(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025459
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H10D 12/00 20250101AFI20250214BHJP
H10D 84/80 20250101ALI20250214BHJP
H10D 30/66 20250101ALI20250214BHJP
H10D 8/50 20250101ALI20250214BHJP
H10D 62/10 20250101ALI20250214BHJP
【FI】
H01L29/78 655F
H01L29/78 657D
H01L29/78 653A
H01L29/91 C
H01L29/06 301R
H01L29/06 301V
H01L29/78 652P
H01L29/06 301G
H01L29/78 652Q
H01L27/06 102A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130237
(22)【出願日】2023-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮田 征典
(72)【発明者】
【氏名】堀田 祥弘
【テーマコード(参考)】
5F048
【Fターム(参考)】
5F048AC10
5F048BB19
5F048BC03
5F048BC12
5F048BD07
(57)【要約】
【課題】セル領域の中央部側に位置する領域が高温になることを抑制する。
【解決手段】セル領域10およびセル領域10を囲む外周領域20を有する半導体基板30と、セル領域10に形成され、IGBT素子を有するIGBT領域11と、セル領域10に形成され、FWD素子を有するFWD領域12と、を備える。そして、半導体基板10の面方向における一方向において、IGBT領域11とFWD領域12とが交互に形成されており、IGBT領域11は、3個以上形成され、一方向に沿った長さを幅とすると、一方向における中央部側に位置する領域の幅が一方向における端部側に位置する領域の幅より狭くなるようにする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置であって、
セル領域(10)および前記セル領域を囲む外周領域(20)を有する半導体基板(30)と、
前記セル領域に形成され、IGBT素子を有するIGBT領域(11)と、
前記セル領域に形成され、FWD素子を有するFWD領域(12)と、を備え、
前記半導体基板の面方向における一方向において、前記IGBT領域と前記FWD領域とが交互に形成されており、
前記IGBT領域は、前記一方向において3個以上形成され、前記一方向に沿った長さを幅とすると、前記一方向における中央部側に位置する領域の幅が前記一方向における端部側に位置する領域の幅より狭くされている半導体装置。
【請求項2】
前記一方向に沿った前記IGBT領域の数は、3以上の奇数であるX個とされ、
前記IGBT領域は、前記一方向に沿って{(X+1)/2}番目に位置する領域の幅が最も狭くされている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記一方向に沿った前記IGBT領域の数は、4以上の偶数であるX個とされ、
前記IGBT領域は、前記一方向に沿って(X/2)番目に位置する領域、および{(X/2)+1}番目に位置する領域の幅が等しくされていると共に最も狭くされている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記外周領域は、外部端子部(140)と接続されるパッド部(21)を有しており、
前記IGBT領域は、前記パッド部側に最も近い領域の幅が、前記パッド部側に最も遠い領域の幅より広くされている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記IGBT領域は、前記一方向における中央部側に位置する領域の幅に対する、前記一方向における端部側に位置する領域の幅の比が1.5~4.5とされている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記FWD領域は、前記一方向において3個以上形成され、前記一方向における中央部側に位置する領域の幅が前記一方向における端部側に位置する領域の幅より狭くされている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
半導体装置であって、
セル領域(10)および前記セル領域を囲む外周領域(20)を有する半導体基板(30)と、
前記セル領域に形成され、IGBT素子を有するIGBT領域(11)と、
前記セル領域に形成され、FWD素子を有するFWD領域(12)と、を備え、
前記半導体基板の面方向における一方向において、前記IGBT領域と前記FWD領域とが交互に形成されており、
前記FWD領域は、前記一方向において3個以上形成され、前記一方向に沿った長さを幅とすると、前記一方向における中央部側に位置する領域の幅が前記一方向における端部側に位置する領域の幅より狭くされている半導体装置。
【請求項8】
前記一方向に沿った前記FWD領域の数は、3以上の奇数であるX個とされ、
前記FWD領域は、前記一方向に沿って{(X+1)/2}番目に位置する領域の幅が最も狭くされている請求項6または7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記一方向に沿った前記FWD領域の数は、4以上の偶数であるX個とされ、
前記FWD領域は、前記一方向に沿って(X/2)番目に位置する領域、および{(X/2)+1}番目に位置する領域の幅が等しくされていると共に最も狭くされている請求項6または7に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記外周領域は、外部端子部(140)と接続されるパッド部(21)を有しており、
前記FWD領域は、前記パッド部側に最も近い領域の幅が、前記パッド部側に最も遠い領域の幅より広くされている請求項6または7に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記FWD領域は、前記一方向における中央部側に位置する領域の幅に対する、前記一方向における端部側に位置する領域の幅の比が1.5~4.5とされている請求項6または7に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記外周領域は、外部端子部(140)と接続されるパッド部(21)を有しており、
前記FWD領域は、前記一方向と交差する交差方向にて、前記パッド部と隣合う追加FWD領域(12e)を有しており、
前記パッド部と一方向にて隣合う位置には、前記IGBT領域が配置されている請求項6または7に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記セル領域を露出させるコンタクトホール(46a)が形成された保護膜(46)を有し、
前記追加FWD領域は、前記保護膜にて被覆され、
前記FWD領域は、前記コンタクトホールから露出する領域において、前記一方向における中央部側に位置する領域の幅が前記一方向における端部側に位置する領域の幅より狭くされ、前記追加FWD領域の幅が前記コンタクトホールから露出する前記FWD領域の幅より狭くされている請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記半導体基板は、
第1導電型のドリフト層(31)と、前記セル領域において、前記ドリフト層の表層部に形成された第2導電型のベース層(32)と、前記IGBT領域において、前記ベース層の表層部に前記ドリフト層から離間して形成され、前記ドリフト層よりも高不純物濃度とされた第1導電型のエミッタ領域(36)と、前記IGBT領域において、前記ドリフト層のうちの前記ベース層側と反対側に形成された第2導電型のコレクタ層(41)と、前記FWD領域において、前記ドリフト層のうちの前記ベース層側と反対側に形成された第1導電型のカソード層(42)と、を有し、
前記外周領域には、前記セル領域との境界部に、前記ベース層と繋がり、前記セル領域を囲む第2導電型のディープ層(44)が形成され、
前記ディープ層は、角部が丸められた平面枠状とされ、
前記追加FWD領域は、前記交差方向における端部であって、前記パッド部側と反対側の端部(C)が前記ディープ層の角部と対応するように丸められた平面形状とされている請求項12に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、絶縁ゲート構造を有する絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(以下では、IGBTという)素子とフリーホイールダイオード(以下では、FWDという)素子とが共通の半導体基板に形成された半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、IGBT素子が形成されたIGBT領域およびFWD素子が形成されたFWD領域を有する半導体装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、この半導体装置は、セル領域と、セル領域を囲む外周領域とを有する構成とされており、セル領域に、複数のIGBT領域およびFWD領域が形成されている。そして、この半導体装置は、各IGBT領域および各FWD領域が一方向を長手方向とする平面矩形状とされ、長手方向と交差する交差方向に沿って、IGBT領域とFWD領域とが交互に配列されている。また、この半導体装置では、各IGBT領域における交差方向に沿った長さである幅が互いに等しくされ、各FWD領域における交差方向に沿った幅が互いに等しくされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような半導体装置は、IGBT素子がオン状態とされることでIGBT領域に電流が流れ、FWD素子がオン状態とされることでFWD領域に電流が流れる。この場合、このような半導体装置では、IGBT素子がオン状態とされると、各IGBT領域の幅が等しくされているため、各IGBT領域の発熱量がほぼ等しくなる。同様に、このような半導体装置では、FWD素子がオン状態とされると、各FWD領域の幅が等しくされているため、各FWD領域の発熱量がほぼ等しくなる。
【0005】
しかしながら、このような半導体装置では、交差方向における端部側に位置する領域は外周領域へ放熱し易いため、交差方向における端部側に位置する領域の放熱量が交差方向における中央部側に位置する領域の放熱量よりも大きくなり易い。このため、このような半導体装置では、セル領域の交差方向における中央部側に位置する領域が、交差方向における端部側に位置する領域より温度が高くなり易く、中央部側の領域が破壊される可能性がある。
【0006】
本開示は、セル領域の中央部側に位置する領域が高温になることを抑制できる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の1つの観点によれば、半導体装置は、セル領域(10)およびセル領域を囲む外周領域(20)を有する半導体基板(30)と、セル領域に形成され、IGBT素子を有するIGBT領域(11)と、セル領域に形成され、FWD素子を有するFWD領域(12)と、を備え、半導体基板の面方向における一方向において、IGBT領域とFWD領域とが交互に形成されており、IGBT領域は、一方向において3個以上形成され、一方向に沿った長さを幅とすると、一方向における中央部側に位置する領域の幅が一方向における端部側に位置する領域の幅より狭くされている。
【0008】
これによれば、IGBT領域は、一方向における中央部に位置する領域の幅が、一方向における端部側に位置する領域の幅よりも狭くされている。このため、各IGBT領域の幅が等しくされている場合と比較して、一方向における中央部のIGBT領域の温度が一方向における端部側のIGBT領域の温度より高くなり過ぎることを抑制できる。
【0009】
また、本開示の別の観点によれば、半導体装置は、セル領域(10)およびセル領域を囲む外周領域(20)を有する半導体基板(30)と、セル領域に形成され、IGBT素子を有するIGBT領域(11)と、セル領域に形成され、FWD素子を有するFWD領域(12)と、を備え、半導体基板の面方向における一方向において、IGBT領域とFWD領域とが交互に形成されており、FWD領域は、一方向において3個以上形成され、一方向に沿った長さを幅とすると、一方向における中央部側に位置する領域の幅が一方向における端部側に位置する領域の幅より狭くされている。
【0010】
これによれば、FWD領域は、一方向における中央部に位置する領域の幅が、一方向における端部側に位置する領域の幅よりも狭くされている。このため、各FWD領域の幅が等しくされている場合と比較して、一方向における中央部のFWD領域の温度が一方向における端部側のFWD領域の温度より高くなり過ぎることを抑制できる。
【0011】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態における半導体装置の平面図である。
【
図2】
図1中のII-II線に沿った断面図である。
【
図4】
図1および
図3中のIV-IV線に沿った温度分布を示す図である。
【
図5】IGBT領域の最小幅に対するIGBT領域の最大幅の比と、半導体装置の最大温度との関係を示す図である。
【
図6】
図5のシミュレーションを行うのに使用した半導体装置の平面図である。
【
図8】第1実施形態の変形例における半導体装置の平面図である。
【
図9】第1実施形態の変形例における半導体装置の平面図である。
【
図10】第1実施形態の変形例における半導体装置の平面図である。
【
図11】第1実施形態の変形例における半導体装置の平面図である。
【
図12】第1実施形態の変形例における半導体装置の平面図である。
【
図13】第2実施形態における半導体装置の平面図である。
【
図14】第3実施形態における半導体装置の平面図である。
【
図15】第4実施形態における半導体装置の平面図である。
【
図16】第5実施形態における半導体装置の平面図である。
【
図17】第6実施形態における半導体装置の平面図である。
【
図18】第6実施形態の変形例における半導体装置の平面図である。
【
図19】第6実施形態の変形例における半導体装置の平面図である。
【
図20】第7実施形態における半導体装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0014】
(第1実施形態)
第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態の半導体装置1は、例えば、インバータ、DC/DCコンバータ等の電源回路に使用されるパワースイッチング素子として利用されると好適である。また、本実施形態では、IGBT素子およびFWD素子をオン状態とした際、IGBT素子がオン状態である場合に半導体装置1の温度が最も高くなる例を説明する。
【0015】
図1に示されるように、半導体装置1は、セル領域10と、当該セル領域10を囲む外周領域20とを有している。セル領域10は、IGBT素子が形成されたIGBT領域11と、FWD素子が形成されたFWD領域12とを有する構成とされている。つまり、本実施形態の半導体装置1は、後述する共通の半導体基板30内にIGBT領域11とFWD領域12とが形成されたRC(Reverse Conductingの略)-IGBTとされている。なお、具体的には後述するが、本実施形態では、半導体基板30の他面30bに位置するコレクタ層41上の部分がIGBT領域11とされ、半導体基板30の他面30bに位置するカソード層42上の部分がFWD領域12とされている。
【0016】
まず、本実施形態における半導体装置1の平面構成について説明する。本実施形態では、セル領域10は平面略矩形状とされている。そして、IGBT領域11およびFWD領域12は、セル領域10内において、一方向に沿って交互に配列される部分を有するように形成されている。つまり、IGBT領域11およびFWD領域12は、後述する半導体基板30の面方向における一方向に沿って交互に配列される部分を有するように形成されている。
【0017】
本実施形態では、IGBT領域11およびFWD領域12は、それぞれ長手方向を有する矩形状の領域とされており、当該長手方向と交差する交差方向に沿って交互に形成されている。以下、IGBT領域11およびFWD領域12の長手方向を第1方向とし、交差方向を第2方向として説明する。
図1中では、紙面左右方向が第1方向であり、紙面上下方向が第2方向である。
【0018】
なお、第1方向は、後述する半導体基板30の面方向における一方向ということもでき、第2方向は、第1方向と直交する方向であって、後述する半導体基板30の面方向に沿った方向ということもできる。また、本実施形態のIGBT領域11およびFWD領域12は、第2方向における両端部にIGBT領域11が位置するように、交互に配列されている。
【0019】
本実施形態では、IGBT領域11は、第2方向に沿って5つ形成され、FWD領域12は、第2方向に沿って4つ形成されている。つまり、本実施形態では、IGBT領域11が奇数個形成され、FWD領域12が偶数個形成されている。そして、セル領域10における第2方向の中央部は、IGBT領域11とされている。
【0020】
以下、本実施形態では、第2方向に沿って配列されている5つのIGBT領域11において、第2方向に沿って順に、第1IGBT領域11a、第2IGBT領域11b、第3IGBT領域11c、第4IGBT領域11d、第5IGBT領域11eともいう。同様に、第2方向に沿って配列されている4つのFWD領域12において、第2方向に沿って順に、第1FWD領域12a、第2FWD領域12b、第3FWD領域12c、第4FWD領域12dともいう。そして、本実施形態では、第3IGBT領域11cが、セル領域10における第2方向の中央部に位置している。
【0021】
また、以下では、第2方向に沿った長さを幅ともいう。そして、第1~第5IGBT領域11a~11eの各幅La~Le、および第1~第4FWD領域12a~12dの各幅Da~Deは、次のように調整されている。
【0022】
具体的には、IGBT領域11は、第2方向における中央部側に位置する領域の幅が、第2方向における端部側に位置する領域の幅よりも狭くされている。より詳しくは、第1~第5IGBT領域11a~11eは、第3IGBT領域11cの幅Lcが最も狭く、第2、第4IGBT領域11b、11dの幅Lb、Ld、第1、第5IGBT領域11a、11eの幅La、Leの順に広くなるように形成されている。なお、本実施形態では、第2IGBT領域11bの幅Lbと第4IGBT領域11dの幅Ldとは等しくされ、第1IGBT領域11aの幅Laと第5IGBT領域11eの幅Leとは等しくされている。
【0023】
第1~第4FWD領域12a~12dは、本実施形態では、各幅Da~Ddが等しくなるように形成されている。
【0024】
外周領域20には、後述するゲート電極35や、図示しない温度センス素子等と接続される複数のパッド部21が形成されている。本実施形態では、パッド部21は、3個配置されており、外周領域20における第5IGBT領域11e側の部分において、第1方向に沿って配置されている。
【0025】
以上が本実施形態における半導体装置1の平面構成である。次に、半導体装置1の断面構成について説明する。
【0026】
半導体装置1は、
図2に示されるように、N
-型のドリフト層31を構成する半導体基板30を有している。なお、本実施形態では、半導体基板30は、シリコン基板で構成される。そして、ドリフト層31上には、P型のベース層32が形成されている。言い換えると、半導体基板30の一面30a側には、ベース層32が形成されている。
【0027】
半導体基板30には、一面30a側からベース層32を貫通してドリフト層31に達するように複数のトレンチ33が形成されている。これにより、ベース層32は、トレンチ33によって複数個に分離されている。本実施形態では、複数のトレンチ33は、IGBT領域11およびFWD領域12にそれぞれ形成されている。また、本実施形態では、複数のトレンチ33は、第1方向を長手方向としてストライプ状に形成されている。
【0028】
そして、各トレンチ33は、各トレンチ33の壁面を覆うように形成されたゲート絶縁膜34と、このゲート絶縁膜34の上に形成されたポリシリコン等により構成されるゲート電極35とにより埋め込まれている。これにより、トレンチゲート構造が構成されている。
【0029】
IGBT領域11に形成されたトレンチ33に配置されているゲート電極35は、図示しないゲート配線を介して
図1に示されるパッド部21の1つと接続され、所定のゲート電圧が印加されるようになっている。また、FWD領域12に形成されているトレンチ33に配置されたゲート電極35は、後述する上部電極39と電気的に接続されている。つまり、FWD領域12のゲート電極35は、所定電位に維持されるようになっている。
【0030】
IGBT領域11およびFWD領域12のベース層32の表層部(すなわち、半導体基板30の一面30a側)には、ドリフト層31よりも高不純物濃度とされたN+型のエミッタ領域36が形成されている。また、IGBT領域11およびFWD領域12のベース層32の表層部には、ベース層32よりも高不純物濃度とされたP+型のコンタクト領域37が形成されている。具体的には、エミッタ領域36は、ベース層32内において終端し、かつ、トレンチ33の側面に接するように形成されている。また、コンタクト領域37は、エミッタ領域36と同様に、ベース層32内において終端するように形成されている。
【0031】
より詳しくは、エミッタ領域36は、トレンチ33間の領域において、トレンチ33の長手方向に沿ってトレンチ33の側面に接するように棒状に延設され、トレンチ33の先端よりも内側で終端する構造とされている。また、コンタクト領域37は、2つのエミッタ領域36に挟まれてトレンチ33の長手方向(すなわち、エミッタ領域36)に沿って棒状に延設されている。
【0032】
なお、本実施形態では、トレンチ33の壁面のうちのエミッタ領域36とドリフト層31との間に位置する部分が、エミッタ領域36とドリフト層31との間に位置するベース層32の表面となる。また、本実施形態のコンタクト領域37は、半導体基板30の一面30aを基準としてエミッタ領域36よりも深く形成されている。
【0033】
半導体基板30の一面30a上には、BPSG(Borophosphosilicate Glassの略)等で構成される層間絶縁膜38が形成されている。そして、層間絶縁膜38上には、層間絶縁膜38に形成されたコンタクトホール38aを通じてエミッタ領域36およびコンタクト領域37(すなわち、ベース層32)と電気的に接続される上部電極39が形成されている。つまり、層間絶縁膜38上には、IGBT領域11においてエミッタ電極として機能し、FWD領域12においてアノード電極として機能する上部電極39が形成されている。
【0034】
なお、本実施形態では、層間絶縁膜38には、FWD領域12では、ゲート電極35を露出させるコンタクトホール38bが形成されている。そして、上部電極39は、このコンタクトホール38bを通じてゲート電極35とも接続されている。これにより、FWD領域12に形成されたゲート電極35は、上部電極39と同電位に維持される。
【0035】
ドリフト層31のうちのベース層32側と反対側(すなわち、半導体基板30の他面30b側)には、ドリフト層31よりも高不純物濃度とされたN型のフィールドストップ層(以下では、FS層という)40が形成されている。
【0036】
そして、IGBT領域11では、FS層40を挟んでドリフト層31と反対側にP+型のコレクタ層41が形成され、FWD領域12では、FS層40を挟んでドリフト層31と反対側にN+型のカソード層42が形成されている。つまり、IGBT領域11とFWD領域12とは、半導体基板30の他面30b側に形成される層がコレクタ層41であるかカソード層42であるかによって区画されている。なお、外周領域20では、FS層40を挟んでドリフト層31と反対側にコレクタ層41が形成されている。
【0037】
コレクタ層41およびカソード層42を挟んでドリフト層31と反対側(すなわち、半導体基板30の他面30b)には、コレクタ層41およびカソード層42と電気的に接続される下部電極43が形成されている。つまり、IGBT領域11においてはコレクタ電極として機能し、FWD領域12においてはカソード電極として機能する下部電極43が形成されている。また、下部電極43は、外周領域20においてもコレクタ層41と接続されている。
【0038】
そして、上記のように構成されていることにより、FWD領域12においては、ベース層32およびコンタクト領域37をアノードとし、ドリフト層31、FS層40、カソード層42をカソードとしてPN接合されたFWD素子が構成されている。
【0039】
外周領域20は、セル領域10と同様のドリフト層31を有している。そして、ドリフト層31の表層部には、セル領域10の電界集中が抑制されるように、セル領域10との境界部に形成されてベース層32と繋がり、ベース層32よりも高不純物濃度とされたP+型のディープ層44が形成されている。本実施形態では、ディープ層44は、ベース層32よりも深く形成され、セル領域10を囲むように枠状に形成されている。また、本実施形態では、ディープ層44の平面形状における角部で電界集中が発生することを抑制するため、角部に位置する部分が丸みを帯びた曲率を有するR形状とされている。言い換えると、ディープ層44は、平面形状において、四隅が丸められた四角枠状や円形枠状等の平面枠状とされている。
【0040】
また、外周領域20は、ドリフト層31の表層部に、ディープ層44を囲むように、ガードリング45が形成されている。ガードリング45は、実際には複数形成されており、それぞれセル領域10を囲む環状構造とされている。つまり、ガードリング45は、多重リング構造を構成するように形成されている。なお、各ガードリング45においても、ディープ層44と同様に、平面形状は四隅が丸められた四角枠状や円形枠状等とされている。
【0041】
そして、上記外周領域20に配置されるパッド部21は、ディープ層44上に配置されている。
【0042】
また、外周領域20では、セル領域10と同様に、半導体基板30の一面30a上に層間絶縁膜38が形成されている。そして、層間絶縁膜38には、ディープ層44を露出させるコンタクトホール38cが形成され、上部電極39は、コンタクトホール38cを通じてディープ層44とも接続されている。
【0043】
また、半導体基板30の一面30a側には、ポリイミド等によって構成される保護膜46が形成されている。そして、保護膜46には、セル領域10における上部電極39を露出させるコンタクトホール46aが形成されていると共に、外周領域20におけるパッド部21を露出させるコンタクトホール46bが形成されている。なお、本実施形態のコンタクトホール46aは、セル領域10の全体を露出させるように形成され、セル領域10に合わせて開口部が平面略矩形状となるように形成される。
【0044】
以上が本実施形態における半導体装置1の構成である。なお、本実施形態では、N型、N+型、N-型が第1導電型に相当しており、P型、P+型が第2導電型に相当している。また、本実施形態では半導体装置1が上記のように構成されることにより、半導体基板30は、コレクタ層41、カソード層42、ドリフト層31、ベース層32、エミッタ領域36、コンタクト領域37等を含んだ構成となっている。
【0045】
次に、上記半導体装置1の作動について説明しつつ、さらに半導体装置1の詳細な構成について説明する。
【0046】
上記のような半導体装置1は、下部電極43に上部電極39より高い電圧が印加されると、ベース層32とドリフト層31との間に形成されるPN接合が逆導通状態となって空乏層が形成される。そして、ゲート電極35に、絶縁ゲート構造の閾値電圧Vth未満であるローレベル(例えば、0V)のゲート電圧が印加されているときには、上部電極39と下部電極43との間に電流は流れない。
【0047】
IGBT素子をオン状態にするには、下部電極43に上部電極39より高い電圧が印加された状態で、IGBT領域11のゲート電極35に、絶縁ゲート構造の閾値電圧Vth以上であるハイレベルのゲート電圧が印加されるようにする。これにより、IGBT領域11では、ベース層32のうちのゲート電極35が配置されるトレンチ33と接している部分に反転層が形成される。そして、IGBT素子は、エミッタ領域36から反転層を介して電子がドリフト層31に供給されることによってコレクタ層41から正孔がドリフト層31に供給され、伝導度変調によりドリフト層31の抵抗値が低下する。これにより、IGBT素子は、上部電極39と下部電極43との間に電流が流れる。
【0048】
この際、本実施形態のIGBT領域11は、第2方向における中央部側に位置する領域の幅が、第2方向における端部側に位置する領域の幅よりも狭くされている。このため、IGBT領域11は、第2方向における中央部側に位置する領域の方が、第2方向における端部側に位置する領域よりも電流量が少なくなり、発熱量が小さくなる。言い換えると、IGBT領域11は、第2方向における中央部側に位置する放熱し難い部分の方が、第2方向における端部側に位置する放熱し易い部分よりも発熱し難くなっている。したがって、IGBT素子がオン状態である際、セル領域10の第2方向における中央部側の領域が高温になることを抑制できる。
【0049】
ここで、
図3に示されるように、第1~第5IGBT領域11a~11eの幅La~Leが等しくされている半導体装置を比較例の半導体装置J1とする。そして、本発明者らの検討によれば、IGBT素子をオン状態にした際、本実施形態の半導体装置1および比較例の半導体装置J1の温度は
図4に示される結果となった。なお、
図4の温度は、
図1および
図3中のIV-IV線に沿った部分の温度を示している。また、
図4中の11a~11eは、第1~第5IGBT領域11a~11eにおけるそれぞれの第2方向の中心を示している。
【0050】
図4に示されるように、比較例の半導体装置J1では、第1~第5IGBT領域11a~11eの幅La~Leが等しくされているため、第2方向における中央部側で温度が高くなることが確認される。詳しくは、第3IGBT領域11cの温度が極めて高くなる。
【0051】
これに対し、本実施形態の半導体装置1では、第2方向における中央部側に位置する部分の幅が、第2方向における端部側に位置する部分の幅よりも狭くされている。つまり、本実施形態の半導体装置1では、第3IGBT領域11cの幅Lcが第1、第2、第4、第5IGBT領域11a、11b、11d、11eより狭くされている。このため、最も放熱し難い第3IGBT領域11cの温度が高くなり過ぎることを抑制できる。
【0052】
また、本実施形態では、さらに、
図4に示されるように、第1~第5IGBT領域11a~11eの平均温度がほぼ等しくなるように、第1~第5IGBT領域11a~11eの幅La~Leが調整されている。具体的には、半導体装置1は、第2方向における端部側の領域ほど放熱性が大きくなる。このため、本実施形態の第1~第5IGBT領域11a~11eは、第3IGBT領域11cの幅Lcが最も狭く、第2、第4IGBT領域11b、11dの幅Lb、Ld、第1、第5IGBT領域11a、11eの幅La、Leの順に広くなるように形成されている。これにより、第1~第5IGBT領域11a~11eにおけるゲート絶縁膜34の寿命等がばらつくことを抑制できる。
【0053】
また、本発明者らは、IGBT領域11の幅についてさらに検討を行い、
図5に示される結果を得た。なお、
図5は、
図6のように第3IGBT領域11cの幅Lcが最も狭くなるようにしつつ、第1、第2、第4、第5IGBT領域11a、11b、11d、11eの幅La、Lb、Ld、Leを等しくした場合の結果である。また、
図5における半導体装置1の最大温度は、IGBT素子をオン状態とした際における第3IGBT領域11cの温度である。
【0054】
図5に示されるように、半導体装置1の最大温度は、IGBT領域11の最小幅に対するIGBT領域11の最大幅の比(以下では、単にIGBT領域幅比ともいう)が1.5未満の範囲では、IGBT領域幅比が大きくなるほど急峻に低下することが確認される。しかしながら、半導体装置1の最大温度は、IGBT領域幅比が1.5~4.5の範囲では、ほぼ変化しないことが確認される。したがって、IGBT領域幅比は、1.5~4.5の範囲とされることが好ましい。これにより、第3IGBT領域11cの温度を十分に低くすることができる。
【0055】
また、IGBT素子をオフ状態にし、FWD素子をオン状態にする(すなわち、FWD素子をダイオード動作させる)際には、上部電極39と下部電極43に印加する電圧をスイッチングし、上部電極39に下部電極43より高い電圧を印加する順電圧印加を行う。これにより、ベース層32へ正孔が供給されると共にカソード層42へ電子が供給されることでFWD素子がダイオード動作をする。
【0056】
そして、上記のような半導体装置1は、例えば、負荷としてのモータを駆動するための半導体モジュールを構成するのに用いられる。
【0057】
例えば、半導体モジュールは、
図7に示されるように、第1支持部材110、半導体装置1、ターミナル120、第2支持部材130、制御端子部140、封止部材160等を備えた構成とされる。
【0058】
第1支持部材110は、例えば、銅、鉄、またはこれらの合金等で構成されるリードフレーム等で構成されている。そして、本実施形態の第1支持部材110は、表面111aおよび表面111aと反対側の裏面111bを有する第1搭載部111と、第1搭載部111に接続された第1接続端子部112とを有している。なお、第1接続端子部112は、第1搭載部111における表面111aの面方向に沿って延設されており、本実施形態では第1搭載部111と一体化されている。また、本実施形態の第1接続端子部112は、後述する制御端子部140側と反対側に延設されている。
【0059】
半導体装置1は、上記のような構成とされており、下部電極43が第1搭載部111と対向する状態で、はんだ等で構成される第1接合部材201を介して第1搭載部111の表面111a上に配置されている。
【0060】
ターミナル120は、例えば、銅、鉄、またはこれらの合金等で構成され、半導体装置1における保護膜46から露出する上部電極39の平面形状に対応する形状とされている。本実施形態では、保護膜46に形成されるコンタクトホール46aの開口部が略矩形状とされるため、ターミナル120は、平面略矩形状とされている。そして、ターミナル120は、はんだ等で構成される第2接合部材202を介して半導体装置1の上部電極39上に配置されている。
【0061】
詳しくは、半導体装置1は、保護膜46のコンタクトホール46aから露出する部分に、第2接合部材202を構成するはんだとの濡れ性を向上させるためのメッキ層が形成される。そして、ターミナル120は、このメッキ層上に第2接合部材202を介して配置されている。
【0062】
第2支持部材130は、第1支持部材110と同様のリードフレーム等で構成され、表面131aおよび表面131aと反対側の裏面131bを有する第2搭載部131と、第2搭載部131に接続された第2接続端子部132とを有している。
【0063】
そして、第2支持部材130は、第2搭載部131の表面131aがはんだ等で構成される第3接合部材203を介してターミナル120と接続されている。すなわち、第1支持部材110および第2支持部材130は、半導体装置1を挟んで対向するように配置されている。なお、第2接続端子部132は、第2搭載部131における表面131aの面方向に沿って延設され、本実施形態では、第1接続端子部112と同じ方向に延設されている。また、第2接続端子部132は、本実施形態では第2搭載部131と一体化されている。
【0064】
制御端子部140は、半導体装置1に形成されるパッド部21とボンディングワイヤ150を介して接続されている。なお、本実施形態では、制御端子部140が外部端子部に相当する。
【0065】
封止部材160は、モールド樹脂やポッティング樹脂等で構成され、第1支持部材110、半導体装置1、第2支持部材130、制御端子部140等を封止するように形成されている。具体的には、封止部材160は、第1支持部材110における第1搭載部111の裏面111b、第2支持部材130における第2搭載部131の裏面131b、および各端子部112、132、140の一部が露出するように形成されている。
【0066】
以上説明した本実施形態によれば、IGBT領域11は、第2方向における中央部に位置する領域の幅が、第2方向における端部側に位置する領域の幅よりも狭くされている。このため、各IGBT領域11の幅が等しくされている場合と比較して、第2方向における中央部のIGBT領域11の温度が第2方向における端部側のIGBT領域11の温度より高くなり過ぎることを抑制できる。したがって、例えば、比較例の半導体装置J1と比較すると、最大温度が同じとなるまでに流すことのできる電流量を増加でき、用途の選択性の増加を図ることができる。
【0067】
(1)本実施形態では、第1~第5IGBT領域11a~11eは、第2方向における中央部に位置する第3IGBT領域11cの幅Lcが最も狭くされている。このため、第2方向における中央部に位置するIGBT領域11の温度が高くなり過ぎることを抑制できる。なお、このような構成は、第2方向に沿ってIGBT領域11が3以上の奇数であるX個配置されているとすると、第2方向に沿って{(X+1)/2}番目に位置する領域の幅が最も狭くされているともいえる。
【0068】
(2)本実施形態では、IGBT領域幅比を1.5~4.5とすることにより、半導体装置1の最大温度を十分に低くすることができる。
【0069】
(第1実施形態の変形例)
上記第1実施形態の変形例について説明する。上記第1実施形態において、IGBT領域11およびFWD領域12の数や配置の仕方は、適宜変更可能である。例えば、
図8に示されるように、第2方向に沿って、第1~第4IGBT領域11a~11dの4つのIGBT領域11が形成されると共に第1~第3FWD領域12a~12cの3つのFWD領域12が形成されるようにしてもよい。つまり、この例では、IGBT領域11が偶数個形成され、FWD領域12が奇数個形成されている。また、セル領域10における第2方向の中央部には、FWD領域12が配置されている。
【0070】
そして、IGBT領域11は、第2方向における中央部側に位置する部分の幅が、第2方向における端部側に位置する部分の幅よりも狭くされている。具体的には、第1~第4IGBT領域11a~11dは、第2、第3IGBT領域11b、11cの幅Lb、Lcが第1、第4IGBT領域11a、11dの幅La、Ldより狭く形成されている。このように、上記第1実施形態は、第2方向に沿ったIGBT領域11の数が4以上の偶数個の場合にも適用できる。なお、このような構成は、第2方向に沿ってIGBT領域11が4以上の偶数であるX個配置されているとすると、第2方向に沿って(X/2)番目に位置する領域、および{(X/2)+1}番目に位置する領域の幅が最も狭くされているともいえる。
【0071】
また、上記第1実施形態において、半導体装置1は、
図9に示されるように、IGBT領域11おおびFWD領域12が第1方向において分割されていてもよい。この場合、分割された部分にゲート電極35と接続されるゲートライナ等を配置するようにしてもよいし、温度センス等を配置するようにしてもよい。
【0072】
さらに、
図10に示されるように、半導体装置1は、IGBT領域11およびFWD領域12が第2方向を長手方向として延設されると共に、第1方向に沿って交互に配置されるようにしてもよい。この場合は、第1方向が半導体基板30の面方向に沿った一方向に相当する。
【0073】
また、半導体装置1は、
図11および
図12に示されるように、IGBT領域11およびFWD領域12が同心枠状に交互に形成されていてもよい。この場合、上記第1実施形態のように第1方向および第2方向を設定すると、IGBT領域11およびFWD領域12は、第1方向および第2方向に沿って交互に形成されているといえる。
【0074】
例えば、
図11では、第1~第3IGBT領域11a~11cの3個のIGBT領域11と、第1、第2FWD領域12a、12bの2個のFWD領域12が同心枠状に形成されている。そして、
図11では、IGBT領域11は、第2方向に沿って3個(すなわち、奇数個)形成されているといえる。
図12では、第1、第2IGBT領域11a、11bと、第1、第2FWD領域12a、12bの2個のFWD領域12が同心枠状に形成されている。そして、
図12では、IGBT領域11は、第2方向に沿って4個(すなわち、偶数個)形成されているといえる。
【0075】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、FWD領域12の幅を変更したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0076】
上記第1実施形態では、IGBT素子およびFWD素子をオン状態とした際、IGBT素子がオン状態である場合に半導体装置1の温度が最も高くなることを想定しているため、IGBT領域11の幅を変更する構成について説明した。しかしながら、使用条件や各領域の不純物濃度によっては、FWD素子がオン状態である場合に半導体装置1の温度が最も高くなる場合も想定される。本実施形態では、FWD素子がオン状態である場合に半導体装置1の温度が最も高くなる例を説明する。
【0077】
本実施形態の半導体装置1では、
図13に示されるように、第1~第5IGBT領域11a~11eは、幅La~Leが等しくされている。そして、第1~第5FWD領域12a~12dは、第2方向における中央部側に位置する部分の幅が、第2方向における端部側に位置する部分の幅よりも狭くされている。具体的には、本実施形態では、第2、第3FWD領域12b、12cの幅Db、Dcが、第1、第4FWD領域12a、12dの幅Da、Ddより狭くされている。
【0078】
また、本発明者らがFWD素子をオン状態にして半導体装置1の最大温度を調べたところ、特に図示しないが、
図5と同様の結果が得られた。すなわち、半導体装置1の最大温度は、FWD領域12の最小幅に対するFWD領域12の最大幅の比(以下では、単にFWD領域幅比ともいう)が1.5未満の範囲では、FWD領域幅比が大きくなるほど急峻に低下することが確認された。そして、半導体装置1の最大温度は、FWD領域幅比が1.5~4.5の範囲では、ほぼ変化しないことが確認された。したがって、FWD領域幅比は、1.5~4.5の範囲とされることが好ましい。なお、本実施形態の半導体装置1における最大温度は、第2、第3FWD領域12b、12cの温度である。
【0079】
以上説明した本実施形態によれば、FWD領域12は、第2方向における中央部に位置する領域の幅が、第2方向における端部側に位置する領域の幅よりも狭くされている。このため、各FWD領域12の幅が等しくされている場合と比較して、第2方向における中央部のFWD領域12の温度が第2方向における端部側のFWD領域12の温度より高くなり過ぎることを抑制できる。
【0080】
(1)本実施形態では、第1~第4FWD領域12a~12dは、第2方向における中央部に位置する第2、第3FWD領域12b、12cの幅Db、Dcが最も狭くされている。このため、第2方向における中央部に位置するFWD領域12の温度が高くなり過ぎることを抑制できる。なお、このような構成は、第2方向に沿ってFWD領域12が4以上の偶数であるX個配置されているとすると、第2方向に沿って(X/2)番目に位置する領域、および{(X/2)+1}番目に位置する領域の幅が最も狭くされているともいえる。
【0081】
(2)本実施形態では、FWD領域幅比を1.5~4.5とすることにより、半導体装置1の最大温度を十分に低くすることができる。
【0082】
(第2実施形態の変形例)
上記第2実施形態の変形例について説明する。上記第2実施形態において、特に図示しないが、上記第1実施形態の変形例と同様に、IGBT領域11およびFWD領域12の配置の仕方は、適宜変更可能である。
【0083】
例えば、FWD領域12は、第2方向に沿って奇数個配置されるようにしてもよい。この場合は、第2方向に沿ってFWD領域12が3以上の奇数であるX個配置されているとすると、第2方向に沿って{(X+1)/2}番目に位置する領域の幅が最も狭くなるようにすればよい。
【0084】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせたものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0085】
本実施形態の半導体装置1は、
図14に示されるように、上記第1実施形態と上記第2実施形態とを組み合わせた構成とされている。具体的には、第1~第5IGBT領域11a~11eは、第3IGBT領域11cの幅Lcが最も狭く、第2、第4IGBT領域11b、11dの幅Lb、Ld、第1、第5IGBT領域11a、11eの幅La、Leの順に広くなるように形成されている。また、第1~第4FWD領域12a~12dは、第2、第3FWD領域12b、12cの幅Db、Dcが、第1、第4FWD領域12a、12dの幅Da、Ddより狭くなるように形成されている。
【0086】
以上説明した本実施形態によれば、上記第1実施形態および上記第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0087】
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、第5IGBT領域11eの幅Leを変更したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0088】
本実施形態の半導体装置1は、
図15に示されるように、上記第1実施形態と同様に、第1~第5IGBT領域11a~11eと第1~第4FWD領域12a~12dとを有している。そして、パッド部21は、外周領域20のうち、第5IGBT領域11eを挟んで第4FWD領域12dと反対側に配置されている。つまり、パッド部21は、第5IGBT領域11eの近傍に配置されている。
【0089】
このような半導体装置1では、IGBT素子をオン状態とした際、第1IGBT領域11aおよび第5IGBT領域11eは共に外周領域20に放熱し易いために放熱性が高くなり易い。しかしながら、外周領域20は、パッド部21が第5IGBT領域11eの近傍に配置されているため、第5IGBT領域11e側に位置する部分の方が、第1IGBT領域11a側に位置する部分より広く構成される。このため、第1IGBT領域11aと第5IGBT領域11eとを比較すると、第5IGBT領域11eの方が第1IGBT領域11aよりも放熱性が高くなる。
【0090】
このため、本実施形態では、第5IGBT領域11eの幅Leは、第1IGBT領域11aの幅Laよりも広くされている。但し、第1IGBT領域11aの幅Laは、第2~第4IGBT領域11b~11dの幅Lb~Ldよりも広くされている。
【0091】
以上説明した本実施形態によれば、IGBT領域11は、第2方向における中央部に位置する領域の幅が、第2方向における端部側に位置する領域の幅よりも狭くされている。このため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0092】
(1)本実施形態では、IGBT領域11は、パッド部21側に位置する第5IGBT領域11eの幅Leが、第1IGBT領域11aの幅Laよりも広くされている。このため、第5IGBT領域11eよりも放熱性の低い第1IGBT領域11aの温度が第5IGBT領域11eの温度よりも高くなることを抑制できる。
【0093】
(第5実施形態)
第5実施形態について説明する。本実施形態は、第2実施形態と第4実施形態とを組み合わせたものである。その他に関しては、第2実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0094】
本実施形態の半導体装置1は、
図16に示されるように、上記第2実施形態と同様に、第1~第5IGBT領域11a~11eと第1~第4FWD領域12a~12dとを有している。そして、パッド部21は、第4FWD領域12d側に配置されている。この場合、上記第4実施形態と同様に、第1FWD領域12aと第4FWD領域12dとを比較すると、第4FWD領域12dの方が第1FWD領域12aよりも放熱性が高くなる。
【0095】
このため、本実施形態では、第4FWD領域12dの幅Ddは、第1FWD領域12aの幅Daよりも広くされている。但し、第1FWD領域12aの幅Daは、第2、第3FWD領域12b、12cの幅Db、Dcよりも広くされている。
【0096】
以上説明した本実施形態によれば、FWD領域12は、第2方向における中央部に位置する領域の幅が、第2方向における端部側に位置する領域の幅よりも狭くされている。このため、上記第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0097】
(1)本実施形態では、FWD領域12は、パッド部21側に位置する第4FWD領域12dの幅Ddが、第1FWD領域12aの幅Daよりも広くされている。このため、第4FWD領域12dよりも放熱性の低い第1FWD領域12aの温度が第4FWD領域12dの温度よりも高くなることを抑制できる。
【0098】
(第6実施形態)
第6実施形態について説明する。本実施形態は、第3実施形態に対し、第1方向にてパッド部21と隣合うようにFWD領域12を追加したものである。その他に関しては、第3実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0099】
本実施形態の半導体装置1では、
図17に示されるように、FWD領域12は、第5IGBT領域11eを挟んで第4FWD領域12dと反対側に配置される第5FWD領域12eを有している。そして、第5FWD領域12eは、第1方向にてパッド部21と隣合うように配置されている。
【0100】
本実施形態では、第5FWD領域12eは、平面矩形状とされて2個備えられ、第1方向にてパッド部21を挟むように形成されている。言い換えると、第5FWD領域12eは、第1方向にて分断されて配置され、パッド部21は、第5FWD領域12eが分断された部分に配置されている。つまり、セル領域10は、第2方向にてパッド部21と隣合う領域がIGBT領域11とされ、第1方向にてパッド部21と隣合う領域がFWD領域12とされている。言い換えると、パッド部21が配置される領域を含む所定範囲を配置領域RPとすると、セル領域10は、第2方向にて配置領域RPと隣合う領域がIGBT領域11とされ、第1方向にて配置領域RPと隣合う領域がFWD領域12とされている。なお、本実施形態では、第5FWD領域12eが追加FWD領域に相当する。
【0101】
また、本実施形態の半導体装置1では、保護膜46に形成されるコンタクトホール46aは、開口部の形状が上記第1実施形態と同様に平面略矩形状とされている。つまり、保護膜46に形成されるコンタクトホール46aは、第1~第5IGBT領域11a~11e、および第1~第4FWD領域12a~12dを露出させるように形成され、第5FWD領域12eを被覆するように形成されている。
【0102】
このように、コンタクトホール46aの開口部の形状を平面略矩形状とすることにより、コンタクトホール46aを第5FWD領域12eも露出するように形成する場合と比較して、次の効果を得ることができる。すなわち、半導体モジュールを構成する際の第2接合部材202(すなわち、はんだ)の広がりを制御し易くなる。このため、ターミナル120と半導体装置1との接合強度やターミナル120への放熱性等がばらつくことを抑制できる。
【0103】
この場合、第5FWD領域12eは、保護膜46に被覆された状態となっているため、保護膜46のコンタクトホール46aから露出する第1~第4FWD領域12a~12dと比較すると、放熱性が低くなり易い。したがって、本実施形態では、第5FWD領域12eの幅Deは、第1~第4FWD領域12a~12dの幅Da~Ddより狭くなっている。
【0104】
なお、本実施形態のFWD領域12は、コンタクトホール46aから露出する領域において、第2方向における中央部に位置する領域の幅が、第2方向における端部側に位置する領域の幅よりも狭くされている。
【0105】
以上説明した本実施形態によれば、IGBT領域11およびFWD領域12の幅が上記第3実施形態と同様とされているため、上記第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0106】
(1)本実施形態では、第1方向にてパッド部21と隣合う位置に第5FWD領域12eが配置されている。このため、上記第1実施形態では外周領域20とされていた領域にFWD領域12を配置するため、FWD領域12の熱抵抗を低減できる。
【0107】
また、外周領域20には、セル領域10を囲み、ベース層32と繋がるディープ層44が形成されている。このため、FWD素子をオン状態にすると、ディープ層44からも正孔が供給され得る。この場合、パッド部21と第2方向にて隣合う位置にFWD領域12を配置すると、FWD素子がオン状態である際に正孔の供給量が多くなり過ぎ、リカバリ耐量が低下する可能性がある。したがって、本実施形態では、パッド部21と第2方向にて隣合う位置には、IGBT領域11が配置されている。これにより、リカバリ耐量の低下を抑制しつつ、FWD領域12のアクティブ領域を増加できる。
【0108】
(2)本実施形態では、第5FWD領域12eの幅Deは、第1~第4FWD領域12a~12dの幅Da~Ddより狭くなっている。このため、保護膜46にて被覆されている第5FWD領域12eの温度が高くなることを抑制できる。
【0109】
(第6実施形態の変形例)
上記第6実施形態の変形例について説明する。上記第6実施形態において、
図18に示されるように、パッド部21は、セル領域10における第1方向の一端部側において、第2方向にて第5IGBT領域11eと隣合うように配置されていてもよい。
【0110】
また、
図19に示されるように、第5FWD領域12eを配置する構成は、IGBT領域11およびFWD領域12を同心枠状に配置する構成に適用することもできる。
【0111】
さらに、上記第6実施形態において、保護膜46に形成されるコンタクトホール46aは、第5FWD領域12eを露出させるように形成されていてもよい。この場合、第5FWD領域12eが保護膜46から露出することで第1FWD領域12aより放熱性が高くなるのであれば、第5FWD領域12eの幅Deは、第1FWD領域12aの幅Daより広くされていてもよい。
【0112】
また、上記第6実施形態において、パッド部21と第2方向にて隣合う位置には、FWD領域12が配置されていてもよい。
【0113】
(第7実施形態)
第7実施形態について説明する。本実施形態は、第6実施形態に対し、第5FWD領域12eの形状を変更したものである。その他に関しては、第6実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0114】
まず、ディープ層44は、四隅が丸められた四角形状や円形状等の平面枠状とされている。この場合、上記第6実施形態のように、第5FWD領域12eが矩形枠状とされていると、第5FWD領域12eにおけるパッド部21側と反対側の端部では、カソード層42とディープ層44との間の距離で近い部分と遠い部分とが構成され、カソード層42とディープ層44との間の距離が近くなる部分で電界が集中し易くなる。このため、本実施形態の第5FWD領域12eは、
図20に示されるように、第1方向における端部であって、パッド部21側と反対側の端部Cがディープ層44の形状に対応するように丸められた平面形状とされている。なお、このような構成は、カソード層42の平面形状を調整することによって実現される。
【0115】
以上説明した本実施形態によれば、IGBT領域11およびFWD領域12の幅が上記第3実施形態と同様とされているため、上記第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0116】
(1)本実施形態では、第5FWD領域12eは、第1方向における端部であって、パッド部21側と反対側の端部Cがディープ層44の角部と対応するように丸められた平面形状とされている。このため、カソード層42とディープ層44との間の距離のばらつきを低減でき、電界集中を発生させ難くできる。
【0117】
(他の実施形態)
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0118】
例えば、上記各実施形態では、第1導電型をN型とし、第2導電型をP型とした例について説明したが、第1導電型をP型とし、第2導電型をN型とすることもできる。
【0119】
また、上記各実施形態において、半導体装置1は、トレンチゲート型ではなく、半導体基板30の一面30a上にゲート電極35が配置されるプレーナ型とされていてもよい。
【0120】
さらに、上記各実施形態において、FWD領域12のゲート電極35は、上部電極39と接続されていなくてもよい。また、上記各実施形態において、FWD領域12は、トレンチゲート構造が形成されていなくてもよいし、エミッタ領域36が形成されていなくてもよい。
【0121】
そして、上記各実施形態を適宜組み合わせることもできる。例えば、上記第2実施形態を適宜組み合わせ、FWD領域12は、第2方向における中央部に位置する領域の幅が、第2方向における端部側に位置する領域の幅よりも狭くされるようにしてもよい。この場合、各IGBT領域11の幅は、互いに等しくされていてもよい。また、上記第4実施形態を適宜組み合わせ、パッド部21側に位置する第5IGBT領域11eの幅Leを第1IGBT領域11aの幅Laより狭くするようにしてもよい。上記第5実施形態を適宜組み合わせ、パッド部21側に位置する第4FWD領域12dの幅Ddを第1FWD領域12aの幅Daより狭くするようにしてもよい。
【0122】
[本発明の開示]
上記した本開示については、例えば以下に示す観点として把握することができる。
[第1の観点]
半導体装置であって、
セル領域(10)および前記セル領域を囲む外周領域(20)を有する半導体基板(30)と、
前記セル領域に形成され、IGBT素子を有するIGBT領域(11)と、
前記セル領域に形成され、FWD素子を有するFWD領域(12)と、を備え、
前記半導体基板の面方向における一方向において、前記IGBT領域と前記FWD領域とが交互に形成されており、
前記IGBT領域は、前記一方向において3個以上形成され、前記一方向に沿った長さを幅とすると、前記一方向における中央部側に位置する領域の幅が前記一方向における端部側に位置する領域の幅より狭くされている半導体装置。
【0123】
[第2の観点]
前記一方向に沿った前記IGBT領域の数は、3以上の奇数であるX個とされ、
前記IGBT領域は、前記一方向に沿って{(X+1)/2}番目に位置する領域の幅が最も狭くされている第1の観点に記載の半導体装置。
【0124】
[第3の観点]
前記一方向に沿った前記IGBT領域の数は、4以上の偶数であるX個とされ、
前記IGBT領域は、前記一方向に沿って(X/2)番目に位置する領域、および{(X/2)+1}番目に位置する領域の幅が等しくされていると共に最も狭くされている第1の観点に記載の半導体装置。
【0125】
[第4の観点]
前記外周領域は、外部端子部(140)と接続されるパッド部(21)を有しており、
前記IGBT領域は、前記パッド部側に最も近い領域の幅が、前記パッド部側に最も遠い領域の幅より広くされている第1ないし第3の観点のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0126】
[第5の観点]
前記IGBT領域は、前記一方向における中央部側に位置する領域の幅に対する、前記一方向における端部側に位置する領域の幅の比が1.5~4.5とされている第1ないし第4の観点のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0127】
[第6の観点]
前記FWD領域は、前記一方向において3個以上形成され、前記一方向における中央部側に位置する領域の幅が前記一方向における端部側に位置する領域の幅より狭くされている第1ないし第5の観点のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0128】
[第7の観点]
半導体装置であって、
セル領域(10)および前記セル領域を囲む外周領域(20)を有する半導体基板(30)と、
前記セル領域に形成され、IGBT素子を有するIGBT領域(11)と、
前記セル領域に形成され、FWD素子を有するFWD領域(12)と、を備え、
前記半導体基板の面方向における一方向において、前記IGBT領域と前記FWD領域とが交互に形成されており、
前記FWD領域は、前記一方向において3個以上形成され、前記一方向に沿った長さを幅とすると、前記一方向における中央部側に位置する領域の幅が前記一方向における端部側に位置する領域の幅より狭くされている半導体装置。
【0129】
[第8の観点]
前記一方向に沿った前記FWD領域の数は、3以上の奇数であるX個とされ、
前記FWD領域は、前記一方向に沿って{(X+1)/2}番目に位置する領域の幅が最も狭くされている第6または第7の観点に記載の半導体装置。
【0130】
[第9の観点]
前記一方向に沿った前記FWD領域の数は、4以上の偶数であるX個とされ、
前記FWD領域は、前記一方向に沿って(X/2)番目に位置する領域、および{(X/2)+1}番目に位置する領域の幅が等しくされていると共に最も狭くされている第6または第7の観点に記載の半導体装置。
【0131】
[第10の観点]
前記外周領域は、外部端子部(140)と接続されるパッド部(21)を有しており、
前記FWD領域は、前記パッド部側に最も近い領域の幅が、前記パッド部側に最も遠い領域の幅より広くされている第6または第7の観点に記載の半導体装置。
【0132】
[第11の観点]
前記FWD領域は、前記一方向における中央部側に位置する領域の幅に対する、前記一方向における端部側に位置する領域の幅の比が1.5~4.5とされている第6ないし第10の観点のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0133】
[第12の観点]
前記外周領域は、外部端子部(140)と接続されるパッド部(21)を有しており、
前記FWD領域は、前記一方向と交差する交差方向にて、前記パッド部と隣合う追加FWD領域(12e)を有しており、
前記パッド部と一方向にて隣合う位置には、前記IGBT領域が配置されている第6ないし第11の観点のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0134】
[第13の観点]
前記セル領域を露出させるコンタクトホール(46a)が形成された保護膜(46)を有し、
前記追加FWD領域は、前記保護膜にて被覆され、
前記FWD領域は、前記コンタクトホールから露出する領域において、前記一方向における中央部側に位置する領域の幅が前記一方向における端部側に位置する領域の幅より狭くされ、前記追加FWD領域の幅が前記コンタクトホールから露出する前記FWD領域の幅より狭くされている第12の観点に記載の半導体装置。
【0135】
[第14の観点]
前記半導体基板は、
第1導電型のドリフト層(31)と、前記セル領域において、前記ドリフト層の表層部に形成された第2導電型のベース層(32)と、前記IGBT領域において、前記ベース層の表層部に前記ドリフト層から離間して形成され、前記ドリフト層よりも高不純物濃度とされた第1導電型のエミッタ領域(36)と、前記IGBT領域において、前記ドリフト層のうちの前記ベース層側と反対側に形成された第2導電型のコレクタ層(41)と、前記FWD領域において、前記ドリフト層のうちの前記ベース層側と反対側に形成された第1導電型のカソード層(42)と、を有し、
前記外周領域には、前記セル領域との境界部に、前記ベース層と繋がり、前記セル領域を囲む第2導電型のディープ層(44)が形成され、
前記ディープ層は、角部が丸められた平面枠状とされ、
前記追加FWD領域は、前記交差方向における端部であって、前記パッド部側と反対側の端部(C)が前記ディープ層の角部と対応するように丸められた平面形状とされている第12または第13の観点に記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0136】
10 セル領域
11 IGBT領域
12 FWD領域
20 外周領域