(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025422
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】フロアマット連結具
(51)【国際特許分類】
B60N 3/04 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
B60N3/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130166
(22)【出願日】2023-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】390005430
【氏名又は名称】株式会社ホンダアクセス
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】後藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】村上 浩
(72)【発明者】
【氏名】角田 孝敬
【テーマコード(参考)】
3B088
【Fターム(参考)】
3B088GA01
3B088GB01
(57)【要約】
【課題】一対のフロアマットが所定角度で交差するような場合に一対のフロアマット同士を良好な態様で連結する。
【解決手段】フロアマット連結具は、第1フロアマットの裏面から表面にかけて延在し、第1フロアマットの縁部を挟持するように構成された、可撓性を有する第1マット保持部と、第2フロアマットの裏面から表面にかけて延在し、第2フロアマットの縁部を挟持するように構成された、可撓性を有する第2マット保持部と、第1マット保持部と第2マット保持部とを連結するとともに、マット境界線と平行な軸線を中心にして屈曲自在に構成された連結部と、を備える。連結部は、第1マット保持部の高さ方向一端部と第2マット保持部の高さ方向一端部とを接続する仮想平面よりも第1マット保持部および第2マット保持部の高さ方向他端部側において幅方向に延在する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マット境界線を介して隣り合って配置された第1フロアマットと第2フロアマットとを連結するフロアマット連結具であって、
前記第1フロアマットの裏面から表面にかけて延在し、前記第1フロアマットの縁部を挟持するように構成された、可撓性を有する第1マット保持部と、
前記第2フロアマットの裏面から表面にかけて延在し、前記第2フロアマットの縁部を挟持するように構成された、可撓性を有する第2マット保持部と、
前記第1マット保持部と前記第2マット保持部とを連結するとともに、前記マット境界線と平行な軸線を中心にして屈曲自在に構成された連結部と、を備え、
前記フロアマット連結具は、前記マット境界線を越えて延在する所定の幅と、該幅に直交する所定の高さと、を有し、
前記連結部は、前記第1マット保持部の高さ方向一端部と前記第2マット保持部の高さ方向一端部とを接続する仮想平面よりも前記第1マット保持部および前記第2マット保持部の高さ方向他端部側において幅方向に延在することを特徴とするフロアマット連結具。
【請求項2】
請求項1に記載のフロアマット連結具において、
前記第1マット保持部および前記第2マット保持部は、前記連結部よりも高さ方向一端側に突設され、前記仮想平面上に先端部が位置する突出部をそれぞれ有することを特徴とするフロアマット連結具。
【請求項3】
請求項1または2に記載のフロアマット連結具において、
前記第1マット保持部は、前記第1フロアマットの前記裏面に対向して幅方向に延在する第1裏面部と、前記第1フロアマットの前記表面に対向して幅方向に延在するとともに、前記第1裏面部よりも幅方向の長さが短い第1表面部と、前記第1裏面部の幅方向一端部と前記第1表面部の幅方向一端部とを接続する第1接続部と、を有し、
前記第2マット保持部は、前記第2フロアマットの前記裏面に対向して幅方向に延在する第2裏面部と、前記第2フロアマットの前記表面に対向して幅方向に延在するとともに、前記第2裏面部よりも幅方向の長さが短い第2表面部と、前記第2裏面部の幅方向一端部と前記第2表面部の幅方向一端部とを接続する第2接続部と、を有することを特徴とするフロアマット連結具。
【請求項4】
請求項3に記載のフロアマット連結具において、
前記第1表面部の幅方向他端部に、前記第1裏面部に向けて第1凸部が突設され、前記第2表面部の幅方向他端部に、前記第2裏面部に向けて第2凸部が突設されることを特徴とするフロアマット連結具。
【請求項5】
請求項1または2に記載のフロアマット連結具において、
前記第1マット保持部および前記第2マット保持部は、前記マット境界線に関して互いに対称に構成されるとともに、それぞれ湾曲された湾曲部を有して全体が略C字状に構成され、
前記連結部の板厚は、前記湾曲部の板厚よりも薄いことを特徴とするフロアマット連結具。
【請求項6】
請求項5に記載のフロアマット連結具において、
前記連結部の幅方向の長さは、前記第1マット保持部の前記湾曲部と前記第2マット保持部の前記湾曲部との間の空隙の幅方向の長さよりも長いことを特徴とするフロアマット連結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のフロアマットを連結するフロアマット連結具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、フロアマット同士を連結するための部位をフロアマット自体に別途設けることなく、隣り合って配置されたフロアマット同士を連結するようにした連結具が知られている(例えば特許文献1(
図7)参照)。特許文献1記載の連結具は、一対のフロアマットをそれぞれ保持する第1保持部分および第2保持部分と、第1保持部分と第2保持部分とを結合する可撓性の結合部分とを備え、第1保持部分、第2保持部分および結合部分の上面が同一平面となるように連結具が形成される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、隣り合う一対のフロアマットの上面が所定角度(例えば90°)で交差して一対のフロアマットが配置される場合、連結具を所定角度までスムーズに屈曲可能に構成する必要がある。しかしながら、上記特許文献1記載の連結具のように、第1保持部分、第2保持部分および結合部分の上面が同一平面となるように連結具が形成されると、連結具をスムーズに屈曲させることが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、マット境界線を介して隣り合って配置された第1フロアマットと第2フロアマットとを連結するフロアマット連結具であって、第1フロアマットの裏面から表面にかけて延在し、第1フロアマットの縁部を挟持するように構成された、可撓性を有する第1マット保持部と、第2フロアマットの裏面から表面にかけて延在し、第2フロアマットの縁部を挟持するように構成された、可撓性を有する第2マット保持部と、第1マット保持部と第2マット保持部とを連結するとともに、マット境界線と平行な軸線を中心にして屈曲自在に構成された連結部と、を備える。フロアマット連結具は、マット境界線を越えて延在する所定の幅と、幅に直交する所定の高さと、を有し、連結部は、第1マット保持部の高さ方向一端部と第2マット保持部の高さ方向一端部とを接続する仮想平面よりも第1マット保持部および第2マット保持部の高さ方向他端部側において幅方向に延在する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、フロアマット連結具をスムーズに屈曲させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係るフロアマット連結具のフロアマットへの適用例を概略的に示す平面図。
【
図3】本発明の実施形態に係るフロアマット連結具の全体構成を示す斜視図。
【
図4】本発明の実施形態に係るフロアマット連結具の全体構成を示す側面図。
【
図5A】本発明の実施形態に係るフロアマット連結具により左右一対のフロアマットが連結された状態を示す側面図。
【
図6】本発明の実施形態に係るフロアマット連結具に、上方から衝撃が作用した場合の力の伝達経路を説明する図。
【
図7A】一対のフロアマットが45°の角度で交差する場合の、本発明の実施形態に係るフロアマット連結具の適用例を示す側面図。
【
図7B】一対のフロアマットが90°の角度で交差する場合の、本発明の実施形態に係るフロアマット連結具の適用例を示す側面図。
【
図8】一対のフロアマットが90°の角度で交差する車室内の箇所の一例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、
図1~
図8を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るフロアマット連結具100のフロアマット201,202への適用例を概略的に示す平面図である。
図1には、フロアマット連結具100として、便宜上、その外形線のみを点線で示す。
【0009】
図1に示すように、車両のフロアの上面には、マット境界線LN1を介して互いに隣り合った状態で一対のフロアマット201,202が敷設される。フロアマット連結具100は、フロアマット201とフロアマット202との境界部に配置され、フロアマット同士を連結する。なお、
図1では、一対のフロアマット201,202の上面が同一平面上に位置するが、一対のフロアマット201,202の上面が同一平面上になく所定角度(例えば90°)で交差する場合にも、フロアマット連結具100を適用可能である。以下では、便宜上、フロアマット201を第1フロアマットと呼び、フロアマット202を第2フロアマットと呼ぶことがある。
【0010】
図2は、フロアマット201,202の端部の近傍の断面図である。
図2に示すように、フロアマット201,202は、車両のフロアに面して配置される裏面部200Aと、車室内に面して配置される表面部200Bと、を有する。裏面部200Aと表面部200Bの端部は、フロアマット201,202の縁部200Cである。マット境界線LN1は、フロアマット201の縁部200Cとフロアマット202の縁部200Cとの間の領域を二等分する中間線であり、これら縁部200C,200Cはマット境界線LN1に関して互いに対称位置にある。したがって、マット境界線LN1からフロアマット201の縁部200Cまでの距離と、マット境界線LN1からフロアマット202の縁部200Cまでの距離とは、互いに等しい。表面部200Bは、基布210にパイル糸等の立毛繊維211がタフティングされたパイル布によって構成される。裏面部200Aは、合成ゴムなどを熱成形して表面部200Bと一体に構成された滑り止めマット212を有する。滑り止めマット212の裏面には、滑り止め用の突起213が設けられる。なお、フロアマット201,202の裏面とは、裏面部200Aないし縁部200Cの底面をいい、表面とは、表面部200Bないし縁部200Cの上面をいう。
【0011】
フロアマット201,202の縁部200Cには、トリミングによってパイル糸の脱落を防止するための処理が施される。具体的には、パイル糸をかがり糸で閉じ込んで覆い隠す縁かがり処理が施される。すなわち、フロアマット201,202の縁部200Cには、かがり糸を連続した輪状に縫うことにより、縁かがり部215がフロアマット201,202の全周にわたって形成される。このため、フロアマット201,202の表面部200Bには、立毛繊維211と縁かがり部215との境界部の近傍に、換言すると、フロアマット201,202の外縁から所定距離だけ内側に、フロアマット201,202の全周にわたって凹部216が設けられる。
【0012】
図1に示すように、フロアマット連結具100は、フロアマット201,202の端部の取付部217に取り付けられる。取付部217は、マット境界線LN1から離れる方向に平面視で略凹状に形成される。このため、取付部217において、フロアマット201,202間の隙間が大きくなる。なお、取付部217を、凹状ではなく直線状に形成してもよい。本実施形態では、フロアマット自体に連結具取付用の貫通孔等を別途設けることなく、フロアマット201,202の縁部200Cを保持可能なように、フロアマット連結具100が構成される。
【0013】
図3は、本実施形態に係るフロアマット連結具100の全体構成を示す斜視図であり、
図4は、側面図である。以下では、便宜上、図示のように前後方向、左右方向および上下方向を定義する。前後方向、左右方向および上下方向は、フロアマット連結具100のそれぞれ厚さ方向、幅方向および高さ方向に相当する。なお、
図3には、前後方向に延在するマット境界線LN1が示され、
図4には、マット境界線LN1を通って上下方向に延在する鉛直線LN2が示される。フロアマット連結具100は、鉛直線LN2に関して全体が左右対称に構成される。
【0014】
図3,4に示すように、フロアマット連結具100は、第1フロアマット201の端部を保持する第1マット保持部1と、第2フロアマット202の端部を保持する第2マット保持部2と、第1マット保持部1と第2マット保持部2とを連結する連結部3と、を有する。フロアマット連結具100の前後方向長さ(厚さ)は、左右方向全域にわたって一定であり、フロアマット連結具100は、可撓性を有する高性能ポリマー(HPP)等の樹脂を構成材とした押出成形により形成される。
【0015】
第1マット保持部1は、第1フロアマット201の裏面に対向して前後方向および左右方向に延在する略板状の第1裏面部11と、第1フロアマット201の表面に対向して前後方向および左右方向に延在する略板状の第1表面部12と、上下方向に延在して第1裏面部11の右端部と第1表面部12の右端部とを接続する略板状の第1接続部13と、を有する。第1裏面部11の左右方向長さは、第1表面部12の左右方向長さよりも長く、第1裏面部11の左端部は、第1表面部12の左端部よりも左方に位置する。第1マット保持部1は、その一端部である第1裏面部11の左端部から、他端部である第1表面部12の左端部にかけて、板厚がほぼ一定である。
【0016】
第1裏面部11および第1接続部13は平坦に形成される。一方、第1表面部12は上方に向けて緩やかな凸形状となるように略円弧状に形成される。第1裏面部11と第1接続部13との交差部および第1表面部12と第1接続部13との交差部も、略円弧状に形成される。これにより第1マット保持部1は、特に第1接続部13において湾曲形状となり、全体が略C字形状を呈する。第1表面部12の左端部には、下方に向けて先端が略三角形状に突出した第1凸部14が設けられる。第1凸部14の左面には、左方にかけて上り勾配で傾斜するテーパ面14aが形成される。第1裏面部11の上面から第1表面部12の下面までの上下方向長さ、つまり第1裏面部11と第1表面部12との間の空間SP1の高さは、第1フロアマット201の縁かがり部215(
図2)の高さにほぼ等しい。第1凸部14の下端から第1接続部13の左端部までの左右方向長さは、第1フロアマット201の縁かがり部215の左右方向長さにほぼ等しい。
【0017】
第1マット保持部1は、可撓性を有し、第1接続部13の下端部や上端部等に沿って前後方向に延在する仮想軸線を支点にして、弾性変形により上下方向に屈曲可能である。これにより第1凸部14を上方に移動させることができ、第1裏面部11と第1表面部12との間の空間SP1に、第1フロアマット201の縁かがり部215を挿入可能である。空間SP1に第1フロアマット201の縁かがり部215が挿入されると、第1凸部14が第1フロアマット201の表面の凹部216(
図2)に係合し、第1フロアマット201の縁部200Cが第1マット保持部1に係止される。すなわち、第1フロアマット201の縁部200Cが、可撓性を有する第1マット保持部1によって挟持される。
【0018】
第2マット保持部2は、第2フロアマット202の裏面に対向して前後方向および左右方向に延在する略板状の第2裏面部21と、第2フロアマット202の表面に対向して前後方向および左右方向に延在する略板状の第2表面部22と、上下方向に延在して第2裏面部21の左端部と第2表面部22の左端部とを接続する略板状の第2接続部23と、を有する。第2裏面部21の左右方向長さは、第2表面部22の左右方向長さよりも長く、第2裏面部21の右端部は、第2表面部22の右端部よりも右方に位置する。第2マット保持部2は、その一端部である第2裏面部21の右端部から、他端部である第2表面部22の右端部にかけて、板厚がほぼ一定である。
【0019】
第2裏面部21および第2接続部23は平坦に形成される。一方、第2表面部22は上方に向けて緩やかな凸形状となるように略円弧状に形成される。第2裏面部21と第2接続部23との交差部および第2表面部22と第2接続部23との交差部も、略円弧状に形成される。これにより第2マット保持部2は、特に第2接続部23において湾曲形状となり、全体が略C字形状を呈する。第2表面部22の右端部には、下方に向けて先端が略三角形状に突出した第2凸部24が設けられる。第2凸部24の右面には、右方にかけて上り勾配で傾斜するテーパ面24aが形成される。第2裏面部21の上面から第2表面部22の下面までの上下方向長さ、つまり第2裏面部21と第2表面部22との間の空間SP2の高さは、第2フロアマット202の縁かがり部215(
図2)の高さにほぼ等しい。第2凸部24の下端から第2接続部23の右端部までの左右方向長さは、第2フロアマット202の縁かがり部215の左右方向長さにほぼ等しい。
【0020】
第2マット保持部2は、可撓性を有し、第2接続部23の下端部や上端部等に沿って前後方向に延在する仮想軸線を支点にして、弾性変形により上下方向に屈曲可能である。これにより第2凸部24を上方に移動させることができ、第2裏面部21と第2表面部22との間の空間SP2に、第2フロアマット202の縁かがり部215を挿入可能である。空間SP2に第2フロアマット202の縁かがり部215が挿入されると、第2凸部24が第2フロアマット202の表面の凹部216(
図2)に係合し、第2フロアマット202の縁部200Cが第2マット保持部2に係止される。すなわち、第2フロアマット202の縁部200Cが、可撓性を有する第2マット保持部2によって挟持される。
【0021】
第1マット保持部1の第1裏面部11の底面および第2マット保持部2の第2裏面部21の底面には、それぞれマジックテープ(登録商標)などの接着部15,25が装着される。これにより、フロアマット連結具100を、フロアカーペットの上面に容易に固定することができ、フロアマット201,202の位置ずれを防止することができる。なお、接着部15,25を省略してもよい。接着部15,25を設ける代わりに、第1裏面部11および第2裏面部21の底面を凹凸状に形成してもよい。
【0022】
連結部3は、略平板状に構成されて左右方向に延在し、その左右両端部が第1表面部12と第2表面部22とにそれぞれ接続される。より詳しくは、第1表面部12の右端部および第2表面部22の左端部には、上方に向けて突出した突出部16,26が設けられ、突出部16,26に連結部3の左右両端部が接続される。
図4に示すように、連結部3の左右方向長さ(突出部16,26間の距離)L1は、第1マット保持部1と第2マット保持部2との間の空隙SP3の長さL2、すなわち第1接続部13の右端から第2接続部23の左端までの長さL2よりも長い。
【0023】
連結部3は、突出部16,26の上端を接続する仮想平面PL1よりも下方に位置する。より詳細には、連結部3は、突出部16,26の上端よりも下方であるが、第1表面部12および第2表面部22のうちの突出部16,26を除く部位よりも上方に位置する。連結部3は、第1マット保持部1および第2マット保持部2よりも薄肉に構成される。連結部3の板厚は、例えば3~5mm程度であり、連結部3の左右方向両端部近傍にかけてほぼ一定である。これにより、連結部3は、左右方向中間部を前後方向に延在する軸線CL1を支点にして、換言すると、鉛直線CL2上の部位を支点にして、突出部16,26が互いに近づく方向に弾性変形により屈曲可能である。すなわち、連結部3は可撓性を有し、軸線CL1を支点にして屈曲自在である。連結部3が屈曲すると、連結部3は略U字状になり、突出部16,26間の距離L1が短くなる。
【0024】
図5Aは、フロアマット連結具100により左右一対のフロアマット201,202が連結された状態を示す側面図である。
図5Aに示すように、第1マット保持部1の内側の空間SP1に、第1フロアマット201の縁部200Cが挿入される。例えば、
図5AのB部拡大図である
図5Bに示すように、ユーザは第1表面部12の左端部を指で上方に持ち上げ、その状態で、第1裏面部11の上面を第1フロアマット201の底面に沿って滑らせながら、空間SP1に縁部200Cを挿入する。
【0025】
縁部200Cの挿入後にユーザが指の力を緩めると、第1マット保持部1が弾性力によって元の状態に復帰し、第1凸部14が縁かがり部215の凹部216に係合する。これにより第1マット保持部1により第1フロアマット201の端部が保持される。第2フロアマット202の縁部200Cも同様に、ユーザが第2表面部22の右端部を上方に持ち上げた状態で、第2マット保持部2の内側の空間SP2に挿入される。その後、ユーザが指の力を緩めると、第2凸部24が縁かがり部215の凹部216に係合し、第2マット保持部2により第2フロアマット202の端部が保持される。
【0026】
これにより、フロアマット自体に連結具取付用の孔等を別途設けることなく、フロアマット連結具100を介して一対のフロアマット201,202を容易に連結することができる。フロアマット連結具100は、第1凸部14、第2凸部24を上方に持ちあげて、第1凸部14、第2凸部24をフロアマット201,202の縁部200Cの凹部216に係合させることで取り付けられる。このため、マジックテープ(登録商標)などの接着部を用いてフロアマット同士を連結する場合に比べ、フロアマット同士を強固に連結することができる。
【0027】
連結部3の左右両端部は、第1接続部13および第2接続部23よりも左右方向外側の第1表面部12の上端部(突出部16)および第2表面部22の上端部(突出部26)に固定される。このため、連結部3の左右方向の十分な長さを保ちながら、第1接続部13と第2接続部23との間の空隙SP3の長さL2(
図4)を短く設定できる。これにより、一対のフロアマット201,202を互いに接近して配置することができる。
図1に示すように、フロアマット連結具100は、フロアマット201,202の端部の凹状の取付部217に取り付けられる。取付部217においては、フロアマット連結具100が存在するため、フロアマット201,202間の隙間を小さくする(例えば0にする)ことが困難であるが、取付部217を凹状に設けることで、取付部217以外においてフロアマット201,202間の隙間を小さくする(例えば0にする)ことができる。
【0028】
なお、第1マット保持部1および第2マット保持部2の内側の空間SP1,PS2にフロアマット201,202の縁部200Cを挿入する際に、第1表面部12および第2表面部22の先端部を指で上方に持ちあげることなく、縁部200Cを空間SP1,PS2に押し込むようにしてもよい。縁部200Cを押し込むと、第1凸部14、第2凸部24は、テーパ面14a,24aが縁かがり部215の上面に当接しながら上方に弾性変形する。そして、第1凸部14、第2凸部24は、縁かがり部215を乗り越えると、凹部216に係合する。これにより、フロアマット201,202へのフロアマット連結具100の取付が容易である。
【0029】
フロアマット連結具100には、乗員に踏み付けられることにより、あるいは物が落下することにより、上方から衝撃が作用することがある。
図6は、その場合に、フロアマット連結具100に作用する力の伝達経路を説明する図である。なお、
図6ではフロアマット201,202の図示を省略する。
図6に示すように、例えば物体300によってフロアマット連結具100に上方から衝撃が作用すると、物体300は、薄肉の連結部3ではなく、連結部3よりも上方に突出した厚肉の突出部16,26に衝突する。
【0030】
これにより、突出部16,26に矢印に示すような押付力が入力される。この押付力は、第1表面部12および第2表面部22から、矢印に示すように第1接続部13および第2接続部23に伝達される。その結果、第1マット保持部1および第2マット保持部2が弾性変形し、これにより連結部3を損傷することなく、フロアマット連結具100で衝撃を良好に吸収することができる。すなわち、仮に、連結部3が第1マット保持部1および第2マット保持部2の上端部と同一面上に位置すると、フロアマット連結具100に上方から衝撃が作用した場合に、連結部3が押し潰されて、連結部3が損傷するおそれがある。この点、連結部3が第1マット保持部1および第2マット保持部2の上端部よりも下方に位置することで、連結部3の損傷を防止することができる。
【0031】
以上では、一対のフロアマット201,202が同一平面上に配置される場合におけるフロアマット連結具100の適用例について説明した。しかし、本実施形態のフロアマット連結具100は、一対のフロアマット201,202が異なる平面上に配置される場合、つまり、一対のフロアマット201,202が所定角度で交差する場合にも適用可能である。
図7A,7Bは、それぞれその一例を示す側面図である。
【0032】
図7Aは、第1フロアマット201と第2フロアマット202とが45°の角度で交差する場合の例であり、
図7Bは、90°の角度で交差する場合の例である。いずれの場合も、連結部3が略U字状に屈曲し、突出部16,26間の距離L1が
図4のものよりも短くなる。これにより、一対のフロアマット201,202を、互いに接近させた状態で配置することができる。
【0033】
図8は、一対のフロアマット201,202が90°の角度で交差する車室内の箇所の一例を示す図である。
図8では、車両左右方向中央部に、車両前後方向に延在するシャフト部材(例えばプロペラシャフト)が通過するための略直体形状のトンネル部250が上方に膨出して設けられる。トンネル部250は、コンソールボックス251の後方かつリアシート252の前方に設けられ、トンネル部250の上面および左右側面を覆うように略U字状の第1フロアマット201(リアセンターマット)が配置される。この第1フロアマット201の左右両端部は、トンネル部250の左右側面に沿って上下方向に延在する。このため、第1フロアマット201とその左右に配置される第2フロアマット202とは90°で交差し、これらフロアマット201,202の連結部に、上述したフロアマット連結具100を用いることができる。
【0034】
本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)フロアマット連結具100は、マット境界線LN1を介して隣り合って配置された第1フロアマット201と第2フロアマット202とを連結するように構成される(
図1)。このフロアマット連結具100は、第1フロアマット201の裏面(下面)から表面(上面)にかけて延在し、第1フロアマット201の縁部200Cを挟持するように構成された、可撓性を有する第1マット保持部1と、第2フロアマット202の裏面(下面)から表面(上面)にかけて延在し、第2フロアマット202の縁部200Cを挟持するように構成された、可撓性を有する第2マット保持部2と、第1マット保持部1と第2マット保持部2とを連結するとともに、マット境界線LN1と平行な軸線CL1を中心にして屈曲自在に構成された連結部3と、を備える(
図3,4)。フロアマット連結具100は、マット境界線LN1を越えて延在する所定の幅(左右方向長さ)と、幅に直交する所定の高さ(上下方向長さ)と、を有する。連結部3は、第1マット保持部1の高さ方向一端部(突出部16)と第2マット保持部2の高さ方向一端部(突出部26)とを接続する仮想平面PL1よりも高さ方向他端部(下端部)側において、すなわち、仮想平面PL1よりも下方において幅方向に延在する(
図4)。
【0035】
このように連結部3が突出部16,26の下方に位置することで、連結部3が突出部16,26同士を接続する仮想平面PL1上に位置する場合に比べ、連結部3における屈曲性が容易である。これにより、連結部3を介してフロアマット連結具100をスムーズに屈曲させるこができ、一対のフロアマット201,202の表面が所定角度で交差して配置される場合に、一対のフロアマット201,202間にフロアマット連結具100を容易に設けることができる。
【0036】
(2)第1マット保持部1および第2マット保持部2は、それぞれ連結部3よりも上方に突設され、仮想平面PL1上に位置する突出部16,26を有する(
図4)。これにより、フロアマット連結具100の上方から物体300が落下する等によりフロアマット連結具100に衝撃が作用した場合に(
図6)、薄肉の連結部3を保護することができる。また、連結部3を少ない材料で形成することができ、フロアマット連結具100の軽量化を図ることができるとともに、コストを削減することができる。
【0037】
(3)第1マット保持部1は、第1フロアマット201の裏面に対向して幅方向に延在する第1裏面部11と、第1フロアマット201の表面に対向して幅方向に延在するとともに、第1裏面部11よりも幅方向の長さが短い第1表面部12と、第1裏面部11の右端部(幅方向一端部)と第1表面部12の右端部(幅方向一端部)とを接続する第1接続部13と、を有する(
図3,4)。第2マット保持部2は、第2フロアマット202の裏面に対向して幅方向に延在する第2裏面部21と、第2フロアマット202の表面に対向して幅方向に延在するとともに、第2裏面部21よりも幅方向の長さが短い第2表面部22と、第2裏面部21の左端部(幅方向一端部)と第2表面部22の左端部(幅方向一端部)とを接続する第2接続部23と、を有する(
図3,4)。これにより、第1マット保持部1および第2マット保持部2によりフロアマット201,202の縁部200Cを覆うことができる。このため、フロアマット自体に連結具取付用の貫通孔等を設けることなく、フロアマット連結具100によりフロアマット201、202を良好に保持することができる。
【0038】
(4)第1表面部12の左端部(幅方向他端部)に、第1裏面部11に向けて第1凸部14が突設され、第2表面部22の右端部(幅方向他端部)に、第2裏面部21に向けて第2凸部24が突設される(
図3,4)。これにより、第1凸部14、第2凸部24がフロアマット201,202の凹部216に係止され、フロアマット連結具100を、フロアマット201,202から脱落することなくフロアマット201,202に確実に取り付けることができる。
【0039】
(5)第1マット保持部1および第2マット保持部2は、マット境界線LN1に関して互いに対称に構成されるとともに、それぞれ湾曲された第1接続部13および第2接続部23を有して全体が略C字状に構成される(
図4)。連結部3の板厚は、第1接続部13および第2接続部23の板厚よりも薄い(
図4)。このように連結部3を薄肉に構成することで、連結部3を容易に屈曲させることができる。このため、フロアマット同士が所定角度で交差する場合において、フロアマット連結具100を容易に適用することができる。
【0040】
(6)連結部3の左右方向長さL1は、第1マット保持部1の第1接続部13と第2マット保持部2の第2接続部23との間の空隙SP3の幅方向の長さL2よりも長い(
図4)。連結部3を容易に屈曲するためには、連結部3の十分な長さL1を確保する必要があるが、L1>L2とすることで、連結部3の長さを確保しながら、フロアマット201,202間の隙間を短くすることができる。
【0041】
本実施形態は種々の形態に変形することができる。以下、いくつかの変形例について説明する。上記実施形態では、突出部16,26の下方であり、かつ、第1表面部12および第2表面部22のうちの突出部16,26を除く部位よりも上方に、連結部3を配置したが、連結部の配置はこれに限らない。すなわち、第1マット保持部1の高さ方向一端部と第2マット保持部2の高さ方向一端部とを接続する仮想平面PL1よりも第1マット保持部1および第2マット保持部2の高さ方向他端部側において幅方向に延在するであれば、連結部を上述した以外の位置(例えば第1表面部12および第2表面部22の下方)に配置してもよい。
【0042】
上記実施形態では、連結部3を側面視で略直線状の平板状に構成したが、下方に向けて凹状に形成する等、連結部3を平板状以外に構成してもよい。上記実施形態では、第1接続部13および第2接続部23を湾曲形状の湾曲部として、第1マット保持部1および第2マット保持部2を略C字状に構成したが、第1マット保持部1および第2マット保持部2を、湾曲部を設けることなく形成してもよい。したがって、第1マット保持部1および第2マット保持部2の側面視の形状は、略C字状に限らない。
【0043】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 第1マット保持部、2 第2マット保持部、3 連結部、11 第1裏面部、12 第1表面部、13 第1接続部、14 第1凸部、16 突出部、21 第2裏面部、22 第2表面部、23 第2接続部、24 第2凸部、26 突出部、100 フロアマット連結具、200A 裏面部、200B 表面部、200C 縁部、201 第1フロアマット、202 第2フロアマット、LN1 マット境界線、CL1 軸線、SP3 空隙