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2025-25506プリフォーム及びプラスチックボトルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025506
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】プリフォーム及びプラスチックボトルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/06 20060101AFI20250214BHJP
   B65D 1/00 20060101ALI20250214BHJP
   B65D 1/02 20060101ALI20250214BHJP
   B29B 11/14 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
B29C49/06
B65D1/00 120
B65D1/02 220
B29B11/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130324
(22)【出願日】2023-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】加藤 寛久
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 量哉
(72)【発明者】
【氏名】関根 章智
【テーマコード(参考)】
3E033
4F201
4F208
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA18
3E033CA20
3E033DA03
3E033DB01
3E033DC03
3E033EA05
3E033FA03
3E033GA02
4F201AG07
4F201AH55
4F201BA03
4F201BC02
4F201BD06
4F201BM12
4F208AG07
4F208AH55
4F208AR12
4F208LA02
4F208LA08
4F208LB01
4F208LG03
4F208LG14
4F208LG16
4F208LG29
4F208LG30
(57)【要約】
【課題】軽量化を実現するとともに、プラスチックボトルの肩部のうち胴部近傍領域の厚みを厚くすることが可能な、プリフォーム及びプラスチックボトルの製造方法を提供する。
【解決手段】プリフォーム10は、口部11と、口部11に連結された胴部20と、胴部20に連結された底部30と、を備える。胴部20は、口部11側に位置する大径部21と、底部30側に位置する小径部23と、大径部21と小径部23との間に位置し、大径部21側から小径部23側に向けて縮径する縮径部22とを有する。縮径部22の厚みTは、大径部21側から小径部23側まで縮径部22の全域にわたり増加する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部と、
前記口部に連結された胴部と、
前記胴部に連結された底部と、を備え、
前記胴部は、前記口部側に位置する大径部と、前記底部側に位置する小径部と、前記大径部と前記小径部との間に位置し、前記大径部側から前記小径部側に向けて縮径する縮径部とを有し、
前記縮径部の厚みは、前記大径部側から前記小径部側まで前記縮径部の全域にわたり増加する、プリフォーム。
【請求項2】
前記大径部は、前記胴部及び前記底部のうち最も厚みの薄い部分である、請求項1に記載のプリフォーム。
【請求項3】
前記底部の最下部の厚みは、前記大径部の厚みよりも厚く、前記小径部の厚みよりも薄い、請求項1に記載のプリフォーム。
【請求項4】
サポートリングを有する口部と、
前記口部に連結された胴部と、
前記胴部に連結された底部と、を備え、
前記胴部は、前記口部側に位置する大径部と、前記底部側に位置する小径部と、前記大径部と前記小径部との間に位置し、前記大径部側から前記小径部側に向けて縮径する縮径部とを有し、
前記サポートリングからの距離を基準とする前記縮径部の厚みの傾きの最大値は、0.15mm/mm以上0.30mm/mm以下である、プリフォーム。
【請求項5】
前記縮径部の途中に第1中間部分が存在し、前記縮径部の厚みは、前記大径部と前記第1中間部分との間において、前記大径部側から前記小径部側に向けて減少する、請求項4に記載のプリフォーム。
【請求項6】
前記第1中間部分は、前記胴部のうち最も厚みの薄い部分である、請求項5に記載のプリフォーム。
【請求項7】
前記縮径部の途中に第2中間部分が存在し、前記縮径部の厚みは、前記第1中間部分と前記第2中間部分との間において、前記大径部側から前記小径部側に向けて増加する、請求項5に記載のプリフォーム。
【請求項8】
前記第2中間部分は、前記胴部のうち最も厚みの薄い部分である、請求項7に記載のプリフォーム。
【請求項9】
プラスチックボトルの製造方法であって、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のプリフォームを準備する工程と、
前記プリフォームを加熱する工程と、
前記プリフォームを二軸延伸ブロー成形する工程と、を備えた、プラスチックボトルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プリフォーム及びプラスチックボトルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば射出成形法により作製したポリエチレンテレフタレート製プリフォームを二軸延伸ブロー成形し、プラスチックボトルを作製することが行われている。また、近年、ボトルに使用されるプラスチック材料の使用量を減らし、プラスチックボトルを軽量化することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-13664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のプリフォームの厚みを均一に薄くした場合、ブロー成形によりプラスチックボトルを作製した際に、プラスチックボトルの肩部のうち胴部近傍領域が薄くなりすぎ、白化及び破裂とよばれる現象が発生するおそれがある。一方、このような白化現象及び破裂現象を防止するために、プラスチックボトルの肩部全体を厚くすると、プラスチックボトルの肩部のうち首部近傍も厚くなってしまい、この部分を十分延伸できなくなるおそれがある。
【0005】
本開示は、軽量化を実現するとともに、プラスチックボトルの肩部のうち胴部近傍領域の厚みを厚くすることが可能な、プリフォーム及びプラスチックボトルの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施の形態は、以下の[1]~[9]に関する。
【0007】
[1]口部と、前記口部に連結された胴部と、前記胴部に連結された底部と、を備え、前記胴部は、前記口部側に位置する大径部と、前記底部側に位置する小径部と、前記大径部と前記小径部との間に位置し、前記大径部側から前記小径部側に向けて縮径する縮径部とを有し、前記縮径部の厚みは、前記大径部側から前記小径部側まで前記縮径部の全域にわたり増加する、プリフォーム。
【0008】
[2]前記大径部は、前記胴部及び前記底部のうち最も厚みの薄い部分である、[1]に記載のプリフォーム。
【0009】
[3]前記底部の最下部の厚みは、前記大径部の厚みよりも厚く、前記小径部の厚みよりも薄い、[1]又は[2]に記載のプリフォーム。
【0010】
[4]サポートリングを有する口部と、前記口部に連結された胴部と、前記胴部に連結された底部と、を備え、前記胴部は、前記口部側に位置する大径部と、前記底部側に位置する小径部と、前記大径部と前記小径部との間に位置し、前記大径部側から前記小径部側に向けて縮径する縮径部とを有し、前記サポートリングからの距離を基準とする前記縮径部の厚みの傾きの最大値は、0.15mm/mm以上0.30mm/mm以下である、プリフォーム。
【0011】
[5]前記縮径部の途中に第1中間部分が存在し、前記縮径部の厚みは、前記大径部と前記第1中間部分との間において、前記大径部側から前記小径部側に向けて減少する、[4]に記載のプリフォーム。
【0012】
[6]前記第1中間部分は、前記胴部のうち最も厚みの薄い部分である、[5]に記載のプリフォーム。
【0013】
[7]前記縮径部の途中に第2中間部分が存在し、前記縮径部の厚みは、前記第1中間部分と前記第2中間部分との間において、前記大径部側から前記小径部側に向けて増加する、[5]又は[6]に記載のプリフォーム。
【0014】
[8]前記第2中間部分は、前記胴部のうち最も厚みの薄い部分である、[7]に記載のプリフォーム。
【0015】
[9]プラスチックボトルの製造方法であって、[1]乃至[8]のいずれか一つに記載のプリフォームを準備する工程と、前記プリフォームを加熱する工程と、前記プリフォームを二軸延伸ブロー成形する工程と、を備えた、プラスチックボトルの製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本実施の形態によれば、軽量化を実現するとともに、プラスチックボトルの肩部のうち胴部近傍領域の厚みを厚くできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、第1の実施の形態によるプリフォームを示す正面図。
図2図2は、第1の実施の形態によるプリフォームを示す垂直断面図(プリフォームの中心軸を通る断面図)。
図3図3は、第1の実施の形態によるプリフォームの大径部、縮径部及び小径部の厚みの変化の概略を示すグラフ。
図4図4は、一実施の形態によるプリフォームにより作製されるプラスチックボトルを示す正面図。
図5図5(a)-(e)は、第1の実施の形態によるプラスチックボトルの製造方法を示す図。
図6図6は、第2の実施の形態によるプリフォームを示す垂直断面図(プリフォームの中心軸を通る断面図)。
図7図7は、第2の実施の形態によるプリフォームの大径部、縮径部及び小径部の厚みの変化の概略を示すグラフ。
図8図8は、実施例2によるプリフォームを示す垂直断面図(プリフォームの中心軸を通る断面図)。
図9図9は、実施例4によるプリフォームを示す垂直断面図(プリフォームの中心軸を通る断面図)。
図10図10は、実施例1-4及び比較例1によるプリフォームの大径部、縮径部及び小径部の厚みの変化を示すグラフ。
図11図11は、実施例1-4及び比較例1によるプリフォームから成形されたプラスチックボトルの肩部の厚みの変化を示すグラフ。
図12図12は、比較例1によるプリフォームを示す垂直断面図(プリフォームの中心軸を通る断面図)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施の形態)
以下、図面を参照して第1の実施の形態について説明する。図1乃至図5は第1の実施の形態を示す図である。
【0019】
本明細書中、「上方」及び「下方」とは、それぞれプリフォーム10の口部11を鉛直方向上方に向け、プリフォーム10の底部30を鉛直方向下方に向けた状態(図1及び図2)における上方及び下方のことをいう。本明細書中、プリフォーム10の「中心軸CL」とは、プリフォーム10の口部11の内面を構成する円筒の中心軸をいう。
【0020】
本明細書中、「高さ方向」とは、プリフォーム10の中心軸CLに沿う方向をいい、「半径方向」とは、プリフォーム10の中心軸CLに対して直交する方向をいう。「周方向」とは、プリフォーム10の中心軸CLを中心とする円の円周方向をいう。「水平断面」とは、プリフォーム10の中心軸CLに対して直交する平面で切断した断面をいう。「垂直断面」とは、プリフォーム10の中心軸CLを含む平面で切断した断面をいう。
【0021】
図1及び図2により本実施の形態によるプリフォームの概要について説明する。
【0022】
図1に示すプリフォーム10は、口部11と、口部11に連結された胴部20と、胴部20に連結された底部30とを備えている。口部11は、サポートリング14と、開口部15とを有する。胴部20は、大径部21と、小径部23と、縮径部22とを有する。大径部21は、口部11側に位置する。小径部23は、底部30側に位置する。縮径部22は、大径部21と小径部23との間に位置する。縮径部22は、大径部21側から小径部23側に向けて縮径する。縮径部22の厚みTは、大径部21側から小径部23側まで縮径部22の全域にわたり増加する。
【0023】
口部11は、円筒状の口部本体12と、口部本体12の外周に設けられたねじ部13と、ねじ部13の下方に設けられたサポートリング14と、を有する。口部本体12は、外径Dと内径Dとを有する。
【0024】
口部本体12の外径Dは、18mm以上としても良く、20mm以上としても良く、23mm以上としても良い。口部本体12の外径Dは、34mm以下としても良く、31mm以下としても良く、28mm以下としても良い。口部本体12の内径Dは、15mm以上としても良く、17mm以上としても良く、20mm以上としても良い。口部本体12の内径Dは、28mm以下としても良く、26mm以下としても良く、24mm以下としても良い。
【0025】
口部11の高さ方向の長さLは、例えば14mm以上としても良く、16mm以上としても良く、18mm以上としても良い。口部11の高さ方向の長さLは、28mm以下としても良く、25mm以下としても良く、23mm以下としても良い。
【0026】
ねじ部13は、プリフォーム10を二軸延伸ブロー成形してプラスチックボトル40(図4参照)を作製した後、図示しないキャップを螺合するためのものである。また、サポートリング14は、口部11の下部に設けられており、全周にわたって円環状に突設されている。サポートリング14の下方には、胴部20が連結されている。
【0027】
上述したように、胴部20は、大径部21と、小径部23と、縮径部22とを有する。
【0028】
大径部21は、サポートリング14の下部に連結されている。大径部21は、外面21aと内面21bとを有する。大径部21の高さ方向の長さLは、例えば2.0mm以上としても良く、2.2mm以上としても良く、2.5mm以上としても良い。大径部21の高さ方向の長さLは、3.7mm以下としても良く、3.4mm以下としても良く、3.1mm以下としても良い。
【0029】
大径部21は、全体として略円筒形状であり、外径Dと内径Dとを有する。大径部21の外径Dは、18mm以上としても良く、20.5mm以上としても良く、23mm以上としても良い。大径部21の外径Dは、34mm以下としても良く、31mm以下としても良く、28mm以下としても良い。大径部21の外径Dは、上述した口部本体12の外径Dよりも大きくても良く、口部本体12の外径Dと同一であっても良い。
【0030】
大径部21の内径Dは、上述した口部本体12の内径Dと同一であっても良い。大径部21の内径Dは、15mm以上としても良く、17mm以上としても良く、20mm以上としても良い。大径部21の内径Dは、29mm以下としても良く、26mm以下としても良く、24mm以下としても良い。大径部21の厚みTは、大径部21の高さ方向全体にわたって均一であっても良い。大径部21の厚みTは、1.4mm以上としても良く、1.7mm以上としても良く、1.9mm以上としても良い。大径部21の厚みTは、2.7mm以下としても良く、2.5mm以下としても良く、2.3mm以下としても良い。大径部21は、胴部20及び底部30のうち最も厚みの薄い部分であっても良い。
【0031】
縮径部22は、大径部21の下部に連結されており、大径部21側から小径部23側に向けて徐々に縮径する形状からなる。縮径部22は、略円錐台形の筒状であり、外面22aと内面22bとを有する。大径部21と縮径部22との境界には、第3境界部28が存在する。第3境界部28は、垂直断面において、大径部21の内面21bと縮径部22の内面22bとのなす角度、及び、大径部21の外面21aと縮径部22の外面22aとのなす角度が大きく変化する箇所である。言い換えれば、第3境界部28とは、垂直断面(図2)において、大径部21の内面21bと縮径部22の内面22bとの間で、曲率半径が極小値をとる箇所、及び、大径部21の外面21aと縮径部22の外面22aとの間で、曲率半径が極小値をとる箇所をいう。大径部21の内面21bと縮径部22の内面22bとのなす角度が大きく変化する箇所と、大径部21の外面21aと縮径部22の外面22aとのなす角度が大きく変化する箇所とが高さ方向にずれている場合、第3境界部28は、これらの箇所のうち、より口部11に近い方の箇所をいう。
【0032】
縮径部22の高さ方向の長さLは、例えば6.4mm以上としても良く、7.4mm以上としても良く、8.3mm以上としても良い。縮径部22の高さ方向の長さLは、12.0mm以下としても良く、11.0mm以下としても良く、10.1mm以下としても良い。縮径部22の水平断面は、高さ方向全体にわたって円形状であっても良い。縮径部22の外面22aは、高さ方向に沿って変化する外径Dを有し、縮径部22の内面22bは、高さ方向に沿って変化する内径Dを有している。縮径部22の外径D及び内径Dは、それぞれ大径部21側から小径部23側に向けて徐々に細くなっている。
【0033】
縮径部22の外面22a及び内面22bは、それぞれプリフォーム10の中心軸CLに対して傾斜している。垂直断面において、縮径部22の外面22aが中心軸CLに対して傾斜する角度θの平均値は、15°以上としても良く、17°以上としても良く、19°以上としても良い。縮径部22の外面22aが中心軸CLに対して傾斜する角度θの平均値は、28°以下としても良く、26°以下としても良く、24°以下としても良い。ここで、角度θの平均値とは、縮径部22の外面22aが中心軸CLに対して傾斜する平均の角度であり、θ=Tan-1{(D-D)/(2×L)}(°)によって求められる。
【0034】
縮径部22の内面22bが中心軸CLに対して傾斜する角度θの平均値は、17°以上としても良く、19°以上としても良く、22°以上としても良い。縮径部22の内面22bが中心軸CLに対して傾斜する角度θの平均値は、33°以下としても良く、30°以下としても良く、28°以下としても良い。ここで、角度θの平均値とは、縮径部22の内面22bが中心軸CLに対して傾斜する平均の角度であり、θ=Tan-1{(D-D)/(2×L)}(°)によって求められる。
【0035】
縮径部22の厚みTは、大径部21(第3境界部28)側から小径部23(後述する第2境界部27)側に向けて縮径部22の全域にわたり増加する。すなわち、垂直断面において、中心軸CL方向に互いに異なる任意の2箇所で縮径部22の厚みを測定したとき、小径部23側の箇所の厚みは、常に大径部21側の箇所の厚みを上回る。縮径部22の厚みTとは、縮径部22を中心軸CLに対して垂直な方向に測定したときの、外面22aと内面22bとの距離をいう。縮径部22の厚みTは、全自動測定器(株式会社エビック社製、プリフォーム自動厚み測定装置、EH-8000)を用いて測定する。
【0036】
図3は、大径部21、縮径部22及び小径部23の厚みの変化の概略を示すグラフである。図3において、横軸は、サポートリング14からの距離L(mm)であって、プリフォーム10の中心軸CLの方向に沿う距離を示す。縦軸は、大径部21の厚みT、縮径部22の厚みT及び小径部23の厚みT(mm)を示す。
【0037】
図3に示すように、大径部21の厚みTは、サポートリング14からの距離Lによらず略一定値となっている。同様に、小径部23の厚みTは、サポートリング14からの距離Lによらず略一定値となっている。小径部23の厚みTは、大径部21の厚みTよりも厚い(T>T)。縮径部22の厚みTは、大径部21の厚みTから小径部23の厚みTまで全域にわたり厚くなるように増加する。すなわち、距離Lを基準とする縮径部22の厚みTの傾き(dT/dL)は、大径部21側から小径部23側まで全域にわたり正の値となる。
【0038】
縮径部22における傾き(dT/dL)の最大値(mm/mm)は、0.07以上としても良く、0.08以上としても良く、0.09以上としても良い。縮径部22における傾き(dT/dL)の最大値(mm/mm)は、0.25以下としても良く、0.22以下としても良く、0.20以下としても良い。縮径部22における傾き(dT/dL)が最大となる位置Pmaxの、サポートリング14からの距離LをL=L+αLとする。このとき、αは、0.2以上であっても良く、0.3以上であっても良く、0.4以上であっても良い。αは、0.9以下であっても良く、0.8以下であっても良く、0.7以下であっても良い。
【0039】
縮径部22における傾き(dT/dL)の最小値(mm/mm)は、0.00超としても良く、0.01以上としても良く、0.02以上としても良い。縮径部22における傾き(dT/dL)の最小値(mm/mm)は、0.06以下としても良く、0.04以下としても良く、0.03以下としても良い。
【0040】
再度図2を参照すると、第2境界部27における縮径部22の厚みTは、第3境界部28における縮径部22の厚みTよりも厚い。第2境界部27における縮径部22及び小径部23の厚みTは、1.9mm以上としても良く、2.1mm以上としても良く、2.4mm以上としても良い。第2境界部27における縮径部22及び小径部23の厚みTは、3.7mm以下としても良く、3.4mm以下としても良く、3.1mm以下としても良い。
【0041】
第2境界部27における縮径部22及び小径部23の外径Dは、13mm以上としても良く、15mm以上としても良く、17mm以上としても良い。第2境界部27における縮径部22及び小径部23の外径Dは、24mm以下としても良く、22mm以下としても良く、20mm以下としても良い。第2境界部27における縮径部22及び小径部23の内径Dは、9mm以上としても良く、10mm以上としても良く、11mm以上としても良い。第2境界部27における縮径部22及び小径部23の内径Dは、17mm以下としても良く、16mm以下としても良く、15mm以下としても良い。
【0042】
小径部23は、縮径部22の下部に連結されており、外面23aと内面23bとを有する。縮径部22と小径部23の境界には、第2境界部27が存在する。第2境界部27は、垂直断面において、縮径部22の内面22bと小径部23の内面23bとのなす角度、及び、縮径部22の外面22aと小径部23の外面23aとのなす角度が大きく変化する箇所である。言い換えれば、第2境界部27とは、垂直断面(図2)において、縮径部22の内面22bと小径部23の内面23bとの間で、曲率半径が極小値をとる箇所、及び、縮径部22の外面22aと小径部23の外面23aとの間で、曲率半径が極小値をとる箇所をいう。縮径部22の内面22bと小径部23の内面23bとのなす角度が大きく変化する箇所と、縮径部22の外面22aと小径部23の外面23aとのなす角度が大きく変化する箇所とが高さ方向にずれている場合、第2境界部27は、これらのうち、より底部30に近い方の箇所をいう。
【0043】
小径部23の高さ方向の長さLは、例えば26mm以上としても良く、30mm以上としても良く、34mm以上としても良い。小径部23の高さ方向の長さLは、49mm以下としても良く、45mm以下としても良く、42mm以下としても良い。小径部23の外面23a及び内面23bは、それぞれプリフォーム10の中心軸CLに対して傾斜している。垂直断面において、小径部23の外面23aが中心軸CLに対して傾斜する角度θは、0°超としても良く、0.1°以上としても良く、0.2°以上としても良い。小径部23の外面23aが中心軸CLに対して傾斜する角度θは、5°以下としても良く、1°以下としても良く、0.7°以下としても良い。小径部23の外面23aが傾斜する角度θは、プリフォーム10を作製する際に、プリフォーム10を射出成形金型から抜きやすくするために設けられている角度(いわゆる抜き勾配)であっても良い。小径部23の内面23bが中心軸CLに対して傾斜する角度θは、0°超としても良く、0.1°以上としても良く、0.2°以上としても良い。小径部23の内面23bが中心軸CLに対して傾斜する角度θは、5°以下としても良く、1°以下としても良く、0.7°以下としても良い。角度θは、角度θと同一であっても良い。
【0044】
小径部23の水平断面は、高さ方向全体にわたって円形状である。小径部23の外面23aは、高さ方向に沿って変化する外径Dを有している。小径部23の内面23bは、高さ方向に沿って変化する内径D10を有している。小径部23の外径D及び内径D10は、それぞれ縮径部22側から底部30側に向けて徐々に細くなっている。なお、垂直断面において、小径部23の外面23aは全体として直線状であるが、小径部23の外面23aの一部が曲線状であっても良い。同様に、垂直断面において、小径部23の内面23bは全体として直線状であるが、小径部23の内面23bの一部が曲線状であっても良い。
【0045】
小径部23の厚みTは、縮径部22(第2境界部27)側から底部30(第1境界部26)側まで均一となっている。言い換えれば、小径部23の厚みTと、第2境界部27における厚みTと、第1境界部26における厚みTとは、互いに同一である(T=T=T)。小径部23の厚みT(=T=T)は、1.9mm以上としても良く、2.1mm以上としても良く、2.4mm以上としても良い。小径部23の厚みT(=T=T)は、3.7mm以下としても良く、3.4mm以下としても良く、3.1mm以下としても良い。
【0046】
第1境界部26における小径部23の外径D11は、13mm以上としても良く、15mm以上としても良く、16mm以上としても良い。第1境界部26における小径部23の外径D11は、24mm以下としても良く、22mm以下としても良く、20mm以下としても良い。第1境界部26における小径部23の内径D12は、例えば8mm以上としても良く、10mm以上としても良く、11mm以上としても良い。第1境界部26における小径部23の内径D12は、17mm以下としても良く、15mm以下としても良く、14mm以下としても良い。
【0047】
底部30は、小径部23の下部に連結されており、外面30aと内面30bとを有する。小径部23と底部30の境界には、第1境界部26が存在する。第1境界部26は、垂直断面において、小径部23の内面23bと底部30の内面30bとのなす角度、及び、小径部23の外面23aと底部30の外面30aとのなす角度が大きく変化する箇所である。言い換えれば、第1境界部26とは、垂直断面(図2)において、小径部23の内面23bから底部30の内面30bに向かう途中で、曲率半径が最初に100mm以下となる箇所、及び、小径部23の外面23aから底部30の外面30aに向かう途中で、曲率半径が最初に100mm以下となる箇所をいう。小径部23の内面23bと底部30の内面30bとのなす角度が大きく変化する箇所と、小径部23の外面23aと底部30の外面30aとのなす角度が大きく変化する箇所とが高さ方向にずれている場合、第1境界部26は、これらのうち、より口部11に近い方の箇所をいう。
【0048】
底部30の高さ方向の長さLは、例えば6mm以上としても良く、7mm以上としても良く、8mm以上としても良い。底部30の高さ方向の長さLは、12mm以下としても良く、11mm以下としても良く、10mm以下としても良い。底部30は、全体として略半球形状である。垂直断面において、底部30の外面30aは全体として半円形状であるが、底部30の外面30aが非円弧の部分を含む曲線形状であっても良い。同様に、垂直断面において、底部30の内面30bは全体として半円形状であるが、底部30の内面30bの一部が非円弧の部分を含む曲線形状であっても良い。垂直断面において、底部30の外面30aを構成する半円の中心Oは中心軸CLに存在する。また、底部30の内面30bを構成する半円の中心Oは中心軸CLに存在する。底部30の内面30bを構成する半円の中心Oは、底部30の外面30aを構成する半円の中心Oと同一の位置に存在しても良い。また、底部30の水平断面は、高さ方向全体にわたって円形状である。
【0049】
底部30の外面30aを構成する半円の曲率半径Rは、6mm以上としても良く、7mm以上としても良く、8mm以上としても良い。底部30の外面30aを構成する半円の曲率半径Rは、12mm以下としても良く、11mm以下としても良く、10mm以下としても良い。底部30の内面30bを構成する半円の曲率半径Rは、4mm以上としても良く、5mm以上としても良く、5.5mm以上としても良い。底部30の内面30bを構成する半円の曲率半径Rは、9mm以下としても良く、8mm以下としても良く、7.5mm以下としても良い。
【0050】
曲率半径Rに対する曲率半径Rの比(R/R)は、1.0超としても良く、1.1以上としても良く、1.2以上としても良い。曲率半径Rに対する曲率半径Rの比(R/R)は、1.9以下としても良く、1.7以下としても良く、1.6以下としても良い。上記比を1.9以下とすることにより、底部30の内面30bを構成する半円の曲率半径Rが小さくなりすぎず、小径部23の内面23bが中心軸CLに対して傾斜する角度θが大きくなりすぎて射出成形法によってプリフォーム10を作製しにくくなることを抑制できる。上記比を1.0超とすることにより、底部30の内面30bを構成する半円の曲率半径Rが大きくなりすぎず、第1境界部26における小径部23の厚みTを確保し、射出成形法によってプリフォーム10を作製しにくくなることを抑制できる。
【0051】
底部30の厚みTは、胴部20(第1境界部26)側から底部30の最下部31(底部30と中心軸CLとが交わる部分)に向けて徐々に薄くなっている。すなわち第1境界部26における底部30(小径部23)の厚みTは、最下部31における底部30の厚みTよりも厚い。第1境界部26における厚みTは、底部30の中で最も厚い。
【0052】
最下部31における底部30の厚みTは、1.5mm以上としても良く、1.8mm以上としても良く、2.0mm以上としても良い。最下部31における底部30の厚みTは、2.9mm以下としても良く、2.7mm以下としても良く、2.4mm以下としても良い。第1境界部26における底部30(小径部23)の厚みTに対する、最下部31における底部30の厚みTの割合(T/T)は、0.5以上としても良く、0.6以上としても良く、0.7以上としても良い。第1境界部26における底部30(小径部23)の厚みTに対する、最下部31における底部30の厚みTの割合(T/T)は、1.0以下としても良く、0.9以下としても良く、0.85以下としても良い。
【0053】
底部30の最下部31の厚みTは、大径部21の厚みTよりも厚くても良く、小径部23の厚みTよりも薄くても良い。すなわち、T<T<Tという関係が成立しても良い。
【0054】
胴部20と底部30との高さ方向の合計長さ(すなわちプリフォーム10のうち、サポートリング14よりも下の部分の高さ方向の長さ)は、Lであり、この合計長さLは、上述した長さL、L、L、及びLの合計である(L=L+L+L+L)。上記合計長さLは、41mm以上としても良く、47mm以上としても良く、53mm以上としても良い。上記合計長さLは、77mm以下としても良く、71mm以下としても良く、65mm以下としても良い。上記合計長さLが41mm以上となることにより、後述するプラスチックボトル40を成形するときの縦方向の延伸倍率が大きくなりすぎず、過延伸状態となることを抑制できる。これにより、プラスチックボトル40のヒール部49に白化とよばれる不具合が生じたり、ヒール部49の強度が低下したりすることを抑制できる。上記合計長さLが77mm以下となることにより、プリフォーム10の質量を一定とした場合、合計長さLを抑える分、胴部20の厚みが薄くなりにくい。このため、プラスチックボトル40を成形するときに胴部42が白化することを抑えられる。また、プリフォーム10の合計長さLが長すぎないことにより、縦延伸が小さくなったり、縦延伸しなくなったりすることを抑制できる。このため、プラスチックボトル40が容量100mL程度の背の低い小型ボトルであったとしても、成形しやすい。
【0055】
プリフォーム10の全長は、Lであり、この全長Lは、上述した合計長さLと長さLとの合計である(L=L+L)。プリフォーム10の全長Lは、56mm以上としても良く、64mm以上としても良く、72mm以上としても良い。プリフォーム10の全長Lは、104mm以下としても良く、96mm以下としても良く、88mm以下としても良い。
【0056】
プリフォーム10の口部11の質量をWとし、胴部20及び底部30の合計質量をWとする。このとき、口部11の質量Wは、3.0g以上としても良く、3.5g以上としても良く、4.0g以上としても良い。口部11の質量Wは、6.0g以下としても良く、5.5g以下としても良く、5.0g以下としても良い。胴部20及び底部30の合計質量Wは、7.0g以上としても良く、8.5g以上としても良く、9.5g以上としても良い。胴部20及び底部30の合計質量Wは、14.0g以下としても良く、13.0g以下としても良く、12.0g以下としても良い。プリフォーム10の全質量(W+W)は、10.5g以上としても良く、12.0g以上としても良く、13.5g以上としても良い。プリフォーム10の全質量(W+W)は、20g以下としても良く、18.5g以下としても良く、17.0g以下としても良い。
【0057】
プリフォーム10の主材料としては熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)を使用することが好ましく、植物由来のバイオマス系プラスチック、例えばPLA(ポリ乳酸)を用いることも可能である。あるいは、上述した各種樹脂をブレンドした樹脂を用いても良い。また、プリフォーム10は、2層以上の多層成形プリフォームとして形成することもできる。すなわち射出成形により、例えば、中間層をMXD6、MXD6+脂肪酸塩、PGA(ポリグリコール酸)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)又はPEN(ポリエチレンナフタレート)等のガスバリア性を有する樹脂(中間層)として3層以上からなるプリフォーム10として形成しても良い。
【0058】
またプリフォーム10は、バージンポリエステル又はケミカルリサイクルポリエステル(以下、単にバージンポリエステル等とも記す)を含んでいても良い。ここで、本明細書中、「バージンポリエステル」とは、リサイクル処理が施されていないポリエステル、すなわち、未使用のポリエステルのことをいう。また、本明細書中、「ケミカルリサイクルポリエステル」とは、ポリエステル容器をモノマーレベルまで分解して、再度重合することにより得られたポリエステルのことをいう。
【0059】
プリフォーム10がバージンポリエステル等を含む場合、バージンポリエステル等の含有量は、プリフォーム10に含まれる樹脂材料の総量100質量部に対し、20質量部以上100質量部以下であることが好ましく、60質量部以上90質量部以下であることがより好ましい。
【0060】
プリフォーム10がバージンポリエステルを含んでいる場合、バージンポリエステルは、アンチモン触媒ポリエステル、マンガン触媒ポリエステル、チタン触媒ポリエステル、アルミニウム触媒ポリエステル、リチウム触媒ポリエステル及びゲルマニウム触媒ポリエステルから選択されてもよい。本明細書において、例えば、アンチモン触媒ポリエステルとは、ポリエステルの製造時に、重合触媒として、アンチモン触媒が用いられたポリエステルを意味する。したがって、上記列挙したポリエステルは、重合触媒として、それぞれの触媒が用いられたポリエステルを意味する。
【0061】
アンチモン触媒としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、トリフェニルアンチモン、アンチモングリコールなどが挙げられる。
【0062】
マンガン触媒としては、例えば、酢酸マンガンなどの脂肪酸マンガン塩、炭酸マンガン、塩化マンガン、マンガンのアセチルアセトナート塩、水酸化マンガンなどが挙げられる。
【0063】
チタン触媒としては、例えば、テトラ-n-プロピルチタネート、テトラ-i-プロピルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネートテトラマー、テトラ-t-ブチルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラベンジルチタネート等のチタンアルコキシド、チタンアルコキシドの加水分解により得られるチタン酸化物、酢酸チタン、シュウ酸チタン、シュウ酸チタンカリウム、シュウ酸チタンナトリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸-水酸化アルミニウム混合物、塩化チタン、塩化チタン-塩化アルミニウム混合物、臭化チタン、フッ化チタン、六フッ化チタン酸カリウム、六フッ化チタン酸コバルト、六フッ化チタン酸マンガン、六フッ化チタン酸アンモニウム及びチタンアセチルアセトナートなどが挙げられる。
【0064】
アルミニウム触媒としては、例えば、アルミニウムトリスアセチルアセテート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)及びエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートなどが挙げられる。
【0065】
リチウム触媒としては、例えば、エチルリチウム、プロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム及びフェニルリチウムなどが挙げられる。
【0066】
ゲルマニウム触媒としては、例えば、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラメトキシド、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラプロポキシド、ゲルマニウムテトラブトキシド、ゲルマニウムテトラペンタキシド及びゲルマニウムテトラヘキソキシドなどが挙げられる。
【0067】
ここで、本実施の形態において、「ポリエステル」とは、ジカルボン酸化合物とジオール化合物との共重合体を意味する。
【0068】
ジカルボン酸化合物としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸及びエチルマロン酸、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’-ビス(4-カルボキシフェニル)フルオレン酸及びこれらのエステル誘導体などが挙げられる。
【0069】
ジオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール、デカヒドロナフタレンジメタノール、デカヒドロナフタレンジエタノール、ノルボルナンジメタノール、ノルボルナンジエタノール、トリシクロデカンジメタノール、トリシクロデカンエタノール、テトラシクロドデカンジメタノール、テトラシクロドデカンジエタノール、デカリンジメタノール、デカリンジエタノール、5-メチロール-5-エチル-2-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-1,3-ジオキサン、シクロヘキサンジオール、ビシクロヘキシル-4,4’-ジオール、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシルプロパン)、2,2-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)プロパン、シクロペンタンジオール、3-メチル-1,2-シクロペンタジオール、4-シクロペンテン-1,3-ジオール、アダマンジオール、パラキシレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS,スチレングリコール、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトールなどが挙げられる。
【0070】
ポリエステルの中でも、テレフタル酸と、エチレングリコールとの共重合体であるポリエチレンテレフタレート、又はこれに共重合モノマーが添加された改質ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0071】
また、ポリエステルは、バイオマス由来のポリエチレンテレフタレートであってもよく、化石燃料由来のポリエチレンテレフタレートであってもよい。バイオマス由来のポリエチレンテレフタレートは、ジカルボン酸化合物が化石燃料由来のテレフタル酸であり、ジオール化合物がバイオマス由来のエチレングリコールであるポリエチレンテレフタレートであってもよい。このように、プリフォーム10がバイオマス由来のポリエチレンテレフタレートを含むことにより、プラスチックボトル40の環境負荷低減性を向上できる。
【0072】
本実施の形態の特性を損なわない範囲において、ポリエステルは、ジカルボン酸化合物及びジオール化合物以外のモノマーを含んでいてもよいが、その含有量は、全構成単位に対し、10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましく、3モル%以下であることがさらに好ましい。
【0073】
また、プリフォーム10は、メカニカルリサイクルポリエステルを含んでいても良い。この場合、プラスチックボトル40の環境負荷低減性を向上できる。ここで、本明細書中、「メカニカルリサイクルポリエステル」とは、ポリエステル容器を選別・粉砕・洗浄して汚染物質や異物を除去し、フレークを得て、フレークを更に高温・減圧下等で一定時間処理して樹脂内部の汚染物質を除去することにより得られたポリエステルのことをいう。メカニカルリサイクルポリエステルは、二種以上の触媒を含むものであっても良い。この場合、メカニカルリサイクルポリエステルは、例えば、アンチモン触媒ポリエステル、マンガン触媒ポリエステル、チタン触媒ポリエステル、アルミニウム触媒ポリエステル、リチウム触媒ポリエステル及びゲルマニウム触媒ポリエステルのうちの二種以上を含んでも良い。
【0074】
プリフォーム10がメカニカルリサイクルポリエステルを含む場合、メカニカルリサイクルポリエステルの含有量は、プリフォーム10に含まれる樹脂材料の総量100質量部に対し、20質量部以上100質量部以下であることが好ましく、60質量部以上90質量部以下であることがより好ましい。
【0075】
本実施の形態の特性を損なわない範囲において、プリフォーム10は、添加剤を含んでいてもよく、例えば、酸素吸収剤、ガスバリア性樹脂(ナイロン6、ナイロン6,6及びポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)などのポリアミド)、可塑剤、紫外線安定化剤、酸化防止剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、アセトアルデヒド吸収剤(例えば、Color Matrix社製のAA Scavengers)及び着色剤などが挙げられる。
【0076】
次に、図4により、このようなプリフォーム10を二軸延伸ブロー成形することにより作製された、プラスチックボトルの一例について説明する。なお、上述したプリフォーム10を用いて作製されるプラスチックボトルは、これに限定されないことは勿論である。例えば、プラスチックボトルは、ペタロイドボトルであっても良い。また、プラスチックボトル40は、二軸延伸ブロー成形のほか、ダイレクトブロー成形等の各種成形法によって作製されても良い。
【0077】
図4において、プラスチックボトル40は、口部41と、略円筒状の胴部42と、底部43とを備えている。胴部42は、口部41の下方に連続して設けられる。底部43は、胴部42の下方に連続して設けられる。口部41と胴部42との間には、首部44が位置する。首部44と胴部42との間には、肩部48が位置している。
【0078】
口部41外周には、図示しないキャップを螺合するためのねじ部46が設けられている。ねじ部46は、上述したプリフォーム10のねじ部13に対応する。口部41外周のうちねじ部46の下方部分には、外方に突出する環状のサポートリング47が設けられている。サポートリング47は、上述したプリフォーム10のサポートリング14に対応する。
【0079】
胴部42は、上述したように略円筒状である。胴部42には、複数の水平溝45が形成されている。肩部48の水平断面は略円形状であり、肩部48の水平断面の面積は、首部44側から胴部42側へ向けて徐々に大きくなっている。
【0080】
底部43のうち半径方向外側の部分には、ヒール部49が形成されている。ヒール部49は、底部43の周方向全域にわたって環状に設けられる。ヒール部49は、概ね上述したプリフォーム10の第1境界部26に対応しており、ブロー成形の際、底部43のうち最も薄く延伸される部分である。
【0081】
このようなプラスチックボトル40のサイズは限定されるものではなく、どのようなサイズのボトルからなっていても良い。プラスチックボトル40の満注容量は、例えば100ml以上としても良く、200ml以上としても良く、300ml以上としても良い。プラスチックボトル40の満注容量は、例えばは、600ml以下としても良く、550ml以下としても良く、530ml以下としても良い。
【0082】
肩部48のうち、首部44の近傍領域における肉厚は、胴部42の近傍領域における肉厚よりも厚い。
【0083】
具体的には、肩部48のうち、サポートリング47から10mm離れた位置(首部44の近傍領域)における肉厚は、例えば1.60mm以上としても良く、1.70mm以上としても良く、1.80mm以上としても良い。肩部48のうち、サポートリング47から10mm離れた位置(首部44の近傍領域)における肉厚は、例えば、2.50mm以下としても良く、2.40mm以下としても良く、2.20mm以下としても良い。
【0084】
また肩部48のうち、サポートリング47から20mm離れた位置(胴部42の近傍領域)における肉厚は、例えば1.00mm以上としても良く、1.02mm以上としても良く、1.05mm以上としても良い。肩部48のうち、サポートリング47から20mm離れた位置(胴部42の近傍領域)における肉厚は、例えば、1.20mm以下としても良く、1.17mm以下としても良く、1.15mm以下としても良い。肩部48のうち、サポートリング47から20mm離れた位置(胴部42の近傍領域)における肉厚を1.00mm以上とすることにより、肩部48のうち胴部42の近傍領域が変形することを抑止できる。
【0085】
また底部43のヒール部49における肉厚は、これに限定されるものではないが、例えば0.07mm以上としても良く、0.08mm以上としても良く、0.09mm以上としても良い。ヒール部49における肉厚は、例えば、0.30mm以下としても良く、0.25mm以下としても良く、0.20mm以下としても良い。ヒール部49における肉厚を0.30mm以下としたことにより、プラスチックボトル40の軽量化を図ることができる。一方、ヒール部49における肉厚を0.07mm以上としたことにより、プラスチックボトル40を自動販売機に収容したときや、プラスチックボトル40が落下したときに、底部43が飛び出して永久変形することを抑止できる。
【0086】
次に、本実施の形態によるプリフォーム10を用いてプラスチックボトル40を製造する方法について述べる。
【0087】
まず図1及び図2に示すプリフォーム10を準備する(図5(a))。この場合、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱可塑性樹脂製ペレットを図示しない射出成形機に投入し、このペレットが射出成形機によって加熱溶融及び加圧される。その後、ペレットは加圧された溶融プラスチックとなって、プリフォーム10に対応する内部形状を有する射出成形金型内に射出される。所定時間の経過後、射出成形金型内で溶融プラスチックが硬化し、プリフォーム10が形成される。その後、射出成形金型を分離し、射出成形金型内から図1及び図2に示すプリフォーム10を取り出す。なお、プリフォーム10は、射出成形法のほか、圧縮成形法等の各種成形法によって作製されても良い。
【0088】
次に、プリフォーム10は、加熱装置51によって加熱される(図5(b))。このとき、プリフォーム10は、口部11を下方に向けた状態で回転しながら、加熱装置51によって周方向に均等に加熱される。加熱工程におけるプリフォーム10の加熱温度は、例えば90℃乃至130℃としても良い。
【0089】
続いて、加熱装置51によって加熱されたプリフォーム10は、ブロー成形金型50に送られる(図5(c))。
【0090】
プラスチックボトル40は、ブロー成形金型50を用いて成形される。この場合、ブロー成形金型50は互いに分割された一対の胴部金型50a、50bと、底部金型50cとを含む(図5(c))。図5(c)において、一対の胴部金型50a、50b間は互いに開いており、底部金型50cは上方に上がっている。この状態で一対の胴部金型50a、50b間に、プリフォーム10が挿入される。
【0091】
次に図5(d)に示すように、底部金型50cが下がったのちに一対の胴部金型50a、50bが閉鎖され、一対の胴部金型50a、50b及び底部金型50cにより密閉されたブロー成形金型50が構成される。次にプリフォーム10内に空気が圧入され、プリフォーム10に対して二軸延伸ブロー成形が施される。
【0092】
このことにより、ブロー成形金型50内でプリフォーム10からプラスチックボトル40が得られる。この間、胴部金型50a、50bは30℃乃至80℃まで加熱され、底部金型50cは5℃乃至25℃まで冷却される。この際、ブロー成形金型50内では、プリフォーム10が膨張され、ブロー成形金型50の内面に対応する形状に賦形される。
【0093】
その後、図5(e)に示すように、一対の胴部金型50a、50b及び底部金型50cが互いに離れ、ブロー成形金型50内からプラスチックボトル40が取出される。このようにして、図4に示すプラスチックボトル40が得られる。
【0094】
以上説明したように、本実施の形態によれば、縮径部22の厚みTは、大径部21側から小径部23側まで縮径部22の全域にわたり増加する。これにより、縮径部22のうち小径部23の近傍領域の厚みが厚くなるので、ブロー成形後、プラスチックボトル40の肩部48のうち胴部42の近傍領域を厚くできる。この結果、肩部48に白化が生じたり、肩部48の強度が低下したりすることを抑制できる。とりわけ、プラスチックボトル40の質量を増加することなく、肩部48が薄くなることを抑制できるため、プラスチックボトル40の軽量化を阻害しない。
【0095】
また、本実施の形態によれば、大径部21は、胴部20及び底部30のうち最も厚みの薄い部分であっても良い。このように大径部21を薄くすることにより、ブロー成形時にプラスチックボトル40の首部44周辺を十分に延伸できる。
【0096】
さらに、本実施の形態によれば、底部30の最下部31の厚みTは、大径部21の厚みTよりも厚く、小径部23の厚みTよりも薄くても良い。このように大径部21を薄くする場合、ブロー成形時にプラスチックボトル40の首部44周辺を十分に延伸できる。またプラスチックボトル40の成形時に延伸されにくいプリフォーム10の底部30の厚みを薄くすることで、同じ重量のプリフォーム10でも延伸される胴部42やヒール部49に厚みをもたせることが可能となる。これによりプリフォーム10の軽量化が可能になる。
【0097】
(第2の実施の形態)
次に、図6及び図7を参照して第2の実施の形態について説明する。図6及び図7は第2の実施の形態を示す図である。図6及び図7に示す第2の実施の形態は、主として、縮径部22の構成が異なるものであり、他の構成は上述した第1の実施の形態と略同一である。図6及び図7において、図1乃至図5に示す第1の実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0098】
図6に示すように、本実施の形態によるプリフォーム10は、口部11と、口部11に連結された胴部20と、胴部20に連結された底部30とを備える。口部11は、サポートリング14と、開口部15とを有する。胴部20は、大径部21と、小径部23と、縮径部22とを有する。大径部21は、口部11側に位置する。小径部23は、底部30側に位置する。縮径部22は、大径部21と小径部23との間に位置する。縮径部22は、大径部21側から小径部23側に向けて縮径する。サポートリング14からの距離Lを基準とする縮径部22の厚みTの傾き(dT/dL)(mm/mm)の最大値は、0.15以上0.30以下である。
【0099】
本実施の形態において、縮径部22の厚みTは、大径部21(第3境界部28)側から小径部23(第2境界部27)側に向けて減少した後、増加し、その後再び減少する。すなわち図6に示すように、縮径部22の途中に第1中間部分22mと第2中間部分22nとが存在する。縮径部22の厚みTは、大径部21(第3境界部28)と第1中間部分22mとの間において、大径部21側から小径部23側に向けて減少する。また、縮径部22の厚みTは、第1中間部分22mと第2中間部分22nとの間において、大径部21側から小径部23側に向けて増加する。さらに、縮径部22の厚みTは、第2中間部分22nと小径部23(第2境界部27)との間において、大径部21側から小径部23側に向けて減少する。縮径部22の厚みTの測定方法は、第1の実施の形態の場合と同様である。
【0100】
図7は、本実施の形態において、大径部21、縮径部22及び小径部23の厚みの変化の概略を示すグラフである。図7において、横軸は、サポートリング14からの距離L(mm)であって、プリフォーム10の中心軸CLの方向に沿う距離を示す。縦軸は、大径部21の厚みT、縮径部22の厚みT及び小径部23の厚みT(mm)を示す。
【0101】
図7に示すように、大径部21の厚みTは、サポートリング14からの距離Lによらず略一定値となっている。同様に、小径部23の厚みTは、サポートリング14からの距離Lによらず略一定値となっている。小径部23の厚みTは、大径部21の厚みTよりも厚い(T>T)。縮径部22の厚みTは、第3境界部28から第1中間部分22mまで減少し、第1中間部分22mから第2中間部分22nまで増加し、第2中間部分22nから第2境界部27まで減少する。距離Lを基準とする縮径部22の厚みTの傾き(dT/dL)は、第3境界部28から第1中間部分22mまで負となり、第1中間部分22mから第2中間部分22nまで正となり、第2中間部分22nから第2境界部27まで負となる。
【0102】
縮径部22における傾き(dT/dL)の最大値(mm/mm)は、0.15以上としても良く、0.17以上としても良く、0.19以上としても良い。縮径部22における傾き(dT/dL)の最大値(mm/mm)は、0.30以下としても良く、0.28以下としても良く、0.26以下としても良い。縮径部22における傾き(dT/dL)が最大となる位置Pmaxの、サポートリング14からの距離LをL=L+βLとする。このとき、βは、0.2以上であっても良く、0.3以上であっても良く、0.4以上であっても良い。βは、0.9以下であっても良く、0.8以下であっても良く、0.7以下であっても良い。
【0103】
縮径部22における傾き(dT/dL)が0となるのは、第1中間部分22mと第2中間部分22nである。第1中間部分22mの、サポートリング14からの距離LをL=L+γLとする。このとき、γは、0.05以上であっても良く、0.10以上であっても良く、0.15以上であっても良い。γは、0.40以下であっても良く、0.35以下であっても良く、0.30以下であっても良い。第2中間部分22nの、サポートリング14からの距離LをL=L+δLとする。このとき、δは、0.50以上であっても良く、0.55以上であっても良く、0.60以上であっても良い。δは、0.90以下であっても良く、0.85以下であっても良く、0.80以下であっても良い。なお、γ<β<δとなる。
【0104】
第1中間部分22mは、胴部20のうち最も厚みの薄い部分であっても良く、胴部20及び底部30のうち最も厚みの薄い部分であっても良い。第2中間部分22nは、胴部20のうち最も厚みの厚い部分であっても良く、胴部20及び底部30のうち最も厚みの厚い部分であっても良い。なお、第2中間部分22nは存在しなくても良い。この場合、縮径部22の厚みTは、第3境界部28から第1中間部分22mまで減少し、第1中間部分22mから第2境界部27まで連続的に増加しても良い。
【0105】
なお、上記以外のプリフォーム10の構成は、第1の実施の形態によるプリフォーム10の構成と略同様としても良い。また、本実施の形態によるプリフォーム10を用いたプラスチックボトル40の製造方法、及び、本実施の形態によるプリフォーム10を用いて作製されたプラスチックボトル40についても、第1の実施の形態の場合と略同様としても良い。
【0106】
本実施の形態によれば、サポートリング14からの距離Lを基準とする縮径部22の厚みTの傾き(dT/dL)(mm/mm)の最大値は、0.15以上0.30以下である。これにより、縮径部22の厚みTを、大径部21側から小径部23側へ向けて急激に厚くできる。これにより、縮径部22のうち大径部21の近傍領域の厚みが薄くなるので、プラスチックボトル40の首部44周辺を十分に延伸できる。このため、ブロー成形時にプラスチックボトル40(図4参照)の首部44周辺を十分に延伸できる。また縮径部22のうち小径部23の近傍領域の厚みを厚くできるので、プラスチックボトル40の肩部48のうち胴部42の近傍領域を厚くできる。この結果、肩部48に白化が生じたり、肩部48の強度が低下したりすることを抑制できる。とりわけ、プラスチックボトル40の質量を増加させることなく、肩部48が薄くなることを抑制できるため、プラスチックボトル40の軽量化を阻害しない。
【0107】
また、本実施の形態によれば、縮径部22の途中に第1中間部分22mが存在し、縮径部22の厚みTは、大径部21と第1中間部分22mとの間において、大径部21側から小径部23側に向けて減少する。第1中間部分22mは、胴部20のうち最も厚みの薄い部分であっても良い。これにより、ブロー成形時にプラスチックボトル40の首部44周辺を十分に延伸できる。
【0108】
さらに、本実施の形態によれば、縮径部22の途中に第2中間部分22nが存在し、縮径部22の厚みTは、第1中間部分22mと第2中間部分22nとの間において、大径部21側から小径部23側に向けて増加する。第2中間部分22nは、胴部20のうち最も厚みの薄い部分であっても良い。これにより、縮径部22のうち小径部23の近傍領域の厚みを厚くできるので、プラスチックボトル40の肩部48のうち胴部42の近傍領域を厚くできる。この結果、肩部48に白化が生じたり、肩部48の強度が低下したりすることを抑制できる。
【0109】
[実施例]
次に、上記各実施の形態における具体的実施例について説明する。
【0110】
(実施例1)
図1及び図2に示す構成をもつポリエチレンテレフタレート製のプリフォーム(実施例1)を作製した。プリフォームの大径部の厚み(T)は、2.07mmであり、第2境界部における縮径部の厚み(T)は、2.83mmであった。縮径部の高さ方向の長さ(L)は、9.20mmであった。このほか、実施例1のプリフォームの質量及び寸法は、以下に示す表1のとおりであった。
【0111】
(実施例2)
図8に示す構成をもつポリエチレンテレフタレート製のプリフォーム(実施例2)を作製した。プリフォームの大径部の厚み(T)は、2.07mmであり、第2境界部における縮径部の厚み(T)は、2.78mmであった。縮径部の高さ方向の長さ(L)は、9.20mmであった。このほか、実施例2のプリフォームの質量及び寸法は、以下に示す表1のとおりであった。
【0112】
(実施例3)
図6に示す構成をもつポリエチレンテレフタレート製のプリフォーム(実施例3)を作製した。プリフォームの大径部の厚み(T)は、2.07mmであり、第2境界部における縮径部の厚み(T)は、2.76mmであった。縮径部の高さ方向の長さ(L)は、9.19mmであった。このほか、実施例3のプリフォームの質量及び寸法は、以下に示す表1のとおりであった。
【0113】
(実施例4)
図9に示す構成をもつポリエチレンテレフタレート製のプリフォーム(実施例4)を作製した。プリフォームの大径部の厚み(T)は、2.07mmであり、第2境界部における縮径部の厚み(T)は、2.68mmであった。縮径部の高さ方向の長さ(L)は、9.19mmであった。このほか、実施例4のプリフォームの質量及び寸法は、以下に示す表1のとおりであった。
【0114】
(比較例1)
図12に示す構成をもつポリエチレンテレフタレート製のプリフォーム(比較例1)を作製した。プリフォームの大径部の厚み(T)は、2.07mmであり、第2境界部における縮径部の厚み(T)は、2.68mmであった。縮径部の高さ方向の長さ(L)は、9.19mmであった。このほか、比較例1のプリフォームの質量及び寸法は、以下に示す表1のとおりであった。
【0115】
【表1】
【0116】
[胴部の肉厚分布]
上記5種類のプリフォーム(実施例1-4、比較例1)の胴部の厚みを測定し、グラフ化した。このグラフを図10に示す。図10において、横軸は、サポートリングからの距離(mm)であって、プリフォームの中心軸の方向に沿う距離を示す。縦軸は、大径部、縮径部及び小径部の厚み(mm)を示す。
【0117】
図10に示すように、実施例1及び実施例2のプリフォームは、それぞれ縮径部の厚みが大径部側から小径部側まで、縮径部の全域にわたり増加していた。実施例3-4のプリフォームは、縮径部の厚みが大径部側から減少した後、徐々に増加し、その後小径部側まで減少した。比較例1のプリフォームは、縮径部の厚みが大径部側から減少した後、小径部側まで徐々に増加していた。実施例1-5のプリフォームの、サポートリングからの距離を基準とする縮径部の厚みの傾き(mm/mm)の最大値は、下記の表2のとおりであった。
【0118】
【表2】
【0119】
[評価]
上記5種類のプリフォーム(実施例1-4、比較例1)をそれぞれブロー成形することにより、図4に示すプラスチックボトルを作製した。ブロー成形は、1個取りのブロー成形機(ドイツ KHS Corpoplast社製 LB01)を使用して行った。プリフォームの加熱温度は116℃とした。プラスチックボトルの高さは207mm、最大胴径は644mm、満注容量は530mlであった。
【0120】
次に、5種類のプリフォーム(実施例1-4、比較例1)から作製したプラスチックボトルについて、サポートリングからの距離が10mmの位置から20mmの位置まで、肩部の厚みを2mm間隔で6か所測定した。厚みは、パーティングラインとその反対方向の2ヶ所を測定し、これら平均値を求めた。また、それぞれプラスチックボトルを2本ずつ作製し、合計4つの値の平均値を求めた。この結果を図11に示す。
【0121】
図11に示すように、実施例1-4のプラスチックボトルは、肩部のうち、サポートリングからの距離が20mmの領域(胴部近傍領域)が厚くなった。これに対して、比較例1のプラスチックボトルは、肩部のうち、サポートリングからの距離が20mmの領域(胴部近傍領域)が薄くなった。また、実施例3-4のプラスチックボトルは、肩部のうち、サポートリングからの距離が10mmから14mmまでの領域(首部近傍領域)を薄くできた。
【符号の説明】
【0122】
10 プリフォーム
11 口部
12 口部本体
13 ねじ部
14 サポートリング
15 開口部
20 胴部
21 大径部
22 縮径部
22m 第1中間部分
22n 第2中間部分
23 小径部
26 第1境界部
27 第2境界部
28 第3境界部
30 底部
31 最下部
40 プラスチックボトル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12