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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025456
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 17/06 20060101AFI20250214BHJP
   F25D 29/00 20060101ALI20250214BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20250214BHJP
   F25D 11/02 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
F25D17/06 316
F25D29/00 B
F25D17/06 315
F25D11/00 101B
F25D11/02 F
F25D11/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130234
(22)【出願日】2023-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】山根 翔一
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045HA03
3L045LA06
3L045LA10
3L045LA14
3L045MA02
3L045MA15
3L045NA01
3L045NA15
3L045PA01
3L045PA02
3L045PA03
3L045PA04
3L045PA05
3L345AA02
3L345AA16
3L345BB01
3L345BB02
3L345BB05
3L345CC01
3L345DD21
3L345DD34
3L345DD36
3L345DD61
3L345EE02
3L345EE13
3L345EE33
3L345EE45
3L345FF02
3L345FF13
3L345FF26
3L345FF39
3L345FF41
3L345FF42
3L345FF49
3L345KK01
3L345KK02
3L345KK03
3L345KK04
(57)【要約】
【課題】温度検知部ありの第1貯蔵室と、第1貯蔵室とは別の第2貯蔵室を備える冷蔵庫について、第2貯蔵室に温度検知部を備えなくとも当該第2貯蔵室内を十分に冷却する。
【解決手段】冷蔵庫は、温度検知部ありの第1貯蔵室、第1貯蔵室とは異なる第2貯蔵室、第1貯蔵室の開口部を開閉する第1貯蔵室扉、第2貯蔵室の開口部を開閉する第2貯蔵室扉、第1貯蔵室扉の開閉を検知する第1開閉検知部、第2貯蔵室扉の開閉を検知する第2開閉検知部、第2貯蔵室内を目標温度に冷却する通常冷却制御、第2貯蔵室内の冷却強度を通常冷却制御における冷却強度よりも強める特別冷却制御を実行可能である制御部を備え、制御部は、所定の特別条件が満たされた場合に特別冷却制御を実行し、特別制御として、第2貯蔵室扉が開かれたことが検知され、かつ、当該検知よりも前の所定期間内に第1貯蔵室扉が開かれたことが検知されていないという条件が設定されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度検知部が設けられている第1貯蔵室と、
前記第1貯蔵室とは異なる第2貯蔵室と、
前記第1貯蔵室の開口部を開閉する第1貯蔵室扉と、
前記第2貯蔵室の開口部を開閉する第2貯蔵室扉と、
前記第1貯蔵室扉の開閉を検知する第1開閉検知部と、
前記第2貯蔵室扉の開閉を検知する第2開閉検知部と、
前記第2貯蔵室内を当該第2貯蔵室に設定されている所定の目標温度に冷却する通常冷却制御を実行可能であるとともに、前記第2貯蔵室内の冷却強度を前記通常冷却制御における冷却強度よりも強める特別冷却制御を実行可能である制御部と、
を備え、
前記制御部は、所定の特別条件が満たされた場合に前記特別冷却制御を実行するように構成され、
前記特別条件として、前記第2貯蔵室扉が開かれたことが前記第2開閉検知部により検知され、かつ、当該検知よりも前の所定期間内に前記第1貯蔵室扉が開かれたことが前記第1開閉検知部により検知されていないという条件が設定されている冷蔵庫。
【請求項2】
前記特別条件は、さらに、前記第2貯蔵室扉が開かれたことが前記第2開閉検知部により検知されてから所定期間が経過するまでに、前記温度検知部が検知する前記第1貯蔵室内の温度が所定温度以上上昇したという条件を含む請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記第1貯蔵室および前記第2貯蔵室から独立した第3貯蔵室と、
前記第1貯蔵室内および前記第2貯蔵室内を所定の冷蔵温度帯の温度範囲内に冷却するための冷気を生成する冷蔵用冷却器と、
前記第3貯蔵室内を所定の冷凍温度帯の温度範囲内に冷却するための冷気を生成する冷凍用冷却器と、
を備え、
前記冷蔵用冷却器により冷気が生成される冷蔵冷却動作と前記冷凍用冷却器により冷気が生成される冷凍冷却動作とが交互に繰り返される構成であり、
前記制御部は、前記冷凍冷却動作中においては、前記冷蔵冷却動作中よりも前記所定温度を大きくする請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記特別条件は、さらに、前記第2貯蔵室扉が開かれた時間が所定時間以上であるという条件を含む請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記第1貯蔵室内の冷気が前記第2貯蔵室内に送られることにより当該第2貯蔵室内が冷却される構成であって、
前記制御部は、前記特別冷却制御として、前記温度検知部が検知する前記第1貯蔵室内の温度と当該第1貯蔵室に設定されている所定の目標温度との差が大きいほど前記第2貯蔵室内の冷却強度を強める制御を実行する請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記第1貯蔵室内および前記第2貯蔵室内を冷却するための冷気を生成する冷却器を備え、
前記制御部は、前記冷却器の除霜運転中に前記特別条件が満たされた場合には、実行中の除霜運転が終了した後に前記特別冷却制御を実行する請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記第1貯蔵室内および前記第2貯蔵室内を冷却するための冷気を生成する冷却器と、
前記冷却器に冷媒を供給する圧縮機と、
前記冷却器が生成する冷気を送風する送風ファンと、
を備え、
前記制御部は、前記特別冷却制御の実行中は前記圧縮機および前記送風ファンのうち少なくとも何れか一方の動作量を前記通常冷却制御における動作量よりも大きくする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記送風ファンは、前記冷却器が生成する冷気を前記第1貯蔵室内に送風するように正転方向に回転する正回転状態、および、前記冷却器が生成する冷気を前記第2貯蔵室内に送風するように逆転方向に回転する逆回転状態に切り替え可能であり、
前記制御部は、前記冷却器の除霜運転を開始してから所定時間が経過するまで前記送風ファンを前記逆回転状態に切り替える請求項7に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記第1貯蔵室および前記第2貯蔵室から独立した第3貯蔵室と、
前記第1貯蔵室内および前記第2貯蔵室内を所定の冷蔵温度帯の温度範囲内に冷却するための冷気を生成する冷蔵用冷却器と、
前記第3貯蔵室内を所定の冷凍温度帯の温度範囲内に冷却するための冷気を生成する冷凍用冷却器と、
を備え、
前記冷蔵用冷却器により冷気が生成される冷蔵冷却動作と前記冷凍用冷却器により冷気が生成される冷凍冷却動作とが交互に繰り返される構成であり、
前記制御部は、前記特別冷却制御を開始してから所定時間が経過すると前記通常冷却制御に移行し、その後、前記冷蔵冷却動作と前記冷凍冷却動作を少なくとも1回ずつ実行するまでは前記特別冷却制御への移行を制限する請求項1に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されている冷蔵庫は、共通の冷蔵用冷却器が生成する冷気により冷蔵室および野菜室を冷却する構成である。より詳細に説明すると、冷蔵用冷却器により生成された冷気は、まず冷蔵室内に供給され、その後、冷蔵室内の冷気が野菜室内に供給される構成となっている。野菜室内に供給された冷気は、冷却室内に戻され、再び冷蔵用冷却器によって冷却されて冷蔵室内に供給される。このような冷気の循環が繰り返されることにより冷蔵室内および野菜室内が所定の冷蔵温度帯の温度範囲内に冷却される構成となっている。
【0003】
特許文献1の冷蔵庫によれば、野菜室内の空気は、冷蔵用冷却器により冷却された上で冷蔵室内に到達する。そのため、冷蔵室内に設けられている温度検知センサでは、冷蔵室内の温度を精度良く検知できたとしても、野菜室内の温度を精度良く検知することはできない。そのため、特許文献1の冷蔵庫は、野菜室内にも温度検知センサを設け、この温度検知センサにより野菜室内の温度を検知して、野菜室内の冷却を制御するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-6041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成では、冷蔵室内だけでなく野菜室内にも温度検知センサを設ける必要があり、部品点数の増加、構造の複雑化、製造コストの増大などといった問題を招いてしまう。
【0006】
本実施形態は、温度検知部が設けられている第1貯蔵室と、この第1貯蔵室とは別の第2貯蔵室を備える冷蔵庫について、第2貯蔵室に温度検知部を備えなくとも当該第2貯蔵室内を十分に冷却できるようにした技術案を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係る冷蔵庫は、温度検知部が設けられている第1貯蔵室と、前記第1貯蔵室とは異なる第2貯蔵室と、前記第1貯蔵室の開口部を開閉する第1貯蔵室扉と、前記第2貯蔵室の開口部を開閉する第2貯蔵室扉と、前記第1貯蔵室扉の開閉を検知する第1開閉検知部と、前記第2貯蔵室扉の開閉を検知する第2開閉検知部と、前記第2貯蔵室内を当該第2貯蔵室に設定されている所定の目標温度に冷却する通常冷却制御を実行可能であるとともに、前記第2貯蔵室内の冷却強度を前記通常冷却制御における冷却強度よりも強める特別冷却制御を実行可能である制御部と、を備え、前記制御部は、所定の特別条件が満たされた場合に前記特別冷却制御を実行するように構成され、前記特別条件として、前記第2貯蔵室扉が開かれたことが前記第2開閉検知部により検知され、かつ、当該検知よりも前の所定期間内に前記第1貯蔵室扉が開かれたことが前記第1開閉検知部により検知されていないという条件が設定されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る冷蔵庫の構成例を概略的に示す正面図
図2】本実施形態に係る冷蔵庫の構成例を概略的に示す縦断側面図
図3】本実施形態に係る冷蔵庫の制御装置の構成例を概略的に示すブロック図
図4】本実施形態に係る特別条件の一例を概略的に示す図
図5】本実施形態に係る冷蔵冷却動作の一例を概略的に示すフローチャート
図6】本実施形態に係る冷凍冷却動作の一例を概略的に示すフローチャート
図7】本実施形態に係る野菜室強冷制御の実行前および実行中における貯蔵室内の温度変化、圧縮機および送風ファンの動作量の変化の一例を概略的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、冷蔵庫に係る一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に例示する冷蔵庫10は、その外郭を構成する矩形箱状の断熱箱体11の内部に複数の貯蔵室12,13,14,15,16を形成している。貯蔵室12,13,14,15,16の内部には、例えば食品類などといった各種の貯蔵物を貯蔵することが可能である。詳しい図示は省略するが、断熱箱体11は、内箱と外箱との間に断熱材を備えた構成である。断熱箱体11を構成する断熱材としては、例えば、真空断熱パネル、発泡ウレタン、断熱性材料を成形した断熱成形体などといった種々の断熱材を適用することができる。
【0010】
貯蔵室12は、この場合、冷蔵温度帯の温度範囲内に維持される冷蔵室である。以下、貯蔵室12を「冷蔵室12」と称する場合がある。冷蔵室12は、第1貯蔵室の一例である。貯蔵室13は、この場合、冷蔵温度帯の温度範囲内に維持される野菜室である。以下、貯蔵室13を「野菜室13」と称する場合がある。野菜室13は、第2貯蔵室の一例である。貯蔵室14は、この場合、冷凍温度帯の温度範囲内に維持される製氷室である。以下、貯蔵室14を「製氷室14」と称する場合がある。貯蔵室15は、この場合、冷凍温度帯の温度範囲内に維持される小冷凍室である。以下、貯蔵室15を「小冷凍室15」と称する場合がある。貯蔵室16は、この場合、冷凍温度帯の温度範囲内に維持される大冷凍室である。以下、貯蔵室16を「大冷凍室16」と称する場合がある。製氷室14、小冷凍室15、大冷凍室16は、それぞれ、冷蔵室12および野菜室13から独立した第3貯蔵室の一例である。
【0011】
冷蔵室12は、冷蔵庫10が備える複数の貯蔵室12,13,14,15,16のうち最も上部に設けられた貯蔵室となっている。野菜室13は、この冷蔵室12の下側に設けられており、且つ、断熱箱体11の上下方向における概ね中央部に位置して設けられている。製氷室14と小冷凍室15は、この野菜室13の下側に設けられており、且つ、断熱箱体11内において冷蔵庫10の横方向に沿って並んでいる。大冷凍室16は、断熱箱体11内において製氷室14および小冷凍室15の下側に設けられている。大冷凍室16は、冷蔵庫10が備える複数の貯蔵室12,13,14,15,16のうち最も下部に設けられた貯蔵室となっている。
【0012】
冷蔵室12は、その前面に矩形状の開口部を有する。冷蔵室12の前面開口部は、左右方向に回動可能である貯蔵室扉、いわゆる観音開き式の2つの冷蔵室扉12D[L],12D[R]によって開閉されるようになっている。冷蔵室扉12D[L],12D[R]は、第1貯蔵室扉の一例である。なお、冷蔵室扉は、冷蔵室12の前面開口部を開閉する1枚の貯蔵室扉であってもよい。野菜室13は、その前面に矩形状の開口部を有する。野菜室13の前面開口部は、前後方向に移動可能である貯蔵室扉、いわゆる引き出し式の野菜室扉13Dによって開閉されるようになっている。野菜室扉13Dは、第2貯蔵室扉の一例である。製氷室14は、その前面に矩形状の開口部を有する。製氷室14の前面開口部は、前後方向に移動可能である貯蔵室扉、いわゆる引き出し式の製氷室扉14Dによって開閉されるようになっている。小冷凍室15は、その前面に矩形状の開口部を有する。小冷凍室15の前面開口部は、前後方向に移動可能である貯蔵室扉、いわゆる引き出し式の小冷凍室扉15Dによって開閉されるようになっている。大冷凍室16は、その前面に開口部を有する。大冷凍室16の前面開口部は、前後方向に移動可能である貯蔵室扉、いわゆる引き出し式の大冷凍室扉16Dによって開閉されるようになっている。
【0013】
図2に例示するように、冷蔵室12、野菜室13を含む冷蔵温度帯の貯蔵室群と、製氷室14、小冷凍室15、大冷凍室16を含む冷凍温度帯の貯蔵室群とは、断熱仕切壁20によって仕切られている。そして、冷蔵室12と野菜室13は、断熱仕切壁20よりも断熱性が低い仕切壁21によって仕切られているが、この仕切壁21の後方に設けられている連通口21aを介して通気可能に連通している。また、製氷室14および小冷凍室15と大冷凍室16は、断熱仕切壁20よりも断熱性が低い仕切壁22によって仕切られているが、この仕切壁22の後方に設けられている図示しない連通口を介して通気可能に連通している。
【0014】
冷蔵庫10は、冷蔵用冷却室30および冷凍用冷却室40を備えている。冷蔵用冷却室30は、上述した仕切壁21の後側に設けられている。冷蔵用冷却室30内には、冷蔵用冷却器31および冷蔵用送風ファン32が設けられている。冷蔵用冷却器31は、冷蔵室12内および野菜室13内を所定の冷蔵温度帯の温度範囲内に冷却するための冷気を生成する冷却器の一例である。冷蔵用送風ファン32は、冷蔵用冷却器31が生成する冷蔵温度帯の温度範囲内の冷気を冷蔵室12内ひいては野菜室13内に送風する送風ファンの一例である。
【0015】
より詳細に説明すると、冷蔵用冷却室30の上部には、冷蔵室12の後面に沿う冷蔵用ダクト33が上方に延伸するように設けられており、この冷蔵用ダクト33には、複数の冷気吹出口33aが設けられている。冷蔵用冷却器31が生成する冷気は、冷蔵用送風ファン32の送風作用により冷蔵用ダクト33を通して冷気吹出口33aから冷蔵室12内に供給される。これにより、冷蔵室12内が冷蔵温度帯の温度範囲内に冷却される。
【0016】
そして、冷蔵室12内の冷気は、さらに、仕切壁21後方の連通口21aを介して野菜室13内に供給され、これにより、野菜室13内も冷蔵温度帯の温度範囲内に冷却される。つまり、冷蔵庫10は、冷蔵室12内の冷気が野菜室13内に送られることにより当該野菜室13内が冷却される構成となっている。
【0017】
そして、野菜室13内の冷気は、冷蔵用冷却室30の下部に設けられている戻り口34から当該冷蔵用冷却室30内に戻され、再び冷蔵用冷却器31によって冷却されて冷蔵室12内に供給される。このような冷気の循環が繰り返されることにより冷蔵室12内および野菜室13内がそれぞれ冷蔵温度帯の温度範囲内に冷却される構成となっている。
【0018】
冷凍用冷却室40内には、冷凍用冷却器41および冷凍用送風ファン42が設けられている。冷凍用冷却器41は、製氷室14内、小冷凍室15内、大冷凍室16内を所定の冷凍温度帯の温度範囲内に冷却するための冷気を生成する冷却器の一例である。冷凍用送風ファン42は、冷凍用冷却器41が生成する冷凍温度帯の冷気を製氷室14内、小冷凍室15内、大冷凍室16内にそれぞれ送風する送風ファンの一例である。
【0019】
より詳細に説明すると、冷凍用冷却室40の前部には、複数の冷気吹出口43aが設けられている。複数の冷気吹出口43aは、それぞれ製氷室14内、小冷凍室15内、大冷凍室16内に指向している。冷凍用冷却器41が生成する冷気は、冷凍用送風ファン42の送風作用により冷気吹出口43aから製氷室14内、小冷凍室15内、大冷凍室16内にそれぞれ供給される。これにより、製氷室14内、小冷凍室15内、大冷凍室16内がそれぞれ冷凍温度帯の温度範囲内に冷却される。
【0020】
そして、製氷室14内、小冷凍室15内、大冷凍室16内の冷気は、冷凍用冷却室40の下部に設けられている戻り口44から当該冷凍用冷却室40内に戻され、再び冷凍用冷却器41によって冷却されて製氷室14内、小冷凍室15内、大冷凍室16内に供給される。このような冷気の循環が繰り返されることにより製氷室14内、小冷凍室15内、大冷凍室16内がそれぞれ冷凍温度帯の温度範囲内に冷却される構成となっている。
【0021】
次に、冷蔵庫10の制御系の構成例について説明する。図3に例示する制御装置50は、例えばマイクロコンピュータを主体として構成されており、制御プログラムや各種の設定情報などに基づいて冷蔵庫10の動作全般を制御する。制御装置50は、制御部の一例である。制御装置50には、上述した冷蔵用送風ファン32や冷凍用送風ファン42が接続されている。
【0022】
制御装置50は、冷蔵用送風ファン32を正回転状態および逆回転状態に切り替え可能である。正回転状態は、冷蔵用冷却器31が生成する冷気を、野菜室13内よりも前に冷蔵室12内に送風するように冷蔵用送風ファン32が正転方向に回転する状態である。冷蔵用送風ファン32の正回転状態では、冷蔵用冷却器31により生成された冷気が、冷蔵用ダクト33の冷気吹出口33aから冷蔵室12内に供給され、その後、連通口21aを介して野菜室13内に供給されるように循環する状態が形成される。一方、逆回転状態は、冷蔵用冷却器31が生成する冷気を、冷蔵室12内よりも前に野菜室13内に送風するように冷蔵用送風ファン32が逆転方向に回転する状態である。冷蔵用送風ファン32の逆回転状態では、冷蔵用冷却器31により生成された冷気が、戻り口34から野菜室13内に供給され、その後、連通口21aを介して冷蔵室12内に供給されるように循環する状態が形成される。
【0023】
また、制御装置50には、圧縮機51、切替弁52、冷蔵室扉用開閉検知センサ53、野菜室扉用開閉検知センサ54、冷蔵室温度検知センサ55などが接続されている。圧縮機51および切替弁52は、上述した冷蔵用冷却器31と冷凍用冷却器41、および、図示しない凝縮器や減圧器とともに周知の冷凍サイクル機構を構成している。この冷凍サイクル機構において、制御装置50により圧縮機51が駆動されると、圧縮された冷媒が凝縮器に供給され、その後、減圧器を介して冷蔵用冷却器31または冷凍用冷却器41に供給される。冷蔵用冷却器31に冷媒が供給される状態と冷凍用冷却器41に冷媒が供給される状態は、制御装置50が切替弁52を制御することにより切り替えられる構成である。
【0024】
制御装置50は、冷蔵用冷却器31に冷媒が供給されるように切替弁52を制御することにより、冷蔵用冷却器31により冷気が生成される冷蔵冷却動作を実行可能である。また、制御装置50は、冷凍用冷却器41に冷媒が供給されるように切替弁52を制御することにより、冷凍用冷却器41により冷気が生成される冷凍冷却動作を実行可能である。制御装置50は、切替弁52を制御することにより、冷蔵冷却動作と冷凍冷却動作を交互に繰り返す構成となっている。冷蔵冷却動作中においては、冷凍用冷却器41による冷気の生成は停止しており、冷蔵用冷却器31から冷気が生成される状態となる。一方、冷凍冷却動作中においては、冷蔵用冷却器31による冷気の生成は停止しており、冷凍用冷却器41から冷気が生成される状態となる。
【0025】
冷蔵室扉用開閉検知センサ53は、第1開閉検知部の一例であり、冷蔵室扉12D[L],12D[R]が開かれたこと、および、閉じられたことを検知可能である。野菜室扉用開閉検知センサ54は、第2開閉検知部の一例であり、野菜室扉13Dが開かれたこと、および、閉じられたことを検知可能である。なお、図示は省略するが、冷蔵庫10は、製氷室扉14Dの開閉を検知するセンサ、小冷凍室扉15Dの開閉を検知するセンサ、大冷凍室扉16Dの開閉を検知するセンサも備えている。
【0026】
冷蔵室温度検知センサ55は、温度検知部の一例である。図2に例示するように、冷蔵室温度検知センサ55は、冷蔵室12内において、この場合、冷蔵用ダクト33の下部に埋め込まれるようにして配置されており、冷蔵室12内の温度を直接検知することが可能である。冷蔵室12は、温度検知部が設けられている貯蔵室として定義することができる。一方、野菜室13内には、温度検知センサが設けられていない。よって、野菜室13は、温度検知部が設けられていない貯蔵室として定義することができる。
【0027】
制御装置50は、野菜室13内を当該野菜室13に設定されている所定の目標温度に冷却する通常冷却制御を実行可能である。野菜室13の所定の目標温度は、例えば、冷蔵室扉12D[L]あるいは冷蔵室扉12D[R]の前面に設けられている図示しない操作パネルを操作することにより設定することができる。また、制御装置50は、野菜室13内の冷却強度を通常冷却制御における冷却強度よりも強める野菜室強冷制御を実行可能である。野菜室強冷制御は、特別冷却制御の一例である。
【0028】
また、制御装置50は、所定の特別条件が満たされた場合に野菜室強冷制御を実行するように構成されている。図4に例示するように、本実施形態では、特別条件として、[条件1]野菜室扉13Dが開かれたことが野菜室扉用開閉検知センサ54により検知され、かつ、[条件2]当該検知よりも前の所定期間T1内に冷蔵室扉12D[L],12D[R]が開かれたことが冷蔵室扉用開閉検知センサ53により検知されていないという条件が設定されている。また、特別条件は、さらに、[条件3]野菜室扉13Dが開かれたことが野菜室扉用開閉検知センサ54により検知されてから所定期間T2が経過するまでに、冷蔵室温度検知センサ55が検知する冷蔵室12内の温度が所定温度K1以上上昇したという条件を含んでいる。
【0029】
次に、制御装置50が交互に実行する冷蔵冷却動作および冷凍冷却動作について詳細に説明する。
【0030】
まず、冷蔵冷却動作について説明する。図5に例示するように、制御装置50は、冷蔵冷却動作を開始すると、特別条件が成立したか否かを監視する(ステップA1)。そして、制御装置50は、特別条件が成立すると(ステップA1:YES)、野菜室扉13Dが閉じられたことが野菜室扉用開閉検知センサ54により検知された時点において冷蔵室温度検知センサ55が検知する冷蔵室12内の温度を基準温度として設定する(ステップA2)。
【0031】
そして、制御装置50は、野菜室扉13Dが開かれてから所定期間T2が経過するまでに冷蔵室12内の温度が所定温度K1以上上昇したか否かを判定する(ステップA3)。冷蔵冷却動作においては、所定期間T2は例えば10分であり、所定温度K1は例えば3℃である。なお、冷蔵冷却動作における所定期間T2および所定温度K1は、適宜変更して設定することができる。
【0032】
制御装置50は、野菜室扉13Dが開かれてから所定期間T2が経過するまでに冷蔵室12内の温度が所定温度K1以上上昇しなかった場合(ステップA3:NO)には、ステップA1に移行する。しかし、制御装置50は、野菜室扉13Dが開かれてから所定期間T2が経過するまでに冷蔵室12内の温度が所定温度K1以上上昇した場合(ステップA3:YES)には、野菜室強冷制御を開始する(ステップA4)。
【0033】
ステップA3において、制御装置50は、例えば1分ごとに冷蔵室12内の温度を検知する。そして、制御装置50は、冷蔵室12内の温度が1回でも所定温度K1以上上昇した場合には、野菜室強冷制御を開始する(ステップA4)。なお、制御装置50は、冷蔵室12内の温度が所定温度K1以上上昇した回数が所定回数となった場合に野菜室強冷制御を開始するように構成してもよい。
【0034】
そして、制御装置50は、野菜室強冷制御を開始してから所定時間T3が経過するまでは野菜室強冷制御を継続し(ステップA5:NO)、野菜室強冷制御を開始してから所定時間T3が経過すると(ステップA5:YES)、野菜室強冷制御を終了(ステップA6)して通常冷却制御つまり通常の冷蔵冷却動作に移行する。所定時間T3は、適宜変更して設定することができる。
【0035】
次に、冷凍冷却動作について説明する。図6に例示するように、制御装置50は、冷凍冷却動作を開始すると、特別条件が成立したか否かを監視する(ステップB1)。そして、制御装置50は、特別条件が成立すると(ステップB1:YES)、野菜室扉13Dが閉じられたことが野菜室扉用開閉検知センサ54により検知された時点において冷蔵室温度検知センサ55が検知する冷蔵室12内の温度を基準温度として設定する(ステップB2)。
【0036】
そして、制御装置50は、野菜室扉13Dが開かれてから所定期間T2が経過するまでに冷蔵室12内の温度が所定温度K1以上上昇したか否かを判定する(ステップB3)。冷凍冷却動作においては、所定期間T2は例えば10分であり、所定温度K1は例えば5℃である。つまり、制御装置50は、冷凍冷却動作中においては、所定温度K1を冷蔵冷却動作時における所定温度K1である3℃よりも大きくするように構成されている。なお、冷凍冷却動作における所定期間T2および所定温度K1は、適宜変更して設定することができる。また、冷凍冷却動作における所定期間T2は、冷蔵冷却動作における所定期間T2と同じ期間であってもよいし、異なる期間であってもよい。
【0037】
制御装置50は、野菜室扉13Dが開かれてから所定期間T2が経過するまでに冷蔵室12内の温度が所定温度K1以上上昇しなかった場合(ステップB3:NO)には、ステップB1に移行する。しかし、制御装置50は、野菜室扉13Dが開かれてから所定期間T2が経過するまでに冷蔵室12内の温度が所定温度K1以上上昇した場合(ステップB3:YES)には、野菜室強冷制御を開始する(ステップB4)。
【0038】
ステップB3において、制御装置50は、例えば1分ごとに冷蔵室12内の温度を検知する。そして、制御装置50は、冷蔵室12内の温度が1回でも所定温度K1以上上昇した場合には、野菜室強冷制御を開始する(ステップB4)。なお、制御装置50は、冷蔵室12内の温度が所定温度K1以上上昇した回数が所定回数となった場合に野菜室強冷制御を開始するように構成してもよい。
【0039】
そして、制御装置50は、野菜室強冷制御を開始してから所定時間T3が経過するまでは野菜室強冷制御を継続し(ステップB5:NO)、野菜室強冷制御を開始してから所定時間T3が経過すると(ステップB5:YES)、野菜室強冷制御を終了(ステップB6)して通常冷却制御つまり通常の冷凍冷却動作に移行する。所定時間T3は、適宜変更して設定することができる。また、冷凍冷却動作における所定時間T3は、冷蔵冷却動作における所定時間T3と同じ時間であってもよいし、異なる時間であってもよい。
【0040】
また、制御装置50は、野菜室強冷制御として、冷蔵室温度検知センサ55が検知する冷蔵室12内の温度と当該冷蔵室12に設定されている所定の目標温度との差が大きいほど野菜室13内の冷却強度を強め、且つ、冷蔵室温度検知センサ55が検知する冷蔵室12内の温度と当該冷蔵室12に設定されている所定の目標温度との差が小さいほど野菜室13内の冷却強度を弱めるフィードバック制御を実行する。フィードバック制御としては、例えば、周知のPID制御(PID:Proportional-Integral-Differential-Controller)などを適用することができる。冷蔵室12の所定の目標温度は、例えば、冷蔵室扉12D[L]あるいは冷蔵室扉12D[R]の前面に設けられている図示しない操作パネルを操作することにより設定することができる。
【0041】
図7には、野菜室強冷制御の実行前および実行中における冷蔵室12内および野菜室13内の温度変化と、圧縮機51および冷蔵用送風ファン32の動作量の変化の一例を示している。圧縮機51の動作量は、例えば、圧縮機51の駆動周波数により示すことができる。冷蔵用送風ファン32の動作量は、例えば、冷蔵用送風ファン32の回転速度により示すことができる。
【0042】
図7について、より詳細に説明すると、野菜室扉13Dが開かれると、野菜室13内の温度が徐々に上昇する。また、温度が上昇した野菜室13内の空気は、冷蔵用冷却室30を介して、ある程度は冷却されるものの冷蔵室12内に送られる。そのため、野菜室13内から送られる空気により冷蔵室12内の温度も徐々に上昇する。
【0043】
冷蔵室12内の温度上昇の挙動は、野菜室13内の温度上昇の挙動よりも緩やかであるが、冷蔵室12内の温度上昇の挙動に基づいて、野菜室13内の温度が上昇したこと、ひいては、野菜室13内に例えば野菜類などといった冷却されていない貯蔵物が投入されたことを判定することができる。そのため、制御装置50は、野菜室扉13Dが開かれてから所定期間T2が経過するまでに冷蔵室12内の温度が所定温度K1以上上昇した場合には野菜室強冷制御を実行する。
【0044】
また、制御装置50は、野菜室強冷制御の実行中においては、圧縮機51および冷蔵用送風ファン32の動作量を通常冷却制御における動作量よりも大きくする。なお、制御装置50は、圧縮機51および冷蔵用送風ファン32のうち少なくとも何れか一方の動作量を通常冷却制御における動作量よりも大きくする構成であればよい。
【0045】
以上に例示した冷蔵庫10は、冷蔵室12内には冷蔵室温度検知センサ55が設けられているが、野菜室13内には温度検知センサが設けられていない構成であり、冷蔵室扉12D[L],12D[R]が開かれず野菜室扉13Dが開かれた場合に、野菜室13内の温度上昇を精度良く検知できない構成となっている。
【0046】
このように構成されている冷蔵庫10において、制御装置50は、所定の特別条件が満たされた場合には野菜室強冷制御を実行するように構成されている。そして、その特別制御として、[条件1]野菜室扉13Dが開かれたことが野菜室扉用開閉検知センサ54により検知され、かつ、[条件2]当該検知よりも前の所定期間T1内に冷蔵室扉12D[L],12D[R]が開かれたことが冷蔵室扉用開閉検知センサ53により検知されていないという条件が設定されている。
【0047】
この構成例によれば、冷蔵室扉12D[L],12D[R]が開かれず野菜室扉13Dが開かれた場合には、野菜室13内の冷却強度を通常冷却制御における冷却強度よりも強める野菜室強冷制御が実行される。そのため、冷蔵室温度検知センサ55が設けられている冷蔵室12と、この冷蔵室12とは別の野菜室13を備える冷蔵庫10について、野菜室13に温度検知センサを備えていない構成であっても、特別条件の成立に応じて実行される野菜室強冷制御により野菜室13内を十分に冷却することができる。
【0048】
冷蔵庫10によれば、特別条件には、さらに、[条件3]野菜室扉13Dが開かれたことが野菜室扉用開閉検知センサ54により検知されてから所定期間T2が経過するまでに、冷蔵室温度検知センサ55が検知する冷蔵室12内の温度が所定温度K1以上上昇したという条件が含まれている。
【0049】
単に野菜室扉13Dが開かれただけでなく、その後、野菜室13内に冷却されていない野菜類が投入された場合には、野菜室13内の空気の温度が上昇し、その空気が冷蔵用冷却室30を介して冷蔵室12内に到達するから、冷蔵室12内の温度は、ある程度大きく上昇することが想定される。そのため、単に野菜室扉13Dが開かれたことだけでなく、その後、冷蔵室12内の温度が所定温度K1以上上昇したことを特別条件に含めることにより、野菜室13内に、例えば常温の貯蔵物つまり冷却されていない貯蔵物が投入されたことを推定することができ、このような場合に限って野菜室強冷制御を実行することができる。野菜室扉13Dが開かれたとしても、野菜室13内に貯蔵物が投入されていないのであれば、野菜室強冷制御を実行する必要性は低い。そのため、野菜室強冷制御を実行する必要性が低いにも関わらず、無用に野菜室強冷制御が実行されてしまうことを抑制することができる。
【0050】
冷蔵庫10は、冷蔵冷却動作と冷凍冷却動作とが交互に繰り返される構成であり、冷凍冷却動作中においては、冷蔵室12内が冷却されず温度が上昇しやすい。つまり、冷蔵庫10は、冷凍冷却動作中においては、単に野菜室扉13Dが開かれただけであって野菜室13内に貯蔵物が投入されていない場合であっても、冷蔵室12内の温度が上昇しやすい構成となっている。そのため、制御装置50は、冷凍冷却動作中においては、冷蔵冷却動作中よりも所定温度K1を大きくする。これにより、冷凍冷却動作の実行中において、単に野菜室扉13Dが開かれただけであって野菜室13内に貯蔵物が投入されていないような場合に野菜室強冷制御が実行されてしまうことを抑制することができる。
【0051】
冷蔵庫10によれば、制御装置50は、野菜室強冷制御として、冷蔵室温度検知センサ55が検知する冷蔵室12内の温度と当該冷蔵室12に設定されている所定の目標温度との差が大きいほど野菜室13内の冷却強度を強め、且つ、冷蔵室温度検知センサ55が検知する冷蔵室12内の温度と当該冷蔵室12に設定されている所定の目標温度との差が小さいほど野菜室13内の冷却強度を弱めるフィードバック制御を実行する。
【0052】
このようなフィードバック制御によれば、冷蔵室12内ひいては野菜室13内の冷却が不十分となったり、あるいは、過剰となったりすることを抑制することができ、冷蔵室12内ひいては野菜室13内が最適な状態に冷却された状態を維持しやすくできる。
【0053】
冷蔵庫10によれば、制御装置50は、野菜室強冷制御の実行中においては、圧縮機51および冷蔵用送風ファン32のうち少なくとも何れか一方の動作量を通常冷却制御における動作量よりも大きくする。これにより、野菜室強冷制御の実行中においては、通常冷却制御よりも低温の冷気を生成することができ、また、通常冷却制御よりも低温の冷気を野菜室13内に大量に供給することができる。従って、野菜室13内の冷却強度を通常冷却制御における冷却強度よりも強めることを効率良く行うことができる。
【0054】
なお、本実施形態は、上述した一実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形や拡張などを行うことができる。
【0055】
例えば、特別条件は、[条件1]野菜室扉13Dが開かれたことが野菜室扉用開閉検知センサ54により検知され、かつ、[条件2]当該検知よりも前の所定期間T1内に冷蔵室扉12D[L],12D[R]が開かれたことが冷蔵室扉用開閉検知センサ53により検知されていないという条件に加えて、さらに、[条件4]野菜室扉13Dが開かれた時間が所定時間以上であるという条件を含む設定としてもよい。このような特別条件によっても、冷蔵室扉12D[L],12D[R]が開かれない状態で野菜室扉13Dが所定時間以上開かれた場合には、野菜室強冷制御を実行して野菜室13内を十分に冷却することができる。なお、この所定時間は、適宜変更して設定することができる。
【0056】
制御装置50は、冷蔵用冷却器31の除霜運転中に特別条件が満たされた場合には、実行中の除霜運転が終了した後に野菜室強冷制御を実行するように構成するとよい。換言すれば、制御装置50は、冷蔵用冷却器31の除霜運転中に特別条件が満たされた場合には、実行中の除霜運転が終了するまで待機してから野菜室強冷制御を開始するように構成するとよい。
【0057】
除霜運転においては、冷蔵用冷却器31による冷気の生成は行われず、冷蔵用送風ファン32による送風や図示しないヒータからの発熱により、冷蔵用冷却器31に付着した霜が取り除かれる。このように冷蔵用冷却器31による冷気の生成が行われない除霜運転中において、仮に野菜室強冷制御を実行したとしても、冷蔵室12内ひいては野菜室13内を十分に冷却することはできない。そのため、冷蔵用冷却器31の除霜運転中に特別条件が満たされた場合には、実行中の除霜運転が終了した後、つまり、冷蔵用冷却器31による冷気の生成が行われる状態となった後に野菜室強冷制御を実行するように構成するとよい。これにより、野菜室強冷制御を実行しているにも関わらず、冷蔵室12内ひいては野菜室13内の冷却が不十分となってしまうことを抑制することができる。
【0058】
制御装置50は、冷蔵用冷却器31の除霜運転を開始してから所定時間が経過するまでは冷蔵用送風ファン32を逆回転状態に切り替えるように構成するとよい。なお、この所定時間も、適宜変更して設定することができる。また、この所定時間は、例えば数分程度の時間を想定している。
【0059】
冷蔵用冷却器31の除霜運転を開始してから所定時間が経過するまでは、冷蔵用冷却器31には霜や除霜により生じた除霜水が残存した状態となっている。つまり、冷蔵用冷却器31には低温の水分が残存した状態となっている。そのため、冷蔵用送風ファン32を逆回転状態に切り替えることにより、冷蔵用冷却器31に残存している低温の水分を野菜室13内に供給することができ、野菜室13内の野菜類などの加湿および冷却を行うことができる。
【0060】
また、野菜室強冷制御によれば、通常冷却制御よりも冷却強度が強められるため、野菜室13内の野菜類などが凍結するおそれがある。そのため、制御装置50は、野菜室強冷制御を開始してから所定時間が経過すると通常冷却制御に自動的に移行し、その後、冷蔵冷却動作と冷凍冷却動作を少なくとも1回ずつ実行するまでは野菜室強冷制御への移行を制限するように構成してもよい。これにより、野菜室強冷制御が複数回連続して実行されてしまうことを回避することができ、野菜室13内の野菜類などが凍結してしまうことを抑制することができる。
【0061】
また、制御装置50は、野菜室強冷制御から通常冷却制御に移行した後において少なくとも1回ずつ冷蔵冷却動作と冷凍冷却動作を実行するまでの間に特別条件が成立した場合には、少なくとも1回ずつ冷蔵冷却動作と冷凍冷却動作を実行した後に野菜室強冷制御を実行するように構成するとよい。これにより、野菜室13内の野菜類などが凍結してしまうことを抑制しながらも、極力短いインターバルで野菜室強冷制御を繰り返し実行することができ、野菜室13内を十分に冷却することができる。
【0062】
第1貯蔵室は、冷蔵室12以外の貯蔵室であってもよく、第1貯蔵室扉は、冷蔵室扉12D[L],12D[R]以外の貯蔵室扉であってもよい。第2貯蔵室は、野菜室13以外の貯蔵室であってもよく、第2貯蔵室扉は、野菜室扉13D以外の貯蔵室扉であってもよい。本開示において、温度検知部を備えていない第2貯蔵室とは、当該第2貯蔵室内に温度検知部を備えていない構成、当該第2貯蔵室内からの冷気の出口部分あるいはその近傍部分に温度検知部を備えていない構成を含む。また、第2貯蔵室外に設けられている温度検知部が当該第2貯蔵室内の温度の影響を受ける構成であっても、その温度検知部が第2貯蔵室とは異なる貯蔵室内の温度を検知するために設けられている構成である場合には、当該第2貯蔵室は、温度検知部を備えていない貯蔵室であると定義することができる。冷蔵庫10によれば、野菜室13外に設けられている冷蔵室温度検知センサ55が当該野菜室13内の温度の影響を受ける構成であるが、その冷蔵室温度検知センサ55は、野菜室13とは異なる冷蔵室12内の温度を検知するために設けられている。そのため、野菜室13は、温度検知部を備えていない貯蔵室であると定義することができる。
【0063】
本開示は、冷蔵用冷却器31および冷凍用冷却器41を備える冷蔵庫10に限られず、例えば、1つの冷却器が生成する冷気により、冷蔵温度帯の貯蔵室内と冷凍温度帯の貯蔵室内の双方を冷却する動作と、冷蔵温度帯の貯蔵室内を冷却せず冷凍温度帯の貯蔵室内を冷却する動作と、を交互に実行可能な冷蔵庫にも適用することができる。
【0064】
以上、本発明に係る一実施形態を説明したが、この実施形態は、あくまでも一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。本実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
図面において、10は冷蔵庫、12は冷蔵室(第1貯蔵室)、12D[L],12D[R]は冷蔵室扉(第1貯蔵室扉)、13は野菜室(第2貯蔵室)、13Dは野菜室扉(第2貯蔵室扉)、14は製氷室(第3貯蔵室)、15は小冷凍室(第3貯蔵室)、16は大冷凍室(第3貯蔵室)、31は冷蔵用冷却器(冷却器)、32は冷蔵用送風ファン(送風ファン)、41は冷凍用冷却器(冷却器)、42は冷凍用送風ファン(送風ファン)、50は制御装置(制御部)、51は圧縮機、53は冷蔵室扉用開閉検知センサ(第1開閉検知部)、54は野菜室扉用開閉検知センサ(第2開閉検知部)、55は冷蔵室温度検知センサ(温度検知部)を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7