(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025508
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】モータ装置及びモータ装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 9/19 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
H02K9/19 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130326
(22)【出願日】2023-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小柴 敦誉
(72)【発明者】
【氏名】南浦 明
(72)【発明者】
【氏名】山中 真先
(72)【発明者】
【氏名】杉本 幸彦
【テーマコード(参考)】
5H609
【Fターム(参考)】
5H609PP02
5H609PP05
5H609PP06
5H609QQ01
5H609RR34
5H609RR40
(57)【要約】
【課題】冷媒流路を備えつつ、容易に組み立てることができるモータ装置を提供すること。
【解決手段】モータ装置1は、ステータコアと、ステータコアの周囲に配置され、ステータコアに固定される固定リングと、固定リングの周囲に配置されるモータケースと、固定リングとモータケースとの間に設けられる冷媒流路と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータコアと、
前記ステータコアの周囲に配置され、前記ステータコアに固定される固定リングと、
前記固定リングの周囲に配置されるモータケースと、
前記固定リングと前記モータケースとの間に設けられる冷媒流路と、を備える、
モータ装置。
【請求項2】
前記冷媒流路よりも軸方向一方側の前記固定リングと前記モータケースとの境界をシールする第1シール部材と、
前記冷媒流路よりも軸方向他方側の前記固定リングと前記モータケースとの境界をシールする第2シール部材と、を備える、
請求項1に記載のモータ装置。
【請求項3】
前記固定リングは、
前記ステータコアの周囲に配置される筒部と、
前記筒部の軸方向一方側の端部に設けられる上部フランジ部と、を有し、
前記モータケースは、
前記固定リングの前記筒部の周囲に配置されるケース筒部と、
前記ケース筒部の軸方向一方側の端部に配置されるケースフランジ部と、
前記ケース筒部の軸方向他方側の端部に配置されるケース底部と、を有し、
前記第1シール部材は、前記上部フランジ部と前記ケースフランジ部との境界をシールする、
請求項2に記載のモータ装置。
【請求項4】
前記固定リングは、
前記筒部の軸方向他方側の端部に設けられる下部フランジ部を有し、
前記第2シール部材は、前記下部フランジ部と前記ケース底部との境界をシールする、
請求項3に記載のモータ装置。
【請求項5】
前記冷媒流路は、波形状を描くように前記ケース筒部の内周面に形成される、
請求項3に記載のモータ装置。
【請求項6】
前記上部フランジ部にボルト挿通孔が設けられ、
前記モータケースにねじ穴が設けられ、
前記ボルト挿通孔を介して前記ねじ穴にボルトが差し込まれる、
請求項3に記載のモータ装置。
【請求項7】
前記上部フランジ部に前記モータケースとの位置決め用の開口が設けられる、
請求項3に記載のモータ装置。
【請求項8】
ステータコアに固定リングを焼き嵌めすることと、
モータケースのモータ筒部の内周面に冷媒流路を形成することと、
前記固定リングを前記モータケースに挿入することと、を含む、
モータ装置の製造方法。
【請求項9】
前記モータケースに前記固定リングを圧入することによって、前記モータケースと前記固定リングとが固定されることを含む、
請求項7に記載のモータ装置の製造方法。
【請求項10】
前記モータケースと前記固定リングとをボルトによって固定することを含む、
請求項7に記載のモータ装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モータ装置及びモータ装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モータ装置に係る技術分野において、特許文献1に開示されているような、ステータコア冷却構造が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷媒流路を備えつつ、容易に組み立てることができるモータ装置が要望される。
【0005】
本開示は、冷媒流路を備えつつ、容易に組み立てることができるモータ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、ステータコアと、ステータコアの周囲に配置され、ステータコアに固定される固定リングと、固定リングの周囲に配置されるモータケースと、固定リングとモータケースとの間に設けられる冷媒流路と、を備える、モータ装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、冷媒流路を備えつつ、容易に組み立てることができるモータ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るモータ装置を示す縦断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るモータ装置を示す平断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るモータ装置の一部を示す縦断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るケース本体を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る固定リングを示す斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るステータの位置決め構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
実施形態においては、ロータ7の回転軸AXと平行な方向を適宜、軸方向、と称する。ロータ7の回転軸AXの放射方向を適宜、径方向、と称する。ロータ7の回転軸AXを周回する方向を適宜、周方向又は回転方向、と称する。
【0011】
軸方向の一方側の位置又は一方側の方向を適宜、上側又は上方向、と称し、軸方向の他方側の位置又は他方側の方向を適宜、下側又は下方向、と称する。径方向において、ロータ7の回転軸AXに近い位置又は接近する方向を適宜、径方向内側又は内方向、と称し、ロータ7の回転軸AXから遠い位置又は離隔する方向を適宜、径方向外側又は外方向、と称する。周方向の一方側の位置又は一方側の方向を適宜、正転側又は正転方向、と称し、周方向の他方側の位置又は他方側の方向を適宜、逆転側又は逆転方向、と称する。
【0012】
[モータ装置]
図1は、実施形態に係るモータ装置1を示す縦断面図である。
図2は、実施形態に係るモータ装置1を示す平断面図である。
図2は、
図1のA-A線断面矢視図に相当する。モータ装置1は、例えば建設機械の一種である電動式油圧ショベルの油圧ポンプを駆動させるための回転力を発生する。
【0013】
モータ装置1は、モータアセンブリ2と、モータケース3とを有する。モータアセンブリ2は、ロータ7と、ステータ8と、固定リング9とを備える。モータアセンブリ2は、インナロータ型である。ステータ8は、ロータ7の周囲に配置される。ロータ7は、回転軸AXを中心に回転する。
【0014】
ロータ7は、ロータコア7Aと、マグネット7Bと、ロータシャフト7Cとを有する。
【0015】
ロータコア7Aは、積層された複数の鋼板を含む。鋼板は、鉄を主成分とする金属製の板である。ロータコア7Aは、回転軸AXを囲むように配置される。
【0016】
マグネット7Bは、永久磁石である。マグネット7Bは、ロータコア7Aに支持される。マグネット7Bは、ロータコア7Aの内部に配置される。マグネット7Bは、回転軸AXの周囲に複数配置される。
【0017】
ロータコア7Aは、周方向に間隔をあけて設けられた複数の磁石孔を有する。複数の磁石孔は、周方向に等間隔で設けられる。磁石孔は、ロータコア7Aの上端面と下端面とを貫くように形成される。マグネット7Bは、磁石孔に配置される。実施形態において、磁石孔の数は、24個である。実施形態において、マグネット7Bは、軸方向に複数分割されてロータコア7Aの内部に配置されている。
【0018】
ロータシャフト7Cは、軸方向に延伸する。ロータシャフト7Cの中心軸と回転軸AXとは、一致する。ロータシャフト7Cは、ロータコア7Aの内側に配置される。ロータコア7Aとロータシャフト7Cとは固定される。ロータシャフト7Cの上部は、ロータコア7Aの上端面から上側に突出する。ロータシャフト7Cの下部は、ロータコア7Aの下端面から下側に突出する。
【0019】
ステータ8は、ステータコア13と、ステータコア13に固定されるインシュレータ14と、インシュレータ14を介してステータコア13に装着されるコイル15とを備える。
【0020】
ステータコア13は、ロータコア7Aの周囲に配置される。ステータコア13は、積層された複数の鋼板を含む。鋼板は、鉄を主成分とする金属製の板である。ステータコア13は、円環状のヨークと、ヨークの内周面から径方向内側に突出する複数のティースとを有する。ヨークは、回転軸AXを囲むように配置される。ティースは、周方向に複数配置される。複数のティースは、周方向に等間隔で配置される。隣り合う一対のティースの間には、スロットが設けられる。
【0021】
インシュレータ14は、ステータコア13の表面の少なくとも一部を覆うように配置される。インシュレータ14は、合成樹脂製の電気絶縁部材である。インシュレータ14は、ステータコア13に固定される。ステータコア13とコイル15とは、インシュレータ14により電気的に絶縁される。実施形態において、インシュレータ14は、例えば射出成形法のような任意の成形法により成形された後、ステータコア13に装着される。
【0022】
コイル15は、インシュレータ14を介してティースに巻かれる。実施形態において、コイル15は、ティースに集中巻によって巻かれている。コイル15の一部は、スロットの内側に配置される。コイル15の一部は、ステータコア13の上端面から上側に突出する。コイル15の一部は、ステータコア13の下端面から下側に突出する。実施形態において、コイル15は、1つのティースに1つずつ巻かれる。すなわち、1つのティースに1つのコイル15が巻かれる。
【0023】
固定リング9は、ステータコア13の周囲に配置される。固定リング9は、ステータコア13に固定される。
【0024】
モータケース3は、モータアセンブリ2を収容する。モータケース3は、ロータ7と、ステータ8と、固定リング9とを収容する。モータケース3は、固定リング9の周囲に配置される。モータケース3は、ケース本体4と、ケース蓋5とを有する。
【0025】
図3は、実施形態に係るモータ装置1の一部を示す縦断面図である。
図3は、
図1の一部を拡大した図に相当する。
図4は、実施形態に係るケース本体4を示す斜視図である。
図5は、実施形態に係る固定リング9を示す斜視図である。ケース本体4は、ケース筒部4Aと、ケース筒部4Aの下端部に配置されるケース底部4Bと、ケース筒部4Aの上端部に配置されるケースフランジ部4Cとを有する。ケース本体4は、冷媒供給回路21と、冷媒排出回路22とを有する。
【0026】
ケース底部4Bには、シール部材12を挿入するための溝4Eが設けられる。溝4Eは、ケース筒部4Aの径方向内側に配置される。
【0027】
ケースフランジ部4Cは、ケース筒部4Aの上端部から径方向外側に拡がる。ケースフランジ部4Cには、複数のねじ穴4Dが設けられる。ねじ穴4Dの内面には、ねじ溝が形成される。ねじ穴4Dは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。ケースフランジ部4Cには、シール部材11を挿入するための溝4Fが設けられる。溝4Fは、ねじ穴4Dよりも径方向内側に配置される。
【0028】
ケース筒部4Aの内周面には、冷媒流路23が形成される。冷媒流路23は、ケース筒部4Aの内周面から径方向外側に窪むように形成される。冷媒流路23は、波形状を描くようにケース筒部4Aの内周面に形成される。冷媒流路23は、回転軸AXの周囲を周回するように設けられる。なお、冷媒流路23は、螺旋状であってもよい。
【0029】
ケース蓋5は、ケース本体4の上端部の開口を塞ぐように配置される。モータケース3の内部空間は、密閉空間である。
【0030】
固定リング9は、ステータコア13の周囲に配置される筒部9Aと、筒部9Aの下端部に設けられる下部フランジ部9Bと、筒部9Aの上端部に設けられる上部フランジ部9Cと、を有する。
【0031】
筒部9Aは、回転軸AXを囲むように配置される。筒部9Aは、ステータコア13の外周面に接触する。ケース筒部4Aは、筒部9Aの周囲に配置される。ケース筒部4Aは、筒部9Aの外周面に接触する。冷媒流路23は、固定リング9の筒部9Aとモータケース3のケース筒部4Aとの間に設けられる。
【0032】
下部フランジ部9Bは、筒部9Aの下端部から径方向内側に拡がる。下部フランジ部9Bは、ケース底部4Bに対向する。下部フランジ部9Bは、ケース底部4Bの溝4Eを覆うように形成される。
【0033】
上部フランジ部9Cは、筒部9Aの上端部から径方向外側に拡がる。上部フランジ部9Cは、ケースフランジ部4C及びケース蓋5のそれぞれに対向する。上部フランジ部9Cは、ケース蓋5とケースフランジ部4Cとに挟まれる。上部フランジ部9Cは、ケースフランジ部4Cの溝4Fを覆うように形成される。
【0034】
上部フランジ部9Cには、ボルト6を挿入するための複数のボルト挿通孔9Dが設けられる。ボルト挿通孔9Dは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。上部フランジ部9Cには、シール部材10を挿入するための溝9Eが設けられる。溝9Eは、ボルト挿通孔9Dよりも径方向内側に配置される。上部フランジ部9Cの溝9Eは、ケース蓋5によって覆われている。
【0035】
ケース蓋5には、ボルト6を挿入するための複数のボルト挿通孔5Dが設けられる。回転軸AXに直交する面内において、ケース蓋5のボルト挿通孔5Dの位置と、上部フランジ部9Cのボルト挿通孔9Dの位置と、ねじ穴4Dの位置とは一致する。ボルト6は、ケース蓋5のボルト挿通孔5D及び上部フランジ部9Cのボルト挿通孔9Dを介してねじ穴4Dに差し込まれる。ボルト6により、ケース蓋5と固定リング9とケース本体4とが締結される。
【0036】
モータ装置1は、冷媒流路23よりも上側の固定リング9とモータケース3との境界をシールするシール部材10及びシール部材11と、冷媒流路23よりも下側の固定リング9とモータケース3との境界をシールするシール部材12と、を備える。
【0037】
シール部材10は、上部フランジ部9Cの溝9Eに挿入される。シール部材10は、ケース蓋5と上部フランジ部9Cとの境界をシールする。シール部材10は、ボルト6よりも径方向内側に配置されるOリングを含む。
【0038】
シール部材11は、ケースフランジ部4Cの溝4Fに挿入される。シール部材11は、上部フランジ部9Cとケースフランジ部4Cとの境界をシールする。シール部材11は、ボルト6よりも径方向内側に配置されるOリングを含む。
【0039】
シール部材12は、ケース底部4Bの溝4Eに挿入される。シール部材12は、下部フランジ部9Bとケース底部4Bとの境界をシールする。シール部材12は、ケース筒部4Aの径方向内側に配置されるOリングを含む。
【0040】
冷媒流路23は、冷媒供給回路21及び冷媒排出回路22のそれぞれに接続される。冷媒は、冷媒供給回路21を介して冷媒流路23に供給される。冷媒は、冷媒流路23を流れる。冷媒流路23を流れた冷媒は、冷媒排出回路22を介して冷媒流路23から排出される。
【0041】
固定リング9は、金属製である。実施形態において、固定リング9は、鉄製である。モータケース3は、金属製である。実施形態において、モータケース3は、アルミニウム製である。固定リング9の厚みは、モータケース3の厚みよりも薄い。固定リング9の厚みは、2mm以上10mm以下である。モータケース3の厚みは、10mm以上20mm以下である。
【0042】
[製造方法]
次に、モータ装置1の製造方法について説明する。ステータコア13は、固定リング9に焼き嵌めされる。ステータコア13の周囲に固定リング9が配置された状態で、ステータコア13及び固定リング9が焼き嵌め装置に搬入される。固定リング9の厚みが薄いので、固定リング9は短時間で焼き嵌め温度に達し、ステータコア13に固定リング9が固定される。
【0043】
ステータコア13にインシュレータ14及びコイル15を組み付けることでステータ8が構成された後、固定リング9は、モータケース3のケース本体4に挿入される。ケース本体4のケース筒部4Aの内周面には、冷媒流路23が予め形成されている。固定リング9がケース本体4に挿入されることにより、固定リング9の筒部9Aとケース本体4のケース筒部4Aとの間に冷媒流路23が形成される。
【0044】
上部フランジ部9Cには、複数のボルト挿通孔9Dが設けられている。ボルト挿通孔9Dは、固定リング9とモータケース3のケース本体4との回転方向の位置決め用の開口として使用可能である。固定リング9をケース本体4に挿入する場合、ボルト挿通孔9Dを用いて、固定リング9とモータケース3との回転方向の位置決めが行われる。
【0045】
固定リング9の回転方向の位置が調整された状態でケース本体4に挿入された後、ステータ8の内側にロータ7が挿入され、ケース蓋5がケース本体4に装着される。ボルト6がケース蓋5のボルト挿通孔5D及び上部フランジ部9Cのボルト挿通孔9Dを介してねじ穴4Dに差し込まれることにより、モータケース3と固定リング9とが締結される。これにより、ステータ8は、モータケース3に固定される。なお、モータケース3のケース本体4に固定リング9を圧入することによって、モータケース3と固定リング9とを固定してもよい。これにより、ステータ8は、モータケース3に固定される。
【0046】
図6は、実施形態に係るステータ8の位置決め構造30を示す断面図である。位置決め構造30は、固定リング9とステータコア13との相対回転を抑制する。位置決め構造30は、固定リング9とステータコア13とを位置決めする。
【0047】
位置決め構造30は、ボルト31と、ねじ込み式のキャップ33とを有する。固定リング9には、ねじ穴9Fが設けられる。ねじ穴9Fの内面には、ねじ溝が形成される。ボルト31は、ねじ穴9Fに差し込まれる。ボルト31の先端部にピン32が設けられる。ボルト31とピン32とは、一体(単一部材)である。ステータコア13の外面に凹部13Aが設けられる。ピン32は、凹部13Aに挿入される。ねじ穴9Fにボルト31が差し込まれ、ボルト31の先端部に設けられているピン32が凹部13Aに挿入されることにより、固定リング9とステータコア13とが位置決めされる。
【0048】
ケース本体4にねじ穴4Gが設けられる。ねじ穴4Gの内面には、ねじ溝が形成される。キャップ33は、ねじ穴4Gに差し込まれる。キャップ33は、ねじ穴4Gに差し込まれた状態で、ボルト31を径方向外側から覆う。
【0049】
ボルト31と固定リング9との間にシール部材34が配置される。シール部材34は、ボルト31を囲むように配置されるOリングである。シール部材34は、ボルト31と固定リング9との境界をシールする。
【0050】
キャップ33とケース本体4との間にシール部材35が配置される。シール部材35は、キャップ33を囲むように配置されるOリングである。シール部材35は、キャップ33とケース本体4との境界をシールする。
【0051】
[効果]
以上説明したように、実施形態によれば、ステータコア13の外周面に固定リング9が固定され、固定リング9の周囲にモータケース3が配置される。冷媒流路23は、固定リング9とケース本体4との間に設けられる。冷媒流路23を流れる冷媒は、固定リング9に接触する。これにより、冷媒流路23を備えつつ、容易に組み立てることができるモータ装置1を提供することができる。
【0052】
固定リング9は、モータケース3よりも軽量であり、固定リング9の厚みは、モータケース3の厚みよりも薄い。ステータコア13を固定リング9に焼き嵌めた後、固定リング9を任意の方法でモータケース3に固定する方法は、ステータコア13をモータケース3にダイレクトに焼き嵌める方法に比べて、短時間で簡単にモータ装置1を製造することができる。ステータコア13をモータケース3にダイレクトに焼き嵌める方法においては、ステータコア13及びモータケース3を焼き嵌め装置に搬入した後、モータケース3が焼き嵌め温度に達するまでに長時間を要する。また、モータケース3の重量は大きく、モータケース3の厚みは厚いので、取り扱いにくい。そのため、モータ装置を低コストで製造することが困難となる可能性がある。実施形態においては、ステータコア13を固定リング9に焼き嵌めた後、固定リング9を任意の方法でモータケース3に固定するので、取り扱いが容易である。また、固定リング9の厚みが薄いので、固定リング9は短時間で焼き嵌め温度に達する。そのため、モータ装置1を容易に組み立てることができる。
【0053】
実施形態において、冷媒流路23よりも上側の固定リング9とモータケース3との境界をシールするシール部材10及びシール部材11が設けられ、冷媒流路23よりも下側の固定リング9とモータケース3との境界をシールするシール部材12が設けられる。これにより、冷媒流路23の冷媒がモータ装置1の外側に漏出することが抑制される。
【0054】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、ケース蓋5のボルト挿通孔5D及び上部フランジ部9Cのボルト挿通孔9Dを介して吊り上げ用フックのボルト部がねじ穴4Dに差し込まれてもよい。
【0055】
上述の実施形態において、ケース筒部4Aの内周面に冷媒流路23が形成されることとした。固定リング9の筒部9Aの外周面に冷媒流路23が形成されてもよい。筒部9Aの外周面に冷媒流路23が形成される場合、冷媒流路23は、筒部9Aの外周面から径方向内側に窪むように形成される。
【符号の説明】
【0056】
1…モータ装置、2…モータアセンブリ、3…モータケース、4…ケース本体、4A…ケース筒部、4B…ケース底部、4C…ケースフランジ部、4D…ねじ穴、4E…溝、4F…溝、4G…ねじ穴、5…ケース蓋、5D…ボルト挿通孔、6…ボルト、7…ロータ、7A…ロータコア、7B…マグネット、7C…ロータシャフト、8…ステータ、9…固定リング、9A…筒部、9B…下部フランジ部、9C…上部フランジ部、9D…ボルト挿通孔、9E…溝、9F…ねじ穴、10…シール部材(第1シール部材)、11…シール部材(第1シール部材)、12…シール部材(第2シール部材)、13…ステータコア、13A…凹部、14…インシュレータ、15…コイル、21…冷媒供給回路、22…冷媒排出回路、23…冷媒流路、30…位置決め構造、31…ボルト、32…ピン、33…キャップ、34…シール部材、35…シール部材。