(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025528
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】中継システム及び中継方法
(51)【国際特許分類】
H04L 67/565 20220101AFI20250214BHJP
【FI】
H04L67/565
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130365
(22)【出願日】2023-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾川 和輝
(57)【要約】
【課題】既存システムへの不要な投資なく、複数のシステム間のデータ連携を容易に実現する。
【解決手段】中継システム1は、1つ以上のフロントシステム2から1つ以上のバックエンドシステム3に対する要求電文を受信するフロント受信部10と、要求電文を基に、要求先であるバックエンドシステム3の通信情報及びインターフェースマッピング情報を特定するマッピング情報特定部20と、インターフェースマッピング情報に基づいて、要求電文を変換するフロント変換部30と、フロント変換部30により変換された要求電文を、要求先であるバックエンドシステム3の通信情報に基づいて、バックエンドシステム3に送信するバックエンド送信部40と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のフロントシステムから1つ以上のバックエンドシステムのそれぞれに対する要求電文を受信するフロント受信部と、
前記要求電文を基に、要求先である前記バックエンドシステムの通信情報及びインターフェースマッピング情報を特定するマッピング情報特定部と、
前記インターフェースマッピング情報に基づいて、前記要求電文を変換するフロント変換部と、
前記フロント変換部により変換された前記要求電文を、要求先である前記バックエンドシステムの通信情報に基づいて、前記バックエンドシステムに送信するバックエンド送信部と、を備える
中継システム。
【請求項2】
要求元である前記フロントシステムの通信情報、前記マッピング情報特定部により特定された要求元である前記バックエンドシステムの通信情報及び前記インターフェースマッピング情報をセットとして記憶する一時記憶部と、
前記バックエンドシステムから、前記フロントシステムに対する応答電文を受信するバックエンド受信部と、
前記一時記憶部に記憶される、前記バックエンドシステムの通信情報及び前記フロントシステムの通信情報に紐付けられる前記インターフェースマッピング情報に基づいて、前記応答電文を変換するバックエンド変換部と、
前記バックエンド変換部により変換された前記応答電文を、前記一時記憶部に記憶される、前記バックエンドシステムの通信情報に紐付けられる前記フロントシステムの通信情報に基づいて、前記フロントシステムに送信するフロント送信部と、を備える
請求項1に記載の中継システム。
【請求項3】
前記バックエンドシステムの通信情報及び前記インターフェースマッピング情報を特定するための振分先情報、前記バックエンドシステムの通信情報、及び前記インターフェースマッピング情報を記憶する記憶部を備える
請求項1に記載の中継システム。
【請求項4】
前記マッピング情報特定部は、前記要求電文を基に、前記記憶部から前記振分先情報を特定し、特定した前記振分先情報に基づいて、前記記憶部から要求先である前記バックエンドシステムの通信情報及び前記インターフェースマッピング情報を特定する
請求項3に記載の中継システム。
【請求項5】
前記インターフェースマッピング情報には、付加情報、及び、前記付加情報を変換するか否かを示すフラグ情報を付与する
請求項1に記載の中継システム。
【請求項6】
前記インターフェースマッピング情報に前記付加情報が付与され、かつ、前記付加情報の前記フラグ情報が前記付加情報を変換することを示している場合、
前記フロント変換部は、前記付加情報を変換し、
前記バックエンド送信は、前記フロント変換部により変換された前記付加情報を、変換された前記要求電文とともに前記バックエンドシステムに送信する
請求項5に記載の中継システム。
【請求項7】
前記バックエンドシステムの通信情報は、前記バックエンドシステムの識別情報、前記バックエンドシステムのアクセス情報、前記バックエンドシステムに関連する操作内容に関する情報を含む
請求項1に記載の中継システム。
【請求項8】
前記要求電文は、少なくとも、前記バックエンドシステムを特定できる情報、及び、前記バックエンドシステムに関連する操作内容に関する情報を含む
請求項1に記載の中継システム。
【請求項9】
前記インターフェースマッピング情報は、前記フロントシステムの情報データを前記バックエンドシステムで利用できる情報データに変換し、前記バックエンドシステムの情報データを前記フロントシステムで利用できる情報データに変換するための情報である
請求項1に記載の中継システム。
【請求項10】
前記マッピング情報特定部は、前記要求電文を基に、前記バックエンドシステムの通信情報を特定できなかった場合、その旨を示す通知情報を前記フロントシステムに送信する
請求項1に記載の中継システム。
【請求項11】
前記バックエンド受信部は、所定時間を過ぎて前記バックエンドシステムから前記応答電文を受信できなかった場合、前記バックエンドシステムに異常が発生した通知情報を前記フロントシステムに送信する
請求項2に記載の中継システム。
【請求項12】
前記記憶部に記憶されている前記バックエンドシステムの通信情報に存在しないバックエンドシステムが接続された場合、
当該バックエンドシステムから、当該バックエンドシステムに関連する、前記振分先情報、前記インターフェースマッピング情報、及び、当該バックエンドシステムの通信情報を取得して前記記憶部に登録する新規登録部を備える
請求項3に記載の中継システム。
【請求項13】
1つ以上のフロントシステムから1つ以上のバックエンドシステムのそれぞれに対する要求電文を受信するステップと、
前記要求電文を基に、要求先である前記バックエンドシステムの通信情報及びインターフェースマッピング情報を特定するステップと、
前記インターフェースマッピング情報に基づいて、前記要求電文を変換するステップと、
変換された前記要求電文を、要求先である前記バックエンドシステムの通信情報に基づいて、前記バックエンドシステムに送信するステップと、を含む
中継方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中継システム及び中継方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の企業から受信したデータの自社内の業務に使用される複数のシステムへの連携や、自社内の複数のシステム間のデータ連携などを効率的に統合するEAI(Enterprise application integration)ツールが導入されることが多い。例えば、特許文献1には、EAIツールを利用するシステム間のデータ連携技術が提案されている。
【0003】
特許文献1には、「このEAIトランスレーションシステムは、他企業のシステムから出力されたデータを取得し、取得したデータを、ある企業における各部門のシステムにより利用可能な形式に変換する」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、従来、他社システムのデータを自社システムへの連携や、自社内の複数のシステム間のデータ連携を統合する技術が提案されている。しかしながら、特許文献1に記載の技術は、他社システムと自社システムとのデータ連携を行う技術であり、ネットワークに接続される複数の会社や業界などのシステム間の自動データ連携には対応できない問題がある。ネットワークに接続される複数の会社や業界などのシステム間のデータ連携では、例えば、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)等の相手システムとのIF(Interface)規格に合わせた実装や、相手システムとの業務仕様に合わせた実装などを、プログラム言語機能を用いて行う必要がある。また、複数業界を跨ぐ場合、IF規格や業務情報の項目名が統一されていない等のIF差異を吸収する処理が必要である。このため、ネットワークに接続される複数の会社や業界などのシステム間のデータ連携を実現するには、既存システムへの多額の投資が発生する。
【0006】
ところで、地域住民や旅行者一人一人のトリップ単位での移動ニーズに対応して、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスなどを最適に組み合わせて、検索、予約、決済等の処理を一括で行うMaaS(Mobility as a Service)サービスの普及が進んでいる。また、MaaSによる、交通機関と、観光、医療、物流等との連携も期待されている。しかし、MaaSは、データの統合範囲が狭いので、Webアプリケーション等のフロントシステムと、各業界の既存システムとのデータ連携を実現するには、各既存システムのそれぞれに対して、MaaS参入へのシステム投資が必要となる。
【0007】
本発明は、上記状況を鑑みて成されたものであり、本発明の目的は、既存システムへの不要な投資なく、複数のシステム間のデータ連携を容易に実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、1つ以上のフロントシステムから1つ以上のバックエンドシステムのそれぞれに対する要求電文を受信するフロント受信部と、要求電文を基に、要求先であるバックエンドシステムの通信情報及びインターフェースマッピング情報を特定するマッピング情報特定部と、インターフェースマッピング情報に基づいて、要求電文を変換するフロント変換部と、フロント変換部により変換された要求電文を、要求先であるバックエンドシステムの通信情報に基づいて、バックエンドシステムに送信するバックエンド送信部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
上記構成の本発明によれば、既存システムへの不要な投資なく、複数のシステム間のデータ連携を容易に実現することができる。
上記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る中継システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る中継システムを構成する計算機のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る中継システムにおける、フロントからバックエンドへの中継処理の手順を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施形態に係る中継システムにおける、付加情報の変換処理の手順を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態に係る中継システムにおける、バックエンドからフロントへの応答処理の手順を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施形態に係る中継システムにおける振分先情報のデータ例を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る中継システムにおけるバックエンドシステムの通信情報のデータ例を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る中継システムにおけるインターフェースマッピング情報のデータ成例を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る中継システムにおける付加情報のデータ例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0012】
<一実施形態>
まず、本発明の一実施形態に係る中継システム1の構成例について説明する。
図1は、本実施形態に係る中継システム1の構成例を示すブロック図である。中継システム1は、
図1に示すように、フロント受信部10と、マッピング情報特定部20と、フロント変換部30と、バックエンド送信部40と、一時記憶部50とを備える。また、中継システム1は、バックエンド受信部60と、バックエンド変換部70と、フロント送信部80と、記憶部90とを備える。また、中継システム1は、ネットワークを介して、データ連携の連携元であるフロントシステム2、及び、データ連携の連携先であるバックエンドシステム3のそれぞれと情報データの送受信ができるように接続する。なお、フロントシステム2、及び、バックエンドシステム3は、それぞれ、複数に存在することが可能である。また、フロントシステム2は、WebアプリケーションやWebサービスなどを含む。
【0013】
フロント受信部10は、1つ以上のフロントシステム2から1つ以上のバックエンドシステム3のそれぞれに対する要求電文を受信する。ここで、要求電文は、少なくとも、バックエンドシステム3を特定できる情報、及び、バックエンドシステム3に関連する操作内容に関する情報を含む。なお、要求電文の一例として、例えば、HTTP要求電文がある。
【0014】
マッピング情報特定部20は、フロント受信部10により受信された要求電文を基に、要求先であるバックエンドシステム3の通信情報及びインターフェースマッピング情報を特定する。ここで、マッピング情報特定部20は、要求電文を基に、記憶部90から、要求先であるバックエンドシステム3の通信情報及びインターフェースマッピング情報を特定するための振分先情報を特定し、特定した振分先情報に基づいて、記憶部90からバックエンドシステム3の通信情報及びインターフェースマッピング情報を特定する。また、マッピング情報特定部20は、要求電文を基に、バックエンドシステム3の通信情報を特定できなかった場合、その旨を示す通知情報をフロントシステム2に送信する。
【0015】
なお、インターフェースマッピング情報(後述の
図8参照)は、フロントシステム2の情報データをバックエンドシステム3で利用できる情報データに変換し、バックエンドシステム3の情報データをフロントシステム2で利用できる情報データに変換するための情報である。振分先情報(後述の
図6参照)は、例えば、要求元であるフロントシステム2の識別情報、要求先であるバックエンドシステム3の識別情報、及び、インターフェースマッピング情報を特定するための識別情報を含む。なお、インターフェースマッピング情報には、例えば、追加検索情報、DP(Dynamic Pricing)情報、SS(Subscription)情報等の付加情報を付与してもよい。
【0016】
フロント変換部30は、マッピング情報特定部20により特定されたインターフェースマッピング情報に基づいて、要求電文を変換する。また、インターフェースマッピング情報に付加情報が付与され、かつ、付加情報のフラグ情報が付加情報を変換することを示している場合、フロント変換部30は、付加情報を変換する。
【0017】
バックエンド送信部40は、マッピング情報特定部20により特定された要求先であるバックエンドシステム3の通信情報に基づいて、フロント変換部30により変換された要求電文をバックエンドシステム3に送信する。また、インターフェースマッピング情報に付加情報が付与され、かつ、付加情報のフラグ情報が付加情報を変換することを示している場合、バックエンド送信部40は、フロント変換部30により変換された付加情報を、変換された要求電文とともにバックエンドシステム3に送信する。
【0018】
一時記憶部50は、要求元であるフロントシステム2の通信情報、マッピング情報特定部20により特定された、要求元であるフロントシステム2の要求先であるバックエンドシステム3の通信情報及びインターフェースマッピング情報をセットとして一時記憶する。なお、一時記憶部50に記憶される情報は、バックエンドシステム3から応答電文を受信して、応答電文に対するバックエンドからフロントへの応答処理(後述の
図5参照)が終了した後、削除されてもよい。
【0019】
バックエンド受信部60は、バックエンドシステム3から、フロントシステム2に対する応答電文情報を受信する。また、バックエンド受信部60は、所定時間を過ぎてバックエンドシステム3から応答電文を受信できなかった場合、バックエンドシステム3に異常が発生した通知情報をフロントシステム2に送信する。なお、所定時間は、ネットワークの通信状況等に応じて適当に設定される時間間隔である。
【0020】
バックエンド変換部70は、一時記憶部50に記憶される、バックエンドシステム3の通信情報及びフロントシステム2の通信情報に紐付けられるインターフェースマッピング情報に基づいて、応答電文を変換する。
【0021】
フロント送信部80は、バックエンド変換部70により変換された応答電文を、一時記憶部50に記憶される、バックエンドシステム3の通信情報に紐付けるフロントシステム2の通信情報に基づいて、フロントシステム2に送信する。
【0022】
記憶部90は、
図1に示すように、バックエンドシステム3の通信情報I20及びインターフェースマッピング情報I30を特定するための振分先情報I10、バックエンドシステムの通信情報I20、及びインターフェースマッピング情報I30を記憶する。バックエンドシステムの通信情報I20(後述の
図7参照)は、少なくとも、バックエンドシステム3の識別情報、バックエンドシステム3のアクセス情報、バックエンドシステム3に関連する操作内容に関する情報を含む。また、インターフェースマッピング情報I30(後述の
図8参照)には、付加情報I40、及び、付加情報を変換するか否かを示すフラグ情報を付与することが可能である。例えば、フロントシステム2が在庫システムであり、バックエンドシステム3が交通機関システムである場合、付加情報I40としては、
図1に示す、追加検索情報I41、DP情報I42、プリペイド情報I43、SS情報I44、予約経路情報I45、排気情報I46等を含んでもよい。
【0023】
[中継システムのハードウェア構成例]
次に、中継システム1を構成する計算機100のハードウェア構成を説明する。
図2は、本実施形態に係る中継システムを構成する計算機のハードウェア構成例を示すブロック図である。計算機100は、中継システム1として動作可能なコンピューターとして用いられるハードウェアの一例である。
【0024】
計算機100は、バス104にそれぞれ接続されたCPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、及びRAM(Random Access Memory)103、不揮発性ストレージ105、及びネットワークインターフェイス106を備える。
【0025】
CPU101は、本実施の形態に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM102から読み出してRAM103にロードし、実行する。RAM103には、CPU101の演算処理の途中で発生した変数やパラメーター等が一時的に書き込まれ、これらの変数やパラメーター等がCPU101によって適宜読み出される。ただし、CPU101に代えてMPU(Micro Processing Unit)等を用いてもよい。
【0026】
不揮発性ストレージ105としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ又は不揮発性のメモリ等が用いられる。この不揮発性ストレージ105には、OS(Operating System)、各種のパラメーターの他に、計算機100を機能させるためのプログラムが記録される。また、不揮発性ストレージ105には、
図1に示す記憶部90の各種情報が記録される。ROM102及び不揮発性ストレージ105は、CPU101が動作するために必要なプログラムやデータ等を記録しており、計算機100によって実行されるプログラムを格納したコンピューター読取可能な非一過性の記憶媒体の一例として用いられる。
【0027】
ネットワークインターフェイス106には、例えば、NIC(Network Interface Card)等が用いられ、NICの端子に接続されたLAN(Local Area Network)、専用線等を介して各種のデータを装置間で送受信することが可能である。
【0028】
[フロントからバックエンドへの中継処理の手順]
次に、中継システム1における、フロントからバックエンドへの中継処理について説明する。
図3は、本実施形態に係る中継システム1における、フロントからバックエンドへの中継処理の手順を示すフローチャートである。以下に説明する処理は、フロントシステム2が中継システム1へ要求電文を送信すると開始する。
【0029】
まず、中継システム1のフロント受信部10は、フロントシステム2から要求電文を受信する(ステップS11)。
【0030】
次いで、マッピング情報特定部20は、要求電文を基に、要求先のバックエンドシステム3の通信情報及びインターフェースマッピング情報を特定する(ステップS12)。この処理では、マッピング情報特定部20は、要求電文に含まれるバックエンドシステム3を特定できる情報、及び、バックエンドシステム3に関連する操作内容に関する情報を基に、記憶部90の振分先情報I10(後述の
図6参照)から、振分先情報を特定する。
【0031】
次いで、ステップS13~S17のループ処理が実行される。ステップS13~S17のループ処理は、マッピング情報特定部20により特定された振分先情報の数、すなわち、受信された要求電文の数の分だけ繰り返して実行される。
【0032】
ステップS13の処理では、ループ処理が開始する。次いで、マッピング情報特定部20は、振分先情報に基づいて、バックエンドシステム3の通信情報及びインターフェースマッピング情報を特定する(ステップS14)。この処理では、マッピング情報特定部20は、振分先情報に基づいて、記憶部90のバックエンドシステムの通信情報I20(後述の
図7参照)から、バックエンドシステム3の通信情報を特定する。また、マッピング情報特定部20は、振分先情報に基づいて、記憶部90のインターフェースマッピング情報I30(後述の
図8参照)から、インターフェースマッピング情報を特定する。
【0033】
次いで、フロント変換部30は、マッピング情報特定部20により特定されたインターフェースマッピング情報に基づいて、要求電文を変換する(ステップS15)。
【0034】
次いで、バックエンド送信部40は、マッピング情報特定部20により特定されたバックエンドシステム3の通信情報に基づいて、フロント変換部30により変換された要求電文をバックエンドシステム3に送信する(ステップS16)。ステップS16の処理後、今回のループ処理が終了する(ステップS17)。
【0035】
受信された要求電文情報に含まれる全ての要求電文に対して上記ループ処理が実行された後、フロントからバックエンドへの中継処理は終了する。
【0036】
[付加情報の変換処理の手順]
次に、中継システム1における付加情報の変換処理について説明する。付加情報の変換処理は、要求電文に付加情報が含まれ、かつ、付加情報I40が事前に記憶部90に登録された場合にのみ行われる。
図4は、本実施形態に係る中継システム1における付加情報の変換処理の手順を示すフローチャートである。以下に説明する処理は、
図3に示す処理のステップS15で実施される要求電文の変換時に、付加情報を変換するか否かを示すフラグ情報が、付加情報を変換することを示す情報である場合に呼び出されて実行される。フラグ情報が、付加情報を変換することを示す情報である場合は、例えば、後述の
図8に示す、インターフェースマッピング情報I30の付加情報関連項目の欄I37の値が「1」である場合となる。
【0037】
なお、
図4では、要求電文に含まれる付加情報がSS情報である例を説明するが、本発明はこれに限定されず、付加情報が他の情報であってもよい。なお、要求電文に含まれる付加情報が他の情報である場合、付加情報の変換処理の手順は、
図4に示す処理手順と異なる。
【0038】
まず、フロント変換部30は、要求電文に含まれるSS情報のユーザー識別情報を取得する(ステップS51)。また、この処理では、フロント変換部30は、記憶部90に記憶されるSS情報I44のユーザー情報から、取得したユーザー識別情報と一致するユーザー識別情報(欄I441)に紐付けられているSSグループの情報(欄I442)を特定する。なお、ユーザー識別情報及びSSグループの情報を含むSS情報I44のユーザー情報は、後述の
図9Aで説明する。
【0039】
次いで、フロント変換部30は、記憶部90に記憶されるSS情報I44の商品情報から、特定されたSSグループの情報(欄I442)と一致するSSグループの情報(欄I443)に紐付けられている商品識別情報(欄I444)を取得する(ステップS52)。なお、SSグループの情報及び商品識別情報を含むSS情報I44の商品情報は、後述の
図9Bで説明する。
【0040】
次いで、フロント変換部30は、取得した商品識別情報(欄I444)が、要求電文に含まれるSS情報の商品識別情報と一致するか否かを判定する(ステップS53)。
【0041】
ステップS53の処理において、フロント変換部30は、取得した商品識別情報(欄I444)が、要求電文に含まれるSS情報の商品識別情報と一致すると判定した場合(ステップS53のYES判定の場合)、要求電文に含まれる「価格」の値(価格情報)をゼロに変換する(ステップS54)。
【0042】
一方、ステップS53の処理において、フロント変換部30は、取得した商品識別情報(欄I444)が、要求電文に含まれるSS情報の商品識別情報と一致しないと判定した場合(ステップS53のNO判定の場合)、または、ステップS54の処理後、付加情報の変換処理は終了する。
【0043】
[バックエンドからフロントへの応答処理の手順]
次に、中継システム1における、バックエンドからフロントへの応答処理について説明する。
図5は、本実施形態に係る中継システム1における、バックエンドからフロントへの応答処理の手順を示すフローチャートである。以下に説明する処理は、バックエンドシステム3が中継システム1へ応答電文を送信すると開始する。
【0044】
まず、中継システム1のバックエンド受信部60は、バックエンドシステム3から、フロントシステム2に対する応答電文を受信する(ステップS21)。
【0045】
次いで、マッピング情報特定部20は、各応答電文に含まれるフロントシステム2の通信情報を特定する(ステップS22)。なお、フロントシステム2の通信情報は、例えば、後述の
図7に示すバックエンドシステム3の通信情報の構成と同様な構成を有する。
【0046】
次いで、ステップS23~S27のループ処理が実行される。ステップS23~S27のループ処理は、マッピング情報特定部20により特定されたフロントシステム2の通信情報の数、すなわち、受信された応答電文の数の分だけ繰り返して実行される。
【0047】
ステップS23の処理では、ループ処理が開始する。次いで、マッピング情報特定部20は、一時記憶部50の記憶情報から、バックエンドシステム3の通信情報及びフロントシステム2の通信情報に紐付ける、インターフェースマッピング情報を特定する(ステップS24)。
【0048】
次いで、バックエンド変換部70は、マッピング情報特定部20により特定されたインターフェースマッピング情報に基づいて、応答電文を変換する(ステップS25)。
【0049】
次いで、フロント送信部80は、バックエンド変換部70により変換された応答電文を、マッピング情報特定部20により特定されたフロントシステム2の通信情報に基づいて、フロントシステム2に送信する(ステップS26)。ステップS26の処理後、今回のループ処理が終了する(ステップS27)。
【0050】
受信された応答電文情報に含まれる全ての応答電文に対して上記ループ処理が実行された後、バックエンドからフロントへの応答処理は終了する。
【0051】
次に、中継システム1の記憶部90に記憶される各種情報データのデータ例について説明する。以下の説明では、フロントシステム2が在庫システムであり、バックエンドシステム3が交通機関システムである場合の各種情報データのデータ例を説明する。なお、中継システム1の記憶部90に記憶される各種情報データは、以下に説明する各情報データに限定されない。中継システム1の記憶部90には、複数のフロントシステム2及び複数のバックエンドシステム3のデータ連携に必要な全ての情報データが記憶される。
【0052】
(振分先情報のデータ例)
図6は、本実施形態に係る中継システム1における振分先情報I10のデータ例を示す図である。振分先情報I10は、
図6に示すように、「フロントシステム」の欄I11と、「操作内容」の欄I12とを有する。また、振分先情報I10は、「バックエンドシステム」の欄I13と、「IF項目マッピンググループ」の欄I14と、「IF項目マッピンググループ(異常時)」の欄I15とを有する。
【0053】
「フロントシステム」の欄I11には、フロントシステム2の識別情報、例えば、「Aシステム」、「Bシステム」等が格納される。なお、「フロントシステム」の欄I11に格納される識別情報は、フロントシステムの名称に限定されず、例えば、識別ID(Identification)であってもよい。
【0054】
「操作内容」の欄I12には、欄I11に格納される識別情報を有するフロントシステム2における操作、例えば、「照会」、「予約(会員登録)」、「決済」等の操内容を表す情報が格納される。
【0055】
「バックエンドシステム」の欄I13には、欄I12に格納されるフロントシステム2の操作内容に対応するバックエンドシステム3の識別情報、例えば、「経路検索システム」、「権利流通基盤」、「鉄道システム」等が格納される。なお、「バックエンドシステム」の欄I13に格納される識別情報は、バックエンドシステム3の名称に限定されず、例えば、識別IDであってもよい。
【0056】
「IF項目マッピンググループ」の欄I14には、欄I13に格納されるバックエンドシステム3にデータを連携する際に、インターフェースマッピングの対象項目が所属するグループの識別情報、例えば、「A」、「B」等が格納される。
【0057】
「IF項目マッピンググループ(異常時)」の欄I15には、欄I13に格納されるバックエンドシステム3にデータを連携する際に、異常が発生した場合、インターフェースマッピングの対象項目が所属するグループの識別情報が格納される。ここで、異常とは、例えば、バックエンドシステムの通信情報と特定できないこと、所定時間を過ぎてバックエンドシステムから応答電文を受信できなかったこと等を含む。
【0058】
(バックエンドシステムの通信情報のデータ例)
図7は、本実施形態に係る中継システム1におけるバックエンドシステム3の通信情報I20のデータ例を示す図である。
図7は、バックエンドシステム3の通信情報I20がHTTP通信情報である例が示されている。
【0059】
バックエンドシステム3の通信情報I20は、
図7に示すように、「バックエンドシステム」の欄I21と、「操作内容」の欄I22と、「URL(Uniform Resource Locator)」の欄I23と、「ContentType/charset」の欄I24と、「Property」の欄I25とを有する。「URL」の欄I23、「ContentType/charset」の欄I24、及び「Property」の欄I25に格納される情報を順に繋ぐと、HTTP通信情報となる。なお、「バックエンドシステム」の欄I21、及び「操作内容」の欄I22は、それぞれ、
図6で説明した「フロントシステム」の欄I11、及び「操作内容」の欄I12と同様であるため、重複説明は省略する。
【0060】
「URL」の欄I23には、インタネット上に存在するバックエンドシステム3へのアクセスアドレス、例えば、「http://xxx/yyy」が格納される。
【0061】
「ContentType/charset」の欄I24には、要求電文のデータのメディア種別を示すための表現ヘッダー(ContentType)、及び、標準の文字エンコーディング(charset)の情報が格納される。例えば、「ContentType/charset」の欄I24には、「text/xml;utf-8」が格納されている。
【0062】
「Property」の欄I25には、例えば、受け取った通信に対して応答をした後に、コネクションを切断するかどうかを指定する情報が格納される。例えば、「Property」の欄I25には、コネクションを切断することを指定する「Connection=close」が格納されている。なお、「Property」の欄は複数有してもよい。
【0063】
(インターフェースマッピング情報のデータ例)
図8は、本実施形態に係る中継システム1におけるインターフェースマッピング情報I30のデータ例を示す図である。インターフェースマッピング情報I30は、
図8に示すように、「IF項目マッピンググループ」の欄I31と、「Input Format」の欄I32と、「Output Format」の欄I33と、「Input」の欄I34と、「Output」の欄I35と、「編集パターン」の欄I36と、「付加情報関連項目(SS情報)」の欄I37とを有する。
【0064】
「IF項目マッピンググループ」の欄I31は、
図6で説明した「IF項目マッピンググループ」の欄I14及び「IF項目マッピンググループ(異常時)」の欄I15と同様である。したがって、「IF項目マッピンググループ」の欄I31には、「IF項目マッピンググループ」の欄I14及び「IF項目マッピンググループ(異常時)」の欄I15に格納される全てのグループの識別情報が格納される。
【0065】
「Input Format」の欄I32には、マッピングの対象データである入力データ、すなわち、欄I31に格納されるIF項目マッピンググループに所属する入力データのフォーマット情報、例えば、「XML」、「JSON」等が格納される。
【0066】
「Output Format」の欄I33には、欄I31に格納されるIF項目マッピンググループに所属する入力データがマッピングされた後の出力データのフォーマット情報、例えば、「JSON」、「SOAP」、等が格納される。
【0067】
「Input」の欄I34には、欄I31に格納されるIF項目マッピンググループに所属する入力データの保存先へのアクセスアドレス、例えば、「/root/aaa/bbb」等が格納される。
【0068】
「Output」の欄I35には、欄I31に格納されるIF項目マッピンググループに所属する入力データがマッピングされた後の出力データの保存先へのアクセスアドレス、例えば、「/ROOT/AAA[1]/BBB」等が格納される。
【0069】
「編集パターン」の欄I36には、欄I31に格納されるIF項目マッピンググループに所属する入力データに対して、フォーマット変換以外の変換を定義する編集パターンの情報が格納される。
【0070】
「付加情報関連項目(SS情報)」の欄I37には、付加情報に対してマッピング処理を行うか否かを示すフラグ情報が格納される。例えば、
図8に示すように、付加情報であるSS情報に対してマッピング処理を行うことを示す「1」、又は、SS情報に対してマッピング処理を行わないことを示す「0」が格納されている。
【0071】
(付加情報のデータ例)
図9は、本実施形態に係る中継システム1における付加情報のデータ例を示す図である。
図9には、SS情報I44を付加情報I40の一例として表示されている。
図9Aは、SS情報のユーザー情報のデータ例を示す。
図9Bは、SS情報の商品情報のデータ例を示す。
【0072】
SS情報のユーザー情報は、
図9Aに示すように「ユーザーID」の欄I441と、「SSグループ」の欄I442とを有する。「ユーザーID」の欄I441には、SS情報に登録されたユーザーの識別情報、例えば、「0001」、「0002」等が格納される。「SSグループ」の欄I442には、欄I441に格納されるユーザーIDが所属するSSグループの識別情報、例えば、「GA」、「GB」等が格納される。
【0073】
SS情報の商品情報は、
図9Bに示すように「SSグループ」の欄I443と、「商品」の欄I444とを有する。なお、「SSグループ」の欄I443は、
図9Aに示す「SSグループ」の欄I442と同様であるため、重複説明は省略する。「商品」の欄I444には、欄I443に格納されるSSグループに紐付けられている商品の識別情報、例えば、「都内在来線乗り放題」、「都内バス乗り放題」等が格納される。なお、「商品」の欄I444に格納される識別情報は、商品の名称に限定されず、例えば、識別IDであってもよい。
【0074】
[効果]
上述したように、本実施形態に係る中継システム1は、複数のフロントシステム2のそれぞれの要求電文を受信して、各要求電文のそれぞれの要求先であるバックエンドシステム3を特定する。また、中継システム1は、各要求電文のそれぞれに対して、インターフェースマッピング情報を特定し、特定したインターフェースマピング情報に基づいて要求電文をバックエンドシステム3へ送信する情報データに変換する。また、中継システム1は、各要求電文のそれぞれの変換後の情報データを、特定された各要求電文のそれぞれの要求先であるバックエンドシステム3に送信する。また、中継システム1は、中継処理されたフロントからバックエンドへのデータ連携に対して、フロントシステム2の通信情報、特定されたバックエンドシステム3の通信情報及びインターフェースマッピング情報をセットとして一時的に記憶する。そして、中継システム1は、バックエンドシステム3から応答電文を受信すると、一時的に記憶されたインターフェースマッピング情報に基づいて、応答電文を変換してフロントシステム2に送信する。それゆえ、本実施形態に係る中継システム1は、既存システムへの不要な投資なく、複数のシステム間のデータ連携を容易に実現することができる。また、本実施形態に係る中継システム1は、インターフェースマッピング情報に付加情報を付与して、付加情報も変換して変換後要求電文と一緒にバックエンドシステム3へ送信することにより、中継システムとしての付加価値を実現することもできる。
【0075】
なお、本発明は上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
例えば、上述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために中継システムの構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、ここで説明した実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることは可能であり、さらにはある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0076】
上記実施形態では、中継システム1は、フロントシステム2及びバックエンドシステム3のそれぞれに対応する、受信部、送信部、及び変換部を有する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、フロント受信部10及びバックエンド受信部60を1つの受信部としてもよい。同様に、フロント送信部80及びバックエンド送信部40を1つの送信部とし、フロント変換部30及びバックエンド変換部70を1つの変換部としてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、中継システム1との接続関係が登録済みのバックエンドシステム3のみへのデータ連携を説明したが、本発明はこれに限定されない。中継システム1は、記憶部90に記憶されているバックエンドシステムの通信情報I20に存在しないバックエンドシステムが接続された場合、すなわち、新規のバックエンドシステムが接続された場合、当該バックエンドシステムに関連する各種情報を当該バックエンドシステムから取得して記憶部90に登録する新規登録部を備えてもよい。新規登録部が記憶部90に登録する各種情報には、新規バックエンドシステムに関連する、振分先情報、インターフェースマッピング情報、及び、当該バックエンドシステムの通信情報等がある。新規登録部を備えることにより、新規のバックエンドシステムの手動登録作業が要らず、自動的に登録することができ、新規のバックエンドシステムへの自動データ連携を実現することができる。
【符号の説明】
【0078】
1…中継システム、2…フロントシステム、3…バックエンドシステム、10…フロント受信部、20…マッピング情報特定部、30…フロント変換部、40…バックエンド送信部、50…一時記憶部、60…バックエンド受信部、70…バックエンド変換部、80…フロント送信部、90…記憶部