(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002539
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】車両用スライドドア開閉装置
(51)【国際特許分類】
E05F 15/655 20150101AFI20241226BHJP
B60J 5/06 20060101ALI20241226BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20241226BHJP
E05F 15/643 20150101ALI20241226BHJP
【FI】
E05F15/655
B60J5/06 A
B60J5/04 C
E05F15/643
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102779
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 直也
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052CA06
2E052DA04
2E052DB04
2E052EA16
2E052EB01
2E052EC01
2E052KA15
(57)【要約】
【課題】車両搭載性が向上した車両用スライドドア開閉装置を提供する。
【解決手段】車両用スライドドア開閉装置10は、ベルトガイド30と、ベルトガイド30に掛け回された無端ベルト50を循環移動させるベルト駆動モジュール70と、無端ベルト50が掛け回される駆動プーリ43を有するベルト駆動モジュール連結ユニット40と、を備える。ベルトガイド30には、無端ベルト50を駆動プーリ43に迂回させる前側迂回プーリ341と後側迂回プーリ342とが長手方向に並んで支持されている。前側迂回プーリ341及び後側迂回プーリ342は、長手方向において、いずれも回転軸が駆動プーリ43の歯先円直径の範囲内に位置するように配置されている。ベルトガイド30は、前側迂回プーリ341と後側迂回プーリ342との間に延在する第1壁部351を有するガイド部35を備える。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略水平方向に長手方向が延在するように車体に取り付けられるベルトガイドと、
前記ベルトガイドの前記長手方向の一端部及び他端部に掛け回され、前記ベルトガイドの前記長手方向に沿って循環移動する無端ベルトと、
前記無端ベルトに固定され、スライドドアに接続されるベルト接続具と、
前記無端ベルトを循環移動させる動力を出力するベルト駆動モジュールと、
前記ベルトガイドと前記ベルト駆動モジュールとを連結し、前記ベルト駆動モジュールから出力された動力で前記無端ベルトを循環移動させるベルト駆動モジュール連結ユニットと、を備える、車両用スライドドア開閉装置であって、
前記ベルト駆動モジュール連結ユニットは、前記ベルト駆動モジュールから出力された動力で回転し、前記無端ベルトが迂回して掛け回される駆動プーリを備え、
前記ベルトガイドには、所定の張力を付与して前記無端ベルトを前記駆動プーリに迂回させる第1迂回プーリと第2迂回プーリとが前記ベルトガイドの前記長手方向に並んで支持されており、
前記第1迂回プーリ及び前記第2迂回プーリは、前記長手方向において、いずれも回転軸が前記駆動プーリの歯先円直径の範囲内に位置するように配置されており、
前記ベルトガイドは、
前記第1迂回プーリと前記第2迂回プーリとの間を、前記長手方向と前記第1迂回プーリ及び前記第2迂回プーリの回転軸方向である第1方向との双方に垂直な第2方向に延在して、前記第1迂回プーリと前記第2迂回プーリとを前記長手方向に仕切る第1壁部を有するガイド部を備える、
車両用スライドドア開閉装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用スライドドア開閉装置であって、
前記第2方向において、前記第1壁部は、前記第1方向から見て、前記第1迂回プーリの駆動プーリ側端部及び前記第2迂回プーリの駆動プーリ側端部よりも前記駆動プーリに近い位置まで延出しており、
前記第2方向において、前記第1壁部の駆動プーリ側端部は、前記第1方向から見て、前記駆動プーリ側に凸状に湾曲している、
車両用スライドドア開閉装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両用スライドドア開閉装置であって、
前記ガイド部は、前記第1壁部に接続して前記長手方向に延在する第2壁部を備え、
前記第1壁部と前記第2壁部との接続部は、
前記第1方向から見て、前記第1迂回プーリと対向して前記第1迂回プーリに沿って湾曲する第1対向面と、前記第2迂回プーリと対向して前記第2迂回プーリに沿って湾曲する第2対向面と、を有する、
車両用スライドドア開閉装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用スライドドア開閉装置であって、
前記第1方向から見て、前記第2壁部の前記長手方向の一方側の端部及び他方側の端部は、前記長手方向に凸状に湾曲している、
車両用スライドドア開閉装置。
【請求項5】
請求項1に記載の車両用スライドドア開閉装置であって、
前記第1迂回プーリと前記第2迂回プーリとは、前記第1方向から見て、前記駆動プーリの回転軸を通って前記第2方向に延びる仮想直線を対称軸として線対称となる位置及び形状となっている、
車両用スライドドア開閉装置。
【請求項6】
請求項1に記載の車両用スライドドア開閉装置であって、
前記ベルト駆動モジュール連結ユニットには、前記第1方向から見て、前記駆動プーリにおいて前記無端ベルトが噛合する噛合領域の端部近傍にガイドピンが設けられている、
車両用スライドドア開閉装置。
【請求項7】
請求項1に記載の車両用スライドドア開閉装置であって、
前記第1壁部の前記第2方向において前記駆動プーリと対向する駆動プーリ側端部には、前記第1方向から見て、前記駆動プーリの歯形状に合わせた凹形状を有する凹部が形成されている、
車両用スライドドア開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のスライドドアを開閉させる車両用スライドドア開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、引き戸式のスライドドアが搭載された車両が知られている。特に、ワンボックスカー、ワゴン、バン等の車両に引き戸式のスライドドアが搭載されていることが多い。近年、スライドドアが搭載された車両においては、スライドドアの開閉動作の自動化が図られてきている。
【0003】
例えば、特許文献1及び特許文献2には、車両のボディパネルに取り付けられ、無端ベルトが循環するようにガイドするベルトモジュールと、無端ベルトを駆動させるモータモジュールと、を有し、モータモジュールから出力される動力で無端ベルトが循環することによってスライドドアを自動開閉させる車両用スライドドア開閉装置が開示されている。特許文献1及び特許文献2に記載の車両用スライドドア開閉装置は、モータモジュールの出力シャフトが連結して出力シャフトと一体に回転する駆動プーリを備える。駆動プーリには、無端ベルトが掛け回されており、モータモジュールから出力される動力で出力シャフトと一体に駆動プーリが回転することによって、無端ベルトが循環する。
【0004】
さらに、特許文献1に記載の車両用スライドドア開閉装置は、無端ベルトの張力と走路を制御して無端ベルトを駆動プーリに掛け回す2つのアイドルプーリを備える。また、特許文献2に記載の車両用スライドドア開閉装置は、無端ベルトに所定の張力を付与して無端ベルトを車内側に迂回させて駆動プーリに掛け回す2つの導入プーリを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4296136号公報
【特許文献2】特開2022-108677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の車両用スライドドア開閉装置は、駆動プーリ及び2つのアイドルプーリを車両の後方に配置し、さらに、一方のアイドルプーリが駆動プーリよりも車内側に配置されるため、モータモジュール周辺の構造が大型化してしまい、レイアウト面で制約があった。
【0007】
一方、特許文献2に記載の車両用スライドドア開閉装置は、2つの導入プーリをいずれも駆動プーリよりも車外側、すなわち、駆動プーリとベルトガイドとの間に配置することによって、車幅方向の寸法を小さくすることを実現しているが、2つの導入プーリが前後方向に並んで配置されるため、前後方向の寸法が大きくなり、モータモジュールを取り付けるために車体パネルに設けられる取付孔が大きくなってしまうという課題があった。
【0008】
このように、特許文献1及び特許文献2に記載の車両用ドア開閉装置は、いずれも車両搭載性に改善の余地があった。
【0009】
本発明は、車両搭載性が向上した車両用スライドドア開閉装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
略水平方向に長手方向が延在するように車体に取り付けられるベルトガイドと、
前記ベルトガイドの前記長手方向の一端部及び他端部に掛け回され、前記ベルトガイドの前記長手方向に沿って循環移動する無端ベルトと、
前記無端ベルトに固定され、スライドドアに接続されるベルト接続具と、
前記無端ベルトを循環移動させる動力を出力するベルト駆動モジュールと、
前記ベルトガイドと前記ベルト駆動モジュールとを連結し、前記ベルト駆動モジュールから出力された動力で前記無端ベルトを循環移動させるベルト駆動モジュール連結ユニットと、を備える、車両用スライドドア開閉装置であって、
前記ベルト駆動モジュール連結ユニットは、前記ベルト駆動モジュールから出力された動力で回転し、前記無端ベルトが迂回して掛け回される駆動プーリを備え、
前記ベルトガイドには、所定の張力を付与して前記無端ベルトを前記駆動プーリに迂回させる第1迂回プーリと第2迂回プーリとが前記ベルトガイドの前記長手方向に並んで支持されており、
前記第1迂回プーリ及び前記第2迂回プーリは、前記長手方向において、いずれも回転軸が前記駆動プーリの歯先円直径の範囲内に位置するように配置されており、
前記ベルトガイドは、
前記第1迂回プーリと前記第2迂回プーリとの間を、前記長手方向と前記第1迂回プーリ及び前記第2迂回プーリの回転軸方向である第1方向との双方に垂直な第2方向に延在して、前記第1迂回プーリと前記第2迂回プーリとを前記長手方向に仕切る第1壁部を有するガイド部を備える、
車両用スライドドア開閉装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ベルト駆動モジュール連結ユニットの第2方向の寸法を大きくすることなく長手方向の寸法を小さくできるので、車両用スライドドア開閉装置の車両搭載性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態の車両用スライドドア開閉装置が搭載された車両の概略側面図である。
【
図2】
図1の車両におけるリヤクオータパネル及びセンターレールの側面図である。
【
図3】車両用スライドドア開閉装置の前方斜視図である。
【
図4】
図3の車両用スライドドア開閉装置を、ベルトカバーを取り外した状態で見た前方斜視図である。
【
図6】
図1の車両におけるセンターレール及びセンターガイドローラユニットの要部斜視図である。
【
図7】車両用スライドドア開閉装置のベルトガイド及び無端ベルトの後方斜視図である。
【
図8】車両用スライドドア開閉装置のベルト駆動モジュール連結ユニット及び無端ベルトを車内側から見た斜視図である。
【
図9】車両用スライドドア開閉装置のベルト駆動モジュール連結ユニット及びベルトモジュールを、ベルト駆動モジュール連結ユニットの天板を外した状態で見た斜視図である。
【
図10】
図9のベルト駆動モジュール連結ユニット及びベルトモジュールを、上方から見た要部断面図である。
【
図11】
図8のベルト駆動モジュール連結ユニット及び迂回プーリを、車外側から見た斜視図である。
【
図12】車両用スライドドア開閉装置のベルト接続具及びセンターガイドローラユニットの後方斜視図である。
【
図13】
図12のベルト接続具の第2ブラケットの後方斜視図である。
【
図14】車両用スライドドア開閉装置のベルト駆動モジュールの斜視図である。
【
図15】
図16のベルト駆動モジュールを、ケーシングを外した状態で見た斜視図である。
【
図16】車両用スライドドア開閉装置のベルト駆動モジュールのケーシングの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の車両用スライドドア開閉装置が搭載された車両の一実施形態を、添付図面に基づいて説明する。なお、図面は、符号の向きに見るものとする。また、本明細書等では説明を簡潔且つ明確にするために、前後、左右、上下、並びに、車内側及び車外側の各方向は、車両の運転者から見た方向に従って記載し、図面には、車両の前方をFr、後方をRr、左方をL、右方をR、上方をU、下方をD、として示す。また、左右方向を車幅方向ともいう。
【0014】
<車両>
図1及び
図2に示すように、本実施形態の車両用スライドドア開閉装置10は、車両1を構成する車体2の左側面に取り付けられる。車体2の左側面には、前後方向にスライドして開閉可能に支持されたスライドドア8が配置されており、車両用スライドドア開閉装置10は、スライドドア8を前後方向にスライドさせて開閉する。以下の説明において、車外側というときは左側を指し、車内側というときは右側を指す。
【0015】
車体2の左側面には、車体2のドア開口部の上部で前後方向に延びるように、アッパーレール90uが固定されている。車体2の左側面には、車体2のドア開口部の下部で前後方向に延びるように、ロアレール90dが固定されている。車体2の左側面には、ドア開口部の後方で前後方向に延びるように、センターレール90cが固定されている。センターレール90cは、車体2の左側面のドア開口部の後方で車体2の左後部側面を構成するリヤクオータパネル3に固定されている。リヤクオータパネル3の下端部には、タイヤハウス4が形成されている。リヤクオータパネル3には、タイヤハウス4のやや上方に給油口5が設けられている。センターレール90cは、上下方向において、タイヤハウス4と給油口5との間に配置され、リヤクオータパネル3に固定されている。アッパーレール90u、ロアレール90d、及びセンターレール90cは、いずれも鋼材で形成されている。リヤクオータパネル3には、センターレール90cが配置される位置のやや上方に、後述するベルト駆動モジュール連結ユニット40の迂回部42が車外側から挿入される挿入孔6(
図2参照)が設けられている。
【0016】
車両用スライドドア開閉装置10は、スライドドア8を前後方向にスライドさせて自動開閉する装置である。車両用スライドドア開閉装置10は、車体2のリヤクオータパネル3に取り付けられる。車両用スライドドア開閉装置10は、車両1に搭載された状態において、車体2と同色のフィニッシャー7によって車外側が覆われ、車外側から実質的に見えないように配置される。
【0017】
スライドドア8の上前部には、アッパーガイドローラユニット80uが取り付けられている。スライドドア8の下前部には、ロアガイドローラユニット80dが取り付けられている。スライドドア8の中央後部には、センターガイドローラユニット80cが取り付けられている。スライドドア8のアッパーガイドローラユニット80uは、車体2のアッパーレール90uに前後方向に移動自在に装着される。スライドドア8のロアガイドローラユニット80dは、車体2のロアレール90dに前後方向に移動自在に装着される。スライドドア8のセンターガイドローラユニット80cは、車体2のセンターレール90cに前後方向に移動自在に装着される。スライドドア8は、アッパーガイドローラユニット80u、ロアガイドローラユニット80d、及びセンターガイドローラユニット80cが、それぞれ車体2のアッパーレール90u、ロアレール90d、及びセンターレール90cに支持されながら、前後方向にスライドして開閉する。
【0018】
車体2のリヤクオータパネル3に固定されているセンターレール90cは、略水平方向に長手方向が延在し、前後方向に略直線状に延在する直線部91と、直線部91の前端から連続的に車内側に湾曲しながら前方に延在する湾曲部92と、を有する。センターレール90cは、例えば、鋼材で形成されている。センターレール90cの直線部91及び湾曲部92は、延在方向から見て、断面形状が車外側に開口する角型の変形C字形状を有している。アッパーレール90u及びロアレール90dは、公知の構造であってよく、本発明に直接関係しないため、本明細書において、アッパーレール90u及びロアレール90dの詳細な説明は省略する。
【0019】
図6に示すように、スライドドア8の中央後部に取り付けられたセンターガイドローラユニット80cは、スライドドア8にボルト等の締結部材で固定されるベース部81と、上下方向の軸線回りに回転自在にベース部81に支持された前後2個の第1ガイドローラ821と、前後2個の第1ガイドローラ821の間に配置され、水平方向の軸線回りに回転自在にベース部81に支持された第2ガイドローラ822と、有する。センターガイドローラユニット80cは、前後2個の第1ガイドローラ821及び第2ガイドローラ822がセンターレール90cの変形C字形状の内部に転動自在に装着されることによって、センターレール90cに支持される。センターガイドローラユニット80cは、前後2個の第1ガイドローラ821及び第2ガイドローラ822がセンターレール90cの変形C字形状の内部を転動しながら、センターレール90cの直線部91及び湾曲部92をスライド自在となっている。
【0020】
【0021】
<車両用スライドドア開閉装置>
図3から
図5に示すように、車両用スライドドア開閉装置10は、ベルトモジュール20と、ベルトモジュール20の後述する無端ベルト50を循環移動させるベルト駆動モジュール70と、を備える。
【0022】
ベルトモジュール20は、センターレール90cの上部に配置される。ベルトモジュール20は、センターレール90cに沿って略水平方向に長手方向が延在するように車体に取り付けられるベルトガイド30と、後述するベルト駆動モジュール70が組み付けられるベルト駆動モジュール連結ユニット40と、ベルトガイド30の長手方向の前端部30a及び後端部30bに掛け回され、ベルト駆動モジュール連結ユニット40を通ってベルトガイド30の長手方向に循環移動する無端ベルト50と、無端ベルト50に固定され、スライドドア8に接続されるベルト接続具60と、を有する。
【0023】
さらに、ベルトモジュール20は、ベルトガイド30及び無端ベルト50の車外側を覆うベルトカバー21を備える。
【0024】
ベルト駆動モジュール70は、無端ベルト50をベルトガイド30の長手方向に沿って循環移動させる。ベルト駆動モジュール70は、ベルトモジュール20のベルト駆動モジュール連結ユニット40に組付けられる。
【0025】
車両用スライドドア開閉装置10は、車体2のリヤクオータパネル3に取り付けられる前は、ベルトモジュール20と、ベルト駆動モジュール70と、の2つのモジュールに分割されている。車両用スライドドア開閉装置10は、車体2のリヤクオータパネル3に取り付ける際、ベルトモジュール20を車外側からリヤクオータパネル3に取り付けた後、リヤクオータパネル3の車内側からベルト駆動モジュール70をベルトモジュール20のベルト駆動モジュール連結ユニット40に組み付ける。
【0026】
(ベルトモジュール)
まず、ベルトモジュール20を構成するベルトガイド30、ベルト駆動モジュール連結ユニット40、無端ベルト50、及びベルト接続具60について説明する。
【0027】
なお、以下において、説明を簡潔且つ明確にするために、ベルトガイド30の長手方向及び上下方向の双方に垂直な方向を横方向ともいう。
【0028】
図4、
図5、及び、
図7に示すように、ベルトガイド30は、センターレール90cの直線部91の上部で、センターレール90cの直線部91に沿って前後方向略水平に略直線状に延在する直線ガイド部301と、直線ガイド部301の前端から連続的に、センターレール90cの湾曲部92の上部で、センターレール90cの湾曲部92に沿って車内側に湾曲しながら略水平に前方に延在する湾曲ガイド部302と、を有する。
【0029】
ベルトガイド30は、前端部30aから後端部30bに亘って直線ガイド部301及び湾曲ガイド部302に設けられたガイド壁部311と、底壁部312と、車外側上壁部313と、車内側上壁部314と、複数の縦桟部315と、を有する。ガイド壁部311は、ベルトガイド30の前端部30aから後端部30bに亘って上下方向に延在する。底壁部312は、ベルトガイド30の前端部30aから後端部30bに亘って、ガイド壁部311と並行してガイド壁部311の車内側且つ下方に延在する。車外側上壁部313は、ガイド壁部311の上端部から車外側に向かって延在する。車内側上壁部314は、ガイド壁部311の下端部から、車内側に向かって延在する。縦桟部315は、ベルトガイド30の長手方向に沿って複数設けられる。各々の縦桟部315は、底壁部312の車外側端部から上方に立ち上がって上下方向に延在し、ガイド壁部311の下端部に接続する。縦桟部315の詳細については、後述する。
【0030】
ベルトガイド30の前端部30aには、前反転プーリ321が支持されている。前反転プーリ321は、回転軸が上下方向となる向きで回転自在にベルトガイド30に支持されている。前反転プーリ321は、無端ベルト50が掛け回されることで、ベルトガイド30の前端部30aで、ベルトガイド30の長手方向における無端ベルト50の移動方向を反転させる。ベルトガイド30の前端部30aには、前ブラケット300aが連結されている。前ブラケット300aは、前反転プーリ321の回転軸を中心に回動可能にベルトガイド30に連結されるとともに、ボルト等の締結部材により車体2に固定される。
【0031】
ベルトガイド30の後端部30bには、後反転プーリ322が支持されている。後反転プーリ322は、回転軸が上下方向となる向きで回転自在にベルトガイド30に支持されている。後反転プーリ322は、無端ベルト50が掛け回されることで、ベルトガイド30の後端部30bで、ベルトガイド30の長手方向における無端ベルト50の移動方向を反転させる。ベルトガイド30の後端部30bには、後ブラケット300bが連結されている。後ブラケット300bは、後反転プーリ322の回転軸を中心に回動可能にベルトガイド30に連結されるとともに、ボルト等の締結部材により車体2に固定される。
【0032】
ベルトガイド30には、無端ベルト50に対して所定の張力を付与する複数のテンションプーリ33が支持されている。本実施形態では、テンションプーリ33は、直線ガイド部301の前後方向略中央に配置されたテンションプーリ331と、ベルトガイド30の湾曲ガイド部302の後端部近傍に配置されたテンションプーリ332と、ベルトガイド30の長手方向においてテンションプーリ332と前反転プーリ321との間に配置されたテンションプーリ333と、を有する。テンションプーリ331、332、333はいずれも、ガイド壁部311よりも車内側で、回転軸が略上下方向となる向きで回転自在にベルトガイド30に支持されている。
【0033】
ベルトガイド30の車内側上壁部314には、車内側に突出してテンションプーリ331の上面を覆う上壁側突出支持部314aが設けられている。ベルトガイド30の底壁部312には、車内側に突出してテンションプーリ331の下面を覆う底壁側突出支持部312aが設けられている。テンションプーリ331は、上端部が車内側上壁部314の上壁側突出支持部314aでベルトガイド30に支持されており、下端部が底壁部312の底壁側突出支持部312aでベルトガイド30に支持されている。
【0034】
ベルトガイド30の車内側上壁部314には、車内側に突出してテンションプーリ332の上面とテンションプーリ333の上面とを覆う上壁側突出支持部314bが設けられている。ベルトガイド30の底壁部312には、車内側に突出してテンションプーリ332の下面とテンションプーリ333の下面とを覆う底壁側突出支持部312bが設けられている。上壁側突出支持部314bは、テンションプーリ332の上面からテンションプーリ333の上面に亘ってベルトガイド30の長手方向に沿って車内側に湾曲して延在している。底壁側突出支持部312bは、テンションプーリ332の下面からテンションプーリ333の下面に亘ってベルトガイド30の長手方向に沿って車内側に湾曲して延在している。テンションプーリ332及びテンションプーリ333は、上端部が車内側上壁部314の上壁側突出支持部314bでベルトガイド30に支持されており、下端部が底壁部312の底壁側突出支持部312bでベルトガイド30に支持されている。
【0035】
ベルトガイド30には、所定の張力を付与して無端ベルト50を車内側に迂回させる迂回プーリ34が支持されている。迂回プーリ34は、ベルトガイド30の長手方向に一対と設けられており、前側迂回プーリ341と後側迂回プーリ342とを有する。ベルトガイド30の長手方向に一対設けられた迂回プーリ34(前側迂回プーリ341と後側迂回プーリ342)は、ベルトガイド30の長手方向において、テンションプーリ331とテンションプーリ332との間で、直線ガイド部301の前端部近傍に配置されている。一対の迂回プーリ34は、前側迂回プーリ341及び後側迂回プーリ342いずれも、回転軸が上下方向となる向きで回転自在にベルトガイド30に支持されている。
【0036】
ベルトガイド30の車内側上壁部314には、車内側に突出して一対の迂回プーリ34の上面を覆う上壁側突出支持部314cが設けられている。ベルトガイド30の底壁部312には、車内側に突出して一対の迂回プーリ34の下面を覆う底壁側突出支持部312cが設けられている。一対の迂回プーリ34は、上端部が車内側上壁部314の上壁側突出支持部314cでベルトガイド30に支持されており、下端部が底壁部312の底壁側突出支持部312cでベルトガイド30に支持されている。
【0037】
無端ベルト50は、内側面に無端ベルト50の作動方向に沿って複数の歯部が形成された環状の歯付ベルトである。無端ベルト50の内側面に形成された歯部は、無端ベルト50の作動方向と垂直な方向(本実施形態では上下方向)に延在する山部及び谷部が無端ベルト50の作動方向に沿って交互に配列されることによって形成されている。したがって、無端ベルト50の内側面に形成された各々の歯部は、無端ベルト50の作動方向と垂直な方向(本実施形態では上下方向)に延在する。
【0038】
無端ベルト50は、前反転プーリ321及び後反転プーリ322に掛け回され、ベルトガイド30の長手方向に沿って、上下方向から見て、ベルトガイド30のガイド壁部311を取り囲むように循環する。そして、上下方向から見て、ベルトガイド30のガイド壁部311の車外側を通る無端ベルト50は、ベルトガイド30のガイド壁部311とベルトカバー21との間に延在する。これにより、無端ベルト50の車外側がベルトカバー21に覆われ、無端ベルト50に異物が接触することが防止される。
【0039】
無端ベルト50は、テンションプーリ33及び前後一対の迂回プーリ34の車外側を通るように掛け回される。無端ベルト50は、前後一対の迂回プーリ34の間で車内側に迂回して、後述するベルト駆動モジュール連結ユニット40の駆動プーリ43に掛け回される。
【0040】
無端ベルト50は、テンションプーリ33によって所定の張力が付与され、車内側に弛むことを抑制しつつ、ベルトガイド30の長手方向に沿って掛け回される。
【0041】
図7から
図11に示すように、ベルト駆動モジュール連結ユニット40は、リヤクオータパネル3の挿入孔6を車外側から覆うようにベルトガイド30に固定される組付座41と、組付座41の下部から車内側に突出するように設けられており、無端ベルト50の一部がベルトガイド30に設けられた迂回プーリ34から車内側に迂回して内部を通る迂回部42と、を有する。
【0042】
組付座41は、リヤクオータパネル3の挿入孔6(
図2参照)を塞ぐ板状となっており、本実施形態では、略台形の板状となっている。
【0043】
組付座41は、第1ボルト挿通孔411aと、第2ボルト挿通孔411bと、矩形孔413と、を有する。第1ボルト挿通孔411aは、車幅方向から見て、組付座41の前下隅部と後下隅部とに前後一対設けられた車幅方向に貫通する孔である。第2ボルト挿通孔411bは、車幅方向から見て、組付座41の前上隅部と後上隅部とに前後一対設けられた車幅方向に貫通する孔である。矩形孔413は、車幅方向に貫通する孔である。本実施形態では、矩形孔413は、車幅方向から見て、上下方向よりも前後方向に長い長方形状の孔であり、組付座41の上下方向中央よりも下側の領域に形成されている。
【0044】
迂回部42は、ベルトガイド30から車内側に迂回した無端ベルト50が内部を通る迂回部ケース421を備える。迂回部ケース421は、組付座41の車外側の面に沿って延在し、組付座41の車外側の面に当接する当接座部421aと、組付座41の車内側に突出し、上面及び車外側の側面が開口した薄板箱状の収容部421bと、を有する。迂回部42の迂回部ケース421は、樹脂で形成されており、当接座部421aと収容部421bとは、一体に成形されている。収容部421bは、当接座部421aから組付座41の矩形孔413と、リヤクオータパネル3の挿入孔6とを挿通して、組付座41の車内側に突出している。
【0045】
迂回部42は、収容部421bの上面の開口部分を覆う天板422をさらに備える。
【0046】
迂回部ケース421の当接座部421aには、車幅方向に貫通する前後一対の第1ボルト挿通孔421cと、車幅方向に貫通する前後一対の第2ボルト挿通孔421dと、が設けられている。前後一対の第1ボルト挿通孔421cは、組付座41に設けられた前後一対の第1ボルト挿通孔411aと重なる位置にそれぞれ設けられている。前後一対の第2ボルト挿通孔421dは、組付座41に設けられた前後一対の第2ボルト挿通孔411bと重なる位置にそれぞれ設けられている。前後一対の第1ボルト挿通孔421cの内周面には、それぞれ雌ねじ筒423cが嵌合されている。
【0047】
迂回部ケース421の当接座部421aに設けられた前後一対の第2ボルト挿通孔421dには、車外側から不図示のボルトが挿通する。第2ボルト挿通孔421dを挿通するボルトは、組付座41に設けられた第2ボルト挿通孔411bと、リヤクオータパネル3に設けられた不図示の挿通孔と、を挿通して、リヤクオータパネル3の車内側に設けられた不図示のナットに螺合する。そして、迂回部ケース421の当接座部421aと、組付座41とが、ボルト及びナットによって、リヤクオータパネル3に共締めされる。これにより、ベルト駆動モジュール連結ユニット40の組付座41及び迂回部ケース421は、車体2のリヤクオータパネル3に固定される。
【0048】
迂回部ケース421の収容部421bの車内側の端部には、車内側に突出した突出部421eが形成されている。突出部421eには、上下方向に貫通する第3ボルト挿通孔421fが設けられている。第3ボルト挿通孔421fの内周面には、雌ねじ筒423fが嵌合されている。
【0049】
迂回部42の収容部421bと天板422とによって囲まれた空間には、駆動プーリ43が収容されている。さらに、迂回部42の収容部421bと天板422とによって囲まれた空間には、前述したベルトガイド30に支持された前後一対の迂回プーリ34も収容される。
【0050】
ベルトガイド30に支持された前後一対の迂回プーリ34は、上下方向から見て、収容部421bの車外側の側面の開口部分から車外側に一部が突出するようにして、収容部421bの車外側の側面の開口部分の前部と後部とに配置されている。
【0051】
無端ベルト50は、前後一対の迂回プーリ34によって所定の張力が付与された状態で車内側に迂回して、後述するベルト駆動モジュール連結ユニット40の駆動プーリ43に掛け回される。
【0052】
駆動プーリ43は、ベルト駆動モジュール70の後述する回転電機71の動力によって回転駆動する。
【0053】
無端ベルト50は、後述する駆動プーリ43がベルト駆動モジュール70の後述する回転電機71の動力によって回転駆動することによって、ベルトガイド30の長手方向に沿って、上下方向から見て、ベルトガイド30のガイド壁部311を取り囲んで循環移動する。
【0054】
駆動プーリ43は、上下方向から見て、車幅方向において一対の迂回プーリ34よりも車内側、且つ、ベルトガイド30の長手方向において前側迂回プーリ341と後側迂回プーリ342との間、に配置されている。駆動プーリ43は、収容部421bの底面と天板422とによって、回転軸が上下方向となる向きで回転自在に支持されている。駆動プーリ43は、上下方向に延びるシャフト挿通孔431を有する。シャフト挿通孔431は、駆動プーリ43の回転軸に設けられている。シャフト挿通孔431の内周面には、後述するベルト駆動モジュール70の外部出力シャフト724に形成された外歯セレーション724aが噛合する内歯セレーション431aが形成されている。
【0055】
前側迂回プーリ341及び後側迂回プーリ342は、ベルトガイド30の長手方向において、いずれも回転軸が駆動プーリ43の歯先円直径の範囲内に位置するように配置されている。
【0056】
このように、前側迂回プーリ341及び後側迂回プーリ342を駆動プーリ43よりも車外側に配置し、且つ、ベルトガイド30の長手方向において、回転軸が駆動プーリ43の歯先円直径の範囲内に位置するように前側迂回プーリ341及び後側迂回プーリ342を配置して、ベルトガイド30の長手方向における前側迂回プーリ341と後側迂回プーリ342との間隔を狭くすることで、車幅方向及びベルトガイド30の長手方向の外形を小さくできる。
【0057】
さらに、ベルト駆動モジュール連結ユニット40の車幅方向及びベルトガイド30の長手方向の外形が小さくなることで、リヤクオータパネル3に形成する挿入孔6の大きさを小さくすることができるので、車両用スライドドア開閉装置10の車両搭載性が向上する。
【0058】
また、ベルトガイド30の長手方向における前側迂回プーリ341と後側迂回プーリ342との間隔を狭くすることで、駆動プーリ43のより広範囲で無端ベルト50の歯部が噛合するので、無端ベルト50が動作する際に歯飛びが生じることを抑制できる。
【0059】
ベルトガイド30は、前側迂回プーリ341と後側迂回プーリ342との間をベルトガイド30の長手方向及び上下方向の双方に垂直な横方向に延在して、前側迂回プーリ341と後側迂回プーリ342とをベルトガイド30の長手方向に仕切る第1壁部351を有するガイド部35を備える。
【0060】
これにより、ベルトガイド30の長手方向における前側迂回プーリ341と後側迂回プーリ342との間隔を狭くした場合でも、無端ベルト50が前側迂回プーリ341と後側迂回プーリ342との間で接触することを第1壁部351によって防止することができるので、ベルトガイド30の長手方向における前側迂回プーリ341と後側迂回プーリ342との間隔をより狭くすることができる。
【0061】
横方向において、第1壁部351は、上下方向から見て、前側迂回プーリ341の駆動プーリ側端部341a及び後側迂回プーリ342の駆動プーリ側端部342aよりも駆動プーリ43に近い位置まで延出している。
【0062】
これにより、迂回部ケース421の内部で無端ベルト50が撓んだ場合でも、無端ベルト50が他部品と干渉すること、及び、無端ベルト50の歯部同士が引っ掛かることを防ぐことができる。
【0063】
また、横方向において、第1壁部351の駆動プーリ側端部351aは、上下方向から見て、駆動プーリ43と対向しており、駆動プーリ43側に凸状に湾曲している。
【0064】
これにより、無端ベルト50が撓んだ場合でも、無端ベルト50の歯部が第1壁部351の駆動プーリ側端部351aに引っ掛かることを防止することができるとともに、無端ベルト50と第1壁部351とが接触した場合に生じる無端ベルト50の擦れ音を低減することができる。
【0065】
さらに、第1壁部351の駆動プーリ側端部351aには、上下方向から見て、駆動プーリ43の歯形状に合わせた凹形状を有する凹部351bが形成されている。
【0066】
ガイド部35は、第1壁部351に接続して長手方向に延在する第2壁部352をさらに備える。
【0067】
そして、第1壁部351と第2壁部352との接続部353は、上下方向から見て、前側迂回プーリ341と対向して前側迂回プーリ341に沿って湾曲する第1対向面353aと、後側迂回プーリ342と対向して後側迂回プーリ342に沿って湾曲する第2対向面353bと、を有する。本実施形態では、第1対向面353aは、上下方向から見て、前側迂回プーリ341の回転軸を中心とする略円弧形状を有しており、第2対向面353bは、上下方向から見て、後側迂回プーリ342の回転軸を中心とする略円弧形状を有している。
【0068】
これにより、一対の迂回プーリ34とガイド部35とで、迂回部ケース421における無端ベルト50の入口・出口や、迂回部ケース421内における無端ベルト50の迂回経路を規制することで、駆動プーリ43から無端ベルト50に入力される駆動力の伝達ロスが減少し、無端ベルト50を安定して作動させることができる。
【0069】
さらに、第2壁部352の前端部352a及び後端部352bは、上下方向から見て、前後方向に凸状に湾曲している。
【0070】
これにより、無端ベルト50の循環移動時に、無端ベルト50の歯部が第2壁部352の前端部352a及び後端部352bに引っ掛かることを防止することができるとともに、無端ベルト50と第2壁部352とが接触した場合に生じる無端ベルト50の擦れ音を低減することができる。
【0071】
また、前側迂回プーリ341と後側迂回プーリ342とは、上下方向から見て、駆動プーリ43の回転軸を通って横方向に延びる仮想直線VL1を対称軸として線対称となる位置及び形状となっている。
【0072】
このように、仮想直線VL1を対称軸として、駆動プーリ43と一対の迂回プーリ34とが無端ベルト50の作動方向で対称配置となることで、無端ベルト50の動力バランスが良好となり、無端ベルト50の作動方向に関わらず無端ベルト50の作動が安定する。
【0073】
ベルト駆動モジュール連結ユニット40の迂回部ケース421には、上下方向から見て、駆動プーリ43において無端ベルト50が噛合する噛合領域432の前端部432a及び後端部432bの近傍にそれぞれガイドピン36が設けられている。
【0074】
これにより、駆動プーリ43における無端ベルト50が噛合し始める位置の近傍と、無端ベルト50が離脱し始める位置の近傍とにガイドピン36が設けられることとなるので、無端ベルト50が撓むことをより効果的に防ぐことができ、無端ベルト50が動作する際に歯飛びが生じることをより効果的に抑制できる。
【0075】
天板422は、駆動プーリ43のシャフト挿通孔431を露出させ、駆動プーリ43のシャフト挿通孔431以外の部分の収容部421bの上方を覆っており、迂回部ケース421にボルト止めされている。
【0076】
図12及び
図13に示すように、ベルト接続具60は、無端ベルト50と、スライドドア8のセンターガイドローラユニット80cとを互いに接続する。ベルト接続具60の上部は、無端ベルト50の車外側を移動する部分に固定される。ベルト接続具60の下部は、スライドドア8のセンターガイドローラユニット80cのベース部81に連結する。
【0077】
ベルト接続具60は、無端ベルト50を車幅方向に挟み込む車外側の第1ブラケット61及び車内側の第2ブラケット62と、を有する。
【0078】
第1ブラケット61は、無端ベルト50の外側面と対向する挟持部611と、挟持部611から下方に延在する下方延在部612と、下方延在部612の下端部から車外側に屈曲して車外側に延在する車外側延在部613と、を有する。下方延在部612には、車幅方向に貫通する前後一対の挿通孔612aが設けられている。車外側延在部613には、上下方向に貫通する前後一対のボルト挿通孔613aが設けられている。スライドドア8のセンターガイドローラユニット80cのベース部81は、ボルト挿通孔613aを挿通する締結ボルトによって第1ブラケット61に固定される。
【0079】
第2ブラケット62は、無端ベルト50の内側面と対向する噛合部621と、噛合部621から下方に延在する下方延在部622と、下方延在部622の下端部から車内側に屈曲して車内側に延在する車内側延在部623と、を有する。噛合部621には、無端ベルト50の内側面と対向する面に歯部621aが形成されている。下方延在部622には、第1ブラケット61の挿通孔612aと重なる位置で車幅方向に貫通する前後一対の挿通孔622aが設けられている。車内側延在部623は、スライドドア8のセンターガイドローラユニット80cのベース部81に上方から当接する。
【0080】
ベルト接続具60は、第2ブラケット62の噛合部621に設けられた歯部621aを無端ベルト50の内側面に形成されている歯部と噛み合わせて、第1ブラケット61の挟持部611と第2ブラケット62の噛合部621とで無端ベルト50を挟み込む。そして、第1ブラケット61と第2ブラケット62とは、第1ブラケット61の下方延在部612と第2ブラケット62の下方延在部622とが対向し、第1ブラケット61の挿通孔612aと第2ブラケット62の挿通孔622aを挿通するリベット等の締結部材によって共締めされる。これにより、ベルト接続具60は、強固に無端ベルト50に固定される。
【0081】
このようにして、ベルト接続具60及びセンターガイドローラユニット80cを介して、無端ベルト50とスライドドア8とは互いに接続する。これにより、無端ベルト50が上方から見て時計回りに循環移動すると、無端ベルト50に固定されたベルト接続具60が前方に移動するので、ベルト接続具60及びセンターガイドローラユニット80cを介して無端ベルト50に接続されたスライドドア8は、前方、すなわち閉方向へ移動する。さらに、無端ベルト50が上方から見て反時計回りに循環移動すると、無端ベルト50に固定されたベルト接続具60が後方に移動するので、ベルト接続具60及びセンターガイドローラユニット80cを介して無端ベルト50に接続されたスライドドア8は、後方、すなわち開方向へ移動する。
【0082】
(ベルト駆動モジュール)
次に、ベルト駆動モジュール70について、
図14から
図16を参照しながら説明する。
【0083】
図14から
図16に示すように、ベルト駆動モジュール70は、無端ベルト50を循環移動させる動力を出力する回転電機71と、回転電機71の動力の回転速度を減速して出力する減速機72と、回転電機71及び減速機72を収容するケーシング73と、を有する。
【0084】
回転電機71は、ケーシング73に固定されている。回転電機71は、不図示のロータ及びステータを有する。
【0085】
回転電機71には、回転電機71から下方に突出し、前述のロータと一体に回転する回転電機出力シャフト711が取り付けられている。回転電機出力シャフト711は、回転電機71から下方に突出した部分の外周面が外歯車状になっている。回転電機71には、不図示の電力線が接続されており、電力線から供給される電力によって、回転電機71のロータと回転電機出力シャフト711とが一体に回転する。
【0086】
減速機72は、第1ギヤ72aと、第2ギヤ72bと、を備える。第1ギヤ72a及び第2ギヤ72bは、いずれも回転軸が上下方向となる向きで回転自在にケーシング73に支持されている。
【0087】
第1ギヤ72aは、外歯車である大径歯車721と、大径歯車721の下面から下方に突出し、大径歯車721と同軸の外歯車であり大径歯車721よりも小径の小径歯車722と、を備える。大径歯車721は、回転電機71の外歯車状の回転電機出力シャフト711と噛合する。
【0088】
第2ギヤ72bは、第1ギヤ72aの小径歯車722よりも大径の外歯車である大径歯車723と、大径歯車723の下面から下方に突出し、大径歯車723の回転軸に沿って延びる外部出力シャフト724と、を備える。
【0089】
大径歯車723は、第1ギヤ72aの小径歯車722と噛合する。
【0090】
外部出力シャフト724は、回転電機71の動力をベルト駆動モジュール70の外部に出力する。外部出力シャフト724は、外周面に外歯セレーション724aが設けられている。
【0091】
そして、ベルト駆動モジュール70の外部出力シャフト724をベルト駆動モジュール連結ユニット40の駆動プーリ43に連結させて、ベルト駆動モジュール70をベルト駆動モジュール連結ユニット40に組み付ける。具体的には、外部出力シャフト724の外周面に設けられた外歯セレーション724aを、駆動プーリ43のシャフト挿通孔431に設けられた内歯セレーション431aに噛合させて、外部出力シャフト724をベルト駆動モジュール連結ユニット40の駆動プーリ43に連結させる。
【0092】
このとき、上下方向から見て外部出力シャフト724の回転軸の位置と駆動プーリ43の回転軸の位置とが一致し、且つ、外部出力シャフト724の外歯セレーション724aの周方向位置と、シャフト挿通孔431の内歯セレーション431aの周方向位置とが、互いに噛合する位置にならなければ、外部出力シャフト724はシャフト挿通孔431に挿入されない。そのため、外部出力シャフト724をベルト駆動モジュール連結ユニット40の駆動プーリ43に連結させるには、外部出力シャフト724の外歯セレーション724aの周方向位置と、シャフト挿通孔431の内歯セレーション431aの周方向位置とが、互いに噛合する位置となるように位置合わせをする必要がある。
【0093】
本実施形態では、前述したように、ガイド部35の第1壁部351の駆動プーリ側端部351aには、上下方向から見て、駆動プーリ43の歯形状に合わせた凹形状を有する凹部351bが形成されている。
【0094】
そして、外部出力シャフト724をベルト駆動モジュール連結ユニット40の駆動プーリ43に連結させる直前に、駆動プーリ43の1つの歯を、第1壁部351の駆動プーリ側端部351aに形成された凹部351bに噛合させることで、駆動プーリ43の周方向位置、延いては外部出力シャフト724の外歯セレーション724aの周方向位置を位置決めすることができる。これにより、外部出力シャフト724の外歯セレーション724aの周方向位置と、シャフト挿通孔431の内歯セレーション431aの周方向位置とを、互いに噛合する位置となるように位置合わせすることが容易となり、ベルト駆動モジュール70の外部出力シャフト724をベルト駆動モジュール連結ユニット40の駆動プーリ43に連結させる際の作業性が向上する。
【0095】
そして、ベルト駆動モジュール70の外部出力シャフト724とベルト駆動モジュール連結ユニット40の駆動プーリ43とが連結することで、回転電機71の動力が、回転電機出力シャフト711から減速機72の第1ギヤ72aに伝達され、第1ギヤ72a及び第2ギヤ72bによって減速されて、第2ギヤ72bの外部出力シャフト724からベルト駆動モジュール連結ユニット40の駆動プーリ43に伝達され、駆動プーリ43は、回転電機71の動力によって回転駆動する。
【0096】
ケーシング73は、ベルト駆動モジュール連結ユニット40の組付座41の車内側に配置される。ケーシング73は、アッパーケーシング73uと、アッパーケーシング73uの下部に取り付けられるロアケーシング73dと、を備える。アッパーケーシング73uは、回転電機71を支持して収容し、第1ギヤ72aの上端、及び第2ギヤ72bの上端を回転可能に軸支する。ロアケーシング73dは、回転電機71から下方に突出する回転電機出力シャフト711と、第1ギヤ72aと、第2ギヤ72bの大径歯車723と、を収容し、第1ギヤ72aの下端を回転可能に軸支する。外部出力シャフト724の下部は、ロアケーシング73dから下方に突出しており、ケーシング73から下方に向かって外部に露出している。
【0097】
アッパーケーシング73uの下面には、雌ネジ孔が複数設けられており、ロアケーシング73dにはボルト挿通孔が複数設けられており、ボルトがロアケーシング73dの下方からロアケーシング73dのボルト挿通孔を挿通してアッパーケーシング73uの雌ネジ孔に締結することによって、アッパーケーシング73uはロアケーシング73dに固定されている。
【0098】
ロアケーシング73dには、車内側に突出する第1脚部731と、下方に突出する前後一対の第2脚部732と、が形成されている。第1脚部731は、迂回部ケース421の突出部421eの上面と対向する位置に配置される。第1脚部731には、車内側に向かって開口する第1切欠溝731aが設けられている。第1切欠溝731aは、迂回部ケース421の突出部421eに設けられた第3ボルト挿通孔421fと重なる位置に設けられている。前後一対の第2脚部732は、組付座41と対向する位置に配置される。前後一対の第2脚部732には、それぞれ第2切欠溝732aが設けられている。前方の第2脚部732に設けられた第2切欠溝732aは、後方に向かって開口しており、後方の第2脚部732に設けられた第2切欠溝732aは、前方に向かって開口している。前後一対の第2脚部732に設けられた第2切欠溝732aは、組付座41に設けられた前後一対の第1ボルト挿通孔411a、及び、迂回部ケース421の当接座部421aに設けられた前後一対の第1ボルト挿通孔421cと重なる位置にそれぞれ設けられている。
【0099】
第1脚部731に設けられた第1切欠溝731aには、円環状の第1免振部材741が嵌合される。前後一対の第2脚部732に設けられた第2切欠溝732aには、それぞれに円環状の第2免振部材742が嵌合される。
【0100】
第1切欠溝731aに第1免振部材741が嵌合された第1脚部731は、第1ボルト751が上方から第1免振部材741の円環内部を挿通して、迂回部ケース421の第3ボルト挿通孔421fに嵌合した雌ねじ筒423fに螺合することによって、第1免振部材741を介して迂回部ケース421の上面に固定される。
【0101】
第2切欠溝732aに嵌合された第2免振部材742の円環内部には、車内側の斜め上方から第2ボルト752が挿通する。第2ボルト752は、第2免振部材742の円環内部と、リヤクオータパネル3に設けられた不図示の挿通孔と、組付座41の第1ボルト挿通孔411aと、を挿通して、迂回部ケース421の当接座部421aに設けられた第1ボルト挿通孔421cに嵌合した雌ねじ筒423c(
図9参照)に螺合する。そして、第2脚部732と、第2免振部材742と、組付座41と、リヤクオータパネル3と、迂回部ケース421の当接座部421aとが、第2ボルト752によって共締めされる。これにより、ベルト駆動モジュール70のケーシング73が、ベルト駆動モジュール連結ユニット40の組付座41及び迂回部ケース421に固定されるとともに、ベルト駆動モジュール連結ユニット40の組付座41及び迂回部ケース421と、ベルト駆動モジュール70のケーシング73とが、車体2のリヤクオータパネル3に固定される。
【0102】
このようにして、ベルト駆動モジュール70のケーシング73は、第1免振部材741及び第2免振部材742を介して、ベルト駆動モジュール連結ユニット40の組付座41及び迂回部ケース421に固定される。したがって、ベルト駆動モジュール70のケーシング73は、ベルト駆動モジュール連結ユニット40の組付座41及び迂回部ケース421とは直接接触せずに固定される。これにより、ベルト駆動モジュール70で生じる振動等が、車体2及びベルトモジュール20に伝わることを防止でき、車体2及びベルトモジュール20で生じる振動等が、ベルト駆動モジュール70に伝わることを防止できる。
【0103】
ベルト駆動モジュール70のケーシング73が、ベルト駆動モジュール連結ユニット40の組付座41及び迂回部ケース421に固定されることによって、ベルト駆動モジュール70は、ベルト駆動モジュール連結ユニット40に固定される。
【0104】
本実施形態では、回転電機71が正転駆動して、回転電機出力シャフト711が上方から見て時計回りに回転すると、駆動プーリ43は、上方から見て時計回りに回転駆動して、無端ベルト50を上方から見て時計回りに循環移動させる。これにより、無端ベルト50に固定されたベルト接続具60が前方に移動するので、ベルト接続具60及びセンターガイドローラユニット80cを介して無端ベルト50に接続されたスライドドア8は、前方、すなわち閉方向へ移動する。このようにして、車両用スライドドア開閉装置10は、ベルト駆動モジュール70において、回転電機71を正転駆動させることによって、スライドドア8を閉方向へ移動させる。
【0105】
また、回転電機71が逆転駆動して、回転電機出力シャフト711が上方から見て反時計回りに回転すると、駆動プーリ43は、上方から見て反時計回りに回転駆動して、無端ベルト50を上方から見て反時計回りに循環移動させる。これにより、無端ベルト50に固定されたベルト接続具60が後方に移動するので、ベルト接続具60及びセンターガイドローラユニット80cを介して無端ベルト50に接続されたスライドドア8は、後方、すなわち開方向へ移動する。このようにして、車両用スライドドア開閉装置10は、ベルト駆動モジュール70において、回転電機71を逆転駆動させることによって、スライドドア8を閉方向へ移動させる。
【0106】
以上、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0107】
本実施形態では、前側迂回プーリ341及び後側迂回プーリ342は、回転軸方向が上下方向となるように配置されているものとしたが、前側迂回プーリ341及び後側迂回プーリ342は、回転軸方向が左右方向となるように配置されていてもよい。
【0108】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を一例として示しているが、これに限定されるものではない。
【0109】
(1) 略水平方向に長手方向が延在するように車体(車体2)に取り付けられるベルトガイド(ベルトガイド30)と、
前記ベルトガイドの前記長手方向の一端部(前端部30a)及び他端部(後端部30b)に掛け回され、前記ベルトガイドの前記長手方向に沿って循環移動する無端ベルト(無端ベルト50)と、
前記無端ベルトに固定され、スライドドア(スライドドア8)に接続されるベルト接続具(ベルト接続具60)と、
前記無端ベルトを循環移動させる動力を出力するベルト駆動モジュール(ベルト駆動モジュール70)と、
前記ベルトガイドと前記ベルト駆動モジュールとを連結し、前記ベルト駆動モジュールから出力された動力で前記無端ベルトを循環移動させるベルト駆動モジュール連結ユニット(ベルト駆動モジュール連結ユニット40)と、を備える、車両用スライドドア開閉装置(車両用スライドドア開閉装置10)であって、
前記ベルト駆動モジュール連結ユニットは、前記ベルト駆動モジュールから出力された動力で回転し、前記無端ベルトが迂回して掛け回される駆動プーリ(駆動プーリ43)を備え、
前記ベルトガイドには、所定の張力を付与して前記無端ベルトを前記駆動プーリに迂回させる第1迂回プーリ(前側迂回プーリ341)と第2迂回プーリ(後側迂回プーリ342)とが前記ベルトガイドの前記長手方向に並んで支持されており、
前記第1迂回プーリ及び前記第2迂回プーリは、前記長手方向において、いずれも回転軸が前記駆動プーリの歯先円直径の範囲内に位置するように配置されており、
前記ベルトガイドは、
前記第1迂回プーリと前記第2迂回プーリとの間を、前記長手方向と前記第1迂回プーリ及び前記第2迂回プーリの回転軸方向である第1方向との双方に垂直な第2方向に延在して、前記第1迂回プーリと前記第2迂回プーリとを前記長手方向に仕切る第1壁部(第1壁部351)を有するガイド部(ガイド部35)を備える、
車両用スライドドア開閉装置。
【0110】
(1)によれば、ベルト駆動モジュール連結ユニットの第2方向の寸法を大きくすることなく長手方向の寸法を小さくできるので、車両用スライドドア開閉装置の車両搭載性が向上する。また、無端ベルトが第1迂回プーリと第2迂回プーリとの間で接触することを第1壁部によって防止することができるので、ベルトガイドの長手方向における第1迂回プーリと第2迂回プーリとの間隔をより狭くすることができる。
【0111】
(2) (1)に記載の車両用スライドドア開閉装置であって、
前記第2方向において、前記第1壁部は、前記第1方向から見て、前記第1迂回プーリの駆動プーリ側端部(駆動プーリ側端部341a)及び前記第2迂回プーリの駆動プーリ側端部(駆動プーリ側端部342a)よりも前記駆動プーリに近い位置まで延出しており、
前記第2方向において、前記第1壁部の駆動プーリ側端部(駆動プーリ側端部351a)は、前記第1方向から見て、前記駆動プーリ側に凸状に湾曲している、
車両用スライドドア開閉装置。
【0112】
(2)によれば、第1壁部は、第1方向から見て、第1迂回プーリの駆動プーリ側端部及び第2迂回プーリの駆動プーリ側端部よりも駆動プーリに近い位置まで延出しているので、無端ベルトが撓んだ場合でも、無端ベルトが他部品と干渉すること、及び、無端ベルトの歯部同士が引っ掛かることを防ぐことができる。また、第2方向において、第1壁部の駆動プーリ側端部は、第1方向から見て、前記駆動プーリ側に凸状に湾曲しているので、無端ベルトが撓んだ場合でも、無端ベルトの歯部が第1壁部の駆動プーリ側端部に引っ掛かることを防止することができるとともに、無端ベルトと第1壁部とが接触した場合に生じる無端ベルトの擦れ音を低減することができる。
【0113】
(3) (1)に記載の車両用スライドドア開閉装置であって、
前記ガイド部は、前記第1壁部に接続して前記長手方向に延在する第2壁部(第2壁部352)を備え、
前記第1壁部と前記第2壁部との接続部(接続部353)は、
前記第1方向から見て、前記第1迂回プーリと対向して前記第1迂回プーリに沿って湾曲する第1対向面(第1対向面353a)と、前記第2迂回プーリと対向して前記第2迂回プーリに沿って湾曲する第2対向面(第2対向面353b)と、を有する、
車両用スライドドア開閉装置。
【0114】
(3)によれば、一対の迂回プーリとガイド部とで、無端ベルト50の迂回経路への入口・出口や、無端ベルトの迂回経路を規制することで、駆動プーリから無端ベルトに入力される駆動力の伝達ロスが減少し、無端ベルトを安定して作動させることができる。
【0115】
(4) (3)に記載の車両用スライドドア開閉装置であって、
前記第1方向から見て、前記第2壁部の前記長手方向の一方側の端部(前端部352a)及び他方側の端部(後端部352b)は、前記長手方向に凸状に湾曲している、
車両用スライドドア開閉装置。
【0116】
(4)によれば、無端ベルトの循環移動時に、無端ベルトが第2壁部の一方側の端部及び他方側の端部に引っ掛かることを防止することができるとともに、無端ベルトと第2壁部とが接触した場合に生じる無端ベルトの擦れ音を低減することができる。
【0117】
(5) (1)に記載の車両用スライドドア開閉装置であって、
前記第1迂回プーリと前記第2迂回プーリとは、前記第1方向から見て、前記駆動プーリの回転軸を通って前記第2方向に延びる仮想直線(仮想直線VL1)を対称軸として線対称となる位置及び形状となっている、
車両用スライドドア開閉装置。
【0118】
(5)によれば、仮想直線を対称軸として、駆動プーリと一対の迂回プーリとが無端ベルトの作動方向で対称配置となることで、無端ベルトの動力バランスが良好となり、無端ベルトの作動方向に関わらず無端ベルトの作動が安定する。
【0119】
(6) (1)に記載の車両用スライドドア開閉装置であって、
前記ベルト駆動モジュール連結ユニットには、前記第1方向から見て、前記駆動プーリにおいて前記無端ベルトが噛合する噛合領域(噛合領域432)の端部(前端部432a、後端部432b)近傍にガイドピン(ガイドピン36)が設けられている、
車両用スライドドア開閉装置。
【0120】
(6)によれば、駆動プーリにおける無端ベルトが噛合し始める位置の近傍と、無端ベルトが離脱し始める位置の近傍とにガイドピンが設けられることとなるので、無端ベルトが撓むことをより効果的に防ぐことができ、無端ベルトが動作する際に歯飛びが生じることをより効果的に抑制できる。
【0121】
(7) (1)に記載の車両用スライドドア開閉装置であって、
前記第1壁部の前記第2方向において前記駆動プーリと対向する駆動プーリ側端部(駆動プーリ側端部351a)には、前記第1方向から見て、前記駆動プーリの歯形状に合わせた凹形状を有する凹部(凹部351b)が形成されている、
車両用スライドドア開閉装置。
【0122】
(7)によれば、駆動プーリの1つの歯を、第1壁部の駆動プーリ側端部に形成された凹部に噛合させることで、駆動プーリの周方向位置を位置決めすることができる。
【符号の説明】
【0123】
2 車体
8 スライドドア
10 車両用スライドドア開閉装置
30 ベルトガイド
30a 前端部(一端部)
30b 後端部(他端部)
341 前側迂回プーリ(第1迂回プーリ)
341a 駆動プーリ側端部
342 後側迂回プーリ(第2迂回プーリ)
342a 駆動プーリ側端部
35 ガイド部
351 第1壁部
351a 駆動プーリ側端部
351b 凹部
352 第2壁部
352a 前端部(端部)
352b 後端部(端部)
353 接続部
353a 第1対向面
353b 第2対向面
36 ガイドピン
40 ベルト駆動モジュール連結ユニット
43 駆動プーリ
432 噛合領域
50 無端ベルト
60 ベルト接続具
70 ベルト駆動モジュール
VL1 仮想直線