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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002542
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】車両用照明装置、および車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 45/50 20180101AFI20241226BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20241226BHJP
   F21V 31/00 20060101ALI20241226BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241226BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20241226BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20241226BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20241226BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20241226BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20241226BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20241226BHJP
   F21W 103/45 20180101ALN20241226BHJP
   F21W 103/40 20180101ALN20241226BHJP
【FI】
F21S45/50
F21S43/14
F21V31/00 100
F21Y115:10
F21Y115:15
F21Y115:30
F21W103:55
F21W103:10
F21W103:35
F21W103:00
F21W103:45
F21W103:40
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102784
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100196999
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 和之
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 悠樹
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014NA02
3K014NA03
(57)【要約】
【課題】防水性を向上させることができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る車両用照明装置は、一方の端部に開口する凹部を有するソケットと;前記凹部の内部に設けられた基板と;前記凹部の内部であって、前記基板の上に設けられた発光素子と;前記ソケットの、前記凹部が開口する前記端部に設けられ、前記凹部の開口を液密に封止し、前記発光素子から照射された光を透過可能なフランジ部を有する第1の防水部と;を具備している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端部に開口する凹部を有するソケットと;
前記凹部の内部に設けられた基板と;
前記凹部の内部であって、前記基板の上に設けられた発光素子と;
前記ソケットの、前記凹部が開口する前記端部に設けられ、前記凹部の開口を液密に封止し、前記発光素子から照射された光を透過可能なフランジ部を有する第1の防水部と;
を具備した車両用照明装置。
【請求項2】
前記第1の防水部は、前記凹部の内部に設けられ、前記発光素子から照射された前記光を透過可能な導光部をさらに有し、
前記導光部の一方の端部は、前記フランジ部に設けられ、前記導光部の他方の端部には、前記発光素子が収納される凹部が設けられている請求項1記載の車両用照明装置。
【請求項3】
膜状を呈し、前記基板の、前記発光素子が設けられた面に設けられ、前記基板の前記面側を液密に封止する第2の防水部をさらに具備した請求項1または2に記載の車両用照明装置。
【請求項4】
ソケットと;
前記ソケットの一方の端部側に設けられた基板と;
前記基板の上に設けられた発光素子と;
枠状を呈し、前記基板の、前記発光素子が設けられた面の周縁を囲む壁と;
膜状を呈し、前記壁の内側に設けられ、前記基板の前記面側を液密に封止する第3の防水部と;
を具備した車両用照明装置。
【請求項5】
請求項1または4に記載の車両用照明装置と;
前記車両用照明装置が取り付けられる筐体と;
を具備した車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両用照明装置、および車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー化や長寿命化などの観点から、フィラメントを有するランプを備えた車両用照明装置に代えて、発光ダイオードなどの発光素子を備えた車両用照明装置の普及が進んでいる。この様な車両用照明装置は、車両用灯具に設けられた筐体に、着脱自在に設けられる。
【0003】
ここで、車両用照明装置が設けられた車両用灯具は、主に、屋外において用いられる。そのため、環境に含まれていた水蒸気が結露することで生じた水や、雨水などが、車両用照明装置の内部に侵入するおそれがある。車両用照明装置には、発光素子や回路素子が実装された基板が設けられているので、車両用照明装置の内部に水分が侵入すると、水分が基板などに付着するおそれがある。水分が基板などに付着すると、短絡などが生じて、発光素子が不点灯となるおそれがある。
【0004】
そのため、車両用照明装置と、車両用照明装置が取り付けられる筐体との間には、シール部材が設けられている。シール部材が設けられていれば、車両用照明装置の内部に水分が侵入するのを抑制することができる。ところが、シール部材はゴムなどを用いて形成されるため、紫外線や環境温度などによって劣化が生じる。劣化によりシール部材にひび割れや硬化が生じると、車両用照明装置の内部に水分が侵入するおそれがある。
そこで、防水性を向上させることができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-247061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、防水性を向上させることができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る車両用照明装置は、一方の端部に開口する凹部を有するソケットと;前記凹部の内部に設けられた基板と;前記凹部の内部であって、前記基板の上に設けられた発光素子と;前記ソケットの、前記凹部が開口する前記端部に設けられ、前記凹部の開口を液密に封止し、前記発光素子から照射された光を透過可能なフランジ部を有する第1の防水部と;を具備している。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、防水性を向上させることができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係る車両用照明装置を例示するための模式斜視図である。
図2図1における車両用照明装置のA-A線断面図である。
図3】他の実施形態に係る防水部を例示するための模式断面図である。
図4】車両用灯具を例示するための模式部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0011】
(車両用照明装置)
本実施の形態に係る車両用照明装置1は、例えば、自動車や鉄道車両などに設けることができる。自動車に設けられる車両用照明装置1としては、例えば、フロントコンビネーションライト(例えば、デイライトランニングランプ(DRL;Daylight Running Lamp)、ポジションランプ、ターンシグナルランプなどが適宜組み合わされたもの)や、リアコンビネーションライト(例えば、ストップランプ、テールランプ、ターンシグナルランプ、バックランプ、フォグランプなどが適宜組み合わされたもの)などに用いるものを例示することができる。ただし、車両用照明装置1の用途は、これらに限定されるわけではない。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る車両用照明装置1を例示するための模式斜視図である。
図2は、図1における車両用照明装置1のA-A線断面図である。
図1図2に示すように、車両用照明装置1には、例えば、ソケット10、発光モジュール20、給電部30、伝熱部40、および防水部50(第1の防水部の一例に相当する)が設けられている。
【0013】
ソケット10は、例えば、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15を有する。
装着部11は、フランジ13の、放熱フィン14が設けられる側とは反対側の面に設けられている。装着部11の外形形状は、柱状とすることができる。装着部11の外形形状は、例えば、円柱状である。装着部11は、フランジ13側とは反対側の端部に開口する凹部11aを有する。
【0014】
バヨネット12は、例えば、装着部11の側面に設けられる。バヨネット12は、車両用照明装置1の外側に向けて突出している。バヨネット12は、フランジ13と対向している。バヨネット12は、複数設けることができる。バヨネット12は、車両用照明装置1を、例えば、後述する車両用灯具100の筐体101に装着する際に用いられる。バヨネット12は、ツイストロックに用いることができる。
【0015】
フランジ13は、板状を呈している。フランジ13は、例えば、略円板状を呈している。フランジ13の側面は、バヨネット12の側面よりも車両用照明装置1の外方に位置している。
【0016】
放熱フィン14は、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けられる。放熱フィン14は、少なくとも1つ設けることができる。例えば、図1、および図2に示すように、ソケット10には複数の放熱フィン14を設けることができる。複数の放熱フィン14は、所定の方向に並べて設けることができる。放熱フィン14は、例えば、板状、または筒状を呈している。
【0017】
コネクタホルダ15は、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けられている。コネクタホルダ15は、放熱フィン14と並べて設けることができる。コネクタホルダ15は、筒状を呈し、内部にシール部材105aを有するコネクタ105が挿入される。
【0018】
ソケット10は、発光モジュール20、および給電部30を保持する機能と、発光モジュール20において発生した熱を外部に伝える機能を有する。そのため、ソケット10は、熱伝導率の高い材料から形成するのが好ましい。ソケット10は、例えば、アルミニウム合金などの金属から形成することができる。
【0019】
また、ソケット10は、例えば、高熱伝導性樹脂から形成することもできる。高熱伝導性樹脂は、例えば、PET(Polyethylene terephthalate)やナイロン(Nylon)などの樹脂に、炭素や酸化アルミニウムなどを用いたフィラーを混合させたものである。高熱伝導性樹脂を含むソケット10とすれば、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができる。また、ソケット10の重量を軽くすることができる。
【0020】
発光モジュール20は、ソケット10の一方の端部側に設けられている。例えば、発光モジュール20は、凹部11aの内部において、伝熱部40の上に接着される。なお、後述する様に、伝熱部40が省かれる場合がある。伝熱部40が省かれる場合には、発光モジュール20は、例えば、凹部11aの底面11a1に接着される。
【0021】
図1、および図2に示すように、発光モジュール20は、例えば、基板21、発光素子22、枠部23、封止部24、および回路素子25を有する。
【0022】
基板21は、凹部11aの内部に設けられている。基板21は、板状を呈している。基板21の平面形状(車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向から見た場合の形状)は、例えば、略四角形である。基板21は、例えば、セラミックス(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウム)などの無機材料、紙フェノールやガラスエポキシなどの有機材料から形成することができる。また、基板21は、金属板の表面を絶縁性材料で被覆したメタルコア基板であってもよい。基板21は、単層構造を有するものであってもよいし、多層構造を有するものであってもよい。
【0023】
また、基板21は、配線パターン21aを有している。配線パターン21aは、基板21の上(ソケット10側とは反対側の面)に設けられている。配線パターン21aは、例えば、銀を主成分とする材料や、銅を主成分とする材料などから形成される。
また、配線パターン21aや、後述する膜状の抵抗器などを覆う被覆部を設けることもできる。被覆部は、例えば、ガラス材料を含むことができる。
【0024】
発光素子22は、凹部11aの内部であって、基板21の上に設けられている。発光素子22は、配線パターン21aに電気的に接続される。発光素子22は、少なくとも1つ設けることができる。図1図2、および図3に例示をした車両用照明装置1(発光モジュール20)には、複数の発光素子22が設けられている。複数の発光素子22を設ける場合には、複数の発光素子22を直列接続することができる。
【0025】
発光素子22は、例えば、発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザダイオードなどとすることができる。
【0026】
発光素子22は、チップ状の発光素子とすることもできるし、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)型などの表面実装型の発光素子とすることもできるし、砲弾型などのリード線を有する発光素子とすることもできる。図1、および図2に例示をした発光素子22は、チップ状の発光素子である。この場合、発光モジュール20の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化を考慮すると、チップ状の発光素子とすることが好ましい。以下においては、一例として、発光素子22がチップ状の発光素子である場合を説明する。
【0027】
チップ状の発光素子22は、COB(Chip On Board)により配線パターン21aに実装することができる。チップ状の発光素子22は、上部電極型の発光素子、上下電極型の発光素子、フリップチップ型の発光素子のいずれであってもよい。
【0028】
枠部23は、基板21の上に設けられている。枠部23は、基板21に接着されている。枠部23は、枠状を呈し、発光素子22を囲んでいる。車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向から見た場合の枠部23の輪郭(平面形状の輪郭)は、要求される配光特性や輝度分布などに応じて適宜変更することができる。例えば、枠部23の平面形状の輪郭は、円、四角形、楕円などとすることができる。なお、図1に例示をした枠部23の平面形状の輪郭は、円である。
【0029】
枠部23は、例えば、樹脂から形成される。樹脂は、例えば、PBT(polybutylene terephthalate)、PC(polycarbonate)、PET、ナイロン、PP(polypropylene)、PE(polyethylene)、PS(polystyrene)などの熱可塑性樹脂とすることができる。
【0030】
枠部23は、封止部24の形成範囲を規定する機能と、リフレクタの機能とを有する。そのため、枠部23は、反射率を向上させるために、酸化チタンの粒子などを含んでいたり、白色の樹脂を含んでいたりすることができる。
【0031】
なお、枠部23は、省くこともできる。枠部23が省かれる場合には、例えば、ドーム状の封止部24が基板21の上に設けられる。ただし、枠部23が設けられていれば、発光素子22から出射した光の利用効率を向上させることができる。また、封止部24が形成される範囲を小さくすることができるので、発光モジュール20の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化を図ることができる。
【0032】
封止部24は、枠部23の内側に設けられる。封止部24は、枠部23により囲まれた領域を覆うように設けられる。封止部24は、発光素子22を覆うように設けられる。封止部24は、透光性を有する樹脂を含んでいる。封止部24は、例えば、枠部23の内側に軟化させた樹脂を充填することで形成される。樹脂の充填は、例えば、ディスペンサなどを用いて行われる。充填する樹脂は、例えば、シリコーン樹脂などである。また、封止部24には蛍光体を含めることもできる。
【0033】
回路素子25は、発光素子22を有する発光回路を構成するために用いられる受動素子または能動素子とすることができる。回路素子25は、凹部11aの内部であって、基板21の上に設けられている。回路素子25は、例えば、枠部23の周辺に設けられ、配線パターン21aと電気的に接続される。回路素子25は、配線パターン21aを介して、発光素子22と電気的に接続されている。
【0034】
図1に例示をした回路素子25は、保護素子25a、抵抗25b、および制御素子25cである。
ただし、回路素子25の種類は例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22を有する発光回路の構成に応じて適宜変更することができる。例えば、回路素子25は、前述したものの他に、コンデンサ、正特性サーミスタ、負特性サーミスタ、インダクタ、サージアブソーバ、バリスタ、トランジスタ、集積回路、演算素子などであってもよい。
【0035】
保護素子25aは、例えば、逆方向電圧が発光素子22に印加されないようにするため、および、逆方向からのパルスノイズが発光素子22に印加されないようにするために設けられる。保護素子25aは、例えば、ダイオードとすることができる。図1に例示をした保護素子25aは、表面実装型のダイオードである。
【0036】
抵抗25bは、例えば、表面実装型の抵抗器、リード線を有する抵抗器(酸化金属皮膜抵抗器)、スクリーン印刷法などを用いて形成された膜状の抵抗器などとすることができる。なお、図1に例示をした抵抗25bは、膜状の抵抗器である。
【0037】
ここで、発光素子22の順方向電圧特性には、ばらつきがあるので、アノード端子とグランド端子との間の印加電圧を一定にすると、発光素子22から照射される光の明るさ(光束、輝度、光度、照度)にばらつきが生じる。そのため、発光素子22から照射される光の明るさが所定の範囲内に収まるように、発光素子22に直列接続された抵抗25bにより、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。この場合、抵抗25bの抵抗値を変化させることで、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。
【0038】
抵抗25bが表面実装型の抵抗器やリード線を有する抵抗器などの場合には、発光素子22の順方向電圧特性に応じて適切な抵抗値を有する抵抗25bを選択する。抵抗25bが膜状の抵抗器の場合には、抵抗25bの一部を除去すれば、抵抗値を増加させることができる。例えば、膜状の抵抗器にレーザ光を照射すれば、膜状の抵抗器の一部を容易に除去することができる。なお、抵抗25bの数、配置、大きさなどは、例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22の数や仕様などに応じて適宜変更することができる。
【0039】
制御素子25cは、例えば、発光素子22に印加する電圧を切り替えたり、温度ディレーティングを実行したりするために設けられる。ただし、制御素子25cの機能や用途は例示をしたものに限定されるわけではない。制御素子25cは、例えば、トランジスタや集積回路とすることができる。なお、図1に例示をした制御素子25cは、表面実装型の集積回路である。
【0040】
給電部30は、例えば、複数の給電端子31、および保持部32を有する。
複数の給電端子31は、棒状体とすることができる。複数の給電端子31の一方の端部は、凹部11aの底面11a1から突出している。複数の給電端子31の一方の端部は、基板21に設けられた配線パターン21aと半田付けされる。複数の給電端子31の他方の端部は、コネクタホルダ15の孔の内部に露出している。コネクタホルダ15の孔の内部に露出する複数の給電端子31には、コネクタ105が嵌め合わされる。複数の給電端子31は、例えば、銅合金などの金属から形成される。なお、複数の給電端子31の形状、配置、材料などは例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0041】
ソケット10が、例えば、炭素を用いたフィラーを含む高熱伝導性樹脂や、金属などを用いて形成される場合には、導電性を有するソケット10となる。そのため、保持部32は、複数の給電端子31と、導電性を有するソケット10との間を絶縁するために設けられている。なお、ソケット10が、絶縁性を有する高熱伝導性樹脂(例えば、酸化アルミニウムを用いたフィラーを含む高熱伝導性樹脂など)を用いて形成される場合には、保持部32を省くことができる。保持部32は、例えば、ソケット10に設けられた孔に圧入したり、孔の内壁に接着したりすることができる。
【0042】
伝熱部40は、板状を呈し、ソケット10と、発光モジュール20(基板21)との間に設けられている。図1、および図2に示すように、伝熱部40は、例えば、凹部11aの底面11a1に接着することができる。また、凹部11aの底面11a1に設けられた凹部の内部に、伝熱部40を接着したり、凹部の内部に熱伝導グリス(放熱グリス)を介して取り付けたり、インサート成形法により凹部の内部に埋め込んだりすることができる。
【0043】
伝熱部40は、熱伝導率の高い材料から形成される。例えば、伝熱部40は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などの金属から形成される。なお、ソケット10が金属から形成されたり、発光モジュール20において発生する熱が少ない場合には、伝熱部40を省くこともできる。
【0044】
ここで、後述する様に、車両用照明装置1は、車両用灯具100に設けられた筐体101に、着脱自在に設けられる。この場合、車両用照明装置1が設けられた車両用灯具100は、主に、屋外において用いられるため、環境に含まれていた水蒸気が結露することで生じた水や、雨水などが、車両用照明装置1の内部(ソケット10の凹部11aの内部)に侵入するおそれがある。車両用照明装置の内部に侵入した水分が基板などに付着すると、基板21に設けられた発光回路において短絡などが生じて、発光素子22が不点灯となるおそれがある。
【0045】
この場合、図2や、後述する図4に示すように、車両用照明装置1(フランジ13)と、筐体101との間には、シール部材104が設けられるので、車両用照明装置1の内部に水分が侵入するのを抑制することができる。
【0046】
しかしながら、シール部材104はゴムなどを用いて形成されるため、紫外線や環境温度などによって劣化が生じる。劣化によりシール部材104にひび割れや硬化が生じると、車両用照明装置の内部に水分が侵入するおそれがある。
【0047】
また、後述する様に、車両用灯具100には、車両用照明装置1から出射した光の反射などを行う光学要素103が設けられている。近年においては、光学要素103に代えて、あるいは光学要素103と協働して、発光素子22から出射した光の制御を行う要素を車両用照明装置1に設けることが望まれている。
【0048】
そこで、本実施の形態に係る車両用照明装置1には、防水部50が設けられている。防水部50は、車両用照明装置1の内部に水分が侵入するのを抑制し、且つ、発光素子22から出射した光の制御を行う。
【0049】
図2に示すように、防水部50は、フランジ部50a、および導光部50bを有する。 フランジ部50aは、板状を呈し、ソケット10(装着部11)の、凹部11aが開口する端部に設けられている。フランジ部50aは、凹部11aの開口を液密に封止する。なお、液密は、車両用照明装置1(装着部11)の外部に付着した水分が、凹部11aの内部に侵入しない程度であればよい。フランジ部50aは、例えば、ソケット10の端部に接着することができる。フランジ部50aにより、凹部11aの開口が液密となるように封止されていれば、シール部材104を通過した水分が、発光モジュール20が設けられた凹部11aの内部に侵入するのを抑制することができる。
すなわち、車両用照明装置1の防水性を向上させることができる。
【0050】
導光部50bは、凹部11aの内部に設けられている。導光部50bの一方の端部は、フランジ部50aに設けられている。導光部50bの他方の端部(基板21側の端部)は、基板21と接触していてもよいし、所定の隙間を空けて、基板21と対向していてもよいし、基板21と接着されていてもよい。導光部50bの他方の端部には、枠部23、封止部24、および発光素子22が収納される凹部50b1が設けられている。なお、枠部23が省かれる場合には、封止部24、および発光素子22が凹部50b1の内部に収納される。また、発光素子22が、表面実装型の発光素子や、砲弾型などのリード線を有する発光素子の場合には、発光素子22が凹部50b1の内部に収納される。すなわち、凹部50b1の内部には、少なくとも発光素子22が収納される。
この場合、導光部50bの、基板21側の端部が基板21と接着されていれば、凹部11aの内部に水分が侵入したとしても、侵入した水分が発光素子22に到達するのを抑制することができる。
【0051】
また、凹部50b1の、内壁の形状や、内壁の表面粗さなどを適宜選択することで、防水部50に、発光素子22から照射された光の制御を行う機能を持たせることもできる。例えば、凹部50b1の内壁を凸状の曲面や、凹状の曲面とすることで、防水部50にレンズの機能を持たせることができる。また、例えば、凹部50b1の内壁の表面粗さを変えることで、配光特性を調整することができる。
【0052】
フランジ部50a、および導光部50bは、一体に形成することができる。防水部50(フランジ部50a、導光部50b)は、発光素子22から照射された光を透過させることができる。防水部50の材料は、例えば、ポリカーボネートやアクリルなどの透光性樹脂や、ガラスなどとすることができる。
【0053】
図3は、他の実施形態に係る防水部51(第2の防水部の一例に相当する)を例示するための模式断面図である。
図3に示すように、防水部51は、基板21の、発光素子22が設けられた面に設けられている。防水部51は、膜状を呈し、基板21の、発光素子22が設けられた面側を液密に封止する。例えば、防水部51は、基板21の、枠部23が設けられた領域の外側を覆っている。例えば、防水部51は、配線パターン21a、および、回路素子25の、配線パターン21aと接続される端子25dを覆うことができる。この場合、防水部51は、回路素子25の全体を覆わないようにすることが好ましい。この様にすれば、防水部51により、回路素子25の放熱性が低下するのを抑制することができる。
【0054】
防水部51は、絶縁性を有する材料から形成することができる。防水部51は、例えば、絶縁性を有する樹脂から形成することができる。防水部51は、基板21の上に軟化させた樹脂を供給することで形成することができる。樹脂の供給は、例えば、ディスペンサなどを用いて行うことができる。
【0055】
この場合、防水部51は、封止部24と同じ材料(例えば、シリーコーン樹脂)を用いて形成することもできる。防水部51の材料が、封止部24の材料と同じで有れば、封止部24を形成する工程において、封止部24と、防水部51とを順次形成することができる。そのため、製造工程の簡潔化や、製造コストの低減などを図ることができる。
【0056】
ここで、基板21の上に軟化させた樹脂を供給した際に、基板21の周縁から樹脂が流出すると、防水部51の厚みを制御するのが困難となる場合がある。また、基板21の周縁から樹脂が流出すると、基板21の周辺に樹脂が付着して、基板21の分離が困難となる場合がある。
【0057】
そのため、枠状を呈し、基板21の、発光素子22が設けられた面の周縁を囲む壁51aを設けることが好ましい。壁51aが設けられていれば、防水部51を形成する際に、基板21の周縁から樹脂が流出するのを抑制することができる。
この場合、膜状を呈する防水部51(第3の防水部の一例に相当する)は、壁51aの内側に設けられ、基板21の、発光素子22が設けられた面側を液密に封止する。
【0058】
壁51aは、例えば、軟化させた樹脂を基板21の周縁に沿って線状に供給し、これを硬化させることで形成することができる。樹脂の供給は、例えば、ディスペンサなどを用いて行うことができる。壁51aの形成に用いられる樹脂には特に限定がない。この場合、壁51aの材料が、防水部51および封止部24の材料(例えば、シリーコーン樹脂)と同じであれば、同じ供給装置を用いて、壁51a、封止部24、および防水部51を順次形成することができる。そのため、製造工程の簡潔化や、製造コストの低減などを図ることができる。
なお、枠状の壁51aを形成し、形成された壁51aを基板21の周縁に接着してもよい。
【0059】
防水部51が設けられていれば、シール部材104を通過した水分が、発光モジュール20が設けられた凹部11aの内部に侵入したとしても、侵入した水分が発光素子22、回路素子25、および配線パターン21aに到達するのを抑制することができる。
すなわち、車両用照明装置1の防水性を向上させることができる。
【0060】
また、前述した防水部50と、防水部51とを併せて用いることもできる。防水部50と、防水部51とを併せて用いれば、車両用照明装置1の防水性をさらに向上させることができる。
【0061】
(車両用灯具)
本発明の1つの実施形態において、車両用照明装置1を具備した車両用灯具100を提供することができる。前述した車両用照明装置1に関する説明、および車両用照明装置1の変形例(例えば、防水部51、壁51a、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもので、本発明の特徴を備えているもの)は、いずれも車両用灯具100に適用することができる。
【0062】
なお、以下においては、一例として、車両用灯具100が自動車に設けられるリアコンビネーションライトである場合を説明する。ただし、車両用灯具100は、自動車に設けられるリアコンビネーションライトに限定されるわけではない。車両用灯具100は、自動車や鉄道車両などに設けられる車両用灯具であればよい。
【0063】
図4は、車両用灯具100を例示するための模式部分断面図である。
図4に示すように、車両用灯具100には、例えば、車両用照明装置1、筐体101、カバー102、光学要素103、シール部材104、およびコネクタ105が設けられている。
【0064】
筐体101には車両用照明装置1が取り付けられる。筐体101は、装着部11を保持する。筐体101は、一方の端部側が開口した箱状を呈している。筐体101は、例えば、光を透過しない樹脂などから形成することができる。筐体101の底面には、装着部11のバヨネット12が設けられた部分が挿入される取付孔101aが設けられている。取付孔101aの周縁には、装着部11に設けられたバヨネット12が挿入される凹部が設けられている。なお、筐体101に取付孔101aが直接設けられる場合を例示したが、取付孔101aを有する取付部材が筐体101に設けられていてもよい。
【0065】
車両用照明装置1を車両用灯具100に取り付ける際には、装着部11のバヨネット12が設けられた部分を取付孔101aに挿入し、車両用照明装置1を回転させる。すると、取付孔101aの周縁に設けられた嵌合部にバヨネット12が保持される。この様な取り付け方法は、ツイストロックと呼ばれている。
【0066】
カバー102は、筐体101の開口を塞ぐように設けられている。カバー102は、透光性を有する樹脂などから形成することができる。カバー102は、レンズなどの機能を有するものとすることもできる。
【0067】
光学要素103には、車両用照明装置1から出射した光が入射する。光学要素103は、車両用照明装置1から出射した光の反射、拡散、導光、集光、所定の配光パターンの形成などを行う。例えば、図4に例示をした光学要素103はリフレクタである。この場合、光学要素103は、車両用照明装置1から出射した光を反射して、所定の配光パターンが形成されるようにする。
【0068】
シール部材104は、フランジ13と筐体101の間に設けられている。シール部材104は、環状を呈するものとすることができる。シール部材104は、ゴムやシリコーン樹脂などの弾性を有する材料から形成することができる。
【0069】
コネクタ105は、コネクタホルダ15の内部に露出している給電端子31a~31cの端部に嵌め合わされる。コネクタ105は、電源などと電気的に接続されている。また、コネクタ105には、環状を呈するシール部材105aが設けられている。コネクタ105がコネクタホルダ15の内部に挿入された際に、シール部材105aによりコネクタホルダ15の内部が、水密となるように密閉される。
【0070】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【0071】
以下、前述した実施形態に関する付記を示す。
【0072】
(付記1)
一方の端部に開口する凹部を有するソケットと;
前記凹部の内部に設けられた基板と;
前記凹部の内部であって、前記基板の上に設けられた発光素子と;
前記ソケットの、前記凹部が開口する前記端部に設けられ、前記凹部の開口を液密に封止し、前記発光素子から照射された光を透過可能なフランジ部を有する第1の防水部と;
を具備した車両用照明装置。
【0073】
(付記2)
前記第1の防水部は、前記凹部の内部に設けられ、前記発光素子から照射された前記光を透過可能な導光部をさらに有し、
前記導光部の一方の端部は、前記フランジ部に設けられ、前記導光部の他方の端部には、前記発光素子が収納される凹部が設けられている付記1記載の車両用照明装置。
【0074】
(付記3)
膜状を呈し、前記基板の、前記発光素子が設けられた面に設けられ、前記基板の前記面側を液密に封止する第2の防水部をさらに具備した付記1または2に記載の車両用照明装置。
【0075】
(付記4)
ソケットと;
前記ソケットの一方の端部側に設けられた基板と;
前記基板の上に設けられた発光素子と;
枠状を呈し、前記基板の、前記発光素子が設けられた面の周縁を囲む壁と;
膜状を呈し、前記壁の内側に設けられ、前記基板の前記面側を液密に封止する第3の防水部と;
を具備した車両用照明装置。
【0076】
(付記5)
付記1~4のいずれか1つに記載の車両用照明装置と;
前記車両用照明装置が取り付けられる筐体と;
を具備した車両用灯具。
【符号の説明】
【0077】
1 車両用照明装置、10 ソケット、11 装着部、11a 凹部、20 発光モジュール、21 基板、21a 配線パターン、22 発光素子、23 枠部、24 封止部、25 回路素子、50 防水部、51 防水部、51a 壁、100 車両用灯具、101 筐体
図1
図2
図3
図4