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特開2025-25322ユニットクーラおよびクーリングユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025322
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】ユニットクーラおよびクーリングユニット
(51)【国際特許分類】
   F25D 21/04 20060101AFI20250214BHJP
   F24F 13/22 20060101ALI20250214BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20250214BHJP
   F25D 21/14 20060101ALI20250214BHJP
   F25D 17/06 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
F25D21/04 N
F24F13/22 222
F24F5/00 Z
F24F1/02 371B
F25D21/14 A
F25D17/06 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129989
(22)【出願日】2023-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】日本キヤリア株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石原 茂樹
【テーマコード(参考)】
3L048
3L050
3L054
3L345
【Fターム(参考)】
3L048AA09
3L048BA01
3L048CA01
3L048CB10
3L048CD01
3L048DA02
3L048FA01
3L048GA02
3L048GA03
3L050BD03
3L054BA04
3L054BB03
3L054BF02
3L345AA06
3L345AA20
3L345CC01
3L345DD21
3L345DD62
3L345DD66
3L345KK02
3L345KK03
3L345KK04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ユニットクーラから吹き出す冷気の方向を変更するとともに、除霜運転時に生じるドレン水が、ユニットクーラから貯蔵庫内に滴下することを抑制することができるユニットクーラおよびクーリングユニットを提供することである。
【解決手段】実施形態のユニットクーラ4は、蒸発器41と、蒸発器に送風するクーリングファン42と、クーリングファンの運転により空気を吸い込む吸込口40aと、クーリングファンの運転により空気を吹き出す吹出口40bと、を備える筐体40と、複数の通風孔100aを有するファンガード100bと風向を変更するルーバー101と除霜ヒータ47とを備え、吹出口の下流側に設けられた吹出部材100と、除霜ヒータの発熱によって吹出部材内に生じるドレン水を筐体に導く排水路と、を有する。ルーバーは、吹出部材内に設けられ、ファンガードとクーリングファンの間に位置している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発器とクーリングファンとを収納し、前記クーリングファンの運転により空気を吸い込む吸込口と、前記クーリングファンの運転により空気を吹き出す吹出口と、を備える筐体と、
前記筐体の前記吹出口の下流側に設けられ、複数の通風孔を有するファンガードを備えた吹出部材と、
前記吹出部材内で、前記ファンガードと前記クーリングファンの間に設けられ、風向を変更するルーバーと、
前記吹出部材を加熱する除霜ヒータと、
前記除霜ヒータの発熱によって前記吹出部材内に生じるドレン水を前記筐体に導く排水路と、を有することを特徴とするユニットクーラ。
【請求項2】
前記ルーバーは、前記ファンガードの内側に固定して設けられ、前記ファンガードに固定される一端よりも固定されていない他端の方が下方に位置するように傾斜して設けられることを特徴とする請求項1に記載のユニットクーラ。
【請求項3】
前記筐体は、前記蒸発器と前記クーリングファンの下方に位置する底板を備え、
前記排水路は、前記吹出部材と前記吹出口との間、前記底板と前記吹出口との間に設けられることを特徴とする請求項1に記載のユニットクーラ。
【請求項4】
前記排水路は、前記底板の上方向に位置していることを特徴とする請求項3に記載のユニットクーラ。
【請求項5】
前記筐体は、前記蒸発器と前記クーリングファンの下方に位置し、前記除霜ヒータの発熱によって前記吹出部材内に生じる前記ドレン水を受ける底板を備え、
前記吹出部材は、その端部を前記吹出口の下流側に隙間を有して固定され、前記底板は、その端部を前記吹出口の下流側に隙間を有して固定され、
前記吹出部材の前記端部は、前記底板の前記端部よりも前記吹出口の上流側に位置していることを特徴とする請求項1に記載のユニットクーラ。
【請求項6】
前記ファンガードは、パンチングメタルであることを特徴とする請求項1に記載のユニットクーラ。
【請求項7】
貯蔵物が貯蔵される貯蔵庫内に設置されて、蒸発器とクーリングファンとを収納し、前記クーリングファンの運転により空気を吸い込む吸込口と、前記クーリングファンの運転により空気を吹き出す吹出口と、前記蒸発器と前記クーリングファンの下方に位置する底板と、を備える筐体と、
前記筐体の前記吹出口の下流側に設けられ、複数の通風孔を有するファンガードを備えた吹出部材と、
前記ファンガードの内側に固定され、前記ファンガードに固定される一端よりも固定されていない他端の方が下方に位置するように傾斜して設けられたルーバーと、
前記吹出部材を加熱する除霜ヒータと、
前記除霜ヒータの発熱によって前記吹出部材内に生じるドレン水を前記底板に導く排水路と、
前記底板に設けられ、前記底板に集められたドレン水を前記貯蔵庫外へ排水するドレン排水管を接続するためのドレン排水口と、を備えることを特徴とするユニットクーラ。
【請求項8】
前記底板は、前記ドレン水を前記貯蔵庫外へ排水するドレン排水管を接続するためのドレン排水口を備えることを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか一項に記載のユニットクーラ。
【請求項9】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のユニットクーラと、冷媒を圧縮する圧縮機と外気と冷媒とを熱交換する凝縮器とを備えた冷凍機と、前記ユニットクーラと前記冷凍機とをつなぎ、冷媒を流通させる接続配管と、を備えるクーリングユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ユニットクーラおよびクーリングユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
貯蔵庫外に設置される冷凍機と、この冷凍機と接続配管を介して接続されて冷凍サイクル回路を形成し、貯蔵庫内に設置されてその庫内を例えば-30℃~-5℃に冷却するユニットクーラが知られている。ユニットクーラは、冷凍サイクル回路を構成する蒸発器を備える。クーリングユニットが運転されると、貯蔵庫内の空気に含まれる水蒸気が、徐々に霜となって蒸発器に付着する。これにより、蒸発器の熱交換効率が低下し、貯蔵庫内を十分に冷却することができなくなるため、適宜、除霜ヒータの発熱により蒸発器に付着した霜を溶かして除去する除霜運転が行われる。
このようなユニットクーラは、細長い貯蔵庫の天井面に設置された場合、吹き出した空気をユニットクーラの設置側とは反対側まで送ることが難しい。また、ユニットクーラから吹き出された空気が、ショートサーキットすることもある。
【0003】
そこで、特許文献1では、貯蔵庫の天井面に設置されたユニットクーラの吹出口に、その下端部付近から前上がりに傾斜して前方に突出する空気案内板が設けられている。このようなユニットクーラでは、吹出口から空気が上方向に吹き出されるため、冷気を貯蔵庫全体に行き渡らせることができる。しかしながら、空気案内板がユニットクーラ本体から大きく貯蔵庫内に突出しているため、その外壁、すなわち貯蔵庫に面した空気案内板表面に結露した水が霜となって、さらに冷やされて氷結し、氷が大きく成長してしまうという問題がある。
また、特許文献2のように、内部に熱交換器およびファンを備えた空気調和機の室外機において、安全のために、使用者の指が回転物であるファンに触れないように、吹出口に格子状のファンガードを備え、さらにその前方となる下流側に風向を上向き、または下向きに変更する風向変更板、いわゆるルーバーを備えることが知られている。このような空気調和機の室外機は、屋外に設置されるため、一般的に吹出口付近が凍結することはなく、万が一、吹出口付近が凍結したとしても氷が溶けて生じるドレン水は屋外に落下するため、排水に関する問題は生じない。これに対して、貯蔵庫内の高い位置に据え付けられるユニットクーラでは、結露水による霜や氷が溶けて生じたドレン水の滴下が、貯蔵庫内に保管されている貯蔵品を棄損してしまう恐れがあり、その商品性において、これらの水の処理が重要な課題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11―257826号公報
【特許文献2】特開平9-329346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、ユニットクーラから吹き出す冷気の方向を変更するとともに、除霜運転時に生じるドレン水が、ユニットクーラから貯蔵庫内に滴下することを抑制することができるユニットクーラおよびクーリングユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のユニットクーラは、蒸発器と、蒸発器に送風するクーリングファンと、クーリングファンの運転により空気を吸い込む吸込口と、クーリングファンの運転により空気を吹き出す吹出口と、を備える筐体と、複数の通風孔を有するファンガードと風向を変更するルーバーと除霜ヒータとを備え、吹出口の下流側に設けられた吹出部材と、除霜ヒータの発熱によって吹出部材内に生じるドレン水を筐体に導く排水路と、を有する。ルーバーは、吹出部材内に設けられ、ファンガードとクーリングファンの間に位置している。さらに、他の実施形態において、上述のユニットクーラを備えるクーリングユニットを開示する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態のユニットクーラを用いた貯蔵庫冷却システムの概略図。
図2】本実施形態におけるユニットクーラの断面を示す斜視図。
図3】本実施形態におけるユニットクーラの吹き出し部分を拡大した断面図。
図4】本実施形態におけるファンガードの図2におけるF―F断面図。
図5】本実施形態の貯蔵庫冷却システムの制御に関するブロック図。
図6】本実施形態におけるユニットクーラの制御フローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態について、図1図6を参照して説明する。
【0009】
(全体構成)
図1において、貯蔵庫冷却システム1は、食品等の貯蔵物A~貯蔵物Cが貯蔵される貯蔵庫2と、クーリングユニット10と、から構成される。
【0010】
貯蔵庫2は、冷凍/冷蔵室となる部屋であって、その壁面は、外郭2aと、断熱材2bと、内郭2cとから構成され、外郭2aおよび内郭2cは、例えばステンレス等の金属板によって形成される。貯蔵庫2は、発泡材等で形成された断熱材2bが、外郭2aと内郭2cによって挟み込まれたサンドイッチ構造となっている。
【0011】
この貯蔵庫2の一部には、扉3が設けられており、この扉3から使用者が貯蔵庫2内に出入りし、貯蔵庫2内に貯蔵物A~貯蔵物Cを搬入したり、冷却された貯蔵物A~貯蔵物Cを搬出したりすることができる。
【0012】
クーリングユニット10は、貯蔵庫2内に設置され、蒸発器41を備えるユニットクーラ4と、一般的に貯蔵庫2外の屋外に設置され、圧縮機51や凝縮器52を備える冷凍機5(コンデンシングユニット)と、これらをつなぐ接続配管6と、から構成される。
【0013】
(ユニットクーラ)
続いて、本実施形態のユニットクーラ4の構造を説明する。
【0014】
ユニットクーラ4は、その外郭となる板金で形成された横長箱状の筐体40を有している。
【0015】
筐体40は、貯蔵庫2の天井となる天井面2dに吊り下げ具21によって吊り下げられて設置されている。筐体40の両側面には、それぞれ吸込口40aと吹出口40bとなる開口が形成されている。筐体40は、その一端側(図1中、右側面側)から他端側(図1中、左側面側)に向かって順に吸込口40a、蒸発器41、クーリングファン42、吹出口40bが配置、収容される。さらに、筐体40は、蒸発器41とクーリングファン42の下方に位置し、その底面を形成する底板43を備えている。
【0016】
吸込口40aの開口は、どのような形状でもよいが、蒸発器41が空気の流入方向からみて四角形状をなしていることから、蒸発器41と同じ四角形状であることが好ましい。
【0017】
蒸発器41は、横長の直方体形状で、冷媒が流れる蛇行状の銅パイプ41pとその銅パイプ41pが貫通する複数のアルミ製のフィン41fから構成された、いわゆるフィンアンドチューブ型の熱交換器である(図2参照)。
【0018】
ファンモータ42mによって回転駆動されるクーリングファン42は、除霜運転時の高温に耐える金属製のプロペラファンであって、貯蔵庫2内の空気を筐体40の一端に設けられた吸込口40aから吸い込む。吸込口40aから吸い込まれた空気は、蒸発器41を通り抜け、筐体40の他端に設けられた吹出口40bから貯蔵庫2内に吹き出される。この空気の流れを図1中に破線矢印で示す。クーリングファン42は、いくつ設置してもよく、ユニットクーラ4の能力が大きければ、2個以上を横方向に併設してもよい。
【0019】
また、クーリングファン42の運転によって生じる風が通過する吸込口40a付近に、貯蔵庫2内の空気温度を検知するための庫内温度センサ48が設けられている。
【0020】
吹出口40bの開口は、どのような形状でもよいが、クーリングファン42が空気の流入方向からみて円形状をなしていることから、クーリングファン42よりも少し直径の大きな円形状であることが好ましい。吹出口40bは、一般にファンガードやベルマウスとも呼ばれる。
【0021】
図2に示すように、ユニットクーラ4には、筐体40の吹出口40bを覆うように吹出部材100が設けられている。
【0022】
吹出部材100は、筐体40と同様に板金で一体成形された箱体であり、一つの面が開口している。開口した一面が、筐体40の吹出口40bに接続され、吹出部材100が吹出口40bを覆っている。開口した一面と向かい合う面は、複数の通風孔100aを有するファンガード100bで閉塞されている。すなわち、吹出部材100は、ファンガード100bを底面としたとき、ファンガード100bの外辺から鉛直上向き方向へ延びる縁部100c、すなわち図1に示す吹出部材100の位置における上下面と両側面の4面を有する箱体をなしている。各縁部100cは、その角部が互いにスポット溶接、もしくは螺子によって固定されている。
【0023】
吹出部材100内のファンガード100bの上流側、すなわちクーリングファン42側には、風向を変更するための複数のルーバー101が設けられている。
各ルーバー101は、筐体40や吹出部材100と同様に板金で形成され、横方向に延びる長方形状をなしている。複数のルーバー101は、ファンガード100bとクーリングファン42との間に縦方向に等間隔に配置され、ファンガード100bの面に沿うように折り曲げられた部分の両端および中央部がファンガード100bに螺子等の締結部材102によって固定されている(図3、4参照)。このとき、螺子等の締結部材102は、ファンガード100bの上流側と下流側のどちらの方向から挿入してもよい。また、ルーバー101の数や形状は、ユニットクーラ4の能力に応じて適宜変更してもよい。
【0024】
各ルーバー101は、側面形状で逆「へ」の字状となっており、ファンガード100bに固定される短辺側の一端よりも固定されない長辺側の他端の方が、下方に位置するように傾斜して取り付けられている。すなわち、ルーバー101は、ユニットクーラ4から吹き出された空気の風向が上向きになるように設置されている。これにより、クーリングファン42の送風によって、筐体40の吹出口40bから吹き出される空気は、傾斜して設けられたルーバー101に沿って流れ、ファンガード100bの通風孔100aから貯蔵庫2内へ上向きに吹き出される。この空気の流れを図2中に破線矢印で示す。
【0025】
図2図4に示すように、除霜ヒータ47は、ファンガード100bの上流側に、ファンガード100bの外周を囲う形で、吹出部材100の内周面、具体的にはファンガード100bの板金に密着して取り付けられている。後述する除霜運転時には、この除霜ヒータ47が発熱して、ファンガード100bの外周からファンガード100b全体および縁部100cへと熱が伝わる。なお、除霜ヒータ47は、吹出部材100に加え、蒸発器41の周辺、筐体40の底板43等の結露水が氷結しやすい場所に設けられている(図2参照)。なお、除霜ヒータ47は、その発熱がファンガード100bの板金に円滑に伝わる位置であれば、吹出部材100の上下側面の内周面に取り付けてもよい。
【0026】
筐体40の底面となる板金製の底板43は、筐体40の天井板および両側板とは別体で形成される。底板43は、蒸発器41で生じたドレン水を受けるドレンパンの役割を担っている。底板43は、筐体40に対して開閉可能であり、筐体40の側面にヒンジ構造で取り付け固定されている。これにより、使用者が底板43を開き、ドレン水の流れや滞留に伴ない、その上面に蓄積した塵埃等の汚れを清掃することができる。
【0027】
底板43には、ドレン排水口43aが設けられ、底板43は、ドレン排水口43a方向へ向けて徐々に下がるようにして緩やかに傾斜している(図1参照)。本実施形態では、底板43の中央部にドレン排水口43aが設けられているが、底板43がドレン排水口43a方向へ向けて徐々に下がるようにして緩やかに傾斜する配置であれば、ドレン排水口43aを底板43のどこに設けてもよい。
【0028】
ドレン排水口43aには、ユニットクーラ4の据付け時に可撓性のある合成樹脂製のドレン排水管44の一端が接続される。他端は貯蔵庫2外へ延出され、底板43に集められたドレン水を貯蔵庫2外へ排水する。
【0029】
吹出部材100と吹出口40bとの接合部について、図3を参照して説明する。
【0030】
上述した吹出部材100の4側面をなす縁部100cは、その端部に外向きに折り曲げられたフランジ部100dを有する。吹出部材100のフランジ部100dは、吹出口40bの周縁部分(筐体40)に螺子等の締結部材103によって締結固定される。そのため、吹出部材100の開口は、吹出口40bの面よりも少し小さめの大きさで、かつ吹出口40bの開口を完全に覆う大きさに形成されている。フランジ部100dの筐体40への固定に際し、フランジ部100dと筐体40の外壁とが水平方向において重なる固定部分には、微小な隙間Dが設けられている。
【0031】
そして、吹出部材100のフランジ部100dに下方から被さるようにして、底板43が螺子等の締結部材49を用いて筐体40、より具体的には吹出口40bの周縁部分に締結固定される。このとき、底板43と筐体40の外壁とが重なる固定部分には、隙間Mが設けられている。隙間Mは、上述した隙間Dよりも大きい。すなわち、底板43は、底板43と筐体40との間にフランジ部100dを挟むようにして締結固定される。隙間Mはクーリングファン42の上流側と下流側を連通する通路となるため、クーリングファン42による送風が、この通路を介してショートサーキットしないようにできるだけ小さい寸法とすることが望ましい。上述した隙間Dと隙間Mの両方で、吹出口40bから底板43にかけて排水路104が形成される。排水路104については、詳細を後述する。
【0032】
図3では、吹出部材100と筐体40と底板43とを、クーリングファン42の上流側から筐体40、吹出部材100、底板43の順に配置し、締結固定している。しかし、上述した3つの部品の配置は、これにかかわらず、吹出部材100のフランジ部100dと筐体40とが重なる固定部分の隙間Dが、底板43の上方向に位置していればよい。
【0033】
また、図3では、吹出部材100のフランジ部100dと筐体40、底板43と筐体40とを締結固定しているが、吹出部材100のフランジ部100dと底板43、底板43と筐体40とを締結固定してもよい。上述したように、吹出部材100のフランジ部100dと筐体40とが重なる固定部分の隙間Dが、底板43の上方向に位置していれば、どの部品同士を締結固定してもよい。このとき、螺子等の締結部材103および49は、クーリングファン42の上流側と下流側のどちらの方向から挿入してもよい。
【0034】
(冷凍機)
図1に示すように、ユニットクーラ4と接続配管6によって接続される冷凍機5は、その外郭となる筐体50を有する。冷凍機5は、一般的に屋外に設置される。
【0035】
筐体50内には、冷媒を圧縮する圧縮機51と、屋外の空気、通常は外気と冷媒とを熱交換する凝縮器52と、凝縮器用ファン53と、後述するコントローラ7から指示を受ける冷凍機制御器54と、が収容されている。
【0036】
冷凍機5には、接続配管6の一端が接続される接続部が設けられている。接続部は、液側接続配管6aの一端が接続される液側接続部61aと、ガス側接続配管6bの一端が接続されるガス側冷凍機接続部61bとによって構成される。
液側接続部61aには、冷凍機5内の冷媒配管8bを介して凝縮器52が接続され、ガス側冷凍機接続部61bには、冷媒配管8bを介して圧縮機51が接続されている。圧縮機51および凝縮器52は、冷媒配管8bによって接続される。
【0037】
(冷凍サイクル)
クーリングユニット10は、ユニットクーラ4と冷凍機5とが接続配管6で接続されて構成される冷凍サイクル回路11を有する。クーリングユニット10の運転に伴って圧縮機51が運転し、図1中に実線矢印で示すように、冷凍サイクル回路11中を冷媒が流れる。冷凍サイクル回路11中を流れる冷媒には、R404A、R410A、R448A、R449A等がある。
【0038】
ガス側冷凍機接続部61bから冷凍機5の筐体50内に入ってきた冷媒は、圧縮機51に吸い込まれ、圧縮機51で圧縮された後に、高温高圧のガス冷媒として圧縮機51から吐出される。圧縮機51から吐出されたガス冷媒は、冷媒配管8bを通じて凝縮器52に流入し、凝縮器用ファン53の送風によって、凝縮器52で外気に熱を放出して凝縮する。凝縮器52で凝縮された冷媒は、低温高圧の液冷媒として凝縮器52から流出し、液側接続配管6aを介してユニットクーラ4の液側接続部60aからユニットクーラ4に流入する。
【0039】
ユニットクーラ4に流入した液冷媒は、開閉弁45を通過した後に、膨張弁46で減圧されて低温となり、蒸発器41に流入する。蒸発器41に流入した液冷媒は、クーリングファン42の運転によって貯蔵庫2内の空気と熱交換して蒸発する。膨張弁46は、感温筒を備えた温度式膨張弁、または弁開度を電気的に調節可能な電子膨張弁である。
【0040】
蒸発器41で蒸発した冷媒は、低温低圧のガス冷媒として蒸発器41から流出し、ガス側接続部60bからガス側接続配管6bを介して冷凍機5に戻り、ガス側冷凍機接続部61bを介して、再び圧縮機51に吸い込まれる。このように冷凍サイクル回路11中を冷媒が循環することで、貯蔵庫2内の空気が蒸発器41で冷却される。
【0041】
(クーリングユニット10の制御)
次に、制御回路について説明する。図5に示すように、クーリングユニット10の制御手段として、ユニットクーラ4および冷凍機5を制御するコントローラ7が設けられる。
【0042】
コントローラ7は、板金等で形成された筐体を備える。コントローラ7は、単相商用交流電源ACを動作電源とし、ユニットクーラ4および冷凍機5を統括的に制御する。コントローラ7は、貯蔵庫2の外郭2a等に設置される。とくに、コントローラ7は、使用者が操作しやすいように、貯蔵庫2の扉3付近の外壁(外郭2a)に取り付けられることが多い。交流電源ACは、電源端子台91を介してコントローラ7に供給される。このとき、交流電源ACは、単相電源に限らず三相電源を用いてもよい。
【0043】
冷凍機5内に収納された冷凍機制御器54は、コントローラ7と同じ商用交流電源を動作電源とし、コントローラ7の指令に応じて冷凍機5における圧縮機51や凝縮器用ファン53の運転を制御する。
【0044】
図5に示すように、コントローラ7は、内部にコントローラ制御器71、通信部72、操作表示部73、リレー群74等を有する。冷凍機制御器54およびコントローラ制御器71は、それぞれマイクロコンピュータ(MCU)およびその周辺回路からなり、内蔵するメモリに記憶されているプログラムに基づき動作する。なお、各制御器54、71を論理回路によって形成することも可能である。
【0045】
コントローラ制御器71は、各機器の制御の中枢として動作し、通信部72、操作表示部73、リレー群74および配線を介して貯蔵庫2の庫内温度センサ48に接続されている。また、ユニットクーラ4とコントローラ7とは、コントローラ端子台92と筐体端子台93を介して、貯蔵庫2の壁を貫通して敷設された渡り線75によって接続されている。
【0046】
筐体端子台93は、ユニットクーラ4の筐体40内、もしくは筐体40の外壁に設けられる電気部品箱の中に設けられる。この筐体端子台93には、結露や氷結を防止するために常時通電される端子台ヒータが設けられる。
【0047】
通信部72は、通信部端子台94を経由し、通信線76を介して冷凍機5の冷凍機制御器54と接続される。通信部72は、コントローラ制御器71と冷凍庫5の冷凍機制御器54との間の指示やデータの授受を行う。
【0048】
操作表示部73は、使用者がクーリングユニット10の運転/停止および設定温度を操作する操作部73aと貯蔵庫2の庫内温度や運転状況を表示する表示部73bを備えている。
【0049】
コントローラ7の内部では、コントローラ制御器71からの出力信号に応じて、リレー群74である各リレー74a~リレー74cがON(付勢)、またはOFF(消勢)される。リレー74a~リレー74cは、それぞれ開閉接点を有し、各リレー74a~リレー74cの一端は、交流電源ACの一端に共通に接続されている。
交流電源ACの他端は、コントローラ7の内部をリレー等の開閉器を介することなく通過し、コントローラ7に設けられたコントローラ端子台92、渡り線75を介してユニットクーラ4に設けられた筐体端子台93に接続されている。
【0050】
リレー74aは、除霜ヒータ47に、リレー74bは、クーリングファン42を駆動するファンモータ42mに、リレー74cは、開閉弁45に対応している。
【0051】
コントローラ制御器71は、各リレー74a~リレー74cのON/OFFを制御することで、そのリレーに接続されている各機器のON/OFFを制御する。すなわち、除霜ヒータ47は、リレー74aがONになったときに通電されて発熱する電熱線、例えばコードヒータであり、ファンモータ42mは、リレー74bがONになったときに通電されて回転する誘導電動機(モータ)である。さらに、除霜運転時に閉弁される開閉弁45は、通電時に開となり、非通電時に閉となるアクチュエータを備え、リレー74cがONになると開弁し、OFFになると閉弁する。
【0052】
庫内温度センサ48は、ユニットクーラ4の吸込口40a付近の吸い込み空気の温度を検知するサーミスタ等の感温素子であり、筐体端子台93、渡り線75、コントローラ端子台92を介してコントローラ制御器71に接続され、貯蔵庫2の庫内温度として換算される電圧値をコントローラ制御器71に入力する。なお、庫内温度センサ48は、ユニットクーラ4の筐体40とは独立して貯蔵庫2内の適宜な場所に設けてもよい。
【0053】
コントローラ7のコントローラ制御器71が実行する制御動作を図6のフローチャートを参照しながら説明する。
【0054】
操作表示部73により運転開始(ON)が操作されると、コントローラ7は、コントローラ制御器71に内蔵された冷却運転時間タイマーE1をリセットするとともに、このタイマーE1を再スタートし、冷却運転時間t1の積算を開始する(S1)。
【0055】
続いて、庫内温度センサ48にて検知した庫内検知温度Taが、設定された庫内温度Ts以上であれば(S2のYES)、貯蔵庫2内の冷却が必要であることからサーモオン状態として、コントローラ7は、冷凍機5にONを送信し、ユニットクーラ4のクーリングファン42と開閉弁45をONにして冷却運転を開始、または継続する(S3)。
【0056】
庫内温度センサ48にて検知した庫内検知温度Taが、設定された庫内温度Tsより低ければ(S2のNO)、サーモオフ状態として、コントローラ7は、冷凍機5にONを送信せず、冷却運転は停止されるか、もしくは開始されず(S10)、庫内検知温度Taが、設定された庫内温度Ts以上になる(S2のYES)までS10とS2のステップを繰り返す。
【0057】
ステップS3での冷却運転中に冷却運転時間タイマーE1の計時時間である冷却運転時間t1が、予め設定された設定時間ts1に達すると(S4のYES)、コントローラ7は、コントローラ制御器71によりリレー74cをOFFにする。これにより、ユニットクーラ4の開閉弁45は閉じ、除霜準備運動であるポンプダウンを開始する。また、コントローラ制御器71のポンプダウン時間タイマーE2をスタートさせ、ポンプダウン時間t2の積算を開始する(S5)。このポンプダウン運転により、ユニットクーラ4内の冷媒は、冷凍機5側に吸い出され、ユニットクーラ4内の冷媒配管8aや蒸発器41内には、ほとんど冷媒がない状態となり、除霜運転が安全に実行できる。設定時間ts1は、除霜運転が必要になると想定される冷却運転時間であり、例えば、8時間である。
【0058】
一方、冷却運転時間t1が、設定時間ts1に達していないと(S4のNO)、除霜準備運動であるポンプダウンは開始せずに、冷却運転を継続する(S4からS2へ戻る)。
【0059】
ポンプダウン時間タイマーE2の計時時間であるポンプダウン時間t2が、設定されたポンプダウン時間ts2に達すると(S6のYES)、コントローラ7は、コントローラ制御器71から通信部72へ信号を送信し、冷凍機5の冷凍機制御器54に通信することで、冷凍機5をOFFにする。また、リレー54bをOFFにすることで、ユニットクーラ4のクーリングファン42をOFFにする。さらに、リレー54aをONにすることで、除霜ヒータ47への通電を開始して除霜運転に入る。このとき、除霜タイマーE3をスタートさせ、除霜運転時間t3の積算を開始する。また、コントローラ制御器71のポンプダウン時間タイマーE2をリセットし、ポンプダウン時間t2の積算を終了する(S7)。ここで、ポンプダウン時間ts2は、ユニットクーラ4内の冷媒を冷凍機5側に吸い出すために必要な時間が設定され、例えば、5分程度である。
【0060】
除霜タイマーE3の計時時間である除霜運転時間t3が、予め設定された除霜運転時間ts3に達すると(S8のYES)、コントローラ7は、リレー54aをOFFにすることで、除霜ヒータ47をOFFにして除霜運転を終了する。このとき、除霜タイマーE3をリセットし、除霜運転時間t3の積算を終了する(S9)。そして、再び冷却運転に戻る準備を行う。除霜運転時間t3は、ユニットクーラ4内の各部の氷結が溶けた除霜水が底板43から排水されるまでの時間が設定され、通常30分程度が選定される。このとき、除霜運転時間t3の終了を蒸発器41に設けられた温度センサが検知した温度が所定温度、例えば15度程度に達したとき、または所定温度に達した後に所定時間、例えば5分程度経過したときまでとしてもよい。
【0061】
その後、コントローラ操作表示部73により、運転OFFが操作されない限り冷却運転に戻り(S1)、これを繰り返す。
【0062】
上述したようなステップが繰り返され、クーリングユニット10の冷却運転および除霜運転が繰り返し行われる。
冷却運転時(図6中、S3の実行中)には、吹出口40bから吹き出された低湿度の冷却空気は、上向きのルーバー101に沿って貯蔵庫2の天井面2dへ向かうように案内され、結露による霜から成長して天井面2dに付着した氷を昇華させる。昇華された氷は、気体となり貯蔵庫2内で分散する。これにより、吹出口40bの吹き出し方向にある天井面2dに付着した氷の成長を防ぐことができる。
【0063】
さらに、吹出口40bから吹き出された冷却空気は、一度貯蔵庫2の天井面2dに衝突し、貯蔵庫2全体へ分散するため、冷却された空気が貯蔵庫2全体に行き渡り、効率よく貯蔵庫2内に保管される貯蔵物A~貯蔵物Cを冷却することができる。
【0064】
除霜運転時(図6中、S7の実行中)には、吹出部材100やルーバー101に付着した霜や氷が、除霜ヒータ47の発熱によって溶かされ、ドレン水となって滴下する。これらのドレン水は、図3中に破線矢印で示すように、ルーバー101の表面を伝って吹出部材100の内側で下方へと滴下する。ルーバー101の表面を伝ってきたドレン水は、吹出部材100の内側下面となる縁部100cに溜まった後に、吹出部材100のフランジ部100dと筐体40との間に形成された隙間Dから下方に流れ落ちて、さらに、底板43と筐体40との間に形成された隙間Mを通過して、底板43上へと流れ落ちる。このように隙間Dおよび隙間Mで形成される排水路104によって、吹出部材100内のドレン水をドレンパンとなる筐体40の底板43に導き、底板43に集めることができる。そして、底板43に集められたドレン水は、吹出部材100以外の部分に設けられた除霜ヒータ47によって溶かされた蒸発器41上の霜や氷および底板43上に蓄積した氷等のドレン水と一緒になって、底板43のドレン排水口43aに接続されたドレン排水管44から貯蔵庫2外へ排水されるため、ドレン水が吹出部材100や筐体40から貯蔵庫2内へ滴下する恐れがない。
このとき、縁部100cに溜まったドレン水が、縁部100cから吹出部材100のフランジ部100dと筐体40との間に形成された隙間Dへ流れ落ちやすくなるように、縁部100cを吹出口40bに向けて徐々に下がるように傾斜して設けてもよい。
【0065】
さらに、ルーバー101をファンガード100bとクーリングファン42との間に設けることで、使用者が通風孔100aから誤って手等を挿入した場合には、ファンガード100bに加えてルーバー101が障害物となり、使用者の手がクーリングファン42に接触することを防ぐ。
【0066】
ルーバー101は、ファンガード100bと同様にクーリングファン42を異物から保護しているため、ファンガード100bの通風孔100aの穴サイズを大きくしてもよい。これにより、通風孔100aを空気が通り抜けやすくなり、効率よく貯蔵庫2内に保管される貯蔵物A~貯蔵物Cを冷却することができる。また、ファンガード100bに使用する材料を削減することができる。このとき、ファンガード100bは、図2および図4に示すようなパンチングメタルでもよいし、吹き出し開口に複数の細長い棒状の部材を格子状に配置して構成してもよい。通風孔100aの数や形状は、クーリングファン42の風量や貯蔵庫2の面積に応じて適宜変更してもよい。
【0067】
本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0068】
4…ユニットクーラ
5…冷凍機
6…接続配管
7…コントローラ
10…クーリングユニット
40…筐体
41…蒸発器
42…クーリングファン
43…底板
44…ドレン排水管
47…除霜ヒータ
49、102、103…締結部材
100…吹出部材
100a…通風孔
100b…ファンガード
100c…縁部
100d…フランジ部
101…ルーバー
D、M…隙間
104…排水路
図1
図2
図3
図4
図5
図6