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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025406
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】表示装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10K 71/20 20230101AFI20250214BHJP
   H10K 50/816 20230101ALI20250214BHJP
   H10K 59/124 20230101ALI20250214BHJP
   H10K 59/122 20230101ALI20250214BHJP
   H10K 71/16 20230101ALI20250214BHJP
   H10K 50/818 20230101ALI20250214BHJP
   H10K 50/17 20230101ALI20250214BHJP
   H10K 50/844 20230101ALI20250214BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20250214BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
H10K71/20
H10K50/816
H10K59/124
H10K59/122
H10K71/16
H10K50/818
H10K50/17
H10K50/844
G09F9/30 365
G09F9/00 338
G09F9/30 336
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130141
(22)【出願日】2023-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 有親
(72)【発明者】
【氏名】福田 加一
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC23
3K107CC33
3K107CC45
3K107DD23
3K107DD24
3K107DD44X
3K107DD72
3K107DD89
3K107DD90
3K107EE48
3K107EE49
3K107EE50
3K107GG04
3K107GG12
5C094AA31
5C094BA03
5C094BA27
5C094CA19
5C094DA13
5C094EA05
5C094EA06
5C094FA02
5C094FB02
5C094FB12
5C094FB15
5G435AA16
5G435BB05
5G435CC09
5G435HH12
5G435HH14
5G435KK05
5G435KK10
(57)【要約】
【課題】信頼性の低下を抑制する。
【解決手段】一実施形態によれば、表示装置の製造方法は、下電極を形成し、無機絶縁層を形成し、下部層及び上部層を順次形成し、パターニングした第1レジストを形成し、前記第1レジストをマスクとしたエッチングを行い、前記第1レジストから露出した前記上部層及び前記下部層を順次除去し、前記第1レジストを除去した後に、前記下部層及び前記上部層を覆うとともに前記無機絶縁層を露出した第2レジストを形成し、前記第2レジストをマスクとしたエッチングを行い、前記無機絶縁層に、前記下電極に重なる開口を形成し、前記第2レジストを除去した後に、前記下部層のエッチングを行い、前記無機絶縁層の上に位置する下部と、前記下部の上に位置し前記下部の側面から突出した上部と、を有する隔壁を形成し、前記隔壁をマスクとした蒸着を行い、前記開口において、前記下電極の上に、有機層及び上電極を含む積層膜を形成する。
【選択図】図4H
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上に下電極を形成し、
前記下電極を覆う無機絶縁層を形成し、
前記無機絶縁層の上に、下部層及び上部層を順次形成し、
前記上部層の上に、パターニングした第1レジストを形成し、
前記第1レジストをマスクとしたエッチングを行い、前記第1レジストから露出した前記上部層及び前記下部層を順次除去し、
前記第1レジストを除去した後に、前記下部層及び前記上部層を覆うとともに前記無機絶縁層を露出した第2レジストを形成し、
前記第2レジストをマスクとしたエッチングを行い、前記無機絶縁層に、前記下電極に重なる開口を形成し、
前記第2レジストを除去した後に、前記下部層のエッチングを行い、前記無機絶縁層の上に位置する下部と、前記下部の上に位置し前記下部の側面から突出した上部と、を有する隔壁を形成し、
前記隔壁をマスクとした蒸着を行い、前記開口において、前記下電極の上に、有機層及び上電極を含む積層膜を形成する、
表示装置の製造方法。
【請求項2】
基板の上に下電極を形成し、
前記下電極を覆う無機絶縁層を形成し、
前記無機絶縁層の上に、下部層及び上部層を順次形成し、
前記上部層の上に、パターニングした第1レジストを形成し、
前記第1レジストをマスクとしたエッチングを行い、前記第1レジストから露出した前記上部層、前記下部層、及び、前記無機絶縁層を順次除去し、前記無機絶縁層に、前記下電極に重なる開口を形成し、
前記第1レジストを除去した後に、前記下部層のエッチングを行い、前記無機絶縁層の上に位置する下部と、前記下部の上に位置し前記下部の側面から突出した上部と、を有する隔壁を形成し、
前記隔壁をマスクとした蒸着を行い、前記開口において、前記下電極の上に、有機層及び上電極を含む積層膜を形成する、
表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記下部層を形成する工程は、
前記無機絶縁層の上に第1導電層を形成し、
前記第1導電層の上に第2導電層を形成する工程を含み、
前記下部層のエッチングを行う工程は、
前記第2導電層を前記第1導電層及び前記上部層の各々の端部から後退させることを含む、
請求項1または2に記載の表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記第2導電層は、アルミニウム系材料で形成する、
請求項3に記載の表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1導電層は、チタン系材料で形成する、
請求項4に記載の表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記上部層を形成する工程は、
前記第2導電層の上に第1薄膜を形成し、
前記第1薄膜の上に第2薄膜を形成する工程を含み、
前記第1薄膜は、チタン系材料で形成する、
請求項5に記載の表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記下部層のエッチングは、ウエットエッチングである、
請求項3に記載の表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記下電極を形成する工程は、
絶縁層の上に密着層を形成し、
前記密着層の上に反射層を形成し、
前記反射層の上に透明層を形成する工程を含む、
請求項1または2に記載の表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記反射層は、銀で形成する、
請求項8に記載の表示装置の製造方法。
【請求項10】
さらに、前記開口を形成した後に、前記開口を覆う保護膜を形成し、
前記下部層のエッチングを行った後に、前記保護膜を除去する、
請求項8に記載の表示装置の製造方法。
【請求項11】
さらに、前記積層膜を形成した後に、
無機絶縁材料により、前記積層膜及び前記隔壁を覆う封止層を形成する、
請求項1または2に記載の表示装置の製造方法。
【請求項12】
さらに、前記封止層を形成した後に、
前記封止層の上に、パターニングした第3レジストを形成し、
前記第3レジストをマスクとしたエッチングを行い、前記第3レジストから露出した前記封止層及び前記積層膜を順次除去する、
請求項11に記載の表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記無機絶縁層は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、または、シリコン酸窒化物で形成する、
請求項1または2に記載の表示装置の製造方法。
【請求項14】
基板と、
前記基板の上方に配置された下電極と、
前記下電極の周縁部を覆う無機絶縁層と、
前記無機絶縁層の上に配置された下部と、前記下部の上に配置された上部と、を有する隔壁と、
前記下電極の上に配置され、発光層を含む有機層と、
前記有機層の上に配置され、前記下部に接触する上電極と、を備え、
前記下部は、前記無機絶縁層の上面を覆う第1導電層と、前記第1導電層の上に配置された第2導電層と、を有し、
前記第1導電層及び前記上部は、前記第2導電層の側面から突出している、
表示装置。
【請求項15】
前記有機層は、前記第1導電層から離間した正孔注入層を含む、
請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
さらに、
前記上電極の上に配置されたキャップ層と、
無機絶縁材料で形成され、前記キャップ層及び前記隔壁を覆う封止層と、を備える、
請求項14に記載の表示装置。
【請求項17】
前記第1導電層は、チタン系材料で形成され、
前記第2導電層は、アルミニウム系材料で形成されている、
請求項14に記載の表示装置。
【請求項18】
前記上部は、前記第2導電層の上に配置されチタン系材料で形成された第1薄膜と、前記第1薄膜の上に配置された第2薄膜と、を有している、
請求項17に記載の表示装置。
【請求項19】
前記下電極は、
銀で形成された反射層と、
前記反射層の上に配置された透明層と、を有している、
請求項14に記載の表示装置。
【請求項20】
前記無機絶縁層は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、または、シリコン酸窒化物で形成されている、
請求項14に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されている。この表示素子は、薄膜トランジスタを含む画素回路と、画素回路に接続された下電極と、下電極を覆う有機層と、有機層を覆う上電極と、を備えている。
このような表示素子を製造する過程において、信頼性の低下を抑制する技術が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-195677号公報
【特許文献2】特開2004-207217号公報
【特許文献3】特開2008-135325号公報
【特許文献4】特開2009-32673号公報
【特許文献5】特開2010-118191号公報
【特許文献6】国際公開第2018/179308号
【特許文献7】米国特許出願公開第2022/0077251号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、信頼性の低下を抑制することが可能な表示装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、表示装置の製造方法は、
基板の上に下電極を形成し、前記下電極を覆う無機絶縁層を形成し、前記無機絶縁層の上に、下部層及び上部層を順次形成し、前記上部層の上に、パターニングした第1レジストを形成し、前記第1レジストをマスクとしたエッチングを行い、前記第1レジストから露出した前記上部層及び前記下部層を順次除去し、前記第1レジストを除去した後に、前記下部層及び前記上部層を覆うとともに前記無機絶縁層を露出した第2レジストを形成し、前記第2レジストをマスクとしたエッチングを行い、前記無機絶縁層に、前記下電極に重なる開口を形成し、前記第2レジストを除去した後に、前記下部層のエッチングを行い、前記無機絶縁層の上に位置する下部と、前記下部の上に位置し前記下部の側面から突出した上部と、を有する隔壁を形成し、前記隔壁をマスクとした蒸着を行い、前記開口において、前記下電極の上に、有機層及び上電極を含む積層膜を形成する。
【0006】
一実施形態によれば、表示装置の製造方法は、
基板の上に下電極を形成し、前記下電極を覆う無機絶縁層を形成し、前記無機絶縁層の上に、下部層及び上部層を順次形成し、前記上部層の上に、パターニングした第1レジストを形成し、前記第1レジストをマスクとしたエッチングを行い、前記第1レジストから露出した前記上部層、前記下部層、及び、前記無機絶縁層を順次除去し、前記無機絶縁層に、前記下電極に重なる開口を形成し、前記第1レジストを除去した後に、前記下部層のエッチングを行い、前記無機絶縁層の上に位置する下部と、前記下部の上に位置し前記下部の側面から突出した上部と、を有する隔壁を形成し、前記隔壁をマスクとした蒸着を行い、前記開口において、前記下電極の上に、有機層及び上電極を含む積層膜を形成する。
【0007】
一実施形態によれば、表示装置は、
基板と、前記基板の上方に配置された下電極と、前記下電極の周縁部を覆う無機絶縁層と、前記無機絶縁層の上に配置された下部と、前記下部の上に配置された上部と、を有する隔壁と、前記下電極の上に配置され、発光層を含む有機層と、前記有機層の上に配置され、前記下部に接触する上電極と、を備え、前記下部は、前記無機絶縁層の上面を覆う第1導電層と、前記第1導電層の上に配置された第2導電層と、を有し、前記第1導電層及び前記上部は、前記第2導電層の側面から突出している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、表示装置DSPの一構成例を示す平面図である。
図2図2は、副画素SP1、SP2、SP3のレイアウトの一例を示す図である。
図3図3は、図2中のA-B線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。
図4A図4Aは、表示装置の製造方法を説明するための図である。
図4B図4Bは、表示装置の製造方法を説明するための図である。
図4C図4Cは、表示装置の製造方法を説明するための図である。
図4D図4Dは、表示装置の製造方法を説明するための図である。
図4E図4Eは、表示装置の製造方法を説明するための図である。
図4F図4Fは、表示装置の製造方法を説明するための図である。
図4G図4Gは、表示装置の製造方法を説明するための図である。
図4H図4Hは、表示装置の製造方法を説明するための図である。
図4I図4Iは、表示装置の製造方法を説明するための図である。
図5図5は、表示装置の製造方法を説明するための図である。
図6図6は、表示装置の製造方法を説明するための図である。
図7図7は、表示装置の製造方法を説明するための図である。
図8図8は、表示装置の製造方法を説明するための図である。
図9図9は、表示装置の製造方法を説明するための図である。
図10図10は、表示装置の製造方法を説明するための図である。
図11A図11Aは、他の製造方法を説明するための図である。
図11B図11Bは、他の製造方法を説明するための図である。
図12A図12Aは、他の製造方法を説明するための図である。
図12B図12Bは、他の製造方法を説明するための図である。
図12C図12Cは、他の製造方法を説明するための図である。
図13図13は、図12A乃至図12Cに示した製造方法を経て形成した表示素子DE1、DE2、DE3を示す断面図である。
図14図14は、図13に示した表示素子DE1及び表示素子DE2を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態について図面を参照しながら説明する。
開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向Xと称し、Y軸に沿った方向を第2方向Yと称し、Z軸に沿った方向を第3方向Zと称する。第3方向Zと平行に各種要素を見ることを平面視という。
【0011】
本実施形態に係る表示装置は、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であり、テレビ、パーソナルコンピュータ、車載機器、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話端末等に搭載され得る。
【0012】
図1は、表示装置DSPの一構成例を示す平面図である。
【0013】
表示装置DSPは、絶縁性の基板10の上に、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAよりも外側の周辺領域SAと、を有する表示パネルPNLを備えている。基板10は、ガラス基板であってもよいし、可撓性を有する樹脂基板であってもよい。
【0014】
本実施形態においては、平面視における基板10の形状が長方形である。ただし、基板10の平面視における形状は長方形に限らず、正方形、円形あるいは楕円形などの他の形状であってもよい。
【0015】
表示領域DAは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。画素PXは、複数の副画素SPを含む。一例では、画素PXは、第1色の副画素SP1、第2色の副画素SP2、及び、第3色の副画素SP3を含む。第1色、第2色、及び、第3色は、互いに異なる色である。なお、画素PXは、副画素SP1、SP2、SP3とともに、あるいは副画素SP1、SP2、SP3のいずれかに代えて、白色などの他の色の副画素SPを含んでもよい。
【0016】
副画素SPは、画素回路1と、画素回路1によって駆動される表示素子DEと、を備えている。画素回路1は、画素スイッチ2と、駆動トランジスタ3と、キャパシタ4と、を備えている。画素スイッチ2及び駆動トランジスタ3は、例えば薄膜トランジスタにより構成されたスイッチング素子である。
【0017】
画素スイッチ2のゲート電極は、走査線GLに接続されている。画素スイッチ2のソース電極及びドレイン電極の一方は信号線SLに接続され、他方は駆動トランジスタ3のゲート電極及びキャパシタ4に接続されている。駆動トランジスタ3において、ソース電極及びドレイン電極の一方は電源線PL及びキャパシタ4に接続され、他方は表示素子DEのアノードに接続されている。
【0018】
なお、画素回路1の構成は図示した例に限らない。例えば、画素回路1は、より多くの薄膜トランジスタ及びキャパシタを備えてもよい。
【0019】
表示素子DEは、発光素子としての有機発光ダイオード(OLED)であり、有機EL素子と称する場合がある。
【0020】
周辺領域SAは、一方向に並んだ複数の端子TEを有している。図示した例では、複数の端子TEは、第1方向Xに沿って並んでいる。端子TEの各々は、いずれも第2方向Yに延出しているが、これに限らない。例えば、複数の端子TEのうちの一部が、斜め方向に延出していてもよい。このような複数の端子TEは、例えば、フレキシブルプリント回路基板やICチップと電気的に接続される。
【0021】
図2は、副画素SP1、SP2、SP3のレイアウトの一例を示す図である。
【0022】
図示した例では、副画素SP2及び副画素SP3が第2方向Yに並んでいる。副画素SP1及び副画素SP2が第1方向Xに並び、副画素SP1及び副画素SP3が第1方向Xに並んでいる。
【0023】
副画素SP1、SP2、SP3がこのようなレイアウトである場合、表示領域DAには、副画素SP2及び副画素SP3が第2方向Yに交互に配置された列と、複数の副画素SP1が第2方向Yに配置された列とが形成される。これらの列は、第1方向Xに交互に並んでいる。
【0024】
なお、副画素SP1、SP2、SP3のレイアウトは図2の例に限られない。他の一例として、各画素PXにおける副画素SP1、SP2、SP3が第1方向Xに順に並んでいてもよい。
【0025】
表示領域DAには、絶縁層5及び隔壁6が配置されている。絶縁層5は、副画素SP1、SP2、SP3においてそれぞれ開口AP1、AP2、AP3を有している。これらの開口AP1、AP2、AP3を有する絶縁層5は、リブと称する場合がある。
【0026】
隔壁6は、平面視において絶縁層5と重なっている。隔壁6は、開口AP1、AP2、AP3を囲む格子状に形成されている。隔壁6は、絶縁層5と同様に副画素SP1、SP2、SP3において開口を有するということもできる。隔壁6は、導電性を有し、図1に示した複数の端子TEのうち、コモン電位の端子TEと電気的に接続されている。
【0027】
副画素SP1、SP2、SP3は、表示素子DEとして、それぞれ表示素子DE1、DE2、DE3を備えている。
【0028】
副画素SP1の表示素子DE1は、開口AP1とそれぞれ重なる下電極LE1、上電極UE1、及び、有機層OR1を備えている。下電極LE1、有機層OR1、及び、上電極UE1は、平面視において隔壁6で囲まれている。下電極LE1、有機層OR1、及び、上電極UE1のそれぞれの周縁部は、平面視において絶縁層5に重なっている。
【0029】
副画素SP2の表示素子DE2は、開口AP2とそれぞれ重なる下電極LE2、上電極UE2、及び、有機層OR2を備えている。下電極LE2、有機層OR2、及び、上電極UE2は、平面視において隔壁6で囲まれている。下電極LE2、有機層OR2、及び、上電極UE2のそれぞれの周縁部は、平面視において絶縁層5に重なっている。
【0030】
副画素SP3の表示素子DE3は、開口AP3とそれぞれ重なる下電極LE3、上電極UE3、及び、有機層OR3を備えている。下電極LE3、有機層OR3、及び、上電極UE3は、平面視において隔壁6で囲まれている。下電極LE3、有機層OR3、及び、上電極UE3のそれぞれの周縁部は、平面視において絶縁層5に重なっている。
【0031】
図示した例では、下電極LE1、LE2、LE3の外形は破線で示し、有機層OR1、OR2、OR3、及び、上電極UE1、UE2、UE3の外形は一点鎖線で示している。なお、図示した下電極、有機層、上電極のそれぞれの外形は、正確な形状を反映したものとは限らない。
【0032】
下電極LE1、LE2、LE3は、例えば、表示素子のアノードに相当する。上電極UE1、UE2、UE3は、表示素子のカソード、あるいは、共通電極に相当し、隔壁6に接触している。
【0033】
図示した例では、開口AP1の面積、開口AP2の面積、及び、開口AP3の面積は、互いに異なる。開口AP1の面積が開口AP2の面積よりも大きく、開口AP2の面積が開口AP3の面積よりも大きい。換言すると、開口AP1から露出した下電極LE1の面積は開口AP2から露出した下電極LE2の面積よりも大きく、開口AP2から露出した下電極LE2の面積は開口AP3から露出した下電極LE3の面積よりも大きい。
【0034】
図3は、図2中のA-B線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。
【0035】
回路層11は、基板10の上に配置されている。回路層11は、図1に示した画素回路1などの各種回路と、走査線GL、信号線SL、電源線PLなどの各種配線と、を含む。回路層11は、絶縁層12により覆われている。絶縁層12は、回路層11により生じる凹凸を平坦化する有機絶縁層である。
【0036】
下電極LE1、LE2、LE3は、絶縁層12の上に配置され、互いに離間している。絶縁層5は、無機絶縁層であり、絶縁層12及び下電極LE1、LE2、LE3の上に配置されている。絶縁層5の開口AP1は下電極LE1に重なり、開口AP2は下電極LE2に重なり、開口AP3は下電極LE3に重なっている。下電極LE1、LE2、LE3の周縁部は、絶縁層5で覆われている。下電極LE1、LE2、LE3は、絶縁層12に設けられたコンタクトホールを通じて副画素SP1、SP2、SP3のそれぞれの画素回路1に接続されている。なお、絶縁層12のコンタクトホールは、図3では省略している。
【0037】
隔壁6は、絶縁層5の上に配置された導電性を有する下部61と、下部61の上に配置された上部62と、を含む。上部62は、下部61よりも大きい幅を有している。上部62の両端部は、下部61の側面よりも突出している。このような隔壁6の形状は、オーバーハング状と呼ばれる。
【0038】
図示した例では、下部61は、絶縁層5の上に配置された第1導電層63と、第1導電層63の上に配置された第2導電層64と、を有している。例えば、第1導電層63は、第2導電層64よりも薄く形成されている。また、図示した例では、第1導電層63の両端部が第2導電層64の側面から突出している。
上部62は、第2導電層64の上に配置された第1薄膜65と、第1薄膜65の上に配置された第2薄膜66と、を有している。第1薄膜65及び第2薄膜66の両端部は、第2導電層64の側面から突出している。
【0039】
有機層OR1は、開口AP1を通じて下電極LE1に接触し、開口AP1から露出した下電極LE1を覆うとともに、その周縁部が絶縁層5の上に位置している。上電極UE1は、有機層OR1を覆い、下部61に接触している。
【0040】
有機層OR2は、開口AP2を通じて下電極LE2に接触し、開口AP2から露出した下電極LE2を覆うとともに、その周縁部が絶縁層5の上に位置している。上電極UE2は、有機層OR2を覆い、下部61に接触している。
【0041】
有機層OR3は、開口AP3を通じて下電極LE3に接触し、開口AP3から露出した下電極LE3を覆うとともに、その周縁部が絶縁層5の上に位置している。上電極UE3は、有機層OR3を覆い、下部61に接触している。
【0042】
図示した例では、副画素SP1はキャップ層CP1及び封止層SE1を有し、副画素SP2はキャップ層CP2及び封止層SE2を有し、副画素SP3はキャップ層CP3及び封止層SE3を有している。キャップ層CP1、CP2、CP3は、それぞれ有機層OR1、OR2、OR3から放たれた光の取り出し効率を向上させる光学調整層としての役割を有している。なお、キャップ層CP1、CP2、CP3は、省略されてもよい。
【0043】
キャップ層CP1は、上電極UE1の上に配置されている。
キャップ層CP2は、上電極UE2の上に配置されている。
キャップ層CP3は、上電極UE3の上に配置されている。
【0044】
封止層SE1は、キャップ層CP1の上に配置され、隔壁6に接触し、副画素SP1の各部材を連続的に覆っている。
封止層SE2は、キャップ層CP2の上に配置され、隔壁6に接触し、副画素SP2の各部材を連続的に覆っている。
封止層SE3は、キャップ層CP3の上に配置され、隔壁6に接触し、副画素SP3の各部材を連続的に覆っている。
【0045】
図示した例では、有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1のそれぞれの一部は、副画素SP1の周囲の隔壁6の上に位置している。これらの部分は、有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1のうち開口AP1に位置する部分(表示素子DE1を構成する部分)から離間している。
同様に、有機層OR2、上電極UE2、及び、キャップ層CP2のそれぞれの一部は、副画素SP2の周囲の隔壁6の上に位置し、これらの部分は、有機層OR2、上電極UE2、及び、キャップ層CP2のうち開口AP2に位置する部分(表示素子DE2を構成する部分)から離間している。
同様に、有機層OR3、上電極UE3、及び、キャップ層CP3のそれぞれの一部は、副画素SP3の周囲の隔壁6の上に位置し、これらの部分は、有機層OR3、上電極UE3、及び、キャップ層CP3のうち開口AP3に位置する部分(表示素子DE3を構成する部分)から離間している。
【0046】
以下の説明においては、有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1を含む多層体を積層膜FL1と呼び、有機層OR2、上電極UE2、及び、キャップ層CP2を含む多層体を積層膜FL2と呼び、有機層OR3、上電極UE3、及び、キャップ層CP3を含む多層体を積層膜FL3と呼ぶ。
【0047】
封止層SE1、SE2、SE3の端部、及び、積層膜FL1、FL2、FL3の端部は、それぞれ隔壁6の上に位置している。図示した例では、副画素SP1、SP2間の隔壁6の上の積層膜FL1及び封止層SE1は、当該隔壁6の上の積層膜FL2及び封止層SE2から離間している。また、副画素SP1、SP3間の隔壁6の上の積層膜FL1及び封止層SE1は、当該隔壁6の上の積層膜FL3及び封止層SE3から離間している。
【0048】
封止層SE1、SE2、SE3は、樹脂層13によって覆われている。樹脂層13は、封止層14によって覆われている。封止層14は、樹脂層15によって覆われている。
【0049】
絶縁層5、封止層SE1、SE2、SE3、及び、封止層14は、例えば、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン酸窒化物(SiON)、酸化アルミニウム(Al)などの無機絶縁材料で形成されている。
【0050】
隔壁6の下部61は、導電材料で形成され、上電極UE1、UE2、UE3と電気的に接続されている。第1導電層63は、例えば、チタンまたはチタン化合物などのチタン系材料で形成されている。第2導電層64は、第1導電層63及び上部62とは異なる材料で形成され、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム化合物などのアルミニウム系材料で形成されている。
【0051】
隔壁6の上部62は、例えば導電材料によって形成されているが、絶縁材料で形成されてもよい。第1薄膜65は、例えば、チタンまたはチタン化合物などのチタン系材料で形成されている。第2薄膜66は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)などの酸化物導電材料で形成されている。
【0052】
下電極LE1、LE2、LE3は、インジウム錫酸化物(ITO)などの酸化物導電材料で形成された透明層と、銀などの金属材料で形成された反射層とを含む多層体である。一例では、下電極LE1、LE2、LE3は、一対の透明層の間に反射層を含む多層体である。下層の透明層は、絶縁層12に密着する密着層として機能する。
【0053】
有機層OR1は、発光層EM1を含む。有機層OR2は、発光層EM2を含む。有機層OR3は、発光層EM3を含む。発光層EM1、発光層EM2、及び、発光層EM3は、互いに異なる材料で形成されている。一例では、発光層EM1は、青波長域の光を放つ材料によって形成され、発光層EM2は、緑波長域の光を放つ材料によって形成され、発光層EM3は、赤波長域の光を放つ材料によって形成されている。
また、有機層OR1、OR2、OR3の各々は、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層などの複数の機能層を含む。
【0054】
上電極UE1、UE2、UE3は、例えば、マグネシウム及び銀の合金(MgAg)などの金属材料で形成されている。
【0055】
キャップ層CP1、CP2、CP3は、複数の薄膜の多層体である。複数の薄膜は、いずれも透明であり、しかも、互いに異なる屈折率を有している。
【0056】
図示した回路層11、絶縁層12、絶縁層5、樹脂層13、樹脂層15、及び、封止層14は、表示領域DA及び周辺領域SAに亘って配置されている。
【0057】
次に、表示装置DSPの製造方法について説明する。なお、製造方法を説明するための各図については絶縁層12よりも下方の図示を省略している。
【0058】
まず、基板10の上において、表示領域DA及び周辺領域SAに亘って回路層11及び絶縁層12を形成した後に、図4Aに示すように、絶縁層12の上に、副画素SP1の下電極LE1、副画素SP2の下電極LE2、副画素SP3の下電極LE3を形成する。下電極LE1、LE2、LE3を形成する工程は、例えば、以下の工程を含む。すなわち、下電極を形成する工程は、絶縁層12の上に、密着層LEAを形成する工程と、密着層LEAの上に反射層LEBを形成する工程と、反射層LEBの上に透明層LECを形成する工程と、密着層LEA、反射層LEB、及び、透明層LECをパターニングする工程と、を含む。これにより、密着層LEA、反射層LEB、及び、透明層LECの多層体が島状に形成される。これらの多層体は、それぞれ下電極LE1、LE2、LE3に相当する。密着層LEAは、例えばITOで形成する。反射層LEBは、例えば銀で形成する。透明層LECは、例えばITOで形成する。
【0059】
続いて、図4Bに示すように、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物などの無機絶縁材料を堆積することにより、絶縁層12及び下電極LE1、LE2、LE3を覆う絶縁層5を形成する。
【0060】
続いて、図4Cに示すように、絶縁層5の上に、隔壁6の下部61を形成するための下部層を形成した後に、下部層の上に、隔壁6の上部62を形成するための上部層を形成する。
下部層を形成する工程は、絶縁層5の上に、チタン系材料で第1導電層63を形成する工程と、第1導電層63の上に、アルミニウム系材料で第2導電層64を形成する工程を含む。つまり、下部層とは、第1導電層63及び第2導電層64の多層体である。
上部層を形成する工程は、第2導電層64の上に、チタン系材料で第1薄膜65を形成する工程と、第1薄膜65の上に、ITOで第2薄膜66を形成する工程と、を含む。つまり、上部層とは、第1薄膜65及び第2薄膜66の多層体である。
【0061】
続いて、図4Dに示すように、上部層の第2薄膜66の上に、所定の形状にパターニングされた第1レジストR1を形成する。
【0062】
続いて、図4Eに示すように、第1レジストR1をマスクとしたエッチングを行い、第1レジストR1から露出した上部層を除去した後に、下部層を除去する。具体的には、まず、ウエットエッチングにより、第2薄膜66を除去する。その後、ドライエッチングにより、第1薄膜65を除去した後、第2導電層64を除去し、さらに、第1導電層63を除去し、下電極LE1、LE2,LE3の直上において、絶縁層5を露出する。
【0063】
続いて、図4Fに示すように、第1レジストR1を除去する。
【0064】
続いて、図4Gに示すように、下部層である第1導電層63及び第2導電層64と、上部層である第1薄膜65及び第2薄膜66とを覆う第2レジストR2を形成する。第2レジストR2は、第2薄膜66の上面を覆うとともに、下部層及び上部層のそれぞれの側面も覆っており、第1導電層63の周囲において絶縁層5に接している。第2レジストR2は、下電極LE1、LE2,LE3の直上において、絶縁層5を露出している。
【0065】
続いて、図4Hに示すように、第2レジストR2をマスクとしたエッチングを行う。具体的には、ドライエッチングにより、第2レジストR2から露出した絶縁層5を除去し、開口AP1、AP2、AP3を形成する。開口AP1は副画素SP1の下電極LE1に重なり、開口AP2は副画素SP2の下電極LE2に重なり、開口AP3は副画素SP3の下電極LE3に重なる。
【0066】
続いて、図4Iに示すように、第2レジストR2を除去する。
【0067】
続いて、図5に示すように、下部層のうちの第2導電層64のエッチングを行う。具体的には、ウエットエッチングにより、第2導電層64を第1導電層63及び上部層の各々の端部から後退させる。これにより、絶縁層5の上に位置する下部61と、下部61の上に位置し第2導電層64の側面から突出した上部62とを有する隔壁6が形成される。
【0068】
続いて、表示素子DE1を形成する。
【0069】
まず、図6に示すように、有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1を含む積層膜FL1を形成する。積層膜FL1を形成する工程は、開口AP1において下電極LE1に接触する有機層OR1を形成する工程と、有機層OR1を覆い隔壁6の下部61に接触する上電極UE1を形成する工程と、上電極UE1の上に位置するキャップ層CP1を形成する工程と、含む。また、有機層OR1は、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、発光層EM1、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層などを含む。有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1は、それぞれ隔壁6をマスクとした蒸着によって形成される。積層膜FL1は、オーバーハング状の隔壁6によって複数の部分に分断される。これらの有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1は、真空環境を維持した状態で連続して形成される。
【0070】
その後、無機絶縁材料を堆積することにより、積層膜FL1の上に封止層SE1を形成する。封止層SE1は、CVD(Chemical Vapor Deposition)によって形成される。封止層SE1は、積層膜FL1の分断された各部分及び隔壁6を連続的に覆う。
【0071】
続いて、図7に示すように、封止層SE1の上に、所定の形状にパターニングされた第3レジストR3を形成する。第3レジストR3は、副画素SP1とその周囲の隔壁6の一部に重なっている。
【0072】
続いて、図8に示すように、第3レジストR3をマスクとしたエッチングを行い、第3レジストR3から露出した封止層SE1及び積層膜FL1が除去される。このエッチングにおいては、第3レジストR3から露出した封止層SE1を除去した後に、封止層SE1から露出したキャップ層CP1を除去し、さらに、キャップ層CP1から露出した上電極UE1を除去した後に、上電極UE1から露出した有機層OR1を除去する。これにより、副画素SP2の下電極LE2及び副画素SP3の下電極LE3が露出する。
その後、第3レジストR3を除去する。これにより、副画素SP1に表示素子DE1が形成される。
【0073】
続いて、図9に示すように、表示素子DE2を形成する。表示素子DE2を形成する手順は、表示素子DE1を形成する手順と同様である。すなわち、下電極LE2の上に、発光層EM2を含む有機層OR2、上電極UE2、及び、キャップ層CP2を順に形成し、積層膜FL2を形成する。その後、積層膜FL2の上に封止層SE2を形成する。その後、封止層SE2の上にレジストを形成し、このレジストをマスクとしたエッチングにより、封止層SE2、キャップ層CP2、上電極UE2、及び、有機層OR2をパターニングする。このパターニングの後、レジストを除去する。これにより、副画素SP2に表示素子DE2が形成され、副画素SP3の下電極LE3が露出する。
【0074】
続いて、図10に示すように、表示素子DE3を形成する。表示素子DE3を形成する手順は、表示素子DE1を形成する手順と同様である。すなわち、下電極LE3の上に、発光層EM3を含む有機層OR3、上電極UE3、及び、キャップ層CP3を順に形成し、積層膜FL3を形成する。その後、積層膜FL3の上に封止層SE3を形成する。その後、封止層SE3の上にレジストを形成し、このレジストをマスクとしたエッチングにより、封止層SE3、キャップ層CP3、上電極UE3、及び、有機層OR3をパターニングする。このパターニングの後、レジストを除去する。これにより、副画素SP3に表示素子DE3が形成される。
【0075】
その後、図3などに示した樹脂層13、封止層14、及び、樹脂層15を順に形成する。これにより、表示装置DSPが完成する。
【0076】
なお、以上の製造工程においては、最初に表示素子DE1が形成され、次に表示素子DE2が形成され、最後に表示素子DE3が形成される場合を想定したが、表示素子DE1、DE2、DE3の形成順はこの例に限られない。
【0077】
ここで、比較例1として、隔壁6を形成する前に、絶縁層5に開口AP1、AP2、AP3を形成する場合について説明する。
このような比較例1では、開口AP1、AP2、AP3からそれぞれ露出した下電極LE1、LE2、LE3の上に、スパッタリングにより第1導電層が形成される。また、隔壁6を形成する際に第1導電層のドライエッチングが行われる。このようなスパッタリングやドライエッチングにより、下電極LE1、LE2、LE3の表面の透明層がダメージを受けるおそれがある。
【0078】
一方、本実施形態の製造方法によれば、第1導電層のスパッタリングやドライエッチングは、開口AP1、AP2、AP3を形成する前に行われる。このため、下電極LE1、LE2、LE3へのダメージが抑制される。これにより、各表示素子DE1、DE2、DE3において、所望の表示性能を実現することができ、信頼性の低下が抑制される。
【0079】
また、比較例2として、隔壁6を形成した後に、隔壁6をレジストで覆い、絶縁層5に開口AP1、AP2、AP3を形成する場合について説明する。
このような比較例2では、オーバーハング状の隔壁6をレジストで覆う際に、庇となる上部62の下方にレジストの空洞が発生しやすい。このような空洞は、レジストを減圧乾燥した際に膨張し、破裂するおそれがある。この場合、必要なレジストの一部が欠落し、パターン不良が発生し、絶縁層5に所望の開口AP1、AP2、AP3を形成することが困難となり得る。また、空洞の発生を抑制するために、レジストの塗布速度を低下させた場合には、生産性の低下を招くおそれがある。
【0080】
一方、本実施形態の製造方法によれば、図4Gを参照して説明したように、オーバーハング状の隔壁6を形成する前に、第1導電層63、第2導電層64、第1薄膜65、及び、第2薄膜66の多層体を第2レジストR2で覆っている。このため、レジストの塗布速度を低下させることなく、第2レジストR2における空洞の発生が抑制される。このため、生産性の低下を招くことなく、絶縁層5に所望の開口AP1、AP2、AP3を形成することができる。
【0081】
次に、表示装置DSPの他の製造方法について説明する。
【0082】
まず、上記の製造方法と同様に、下電極LE1、LE2、LE3を形成する(図4A)。続いて、絶縁層5を形成する(図4B)。続いて、第1導電層63、第2導電層64、第1薄膜65、及び、第2薄膜66を形成する(図4C)。続いて、第1レジストR1を形成する(図4D)。続いて、第1導電層63、第2導電層64、第1薄膜65、及び、第2薄膜66をパターニングする(図4E)。続いて、第1レジストR1を除去する(図4F)。続いて、第2レジストR2を形成する(図4G)。続いて、絶縁層5に開口AP1、AP2、AP3を形成する(図4H)。続いて、第2レジストR2を除去する(図4I)。
【0083】
続いて、図11Aに示すように、開口AP1、AP2、AP3をそれぞれ覆う保護膜PRを形成する。つまり、保護膜PRは、下電極LE1、LE2、LE3を覆っている。保護膜PRは、一般的なレジスト材料で形成してもよいし、ポリイミドなどの樹脂で形成してもよい。
【0084】
続いて、図11Bに示すように、下部層のうちの第2導電層64のエッチングを行う。具体的には、ウエットエッチングにより、第2導電層64を第1導電層63及び上部層の各々の端部から後退させる。これにより、絶縁層5の上に位置する下部61と、下部61の上に位置し第2導電層64の側面から突出した上部62とを有する隔壁6が形成される。
その後、保護膜PRを除去する。
【0085】
続いて、上記の製造方法と同様に、表示素子DE1を形成し(図6乃至図8)、表示素子DE2を形成し(図9)、表示素子DE3を形成する(図10)。
【0086】
このような製造方法においても、上記の製造方法と同様の効果が得られる。加えて、第2導電層64のウエットエッチングの際に使用されるエッチング液による下電極LE1、LE2、LE3のダメージを抑制することができる。例えば、下電極LE1、LE2、LE3の透明層に欠陥が生じていた場合、欠陥がエッチング液の浸入経路となり、銀製の反射層を浸食する恐れがある。このため、第2導電層64のウエットエッチングに先立ち、下電極LE1、LE2、LE3を保護膜PRで覆うことにより、たとえ透明層に欠陥が生じていたとしても、エッチング液の反射層への浸入を抑制することができ、反射層の浸食が抑制される。
【0087】
次に、表示装置DSPの他の製造方法について説明する。
【0088】
まず、上記の製造方法と同様に、下電極LE1、LE2、LE3を形成する(図4A)。続いて、絶縁層5を形成する(図4B)。続いて、第1導電層63、第2導電層64、第1薄膜65、及び、第2薄膜66を形成する(図4C)。続いて、第1レジストR1を形成する(図4D)。
【0089】
続いて、図12Aに示すように、第1レジストR1をマスクとしたエッチングを行い、第1レジストR1から露出した上部層を除去した後に、下部層を除去し、さらに、絶縁層5を除去する。これにより、絶縁層5に、開口AP1、AP2、AP3を形成する。開口AP1は副画素SP1の下電極LE1に重なり、開口AP2は副画素SP2の下電極LE2に重なり、開口AP3は副画素SP3の下電極LE3に重なる。
具体的には、まず、ウエットエッチングにより、第2薄膜66を除去する。その後、ドライエッチングにより、第1薄膜65を除去した後、第2導電層64を除去し、さらに、第1導電層63を除去した後に、絶縁層5を除去する。
【0090】
続いて、図12Bに示すように、第1レジストR1を除去する。
【0091】
続いて、図12Cに示すように、下部層のうちの第2導電層64のエッチングを行う。具体的には、ウエットエッチングにより、第2導電層64を第1導電層63及び上部層の各々の端部から後退させる。これにより、絶縁層5の上に位置する下部61と、下部61の上に位置し第2導電層64の側面から突出した上部62とを有する隔壁6が形成される。
【0092】
続いて、上記の製造方法と同様に、表示素子DE1を形成し(図6乃至図8)、表示素子DE2を形成し(図9)、表示素子DE3を形成する(図10)。このような工程を経て形成された表示素子DE1、DE2、DE3を図13に示す。
【0093】
このような製造方法においても、上記の製造方法と同様の効果が得られる。加えて、上記の製造方法と比較して、第2レジストが不要であり、製造コストの削減、及び、製造工程の簡素化が可能となる。また、第2レジストを形成する際の位置ズレを考慮する必要がなくなる。このため、絶縁層5及び隔壁6の幅の縮小、あるいは、開口AP1、AP2、AP3の拡大(発光面積の拡大)が可能となる。
【0094】
なお、ここで説明した製造方法についても、図12Cに示した第2導電層64のエッチングの前に、図11Aを参照して説明したように、開口AP1、AP2、AP3からそれぞれ露出した下電極LE1、LE2、LE3を保護膜PRで覆ってもよい。これにより、第2導電層64のウエットエッチングの際に使用されるエッチング液による下電極LE1、LE2、LE3のダメージを抑制することができる。
【0095】
図14は、図13に示した表示素子DE1及び表示素子DE2を拡大した断面図である。なお、図14では、絶縁層12よりも下方、樹脂層13、封止層14、樹脂層15の図示を省略している。
【0096】
表示素子DE1は、絶縁層12の上に配置された下電極LE1と、下電極LE1の上に配置され発光層EM1を含む有機層OR1と、有機層OR1の上に配置され下部61に接触する上電極UE1と、を備えている。表示素子DE2も表示素子DE1と同様に、下電極LE2と、発光層EM2を含む有機層OR2と、上電極UE2と、を備えている。
【0097】
下電極LE1、LE2は、例えばITOで形成された密着層LEAと、例えば銀で形成された反射層LEBと、例えばITOで形成された透明層LECと、を有する多層体である。
【0098】
有機層OR1、OR2は、それぞれ正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層などの複数の機能層を含む。これらの機能層のうち、少なくとも正孔注入層HILは、第1導電層63から離間している。このため、正孔注入層HILを介した不所望なキャリアのリークが抑制される。
【0099】
絶縁層5は、絶縁層12の上に配置され、下電極LE1、LE2の周縁部を覆っている。絶縁層5は、例えば、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物などの無機絶縁材料で形成されている。
【0100】
隔壁6は、絶縁層5の上に配置された下部61と、下部61の上に配置された上部62と、を有している。下部61は、絶縁層5の上面5Aを覆う第1導電層63と、第1導電層の上に配置された第2導電層64と、を有している。
上記の製造方法によれば、第1レジストR1をマスクとして、第1導電層63のエッチング及び絶縁層5のエッチングが行われたため、上面5Aの幅と第1導電層63の幅とはほぼ同一であり、上面5Aのほぼ全面が第1導電層63で覆われている。第1導電層63は、例えばチタン系材料で形成されている。第2導電層64は、例えばアルミニウム系材料で形成されている。
【0101】
上部62は、第2導電層64の上に配置された第1薄膜65と、第1薄膜65の上に配置された第2薄膜66と、を有している。第1導電層63及び上部62は、第2導電層64の側面から突出している。第1薄膜65は、例えばチタン系材料で形成されている。第2薄膜66は、例えば酸化物導電材料で形成されている。
【0102】
キャップ層CP1は、上電極UE1の上に配置されている。封止層SE1は、キャップ層CP1及び隔壁6を覆っている。キャップ層CP2は、上電極UE2の上に配置されている。封止層SE2は、キャップ層CP2及び隔壁6を覆っている。封止層SE1、SE2は、例えば、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物などの無機絶縁材料で形成されている。
【0103】
以上説明したように、本実施形態によれば、信頼性の低下を抑制することが可能な表示装置及びその製造方法を提供することができる。
【0104】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置及びその製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置及びその製造方法も、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に属する。
【0105】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0106】
また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0107】
DSP…表示装置 PNL…表示パネル
10…基板
5…絶縁層 AP1、AP2、AP3…開口
6…隔壁 61…下部 62…上部
63…第1導電層 64…第2導電層 65…第1薄膜 66…第2薄膜
SP1、SP2、SP3…副画素
DE1、DE2、DE3…表示素子(有機EL素子)
LE1、LE2、LE3…下電極
UE1、UE2、UE3…上電極
OR1、OR2、OR3…有機層
R1…第1レジスト R2…第2レジスト R3…第3レジスト
PR…保護膜
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13
図14