(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025335
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】自律走行型掃除機および掃除支援システム
(51)【国際特許分類】
A47L 9/28 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
A47L9/28 K
A47L9/28 E
A47L9/28 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130013
(22)【出願日】2023-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】林 炳
(72)【発明者】
【氏名】加藤 功記
(72)【発明者】
【氏名】松井 友秀
(72)【発明者】
【氏名】徳永 益規
(72)【発明者】
【氏名】荒井 貴啓
(72)【発明者】
【氏名】菅井 正寛
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 亮
(72)【発明者】
【氏名】笠原 賢哉
【テーマコード(参考)】
3B057
【Fターム(参考)】
3B057DE02
3B057DE06
(57)【要約】
【課題】
本発明は、自律走行型掃除機での掃除領域を実態に即して管理し、この結果を適切に提示することを課題とする。
【解決手段】
本発明の構成は、掃除領域を走行して、掃除を実行する自律走行型掃除機200および情報処理装置である家電サーバー300を有する掃除支援システムにおいて、
前記自律走行型掃除機200の掃除のための走行を制御する制御装置30と、前記自律走行型掃除機200での掃除された掃除済領域の状態を示す掃除済領域情報を取得する情報取得部であるカメラ90と、前記掃除済領域情報を用いて、前記掃除済領域に、当該自律走行型掃除機で対処が困難な残留汚れがあるかを判定する掃除実績判定部34と、前記掃除実績判定部での判定結果を表示する表示部17を有する掃除支援システムである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除領域を走行して、掃除を実行する自律走行型掃除機において、
当該自律走行型掃除機の掃除のための走行を制御する制御装置と、
当該自律走行型掃除機での掃除された掃除済領域の状態を示す掃除済領域情報を取得する情報取得部と、
前記掃除済領域情報を、情報処理装置に通知する通信部を有し、
前記情報処理装置の掃除実績判定部が、前記掃除済領域情報を用いて、前記掃除済領域に、当該自律走行型掃除機で対処が困難な残留汚れがあるかを判定し、
出力部での前記掃除実績判定部での判定結果を出力することを可能とする自律走行型掃除機。
【請求項2】
請求項1に記載の自律走行型掃除機において、
前記出力部は、前記判定結果を表示する表示部である自律走行型掃除機。
【請求項3】
請求項1に記載の自律走行型掃除機において、
前記掃除実績判定部では、前記残留汚れが、前記自律走行型掃除機で対処が困難である場合、前記残留汚れに対処が可能である他の機器を判定する自律走行型掃除機。
【請求項4】
請求項3に記載の自律走行型掃除機において、
前記掃除実績判定部は、前記他の機器が前記情報処理装置を用いて制御可能であるかを判定し、
さらに、制御可能である場合、前記情報処理装置は、前記他の機器に対する制御指令を作成する掃除制御部を有し、
前記出力部である通信部が、前記他の機器に、前記制御指令を通知する自律走行型掃除機。
【請求項5】
請求項3に記載の自律走行型掃除機において、
前記掃除実績判定部は、前記残留汚れに対処が可能である他の機器が無い場合、前記判定結果として、人手で対処することを特定し、
前記出力部は、人手での対処を提示する自律走行型掃除機。
【請求項6】
請求項2に記載の自律走行型掃除機において、
前記表示部は、前記判定結果として、前記残留汚れのない場所および/または前記残留汚れがあることを表示する自律走行型掃除機。
【請求項7】
掃除領域を走行して、掃除を実行する自律走行型掃除機および情報処理装置を有する掃除支援システムにおいて、
前記自律走行型掃除機の掃除のための走行を制御する制御装置と、
前記自律走行型掃除機での掃除された掃除済領域の状態を示す掃除済領域情報を取得する情報取得部と、
前記掃除済領域情報を用いて、前記掃除済領域に、当該自律走行型掃除機で対処が困難な残留汚れがあるかを判定する掃除実績判定部と、
前記掃除実績判定部での判定結果を出力する出力部を有する掃除支援システム。
【請求項8】
請求項7に記載の掃除支援システムにおいて、
前記出力部は、前記判定結果を表示する表示部である掃除支援システム。
【請求項9】
請求項7に記載の掃除支援システムにおいて、
前記掃除実績判定部は、前記残留汚れが、前記自律走行型掃除機で対処が困難である場合、前記残留汚れに対処が可能である他の機器を判定する掃除支援システム。
【請求項10】
請求項9に記載の掃除支援システムにおいて、
前記掃除実績判定部は、前記他の機器が前記情報処理装置を用いて制御可能であるかを判定し、
さらに、制御可能である場合、前記他の機器に対する制御指令を作成する掃除制御部を有し、
前記出力部である通信部が、前記他の機器に、前記制御指令を通知する掃除支援システム。
【請求項11】
請求項9に記載の掃除支援システムにおいて、
前記掃除実績判定部は、前記残留汚れに対処が可能である他の機器が無い場合、前記判定結果として、人手で対処することを特定し、
前記出力部は、人手での対処を提示する掃除支援システム。
【請求項12】
請求項8に記載の掃除支援システムにおいて、
前記表示部は、前記判定結果として、前記残留汚れのない場所および/または前記残留汚れがあることを表示する掃除支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掃除機を用いた掃除を支援するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ロボット掃除機と呼ばれる自律走行型掃除機が普及しており、これを用いて効率的に掃除が行われている。自律走行型掃除機では、自身が掃除領域を管理する必要がある。例えば、掃除の際に走行する走行経路の特定や走行済の経路を示す掃除履歴の管理を行う必要がある。また、自律走行型掃除機では、掃除対象の床面の状況に応じて、吸引力など稼働の内容を制御することが行われている。
【0003】
以上のように、自律走行型掃除機では、走行経路や床面といった掃除領域の管理が必要となる。このような、掃除領域の管理を行う技術として、例えば、特許文献1や2が提案されている。
【0004】
特許文献1には、掃除機(1)が予め規定された作業スケジュールに従って表面(2)を掃除し、表面(2)の少なくとも1つの汚れレベルが決定され、汚れレベルに応じて掃除作業が制御される。よりフレキシブルかつ個別の掃除動作を行うために、環境の位置情報に関係するマップ(4)に汚れレベルが入力され、ユーザがマップ(4)の編集を行い、すなわちマップ(4)上に表面(2)の表面ゾーン(5,6,7,8)を規定して、少なくとも1つの表面ゾーン(5,6,7,8)に対して掃除機(1)の掃除作業を手動で割り当てることが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、掃除機(1)が予め設定された作業プランに従って表面を掃除し、掃除機(1)の検知装置(3)が表面(2)の複数の部分表面領域(4,5,6)の汚れレベルを検知し、掃除機(1)の掃除動作が検知結果に応じて変更され、表面(2)についての全体的汚れレベルが複数の部分表面領域(4,5,6)の汚れレベルから決定され、表面(2)全体の全体的汚れレベルに一致する掃除パラメータにより掃除動作が実行される。汎用的動作方法を代替するために、決定された全体的汚れレベルが少なくとも1つの基準汚れレベルと比較され、特に時間的に先行する掃除活動中に決定された全体的汚れレベルと比較されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-34136号公報
【特許文献2】特開2019-34138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、効率的かつよりきれいな掃除を実現するためには、掃除領域の管理を適切に行う必要がある。例えば、自律走行型掃除機の機種によっては、対処が困難な汚れやゴミもある。より具体的には、拭き掃除機能を有さない自律走行型掃除機では、フローリングの隙間に溜まった油脂汚れを落ちにくいこともある。このことに対応するには、掃除領域を、実態に即して適切に管理する必要がある。また、利用者に対し、この管理結果を適切に提示する必要がある。そこで、本発明では、自律走行型掃除機での掃除領域を実態に即して管理し、この結果を適切に提示することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明では、掃除前後を含む掃除における各時間帯に応じた掃除領域の管理を行い、この結果を提示する。代表的な本発明の態様には、以下の(1)~(3)が含まれる。
(1)掃除済領域に当該自律走行型掃除機で対処が困難な汚れがあるかを判定し、この結果を出力する。
(2)当該自律走行型掃除機における、掃除予定の領域に対するジグザグ状の走行経路を作成する。
(3)当該自律走行型掃除機の掃除済領域として、走行済の経路を示す掃除履歴を生成し、これを提示する。
【0009】
より具体的な態様には、掃除領域を走行して、掃除を実行する自律走行型掃除機および情報処理装置を有する掃除支援システムにおいて、前記自律走行型掃除機の掃除のための走行を制御する制御装置と、前記自律走行型掃除機での掃除された掃除済領域の状態を示す掃除済領域情報を取得する情報取得部と、前記掃除済領域情報を用いて、前記掃除済領域に、当該自律走行型掃除機で対処が困難な残留汚れがあるかを判定する掃除実績判定部と、前記掃除実績判定部での判定結果を出力する出力部を有する掃除支援システムが挙げられる。
【0010】
また、本発明には、掃除支援システムを構成する各装置やサブコンビネーションも含まれる。さらに、これらによる掃除支援方法やこれら各装置をコンピュータとして機能させるためのプログラムやこれを格納した記憶媒体も、本発明に含まれる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、自律走行型掃除機での掃除領域を実態に即して管理し、この結果を適切に提示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態における自律走行型掃除機200の稼働の様子を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態における掃除支援システムを含むシステム構成図である。
【
図3】本発明の一実施形態における情報端末装置100のハードウエア構成図である。
【
図4】本発明の一実施形態における自律走行型掃除機200の外観斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態における自律走行型掃除機200の底面図である。
【
図6】本発明の一実施形態における自律走行型掃除機200の機能ブロック図である。
【
図7】本発明の一実施形態で用いられる地図情報361を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態で用いられる掃除履歴情報362を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態で用いられる掃除実績情報363を示す図である。
【
図10】本発明の一実施形態における家電サーバー300のハードウエア構成図である。
【
図11】本発明の一実施形態における掃除領域の管理処理を示すフローチャートである。
【
図12】実施例1における処理シーケンスを示すシーケンス図である。
【
図13】実施例1における残留汚れ判定処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図14】実施例2における制御装置30の構成を示すブロック図である。
【
図15】実施例2における自律走行型掃除機200の走行処理を示すフローチャートである。
【
図16】実施例2における走行処理の際に実行される走行経路生成処理を示すフローチャートである。
【
図17A】実施例2における折返し幅(標準/D1)で生成された経路を模式的に示す図である。
【
図17B】実施例2における折返し幅(狭/D0)で生成された経路を模式的に示す図である。
【
図18A】実施例2における折返し幅(標準/D1)で生成され、現電池残量で走行不可の経路を模式的に示す図である。
【
図18B】実施例2における折返し幅(広/D2)で生成された経路を模式的に示す図である。
【
図19】実施例3における自律走行型掃除機200を含む掃除支援システムの構成図である。
【
図20】実施例3における掃除開始から掃除終了までの流れを示すシーケンス図である。
【
図21】実施例3におけるホーム画面を示す図である。
【
図22】実施例3における自動モード画面を示す図である。
【
図23】実施例3におけるお好み掃除選択画面を示す図である。
【
図24】実施例3における清掃環境にあった設定を促すためのホーム画面を示す図である。
【
図25】実施例4における制御装置30の構成を示すブロック図である。
【
図26】実施例4における自律走行型掃除機200を含む掃除支援システムの構成図である。
【
図27】実施例4における掃除開始から掃除終了までの流れを示すシーケンス図である。
【
図28】実施例4における自律走行型掃除機200の走行処理を示すフローチャートである。
【
図29】実施例4における累積走行軌跡表示から追加掃除終了までの流れを示すシーケンス図である。
【
図30】実施例4における掃除対象となる掃除領域の一例である部屋1000の様子示す図である。
【
図31】実施例4における自律走行型掃除機200が部屋1000を走行(掃除)した様子を示す図である。
【
図32】実施例4における走行軌跡情報の第1の例を示す図である。
【
図33】実施例4における走行軌跡情報の第2の例を示す図である。
【
図34】実施例4における累積走行軌跡情報を模式的に示す図である。
【
図35】実施例4における走行軌跡情報表示画面の第1の例を示す図である。
【
図36】実施例4における走行軌跡情報表示画面の第2の例を示す図である。
【
図37】実施例4における追加掃除設定画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態における自律走行型掃除機200の稼働の様子を示す図である。
図1では、自律走行型掃除機200が、掃除領域である部屋1000の中を走行し、掃除を実行する。
図1において、破線の矢印が掃除済領域における走行済の経路を示し、実線の矢印が走行予定の経路を示す。そして、掃除済領域、特に、走行済の経路に残留汚れが存在する。そこで、本実施形態では、残留汚れへの対処、走行予定の経路である走行経路の作成や走行済の経路を示す掃除履歴を作成により、掃除領域の管理を実行する。この残留汚れとは、掃除済領域に残るゴミ、塵埃、ホコリ、染みなどを含み、皮脂、油、カルシウムなどその要因は問わない。また、液体や固体の別は問わない。
【0014】
次に、本実施形態での掃除領域の管理を実現するための構成について説明する。
図2は、本実施形態における掃除支援システムを含むシステム構成図である。
図2において、情報端末装置100、自律走行型掃除機200、家電サーバー300が、無線LANルーター400やネットワーク600を介して互いに接続されている。また、残留汚れに対処するための機器として、床洗浄機500が用いられる。
【0015】
まず、情報端末装置100は、スマートフォン、タブレット、携帯電話やPCといった各種コンピュータ(情報処理装置)で実現できる。そして、本実施形態では、自律走行型掃除機200の掃除領域の管理に用いられる。
図1に示すように、情報端末装置100は、通信部11、掃除経路生成部12、掃除制御部13、掃除実績判定部14、掃除履歴生成部15、入力部16、表示部17および記憶部18を有する。
【0016】
まず、通信部11は、情報端末装置100は無線LANルーター400やネットワーク600を介した通信や近距離無線通信機能を有する。また、掃除経路生成部12は、自律走行型掃除機200の掃除における走行経路を生成する。また、掃除制御部13は、自律走行型掃除機200を制御するための制御指令を作成する。これを受けて、自律走行型掃除機200が制御指令に従って、走行機能や掃除機能を実行する。
【0017】
また、掃除実績判定部14は、掃除済領域情報に基づいて、掃除済領域に自律走行型掃除機200で対処が困難な残留汚れがあるかを判定する。また、掃除履歴生成部15は、走行済の経路を示す掃除履歴を作成する。ここで、対処が困難とは、自律走行型掃除機200が、残留汚れを除去できないことや想定外の汚れであることが含まれる。本実施形態では、判定基準情報364ないし判定基準情報184を用いて判定される。
【0018】
また、入力部16は、使用者からの各種操作を受け付ける。また、表示部17は、生成された掃除経路、掃除履歴や掃除実績判定部14での判定結果を表示する。なお、入力部16および表示部17は、タッチパネルのように一体で構成してもよい。さらに、記憶部18は、地図情報181、掃除履歴情報182、掃除実績情報183および判定基準情報184を記憶する。これらの情報については、追って説明する。
【0019】
次に、情報端末装置100の一実装例について説明する。
図3は、本実施形態における情報端末装置100のハードウエア構成図である。
図3において、情報端末装置100は、タッチパネル101、処理装置102、通信装置103および記憶装置104を有し、これらは通信路を介して互いに接続されている。
【0020】
まず、タッチパネル101は、
図2の入力部16および表示部17を兼ねた構成であり、使用者の操作を受け付けたり、家事シナリオなど各種情報を表示したりする。なお、タッチパネル101は、入力デバイスと表示デバイスに分けて構成してもよい。
【0021】
また、処理装置102は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサで実現でき、後述する記憶装置104に記憶されている掃除支援プログラム105に従って演算を実行する。
【0022】
そして、掃除支援プログラム105は、その機能ごとに、掃除経路生成モジュール106、掃除制御モジュール107、掃除実績判定モジュール108および掃除履歴生成モジュール109で構成される。なお、これら各モジュールは、個別のプログラムや一部の組合せで実現してもよい。なお、掃除支援プログラム105を、洗濯機などの他の家電(機器)を含む複数の家電を管理する統合管理アプリケーションの一機能として実現してもよい。
【0023】
ここで、各モジュールと同一の機能を実行する
図2に示す情報端末装置100の構成は、以下のとおりである。
掃除経路生成部12:掃除経路生成モジュール106
掃除制御部13:掃除制御モジュール107
掃除実績判定部14:掃除実績判定モジュール108
掃除履歴生成部15:掃除履歴生成モジュール109
このため、処理装置102は、掃除支援プログラム105に従って、掃除経路生成部12、掃除制御部13、掃除実績判定部14および掃除履歴生成部15の処理を実行することになる。なお、掃除支援プログラム105は、後述の記憶装置104やその他記憶媒体に記憶可能である。
【0024】
また、通信装置103は、
図2の通信部11に該当し、無線LANルーター400やネットワーク600を介した通信や近距離無線通信機能を有する。また、記憶装置104は、
図2の記憶部18に該当し、上述の掃除支援プログラム105、購入支援プログラム110、利用者管理情報111、家電管理情報112および家事シナリオ情報113を記憶する。このため、記憶装置104は、メモリのような主記憶装置と、いわゆるストレージである副記憶装置(記憶媒体)で実現してもよい。なお、副記憶装置は、外付けのHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリカードなどで実現してもよい。
【0025】
以上で、情報端末装置100の説明を終わり、
図2に戻り、自律走行型掃除機200の説明を行う。自律走行型掃除機200は、所定の掃除領域を自律的に移動しながら自動的に掃除する電気機器である。
図4は、本実施形態における自律走行型掃除機の外観斜視図である。また、自律走行型掃除機200は、掃除機本体1、掃除機本体1の側周を覆うバンパ2、一対の駆動輪3,4(後述の
図5参照)、補助輪5(後述の
図5参照)およびサイドブラシ6を備えている。
【0026】
そして、掃除機本体1の上面には、運転の開始や停止などの各種操作を行うことができる操作ボタン7が設けられている。また、掃除機本体1には、床面の塵埃を集塵させるダストケース8が設けられている。なお、図中、天井側を上、床面側を下、自律走行型掃除機の進行方向側を前、自律走行型掃除機の進行方向反対側を後、自律走行型掃除機200の進行方向左側を左、自律走行型掃除機の進行方向右側を右と定義する(以下、同様)。
【0027】
また、
図5は、本実施形態における自律走行型掃除機200の底面図である。
図5に示すように、駆動輪3,4は、駆動部の一例としての車輪であり、掃除機本体1に取り付けられている。また、駆動輪3,4自体が回転することで自律走行型掃除機200を前進、後退、旋回(超信地旋回を含む)させることができる。
【0028】
また、駆動輪3,4よりも後側には、回転ブラシモータ19mで回転する回転ブラシ19を収容すると共に塵埃みを吸い込む吸口部9が設けられている。吸口部9に吸い込まれた塵埃は、ダストケース8に集塵される。また、回転ブラシ19は、駆動輪3,4の回転中心を通る軸(左右方向)に略並行に配置されている。
【0029】
また、サイドブラシ6は、一部が掃除機本体1よりも外側にあり、回転ブラシ19が届き難い場所の塵埃を吸口部9に導くブラシである。サイドブラシ6は、矢印α1で示すように、自律走行型掃除機200の前方外側の領域を、左右方向外側から内側に向かう方向に掃引するように回転して、床面上の塵埃を中央の吸口部9側に集める。なお、サイドブラシ6は、サイドブラシモータ6m(不図示)によって回転駆動される。また、掃除機本体1の底面には、前後左右の4箇所に床面用測距センサ10a,10b,10c,10dが設けられている。
【0030】
次に、
図6は、本実施形態における自律走行型掃除機200の機能ブロック図である。
図6に示すように、制御装置30は、自律走行型掃除機200を統括的に制御するものであり、例えばマイコン(Microcomputer)と周辺回路とが基板に実装されることで構成される。マイコンは、ROM(Read Only Memory)に記憶された制御プログラムを読み出してRAM(Random Access Memory)に展開する。そして、この制御プログラムを、CPU(Central Processing Unit)が実行することで各種処理が実現される。周辺回路は、A/D・D/A変換器、センサ駆動回路、蓄電池20の充電回路を有している。
【0031】
また、自律走行型掃除機200は、光を用いた測距センサの一例としてのLiDAR(長距離周囲検出センサ)40を備えている。また、自律走行型掃除機200は、掃除機本体1を駆動させる駆動輪3,4と、掃除機本体1に設けられるLiDAR40と、ジャイロセンサ50を備えることにより、清掃場所の地図を正確に作成することができる。また、塵埃センサ70を備えることにより、ダストケース8に集塵されたごみの量を検出することができる。
【0032】
制御装置30は、使用者による命令を入力可能な操作ボタン7の操作や、バンパセンサ(不図示)、各種センサや通信機器80から入力される信号に応じて演算処理を実行し、演算処理後の信号を出力する。各種センサには、床面用測距センサ10a~10d、測距センサ60、LiDAR40、塵埃センサ70が含まれる。通信機器80としては、例えばモデムを用いることができる。
【0033】
なお、自律走行型掃除機200は、例えば使用者の指示、或いは予約された開始時間になると充電台から走行を開始し、床面等の掃除を実行する。掃除が終了すると、自律走行型掃除機Sは、充電台に帰還し、蓄電池20の充電を開始する。さらに、自律走行型掃除機200は、LiDAR40と、ジャイロセンサ50の情報に基づいて作成された地図情報を無線LANルーター400、家電サーバー300を介して、情報端末装置100に送信する。
【0034】
また、回転ブラシモータ19mは、制御装置30に従って、回転ブラシ19を回転させるモータである。他のモータも同様に自身の構成を回転等の動作をさせる。
【0035】
またさらに、カメラ90は、掃除領域を撮影し、その状態を示す画像を取得する撮影部の一例である。カメラ90では、掃除された掃除済領域を撮影し、その状態を示す掃除済領域情報を取得できる。このため、本実施形態では、掃除済情報は、画像データとして取得される。ここで、カメラ90は、自律走行型掃除機200での掃除中や掃除後に、掃除済領域を撮影することで、掃除済領域情報を取得できる。
【0036】
また、カメラ90は、掃除前の掃除領域を撮影し、その状態を示す掃除前領域情報も取得できる。さらに、撮影部(カメラ90)以外の情報取得部を用いることで、画像データ以外の掃除済領域情報や掃除前領域情報を取得することもできる。例えば、LiDAR40や測距センサ60を情報取得部として用いてもよい。これらを用いる場合、残留汚れとして、空き容器などのゴミの有無を判定できる。
【0037】
以上で、自律走行型掃除機200の説明を終わり、
図2に戻り家電サーバー300の説明を行う。家電サーバー300は、自律走行型掃除機200など各種家電を管理するもので、自律走行型掃除機200などの家電を製造するメーカや販売業者により利用される情報処理装置(コンピュータ)を用いることができる。そして、本実施形態では、自律走行型掃除機200の掃除領域の管理に用いられる。
図1において、家電サーバー300は、通信部31、掃除経路生成部32、掃除制御部33、掃除実績判定部34、掃除履歴生成部35および記憶部36を有する。
【0038】
まず、通信部31は、ネットワーク600を介して、自律走行型掃除機200や情報端末装置100と接続する。掃除経路生成部32、掃除制御部33、掃除実績判定部34および掃除履歴生成部35はそれぞれ、掃除経路生成部12、掃除制御部13、掃除実績判定部14および掃除履歴生成部15と同様の機能を有する。このため、これらの機能の説明も省略する。また、掃除経路生成部32~掃除履歴生成部35と掃除経路生成部12~掃除履歴生成部15の各部については、それぞれ少なくとも一方を設け、他方は省略してもよい。
【0039】
また、記憶部36は、地図情報361、掃除履歴情報362、掃除実績情報363および判定基準情報364を記憶する。以下、これらの情報を、地図情報181、掃除履歴情報182、掃除実績情報183および判定基準情報184と合わせて説明する。
図7は、本実施形態で用いられる地図情報361を示す図である。地図情報361は、自律走行型掃除機200のLiDAR40やジャイロセンサ50の情報に基づいて作成され、掃除領域を示す情報である。本実施形態の地図情報361は、
図7に示すように、掃除機ごとに、部屋、位置情報および走行経路を示す。部屋は、該当の掃除機の掃除領域を示す。位置情報は、該当の部屋の位置情報、例えば、座標を示す。さらに、走行経路は、該当の部屋を掃除する際に掃除機が走行する経路を示す。より望ましくは、後述の実施例で記載するように、ジグザグ状の経路を示す。なお、地図情報361には、該当の部屋において掃除の障害となる家具などの障害物とその位置を示す情報を含めてもよい。
【0040】
また、
図8は、本実施形態で用いられる掃除履歴情報362を示す図である。掃除履歴情報362は、該当の掃除機が掃除の際の走行済の経路を示す情報である。このため、掃除履歴情報362は、掃除機ごとに、部屋、日時および移動履歴の各項目を有する。部屋は、地図情報361と同様に該当の掃除機の掃除領域を示す。日時は、該当の掃除機が運転、つまり、掃除における走行した日時を示す。また、移動履歴は、該当の日時における移動経路を示す。
【0041】
また、
図9は、本実施形態で用いられる掃除実績情報363を示す図である。掃除実績情報363は、情報取得部で取得した掃除済領域情報を含む該当の掃除機での掃除実績を示す情報である。このため、掃除実績情報363は、掃除機ごとに、部屋、メタ情報および掃除済領域情報の各項目を有する。部屋は、地図情報361と同様に、該当の掃除機の掃除領域を示す。また、メタ情報は、掃除済領域情報の関連情報である。例えば、掃除済領域情報として画像を用いる場合、メタ情報として、撮影された日時や位置を含むExif情報を用いることができる。また、掃除済領域情報は、該当の掃除機での掃除済の領域の状況を示す情報である。例えば、掃除済領域情報として、カメラ90で撮影された画像データを用いることができる。また、掃除済領域情報として、画像データ等の取得情報から抽出された残留汚れを示す情報を用いてもよい。
【0042】
以上の地図情報361、掃除履歴情報362および掃除実績情報363は、それぞれ複数の利用場所(家庭など)についてまとめて管理している。そして、地図情報181、掃除履歴情報182および掃除実績情報183は、地図情報361、掃除履歴情報362および掃除実績情報363と同じ項目を有する同様の情報である。但し、地図情報181、掃除履歴情報182および掃除実績情報183は、それぞれ情報端末装置100で保持され、対応する掃除機(自律走行型掃除機200)に特化した情報である。つまり、地図情報361、掃除履歴情報362および掃除実績情報363のうち、対応する掃除機(自律走行型掃除機200)分のレコードで構成される。また、地図情報181~掃除実績情報183ないし地図情報361~掃除実績情報363については、まとめて1つの情報として管理してもよい。
【0043】
また、判定基準情報364は、該当の掃除機で対処が困難であるかを判定するための情報である。ここで、対処が困難かの判定は、掃除済領域情報から残留汚れを特定し、これと比較することで実行できる。このため、判定基準情報364として、残留汚れついての基準となる情報であり、大きさや色などの基準値や汚れの種類を用いることができる。このため、基準値より大きな場合や所定値の示す色の場合に対処が困難と判定できる。また、汚れの種類については、油汚れや油脂汚れなどの特定の汚れの他、液体など吸引困難な材質である場合に対処が困難と判定できる。さらにこれらを組み合わせて用いることもできる。また、判定基準情報364は、機械学習での学習結果を用いることができる。なお、判定基準情報364は、判定基準情報184と同様の情報である。
【0044】
さらに、判定基準情報364や判定基準情報184は、後述の実施例1での自律走行型掃除機200で対処が困難な残留汚れに対応可能な機器を特定する情報といった対処手法をさらに含むことになる。つまり、判定基準情報364や判定基準情報184は、残留汚れを始めとする汚れの種別と対処可能な手法の対応関係を含む。なお、当該対応関係は、別情報として管理してもよい。さらに、当該対応関係の対処手法には、機器に限らず、手作業などの対処手法も含まれる。
【0045】
次に、家電サーバー300の機能を実行するための一実装例であるハードウエア構成について説明する。家電サーバー300は、クラウドシステム等の情報処理装置(コンピュータ)で実現できる。
図10は、本実施形態における家電サーバー300のハードウエア構成図である。
図10において、家電サーバー300は、処理装置301、通信装置302、メモリ303および副記憶装置304を有し、これらは通信路を介して互いに接続されている。
【0046】
まず、処理装置301は、CPUなどのプロセッサで実現でき、後述する副記憶装置304に記憶されている掃除支援プログラム305に従って演算を実行する。また、通信装置302は、
図2の通信部31に該当し、ネットワーク600と接続し、情報端末装置100や自律走行型掃除機200など他の装置との通信を行う。
【0047】
また、メモリ303および副記憶装置304が、
図2の記憶部36に該当する。そして、メモリ303は、副記憶装置304に記憶されている掃除支援プログラム305や処理装置301での処理に用いられる情報が展開される。また、副記憶装置304は、いわゆるストレージで実現できる。そして、副記憶装置304は、掃除支援プログラム305、地図情報361、掃除履歴情報362、掃除実績情報363および判定基準情報364を記憶する。また、副記憶装置304は、外付けのHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリカードなどの各種記憶媒体で実現してもよいし、ファイルサーバのように家電サーバー300とは別装置で実現してもよい。
【0048】
ここで、掃除支援プログラム305は、その機能ごとに、掃除経路生成モジュール306、掃除制御モジュール307、掃除実績判定モジュール308および掃除履歴生成モジュール309で構成される。なお、これら各モジュールは、個別のプログラムや一部の組合せで実現してもよい。
【0049】
ここで、各モジュールと同一の機能を実行する
図2に示す家電サーバー300の構成は、以下のとおりである。
掃除経路生成部32:掃除経路生成モジュール306
掃除制御部33:掃除制御モジュール307
掃除実績判定部34:掃除実績判定モジュール308
掃除履歴生成部35:掃除履歴生成モジュール309
このため、処理装置301は、掃除支援プログラム305に従って、掃除経路生成部32、掃除制御部33、掃除実績判定部34および掃除履歴生成部35の処理を実行することになる。また、掃除支援プログラム305は、情報端末装置100の掃除支援プログラム105と同様の処理を実行できる。なお、掃除支援プログラム305は、副記憶装置304やその他記憶媒体に記憶可能である。
【0050】
なお、家電サーバー300は、掃除支援に留まらず各種家電を総合的に管理する家電管理装置として実現してもよい。以上で、家電サーバー300の説明を終わり、
図2の他の装置の説明を行う。
【0051】
無線LANルーター400は、情報端末装置100や自律走行型掃除機200とネットワーク600を接続するための装置である。なお、無線LANルーター400は、有線通信機能を設け、情報端末装置100などと有線により接続されてもよい。
【0052】
また、床洗浄機500は、自律走行型掃除機200で対処が困難な残留汚れに対応する機器の一例である。このため、床洗浄機500は、洗浄液水を用いて床面を洗浄する。また、ネットワーク600は、インターネットなど広域ネットワークで実現できる。以上で、本実施形態の構成および情報の説明を終わるが、これら装置、構成要素(部)や情報は、後述する各実施例のいずれかで用いられるものであり、その一部を省略できる。
【0053】
次に、本実施形態の処理フローについて説明する。
図11は、本実施形態における掃除領域の管理処理を示すフローチャートである。
図11において、使用者の操作などにより、自律走行型掃除機200での掃除を開始する。
【0054】
まず、ステップS1において、LiDAR40、ジャイロセンサ50やカメラ90といった情報取得部により、掃除領域に関する情報を取得する。また、ステップS2において、掃除経路生成部12ないし掃除経路生成部32が、取得した掃除領域に関する情報を用いて、掃除経路を特定し、地図情報を作成する。これは、自律走行型掃除機200での掃除の条件についての事前設定処理の一例である。
【0055】
また、ステップS3において、自律走行型掃除機200が掃除を実行する。この際、自律走行型掃除機200は、掃除経路に沿って走行することになる。また、ステップS4において、情報取得部が、掃除済領域の状態を示す掃除済領域情報を取得する。例えば、カメラ90により、掃除済領域を撮影し、その画像データを取得する。なお、ステップS4は、ステップS3の掃除の実行の際に行ってもよいし、掃除が終了した後に実行してもよい。なお、掃除の際における掃除済領域の取得は、走行時に並行して実行してもよいし、部屋やその区画など単位領域の掃除の終了の後に実行してもよい。
【0056】
また、ステップS5において、掃除済領域情報に対する処理を実行する。このステップとしては、(1)残留汚れの判定処理や(2)掃除実績の生成処理が含まれる。
(1)では、掃除実績判定部14ないし掃除実績判定部34が、掃除済領域情報を用いて、掃除済領域に自律走行型掃除機200で対処が困難な残留汚れがあるかを判定する。このために、掃除実績判定部14ないし掃除実績判定部34は、掃除済領域情報から残留汚れを特定する。
(2)では、掃除履歴生成部15や掃除履歴生成部35が、掃除済領域情報から走行済の経路を示す掃除履歴を生成する。
【0057】
なお、ステップS5は、一部の実施例での処理であり、他の実施例では省略してもよい。
【0058】
そして、ステップS6において、表示部17や通信部11ないし通信部31である出力部が、処理結果を出力する。処理結果には、作成された掃除経路、残留汚れの判定結果や掃除履歴の少なくとも1つが含まれる。また、通信部11ないし通信部31が、残留汚れの判定結果に基づき、他の機器への制御指令を通知してもよい。残留汚れの判定結果、掃除履歴や制御指令を出力することで、追加掃除といった掃除に対する後処理を支援できる。以上で、本実施形態の説明を終わり、本実施形態の具体例を示す各実施例を説明する。
【実施例0059】
実施例1は、掃除済領域に当該自律走行型掃除機200で対処が困難な汚れがあるかを判定し、この結果を出力する例である。
図12は、実施例1における処理シーケンスを示すシーケンス図である。まず、情報端末装置100が、家電サーバー300に、掃除開始要求を示す制御指令を通知する。これは、使用者の入力部16に対する操作に従って、掃除制御部13が通信部11を用いて実行される。そして、家電サーバー300の通信部31が、自律走行型掃除機200に、当該掃除開始要求を示す制御指令を転送する。この掃除開始要求には、掃除済領域情報の要求も含まれる。
【0060】
この掃除開始要求を通信機器80が受付て、自律走行型掃除機200が掃除を開始する。より具体的には、制御装置30が、制御指令に従って、走行モータ3m、4m、ファンモータ21などを制御することになる。なお、この掃除の開始は、タイマー機能などにより、自律走行型掃除機200が自動で実行してもよい。
【0061】
また、制御装置30は、掃除済領域情報要求に応じて、カメラ90を制御して、掃除済領域を撮影する。そして、自律走行型掃除機200の掃除中に、制御装置30が、通信機器80を介して、家電サーバー300に、撮影された画像データである掃除済領域情報を通知する。この結果、家電サーバー300の通信部31が、掃除済領域情報を受け付ける。そして、受け付けられた掃除済領域情報が、記憶部36の掃除実績情報363に記憶される。
【0062】
これを受けて、掃除実績判定部34が、自律走行型掃除機200での掃除済領域に対する、残留汚れ判定処理を実行する。この残留汚れ判定処理の一例を、
図13を用いて説明する。
図13は、実施例1における残留汚れ判定処理の詳細を示すフローチャートである。
図13のステップS11において、掃除実績判定部34が、掃除実績情報363から掃除済領域情報を読込む。
【0063】
また、ステップS12において、掃除実績判定部34が、掃除済領域情報を用いて残留汚れがあるかを判定する。このために、掃除実績判定部34は、例えば、掃除済領域情報に対して画像処理を施し、オブジェクト抽出を行うことで残留汚れがあるかを判定する。この際、地図情報361と比較して、家具等の定常的に設置されたものを除外することが望ましい。この結果、残留汚れがあれば(YES)、ステップS13に遷移する。なければ、ステップS17に遷移し、残留汚れがないことが、情報端末装置100に通知される。
【0064】
また、ステップS13において、掃除実績判定部34が、ステップS12で判定された残留汚れが自律走行型掃除機200で対処が困難かを判定する。このために、掃除実績判定部34は、判定基準情報364が用いられるが、この判定手法は上述のとおりである。この結果、対処が困難である場合(YES)、ステップS14に遷移する。対処が可能な場合(NO)、ステップS17に遷移し、自律走行型掃除機200で対処可能な残留汚れがあることが情報端末装置100に通知される。この結果、使用者が情報端末装置100を用いて、自律走行型掃除機200に再掃除を実行させることが可能となる。なお、この場合、掃除制御部13が、通信部11を用いて自律走行型掃除機200に、再掃除を要求する制御指令を通知してもよい。この結果、自律走行型掃除機200が掃除済領域を再掃除することになる。
【0065】
また、ステップS14において、掃除実績判定部34が、判定基準情報364を用いて、残留汚れに対する対処可能な手法を特定する。このために、掃除実績判定部34は、判定基準情報364の残留汚れと対処可能な手法を示す対応関係を用いる。この際、対処可能な手法が無い場合、掃除実績判定部34が通信部31を用いて、情報端末装置100にその旨を通知してもよい。
【0066】
また、ステップS15において、掃除実績判定部34が、ステップS14で機器が特定された場合、該当の機器が制御可能な機器であるかを判定する。このために、家電サーバー300は、使用者が使用可能な機器を管理する情報を用いることが望ましい。この結果、制御可能な機器である場合(YES)、ステップS16に遷移する。また、制御可能な機器でない場合、例えば、通信機能を有さない機器や手作業での対処である場合(NO)、ステップS17に遷移する。この結果、ステップS17では、ステップS14で特定された対処手法が、情報端末装置100に通知されることになる。
【0067】
また、ステップS16において、掃除実績判定部34からの要求により、掃除制御部33が、テップS14で特定された機器に、残留汚れへ対処するための制御指令を作成する。そして、掃除制御部33が、該当の機器に、制御指令を通知する。例えば、床洗浄機500が通信機能等を有し、ステップS14で特定された機器であれば、床洗浄機500による床洗浄で残留汚れを除去ないし低減する。
【0068】
そして、ステップS17において、掃除実績判定部34が、情報端末装置100に、ステップS14で特定された機器に残留汚れに対処するための制御指令を通知した旨の通知を行う。この結果、情報端末装置100の表示部17が、残留汚れの有無、これに対して自律走行型掃除機200が対処可能かといった残留汚れに応じた表示が可能となる。このため、使用者自身での対処を含め、残留汚れに対する適切な対処が可能となる。また、以上のステップS16およびステップS17で、判定結果に応じた出力がなされる。このため、家電サーバー300の通信部31と情報端末装置100の表示部17は、判定結果を出力する出力部として把握することが可能である。
【0069】
以上で
図13の説明を終わり、
図12に戻り残留汚れ判定処理の後の処理について説明する。上述のステップS17で説明したように、家電サーバー300から情報端末装置100に、残留汚れ判定処理の判定結果が通知される。そして、情報端末装置100の表示部17が判定結果を表示することになる。
【0070】
また、上述の例では、掃除中に残留汚れの判定処理等を実行したが、掃除後にこれらを実行してもよい。このことも
図12に合わせて記載している。つまり、自律走行型掃除機200が掃除を終了すると、制御装置30が、走行モータ3m、4m、ファンモータ21およびなどを制御し、掃除を終了する。
【0071】
また、制御装置30は、掃除が終了すると、掃除済領域情報要求に応じて、カメラ90を制御して、掃除が済んだ掃除済領域を撮影する。そして、制御装置30が、通信機器80を介して、家電サーバー300に、撮影された画像データである掃除済領域情報を通知する。この結果、家電サーバー300の通信部31が、掃除済領域情報を受け付け、残留汚れの判定処理およびその結果の通知を、
図13に従って実行することになる。但し、この場合、カメラ90は掃除中には撮影をしなくともよい。
【0072】
なお、本実施例では、残留汚れについての判定処理を家電サーバー300で実行したが、その少なくとも一部を情報端末装置100の該当する構成で実行してもよい。またさらに、自律走行型掃除機200で当該判定処理の少なくとも一部を実行してもよい。この場合、本実施例の処理を自律走行型掃除機200と情報端末装置100が連携して処理して、掃除支援システムとして実行してもよい。以上で実施例1の説明を終わる。このように、掃除支援システムは、自律走行型掃除機200と、情報端末装置100や家電サーバー300の少なくともいずれかである情報処理装置で構成可能である。
また、地図作成部30-1では、塵埃センサ70が検知した塵埃検知結果、自己位置判定部30-2が判定した自律走行型掃除機200の自己位置を基に、塵埃収集情報を作成する。塵埃収集情報とは、例えば、床面の塵埃量や位置情報をまとめたデータである。なお、地図作成部30-1で作成された地図情報、塵埃収集情報は、制御装置30の記憶部に記憶される。
また、走行制御部30-4は、作成された走行経路に従って自律走行型掃除機200が走行するよう、走行指令をデバイス制御部に通知する。また、デバイス制御部30-5は、走行制御部30-4の走行指令に伴い、走行モータ3m,4m、サイドブラシモータ6m、ファンモータ21を制御する。
通信機器80は、通信手段の一種であり、走行経路作成部30-3が作成した走行経路を家電サーバー300に通知する。さらに、通信機器80は、自己位置判定部30-2が判定した自律走行型掃除機200の自己位置、記憶部に記憶された地図情報、記憶部に記憶された障害物識別結果を周期的(例えば、定期的)に家電サーバー300に送信する。
また、ステップS102において、制御装置30は、生成された経路に従い、終了条件を満たすまで経路追従走行を実施する。つまり、ステップS103において、経路追従走行中に、制御装置30が、終了条件を満たすかを判定する。終了条件には、例えば、生成された経路がすべて走行済となる、蓄電池20の充電率が閾値を下回るなどが考えられる。この結果、終了条件を満たす場合(YES)、走行を終了する。また、終了条件を満たさない場合(NO)、ステップS102を継続する。
次に、ステップS101の経路生成の詳細について、説明する。この経路生成処理では、清掃環境に応じてごみ取れ性能や掃除可能範囲を最適化する。このため、折返し幅(狭)、折返し幅(標準)、折返し幅(広)の三種類の折返し幅を定義する。この定義にいては、折返し幅(標準)とし、ごみ取れ性能を高め、より床面の塵埃を集塵したい場合は折返し幅(狭)に、清掃予定領域が広く、現在の電池残量では走行中に電池切れとなる可能性がある場合は折返し幅(広)に設定し、経路を生成する。
まず、経路生成を開始すると、ステップS201において、制御装置30は塵埃収集情報から、前回清掃時に掃除予定領域上にごみが多かったかどうかを判定する。つまり、汚れやすい場所であるかを推定する。この結果、多かった場合(YES)、ステップS202に遷移する。また、少ない場合(NO)、ステップS203に遷移する。
また、ステップS202において、制御装置30が、該当の場所(領域)が、汚れやすい場所であると推定されているので、ごみ取れ性能を向上するために、折返し幅(狭)で経路を生成する。また、ステップS203において、制御装置30が、該当の場所が比較的汚れやすい場所でないと推定されるため、折返し幅(標準)で経路を生成する。
また、ステップS204において、制御装置30が、ステップS203で作成した経路において、清掃予定領域を蓄電池20の現電池残量で全経路の走行可能かどうかを判定する。この結果、走行可能の場合(YES)、本フローチャートを終了する。走行不可能の場合(NO)、ステップS205に遷移する。なお、実施例2では、ステップS203を折返し幅(標準)の場合にのみ行っているが、折返し幅(狭)の場合も行ってもよいし、折返し幅(狭)場合に限定的に行ってもよい。
以上の実施例2によれば、清掃環境に応じて、ごみ取れ性能や掃除可能範囲を最適化することができる自律走行型掃除機200及びこれを備えた掃除支援システムを提供することができる。