(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025482
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】排水設備用蓋
(51)【国際特許分類】
E02D 29/14 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
E02D29/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130282
(22)【出願日】2023-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 俊希
【テーマコード(参考)】
2D147
【Fターム(参考)】
2D147BB07
(57)【要約】
【課題】内蓋を備える排水設備用蓋において、大型化することなく、より確実に開閉可能な排水設備用蓋を提供する。
【解決手段】排水設備用蓋10は、蓋体30と、蓋枠20と、内蓋40と、蝶番金具50と、蝶番補助具60と、を備えている。蝶番補助具60は、蓋枠20に回転可能に支持され、蝶番金具50と当接位置64aにて係合する。蝶番補助具60は、根元部分62と先端部分63とを備えている。先端部分63は、根元部分62の下端から上方に延びているため、蝶番補助具60の下端の位置は、先端部分63が根元部分62の下端から真っすぐ延びている場合に比べ、上方に配置される。したがって、内蓋40と蝶番補助具60との干渉が発生しにくい。これにより、排水設備用蓋10を大型化することなく、より確実に排水設備用蓋10を開閉することができる。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開いた開口を有する管路に設けられる蓋枠と、
前記蓋枠に着脱可能に取り付けられる蓋体と、
前記蓋体の下方に配置され、前記管路の前記開口に嵌め込まれる内蓋と、
前記蓋体に回動可能に支持され、前記蓋体から下方に延びる蝶番金具と、
前記蓋枠に支持され、かつ前記蝶番金具と係合する蝶番補助具と、を備え、
前記蝶番補助具は、
前記蓋枠に回動可能に支持された支持部分と、
前記支持部分から下方かつ前記蓋枠の径方向内側に向かって延びる根元部分と、
前記根元部分の下端から上方に曲がった先端部分と、を備えている、排水設備用蓋。
【請求項2】
前記蓋枠は、前記支持部分が係合される案内部を備え、
前記案内部は、
前記蓋枠の径方向内側に開口し、かつ前記蓋枠の径方向に延びる第1通路と、
前記第1通路に接続され、前記第1通路から下方に延びる第2通路と、
前記第2通路の下端に接続され、前記蓋枠の径方向に延びる第3通路と、を備えている、請求項1に記載の排水設備用蓋。
【請求項3】
前記第3通路は、前記蝶番補助具を支持する蝶番補助具支持部を備え、
前記案内部は、蝶番補助具支持部よりも前記蓋枠の径方向外側にて前記第3通路の下面から突設したストッパを備えている、請求項2に記載の排水設備用蓋。
【請求項4】
前記先端部分は、前記蓋体をスライド可能に支持する支持面を備えている、請求項1に記載の排水設備用蓋。
【請求項5】
前記蝶番金具は、前記蓋体と当接する上端部を備え、
前記蝶番金具は、前記上端部が前記蓋体に当接しているときに前記蓋枠の径方向外側に延びる状態に配置されている、請求項1に記載の排水設備用蓋。
【請求項6】
前記根元部分の平面視における長手方向の長さは、前記先端部分の平面視における長手方向の長さよりも短い、請求項1に記載の排水設備用蓋。
【請求項7】
前記根元部分および前記先端部分は、それぞれの長手方向に真っすぐに延び、
前記蝶番金具は、前記根元部分または前記先端部分の下面に当接する抜け止め部を備えている、請求項1に記載の排水設備用蓋。
【請求項8】
前記蝶番金具は、前記内蓋が前記開口に嵌め込まれているときに、前記内蓋よりも上方かつ前記内蓋よりも外側に延びている、請求項1に記載の排水設備用蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水設備用蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、マンホール蓋などの地下構造物用蓋に係る蝶番構造が開示されている。
図10に示すように、地下構造物用蓋100の蝶番構造Aは、受枠200と、受枠200に支持される蓋本体300とを開閉可能に連結する。蝶番構造Aは、受枠200の内周に連接され、上下方向に回動可能なロッド400と、蓋本体300の下面に吊下され、ロッド400の長手方向に沿って摺動可能な連接体500と、ロッド400の先端に備えられた突起により形成され、連接体500の抜けを規制する拘束部410と、を備えている。連接体500は、蓋本体300の下面に揺動可能に吊下されている。ロッド400の形状は、受枠200から上方に向かって真っすぐに延びる形状である。
【0003】
係る蝶番構造Aでは、作業者により蓋本体300が持ち上げられると、連接体500は、蓋本体300に引っ張られて上方に移動するとともにロッド400の長手方向に沿って移動する。このとき、ロッド400は、連接体500に引き上げられることにより、受枠200に支持された点を中心に上方に回動する。作業者により蓋本体300がさらに持ち上げられると、連接体500は、ロッド400の拘束部410に当接する。この状態から、蓋本体300がさらに持ち上げられると、ロッド400がさらに上方に回動し、蓋本体300、ロッド400、連接体500および受枠200が連結されたまま蓋本体300を開けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、蓋本体300は、連接体500およびロッド400が連結された状態にて持ち上げられる。したがって、蓋本体300を動かすことのできる範囲を広くするには、
図10の状態に比べ、連接体500をその長手方向にさらに長くなるように形成すればよい。連接体500の長手方向の長さをさらに長く形成したときに、連接体500がロッド400と連結するには、ロッド400の形状が
図10のときよりも下方に向かって延びる形状である必要がある。
図11は、連接体500よりも長手方向の長さが長い連接体500Aがロッド400に連結している状態を示している。ところで、
図11に示すように、蓋本体300の下方には、内蓋600が配置されていることがある。内蓋600は、蓋本体300の下方に配置された管路などの上端に脱着可能に取り付けられるものである。このような場合において、蓋本体300を動かす範囲をさらに広くしようとすると、ロッド400の形状は、さらに下方を向く形状となる。したがって、蓋本体300を動かす範囲を広くしようとすると、ロッド400が内蓋600に干渉する虞がある。ロッド400が内蓋600に干渉すると、ロッド400が内蓋600に引っ掛かり、回動することができず、蓋本体300の開閉が妨げられる虞がある。蝶番構造Aと内蓋600との上下方向の間隔を比較的広くすることにより、ロッド400と内蓋600との干渉を防ぐことができるが、この場合、地下構造物用蓋100の全体が大型化する。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、内蓋を備える排水設備用蓋であって、大型化することなく、より確実に開閉可能な排水設備用蓋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる排水設備用蓋は、上方に開いた開口を有する管路に設けられる蓋枠と、前記蓋枠に着脱可能に取り付けられる蓋体と、前記蓋体の下方に配置され、前記管路の前記開口に嵌め込まれる内蓋と、前記蓋体に回動可能に支持され、前記蓋体から下方に延びる蝶番金具と、前記蓋枠に支持され、かつ前記蝶番金具と係合する蝶番補助具と、を備えている。前記蝶番補助具は、前記蓋枠に回動可能に支持された支持部分と、前記支持部分から下方かつ前記蓋枠の径方向内側に向かって延びる根元部分と、前記根元部分の下端から上方に曲がった先端部分と、を備えている。
【0008】
本発明の排水設備用蓋によれば、蝶番補助具は、支持部分と、根元部分と、先端部分と、を備えている。蝶番補助具は、支持部分にて蓋枠に回動可能に支持されている。蝶番金具は蓋体に支持されているので、作業者により蓋体が持ち上げられると、蝶番金具は蓋体に引っ張られて上方に移動する。蝶番金具に係合する蝶番補助具は、蝶番金具に引っ張られ、上方に回動する。したがって、作業者は、蓋体、蝶番金具、蝶番補助具および蓋枠が連結された状態にて蓋体を上方に移動させることができる。このとき、先端部分が根元部分の下端から上方に向かって曲がっているため、蝶番補助具の下端の位置は、先端部分が根元部分の下端から真っすぐ延びている場合に比べ、上方に配置される。したがって、蝶番補助具の根元部分と先端部分が比較的長く形成されていても、蝶番補助具と内蓋とが干渉しない。蝶番補助具と内蓋とが干渉しないため、作業者は、確実に排水設備用蓋を開閉することができる。また、このとき、排水設備用蓋を大型化する必要もない。
【0009】
本発明の好ましい一態様によれば、前記蓋枠は、前記支持部分が係合される案内部を備えている。前記案内部は、前記蓋枠の径方向内側に開口し、かつ前記蓋枠の径方向に延びる第1通路と、前記第1通路に接続され、前記第1通路から下方に延びる第2通路と、前記第2通路の下端に接続され、前記蓋枠の径方向に延びる第3通路と、を備えている。
【0010】
かかる態様によれば、蓋枠は、案内部により蝶番補助具を取り付け、取り外し可能な構成となっている。蝶番補助具を取り外せることができるので、作業者は、内蓋の取り外しなどの際に、蝶番補助具により作業を阻害されない。
【0011】
本発明の好ましい一態様によれば、前記第3通路は、前記蝶番補助具を支持する蝶番補助具支持部を備えている。前記案内部は、前記蝶番補助具支持部よりも前記蓋枠の径方向外側にて前記第3通路の下面から突設したストッパを備えている。
【0012】
かかる態様によれば、作業者が蓋体を移動させたとき、作業者の意図に依らず、第2支持部が案内部の第3通路から外れることが防止される。したがって、蓋体を閉じる動作を阻害されることが防がれる。
【0013】
本発明の好ましい一態様によれば、前記先端部分は、前記蓋体をスライド可能に支持する支持面を備えている。
【0014】
かかる態様によれば、作業者は、蓋体を支持面に乗せた状態から蓋体をスライドさせることにより排水設備用蓋を閉じることができる。したがって排水設備用蓋を閉じるときの作業者の負担が小さい。
【0015】
本発明の好ましい一態様によれば、前記蝶番金具は、前記蓋体と当接する上端部を備えている。前記蝶番金具は、前記上端部が前記蓋体に当接しているときに前記蓋枠の径方向外側に延びる状態に配置されている。
【0016】
かかる態様によれば、上端部が蓋体に当接しているときに蝶番金具が略鉛直方向に延びる状態となる場合に比べ、蝶番金具の下端の位置が上方に位置している。したがって、蝶番金具と内蓋とが干渉しにくい。
【0017】
本発明の好ましい一態様によれば、前記根元部分の平面視における長手方向の長さは、前記先端部分の平面視における長手方向の長さよりも短い。
【0018】
かかる態様によれば、先端部分の平面視における長手方向の長さが根元部分の平面視における長手方向の長さより長いため、比較的上方の位置にて蝶番金具と蝶番補助具が係合する。したがって、排水設備用蓋を大型化することなく、蓋体の可動範囲を比較的広くすることができる。
【0019】
本発明の好ましい一態様によれば、前記根元部分および前記先端部分は、それぞれの長手方向に真っすぐに延び、前記蝶番金具は、前記根元部分または前記先端部分の下面に当接する抜け止め部を備えている。
【0020】
かかる態様によれば、抜け止め部が根元部分または先端部分に当接する位置が変化しないため、作業者が蓋体を操作するとき、蓋体の可働範囲が変化することが防止される。したがって、作業者は、蓋体の操作を行いやすい。
【0021】
本発明の好ましい一態様によれば、前記蝶番金具は、前記内蓋が前記開口に嵌め込まれているときに、前記内蓋よりも上方かつ前記内蓋よりも外側に延びている。
【0022】
かかる態様によれば、蝶番金具は、内蓋よりも上方に配置されているため内蓋に干渉しない。また、蝶番金具が略鉛直方向に延びるように配置される場合に比べ、蝶番金具の長手方向の長さを長くすることができる。したがって、蓋体を転回や旋回するときの蓋体の可動範囲を広くすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、内蓋を備え、大型化しなくてもより確実に開閉可能な排水設備用蓋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本実施形態にかかる排水設備用蓋の平面図である。
【
図2】本実施形態にかかる排水設備用蓋の下面図である。
【
図3A】本実施形態にかかる排水設備用蓋が閉じているときの断面図である。
【
図4A】転回動作の途中における排水設備用蓋の断面図である。
【
図4B】転回動作実施時の排水設備用蓋の断面図である。
【
図5】引き出し動作実施時の排水設備用蓋の断面図である。
【
図7】旋回動作実施時の排水設備用蓋の断面図である。
【
図8】取り外し動作において蓋体および蝶番金具を取り外すときの排水設備用蓋の断面図である。
【
図9A】蝶番補助具を上方に移動させたときの断面図である。
【
図9B】蝶番補助具を第3通路に沿って移動させたときの断面図である。
【
図9C】蝶番補助具を第2通路に沿って移動させたときの断面図である。
【
図9D】蝶番補助具を第1通路に沿って移動させ、蓋枠から外した時の断面図である。
【
図10】従来の実施形態に係る蝶番構造の側面図である。
【
図11】
図10における連接体を長手方向に長くしたときの蝶番構造の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る排水設備用蓋の実施の形態について説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の一実施形態に過ぎず、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化される。
【0026】
図1は、本実施形態に係る排水設備用蓋10を示す平面図である。
図2は、排水設備用蓋10の下面図である。
図3Aは、排水設備用蓋10の断面図である。
図3Aに示すように、排水設備用蓋10は、地中に埋設された管路1に設けられるものである。管路1は、地中に埋設されており、上下に延びたものである。管路1の種類は特に限定されない。ここでは、管路1は、例えばマンホールや、ますの一部などである。管路1は、開口1aを備えている。管路1には、例えば、災害時などに使用される仮設トイレなどが設置される。
【0027】
なお、図示は省略するが、管路1は、主管路を有している。主管路は、管路1の下端に接続されており、管路1と下水本管とを繋ぐ管路である。主管路は、例えば、横に延びており、管路1と交差する方向に沿って配置される。なお、主管路は、複数の管、ます、継手などによって構成されていてもよいし、1つの管によって構成されていてもよい。
【0028】
排水設備用蓋10は、管路1の上端に設けられるものである。排水設備用蓋10は、蓋体30と、蓋枠20と、内蓋40と、蝶番金具50と、蝶番補助具60と、を備えている。蓋枠20は、環状の台座70に固定されている。図示は省略するが、例えば、地中に埋められたますに管路1が入れられ、ますと管路1との隙間がモルタルなどの充填剤により埋められる。モルタルなどの充填剤により埋められたますの上部に台座70が固定される。蓋体30は、蓋枠20に脱着可能に嵌め込まれるものである。排水設備用蓋10では、蓋体30および内蓋40が脱着可能である。本明細書において、以下の説明では、「排水設備用蓋10が開いた状態」とは、蓋体30が蓋枠20から取り外された状態を指すものとする。一方、「排水設備用蓋10が閉じた状態」とは、蓋体30が蓋枠20に嵌め込まれた状態を指すものとする。
【0029】
図2に示すように、蓋体30は、蓋本体31と、蝶番金具支持部32と、フック部材33(
図3A参照)と、を備えている。
図4Aおよび
図4Bに示すように、蓋体30が持ち上げられると、蓋体30の姿勢が変化する。そこで、本明細書において蓋体30に関して位置関係が規定される際は、特に断りがない限り、蓋体30の状態は、
図3Aに示すように、蓋枠20に嵌め込まれたときの状態を指すものとする。
【0030】
蓋本体31は、円盤形状の部材である。蓋本体31を形成する材料は特に限定されないが、本実施形態では、鋳鉄製である。
図3Aに示すように、蓋本体31は、外周部分にテーパ部31aを有しており、テーパ部31aが蓋枠20の上側の内周部に嵌め込まれる。
【0031】
図2に示すように、蝶番金具支持部32は、第1支持片32aと第2支持片32bと抜け止めボルト32c(
図3A参照)とを備えている。第1支持片32aおよび第2支持片32bは、蓋体30の径方向と垂直な方向(
図2における上下方向)に並んでいる。本実施形態では、第2支持片32bは、第1支持片32aよりも長く延びている。第1支持片32aには切欠32aaが形成され、第2支持片32bには、切欠32baが形成されている。切欠32aaおよび切欠32baにまたがるように、後述する蝶番金具50の第1支持部分52(
図3B参照)が挿通される。これにより、蝶番金具50が蓋体30に支持される。切欠32baには、孔32bbが形成されている。孔32bbは、例えば、ネジ穴である。孔32bbは、第2支持片32bが延びる方向に対して略垂直な方向に形成されている。孔32bbには、
図3Aに示す抜け止めボルト32cが螺合される。抜け止めボルト32cの種類は、特に限定されないが、例えば、六角穴付きボルトである。詳細な図示は省略するが、孔32bbに抜け止めボルト32cが挿通され、抜け止めボルト32cがナットにより固定されることにより、抜け止めボルト32cが孔32bbに固定される。切欠32aaおよび切欠32baに蝶番金具50が挿通された後、抜け止めボルト32cが孔32bbに固定されることにより、蝶番金具50は、蓋体30の径方向内側への移動が制限される。したがって、蓋体30は、蝶番金具50が切欠32aaおよび切欠32baから抜け落ちない構造となっている。
【0032】
フック部材33は、蓋体30の下面のうち、蓋体30の中心に対して蝶番金具支持部32の反対側に配置されている。フック部材33は、蓋体30の径方向に回動可能に支持される部材である。フック部材33は、基部33aと先端係止部33bとバネ33cと押し込み部33dと、錘部33eと、を備えている、基部33aは、下方に凸となる略U字形状を有している。先端係止部33bは、基部33aのうち蓋体30の径方向外側の先端に位置している。先端係止部33bは、蓋枠20に係合する部分であり、蓋体30が蓋枠20に対して外れることを防止する。バネ33cは、蓋体30の下面に固定され、基部33a、先端係止部33b、押し込み部33dおよび錘部33eが蓋体30の径方向外側に向かって回動するように、付勢力を与える部材である。押し込み部33dは、作業者がフック部材33を回動させるときに下向きに押し込む部分である。押し込み部33dの上面は、蓋本体31の上面と略面一となっている。作業者が工具(例えば、バール)を使用して、バネ33cの付勢力を超える力で押し込み部33dを押し込むことにより、基部33aが蓋体30の径方向内側に回動する。このとき、先端係止部33bと蓋枠20との係合が外れる。錘部33eは、基部33aよりも蓋体30の径方向内側に位置する部材である。
【0033】
図5に示すように、蓋枠20は、枠本体21と、開口22と、被係止部23と、固定部24と、案内部25と、を備えている。蓋枠20は、上端にて蓋体30が嵌め込まれている。蓋枠20の形状は、平面視にて円形である。蓋枠20の径方向内側には、管路1の一部および内蓋40が配置されている。蓋枠20を形成する材料は、特に限定されないが、本実施形態では鋳鉄製である。
【0034】
枠本体21は、上下方向に延びる管状の部材であり、下方に向かうにしたがって、径方向外側に広がる形状を有している。枠本体21の材料は特に限定されないが、本実施形態では鋳鉄製である。
【0035】
開口22は、蓋枠20の上端に形成されている。本実施形態では、開口22の形状は、平面視にて円形である。開口22は、テーパ部22aを備えている。蓋本体31のテーパ部31aが開口22のテーパ部22aに嵌め込まれることにより、排水設備用蓋10が閉じられる。
【0036】
被係止部23は、枠本体21から下方かつ蓋枠20の径方向内側に向かって延びる部材である。
図3Aに示すように、フック部材33のバネ33cが基部33aを蓋体30の径方向外側に付勢するとき、被係止部23が先端係止部33bに係合する。
【0037】
固定部24は、枠本体21から蓋枠20の径方向外側に延びる部材である。固定部24は、台座70に埋め込まれている。固定部24が台座70に埋め込まれることにより、蓋枠20が固定される。
【0038】
案内部25は、蝶番補助具60を回動可能に支持する部分である。本実施形態では、
図3Bに示すように、案内部25は、第1通路25aと、第2通路25bと、第3通路25cと、ストッパ25dと、を備えている。案内部25の断面は、第1通路25a、第2通路25bおよび第3通路25cによりコ字形状の通路を有している。
【0039】
第1通路25aは、枠本体21から蓋枠20の径方向に延びる通路である。第1通路25aには、開口25aaが形成されている。第1通路25aのうち蓋枠20の径方向外側の端部には、第2通路25bが接続されている。本実施形態では、第2通路25bは、略鉛直方向に延びている。第2通路25bの下端には、第3通路25cが接続されている。第3通路25cは、第2通路25bの下端から蓋枠20の径方向内側に延びている。第3通路25cのうち蓋枠20の径方向内側の端部が蝶番補助具支持部25caである。蝶番補助具支持部25caは、後述する蝶番補助具60の第2支持部分61が支持される部分である。第3通路25cのうち蓋枠20の径方向外側の端部にはストッパ25dが配置されている。ストッパ25dは、第3通路25cの下面から上方に突設している。ストッパ25dは、蝶番補助具60の第2支持部分61が案内部25から外れることを防止する部材である。
【0040】
図3Aに示すように、内蓋40は、蓋体30の下方に配置され、管路1の開口1aにはめ込まれている。内蓋40は、開口1aに対して着脱可能となっている。作業者は、管路1を使用するとき(管路1の点検を行うとき等)は、内蓋40を外し、管路1を使用しないときは、内蓋40を開口1aに装着し、管路1を閉じる。
【0041】
図3Bに示すように、蝶番金具50は、蓋体30(
図3参照)に回動可能に支持され、蓋体30から下方に延びている。本実施形態では、蝶番金具50は、内蓋40よりも上方かつ外側に延びている。蝶番金具50は、上端部51と、第1支持部分52と、本体部53と、抜け止め部54と、を備えている。蝶番金具50を形成する材料は、特に限定されないが、本実施形態では鋳鉄製である。なお、本実施形態では、上端部51、第1支持部分52、本体部53および抜け止め部54が単一の部材により形成されている。ただし、上端部51、第1支持部分52、本体部53および抜け止め部54がそれぞれ別体、または、上端部51、第1支持部分52、本体部53および抜け止め部54のいずれか2つ以上が一体化されていてもよい。
【0042】
上端部51は、蓋体30の下方に位置し、蓋体30の下面に当接する部分である。上端部51は、蝶番金具50が回動する方向を制限している。上端部51は、本体部53が蓋枠20の径方向外側に延びる状態となっているとき、蓋体30の下面に当接する。したがって、蝶番金具50は、本体部53が鉛直方向に延びる位置となる方向に回動することが防止されている。
【0043】
第1支持部分52は、上端部51の下方に配置されている。第1支持部分52は、第1支持片32a(
図2参照)および第2支持片32b(
図2参照)に支持される円柱状の部分である。第1支持部分52は、第1支持片32aおよび第2支持片32bが延びる方向に平面視にて略垂直となる方向に延びている。第1支持部分52が蓋体30の径方向外側に向かって、切欠32aa(
図2参照)および切欠32ba(
図2参照)に挿通されることにより、蝶番金具50が蓋体30に支持される。第1支持部分52の長手方向の断面の直径の長さは、切欠32aaおよび切欠32baの上下方向の長さよりも短く形成されている。したがって、蝶番金具50は、第1支持部分52を中心に回動することができる。
【0044】
本体部53は、第1支持部分52より下方に延びる部材である。本体部53は、蝶番補助具60に係合する。本体部53が蝶番補助具60に係合することにより、蝶番金具50と蝶番補助具60とが連結して動くことができる。本実施形態では、本体部53は、真っすぐに延びているが、本体部53の形状はこれに限定されない。本体部53の形状は、曲がった形状であってもよい。
【0045】
抜け止め部54は、蝶番金具50の下端に位置している。抜け止め部54は、第1支持片32aおよび第2支持片32bが延びる方向に平面視にて略垂直となる方向に延びている。すなわち、抜け止め部54の長手方向と第1支持部分52の長手方向とは、互いに略平行となっている。
図3Bに示す状態から、蓋体30が持ち上げられ、蝶番金具50が上方に移動したとき、抜け止め部54が蝶番補助具60に当接することにより、蝶番金具50が蝶番補助具60から抜けることが防止される。
【0046】
図3Bに示すように、蝶番補助具60は、蓋枠20の案内部25に支持されている。蝶番補助具60は、第2支持部分61と、根元部分62と、先端部分63と、を備えている。第2支持部分61は、本発明における支持部分である。
図6に示すように、蝶番補助具60には、孔64が形成されている。孔64に対して上下方向に蝶番金具50が挿通されることにより、蝶番補助具60と蝶番金具50とが連結される。なお、本実施形態では、第2支持部分61、根元部分62および先端部分63は、単一の部材により形成されている。ただし、第2支持部分61、根元部分62および先端部分63がそれぞれ別体、または、第2支持部分61、根元部分62および先端部分63のいずれか2つが一体化されていてもよい。蝶番補助具60を形成する材料は、特に限定されないが、本実施形態では、鋳鉄製である。
【0047】
第2支持部分61は、案内部25の蝶番補助具支持部25caに支持され、蓋枠20に回動可能に支持されている。第2支持部分61は、根元部分62および先端部分63が延びる方向に略垂直な方向に延びている。すなわち、
図3Bに示すように、案内部25の第3通路25cの延びる方向に対して、平面視にて略垂直な方向に延びている。第2支持部分61は、円柱形状に形成されている。第2支持部分61の長手方向の断面の径は、案内部25の第1通路25a、第2通路25bおよび第3通路25cの上下方向の長さよりも短い。したがって、案内部25に支持された蝶番補助具60は、第2支持部分61を中心に上下方向に回動することができる。また、第2支持部分61は、案内部25の第1通路25a、第2通路25bおよび第3通路25cを通過することができる。
【0048】
根元部分62は、第2支持部分61から下方かつ蓋枠20の径方向内側に延びる部分である。本実施形態では、
図6に示すように、平面視における根元部分62の長手方向の長さL1は、平面視における先端部分63の長手方向の長さL2よりも短く形成されている。
図3Bに示すように、本実施形態では、根元部分62は、第2支持部分61から真っすぐに延びている。根元部分62は、回動抑制部62aを備えている。回動抑制部62aは、側面視にて略L字状に形成される部分である。回動抑制部62aが枠本体21の径方向内側に当接することにより、蝶番補助具60の下方への回動が抑制される。本実施形態では、回動抑制部62aが枠本体21の径方向内側に当接するとき、先端部分63が蓋体30に対して略水平な状態となるように、回動抑制部62aが形成されている。
【0049】
先端部分63は、根元部分62の下端から上方に延びる部分である。ここで、「根元部分62の下端から上方に延びる」とは、根元部分62の下端を基点として、根元部分62の長手方向に対して上方に延びることを指す。したがって、先端部分63の延びる方向が根元部分62の長手方向に対して上方である限りにおいて、先端部分63は、蓋体30から遠ざかる方向、蓋体30に対して略平行な方向、または蓋体30に近づく方向のいずれの方向に延びていてもよい。本実施形態では、上述のように、先端部分63は、蓋体30に対して略平行な方向に延びている。本実施形態では、先端部分63は、根元部分62の下端から真っすぐに延びている。
図5に示すように、先端部分63の上面である支持面63aは、蓋体30をスライド可能に支持する。支持面63aを用いた蓋体30の動作の詳細は後述する。
【0050】
図6に示すように、孔64は、根元部分62および先端部分63に跨って形成されており、根元部分62および先端部分63を上下方向に貫通している。孔64は、根元部分62および先端部分63の長手方向に延びる長穴である。孔64の短径は、蝶番金具50の本体部53(
図3B参照)の径よりも長く形成されている。また、孔64の長径は、蝶番金具50の抜け止め部54の長手方向の長さよりも長く形成されている。孔64のうち、蓋枠20の径方向内側の位置が当接位置64aである。
図4Aに示すように、当接位置64aは、蓋体30が持ち上げられたときに、蝶番金具50の本体部53が当接する位置である。
【0051】
以上、本実施形態に係る排水設備用蓋10の構成について説明した。次に排水設備用蓋10の蓋体30を開閉するときの種々の動作について説明する。
【0052】
まず、排水設備用蓋10の引き出し動作について説明する。引き出し動作とは、排水設備用蓋10が閉じた状態から蓋体30と蓋枠20との嵌め合いを解除する動作である。
図3Aに示すように、排水設備用蓋10が閉じた状態において、作業者は、例えば、バールなどを用いて、フック部材33の押し込み部33dに下方へ力を加える。このとき、バネ33cの付勢力を上回る力で押し込み部33dが押し込まれると、基部33aは、蓋体30の径方向内側に回動する。このとき、先端係止部33bと被係止部23との係合が解除される。この状態にて作業者は、例えば、バールの先端を蓋体30のうちフック部材33付近の下面に当て、てこを用いて蓋体30を上方へ持ち上げる。このことにより、蓋本体31のテーパ部31aと開口22のテーパ部22a(
図5参照)との嵌め合いが解除される。このとき、蓋体30の蝶番金具支持部32が蓋枠20の径方向内側に移動し、蝶番金具50も蓋枠20の径方向内側に移動する。すなわち、蝶番金具50の本体部53(
図3B参照)が孔64の当接位置64a(
図6参照)に向かって移動する。なお、引き出し動作を完了した後、
図5に示すように、蓋体30の蝶番金具支持部32の下面が蝶番補助具60の支持面63aの上面に支持され、かつフック部材33の錘部33eが蓋枠20の上面に支持されるようにして蓋体30を置いてもよい。これにより、作業者は、引き出し動作を完了した後、別の動作を開始する前に、一旦動作を中断することができる。また、フック部材33の基部33aを蓋枠20の上面に支持されるようにして蓋体30を置いてもよい。
【0053】
次に、転回動作について説明する。転回動作とは、
図4Bに示すように蓋体30の裏表が入れ替わるようにして排水設備用蓋10を開く動作である。
図5に示すように、引き出し動作が完了した後、蓋体30を更に上方に移動させると、蝶番金具50が蓋枠20の径方向内側に回動し、本体部53が孔64の当接位置64a(
図6参照)に当接する。さらに、蝶番金具50が上方に移動することにより、抜け止め部54が先端部分63の下面に当接する。さらに蓋体30を上方に移動させると、
図4Aに示すように、蝶番補助具60は、第2支持部分61を中心にして上方に回動する。なお、このとき、蝶番補助具60は、孔64の当接位置64aを中心として、蓋枠20の径方向に回動可能な状態となる。したがって、第2支持部分61が蓋枠20の径方向外側に向かって第3通路25c(
図3B参照)を移動するように、蝶番補助具60が回動する可能性がある。しかしながら、第3通路25cには、ストッパ25d(
図3B参照)が突設されているため、第2支持部分61が第3通路25cを移動するように蝶番補助具60が回動しても、ストッパ25dにより、蝶番補助具60の回動が止まる。したがって、転回動作中に、第2支持部分61が第2通路25bの下端の位置に移動するまで蝶番補助具60が回動することが防がれる。
図4Aの状態から当接位置64aを中心にしながら、さらに蓋体30を
図4Aにおける時計回りの方向に回転させると、
図4Bの状態となる。これにより、排水設備用蓋10が開いた状態となる。
【0054】
次に、旋回動作について説明する。旋回動作とは、
図7に示すように、蓋体30の裏表を反転させることなく、排水設備用蓋10を開ける動作である。
図5に示す引き出し動作が完了した後、蓋体30を上方かつ蓋枠20の周方向に移動させる。このとき、蝶番金具50の本体部53は、蝶番金具50の長手方向を軸として孔64(
図6参照)に対して自由に回転することができるため、蓋体30が径方向に回転する。
図7は、
図5の状態から蓋体30を蓋枠20の周方向に約半回転したときの図である。これにより、排水設備用蓋10の蓋体30が開いた状態となる。
【0055】
次に、取り外し動作について説明する。取り外し動作とは、蓋枠20から蓋体30、蝶番金具50および蝶番補助具60を取り外す動作である。
図5に示すように、引き出し動作が完了した後、蓋体30の径方向が先端部分63に対して略垂直になるまで蓋体30を上方に移動させた後、
図8に示すように、蝶番金具50の抜け止め部54の長手方向が孔64の長手方向と略一致するように、蓋体30を蓋枠20の周方向に回転させる。
図8の状態から、蓋体30を上方に移動させることにより、蓋体30および蝶番金具50と蝶番補助具60との連結が解除される。その後、蝶番補助具60を蓋枠20から取り外す。蝶番補助具60を蓋枠20から取り外すには、まず、
図9Aに示すように、第2支持部分61の長手方向の軸がストッパ25dより上方に配置されるように、蝶番補助具60を上方に移動させる。次に、
図9Bに示すように、第2支持部分61が第3通路25cを通り、第2通路25bの下端部に配置されるまで、蓋枠20の径方向外側に向かって蝶番補助具60を移動させる。次に、
図9Cに示すように、第2支持部分61が第2通路25bを通り、第1通路25aのうち蓋枠20の径方向外側の端部に第2支持部分61が配置されるまで蝶番補助具60を上方に向かって移動させる。次に、
図9Dに示すように、第2支持部分61が蓋枠20の径方向内側に向かって、開口25aaから外れるように蝶番補助具60を蓋枠20の径方向内側に向かって移動させる。これにより、蝶番補助具60が蓋枠20から取り外される。なお、蝶番補助具60、蝶番金具50および蓋体30を蓋枠20に取り付ける際には、取り外し動作の手順を逆から行えばよい。
【0056】
次に、スライド動作について説明する。スライド動作とは、排水設備用蓋10を閉じるときの動作である。排水設備用蓋10の使用を終え、
図5に示すように、蓋体30の蝶番金具支持部32を蝶番補助具60の支持面63aにより支持させる。この状態から、作業者は、蓋体30を蓋体30の径方向内側に向かって押すことにより、蓋体30をスライドさせながら蓋枠20に嵌め込むことができる。
【0057】
以上、本実施形態の排水設備用蓋10によると、蝶番補助具60は、第2支持部分61と根元部分62と先端部分63とを備えている。蝶番補助具60は、第2支持部分61にて蓋枠20に回動可能に支持されている。蝶番金具50は、蓋体30に回動可能に支持されているので、作業者により蓋体30が持ち上げられると、蝶番金具50は、蓋体30に引っ張られて上方に移動する。孔64の当接位置64aにて蝶番金具50に係合する蝶番補助具60は、蝶番金具50に引っ張られ、上方に回動する。したがって、作業者は、蓋体30、蝶番金具50、蝶番補助具60および蓋枠20が連結された状態にて排水設備用蓋10を開けることができる。このとき、蝶番補助具60の先端部分63が根元部分62の下端から上方に向かって曲がっているため、蝶番補助具60の下端の位置は、先端部分63が根元部分62の下端から真っすぐ延びている場合に比べ、上方に配置される。したがって、蝶番補助具60の根元部分62と先端部分63が比較的長く形成されていても、蝶番補助具60と内蓋40とが干渉しない。蝶番補助具60と内蓋40とが干渉しないため、作業者は、確実に排水設備用蓋10を開閉することができる。また、このとき、排水設備用蓋10を大型化する必要もない。
【0058】
本実施形態の排水設備用蓋10によると、蓋枠20は、案内部25を備えている。案内部25の備える第1通路25a、第2通路25bおよび第3通路25cに第2支持部分61を通すことにより、蝶番補助具60を蓋枠20に支持させ、または、支持を外すことができる。すなわち、蝶番補助具60は、蓋枠20に対して取り外し可能である。作業者が、管路1に非常用トイレ等を取り付けるために内蓋40を外すとき、蝶番補助具60が蓋枠20に取り付いていると、作業を阻害される可能性がある。本実施形態のように、蝶番補助具60が取り外し可能であることにより、内蓋40の取り外し等の際の蝶番補助具60による作業の阻害が防がれる。
【0059】
本実施形態の排水設備用蓋10によると、第3通路25cのうち蓋枠20の径方向内側の端部が蝶番補助具支持部25caであり、蝶番補助具支持部25caに第2支持部分61が支持される。また、第3通路25cのうち蓋枠20の径方向外側の端部には、ストッパ25dが第3通路25cの下面から上方に突設している。したがって、蓋体30を上方に移動させたときに、第2支持部分61が第3通路25cを蓋枠20の径方向外側に向かうように蝶番補助具60が移動してもストッパ25dにより、その移動が止められる。案内部25にストッパ25dが突接されていない場合、蓋体30を上方に移動させたときに、第2支持部分61が第3通路25cを通り、第2通路25bの下端の位置まで移動する可能性がある。その状態からさらに蓋体30を上方に移動させると、第2支持部分61が第2通路25bを通り、第2支持部分61が第1通路25aに到達する。したがって、作業者が、転回動作や旋回動作を行うことにより、第1通路25aや第2通路25bに配置される可能性がある。その状態にて、排水設備用蓋10を閉じようとしても、蝶番補助具60は、
図3Aに示す位置に配置されない。したがって、蝶番金具50や蝶番補助具60により蓋体30の動きが制限され、蓋体30が開口22に嵌め込むことができない可能性がある。本実施形態のように、案内部25がストッパ25dを備えていることにより、第2支持部分61が第3通路25cから外れることが防止される。このことにより、排水設備用蓋10を閉じる動作を阻害されることが防がれる。
【0060】
本実施形態の排水設備用蓋10によると、先端部分63は、蓋体30をスライド可能に支持する支持面63aを備えている。
図5に示す状態から作業者は、蓋体30を蓋枠20の径方向内側に向かって押すことにより、蓋体30をスライドさせながら蓋体30を閉じることができる。したがって、作業者が蓋体30を持ち上げながら蓋枠20に嵌め込む場合に比べ、排水設備用蓋10を閉じるときの作業者の負担を小さくすることができる。
【0061】
本実施形態の排水設備用蓋10によると、蝶番金具50は、上端部51が蓋体30に当接しているときに、蓋枠20の径方向外側に向かって延びる状態となるように配置されている。蝶番金具50が蓋体30から略鉛直方向に延びる状態となるように配置されている場合に比べ、蝶番金具50の下端の位置が上方に位置している。したがって、蝶番金具50と内蓋40とが、より干渉を生じにくい。
【0062】
本実施形態の排水設備用蓋10によると、根元部分62の平面視における長手方向の長さL1は、先端部分63の平面視における長手方向の長さL2よりも短い。根元部分62は、先端部分63よりも下方に向かって延びているため、根元部分62が長くなるほど、内蓋40と蝶番補助具60との間隔が近づき、内蓋40と蝶番補助具60とが干渉する虞がある。ところが、本実施形態のように、L1>L2となることにより、根元部分62および先端部分63が比較的長くても内蓋40と蝶番補助具60との間隔を比較的広くすることができる。すなわち、排水設備用蓋10を大型化する必要がない。
【0063】
本実施形態の排水設備用蓋10によると、根元部分62と先端部分63は、それぞれ長手方向に真っすぐに延びている。ここで、例えば、先端部分63が上下方向に湾曲し上下に凹凸な形状を有していた場合、作業者が蓋体30を持ち上げると、蝶番金具50の抜け止め部54が当該凹凸に引っ掛かる。このとき、抜け止め部54が引っ掛かる位置は、操作の度に変化する可能性がある。抜け止め部54の引っ掛かる位置が変化すると、蓋体30を持ち上げたときの蓋体30の可動範囲が変化する。本実施形態のように、根元部分62と先端部分63とが真っすぐ延びていることにより、抜け止め部54の引っ掛かる位置が、操作の度に変化せず、蓋体30の可動範囲が変化しない。したがって、作業者は、転回動作や旋回動作の操作を行いやすい。
【0064】
本実施形態の排水設備用蓋10によると、蝶番金具50は、内蓋40が開口1aに嵌め込まれているときに、内蓋40よりも上方かつ外側に延びている。蝶番金具50は、内蓋40よりも上方に配置されているため、内蓋40に干渉しない。また、蝶番金具50は、内蓋40よりも外側に延びているため、例えば、蝶番金具50が略鉛直方向に延びるように配置するときよりも蝶番金具50の長手方向の長さを長くすることができる。蝶番金具50の長手方向の長さが比較的長いことにより、蓋体30を持ち上げたとき、蓋枠20と蓋体30との間隔を比較的長くすることができる。すなわち、蓋体30を転回や旋回するときの蓋体30の可動範囲が広くすることができる。
【符号の説明】
【0065】
1 管路
10 排水設備用蓋
20 蓋枠
30 蓋体
40 内蓋
50 蝶番金具
60 蝶番補助具
61 第2支持部分(支持部分)
62 根元部分
63 先端部分