方向)に回転するようになる。
【0073】
なお、ダイヤル48bが所定の方向に回転操作された場合には、ダイヤル48bの回転が大径ギア64b及び小径ギア66bを介してシャフト52に伝達されることにより、シャフト52が所定の方向(
図5において矢印で示す方向)に回転する。すなわち、シャフト52は、ダイヤル48bの回転操作に連動して、所定の方向に回転する。
【0074】
シャフト52が所定の方向に回転するのに伴って、カム76がシャフト52と一体的に回転する。これにより、回転部材80の突部92は、トーションバネ82の付勢力によって、カム76の外周面に押し当てられた状態を保ちながら、カム76に対してカム76の外周面上を周方向に沿ってスライドする。その結果、突部92とカム76の外周面との接触点の位置が、カム76の回転中心に徐々に近付くようになる。すなわち、カム76の回転角度の変化に応じて、回転部材80は、突部92が下降し且つ第2の端部88が上昇する方向(
図6において矢印で示す方向)に回転するようになる。
【0075】
これにより、
図6に示すように、リフト部材84は、回転部材80の第2の端部88により押し上げられることにより、第2の載置部16bをヘッド部20に向けて押し上げる。その結果、第2の載置部16bが第1の載置部16aに対して傾動して、ホルダ16に載置した指10の爪12の傾きが調整される。この時、ユーザは、ダイヤル48aの回転量を微調節することにより、爪12の傾きを微調節することができる。
【0076】
なお、
図4に示すように、回転部材80の回転軸90と第2の端部88の先端(すなわち、リフト部材84と係合する部分)との間の距離Bを、回転部材80の回転軸90と突部92との間の距離Aよりも長くするのが好ましい。これにより、カム76の外径を小さくした場合であっても、回転部材80が回転した際における、回転部材80の第2の端部88の上昇量を、回転部材80の突部92の下降量よりも大きくすることができる。
【0077】
また、
図4に示すように、回転部材80の回転軸90と第1の端部86の先端との間の距離Cを、上記距離Bよりも長くするのが好ましい。これにより、指10をホルダ16に載置した際にトーションバネ82に加わる荷重を、指10の保持力(例えば、約15N以上)よりも小さくすることができる。
【0078】
[1-3.効果]
本実施の形態では、昇降機構34及び傾動機構36の各々はユーザにより手動で操作される構成であるので、印刷装置2を軽量化することができる。また、昇降機構34と傾動機構36の変換機構54とは、シャフト52を介して互いに連結されているので、傾動機構36の変換機構54は、昇降機構34によるホルダ16の昇降動作に連動して昇降するようになる。これにより、昇降機構34及び傾動機構36の配置をコンパクトにすることができ、印刷装置2を小型化することができる。
【0079】
(実施の形態2)
図7~
図10を参照しながら、実施の形態2に係る印刷装置2Aの構成について説明する。
図7は、実施の形態2に係る印刷装置2Aの内部構造を示す斜視図である。
図8は、実施の形態2に係る調整ユニット8Aを抜き出して示す斜視図である。
図9及び
図10は、実施の形態2に係る傾動機構36Aの構成を説明するための斜視図である。なお、以下に示す各実施の形態では、上記実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0080】
実施の形態2に係る印刷装置2Aでは、調整ユニット8Aの傾動機構36Aの構成が上記実施の形態1と異なっている。具体的には、
図7~
図10に示すように、傾動機構36Aは、一対の支持プレート46Aa,46Abと、一対のダイヤル48a,48bと、一対のギア機構50Aa,50Abと、シャフト94と、フリクションユニット96と、シャフト52Aと、変換機構54とを有している。
【0081】
支持プレート46Aaは、ダイヤル48a及びギア機構50Aaを回転可能に支持するためのものであり、ベースプレート44の上面に立設されている。また、支持プレート46Abは、ダイヤル48b及びギア機構50Abを回転可能に支持するためのものであり、ベースプレート44の上面に立設されている。一対の支持プレート46Aa,46Abの各々には、上記実施の形態1で説明したガイド孔は形成されていない。すなわち、本実施の形態では、一対のダイヤル48a,48bの各々は、昇降機構34によるホルダ16の昇降動作に連動して、筐体4(
図1参照)に対して前後方向に移動しないように構成されている。なお、説明の都合上、
図9及び
図10では、一対の支持プレート46Aa,46Abの図示を省略してある。
【0082】
ギア機構50Aaは、大径ギア98aと、中径ギア100aと、小径ギア102aと、リンク104とを含んでいる。なお、大径ギア98aと小径ギア102aとを入れ替えることにより、大径ギア98aを小径ギア、小径ギア102aを大径ギアとしてもよい。また、大径ギア98a、中径ギア100a及び小径ギア102aの各々のギア歯の数としては、ダイヤル48aの操作トルクとカム76の負荷トルクとの関係、及び、ダイヤル48aの回転角度とカム76の回転角度との関係から、最適な値が選択される。
【0083】
大径ギア98aは、ダイヤル48aの裏面に対向して配置されている。大径ギア98aの回転軸106aは、ダイヤル48aの裏面に固定されているとともに、支持プレート46Aaに回転可能に支持されている。
【0084】
中径ギア100aは、大径ギア98aの下方に配置され、大径ギア98aと噛み合わされている。中径ギア100aのギア歯の数は、大径ギア98aのギア歯の数よりも少ない。中径ギア100aの回転軸108aは、支持プレート46Aaに回転可能に支持されている。
【0085】
小径ギア102aは、中径ギア100aの下方に配置され、中径ギア100aと噛み合わされている。小径ギア102aのギア歯の数は、中径ギア100aのギア歯の数よりも少ない。小径ギア102aの回転軸110aは、支持プレート46Aaに回転可能に支持されている。
【0086】
リンク104は、ギア機構50Aaの大径ギア98aとフリクションユニット96の大径ギア114(後述する)とを互いに連結するためのものである。
【0087】
ギア機構50Abは、大径ギア98bと、中径ギア100bと、小径ギア102bとを含んでいる。なお、大径ギア98bと小径ギア102bとを入れ替えることにより、大径ギア98bを小径ギア、小径ギア102bを大径ギアとしてもよい。また、大径ギア98b、中径ギア100b及び小径ギア102bの各々のギア歯の数としては、ダイヤル48bの操作トルクとカム76の負荷トルクとの関係、及び、ダイヤル48bの回転角度とカム76の回転角度との関係から、最適な値が選択される。
【0088】
大径ギア98bは、ダイヤル48bの裏面に対向して配置されている。大径ギア98bの回転軸106bは、ダイヤル48bの裏面に固定されているとともに、支持プレート46Abに回転可能に支持されている。
【0089】
中径ギア100bは、大径ギア98bの下方に配置され、大径ギア98bと噛み合わされている。中径ギア100bのギア歯の数は、大径ギア98bのギア歯の数よりも少ない。中径ギア100bの回転軸108bは、支持プレート46Abに回転可能に支持されている。
【0090】
小径ギア102bは、中径ギア100bの下方に配置され、中径ギア100bと噛み合わされている。小径ギア102bのギア歯の数は、中径ギア100bのギア歯の数よりも少ない。小径ギア102bの回転軸110bは、支持プレート46Abに回転可能に支持されている。
【0091】
シャフト94は、左右方向に沿って延在している。シャフト94の長手方向における一端部は、ギア機構50Aaの小径ギア102aの回転軸110aに固定されている。また、シャフト94の長手方向における他端部は、ギア機構50Abの小径ギア102bの回転軸110bに固定されている。これにより、シャフト94は、小径ギア102a,102bの各々と一体的に回転可能である。
【0092】
フリクションユニット96は、昇降機構34によるホルダ16の昇降動作に連動して、上下方向に昇降するユニットである。フリクションユニット96は、支持カバー112と、大径ギア114と、中径ギア116と、小径ギア118とを有している。なお、大径ギア114と小径ギア118とを入れ替えることにより、大径ギア114を小径ギア、小径ギア118を大径ギアとしてもよい。また、大径ギア114、中径ギア116及び小径ギア118の各々のギア歯の数としては、ダイヤル48aの操作トルクとカム76の負荷トルクとの関係、及び、ダイヤル48aの回転角度とカム76の回転角度との関係から、最適な値が選択される。
【0093】
支持カバー112は、筐体4の内部において、上下方向に沿って昇降可能に支持されている。なお、説明の都合上、
図9及び
図10では、支持カバー112の図示を省略してある。
【0094】
大径ギア114は、ギア機構50Aaの大径ギア98aと噛み合わされている。大径ギア114の回転軸120は、支持カバー112に回転可能に支持されている。
【0095】
中径ギア116は、大径ギア114の下方に配置され、大径ギア114と噛み合わされている。中径ギア116のギア歯の数は、大径ギア114のギア歯の数よりも少ない。中径ギア116の回転軸122は、支持カバー112に回転可能に支持されている。
【0096】
小径ギア118は、中径ギア116の下方に配置され、中径ギア116と噛み合わされている。小径ギア118のギア歯の数は、中径ギア116のギア歯の数よりも少ない。小径ギア118の回転軸124は、支持カバー112に回転可能に支持されている。
【0097】
シャフト52Aは、左右方向に沿って延在している。シャフト52Aの長手方向における一端部は、フリクションユニット96の小径ギア118の回転軸124に固定されている。これにより、シャフト52Aは、フリクションユニット96の小径ギア118と一体的に回転可能である。また、シャフト52Aの長手方向における他端部は、昇降機構34のベース部材40を貫通してベース部材40に回転可能に支持されている。すなわち、昇降機構34のベース部材40と傾動機構36Aの変換機構54とは、シャフト52Aを介して互いに連結されている。これにより、昇降機構34によるホルダ16の昇降動作に連動して、支持カバー112、大径ギア114、中径ギア116及び小径ギア118は、一体的に上下方向に昇降する。この時、リンク104によって、ギア機構50Aaの大径ギア98aとフリクションユニット96の大径ギア114とは、互いに噛み合わされた状態を維持するようになる。
【0098】
次に、傾動機構36Aの動作について説明する。例えば、ユーザが右手の指10(
図1参照)をホルダ16に載置している場合には、左手でダイヤル48aを所定の方向に回転操作する。なお、ユーザが左手の指10をホルダ16に載置している場合には、右手でダイヤル48bを所定の方向に回転操作すればよい。本実施の形態では、ダイヤル48a,48bの各回転方向を上記所定の方向としたが、これに限定されず、上記所定の方向とは反対方向としてもよい。以下、ユーザが左手でダイヤル48aを所定の方向に回転操作する場合について説明する。
【0099】
ダイヤル48aが所定の方向に回転操作されると、ダイヤル48aの回転がギア機構50Aaの大径ギア98a、中径ギア100a及び小径ギア102aを介してシャフト94に伝達されることにより、シャフト94が所定の方向に回転する。この時、シャフト94の回転が、ギア機構50Abの小径ギア102b、中径ギア100b及び大径ギア98bを介してダイヤル48bに伝達されることにより、ダイヤル48bが所定の方向に回転するようになる。
【0100】
また、ギア機構50Aaの大径ギア98aの回転は、フリクションユニット96の大径ギア114、中径ギア116及び小径ギア118を介してシャフト52Aに伝達されることにより、シャフト52Aが所定の方向に回転する。これにより、上記実施の形態1と同様に、第2の載置部16bが第1の載置部16aに対して傾動して、ホルダ16に載置した指10の爪12の傾きが調整される。
【0101】
したがって、本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0102】
(実施の形態3)
図11及び
図12を参照しながら、実施の形態3に係る印刷装置2Bの構成について説明する。
図11は、実施の形態3に係る印刷装置2Bの内部構造を示す斜視図である。
図12は、実施の形態3に係る調整ユニット8Bを抜き出して示す斜視図である。
【0103】
実施の形態3に係る印刷装置2Bでは、調整ユニット8Bの傾動機構36Bの構成が上記実施の形態1と異なっている。具体的には、
図11及び
図12に示すように、傾動機構36Bは、一対のガイドポスト126a,126bと、一対のダイヤル48a,48bと、シャフト52と、変換機構54とを有している。
【0104】
一対のガイドポスト126a,126bは、筐体4(
図1参照)の内部に配置され、ベースプレート44の上面に立設されている。一対のガイドポスト126a,126bは、左右方向において互いに対向するように配置されている。一対のガイドポスト126a,126bにはそれぞれ、上下方向に沿って延在するガイド用スリット128a,128bが形成されている。
【0105】
シャフト52は、左右方向に沿って延在している。シャフト52の長手方向における一端部は、ガイドポスト126aのガイド用スリット128aに移動可能に挿通され、且つ、ダイヤル48aの裏面に固定されている。また、シャフト52の長手方向における他端部は、ガイドポスト126bのガイド用スリット128bに移動可能に挿通され、且つ、ダイヤル48bの裏面に固定されている。また、シャフト52は、昇降機構34のベース部材40を貫通している。すなわち、昇降機構34のベース部材40と傾動機構36Bの変換機構54とは、シャフト52を介して互いに連結されている。
【0106】
上述したように、昇降機構34のベース部材40と傾動機構36Bの変換機構54とは、シャフト52を介して互いに連結されているので、ベース部材40が昇降するのに伴って、変換機構54がシャフト52とともに昇降するようになる。また、シャフト52の長手方向における両端部にはそれぞれ一対のダイヤル48a,48bが直接固定されているので、ベース部材40が昇降するのに伴って、一対のダイヤル48a,48bがシャフト52とともに昇降するようになる。
【0107】
したがって、本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0108】
(変形例)
以上、本発明の実施の形態に係る印刷装置について説明したが、本発明は、上記各実施の形態に限定されるものではない。
【0109】
例えば、上記各実施の形態では、傾動機構36(36A,36B)は一対のダイヤル48a,48bを有するようにしたが、これに限定されず、一対のダイヤル48a,48bのうち一方のみを有するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明に係る印刷装置は、例えばユーザの指の爪に印刷を施すためのネイルプリンタ等として適用することができる。
【符号の説明】
【0111】
2,2A,2B 印刷装置
4 筐体
6 印刷ユニット
8,8A,8B 調整ユニット
10 指
12 爪
14 開口部
16 ホルダ
16a 第1の載置部
16b 第2の載置部
18 押さえカバー
19,72a,72b,74a,74b,90,106a,106b,108a,108b,110a,110b,120,122,124 回転軸
20 ヘッド部
22 駆動機構
24 キャリッジ
26 インクタンク
28 ノズル面
30 ミラー
32 カメラユニット
34 昇降機構
36,36A,36B 傾動機構
38 ガイド部材
40 ベース部材
42 コイルバネ
44 ベースプレート
46a,46b,46Aa,46Ab 支持プレート
48a,48b ダイヤル
50a,50b,50Aa,50Ab ギア機構
52,52A,94 シャフト
54 変換機構
58a,58b,60a,60b ガイド孔
62a,62b,104 リンク
64a,64b,98a,98b,114 大径ギア
66a,66b,102a,102b,118 小径ギア
68a,68b 挿通孔
70a,70b 軸受部
76 カム
78 リフト機構
80 回転部材
82 トーションバネ
84 リフト部材
86 第1の端部
88 第2の端部
92 突部
96 フリクションユニット
100a,100b,116 中径ギア
112 支持カバー
126a,126b ガイドポスト
128a,128b ガイド用スリット