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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025457
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/02 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
D06F58/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130235
(22)【出願日】2023-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】勝呂 健太
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA02
3B166AA04
3B166AA05
3B166AB23
3B166AB30
3B166AB32
3B166AE01
3B166AE02
3B166AE07
3B166BA73
3B166CA01
3B166CA11
3B166CB01
3B166CB11
3B166CD02
3B166CD15
3B166DA04
3B166DB02
3B166DB14
3B166DB17
3B166DC40
3B166DE01
3B166DE02
3B166DE07
3B166DF01
3B166EA03
3B166EA14
3B166EA18
3B166EB03
3B166EB17
3B166EB25
3B166EC40
3B166ED05
3B166FB01
3B166GA02
3B166GA06
3B166GA12
(57)【要約】
【課題】本実施形態は、槽内の空気が流出する風路および槽内の水が流出する水路を備える衣類処理装置について、フィルタのメンテナンスの作業負担を軽減できるようにした技術案を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る衣類処理装置は、衣類が収容される衣類収容槽と、前記衣類収容槽内の空気が流出する風路と、前記衣類収容槽内の水が流出する水路と、前記風路の一部および前記水路の一部を構成する共通部と、前記共通部に設けられ、前記風路内を流れる空気に含まれている異物を捕獲する風路フィルタ部と、前記水路内を流れる水に含まれている異物を捕獲する水路フィルタ部と、を備える共通フィルタと、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類が収容される衣類収容槽と、
前記衣類収容槽内の空気が流出する風路と、
前記衣類収容槽内の水が流出する水路と、
前記風路の一部および前記水路の一部を構成する共通部と、
前記共通部に設けられ、前記風路内を流れる空気に含まれている異物を捕獲する風路フィルタ部と、前記水路内を流れる水に含まれている異物を捕獲する水路フィルタ部と、を備える共通フィルタと、
を備える衣類処理装置。
【請求項2】
前記風路フィルタ部のメッシュサイズと前記水路フィルタ部のメッシュサイズが異なる請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項3】
前記風路フィルタ部の材質と前記水路フィルタ部の材質が異なる請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項4】
前記衣類収容槽に設けられている溢水口と、
前記溢水口よりも低い位置に設けられ、前記風路内を流れる空気を除湿して加熱するヒートポンプ機構と、
前記共通フィルタよりも前記ヒートポンプ機構側に設けられ、前記ヒートポンプ機構側に水が流れることを阻止する阻止部と、
をさらに備える請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項5】
前記共通フィルタを洗浄する洗浄動作を実行可能である制御部をさらに備える請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、さらに、前記衣類収容槽内の衣類を乾燥する乾燥運転を実行可能であり、前記乾燥運転の実行後に前記乾燥運転以外の運転を実行することなく次の前記乾燥運転を実行する場合には、実行後の前記乾燥運転と実行前の前記乾燥運転との間に前記洗浄動作を実行する請求項5に記載の衣類処理装置。
【請求項7】
前記共通フィルタは、側面に前記風路フィルタ部を備え、底面に前記水路フィルタ部を備える請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項8】
前記共通フィルタとは別体である補助フィルタをさらに備える請求項1に記載の衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1,2には、衣類処理装置の一例である洗濯乾燥機が開示されている。特許文献1に開示されている洗濯乾燥機は、水槽内の空気が流出する風路の途中に風路フィルタを備えている。風路フィルタは、風路内を流れる空気に含まれている異物を捕獲する。特許文献2に開示されている洗濯乾燥機は、水槽内の水が流出する水路の途中に水路フィルタを備えている。水路フィルタは、水路内を流れる水に含まれている異物を捕獲する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-57706号公報
【特許文献2】特開2022-174349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている洗濯乾燥機では、風路フィルタの清掃などのメンテンナンスが必要であり、使用者の作業負担となっている。特許文献2に開示されている洗濯乾燥機では、水路フィルタの清掃などのメンテンナンスが必要であり、使用者の作業負担となっている。また、衣類処理装置の一例である洗濯乾燥機においては、風路フィルタおよび水路フィルタの双方を備える構成も存在している。このような構成においては、風路フィルタおよび水路フィルタの双方のメンテナンスが必要となり、使用者の作業負担が一層過大となる。
【0005】
本実施形態は、槽内の空気が流出する風路および槽内の水が流出する水路を備える衣類処理装置について、フィルタのメンテナンスの作業負担を軽減できるようにした技術案を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る衣類処理装置は、衣類が収容される衣類収容槽と、前記衣類収容槽内の空気が流出する風路と、前記衣類収容槽内の水が流出する水路と、前記風路の一部および前記水路の一部を構成する共通部と、前記共通部に設けられ、前記風路内を流れる空気に含まれている異物を捕獲する風路フィルタ部と、前記水路内を流れる水に含まれている異物を捕獲する水路フィルタ部と、を備える共通フィルタと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る洗濯乾燥機の構成例を概略的に示す縦断側面図
図2】第1実施形態に係る共通フィルタの構成例を概略的に示す斜視図
図3】第1実施形態に係る共通フィルタにおいて水路フィルタ部により異物が捕獲された状態例を示す縦断側面図
図4】第1実施形態に係る共通フィルタにおいて風路フィルタ部により異物が捕獲された状態例を示す縦断側面図
図5】第1実施形態に係る共通フィルタにおいて風路フィルタ部により捕獲された異物が水路フィルタ部上に洗い流された状態例を示す縦断側面図
図6】第2実施形態に係る洗濯乾燥機の構成例を概略的に示す縦断側面図
図7】第3実施形態に係る洗濯乾燥機の構成例を概略的に示す縦断側面図
図8】第4実施形態に係る洗濯乾燥機の構成例を概略的に示す縦断側面図
図9】第5実施形態に係る洗濯乾燥機の構成例を概略的に示す縦断側面図
図10】第6実施形態に係る洗濯乾燥機の構成例を概略的に示す縦断側面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、衣類処理装置に係る複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0009】
(第1実施形態)
図1に例示する洗濯乾燥機10は、衣類に所定の処理、この場合、少なくとも、衣類を洗う洗い処理、衣類をすすぐすすぎ処理、衣類を脱水する脱水処理を施すことが可能な衣類処理装置の一例である。洗濯乾燥機10は、回転槽の回転中心軸が水平方向あるいは水平方向に対して傾斜する方向に延びる、いわゆる横軸型のドラム式の洗濯乾燥機である。洗濯乾燥機10は、衣類を乾燥する乾燥処理を施すことが可能な衣類乾燥装置の一例でもある。
【0010】
洗濯乾燥機10は、その外郭を構成する矩形箱状の外箱11の内部に衣類処理槽12を備えている。衣類処理槽12は、図示しない衣類が収容される衣類収容槽の一例であり、水槽13およびドラム14を備えている。水槽13は、図示しないサスペンションにより弾性的に支持されている。水槽13は、円筒状をなし、その後面が閉塞されており、内部に水を溜めることが可能である。ドラム14は、水槽13内において回転可能に設けられている。ドラム14は、円筒状をなし、その後面が閉塞されている。
【0011】
ドラム14は、例えば洗い処理、すすぎ処理、脱水処理、乾燥処理などといった各種の処理の対象である図示しない衣類を収容可能である。ドラム14の周壁面および後面には通気および通水が可能な図示しない多数の小孔が設けられている。ドラム14の内周面には、衣類をかき上げるための図示しないバッフルが設けられている。ドラム14の回転中心軸は、水平方向あるいは水平方向に対して傾斜する方向に延びている。
【0012】
衣類処理槽12の後面には、図示しないドラムモータが設けられている。ドラムモータは、水槽13内のドラム14を正転方向および逆転方向に回転させることが可能である。水槽13の前面開口部は、外箱11の前面に設けられているドア15によって開閉可能に構成されている。使用者は、ドア15を開くことにより、前面開口部を通して水槽13内、より詳細には、ドラム14内に衣類を出し入れすることができる。
【0013】
洗濯乾燥機10は、衣類処理槽12内に水を供給するための図示しない給水部を備えている。給水部は、例えば水道などといった図示しない水源から衣類処理槽12に延びる給水経路の途中に周知の給水弁や注水ケースなどを備えた構成である。給水部から衣類処理槽12内に水が供給されることにより、衣類処理槽12内に所定量の水が溜められる。
【0014】
衣類処理槽12は、共通流出口12a、空気流入口12b、水流入口12c、溢水口12dを備えている。共通流出口12aは、この構成例では、衣類処理槽12の前部の下部に設けられている。空気流入口12bは、この構成例では、衣類処理槽12の後面に設けられている。水流入口12cは、この構成例では、衣類処理槽12の後部の下部に設けられている。溢水口12dは、この構成例では、衣類処理槽12の後面に設けられている。
【0015】
溢水口12dは、衣類処理槽12内の水位が当該溢水口12dの高さを超えると、その超えた分の水を衣類処理槽12外に排出する。これにより、衣類処理槽12内の最高水位は、この溢水口12dの高さまでに規制される。なお、溢水口12dは、後述する排水路31のうち排水弁32よりも下流側部分に接続されている。
【0016】
洗濯乾燥機10は、循環風路21を備えている。循環風路21は、衣類処理槽12の外部において、衣類処理槽12の共通流出口12aと空気流入口12bとの間を接続している。循環風路21の途中には、図示しない循環送風機が設けられている。循環送風機は、衣類処理槽12内の空気を共通流出口12aから循環風路21内に流出させ、その循環風路21内に流出させた空気を空気流入口12bから衣類処理槽12内に戻すように循環させる。即ち、循環風路21は、衣類処理槽12内の空気が流出する風路の一例として機能する。
【0017】
また、循環風路21の途中には、ヒートポンプ機構22が設けられている。ヒートポンプ機構22は、この構成例では、外箱11内の上部の後部に設けられている。即ち、ヒートポンプ機構22は、外箱11内において、少なくとも溢水口12dよりも高い位置に設けられている。
【0018】
詳細な図示は省略するが、ヒートポンプ機構22は、圧縮機、凝縮器、絞り器、蒸発器を冷媒管によりサイクル接続した周知の冷凍サイクルを構成している。このうち凝縮器および蒸発器は、循環風路21の内部に配置されている。洗濯乾燥機10は、循環風路21内を流れる空気を蒸発器により除湿し、さらに、凝縮器により加熱して衣類処理槽12内に温風として供給する。これにより、洗濯乾燥機10は、衣類処理槽12内の衣類を温風により乾燥することができる構成となっている。
【0019】
また、洗濯乾燥機10は、排水路31を備えている。排水路31は、衣類処理槽12の外部において、衣類処理槽12の共通流出口12aから機外に延出している。排水路31の途中には、排水弁32が設けられている。排水弁32は、閉状態から開状態に切り換えられることにより、衣類処理槽12内の水を共通流出口12aから機外に流出させる。即ち、排水路31は、衣類処理槽12内の水が流出する水路の一例として機能する。
【0020】
また、洗濯乾燥機10は、循環水路41を備えている。循環水路41は、衣類処理槽12の外部において、衣類処理槽12の共通流出口12aと水流入口12cとの間を接続している。循環水路41の途中には、循環ポンプ42が設けられている。循環ポンプ42は、衣類処理槽12内の水を共通流出口12aから循環水路41内に流出させ、その循環水路41内に流出させた水を水流入口12cから衣類処理槽12内に戻すように循環させる。即ち、循環水路41は、衣類処理槽12内の水が流出する水路の一例として機能する。
【0021】
洗濯乾燥機10は、循環風路21の一部、排水路31の一部、循環水路41の一部が共通化された構成となっている。即ち、循環風路21の上流部つまり衣類処理槽12の共通流出口12aに接続されている部分と、排水路31の上流部つまり衣類処理槽12の共通流出口12aに接続されている部分と、循環水路41の上流部つまり衣類処理槽12の共通流出口12aに接続されている部分は、共通部51により構成されている。
【0022】
そして、この共通部51には、共通フィルタ収容部52が設けられている。共通フィルタ収容部52は、前面が開口した矩形箱状に形成されている。共通フィルタ収容部52の側面、この場合、後面は、循環風路21に接続している。共通フィルタ収容部52の底面は、排水路31や循環水路41に接続している。そして、この共通フィルタ収容部52内には、その前面開口部を介して共通フィルタ100が着脱可能に収容されている。使用者は、洗濯乾燥機10の前方から共通フィルタ収容部52内に共通フィルタ100を着脱することができる。
【0023】
図2に例示するように、共通フィルタ100は、上面が開放した矩形容器状のフィルタ本体部101に風路フィルタ部102および水路フィルタ部103を備えた構成である。フィルタ本体部101は、その前面および左右の両側面が閉塞された構成である。
【0024】
風路フィルタ部102は、フィルタ本体部101の側面、この場合、後面に備えられており、循環風路21内を流れる空気に含まれている異物を捕獲する。風路フィルタ部102は、共通フィルタ100が共通フィルタ収容部52内に収容された状態において、当該共通フィルタ収容部52の側面、つまり、循環風路21に接続している後面に対向している。
【0025】
水路フィルタ部103は、フィルタ本体部101の底面に備えられており、排水路31内もしくは循環水路41内を流れる水に含まれている異物を捕獲する。水路フィルタ部103は、共通フィルタ100が共通フィルタ収容部52内に収容された状態において、当該共通フィルタ収容部52の底面、つまり、排水路31や循環水路41に接続している底面に対向している。なお、風路フィルタ部102や水路フィルタ部103によって捕獲される異物は、例えば衣類から発生した糸くずや塵埃などである。
【0026】
風路フィルタ部102のメッシュサイズと水路フィルタ部103のメッシュサイズは異なっており、この場合、風路フィルタ部102のメッシュサイズは、水路フィルタ部103のメッシュサイズよりも細かくなっている。また、風路フィルタ部102の材質と水路フィルタ部103の材質は異なっており、この場合、風路フィルタ部102は例えば金属製であり、水路フィルタ部103は例えば樹脂製である。風路フィルタ部102の面積と水路フィルタ部103の面積は、この場合、同じ面積であるが、異なる面積としてもよい。
【0027】
図1に例示するように、洗濯乾燥機10は、制御部の一例である制御装置60を備えている。制御装置60は、例えばマイクロコンピュータを主体として構成されており、制御プログラムや各種の設定情報などに基づいて洗濯乾燥機10の動作全般を制御する。制御装置60は、上述した給水弁、ドラムモータ、排水弁32などの動作を制御することにより、衣類処理槽12内の衣類を洗う周知の洗い運転、衣類処理槽12内の衣類をすすぐ周知のすすぎ運転、衣類処理槽12内の衣類を脱水する周知の脱水運転などを実行可能である。また、制御装置60は、さらに循環送風機やヒートポンプ機構22の動作を制御することにより、衣類処理槽12内の衣類を乾燥する乾燥運転を実行可能である。
【0028】
洗い運転やすすぎ運転において、制御装置60は、循環水路41内を通して水を循環させたり、排水路31内を通して水を機外に排出したりする。即ち、制御装置60は、循環ポンプ42を駆動することにより、衣類処理槽12内の水を、循環水路41内を通して循環させる。また、制御装置60は、排水弁32を開くことにより、衣類処理槽12内の水を、排水路31内を通して機外に排出する。
【0029】
このとき、図3に例示するように、循環水路41内を流れる循環水や排水路31内を流れる排水は、共通フィルタ100のうち主として水路フィルタ部103を通過する。これにより、循環水路41内を流れる循環水や排水路31内を流れる排水に含まれている異物P1を水路フィルタ部103により捕獲することができる。
【0030】
また、図3に例示する状態においては、異物P1には重力も作用するから、底面の水路フィルタ部103により異物P1を捕獲しやすい。
【0031】
また、図3に例示する状態においては、水路フィルタ部103には異物P1が蓄積しているが、風路フィルタ部102には異物が蓄積されておらず風路が閉塞されていない。そのため、このままの状態つまり水路フィルタ部103上に異物P1が蓄積された状態で乾燥運転に移行することができる。
【0032】
また、乾燥運転において、制御装置60は、循環風路21内を通して空気を循環させる。即ち、制御装置60は、循環送風機やヒートポンプ機構22を駆動することにより、衣類処理槽12内の空気を、循環風路21内を通して循環させる。
【0033】
このとき、図4に例示するように、循環風路21内を流れる循環風は、共通フィルタ100のうち主として風路フィルタ部102を通過する。これにより、循環風路21内を流れる循環風に含まれている異物P2を風路フィルタ部102により捕獲することができる。
【0034】
以上のように構成される洗濯乾燥機10によれば、洗い運転、すすぎ運転、脱水運転、乾燥運転を含む一連の洗濯乾燥コースを実行することにより、洗い運転やすすぎ運転において循環水や排水に含まれている異物P1を水路フィルタ部103により捕獲することができ、乾燥運転において循環風に含まれている異物P2を風路フィルタ部102により捕獲することができる。
【0035】
そして、次回の運転コースの実行時において洗い運転やすすぎ運転が実行されると、図5に例示するように、風路フィルタ部102により捕獲されている異物P2を循環水や排水により下方に洗い流して風路フィルタ部102から除去することができる。これにより、風路フィルタ部102に蓄積した異物P2により循環風路21内の風路抵抗が増大してしまうことを抑制することができる。そのため、乾燥運転が終了するごとに、毎回、風路フィルタ部102を清掃する必要が無い。なお、風路フィルタ部102から除去された異物P2は、当該風路フィルタ部102よりも下方に位置する水路フィルタ部103上に蓄積される。
【0036】
ところで、洗濯乾燥機10においては、乾燥運転が連続して実行される場合、つまり、乾燥運転の実行後に乾燥運転以外の運転つまり洗い運転やすすぎ運転などが実行されることなく次回の乾燥運転が実行される場合がある。このような場合には、図5に例示したような循環水や排水による風路フィルタ部102の洗浄効果を発揮することができない。そのため、制御装置60は、乾燥運転が連続して実行される場合には、実行後の乾燥運転と実行前の乾燥運転との間に洗浄動作を実行するようにするとよい。
【0037】
洗浄動作は、例えば、衣類処理槽12内の水を、循環水路41内を通して循環させたり、衣類処理槽12内の水を、排水路31内を通して排出させたりする動作である。即ち、制御装置60は、循環水路41内や排水路31内に水を流出させる動作を実行することにより、風路フィルタ部102の洗浄を行うことができる。
【0038】
このような洗浄動作によれば、乾燥運転が連続して実行される場合であっても、各回の乾燥運転の実行前に共通フィルタ100のうち特に風路フィルタ部102を洗浄することができ、乾燥運転において循環風路21内の風路抵抗が増大してしまうことを抑制することができる。なお、洗浄動作は、例えば、専用の洗浄ノズルから共通フィルタ100内に洗浄水を噴射する動作であってもよい。
【0039】
なお、洗濯乾燥機10は、上述したような洗浄動作を実行不能な構成としてもよく、この場合、使用者は、乾燥運転を連続して実行する場合には、各回の乾燥運転の実行前に手動により共通フィルタ100内を清掃するようにすればよい。
【0040】
以上に例示した洗濯乾燥機10の構成例によれば、循環風路21の一部、排水路31の一部、循環水路41の一部が共通部51により共通化されており、その共通部51に、風路フィルタ部102および水路フィルタ部103を備える共通フィルタ100が設けられている。この構成例によれば、共通フィルタ100という1つの部品について清掃などのメンテナンスを行うことにより、水路フィルタ部103および風路フィルタ部102の双方について清掃などのメンテナンスを行うことができる。そのため、衣類処理槽12内の空気が流出する循環風路21および衣類処理槽12内の水が流出する排水路31および循環水路41を備える洗濯乾燥機10について、フィルタのメンテナンスの作業負担を軽減することができる。
【0041】
風路フィルタ部102については、その下流側にヒートポンプ機構22が存在することから、より細かい異物も捕獲できるようにするべく、そのメッシュサイズは極力細かい方が好ましい。一方、水路フィルタ部103については、ある程度の通水性を確保する必要があり、そのメッシュサイズは、風路フィルタ部102ほど細かくなくても十分である。
【0042】
洗濯乾燥機10によれば、風路フィルタ部102のメッシュサイズと水路フィルタ部103のメッシュサイズを異ならせる構成となっており、具体的には、風路フィルタ部102のメッシュサイズを水路フィルタ部103のメッシュサイズよりも細かくした構成となっている。この構成例によれば、風路フィルタ部102においては、より細かい異物を捕獲することができ、且つ、水路フィルタ部103においては、ある程度の通水性を確保しつつ異物を捕獲できる構成を実現することができる。
【0043】
風路フィルタ部102については、乾燥運転において温風が通過することから、耐熱性が必要であり、その材質は例えば金属製であることが好ましい。一方、水路フィルタ部103については、洗い運転やすすぎ運転において水が通過するものであるから、耐熱性は必要ではなく、その材質は例えば樹脂製であっても十分である。
【0044】
洗濯乾燥機10によれば、風路フィルタ部102の材質と水路フィルタ部103の材質を異ならせる構成となっており、具体的には、風路フィルタ部102は例えば金属製であり、水路フィルタ部103は例えば樹脂製である構成となっている。この構成例によれば、風路フィルタ部102においては、例えば金属製により耐熱性を確保することができ、且つ、水路フィルタ部103においては、例えば樹脂製により安価に形成できる構成を実現することができる。
【0045】
また、金属製の風路フィルタ部102によれば、強度も高いため、例えばブラシなどを用いて異物を容易に除去することができる。また、金属製の風路フィルタ部102によれば、細かいメッシュサイズで形成しやすくできる。
【0046】
洗濯乾燥機10によれば、制御装置60は、共通フィルタ100を洗浄する洗浄動作を実行可能である。この構成例によれば、異物が蓄積した共通フィルタ100を適宜洗浄することができ、使用者による清掃などのメンテンナンス作業の負荷を軽減することができる。
【0047】
洗濯乾燥機10によれば、制御装置60は、乾燥運転の実行後に乾燥運転以外の運転を実行することなく次回の乾燥運転を実行する場合には、実行後の乾燥運転と実行前の乾燥運転との間に洗浄動作を実行する。この構成例によれば、乾燥運転が連続して実行される場合であっても、各回の乾燥運転の実行前に共通フィルタ100を洗浄することができる。
【0048】
洗濯乾燥機10によれば、共通フィルタ100は、側面に風路フィルタ部102を備え、底面に水路フィルタ部103を備えている。即ち、共通フィルタ100は、水路フィルタ部103よりも上方に風路フィルタ部102を備えた構成となっている。この構成例によれば、洗浄動作により風路フィルタ部102から除去された異物を水路フィルタ部103により受けることができる。そのため、使用者は、共通フィルタ100を清掃する際には、水路フィルタ部103のみから異物を取り除けばよく、使用者の作業負荷を軽減することができる。
【0049】
(第2実施形態)
図6に例示する洗濯乾燥機10は、ヒートポンプ機構22が外箱11内の下部の後部に設けられている。即ち、ヒートポンプ機構22は、外箱11内において、少なくとも溢水口12dよりも低い位置に設けられている。そして、洗濯乾燥機10は、循環風路21のうち共通フィルタ100よりも下流側つまりヒートポンプ機構22側の部分に隆起部23を備えている。隆起部23は、上流側から上昇した後、下流側に向かって下降するように湾曲しており、その上端は、溢水口12dよりも高い位置に到達している。
【0050】
この構成例によれば、仮に、衣類処理槽12内の水位が溢水口12dの高さに到達した状態であっても、その衣類処理槽12内の水が循環風路21内をヒートポンプ機構22側に流れることを隆起部23によって阻止することができる。これにより、ヒートポンプ機構22に水が到達してしまうことを回避することができる。この構成例において、隆起部23は、ヒートポンプ機構22側に水が流れることを阻止する阻止部の一例として機能する。
【0051】
(第3実施形態)
図7に例示する洗濯乾燥機10は、上述した隆起部23に代えて、循環風路21のうち共通フィルタ100よりもヒートポンプ機構22側の部分にリブ24を備えた構成である。この構成例によれば、仮に衣類処理槽12内の水が循環風路21内をヒートポンプ機構22側に流れようとしても、その水の流れをリブ24によって堰き止めることができ、ヒートポンプ機構22側に水が流れることを阻止することができる。この構成例において、リブ24は、ヒートポンプ機構22側に水が流れることを阻止する阻止部の一例として機能する。
【0052】
(第4実施形態)
図8に例示する洗濯乾燥機10は、上述した隆起部23に代えて、循環風路21のうち共通フィルタ100よりもヒートポンプ機構22側の部分に分岐水路25を備えた構成である。分岐水路25の先端部は、排水路31のうち排水弁32よりも下流側部分に接続されている。この構成例によれば、仮に衣類処理槽12内の水が循環風路21内をヒートポンプ機構22側に流れようとしても、その水をヒートポンプ機構22よりも上流側において分岐水路25に流すことができ、ヒートポンプ機構22側に水が流れることを阻止することができる。この構成例において、分岐水路25は、ヒートポンプ機構22側に水が流れることを阻止する阻止部の一例として機能する。
【0053】
(第5実施形態)
図9に例示する洗濯乾燥機10は、上述した隆起部23に代えて、循環風路21のうち共通フィルタ100よりもヒートポンプ機構22側の部分に開閉弁26を備えた構成である。この構成例によれば、仮に衣類処理槽12内の水が循環風路21内をヒートポンプ機構22側に流れようとしても、開閉弁26を開状態から閉状態に切り換えることにより水の流れを止めることができ、ヒートポンプ機構22側に水が流れることを阻止することができる。この構成例において、開閉弁26は、ヒートポンプ機構22側に水が流れることを阻止する阻止部の一例として機能する。
【0054】
(第6実施形態)
図10に例示する洗濯乾燥機10は、共通フィルタ100とは別体である補助フィルタ200をさらに備える構成である。補助フィルタ200は、循環風路21内における風路フィルタ部102よりも下流側部分、および、排水路31内あるいは循環水路41内における水路フィルタ部103よりも下流側部分にそれぞれ設けられている。この構成例によれば、仮に、風路フィルタ部102や水路フィルタ部103を異物が通過してしまったとしても、その異物を補助フィルタ200により捕獲することができ、異物の捕獲性能の向上を図ることができる。
【0055】
なお、洗濯乾燥機10は、循環風路21内における風路フィルタ部102よりも下流側部分に複数の補助フィルタ200を備える構成としてもよい。また、洗濯乾燥機10は、排水路31内あるいは循環水路41内における水路フィルタ部103よりも下流側部分に複数の補助フィルタ200を備える構成としてもよい。また、洗濯乾燥機10は、循環風路21内における風路フィルタ部102よりも下流側部分に補助フィルタ200を備え、排水路31内あるいは循環水路41内における水路フィルタ部103よりも下流側部分に補助フィルタ200を備えない構成としてもよい。あるいは、洗濯乾燥機10は、排水路31内あるいは循環水路41内における水路フィルタ部103よりも下流側部分に補助フィルタ200を備え、循環風路21内における風路フィルタ部102よりも下流側部分に補助フィルタ200を備えない構成としてもよい。
【0056】
(その他の実施形態)
なお、本実施形態は、上述した複数の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更や拡張を行うことができる。例えば、洗濯乾燥機10は、上述した複数の実施形態のうち少なくとも何れか2つ以上の実施形態を適宜選択して組み合わせた構成としてもよい。また、共通フィルタ100の形状は、矩形容器状に限られず、例えば、側面の一部が開放した円筒容器形であって、側面部に風路フィルタ部を備え、底面部に水路フィルタ部を備える構成としてもよい。
【0057】
風路フィルタ部102のメッシュサイズと水路フィルタ部103のメッシュサイズは同じであってもよい。また、風路フィルタ部102の材質と水路フィルタ部103の材質は同じであってもよい。この場合、風路フィルタ部102の材質と水路フィルタ部103の材質をフィルタ本体部101と同じ材質にすることにより、フィルタ本体部101、風路フィルタ部102、水路フィルタ部103を含む共通フィルタ100全体を一体成形することを可能にすることができる。
【0058】
本実施形態は、回転槽の回転軸が水平方向または傾斜方向に延びるいわゆる横軸型のドラム式の洗濯乾燥機に限られるものではなく、回転槽の回転軸が垂直方向に延びる洗濯乾燥機、いわゆる縦軸型の洗濯乾燥機にも適用することができる。また、本実施形態は、洗濯機能を有しない衣類乾燥装置にも適用することができる。
【0059】
本実施形態は、あくまでも一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
図面において、10は洗濯乾燥機(衣類処理装置)、12は衣類処理槽(衣類収容槽)、12dは溢水口、21は循環風路(風路)、22はヒートポンプ機構、23は隆起部(阻止部)、24はリブ(阻止部)、25は分岐水路(阻止部)、26は開閉弁(阻止部)、31は排水路(水路)、41は循環水路(水路)、51は共通部、60は制御装置(制御部)、100は共通フィルタ、102は風路フィルタ部、103は水路フィルタ部、200は補助フィルタを示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10