(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025404
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】免震層特性の探索システム、及び免震層特性の探索システムを用いて設計された免震構造物
(51)【国際特許分類】
E04H 9/02 20060101AFI20250214BHJP
F16F 15/02 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
E04H9/02 331Z
F16F15/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130139
(22)【出願日】2023-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岡山 真之介
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 達也
(72)【発明者】
【氏名】石川 義幸
(72)【発明者】
【氏名】青野 翔
(72)【発明者】
【氏名】谷 翼
【テーマコード(参考)】
2E139
3J048
【Fターム(参考)】
2E139AA01
2E139AC19
2E139BA45
2E139BB00
2E139CA02
3J048AB08
3J048AB09
3J048AB11
3J048CB21
3J048CB22
3J048EA38
(57)【要約】
【課題】セミアクティブ制御の免震層を設計するに際し、設計の指針とするために、免震層が最適に近い状態で制御された場合における、免震層の特性の形態を探索することを可能とする。
【解決手段】免震層特性の探索システムは、免震構造物の免震層を、セミアクティブ制御として設計するに際し、応答量を小さくすることを目的として免震層の特性を探索するものであり、特性は剛性であり、免震層は、能動的に接線剛性を更新する非線形ばねを含んでモデル化され、免震層の初期固有周期、接線剛性が更新される複数の時間刻み間隔、及び複数の更新値を、設計変数とし、下部構造に対する上部構造の変位、速度、及び加速度により表現される運動方程式において、変位、速度、または加速度が小さくなるように、設計変数を更新しつつ探索して、免震層の剛性を決定する、探索部2を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
免震構造物の免震層を、セミアクティブ制御として設計するに際し、応答量を小さくすることを目的として前記免震層の特性を探索する免震層特性の探索システムであって、
前記特性は剛性であり、
前記免震層の下方と上方にはそれぞれ、前記免震構造物の下部構造と上部構造が設けられ、前記免震層は、能動的に接線剛性を更新する非線形ばねを含んでモデル化され、
前記免震層の諸元の初期値を決定するための前記免震層の初期固有周期、前記接線剛性が更新される複数の時間刻み間隔、及び、複数の前記時間刻み間隔の各々に対応して設けられた、当該時間刻み間隔に相当する時間が経過した後における前記接線剛性の更新値を、設計変数とし、
前記下部構造に対する前記上部構造の変位、速度、及び加速度により表現される運動方程式において、前記変位、前記速度、または前記加速度が小さくなるように、前記設計変数を更新しつつ探索して、前記免震層の前記剛性を決定する、探索部を備えている
ことを特徴とする免震層特性の探索システム。
【請求項2】
前記探索部は、前記設計変数を変数として、前記変位、前記速度、または前記加速度を目的関数とする最適化問題を解くことにより、前記設計変数を探索する
ことを特徴とする請求項1に記載の免震層特性の探索システム。
【請求項3】
免震構造物の免震層を、セミアクティブ制御として設計するに際し、応答量を小さくすることを目的として前記免震層の特性を探索する免震層特性の探索システムであって、
前記免震層の下方と上方にはそれぞれ、前記免震構造物の下部構造と上部構造が設けられ、前記免震層は、能動的に前記特性を更新するようにモデル化され、
前記免震層の諸元の初期値を決定するための前記免震層の初期固有周期、前記特性が更新される複数の時間刻み間隔、及び、複数の前記時間刻み間隔の各々に対応して設けられた、当該時間刻み間隔に相当する時間が経過した後における前記特性の更新値を、設計変数とし、
前記下部構造に対する前記上部構造の変位、速度、及び加速度により表現される運動方程式において、前記変位、前記速度、または前記加速度が小さくなるように、前記設計変数を更新しつつ探索して、前記免震層の前記特性を決定する、探索部を備えている
ことを特徴とする免震層特性の探索システム。
【請求項4】
前記特性は、減衰特性か、慣性質量のいずれか、または前記減衰特性、前記慣性質量、および剛性のうち、2つ以上の組み合わせであることを特徴とする請求項3に記載の免震層特性の探索システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の免震層特性の探索システムを用いて決定された前記設計変数を実現するように、前記免震層の特性を調整する、特性調整機構を備えていることを特徴とする、免震層特性の探索システムを用いて設計された免震構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免震構造物の免震層を、セミアクティブ制御として設計するに際し、応答量を小さくすることを目的として免震層の特性を探索する免震層特性の探索システム、及び免震層特性の探索システムを用いて設計された免震構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
構造物に対して作用する、地震動や風による影響を抑えるため、構造物に免震層を設けて、免震構造物とすることがある。このような免震層は、一般には、免震層よりも上方に位置する上部構造の質量や、免震層が変形した後の復元力特性、及び減衰力特性等の構造諸元が固定値である前提で、設計されることが多い。これに対し、地震動や風の大きさに応じて、例えば復元力特性や減衰力特性等を状況に応じて切り替えて、複数の異なる態様で地震動や風に対応するように、免震構造物を設計することがある。
【0003】
例えば特許文献1には、免震層を複数備えた複層免震建物が開示されている。この複層免震建物においては、下側から上側に向かって、下部構造物、下部免震層、中間構造物、中間免震層、及び上部構造物が連結されて構成されている。下部免震層及び中間免震層のいずれか一方の免震層は、水平剛性が他方の免震層より小さく設定され、かつ、一方の免震層の変形に伴って一方の免震層の水平剛性を上昇させる剛性付与機構を備えている。他方の免震層は、地震動発生時に剛性付与機構により一方の免震層の水平剛性が上昇した状態で変形する。
また、特許文献2には、フェールセーフ機構を備える免震建物が開示されている。この免震建物は、免震機構と、免震機構よりも上の上部構造体にフェールセーフ機構を備えている。フェールセーフ機構は、免震建物の2次以上の固有振動モードの少なくとも1つに対して同調効果を発揮する同調型マスダンパーを含む。
【0004】
特に近年においては、より能動的に、上記のような構造物の諸元を切り替えることで、免震性能の更なる向上を目指す、セミアクティブ制御による免震構造や制振構造が提案され、実用化されている。
これに関し、特許文献3には、次のような可変構造セミアクティブ免震システムが開示されている。この可変構造セミアクティブ免震システムは、免震構造物の上下部構造間に設けられた可変減衰ダンパと、上下部構造の応答を検出するセンサ等と、その検出信号に基づいて可変減衰ダンパへの指令信号を演算・出力するコンピュータを備えた制御手段と、上記指令信号により減衰力を切り換える切換手段とを備えている。コンピュータは、免震構造物の状態方程式に、可変減衰ダンパの減衰力設定値と実際に発生する減衰力との関係式を連成させた全体システムの状態方程式に対して双線形最適制御理論により求めた制御則としての切換え超平面に基づいて可変減衰ダンパの減衰係数を切り換えて上部構造物の応答変形および/または応答加速度を制御する可変構造制御法を採用する。
【0005】
特許文献3のようなセミアクティブ制御を基本とする免震層を設計、開発する際に検討すべき項目として、制御機構(「何を」制御するか)、及び制御則(「どのように」制御するか)、が挙げられる。これらの制御機構や制御則に関しては、免震層を最適に制御した場合の応答値を一概には定義することができないため、免震層を設計する際に、その目標を明確に設定することが難しい。したがって、設計された免震層の性能評価は、既存の制御方法に対してどの程度向上したか、といった、相対的なものとならざるを得ない。もし、免震層を設計する際に、免震層が最適に近い状態で制御された場合における、免震層の層剛性等の特性の形態が、事前に判明していれば、この最適に近い状態を目標値とし、目標値と設計値との間の差異を評価して、この差異を縮めるように、目標値を目指して免震層の設計を進めることも可能である。
セミアクティブ制御の免震層を設計するに際し、設計の指針とするために、免震層が最適に近い状態で制御された場合における、免震層の層剛性等の特性の形態を探索することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第7125902号公報
【特許文献2】特開2022-68948号公報
【特許文献3】特許第4747336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、セミアクティブ制御の免震層を設計するに際し、設計の指針とするために、免震層が最適に近い状態で制御された場合における、免震層の特性の形態を探索することが可能な、免震層特性の探索システム、及び免震層特性の探索システムを用いて設計された免震構造物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。すなわち、本発明は、免震構造物の免震層を、セミアクティブ制御として設計するに際し、応答量を小さくすることを目的として前記免震層の特性を探索する免震層特性の探索システムであって、前記特性は剛性であり、前記免震層の下方と上方にはそれぞれ、前記免震構造物の下部構造と上部構造が設けられ、前記免震層は、能動的に接線剛性を更新する非線形ばねを含んでモデル化され、前記免震層の諸元の初期値を決定するための前記免震層の初期固有周期、前記接線剛性が更新される複数の時間刻み間隔、及び、複数の前記時間刻み間隔の各々に対応して設けられた、当該時間刻み間隔に相当する時間が経過した後における前記接線剛性の更新値を、設計変数とし、前記下部構造に対する前記上部構造の変位、速度、及び加速度により表現される運動方程式において、前記変位、前記速度、または前記加速度が小さくなるように、前記設計変数を更新しつつ探索して、前記免震層の前記剛性を決定する、探索部を備えていることを特徴とする免震層特性の探索システムを提供する。
上記のような構成によれば、免震層は、能動的に接線剛性を更新する非線形ばねを含んでモデル化されている。このような、セミアクティブ制御を行う免震層に関し、免震層の設計変数は、免震層の初期固有周期、接線剛性が更新される複数の時間刻み間隔と、複数の時間刻み間隔の各々に対応して設けられた、当該時間刻み間隔に相当する時間が経過した後における接線剛性の更新値を含む。免震層の初期固有周期が決まれば、免震層の諸元の初期値を決定して、接線剛性の初期値を決定することができる。複数の時間刻み間隔のなかの、最初の時間刻み間隔が経過した後には、上記の接線剛性の初期値に対し、当該時間刻み間隔が経過した後における更新値を基に、新たな接線剛性を設定し、更新することができる。その後、更に次の時間刻み間隔が経過した後に、上記のようにして更新された接線剛性に対し、当該時間刻み間隔が経過した後における更新値を基に、新たな接線剛性を設定し、更新することができる。このようにして、上記のような免震層の初期固有周期、複数の時間刻み間隔と、複数の更新値を設計変数とすることで、時間経過に伴う接線剛性の変化を定義することができる。探索部は、下部構造に対する上部構造の変位、速度、加速度により表現される運動方程式において、変位、速度、または加速度が、すなわち応答量が小さくなるように、上記のような設計変数を、値を更新しつつ探索して、免震層の剛性を決定する。このようにして、免震層の初期固有周期、複数の時間刻み間隔と、複数の更新値を設計変数として、応答量が小さくなるような設計変数の値を探索することで、どの時刻で、どのように剛性を制御すれば、応答が改善されるのかが探索される。したがって、免震層が最適に近い状態で制御された場合における、免震層の層剛性の形態が、みつけやすくなる。
したがって、セミアクティブ制御の免震層を設計するに際し、設計の指針とするために、免震層が最適に近い状態で制御された場合における、免震層の層剛性の形態を探索することが可能となる。
【0009】
本発明の一態様においては、前記探索部は、前記設計変数を変数として、前記変位、前記速度、または前記加速度を目的関数とする最適化問題を解くことにより、前記設計変数を探索する。
上記のような構成によれば、設計変数を変数として、変位、速度、または加速度を目的関数とする最適化問題を解くことにより、設計変数が探索される。したがって、設計変数として、最適に近い解を導出することができる。
【0010】
また、本発明は、免震構造物の免震層を、セミアクティブ制御として設計するに際し、応答量を小さくすることを目的として前記免震層の特性を探索する免震層特性の探索システムであって、前記免震層の下方と上方にはそれぞれ、前記免震構造物の下部構造と上部構造が設けられ、前記免震層は、能動的に前記特性を更新するようにモデル化され、前記免震層の諸元の初期値を決定するための前記免震層の初期固有周期、前記特性が更新される複数の時間刻み間隔、及び、複数の前記時間刻み間隔の各々に対応して設けられた、当該時間刻み間隔に相当する時間が経過した後における前記特性の更新値を、設計変数とし、前記下部構造に対する前記上部構造の変位、速度、及び加速度により表現される運動方程式において、前記変位、前記速度、または前記加速度が小さくなるように、前記設計変数を更新しつつ探索して、前記免震層の前記特性を決定する、探索部を備えていることを特徴とする免震層特性の探索システムを提供する。
上記のような構成によれば、免震層は、能動的に特性を更新するようにモデル化されている。このような、セミアクティブ制御を行う免震層に関し、免震層の設計変数は、免震層の初期固有周期、特性が更新される複数の時間刻み間隔と、複数の時間刻み間隔の各々に対応して設けられた、当該時間刻み間隔に相当する時間が経過した後における特性の更新値を含む。免震層の初期固有周期が決まれば、免震層の諸元の初期値を決定して、特性の初期値を決定することができる。複数の時間刻み間隔のなかの、最初の時間刻み間隔が経過した後には、上記の特性の初期値に対し、当該時間刻み間隔が経過した後における更新値を基に、新たな特性を設定し、更新することができる。その後、更に次の時間刻み間隔が経過した後に、上記のようにして更新された特性に対し、当該時間刻み間隔が経過した後における更新値を基に、新たな特性を設定し、更新することができる。このようにして、上記のような免震層の初期固有周期、複数の時間刻み間隔と、複数の更新値を設計変数とすることで、時間経過に伴う特性の変化を定義することができる。探索部は、下部構造に対する上部構造の変位、速度、加速度により表現される運動方程式において、変位、速度、または加速度が、すなわち応答量が小さくなるように、上記のような設計変数を、値を更新しつつ探索して、免震層の特性を決定する。このようにして、免震層の初期固有周期、複数の時間刻み間隔と、複数の更新値を設計変数として、応答量が小さくなるような設計変数の値を探索することで、どの時刻で、どのように特性を制御すれば、応答が改善されるのかが探索される。したがって、免震層が最適に近い状態で制御された場合における、免震層の特性の形態が、みつけやすくなる。
したがって、セミアクティブ制御の免震層を設計するに際し、設計の指針とするために、免震層が最適に近い状態で制御された場合における、免震層の特性の形態を探索することが可能となる。
【0011】
本発明の一態様においては、前記特性は、減衰特性か、慣性質量のいずれか、または前記減衰特性、前記慣性質量、および剛性のうち、2つ以上の組み合わせである
上記のような構成によれば、セミアクティブ制御の免震層を設計するに際し、設計の指針とするために、免震層が最適に近い状態で制御された場合における、免震層の、減衰特性か、慣性質量のいずれかの形態、または減衰特性、慣性質量、および剛性について、2つ以上を組み合わせた形態を探索することが可能となる。
【0012】
また、本発明は、上記のような免震層特性の探索システムを用いて決定された前記設計変数を実現するように、前記免震層の特性を調整する、特性調整機構を備えていることを特徴とする、免震層特性の探索システムを用いて設計された免震構造物を提供する。
上記のような構成によれば、上記のような免震層特性の探索システムを用いて決定された設計変数は、免震層が最適に近い状態で制御された場合における、免震層の特性の形態を表現するものであるから、この設計変数を実現するように、免震層の特性を調整する特性調整機構を構成することで、地震力を効率的に減衰させることができる免震構造物を実現することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、セミアクティブ制御の免震層を設計するに際し、設計の指針とするために、免震層が最適に近い状態で制御された場合における、免震層の特性の形態を探索することが可能な、免震層特性の探索システム、及び免震層特性の探索システムを用いて設計された免震構造物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態における免震層特性の探索システムのブロック図である。
【
図2】上記実施形態の免震層特性の探索システムにおいて設計の対象となる免震構造物の一例の説明図である。
【
図3】上記実施形態の免震層特性の探索システムにおいて設計の対象となる免震構造物の他の例の説明図である。
【
図4】上記実施形態における免震層のモデルの一例の説明図である。
【
図5】
図4に示されるモデルにおける、非線形ばねの復元力特性の一例を示すグラフである。
【
図6】
図4に示されるモデルにおける、瞬間剛性比例減衰の減衰力特性の一例を示すグラフである。
【
図7】上記実施形態の検証例において入力とした地震動を示す図である。
【
図8】上記検証例において計算された結果を示す図である。
【
図9】
図8に示される結果の中で、T=2.365sの場合で、剛性を一定とした場合よりも応答が悪化した結果の、応答加速度、応答変位、復元力、及び固有周期を示す図である。
【
図10】
図8に示される結果の中で、T=2.365sの場合で、剛性を一定とした結果の、応答加速度、応答変位、復元力、及び固有周期を示す図である。
【
図11】
図8に示される結果の中で、T=2.365sの場合で、剛性を一定とした場合よりも応答が改善された結果の、応答加速度、応答変位、復元力、及び固有周期を示す図である。
【
図12】
図9~
図11の、剛性を一定とした場合よりも応答が悪化した結果と、剛性を一定とした結果、及び剛性を一定とした場合よりも応答が改善された結果の、応答変位と復元力の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、免震構造物に関するものであり、応答量を減らすために免震層の特性を探索するための免震層特性の探索システム、および免震層特性の探索システムを用いて設計された免震構造物である。免震層特性の探索システムは、免震構造物に対する最適設計方法として、免震層の応答量を減らすために、免震層の特性を最適化問題として取り扱うことで、最適な免震層の特性を探索する方法である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態における免震層特性の探索システムのブロック図である。
本実施形態における免震層特性の探索システム1は、免震構造物の免震層を、セミアクティブ制御として設計するに際し、応答量を小さくすることを目的として免震層の特性を探索する免震層特性の探索システム1であって、特性は剛性であり、免震層の下方と上方にはそれぞれ、免震構造物の下部構造と上部構造が設けられ、免震層は、能動的に接線剛性を更新する非線形ばねを含んでモデル化され、免震層の諸元の初期値を決定するための免震層の初期固有周期、接線剛性が更新される複数の時間刻み間隔、及び、複数の時間刻み間隔の各々に対応して設けられた、当該時間刻み間隔に相当する時間が経過した後における接線剛性の更新値を、設計変数とし、下部構造に対する上部構造の変位、速度、及び加速度により表現される運動方程式において、変位、速度、または加速度が小さくなるように、設計変数を更新しつつ探索して、免震層の剛性を決定する、探索部2を備えている。免震層特性の探索システム1は、探索部2に加えて、結果出力部3を備えている。
【0016】
本実施形態の免震層特性の探索システム1は、免震層の特性として、特に剛性を対象とし、応答量を小さくすることを目的として免震層の剛性(層剛性)を探索する。
本実施形態の免震層特性の探索システム1は、下部構造の上に免震層が形成され、免震層の上に上部構造が構築されて、免震層の下方と上方に、それぞれ、免震構造物の下部構造と上部構造が設けられた免震構造物を対象とし、このような免震構造物の免震層の剛性を決定するために用いられる。
一般に、構造物の振動方程式は、mを質量、cを減衰係数、kを剛性、aを地震時における上部構造の加速度、vを速度、uを変位、agを地震加速度としたときに、
m×a+c×v+k×u = m×ag
として表される。本実施形態の免震層特性の探索システム1は、上記のように、免震構造物の免震層を、セミアクティブ制御として設計するに際し、応答量を小さくすることを目的として免震層の層剛性を探索する。ここで、セミアクティブ制御は、一般に、外乱、すなわち地震動に応じて、質量m、減衰係数c、剛性kのいずれかを変化させることで、応答を抑制しようとするものである。本実施形態の免震層特性の探索システム1は、この中でも特に、能動的に免震層の剛性を制御、変更するようにして、地震動に対して効率的に応答することができる、剛性の変更パターンを探索する。
【0017】
セミアクティブ制御を基本とする免震層を設計、開発する際に検討すべき項目として、制御機構(「何を」制御するか)、及び制御則(「どのように」制御するか)、が挙げられる。これらの制御機構や制御則に関しては、免震層を最適に制御した場合の応答値を一概には定義することができないため、免震層を設計する際に、その目標を明確に設定することが難しい。したがって、設計された免震層の性能評価は、既存の制御方法に対してどの程度向上したか、といった、相対的なものとならざるを得ない。
これに対し、上記のように、セミアクティブ制御を基本とする免震層を設計、開発する際に、本実施形態の免震層特性の探索システム1を用いて、最適な状態に近い応答を行うような、免震層の層剛性の態様を導出することにより、免震層を設計する際に設定した開発方針の妥当性や、考案した制御則がどれだけ目標に近いものとなっているか、その到達度を、確認できるようになる。
【0018】
また、本実施形態の免震層特性の探索システム1は、特に、数秒先の外乱情報を基に制御を行うフィードフォワード型のセミアクティブ制御の、免震層の設計を対象とし、遺伝的アルゴリズム等を用いた最適化手法を用いることで、フィードフォワード制御の目標値となる最適応答と、その際の制御状況を導出する。具体的には、外乱が既知であるものと仮定し、セミアクティブ制御において変動させる設計変数を設定したうえで、目的関数となる応答が最適となるような設計変数の値を、最適化問題を解くことで導出する。
【0019】
上記のような、免震層特性の探索システム1によって、応答が最適となるような、免震層の層剛性の態様が探索された場合において、これを実現する、フィードフォワード型のセミアクティブ制御を行う免震層を備えた免震構造物としては、例えば次のような構成が考えられる。
図2は、本実施形態の免震層特性の探索システムにおいて設計の対象となる免震構造物の一例の説明図である。
免震構造物10は、下部構造11、上部構造12、及び下部構造11と上部構造12の間に設けられた免震層13を備えている。免震層13は、複数の積層ゴム支承14を備えており、地震時においては、下部構造11に対して上部構造12が相対的に水平移動することが可能な構造となっている。
【0020】
免震構造物10は、更に、センサ16、制御装置17、及び特性調整機構15を備えている。センサ16は、例えば加速度計であり、地震時に、上部構造12に作用する加速度を計測する。
制御装置17は、予測部18と制御部19を備えている。予測部18は、センサ16による計測結果を基に、数秒先の将来に上部構造12に作用する加速度を予測する。制御部19は、予測部18により予測された将来の加速度を基に、次に説明する特性調整機構15を制御する。制御部19においては、特性調整機構15をどのように制御するか、その態様が、免震層特性の探索システム1によって決定された設計変数を実現することを目標として、設計されている。
【0021】
特性調整機構15は、免震層13の特性を調整する。特性調整機構15は、免震層13に剛性を付与する。特性調整機構15は、制御部19によって指示されたタイミングで、免震層13の剛性が制御部19によって指示された値となるように、随時、免震層13の剛性を調整する。
このような特性調整機構15としては、例えば、すべり面の平滑性を制御することで、摩擦係数、ひいては減衰力を切り替えることができる、滑り支承または摩擦ダンパーが挙げられる。特性調整機構15としては、電磁力を変化させて導入軸力を切り替えることで減衰力を切り替えることができる、滑り支承または摩擦ダンパーが用いられてもよい。あるいは、特性調整機構15としては、弁を開閉制御することで減衰力を切り替えることができるオイルダンパーを用いても構わない。
【0022】
図3は、本実施形態の免震層特性の探索システムにおいて設計の対象となる免震構造物の他の例の説明図である。
図3に示される免震構造物10Aは、下部構造11、上部構造12に加え、これらの間に構築された中間構造20を備えている。これに伴い、免震層13は、下部免震層13Aと中間免震層13Bの、2つの免震層を備えている。
中間免震層13Bは、弾性すべり支承体21を備えている。下部免震層13Aは、水平剛性が中間免震層13Bより小さく設定されている。
特性調整機構15は、下部免震層13Aの水平剛性を上昇させる。特性調整機構15は、地震動により下部構造11に対して中間構造20が水平方向に変位することによって生じる下部免震層13Aの変形量に伴って、下部免震層13Aの水平剛性を上昇させる。特性調整機構15は、下部免震層13Aの変形を制限するためのストッパーである。
このような構成において、通常の設計地震動レベルでは、水平剛性が小さい下部免震層13Aのみにおいて変形が生じ、免震性能が発揮される。このとき、下部免震層13Aよりも水平剛性が大きい中間免震層13Bでは、変形が抑えられる。
通常の設計レベルを超える過大な地震動レベルでは、中間構造20が特性調整機構15(ストッパー)に衝突することで、下部免震層13Aの水平剛性が上昇し、下部免震層13Aで発揮される免震効果が制限される。すると、地震動による外力(地震荷重)によるせん断力が、下部免震層13Aよりも上層に伝わり、中間免震層13Bにおいて、弾性すべり支承体21によるすべりが生じる。これにより、中間免震層13Bの上下の中間構造20と上部構造12との間で水平方向の相対変位が生じ、中間免震層13Bで変形が生じる。これによって、中間免震層13Bで免震性能が発揮される。
このような構成において、例えばストッパーを、ストッパーが設けられた擁壁から進退自在に設けて、ストッパーの先端と中間構造20との間の距離を調整可能な構成としたうえで、制御部19によって当該距離を調整、制御するようにすれば、ストッパーを特性調整機構15として使用することができる。
【0023】
上記のように、免震層特性の探索システム1は、セミアクティブ制御において変動させる設計変数を設定したうえで、目的関数となる応答が最適となるような設計変数の値を、最適化問題を解くことで導出する。この最適化問題において、設計変数は、応答中の制御状況を表す変数となる。また、目的関数は、応答量を最小化することとなる。応答量としては、上部構造12の変位、速度、加速度の、いずれか1つ、または2つ以上の組み合わせであってよい。本実施形態においては、応答量は、変位と加速度である。また、制御機構の限界を超えないことが、最適化問題を解くに際する制約条件となる。
【0024】
免震層特性の探索システム1では、まず、免震構造物を構成する上部構造の質量と免震層13の初期固有周期、および免震層13の接線剛性、接線剛性を更新する非線形ばねのモデル化、免震層13の減衰係数等に対して、其々初期値を設定する。
その後、探索部2が、免震層の剛性(層剛性)を探索する。
図4は、本実施形態における免震層のモデルの一例の説明図である。
ここでは、探索部2の挙動を、
図4に示されるような1質点せん断モデルMを例として説明する。1質点せん断モデルMにおいては、上部構造12の質量が、例えば8000(T)等と設定されている。1質点せん断モデルMにおいては、免震層13が、剛性項f
k(t)としての非線形ばね30と、減衰項f
c(t)としての瞬間剛性比例減衰31を備えている。
上記のように、剛性項f
k(t)は、非線形ばね30である。非線形ばね30は、能動的に、接線剛性を更新するものである。後に詳細に説明するように、本実施形態における、最適化問題の設計変数は、接線剛性の初期値を決定するための免震層13の初期固有周期を含む。また、設計変数は、時間刻み間隔と接線剛性の更新値の、複数の組み合わせを含む。これにより、接線剛性の値は、免震層13の初期固有周期により決定された接線剛性の初期値に対し、複数の組み合わせの各々を順に適用して、最後に接線剛性が計算された時刻から、当該組み合わせの中の時間刻み間隔が経過した後に、当該組み合わせの中の更新値を基に接線剛性を更新するように、定義される。すなわち、非線形ばね30の挙動は、時刻と、そのときの非線形ばね30の状態に応じて決定される。本実施形態においては、上記のようにして非線形ばね30の挙動を定義しつつ、どの時刻でどのように剛性を制御すれば応答が改善するのかを、最適化問題によりしらみつぶしに探索する。
本例においては、非線形ばね30は、非線形弾性ばねであるものとする。非線形ばね30は、非線形弾性ばねではなく、例えば先に例示したような、減衰力を切り替えることができるオイルダンパー等であっても構わず、以下同様の説明ができるのは、言うまでもない。
また、上記のように、減衰項f
c(t)は、各瞬間の接線剛性を用いた、比例型の、瞬間剛性比例減衰31である。
【0025】
図5は、
図4に示されるモデルにおける、非線形ばねの復元力特性の一例を示すグラフである。
図6は、
図4に示されるモデルにおける、瞬間剛性比例減衰の減衰力特性の一例を示すグラフである。
図5、
図6中において、番号1~12は、剛性、減衰が変化していく様子を例として示したものである。これらの番号は、
図5、6で対応して用いられている。
図5における丸印は、剛性が変更された点である。例えば、
図5において、矢印1として変位が大きくなった後に、剛性が変更されて変位と復元力の関係が変化し、矢印2へと移行している。この時点において、
図6においては、番号1から番号2へと矢印が設けられているように、速度と減衰力との間の関係が変化している。
【0026】
本例の復元力特性(
図5)としては、除荷中でないときに限り、剛性変更が発生し、その時点から接線剛性が変化する形態とする。また、履歴ループによる面積が生じると、エネルギー吸収が生じて応答が低減してしまうため、除荷時には、原点からその直近の最大応答点までを辿ってきた経路を必ず戻るものとして、どのような挙動をしても履歴ループによるエネルギー吸収を起こさない、能動的非線形弾性型とした。
また、本例の減衰力特性(
図6)としては、上記のような接線剛性の変化に応じて、常に減衰定数が一定に保たれるように、減衰係数も変化させる、瞬間剛性比例減衰とした。より具体的には、減衰定数hは、減衰係数cと質量m、剛性kを用いてh=c/(2×(mk)^(1/2))で求められるところ、mが一定である場合に、剛性kが変化すると減衰定数hが一定となるように、減衰係数cを変化させるようにした。なお、減衰係数は、常に原点から応答点を結んだ比例係数で表現される比例型とした。
図5、
図6に示された各特性は、AI制御の性能や実現性を考量した際に、必ずしも最良の設定とは言えない可能性はある。ここで、本実施形態においては、減衰を付与することにより応答を低減するのではなく、応答が低減するようなセミアクティブ制御を検討することが目的であるところ、減衰量すなわち減衰定数をできるだけ変更しない形態とするのが望ましい。これに関し、上記のように復元力特性と減衰力特性を設定すると、減衰定数hが一定となり、セミアクティブ制御における制御が、直接的に、減衰の大きさに影響を与えない状態となる。この意味で、
図5、
図6に示された各特性は、応答スペクトルとの比較等の観点からも、評価が容易なモデルとなっている。
【0027】
図5、
図6に示された各特性を運動方程式は、次式(1)のようなものとなる。
【数1】
上式(1)において、y(t)は変位であり、y´´(t)は加速度である。また、式(1)の剛性項f
k(t)は、次式(2)で表すことができる。
【数2】
本式におけるk
t(t)は、時刻tにおける接線剛性であり、これが本実施形態におけるフィードフォワード制御の対象パラメータとなる。
式(1)において、減衰項f
c(t)は、次式(3)で表すことができる。
【数3】
上式(3)において、y´(t)は速度である。式(3)における減衰係数c(t)は、次式(4)で表される。
【数4】
式(4)において、減衰定数hは10%で一定の値とし、減衰係数c(t)が、接線剛性k
t(t)の変更に応じて、変化する式となっている。
【0028】
次に、本実施形態において、解く対象となる問題を定義する。この問題は、「特定の地震波が与えられた際に、制御パラメータである接線剛性k
tをどのように制御すれば、最も応答を低減することができるか?」となる。この問題を最適化問題として定式化するために、設計変数と、接線剛性k
tを更新する更新規則を定める。
まず、設計変数は、免震層13の初期固有周期T
0を含む。免震層13の初期固有周期T
0を、次式(5)に代入することで、免震層の諸元の初期値、より具体的には接線剛性の初期値k
t0を決定することができる。
【数5】
免震層13の初期固有周期T
0は、0.1s以上0.4s以下の、連続変数、すなわちどの値であってもよいものとする。
【0029】
接線剛性の値は、免震層13の初期固有周期により決定された接線剛性の初期値に対し、時間刻み間隔と接線剛性の更新値の複数の組み合わせの各々を順に適用して、最後に接線剛性が計算された時刻から、当該組み合わせの中の時間刻み間隔が経過した後に、当該組み合わせの中の更新値を基に接線剛性を更新するように、定義されるものと、説明した。このなかで、接線剛性の初期値は、上記の式(5)によって決定されるものである。この、接線剛性の初期値に対して、時刻歴応答解析が開始されてから、時間刻み間隔と接線剛性の更新値の複数の組み合わせが、適宜、適用されて、時刻歴応答解析で時間が進むにつれて、接線剛性が更新されるように、設計変数によって、接線剛性の変化が表現される。
このように、接線剛性は、時刻歴応答解析で時間が進むにつれて、更新される。この、接線剛性が更新される各段階、すなわち、接線剛性が何回目に更新されたかを表現する変数として、接線剛性更新ステップi(i=1~n、nは成分数)を定義する。接線剛性が初期値である場合には、接線剛性が初期値の設定により1回更新されたものとし、接線剛性更新ステップi=1の状態であるものとする。時間が経過して、接線剛性が初期値から1度更新された後には、接線剛性更新ステップi=2の状態であるものとする。
【0030】
設計変数は、接線剛性が更新される複数の時間刻み間隔
transdt
iを含む。ここで、iは、接線剛性更新ステップi(i=1~n)である。時間刻み間隔
transdt
iの各々は、本実施形態においては、例えば1.0s以上2.0s以下の、連続変数、すなわちどの値であってもよいものとする。
また、設計変数は、複数の時間刻み間隔の各々に対応して設けられた、当該時間刻み間隔に相当する時間が経過した後における接線剛性の更新値を含む。厳密には、本実施形態においては、0.5、1、2.0のいずれかの値から選択して決定される係数α
i(i=1~n)が、更新値に相当する設計変数となっている。直前の接線剛性更新ステップi-1における接線剛性k
t(i-1)に対して係数α
iを次式(6)のように乗算することで、次の接線剛性更新ステップiにおける接線剛性k
tiが、更新値として一意に決定される。
【数6】
式(6)のように、各接線剛性更新ステップiにおける接線剛性の更新係数α
iを定義するのに替えて、各接線剛性更新ステップiにおいて設定されるべき接線剛性の更新値k
tiそのものを、定義するようにしてもよいのは、言うまでもない。
また、より厳密には、本実施形態における更新値(更新係数α
i)は、直前に接線剛性が更新されてから、当該更新係数に対応する時間刻み間隔
transdt
iに相当する時間が経過した時刻、またはその後の時刻における、接線剛性の更新値である。
上記の成分数は、概ね、時刻歴応答解析の継続時間に0.8を乗算した値に近い値として設定するのが望ましい。例えば、解析時間が100秒間であれば、n=80程度とするのが望ましい。
【0031】
このようにして、接線剛性更新ステップiに対し、設計変数として、時間刻み間隔transdtiと更新係数(更新値)αiが定義される。これを用いて、接線剛性更新ステップiにおいて、接線剛性更新ステップiが開始されてから時間刻み間隔transdtiに相当する時間が経過した後に、更新係数(更新値)αiに基づいて接線剛性が変更され、更新される。
このように、本実施形態の免震層特性の探索システム1においては、接線剛性の初期値kt0を決定するための免震層13の初期固有周期T0、接線剛性ktiが更新される複数の時間刻み間隔transdti、及び、複数の時間刻み間隔transdtiの各々に対応して設けられた、当該時間刻み間隔transdtiに相当する時間が経過した後における接線剛性の更新値(更新係数αi)を、設計変数としている。
【0032】
このような設計変数に基づいて、接線剛性は、次の規則1~規則3に基づいて、時刻歴応答解析が開始されてから時間が進むにつれて、更新される。ここで、transtiを、i番目に、接線剛性が更新された時刻とする。具体的には、接線剛性更新ステップiが経過した後、接線剛性更新ステップi+1へと遷移する時刻が、transtiとなる。
規則1:時刻t=0において、接線剛性更新ステップi=1とし、transt0=0とする。
規則2:t≧transti-1+transdti、かつ除荷中でないとき、上式(6)に従って接線剛性ktiを更新する。また、そのときの時刻transtiを記録する。更に、接線剛性更新ステップiに1を加算する。
規則3:以降、時刻歴応答解析が終了するまで、規則2を繰り返す。
【0033】
上記の規則1~3に従って、接線剛性ktiを計算する様子を例示する。
(工程1)規則1に従い、時刻t=0、接線剛性更新ステップi=1、接線剛性更新時刻transt0=0とする。また、免震層13の初期固有周期T0から、上式(5)に従って、接線剛性の初期値kt0を計算する。
【0034】
(工程2)時刻歴応答解析において、時刻tを微増させていく。時刻t=
transt
0+
transdt
1となった、すなわち直前に接線剛性が更新された接線剛性更新時刻
transt
0から時間刻み間隔
transdt
1が経過した時刻において、除荷状態でなかった場合は、当該時刻tにおける変位uが、例えば
図5の復元力特性における最初の丸印に相当する部分となる。接線剛性更新時刻
transt
0から時間刻み間隔
transdt
1が経過した時点において、除荷状態であった場合には、当該時刻tの後の、除荷状態でなくなった時刻における変位uが、同様に、例えば
図5の復元力特性における最初の丸印に相当する部分となる。上記のような瞬間に、式(6)に基づき接線剛性k
t1=α
1×k
t0として、接線剛性を更新する。更に、この瞬間を
transt
1とする。接線剛性更新ステップi=2と更新する。
この工程2において、
transt
1として設定される時刻は、時刻t=
transt
0+
transdt
1となったときに除荷状態であれば、除荷状態が解除されて載荷状態となるまで、時刻tの増加は続行され、この間においては接線剛性と接線剛性更新ステップiは更新されず、維持される。したがって、
transt
1が
transt
0+
transdt
1の値と、常に等しくなるとは限らない。
また、更新係数α
1としては、値「1」が設定され得る。この場合においては、接線剛性更新ステップiが2へと更新されたとしても、実際には接線剛性k
t1は、直前の接線剛性更新ステップi(i=1)における接線剛性k
t0の値から変化しない。したがって、更新係数α
1=1の場合においては、例えば
図5として示される復元力特性の剛性変更点においては、変位と復元力との関係は変化せず、直線上に丸印が設けられる状態となる。これに対し、更新係数α
1が1ではない場合に、変位と復元力との関係が変化し、異なる傾きの直線同士が接続される部分に、丸印が設けられる状態となる。
【0035】
(工程3)更に時刻tを微増させていく。載荷が終わり、除荷に移り、変位が減る状態を考える。除荷状態においては、例えば
図5として示される復元力特性において、原点から直近の最大応答点までの間で辿ってきた経路を戻る。工程2と同じ丸印に到達し、その後、とある時刻で載荷に移る。ここまでの間で、時刻t=
transt
1+
transdt
2を過ぎていれば、載荷に移った瞬間に、式(6)に基づき接線剛性k
t2=α
2×k
t1として、接線剛性k
t2を更新する。更に、この瞬間を
transt
2=
transt
1+
transdt
2とする。接線剛性更新ステップi=3と更新する。
(工程4以降)以下同様に、工程2、3に相当する動作を繰り返す。工程2において、「0」、「1」、「2」をそれぞれ「i-1」、「i」、「i+1」と読み替えると、より一般的な表現となる。同様に、工程2において、「1」、「2」、「3」をそれぞれ「i-1」、「i」、「i+1」と読み替えると、より一般的な表現となる。
【0036】
規則1~3に基づいて、上記のような工程を繰り返した結果、
図5に示されるような、復元力特性が得られる。すなわち、
図5の特性は、予め定められたものではなく、応答の結果として得られるものである。
図5の復元力特性について、能動的非線形弾性型としたと説明したが、これは、地震動と振動の状態に応じて、自ら能動的に、復元力特性を変化させることを意味している。
【0037】
このようにして、接線剛性の初期値kt0を決定するための免震層13の初期固有周期T0、接線剛性ktiが更新される複数の時間刻み間隔transdti、及び、複数の時間刻み間隔transdtiの各々に対応して設けられた、当該時間刻み間隔transdtiに相当する時間が経過した後における接線剛性の更新値(更新係数αi)を、設計変数とし、これら設計変数の各々に対して何らかの値を設定すれば、これにより、一つの復元力特性を実現することができる。
免震層特性の探索システム1の探索部2は、これらの設計変数に対して、どのような値を設定すれば、適切な免震層の剛性を実現することができるかを、探索する。
本実施形態においては、探索部2は、設計変数を変数として、変位、速度、または加速度を目的関数とする最適化問題を解くことにより、設計変数を探索する。
以下においては、最適化手法として、多目的最適化アルゴリズムである遺伝的アルゴリズムを用いて、この探索を実行する場合について説明する。遺伝的アルゴリズム以外の最適化手法が用いられても構わないのは、言うまでもない。
【0038】
具体的には、探索部2はまず、例えば設計変数の各々の値をランダムに設定することで、ひとつの剛性設定候補案を生成する。探索部2は、互いに異なる設計変数を設定することで、互いに異なる複数の剛性設定候補案を生成し、これを、第1世代の剛性設定候補案とする。
次に、探索部2は、第1世代の剛性設定候補案の各々を評価する。具体的には、探索部2は、剛性設定候補案の各々に対し、実際に運動方程式を解き、時刻歴応答解析を行い、変位、速度、加速度の、最大応答量を算出する。
このようにして各々が評価された、複数の剛性設定候補案に対し、探索部2は、遺伝的アルゴリズムにおける、選択操作を実行する。探索部2は、各剛性設定候補案の評価結果を基に、複数の剛性設定候補案の中から、良い評価の結果が得られた剛性設定候補案を、複数選択し、残りの、選択されなかった剛性設定候補案を、最終的に採用されるべき候補から除外して、削除する。
【0039】
次に、探索部2は、遺伝的アルゴリズムにおける、交叉、及び突然変異の各操作を実行することで、選択操作によって選択された、複数の剛性設定候補案を基に、新たな剛性設定候補案を生成する。
既に説明したように、設計変数の各々に対して値を設定することで、先に評価された複数の剛性設定候補案の各々が生成されていた。探索部2は、交叉操作においては、選択操作によって選択された、複数の剛性設定候補案の中から、任意に2つの剛性設定候補案を選択し、これら2つの剛性設定候補案を生成する際に基となった、複数の設計変数の各々に設定された値の一部を、互いに交換して、設計変数の設定値を異なる値とすることで、新たな2つの剛性設定候補案を生成する。
また、探索部2は、突然変異操作においては、複数の剛性設定候補案の中の、任意の剛性設定候補案に対し、この剛性設定候補案を生成する際に基となった、複数の設計変数の各々に設定された値の一部をランダムに、他の値へと変更することで、新たな剛性設定候補案を生成する。
このようにして、探索部2は、先に評価された複数の剛性設定候補案に対し、遺伝的アルゴリズムの選択操作によって、先に評価された剛性設定候補案から、複数の剛性設定候補案を選択し、遺伝的アルゴリズムの交叉及び突然変異の各操作によって、選択された複数の剛性設定候補案が生成される基となった値を基とした、新たな値を、複数の設計変数の各々に対して設定することで、新たな剛性設定候補案を複数生成する。
このようにして生成された、新たな世代の、複数の剛性設定候補案は、基本的には、この新たな剛性設定候補案が生成される基となった、前の世代の、複数の剛性設定候補案よりも、探索部2による評価が、全体的に好ましいものとなっている可能性が高い。
【0040】
このような、複数の剛性設定候補案の評価と、新たな剛性設定候補案の生成(更新)が、複数回(複数世代)繰り返されることで、最終的な、複数の剛性設定候補案が生成される。
このようにして、探索部2は、下部構造に対する上部構造の変位、速度、及び加速度により表現される運動方程式において、変位、速度、または加速度が小さくなるように、設計変数を更新しつつ探索して、免震層の剛性を決定する。
上記の、複数の剛性設定候補案の評価と、新たな剛性設定候補案の生成(更新)の繰り返しが終了すると、結果出力部3が、その結果を出力する。
【0041】
このようにして、免震層特性の探索システム1を用いて決定された設計変数を実現するように、免震層13の剛性を調整する、特性調整機構15を構成し、特性調整機構15を免震層13に設けることで、地震力を効率的に減衰させることができる免震構造物10を構築することができる。
【0042】
上記のような免震層特性の探索システム1は、免震構造物10の免震層13を、セミアクティブ制御として設計するに際し、応答量を小さくすることを目的として免震層13の特性を探索する免震層特性の探索システム1であって、特性は剛性であり、免震層13の下方と上方にはそれぞれ、免震構造物10の下部構造11と上部構造12が設けられ、免震層13は、能動的に接線剛性を更新する非線形ばねを含んでモデル化され、免震層の諸元の初期値を決定するための免震層13の初期固有周期、接線剛性が更新される複数の時間刻み間隔、及び、複数の時間刻み間隔の各々に対応して設けられた、当該時間刻み間隔に相当する時間が経過した後における接線剛性の更新値を、設計変数とし、下部構造11に対する上部構造12の変位、速度、及び加速度により表現される運動方程式において、変位、速度、または加速度が小さくなるように、設計変数を更新しつつ探索して、免震層の剛性を決定する、探索部2を備えている。
上記のような構成によれば、免震層13は、能動的に接線剛性を更新する非線形ばねを含んでモデル化されている。このような、セミアクティブ制御を行う免震層13に関し、免震層13の設計変数は、免震層13の初期固有周期、接線剛性が更新される複数の時間刻み間隔と、複数の時間刻み間隔の各々に対応して設けられた、当該時間刻み間隔に相当する時間が経過した後における接線剛性の更新値を含む。免震層13の初期固有周期が決まれば、免震層の諸元の初期値を決定して、接線剛性の初期値を決定することができる。複数の時間刻み間隔のなかの、最初の時間刻み間隔が経過した後には、上記の接線剛性の初期値に対し、当該時間刻み間隔が経過した後における更新値を基に、新たな接線剛性を設定し、更新することができる。その後、更に次の時間刻み間隔が経過した後に、上記のようにして更新された接線剛性に対し、当該時間刻み間隔が経過した後における更新値を基に、新たな接線剛性を設定し、更新することができる。このようにして、免震層13の初期固有周期、複数の時間刻み間隔と、複数の更新値を設計変数とすることで、時間経過に伴う接線剛性の変化を定義することができる。探索部2は、下部構造11に対する上部構造12の変位、速度、加速度により表現される運動方程式において、変位、速度、または加速度が、すなわち応答量が小さくなるように、上記のような設計変数を、値を更新しつつ探索して、免震層の剛性を決定する。このようにして、免震層13の初期固有周期、複数の時間刻み間隔と、複数の更新値を設計変数として、応答量が小さくなるような設計変数の値を探索することで、どの時刻で、どのように剛性を制御すれば、応答が改善されるのかが探索される。したがって、免震層13が最適に近い状態で制御された場合における、免震層13の層剛性の形態が、みつけやすくなる。
したがって、セミアクティブ制御の免震層13を設計するに際し、設計の指針とするために、免震層13が最適に近い状態で制御された場合における、免震層13の層剛性の形態を探索することが可能となる。
【0043】
また、探索部2は、設計変数を変数として、変位、速度、または加速度を目的関数とする最適化問題を解くことにより、設計変数を探索する。
上記のような構成によれば、設計変数を変数として、変位、速度、または加速度を目的関数とする最適化問題を解くことにより、設計変数が探索される。したがって、設計変数として、最適に近い解を導出することができる。
【0044】
また、免震構造物10は、上記のような免震層特性の探索システム1を用いて決定された設計変数を実現するように、免震層13の特性を調整する、特性調整機構15を備えている。
上記のような構成によれば、上記のような免震層特性の探索システム1を用いて決定された設計変数は、免震層13が最適に近い状態で制御された場合における、免震層13の特性の形態を表現するものであるから、この設計変数を実現するように、免震層13の特性を調整する特性調整機構15を構成することで、地震力を効率的に減衰させることができる免震構造物10を実現することができる。
【0045】
(検証例)
上記の免震層特性の探索システム1に対して検証を行ったので、その結果を説明する。
図7は、検証例において入力とした地震動を示す図である。
入力地震動は、
図7に示されるような、BCJ-L2(PGA=344cm/s
2)とした。地震動継続時間が120秒であるため、設計変数(
transdt
i、α
i)の成分数は、n=120×0.8=96となることから、100とした。
最適化にあたっては、ESTECO社の最適化プリプロセッサmodeFRONTIERに実装されている複合戦略アルゴリズム「pilOPT」を採用した。計算回数は20000回とし、時刻歴応答解析はNewmark-β法(β=1/4)を用いた。最適化の際の目的関数は、変位と加速度を用いた。
【0046】
図8に、最適化計算結果を示す。
図8においては、Tの下限が0.0、上限が4.0とした結果がプロットされている。このなかで、Tの値が下限に近い結果が、主に、最大応答変位が小さい、
図8において左の方に分布し、Tの値が上限に近い結果が、主に、最大応答変位が大きい、
図8において右の方に分布するように、各結果がプロットされている。
図8には、線L1として、剛性一定Sa-Sdスペクトルが図示されている。
図8においては、この剛性一定Sa-Sdスペクトルよりも改善されているデザインが複数みられる。その中から、「T=2.365s改善解」を、符号P1を付して示す。
更に、同一初期剛性で剛性一定とした際の応答点を、剛性一定Sa-Sdスペクトル上に、符号P2を付して示す。また、同一初期剛性で応答が悪化したデザインを、符号P3を付して示す。
【0047】
図9は、
図8に示される結果の中で、T=2.365sの場合で、剛性を一定とした場合よりも応答が悪化した結果の、応答加速度、応答変位、復元力、及び固有周期を示す図である。
図10は、
図8に示される結果の中で、T=2.365sの場合で、剛性を一定とした結果の、応答加速度、応答変位、復元力、及び固有周期を示す図である。
図11は、
図8に示される結果の中で、T=2.365sの場合で、剛性を一定とした場合よりも応答が改善された結果の、応答加速度、応答変位、復元力、及び固有周期を示す図である。
図12は、
図9~
図11の、剛性を一定とした場合よりも応答が悪化した結果と、剛性を一定とした結果、及び剛性を一定とした場合よりも応答が改善された結果の、応答変位と復元力の関係を示すグラフである。
図9に示されるように、悪化した解は、T=1.0s付近まで剛性を一定時間高めた際に大きな加速度が生じている。一方、
図11に示されるように、改善解ではP4で示される最大応答観測時の、少し前に、P5として示されるように、局所的に剛性を高めることで、最大応答値が抑制されている。
【0048】
なお、本発明の免震層特性の探索システム、及び免震層特性の探索システムを用いて設計された免震構造物は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において他の様々な変形例が考えられる。
【0049】
例えば、免震層特性の探索システムは、探索する対象としての特性を剛性としたが、これに限られない。免震層特性の探索システムが探索する対象となる特性は、例えば、減衰特性であっても構わないのは、言うまでもない。
あるいは、免震層特性の探索システムが探索する対象となる特性は、慣性質量であってもよい。慣性質量は、物体が物理的な力に対して反発力を示す性質であり、その物体の運動量の変化によって表わされる。物体の慣性質量が大きいほど、その力に反発する力も大きくなる。これは、物体の質量が大きい場合にも同様である。慣性質量は、物体の大きさや形状に影響されることがなく、質量とは別の量として扱われる。
また、免震層特性の探索システムが探索する対象となる特性は、減衰特性、慣性質量、および剛性について、2つ以上を組み合わせたものでもよい。
【0050】
すなわち、上記のような免震層特性の探索システムは、免震構造物の免震層を、セミアクティブ制御として設計するに際し、応答量を小さくすることを目的として免震層の特性を探索する免震層特性の探索システムであって、免震層の下方と上方にはそれぞれ、免震構造物の下部構造と上部構造が設けられ、免震層は、能動的に特性を更新するようにモデル化され、免震層の諸元の初期値を決定するための免震層の初期固有周期、特性が更新される複数の時間刻み間隔、及び、複数の時間刻み間隔の各々に対応して設けられた、当該時間刻み間隔に相当する時間が経過した後における特性の更新値を、設計変数とし、下部構造に対する上部構造の変位、速度、及び加速度により表現される運動方程式において、変位、速度、または加速度が小さくなるように、設計変数を更新しつつ探索して、免震層の特性を決定する、探索部を備えていることを特徴とする免震層特性の探索システムを提供する。
上記のような構成によれば、免震層は、能動的に特性を更新するようにモデル化されている。このような、セミアクティブ制御を行う免震層に関し、免震層の設計変数は、免震層の初期固有周期、特性が更新される複数の時間刻み間隔と、複数の時間刻み間隔の各々に対応して設けられた、当該時間刻み間隔に相当する時間が経過した後における特性の更新値を含む。免震層の初期固有周期が決まれば、免震層の諸元の初期値を決定して、特性の初期値を決定することができる。複数の時間刻み間隔のなかの、最初の時間刻み間隔が経過した後には、上記の特性の初期値に対し、当該時間刻み間隔が経過した後における更新値を基に、新たな特性を設定し、更新することができる。その後、更に次の時間刻み間隔が経過した後に、上記のようにして更新された特性に対し、当該時間刻み間隔が経過した後における更新値を基に、新たな特性を設定し、更新することができる。このようにして、上記のような免震層の初期固有周期、複数の時間刻み間隔と、複数の更新値を設計変数とすることで、時間経過に伴う特性の変化を定義することができる。探索部は、下部構造に対する上部構造の変位、速度、加速度により表現される運動方程式において、変位、速度、または加速度が、すなわち応答量が小さくなるように、上記のような設計変数を、値を更新しつつ探索して、免震層の特性を決定する。このようにして、免震層の初期固有周期、複数の時間刻み間隔と、複数の更新値を設計変数として、応答量が小さくなるような設計変数の値を探索することで、どの時刻で、どのように特性を制御すれば、応答が改善されるのかが探索される。したがって、免震層が最適に近い状態で制御された場合における、免震層の特性の形態が、みつけやすくなる。
したがって、セミアクティブ制御の免震層を設計するに際し、設計の指針とするために、免震層が最適に近い状態で制御された場合における、免震層の特性の形態を探索することが可能となる。
【0051】
このような構成において、特に、特性は、減衰特性か、慣性質量のいずれか、または減衰特性、慣性質量、および剛性のうち、2つ以上の組み合わせである。
上記のような構成によれば、セミアクティブ制御の免震層を設計するに際し、設計の指針とするために、免震層が最適に近い状態で制御された場合における、免震層の、減衰特性か、慣性質量のいずれかの形態、または減衰特性、慣性質量、および剛性について、2つ以上を組み合わせた形態を探索することが可能となる。
【0052】
これ以外にも、上記実施形態及び変形例で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 免震層特性の探索システム 13 免震層
2 探索部 15 特性調整機構
10 免震構造物 30 非線形ばね
11 下部構造 31 瞬間剛性比例減衰
12 上部構造