特開 2025-25544 改装建具

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2025025544

(43)【公開日】2025-02-21

(54)【発明の名称】改装建具

(51)【国際特許分類】

   E06B 1/56 20060101AFI20250214BHJP

   E06B 5/16 20060101ALI20250214BHJP

【ＦＩ】

E06B1/56 A

E06B5/16

【審査請求】未請求

【請求項の数】7

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023130393

(22)【出願日】2023-08-09

(71)【出願人】

【識別番号】504163612

【氏名又は名称】株式会社ＬＩＸＩＬ

(74)【代理人】

【識別番号】100106002

【弁理士】

【氏名又は名称】正林 真之

(74)【代理人】

【識別番号】100165157

【弁理士】

【氏名又は名称】芝 哲央

(74)【代理人】

【識別番号】100126000

【弁理士】

【氏名又は名称】岩池 満

(74)【代理人】

【識別番号】100160794

【弁理士】

【氏名又は名称】星野 寛明

(72)【発明者】

【氏名】恐田 祐樹

(72)【発明者】

【氏名】大東 正樹

(72)【発明者】

【氏名】筒井 淳司

(72)【発明者】

【氏名】冨田 裕之

(72)【発明者】

【氏名】北村 真吾

【テーマコード（参考）】

2E011

2E239

【Ｆターム（参考）】

2E011JA02

2E011KA01

2E011KB03

2E011KB04

2E011KC02

2E011KC03

2E011KC04

2E011KC08

2E011KC09

2E011KD14

2E011KE04

2E011KE06

2E011KG00

2E011KH01

2E239CA02

2E239CA29

2E239CA32

2E239CA33

2E239CA55

2E239CA62

(57)【要約】

【課題】火災発生時に、既設枠と新設枠との間における火炎の熱の流入又は流出を抑制できる改装建具を提供すること。
【解決手段】改装建具１は、建物躯体１００の開口部に取り付けられる既設枠２と、既設枠２の内周側に取り付けられる新設枠３と、既設枠２に向かって発泡するように新設枠３に取り付けられる加熱発泡材７１１，７１２，７１３，７１４，７１５，７１６，７２１，７３１，７３２，７３３，７３４，７４１，７４２，７４３，７４４と、を備える。
【選択図】図４

【特許請求の範囲】

【請求項1】

建物躯体の開口部に取り付けられる既設枠と、
前記既設枠の内周側に取り付けられる新設枠と、
前記既設枠に向かって発泡するように前記新設枠に取り付けられる加熱発泡材と、を備える改装建具。

【請求項2】

前記加熱発泡材は、前記新設枠における前記既設枠が配置される空間側の見込み面に取り付けられる、請求項１に記載の改装建具。

【請求項3】

前記加熱発泡材は、前記新設枠における前記既設枠が配置される空間側の見付け面に取り付けられる、請求項１又は２に記載の改装建具。

【請求項4】

前記新設枠と前記既設枠との間に配置され前記加熱発泡材が発泡する空間を仕切る仕切部材を備える、請求項１に記載の改装建具。

【請求項5】

前記仕切部材は、前記新設枠と前記既設枠との間に配置され見込み方向に延びる見込み方向延在板を有する、請求項４に記載の改装建具。

【請求項6】

前記仕切部材は、前記新設枠に取り付けられ前記新設枠から前記既設枠側に突出して形成される、請求項４に記載の改装建具。

【請求項7】

前記仕切部材は、前記既設枠又は前記新設枠に固定される、請求項５又は６に記載の改装建具。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本開示は、改装建具に関する。

【背景技術】

【0002】

従来、建物の開口部をリフォーム等で改装する場合に、開口部に取り付けられている既設枠の内周側に新設枠を取り付けることが行われている。例えば、特許文献１には、既設枠の内周側に新設枠を対面するように配置させた改装建具が開示されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１８－１７８５７５号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

改装建具において、防火性能を向上させるために、火災発生時に、既設枠と新設枠との間への火炎の熱の流入を抑制でき、又は、既設枠と新設枠との間からの火炎の熱の流出を抑制できることが望まれている。

【0005】

本開示は、火災発生時に、既設枠と新設枠との間における火炎の熱の流入又は流出を抑制できる改装建具を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本開示は、建物躯体の開口部に取り付けられる既設枠と、前記既設枠の内周側に取り付けられる新設枠と、前記既設枠に向かって発泡するように前記新設枠に取り付けられる加熱発泡材と、を備える改装建具に関する。

【図面の簡単な説明】

【0007】

【図1】第１実施形態に係る改装建具を室外側から見た正面図である。

【図2】図１に示す改装建具の縦断面図である。

【図3】図１に示す改装建具の横断面図である。

【図4】図２に示す改装建具の上枠部分を拡大して示す縦断面図である。

【図5】図２に示す改装建具の下枠部分を拡大して示す縦断面図である。

【図6】図３に示す改装建具の左側の縦枠部分を拡大して示す横断面図である。

【図7】第２実施形態に係る改装建具の上枠部分を拡大して示す縦断面図である。

【図8】第２実施形態に係る改装建具の下枠部分を拡大して示す縦断面図である。

【図9】第２実施形態に係る改装建具の左側の縦枠部分を拡大して示す横断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0008】

以下、本開示の第１実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。本実施形態に係る改装建具１は、既設枠２が建物躯体１００の開口部に取り付けられた状態で、既設枠２に新設枠３を取り付けるリフォーム用の改装建具である。

【0009】

本明細書において、見込み方向とは、改装建具１における室内外方向に沿う方向である。見付け方向とは、改装建具１における面材の面方向に沿う方向であり、見込み方向に対して直交する方向である。「見付け面」は、改装建具１における室外側及び室内側に面するそれぞれの面を意味し、「見込み面」は、改装建具１において室内外方向に延びる面を意味する。図面において、改装建具１の室外側を「室外側Ｘ１」とし、改装建具１の室内側を「室内側Ｘ２」とする。改装建具１を正面視したときの横方向を「左右」とする。改装建具１を正面視したときの改装建具１の中央部に向かう方向を「内方」とし、改装建具１の中央部から離れる方向を「外方」とする。

【0010】

本実施形態に示す改装建具１は、木質系の建物躯体１００の開口部に納められた引き違い窓タイプの改装サッシである。図１に示すように、改装建具１は、既設枠２と、新設枠３と、２枚の障子４１，４２と、１枚の網戸４３（図２及び図３参照）と、を有する。既設枠２は、建物躯体１００の開口部における上下左右の四周に亘って取り付けられる。新設枠３は、既設枠２の内周側における上下左右の四周に亘って取り付けられる。障子４１，４２及び網戸４３は、新設枠３の内側に左右方向にスライド移動可能に納められる。図１に示すように、室内側Ｘ２に配置される障子４１には、クレセント錠４４が取り付けられている。図１において、網戸４３は図示を省略している。

【0011】

既設枠２は、図２及び図３に示すように、既設上枠２１、既設下枠２２及び左右一対の既設縦枠２３，２４の４つの枠部材を矩形に四方組みすることによって形成され、改装前の建物躯体１００の開口部の内側に取り付けられている。既設上枠２１、既設下枠２２及び左右一対の既設縦枠２３，２４は、それぞれアルミニウム等の金属製または塩化ビニル等の樹脂製の押出形材からなる。

【0012】

既設枠２の室内側Ｘ２には額縁部材１０１が配置される。額縁部材１０１は、建物躯体１００の開口部の内周面における上下左右の四周に亘って取り付けられ、既設枠２の室内側Ｘ２の端面２ａから室内側に向けて延びている。四方組みされた既設枠２と建物躯体１００の室外側Ｘ１に設けられる外壁材１０２との隙間は、バックアップ材１０３及びシーリング材１０４によって四周に亘って目止めされている。

【0013】

既設上枠２１は、図２及び図４に示すように、建物躯体１００の開口部の上部に配置され、開口部における室外側Ｘ１に片寄った位置に固定されている。既設上枠２１は、見込み方向に延びる上面延在板２１ａと、上面延在板２１ａからそれぞれ下方に向けて突出する既設障子用の一対のガイドレール２１１ａ、２１１ｂと、既設網戸用のガイドレール２１１ｃと、上面延在板２１ａの室内側Ｘ２の端部から下方に立ち下がる室内側壁部２１ｂと、室内側壁部２１ｂの下端部から室内側Ｘ２に突出する室内側突出板２１ｃと、上面延在板２１ａの見込み方向の途中から上方に突出して延びる上方延出板２１ｄと、を有する。

【0014】

室内側突出板２１ｃは、既設上枠２１の室内側Ｘ２の端部において、見込み方向に延びて形成され、額縁部材１０１の室外側Ｘ１の端部の下面に沿って配置される。既設上枠２１は、建物躯体１００の開口部の上方において、室内側Ｘ２の端部が、室内側突出板２１ｃを介して、建物躯体１００の額縁部材１０１に固定されていると共に、上方延出板２１ｄにおいて建物躯体１００に固定されている。

【0015】

既設下枠２２は、図２及び図５に示すように、建物躯体１００の開口部の下部に配置され、開口部における室外側Ｘ１に片寄った位置に固定されている。既設下枠２２は、段差状に形成される。既設下枠２２は、室内側Ｘ２に設けられる上段部２２ａと、上段部２２ａの室外側Ｘ１の下方に段差２２ｂを介して設けられる中段部２２ｃと、中段部２２ｃの室外側Ｘ１の下方に段差中段部２２ｄ１を有する段差２２ｄを介して設けられる下段部２２ｅと、上段部２２ａの室内側Ｘ２の端部から上方に立ち上がる室内側壁部２２ｆと、室内側壁部２２ｆの上端部から室内側Ｘ２に突出する室内側突出板２２ｇと、上方に向けて突出する既設障子用の一対のガイドレール２２１ａ、２２１ｂと、既設網戸用のガイドレール２２１ｃと、上段部２２ａの室内側Ｘ２の端部から下方に延びる下方延出壁部２２ｈと、中段部２２ｃの下部において中段部２２ｃと段差２２ｄの一部とを含んで構成され中空部を有する中空枠部２２ｉと、中空枠部２２ｉの室内側Ｘ２の端部から下方に突出して延びる下方延出板２２ｊと、を有する。

【0016】

ガイドレール２２１ａは、上段部２２ａの見込み方向の途中に設けられる。ガイドレール２２１ｂは、中段部２２ｃと下段部２２ｅとの境の段差２２ｄの室内側Ｘ２の端部における上部に設けられる。ガイドレール２２１ｃは、既設下枠２２の最も室外側Ｘ１において、下段部２２ｅの室外側Ｘ１の端部に設けられる。既設下枠２２の高さは、最も室内側Ｘ２のガイドレール２２１ａから最も室外側Ｘ１のガイドレール２２１ｃにかけて、次第に低くなるように形成されている。

【0017】

室内側突出板２２ｇは、見込み方向に延びて形成され、額縁部材１０１の室外側Ｘ１の端部の上面に沿って配置される。既設下枠２２は、建物躯体１００の開口部の上方において、室内側Ｘ２の端部が、室内側突出板２２ｇを介して、建物躯体１００の額縁部材１０１に固定されていると共に、下方延出板２２ｊにおいて建物躯体１００に固定されている。

【0018】

既設縦枠２３，２４は、図３に示すように、建物躯体１００の開口部の左右方向の両端部に配置され、開口部における室外側Ｘ１に片寄った位置に固定されている。既設縦枠２３，２４は、見込み方向に延びる側部延在板２３ａ，２４ａと、側部延在板２３ａ，２４ａの室外側Ｘ１の端部から左右方向の外方に突出する外方突出片２３ｂ，２４ｂと、側部延在板２３ａ，２４ａの室内側Ｘ２の端部から左右方向の内方に立ち上がる室内側壁部２３ｃ，２４ｃと、室内側壁部２３ｃ，２４ｃの左右方向の内方の端部から室内側Ｘ２に突出する室内側突出板２３ｄ，２４ｄと、側部延在板２３ａ，２４ａの見込み方向の途中から左右方向の外方に突出して延びる外方延出板２３ｅ，２４ｅと、を有する。

【0019】

室内側突出板２３ｄ，２４ｄは、既設縦枠２３，２４の室内側Ｘ２の端部において、見込み方向に延びて形成され、額縁部材１０１の左右方向の内方の内側面に沿って配置される。既設縦枠２３，２４は、建物躯体１００の開口部の側方において、室内側Ｘ２の端部が、室内側突出板２３ｄ，２４ｄを介して、建物躯体１００の額縁部材１０１に固定されていると共に、外方延出板２３ｅ，２４ｅにおいて建物躯体１００に固定されている。

【0020】

本実施形態の新設枠３は、既設枠２の形状に対応するように、既設枠２に専用に形成された専用枠である。新設枠３は、図２及び図３に示すように、新設上枠３１、新設下枠３２及び左右一対の新設縦枠３３，３４の４つの枠部材を予め矩形に四方組みした状態で、既設枠２から額縁部材１０１に亘る内周側に取り付けられる。詳しくは、新設枠３は、予め四方組みした状態で建物躯体１００の開口部の室内側Ｘ２から室外側Ｘ１に出した後、室内側Ｘ２に引き込むようにして、既設枠２及び額縁部材１０１の内周側に配置される。既設枠２及び額縁部材１０１の内周側に配置された新設枠３は、固定部材であるねじＳＣ１，ＳＣ２，ＳＣ３，ＳＣ４によって、既設枠２よりも室内側Ｘ２の建物躯体１００に固定される。

【0021】

次に、新設枠３の新設上枠３１、新設下枠３２及び左右一対の新設縦枠３３，３４の構成について、個別に説明する。

【0022】

まず、新設上枠３１について説明する。

【0023】

図４に示すように、新設上枠３１は、既設上枠２１の長さ方向に沿って左右方向に延びている。新設上枠３１は、既設上枠２１のガイドレール２１１ｃから額縁部材１０１の見込み方向の中央部付近に亘る見込み方向の長さを有する。新設上枠３１は、室外側枠部材３１１と室内側枠部材３１２とに見込み方向に２分割されている。室外側枠部材３１１及び室内側枠部材３１２は、いずれも金属枠部材であり、それぞれアルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる。室外側枠部材３１１と室内側枠部材３１２との間には、連結部材３１３が配置されている。室外側枠部材３１１と室内側枠部材３１２とは、連結部材３１３によって一体的に連結されている。連結部材３１３は、樹脂等の断熱性を有する部材からなり、新設上枠３１における室外側枠部材３１１から室内側枠部材３１２への熱の伝達を遮断する。

【0024】

新設上枠３１は、新設枠３の内側に納められる２枚の障子４１，４２用の一対のガイドレール３１４ａ，３１４ｂと、新設枠３の最も室外側Ｘ１に納められる網戸４３用のガイドレール３１４ｃと、を有する。ガイドレール３１４ｂ，３１４ｃは、室外側枠部材３１１に配置され、下方に向けて突出している。ガイドレール３１４ａは、室内側枠部材３１２において連結部材３１３に隣接して配置され、下方に向けて突出している。ガイドレール３１４ａ，３１４ｂ，３１４ｃは、新設上枠３１の長さ方向の全長に亘って延びている。

【0025】

図４に示すように、室外側枠部材３１１は、ガイドレール３１４ｂが配置される部位から連結部材３１３に亘って延びる断面略矩形状の中空部３１１１と、中空部３１１１の室内側Ｘ２に連続して配置される断面略矩形状の中空部３１１２と、を有する。室外側枠部材３１１の上面３１１ａには、室外側Ｘ１に配置されるヒレ部材取付溝３１１ｂと、ヒレ部材取付溝３１１ｂの室内側Ｘ２に配置される加熱発泡材取付凹部３１１ｃと、が形成されている。ヒレ部材取付溝３１１ｂは、上方に向けて開放すると共に、見込み方向に所定幅を有し、かつ、新設上枠３１の長さ方向の全長に亘って延びて形成される。加熱発泡材取付凹部３１１ｃは、上方に向けて開放すると共に、見込み方向に所定長さ延び、かつ、新設上枠３１の長さ方向の全長に亘って延びて形成される。

【0026】

加熱発泡材取付凹部３１１ｃには、加熱発泡材７１１が取り付けられる。加熱発泡材７１１は、所定の厚さで形成されると共に、見込み方向に幅を有し、新設上枠３１の長さ方向の全長に亘って延びる。これにより、新設上枠３１の室外側枠部材３１１の上面３１１ａ（見込み面）には、既設上枠２１に向かって発泡するように、加熱発泡材７１１が取り付けられる。

【0027】

加熱発泡材７１１は、新設上枠３１の室外側枠部材３１１における既設上枠２１が配置される空間側の上面３１１ａ（既設上枠２１側の面、見込み面）に取り付けられており、火災発生時の火炎の熱により、厚さ方向に発泡するため、上方側の既設上枠２１に向かって発泡する。これにより、火災発生時において、加熱発泡材７１１により既設上枠２１と新設上枠３１との間を塞ぐことができる。よって、火災発生時において、既設上枠２１と新設上枠３１との間に室外側Ｘ１又は室内側Ｘ２から火炎の熱が流入することを抑制でき、或いは、既設上枠２１と新設上枠３１との間から室外側Ｘ１又は室内側Ｘ２に火炎の熱が流出することを抑制することができる。

【0028】

ヒレ部材取付溝３１１ｂには、弾性を有するヒレ部材３１７（仕切部材）が取り付けられる。ヒレ部材３１７は、室外側枠部材３１１の上面３１１ａの室外側Ｘ１の部位において、室外側枠部材３１１の上面３１１ａに固定される。ヒレ部材３１７は、既設上枠２１のガイドレール２１１ｂに近接するように、室外側枠部材３１１の上面３１１ａに形成されるヒレ部材取付溝３１１ｂから上方の既設上枠２１側に向けて突出して形成される。ヒレ部材３１７は、新設上枠３１の長さ方向の全長に亘って延びて形成される。

【0029】

ヒレ部材３１７は、既設上枠２１と新設上枠３１との間の空間において、加熱発泡材７１１の室内側Ｘ２の近傍に配置される。ヒレ部材３１７は、新設上枠３１と既設上枠２１との間に配置され、加熱発泡材７１１が発泡する空間を仕切る。

【0030】

ヒレ部材３１７は、加熱発泡材７１１が発泡した場合に、加熱発泡材７１１が室外側Ｘ１に発泡が広がらないように、加熱発泡材７１１の室外側Ｘ１の隣りの近傍の部位に配置されている。これにより、ヒレ部材３１７は、加熱発泡材７１１が発泡する空間を狭めるように見込み方向の途中において室外側Ｘ１と室内側Ｘ２とに仕切って加熱発泡材７１１が発泡する空間を狭めることで、加熱発泡材７１１の使用量を少なくすることができる。

【0031】

また、ヒレ部材３１７を設けることにより、新設上枠３１において、室外側壁部３１５と既設上枠２１のガイドレール２１１ｃとの間から雨水が浸入しても、室外側延出部３１１３を左右方向に流れて新設縦枠３３，３４の外周側に排水され、室内側Ｘ２への浸入は抑制される。仮に大量の雨水が室外側延出部３１１３に浸入しても、ヒレ部材３１７によって室内側Ｘ２への浸入が阻止される。ヒレ部材３１７は弾性を有するため、新設上枠３１が既設上枠２１の内周側に配置される際に既設上枠２１等と接触しても、弾性的に撓むことができる。

【0032】

室内側枠部材３１２は、連結部材３１３から室内側Ｘ２に向けて延びる断面略矩形状の中空部３１２１を有する。室内側枠部材３１２の上面３１２ａには、室外側Ｘ１に配置される加熱発泡材取付凹部３１２ｂと、加熱発泡材取付凹部３１２ｂよりも室内側Ｘ２に配置される加熱発泡材取付凹部３１２ｃと、が形成されている。加熱発泡材取付凹部３１２ｂ，３１２ｃは、上方に向けて開放すると共に見込み方向に所定長さ延び、かつ、新設上枠３１の長さ方向の全長に亘って延びて形成される。

【0033】

加熱発泡材取付凹部３１２ｂ，３１２ｃには、加熱発泡材７１２，７１３が取り付けられる。加熱発泡材７１２，７１３は、所定の厚さで形成されると共に、見込み方向に幅を有し、新設上枠３１の長さ方向の全長に亘って延びる。これにより、既設上枠２１に向かって発泡するように、新設上枠３１の室内側枠部材３１２の上面３１２ａ（見込み面）において、室外側Ｘ１には、加熱発泡材７１２が取り付けられ、室内側Ｘ２には、加熱発泡材７１３が取り付けられる。

【0034】

加熱発泡材７１２，７１３は、新設上枠３１の室内側枠部材３１２における既設上枠２１が配置される空間側の上面３１２ａ（既設上枠２１側の面、見込み面）に取り付けられており、火災発生時の火炎の熱により、厚さ方向に発泡するため、上方側の既設上枠２１に向かって発泡する。これにより、火災発生時において、加熱発泡材７１２，７１３により既設上枠２１と新設上枠３１との間を塞ぐことができる。よって、火災発生時において、既設上枠２１と新設上枠３１との間に室外側Ｘ１又は室内側Ｘ２から火炎の熱が流入することを抑制でき、或いは、既設上枠２１と新設上枠３１との間から室外側Ｘ１又は室内側Ｘ２に火炎の熱が流出することを抑制することができる。

【0035】

室外側枠部材３１１の上面３１１ａ及び室内側枠部材３１２の上面３１２ａは、ヒレ部材取付溝３１１ｂ，加熱発泡材取付凹部３１１ｃ，３１２ｂ，３１２ｃ以外の部分は、いずれも同一平面上に配置されており、新設上枠３１の見込み方向に面一状に並んで配置されている。ヒレ部材取付溝３１１ｂ，加熱発泡材取付凹部３１１ｃ，３１２ｂ，３１２ｃは、室外側枠部材３１１の上面３１１ａ及び室内側枠部材３１２の上面３１２ａから下方に凹んで形成されている。加熱発泡材７１１，７１２，７１３及び連結部材３１３は、これらの上面３１１ａ，３１２ａよりも上方に突出していない。

【0036】

室外側枠部材３１１は、室外側枠部材３１１の上面３１１ａよりも低い位置で室外側Ｘ１に向けて延びる室外側延出部３１１３を一体に有する。室外側延出部３１１３は、新設上枠３１の室外側Ｘ１の端部に配置される。室外側延出部３１１３は、見込み方向において、ガイドレール３１４ｂとガイドレール３１４ｃとの間に配置される。室外側延出部３１１３は、見込み方向において、新設上枠３１の上面に浸入した雨水を室内側Ｘ２に流入させることなく、左右方向に流す排水溝でもある。

【0037】

室外側延出部３１１３の上面には、加熱発泡材取付凹部３１１３ａが形成されている。加熱発泡材取付凹部３１１３ａは、上方に向けて開放すると共に見込み方向に所定長さ延び、かつ、新設上枠３１の長さ方向の全長に亘って延びて形成される。

【0038】

加熱発泡材取付凹部３１１３ａには、加熱発泡材７１４が取り付けられる。加熱発泡材７１４は、所定の厚さで形成されると共に、見込み方向に幅を有し、新設上枠３１の長さ方向の全長に亘って延びる。これにより、新設上枠３１の室外側延出部３１１３の上面（見込み面）には、既設上枠２１に向かって発泡するように、加熱発泡材７１４が取り付けられる。

【0039】

加熱発泡材７１４は、新設上枠３１の室外側延出部３１１３における既設上枠２１が配置される空間側の上面（見込み面）に取り付けられており、火災発生時の火炎の熱により、厚さ方向に発泡するため、上方側の既設上枠２１に向かって発泡する。これにより、火災発生時において、加熱発泡材７１４により既設上枠２１と新設上枠３１との間を塞ぐことができる。よって、火災発生時において、既設上枠２１と新設上枠３１との間に室外側Ｘ１又は室内側Ｘ２から火炎の熱が流入することを抑制でき、或いは、既設上枠２１と新設上枠３１との間から室外側Ｘ１又は室内側Ｘ２に火炎の熱が流出することを抑制することができる。

【0040】

室外側延出部３１１３の最も室外側Ｘ１の部位には、見付け方向の上方に向けて延びる室外側壁部３１５が一体に設けられる。室外側壁部３１５は、室外側枠部材３１１及び室内側枠部材３１２の上面３１１ａ，３１２ａよりもさらに上方に突出し、既設上枠２１の最も室外側Ｘ１のガイドレール２１１ｃの室外側面２１１ｄに対して、室外側Ｘ１から重なるように配置されている。これにより、ガイドレール２１１ｃの室外側面２１１ｄ（室外側部分）は、新設上枠３１の室外側壁部３１５（室外側部）に覆われて配置される。

【0041】

室外側壁部３１５における既設上枠２１のガイドレール２１１ｃと重ならない下方側の部位の室内側Ｘ２の面には、加熱発泡材取付枠３１５ａが形成されている。加熱発泡材取付枠３１５ａは、室内側Ｘ２に向けて開放すると共に上下方向に所定長さ延び、かつ、新設上枠３１の長さ方向の全長に亘って延びて形成される。

【0042】

加熱発泡材取付枠３１５ａには、加熱発泡材７１５が取り付けられる。加熱発泡材７１５は、所定の厚さで形成されると共に、上下方向に幅を有し、新設上枠３１の長さ方向の全長に亘って延びる。これにより、室外側壁部３１５における既設上枠２１のガイドレール２１１ｃと重ならない下方側の部位の室内側Ｘ２の面（見付け面）には、既設上枠２１に向かって発泡するように、加熱発泡材７１５が取り付けられる。

【0043】

加熱発泡材７１５は、新設上枠３１の室外側壁部３１５における既設上枠２１のガイドレール２１１ｃと重ならない下方側の部位における既設上枠２１が配置される空間側の室内側Ｘ２の面（見付け面）に取り付けられており、火災発生時の火炎の熱により、厚さ方向に発泡するため、室内側Ｘ２の空間に配置される既設上枠２１に向かって発泡する。これにより、火災発生時において、加熱発泡材７１５により既設上枠２１と新設上枠３１との間を塞ぐことができる。よって、火災発生時において、既設上枠２１と新設上枠３１との間に室外側Ｘ１又は室内側Ｘ２から火炎の熱が流入することを抑制でき、或いは、既設上枠２１と新設上枠３１との間から室外側Ｘ１又は室内側Ｘ２に火炎の熱が流出することを抑制することができる。

【0044】

室外側壁部３１５における既設上枠２１のガイドレール２１１ｃに重なって配置される上方側の部位の室内側Ｘ２の面には、室外側Ｘ１に凹む加熱発泡材取付枠部３１５ｂが形成されている。加熱発泡材取付枠部３１５ｂは、室内側Ｘ２に向けて開放すると共に上下方向に所定長さ延び、かつ、新設上枠３１の長さ方向の全長に亘って延びて形成される。

【0045】

加熱発泡材取付枠部３１５ｂには、加熱発泡材７１６が取り付けられる。加熱発泡材７１６は、所定の厚さで形成されると共に、上下方向に幅を有し、新設上枠３１の長さ方向の全長に亘って延びる。これにより、新設上枠３１の室外側壁部３１５における既設上枠２１のガイドレール２１１ｃに重なって配置される上方側の部位の室内側Ｘ２の面（見付け面）には、既設上枠２１に向かって発泡するように、加熱発泡材７１６が取り付けられる。

【0046】

加熱発泡材７１６は、室外側壁部３１５における既設上枠２１のガイドレール２１１ｃに重なって配置される上方側の部位における既設上枠２１のガイドレール２１１ｃが配置される空間側の室内側Ｘ２の面（見付け面）に取り付けられており、火災発生時の火炎の熱により、厚さ方向に発泡するため、既設上枠２１のガイドレール２１１ｃに向かって発泡する。これにより、火災発生時において、加熱発泡材７１６により既設上枠２１のガイドレール２１１ｃと新設上枠３１の室外側壁部３１５との間を塞ぐことができる。よって、火災発生時において、既設上枠２１のガイドレール２１１ｃと新設上枠３１の室外側壁部３１５との間に火炎の熱が流入することを抑制でき、或いは、既設上枠２１のガイドレール２１１ｃと新設上枠３１の室外側壁部３１５との間から火炎の熱が流出することを抑制することができる。

【0047】

室外側壁部３１５には、アルミニウム等の金属材からなる化粧材３１６（カバー材）が室外側Ｘ１から着脱可能に取り付けられている。化粧材３１６は、室外側壁部３１５を覆うとともに、既設上枠２１よりも見付け方向の上方に延出し、新設上枠３１の室外側Ｘ１の見付け面を形成している。化粧材３１６は、既設上枠２１と外壁材１０２との間に露出するシーリング材１０４を室外側Ｘ１から覆い隠している。

【0048】

新設上枠３１の最も室内側Ｘ２の部位には、新設上枠３１を建物躯体１００に固定するための取付部３１８が一体に設けられる。取付部３１８は、室外側枠部材３１１及び室内側枠部材３１２の上面３１１ａ，３１２ａと平行に配置され、室内側枠部材３１２における室内側Ｘ２の端面の上部から室内側Ｘ２に向けて板状に延出している。

【0049】

取付部３１８の上面には、新設上枠３１の長さ方向に延びる少なくとも一対の突条部３１８１が設けられる。一対の突条部３１８１は、取付部３１８の上面から僅かに上方に突出し、見込み方向に所定の間隔をあけて平行に配置される。

【0050】

矩形に四方組みされた状態の新設枠３における新設上枠３１は、既設上枠２１から額縁部材１０１に亘る部位の内周側に配置される。新設上枠３１の室外側枠部材３１１は、既設上枠２１の下方に配置される。新設上枠３１の室内側枠部材３１２は、額縁部材１０１の下方に配置される。

【0051】

図４に示すように、新設上枠３１と額縁部材１０１との間に隙間が形成される場合には、その隙間を埋めるようにスペーサ部材３０１が配置される。スペーサ部材３０１は、１枚以上のシートによって構成される。スペーサ部材３０１は、新設上枠３１の長さ方向の幅が所定幅のピース状に形成され、新設上枠３１の長さ方向に離れた複数箇所に配置されている。スペーサ部材３０１を構成するシートの厚み及びシートの積層数は、新設上枠３１の室内側枠部材３１２と額縁部材１０１との間の隙間の大きさ等に応じて適宜設定される。

【0052】

室外側枠部材３１１の上面３１１ａの室内側Ｘ２の部位、室内側枠部材３１２の上面３１２ａ、取付部３１８及び連結部材３１３は、スペーサ部材３０１に当接して重なっている。四方組みされた新設枠３における新設上枠３１は、室内側Ｘ２から取付部３１８及びスペーサ部材３０１を貫通するねじＳＣ１によって、既設上枠２１よりも室内側Ｘ２の建物躯体１００に固定される。ねじＳＣ１は、取付部３１８の一対の突条部３１８１の間を貫通する。一対の突条部３１８１は、スペーサ部材３０１に当接し、ねじＳＣ１の締結トルクが作用した際の取付部３１８の変形を抑制する。

【0053】

新設枠３が既設枠２の内周側に取り付けられた状態において、既設上枠２１と新設上枠３１との間には、新設上枠３１を既設上枠２１に取り付けるための他の部材が介在していない。新設上枠３１は、既設上枠２１の内周側に直接的に上下に対面するように配置される。そのため、新設上枠３１は、既設上枠２１に可及的に近接して配置可能である。新設上枠３１は、既設上枠２１に固定されないため、既設上枠２１に歪み等が生じていても、その歪みの状態に影響されずに取り付け可能である。ねじＳＣ１は、既設上枠２１と接触しないため、ねじＳＣ１を介して既設上枠２１と新設上枠３１の室内側枠部材３１２との間で熱が伝達されることもない。

【0054】

新設上枠３１の一対のガイドレール３１４ａ，３１４ｂの間には、樹脂製または木質由来材料製のレール間カバー３１１４が取り付けられる。レール間カバー３１１４は、新設上枠３１におけるガイドレール３１４ａ，３１４ｂの間を実質的に遮蔽するように、室外側枠部材３１１の下面と連結部材３１３の下面側とに亘って配置される。図４に示すように、レール間カバー３１１４は、上板部３１１４ａと、上板部３１１４ａの下方に略平行に配置される下板部３１１４ｂと、上板部３１１４ａ及び下板部３１１４ｂを繋ぐ複数の連結板部３１１４ｃとによって構成される二重構造を有する。レール間カバー３１１４は、既設上枠２１側から新設上枠３１に伝わる外気温度が、新設上枠３１の内周側に伝達されることを抑制する。

【0055】

図４に示すように、新設上枠３１の室内側枠部材３１２の室内側Ｘ２の端部の下部には、樹脂製または木質由来材料製のアングル部材３１９が取り付けられている。アングル部材３１９の室外側Ｘ１には、樹脂製または木質由来材料製のカバー材３１９１が一体に設けられている。アングル部材３１９には、ねじ５１ａによって、樹脂製の化粧カバー５１が取り付けられている。

【0056】

化粧カバー５１は、アングル部材３１９に連続して室内側Ｘ２に向けて延びるとともに、額縁部材１０１に亘って配置される。アングル部材３１９に固定された化粧カバー５１は、アングル部材３１９と額縁部材１０１との間の新設上枠３１及びスペーサ部材３０１を室内側Ｘ２から覆っている。ねじＳＣ１の頭部は、化粧カバー５１の内側に配置される。化粧カバー５１と額縁部材１０１との境目は、ねじ６１ａによって額縁部材１０１に固定される断面Ｌ字状の見切り材６１によって遮蔽されている。

【0057】

次に、新設下枠３２について説明する。

【0058】

図５に示すように、新設下枠３２は、既設下枠２２の長さ方向に沿って左右方向に延びている。新設下枠３２は、既設下枠２２のガイドレール２２１ｃから額縁部材１０１の見込み方向の中央部付近に亘る見込み方向の長さを有する。新設下枠３２は、室外側枠部材３２１と室内側枠部材３２２とに見込み方向に２分割されている。室外側枠部材３２１及び室内側枠部材３２２は、いずれも金属枠部材であり、それぞれアルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる。室外側枠部材３２１と室内側枠部材３２２との間には、連結部材３２３が配置されている。室外側枠部材３２１と室内側枠部材３２２とは、連結部材３２３によって一体的に連結されている。連結部材３２３は、樹脂等の断熱性を有する部材からなり、新設下枠３２における室外側枠部材３２１から室内側枠部材３２２への熱の伝達を遮断する。

【0059】

新設下枠３２は、新設上枠３１のガイドレール３１４ａ，３１４ｂ，３１４ｃに対応してそれぞれ上方に突出するガイドレール３２４ａ，３２４ｂ，３２４ｃを有する。ガイドレール３２４ａ，３２４ｂ，３２４ｃは、新設下枠３２の長さ方向の全長に亘って延びている。最も室内側Ｘ２のガイドレール３２４ａは、室内側枠部材３２２の上面における最も室外側Ｘ１に、連結部材３２３に隣接して配置される。ガイドレール３２４ｂは、室外側枠部材３２１の上面における見込み方向の中央部付近に配置される。ガイドレール３２４ｃは、室外側枠部材３２１の上面における最も室外側Ｘ１に配置される。

【0060】

図５に示すように、室外側枠部材３２１は、既設下枠２２の形状に沿うように下方に向けて膨出する形状の中空部３２１１を有する。室外側枠部材３２１の下面に形成される室外側Ｘ１から室内側Ｘ２に向かうに従って上る上り傾斜面３２１２には、室外側Ｘ１の斜め上方に凹む加熱発泡材取付凹部３２１２ａが形成される。加熱発泡材取付凹部３２１２ａは、室内側Ｘ２の斜め下方に向けて開放すると共に上り傾斜面３２１２の傾斜方向に所定長さ延び、かつ、新設下枠３２の長さ方向の全長に亘って延びて形成される。

【0061】

加熱発泡材取付凹部３２１２ａには、加熱発泡材７２１が取り付けられる。加熱発泡材７２１は、所定の厚さで形成されると共に、室外側枠部材３２１の下面における上り傾斜面３２１２の傾斜方向に幅を有し、新設下枠３２の長さ方向の全長に亘って延びる。これにより、新設下枠３２の室外側枠部材３２１の下面における上り傾斜面３２１２には、既設下枠２２に向かって発泡するように、加熱発泡材７２１が取り付けられる。

【0062】

加熱発泡材７２１は、新設下枠３２の室外側枠部材３２１の下面における既設下枠２２が配置される空間側の上り傾斜面３２１２に取り付けられており、火災発生時の火炎の熱により、厚さ方向に発泡するため、既設下枠２２に向かって発泡する。これにより、火災発生時において、加熱発泡材７２１により既設下枠２２と新設下枠３２との間を塞ぐことができる。よって、火災発生時において、既設下枠２２と新設下枠３２との間に室外側Ｘ１又は室内側Ｘ２から火炎の熱が流入することを抑制でき、或いは、既設下枠２２と新設下枠３２との間から室外側Ｘ１又は室内側Ｘ２に火炎の熱が流出することを抑制することができる。

【0063】

室内側枠部材３２２は、連結部材３２３から室内側Ｘ２に向けて延びる断面略矩形状の中空部３２２１を有する。室内側枠部材３２２の下面における室外側Ｘ１の部位には、上方に向けて凹んだ形状の段部３２２２が形成されている。室内側枠部材３２２の下面における室内側Ｘ２の部位には、下方に突出する２つの段差脚部３２２３が形成されている。

【0064】

新設下枠３２の室外側Ｘ１の部位には、高さ調整部材３２５が取り付けられる。高さ調整部材３２５は、新設下枠３２から下方に延び、既設下枠２２のガイドレール２２１ｂ，２２１ｃ間の下段部２２ｅの上面に載置される。高さ調整部材３２５が調整されることによって、新設下枠３２の室外側Ｘ１の高さが調整される。

【0065】

新設下枠３２の室外側Ｘ１の側面には、アルミニウム等の金属材からなる化粧材３２６（カバー材）が室外側Ｘ１から着脱可能に取り付けられている。化粧材３２６は、高さ調整部材３２５を覆うとともに、既設下枠２２よりも見付方向の下方に延出し、新設下枠３２の見付け面を形成している。化粧材３２６は、既設下枠２２と外壁材１０２との間に露出するシーリング材１０４を室外側Ｘ１から覆い隠している。

【0066】

新設下枠３２の最も室内側Ｘ２の部位には、新設下枠３２を建物躯体１００に固定するための取付部３２７が一体に設けられる。取付部３２７は、室内側枠部材３２２における室内側Ｘ２の端面の下部から室内側Ｘ２に向けて板状に延出している。

【0067】

取付部３２７の下面には、新設下枠３２の長さ方向に延びる少なくとも一対の突条部３２７１が設けられる。一対の突条部３２７１は、取付部３２７の下面から僅かに下方に突出し、見込み方向に所定の間隔をあけて平行に配置される。

【0068】

矩形に四方組みされた状態の新設枠３において、新設下枠３２は、既設下枠２２から額縁部材１０１に亘る部位の内周側に配置される。新設下枠３２の室外側枠部材３２１は、既設下枠２２の上方に配置される。新設下枠３２の室内側枠部材３２２は、額縁部材１０１の上方に配置される。

【0069】

取付部３２７は、額縁部材１０１に当接している。四方組みされた新設枠３における新設下枠３２は、室内側Ｘ２から取付部３２７を貫通するねじＳＣ２によって、既設下枠２２よりも室内側Ｘ２の建物躯体１００に固定される。ねじＳＣ２は、取付部３２７の一対の突条部３２７１の間を貫通する。一対の突条部３２７１は、額縁部材１０１に当接し、ねじＳＣ２の締結トルクが作用した際の取付部３２７の変形を抑制する。

【0070】

図５に示すように、新設下枠３２の室内側枠部材３２２の段部３２２２内には、下方からスペーサ部材３０２と連結支持板３５とがねじ３５２ｂによって取り付けられ、額縁部材１０１との間を埋めている。

【0071】

スペーサ部材３０２は、１枚以上のシートによって構成される。スペーサ部材３０２は、新設下枠３２の長さ方向の幅が所定幅のピース状に形成され、新設下枠３２の長さ方向に離れた複数箇所に配置されているか、または、スペーサ部材３０２は、新設下枠３２の長さ方向の全長に亘って配置されている。スペーサ部材３０２を構成するシートの厚み及びシートの積層数は、段部３２２２の上下方向の深さ及び新設下枠３２の室内側枠部材３２２と額縁部材１０１との間の隙間の大きさ等に応じて適宜設定される。

【0072】

連結支持板３５は、アルミニウム等の金属製の板材からなり、図５に示すように、見込み方向に延びる板状に形成される。連結支持板３５は、図５に示すように、段差状に形成され、室内側枠部材３２２から連結部材３２３の下方を通って室外側枠部材３２１まで延びている。連結支持板３５は、図１に示すように、左右方向の長さが所定幅のピース状に形成され、改装建具１の左右方向の中央付近に配置される。

【0073】

連結支持板３５が設けられている新設下枠３２の長さ方向である左右方向の中央付近においては、新設下枠３２の取付部３２７（図５参照）と室内側枠部材３２２の下面の室内側Ｘ２の部位から下方に突出する２つの段差脚部３２２３（図５参照）とは連結支持板３５が配置される幅の分だけ欠損して切り欠かれている。連結支持板３５は、新設下枠３２の長さ方向の中央付近において、新設下枠３２の取付部３２７（図５参照）及び２つの段差脚部３２２３（図５参照）が切り欠かれて欠損された箇所に設けられている。

【0074】

図５に示すように、連結支持板３５は、見込み方向において、室外側枠部材３２１と室内側枠部材３２２とを連結する連結部材３２３を跨いで、室外側枠部材３２１と室内側枠部材３２２とを下方から支持した状態で接続する。連結支持板３５は、室外側Ｘ１に配置される室外側上段板３５１と、室内側Ｘ２に配置され室外側上段板３５１よりも低い位置に配置される室内側下段板３５２と、室外側Ｘ１から室内側Ｘ２向かうに従って下り傾斜で傾斜して形成され室外側上段板３５１と室内側下段板３５２とを接続する下り傾斜接続板３５３と、を有する。

【0075】

室外側上段板３５１は、室外側Ｘ１に配置され、見込み方向に略水平に延びる。室外側上段板３５１は、室外側枠部材３２１における連結部材３２３に隣接する部位の下面３２１ｂの下方に配置され、室外側枠部材３２１における連結部材３２３に隣接する部位の下面３２１ｂに当接し、下方から室外側枠部材３２１を支持している。室外側上段板３５１は、室外側上段板３５１及び新設下枠３２の室外側枠部材３２１の室内側Ｘ２の下部を貫通するねじ３５１ａによって、新設下枠３２の室外側枠部材３２１の室内側Ｘ２の下部に固定される。

【0076】

室内側下段板３５２は、室外側上段板３５１の室内側Ｘ２に下り傾斜接続板３５３を介して接続され、室外側上段板３５１よりも低い位置において、見込み方向に略水平に延びる。室内側下段板３５２は、新設下枠３２の室内側枠部材３２２の室内側Ｘ２の端面よりも室内側Ｘ２に突出し、新設下枠３２の取付部３２７の先端と同じ位置まで延出する。

【0077】

室内側下段板３５２は、室内側Ｘ２の部位が、室内側下段板３５２を斜め上方から貫通するねじ３５２ａによって、既設下枠２２よりも室内側Ｘ２の建物躯体１００に固定される。室内側下段板３５２の室内側Ｘ２の部位を固定するねじ３５２ａは、左右方向に見た場合において、新設下枠３２の取付部３２７を固定するねじＳＣ２と同様の大きさのねじが使用され、ほぼ同じ位置でほぼ同様の傾斜角度で配置されている。室内側下段板３５２は、室外側Ｘ１の部位が、室内側下段板３５２、スペーサ部材３０２及び室内側枠部材３２２の段部３２２２を下方から貫通するねじ３５２ｂによって、室内側枠部材３２２の下部に固定される。

【0078】

連結支持板３５は、火災発生時に、樹脂で構成された連結部材３２３が焼失しても、室外側枠部材３２１と室内側枠部材３２２とを接続すると共に金属製の板材で形成されているため、室外側枠部材３２１と室内側枠部材３２２との分離を抑制できる。これにより、火災発生時に、樹脂で構成された連結部材３２３が焼失しても、新設下枠３２の強度を維持できる。

【0079】

また、連結支持板３５は、室内側Ｘ２の部位において、ねじ３５２ａによって建物躯体１００に固定されており、室外側Ｘ１の部位において、新設下枠３２の室内側枠部材３２２を下方から支持している。これにより、連結支持板３５は、室内側Ｘ２の部位がねじ３５２ａによって建物躯体１００に固定されているため、室外側Ｘ１の部位において、新設下枠３２の室外側枠部材３２１が下方に垂れ下がることを防止した状態で支持できる。

【0080】

新設枠３が既設枠２の内周側に取り付けられた状態において、既設下枠２２と新設下枠３２との間には、新設下枠３２を既設下枠２２に取り付けるための他の部材が介在していない。新設下枠３２は、既設下枠２２の内周側に直接的に上下に対面するように配置される。そのため、新設下枠３２は、既設下枠２２に可及的に近接して配置可能である。新設下枠３２は、既設下枠２２に固定されないため、既設下枠２２に歪み等が生じていても、その歪みの状態に影響されずに取り付け可能である。ねじＳＣ２は、既設下枠２２と接触しないため、ねじＳＣ２を介して既設下枠２２と新設下枠３２の室内側枠部材３２２との間で熱が伝達されることもない。

【0081】

新設下枠３２の一対のガイドレール３２４ａ，３２４ｂの間には、樹脂製または木質由来材料製のカバー材３２１３が取り付けられる。カバー材３２１３は、ガイドレール３２４ｂの室内側Ｘ２の側面を覆うとともに室内側Ｘ２に向けて延びて、室外側枠部材３２１の上面と連結部材３２３の上面側とを覆っている。

【0082】

図５に示すように、新設下枠３２の室内側枠部材３２２には、樹脂製または木質由来材料製のアングル部材３２８が取り付けられている。アングル部材３２８の室外側Ｘ１には、樹脂製または木質由来材料製のカバー材３２８１が一体に設けられている。アングル部材３２８には、ねじ５２ａによって、樹脂製の化粧カバー５２が取り付けられている。

【0083】

化粧カバー５２は、アングル部材３２８に連続して室内側Ｘ２に向けて延びるとともに、額縁部材１０１に亘って配置される。アングル部材３２８に固定された化粧カバー５２は、アングル部材３２８と額縁部材１０１との間の新設下枠３２を室内側Ｘ２から覆っている。ねじＳＣ２の頭部及びねじ３５２ａの頭部は、化粧カバー５２の内側に配置される。化粧カバー５２と額縁部材１０１との境目は、ねじ６２ａによって額縁部材１０１に固定される断面Ｌ字状の見切り材６２によって遮蔽されている。

【0084】

次に、新設縦枠３３，３４について説明する。左右の新設縦枠３３，３４は、左右対称である以外、実質的に同一の構造を有する。そのため、左右の新設縦枠３３，３４における左側の新設縦枠３３について主に説明する。右側の新設縦枠３４の説明については、図３において、左側の新設縦枠３３に対応する符号を付けてその説明を省略する場合がある。また、右側の新設縦枠３４の詳細な説明について、図６の左側の新設縦枠３３の説明を援用して、その説明を省略する。

【0085】

図６に示すように、新設縦枠３３は、既設縦枠２３の長さ方向に沿って上下方向に延びている。新設縦枠３３は、既設縦枠２３の室外側Ｘ１の端部から額縁部材１０１の見込み方向の中央部付近に亘る見込み方向の長さを有する。新設縦枠３３は、金属枠部材であり、それぞれアルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる。

【0086】

図６に示すように、新設縦枠３３は、室外側Ｘ１側に配置される断面略矩形状の中空部３３１と、室内側Ｘ２に配置される断面略矩形状の中空部３３２と、を有する。新設縦枠３３の中空部３３１に対応する部分の左右方向の外側の外側面３３１ａには、室外側Ｘ１に配置される加熱発泡材取付凹部３３１ｂが形成される。新設縦枠３３の中空部３３２に対応する部分の左右方向の外側の外側面３３２ａには、室外側Ｘ１に配置される加熱発泡材取付凹部３３２ｂと、加熱発泡材取付凹部３３２ｂよりも室内側Ｘ２に配置される加熱発泡材取付凹部３３２ｃと、が形成されている。

【0087】

加熱発泡材取付凹部３３１ｂ，３３２ｂ，３３２ｃは、左右方向の外方に向けて開放すると共に見込み方向に所定長さ延び、かつ、新設縦枠３３の長さ方向の全長に亘って延びて形成される。加熱発泡材取付凹部３３１ｂ，３３２ｂ，３３２ｃには、加熱発泡材７３１，７３２，７３３が取り付けられる。

【0088】

加熱発泡材７３１，７３２，７３３は、所定の厚さで形成されると共に、見込み方向に幅を有し、新設縦枠３３の長さ方向の全長に亘って延びる。これにより、既設縦枠２３に向かって発泡するように、新設縦枠３３の中空部３３１の室外側Ｘ１の左右方向の外方の外側面３３１ａ（見込み面）には、室外側Ｘ１に加熱発泡材７３１が取り付けられ、新設縦枠３３の中空部３３２の左右方向の外方の外側面３３２ａ（見込み面）には、室外側Ｘ１に加熱発泡材７３２が取り付けられ、室内側Ｘ２に、加熱発泡材７３３が取り付けられる。

【0089】

加熱発泡材７３１，７３２，７３３は、新設縦枠３３における既設縦枠２３が配置される空間側の左右方向の外方の外側面３３１ａ，３３２ａ（既設縦枠２３側の面、見込み面）に取り付けられており、火災発生時の火炎の熱により、厚さ方向に発泡するため、左右方向の外方の既設縦枠２３に向かって発泡する。これにより、火災発生時において、加熱発泡材７３１，７３２，７３３により既設縦枠２３と新設縦枠３３との間を塞ぐことができる。よって、火災発生時において、既設縦枠２３と新設縦枠３３との間に室外側Ｘ１又は室内側Ｘ２から火炎の熱が流入することを抑制でき、或いは、既設縦枠２３と新設縦枠３３との間から室外側Ｘ１又は室内側Ｘ２に火炎の熱が流出することを抑制することができる。

【0090】

中空部３３１に対応する外側面３３１ａ及び中空部３３２に対応する外側面３３２ａは、加熱発泡材取付凹部３３１ｂ，３３２ｂ，３３２ｃ及び他の取付凹部が設けられる以外の部分は、いずれも同一平面上に配置されており、新設縦枠３３の見込み方向に面一状に並んで配置されている。加熱発泡材取付凹部３３１ｂ，３３２ｂ，３３２ｃ及び他の取付凹部は、新設縦枠３３の外側面３３１ａ，３３２ａから左右方向の内方に凹んで形成されている。加熱発泡材７３１，７３２，７３３は、これらの外側面３３１ａ，３３２ａよりも外方に突出していない。

【0091】

新設縦枠３３の最も室外側Ｘ１の部位には、見付け方向の外方に向けて延びる室外側壁部３３４が一体に設けられる。室外側壁部３３４は、中空部３３１及び中空部３３２の外側面３３１ａ，３３２ａよりもさらに見付け方向の外方に突出し、既設縦枠２３の最も室外側Ｘ１の外方突出片２３ｂの端面２３ｘに対して、室外側Ｘ１から重なるように配置されている。これにより、新設縦枠３３の外方突出片２３ｂの端面２３ｘ（室外側部分）は、新設縦枠３３の室外側壁部３３４（室外側部）に覆われて配置される。

【0092】

室外側壁部３３４における既設縦枠２３の最も室外側Ｘ１の端面２３ｘに対して重ならない部位の左右方向の途中の室内側Ｘ２の面には、室外側Ｘ１に凹む加熱発泡材取付凹部３３４ａが形成されている。加熱発泡材取付凹部３３４ａは、室内側Ｘ２に向けて開放すると共に左右方向に所定長さ延び、かつ、新設縦枠３３の長さ方向の全長に亘って延びて形成される。

【0093】

加熱発泡材取付凹部３３４ａには、加熱発泡材７３４が取り付けられる。加熱発泡材７３４は、所定の厚さで形成されると共に、左右方向に幅を有し、新設縦枠３３の長さ方向の全長に亘って延びる。これにより、新設縦枠３３の室外側壁部３３４における既設縦枠２３の最も室外側Ｘ１の端面２３ｘに対して重ならない部位の室内側Ｘ２の面（見付け面）には、既設縦枠２３に向かって発泡するように、加熱発泡材７３４が取り付けられる。

【0094】

加熱発泡材７３４は、新設縦枠３３の室外側壁部３３４における既設縦枠２３の最も室外側Ｘ１の端面２３ｘに対して重ならない部位における既設縦枠２３が配置される空間側の室内側Ｘ２の面（見付け面）に取り付けられており、火災発生時の火炎の熱により、厚さ方向に発泡するため、既設縦枠２３に向かって発泡する。これにより、火災発生時において、加熱発泡材７３４により既設縦枠２３と新設縦枠３３との間を塞ぐことができる。よって、火災発生時において、既設縦枠２３と新設縦枠３３との間に室外側Ｘ１又は室内側Ｘ２から火炎の熱が流入することを抑制でき、或いは、既設縦枠２３と新設縦枠３３との間から室外側Ｘ１又は室内側Ｘ２に火炎の熱が流出することを抑制することができる。

【0095】

室外側壁部３３４には、アルミニウム等の金属材からなる化粧材３３５（カバー材）が室外側Ｘ１から着脱可能に取り付けられている。化粧材３３５は、室外側壁部３３４を覆うとともに、既設縦枠２３よりも見付け方向の外方に延出し、新設縦枠３３の見付け面を形成している。化粧材３３５は、既設縦枠２３と外壁材１０２との間に露出するシーリング材１０４を室外側Ｘ１から覆い隠している。

【0096】

新設縦枠３３の最も室内側Ｘ２の部位には、新設縦枠３３を建物躯体１００に固定するために使用される取付部３３６が一体に設けられる。取付部３３６は、新設縦枠３３の室内側Ｘ２の端面の左右方向の外方の部分から室内側Ｘ２に向けて板状に延出している。

【0097】

取付部３３６の左右方向の外方の外側面には、新設縦枠３３の長さ方向に延びる少なくとも一対の突条部３３６１が設けられる。一対の突条部３３６１は、取付部３３６の左右方向の外方の外側面から僅かに外方に突出し、見込み方向に所定の間隔をあけて平行に配置される。

【0098】

矩形に四方組みされた状態の新設枠３における左右一対の新設縦枠３３は、既設縦枠２３から額縁部材１０１に亘る部位の内周側に配置される。図６に示すように、新設縦枠３３と額縁部材１０１との間に隙間が形成される場合には、その隙間を埋めるようにスペーサ部材３０３が配置される。スペーサ部材３０３は、１枚以上のシートによって構成される。スペーサ部材３０３は、新設縦枠３３の長さ方向の幅が所定幅のピース状に形成され、新設縦枠３３の長さ方向に離れた複数箇所に配置されている。スペーサ部材３０３を構成するシートの厚み及びシートの積層数は、新設縦枠３３と額縁部材１０１との間の隙間の大きさ等に応じて適宜設定される。

【0099】

新設縦枠３３の外側面３３２ａ及び取付部３３６は、スペーサ部材３０３に当接して重なっている。四方組された新設枠３における新設縦枠３３は、室内側Ｘ２から取付部３３６及びスペーサ部材３０３を貫通するねじＳＣ３によって、既設縦枠２３よりも室内側Ｘ２の建物躯体１００に固定される。ねじＳＣ３は、取付部３３６の一対の突条部３３６１の間を貫通する。一対の突条部３３６１は、スペーサ部材３０３に当接し、ねじＳＣ３の締結トルクが作用した際の取付部３３６の変形を抑制する。

【0100】

新設枠３が既設枠２の内周側に取り付けられた状態において、既設縦枠２３と新設縦枠３３との間には、新設縦枠３３を既設縦枠２３に取り付けるための他の部材が介在していない。新設縦枠３３は、既設縦枠２３の内周側に直接的に左右に対面するように配置される。そのため、新設縦枠３３は、既設縦枠２３に可及的に近接して配置可能である。新設縦枠３３は、既設縦枠２３に固定されないため、既設縦枠２３に歪み等が生じていても、その歪みの状態に影響されずに取り付け可能である。ねじＳＣ３は、既設縦枠２３と接触しないため、ねじＳＣ３を介して既設縦枠２３と新設縦枠３３との間で熱が伝達されることもない。

【0101】

図６に示すように、新設縦枠３３には、樹脂製または木質由来材料製のアングル部材３３８が取り付けられている。アングル部材３３８には、ねじ５３ａによって、樹脂製の化粧カバー５３が取り付けられている。

【0102】

化粧カバー５３は、アングル部材３３８に連続して室内側Ｘ２に向けて延びるとともに、額縁部材１０１に亘って配置される。アングル部材３３８に固定された化粧カバー５３は、アングル部材３３８と額縁部材１０１との間の新設縦枠３３及びスペーサ部材３０３を室内側Ｘ２から覆っている。ねじＳＣ３の頭部は、化粧カバー５３の内側に配置される。化粧カバー５３と額縁部材１０１との境目は、ねじ６３ａによって額縁部材１０１に固定される断面Ｌ字状の見切り材６３によって遮蔽されている。

【0103】

新設縦枠３３の室内側Ｘ２の部位の内側面には、樹脂製のカバー材３３３が設けられる。カバー材３３３は、アングル部材３３８の室外側Ｘ１に隣接して配置され、アングル部材３３８から新設縦枠３３の室内側Ｘ２において新設縦枠３３の左右方向の内方の内側面を覆っている。

【0104】

次に、障子４１，４２について説明する。

【0105】

障子４１，４２は、図２及び図３に示すように、それぞれ上框４１１，４２１と、下框４１２，４２２と、左右一対の縦框４１３，４２３と、を矩形に四方組みした框体の内側に、１枚以上のガラス等からなる面材４１４，４２４を納めることによって構成される。

【0106】

図２に示すように、上框４１１，４２１は、アルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる上框本体４１１１，４２１１と、上框本体４１１１，４２１１の室内側Ｘ２の側面をカバーする樹脂製または木質由来材料製のカバー部材４１１２，４２１２と、によって構成される。上框本体４１１１，４２１１は、新設上枠３１のガイドレール３１４ａ，３１４ｂの下部に設けられる。

【0107】

図２に示すように、下框４１２，４２２は、アルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる下框本体４１２１，４２２１と、下框本体４１２１，４２２１の室内側Ｘ２の側面をカバーする樹脂製または木質由来材料製のカバー部材４１２２，４２２２と、によって構成される。下框本体４１２１，４２２１は、新設下枠３２のガイドレール３２４ａ，３２４ｂの上部に設けられる。下框本体４１２１，４２２１の内部には、戸車４１２３，４２２３が設けられ、ガイドレール３２４ａ，３２４ｂ上に転動可能に載置されている。

【0108】

図３に示すように、縦框４１３，４２３は、アルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる縦框本体４１３１，４２３１と、縦框本体４１３１，４２３１の室内側Ｘ２の側面をカバーする樹脂製または木質由来材料製のカバー部材４１３２，４２３２と、によって構成される。

【0109】

以上の本実施形態の改装建具１によれば、新設枠３が既設枠２の内周側に取り付けられた状態において、既設枠２と新設枠３との間には、新設枠３を既設枠２に対して取り付けるための部材が介在しないため、新設枠３は、既設枠２に可及的に近接して配置可能である。そのため、枠部材の見付け方向の寸法が可及的にコンパクトな改装建具１を構築することができる。新設枠３は、既設枠２に固定されないため、既設枠２の歪みの状態に影響されずに取り付け可能である。そのため、新設枠３の施工性が向上する。固定部材であるねじＳＣ１，ＳＣ２，ＳＣ３，ＳＣ４は、既設枠２と接触しないため、ねじＳＣ１，ＳＣ２，ＳＣ３，ＳＣ４を介して既設枠２と新設枠３との間で熱が伝達されることがなく、断熱性に優れる。

【0110】

本実施形態の改装建具１は、以下の効果を有する。

【0111】

本実施形態の改装建具１は、建物躯体１００の開口部に取り付けられる既設枠２（既設上枠２１，既設下枠２２，既設縦枠２３，２４）と、既設枠２（既設上枠２１，既設下枠２２，既設縦枠２３，２４）の内周側に取り付けられる新設枠３（新設上枠３１，新設下枠３２，新設縦枠３３，３４）と、既設枠２（既設上枠２１，既設下枠２２，既設縦枠２３，２４）に向かって発泡するように新設枠３（新設上枠３１，新設下枠３２，新設縦枠３３，３４）に取り付けられる加熱発泡材７１１～７１６，７２１，７３１～７３４，７４１～７４４と、を備える。

【0112】

これにより、火災発生時において、加熱発泡材７１１～７１６，７２１，７３１～７３４，７４１～７４４により、既設枠２（既設上枠２１，既設下枠２２，既設縦枠２３，２４）と新設枠３（新設上枠３１，新設下枠３２，新設縦枠３３，３４）との間を塞ぐことができる。よって、火災発生時において、既設枠２（既設上枠２１，既設下枠２２，既設縦枠２３，２４）と新設枠３（新設上枠３１，新設下枠３２，新設縦枠３３，３４）との間に室外側Ｘ１又は室内側Ｘ２から火炎の熱が流入することを抑制でき、或いは、既設枠２（既設上枠２１，既設下枠２２，既設縦枠２３，２４）と新設枠３（新設上枠３１，新設下枠３２，新設縦枠３３，３４）との間から室外側Ｘ１又は室内側Ｘ２に火炎の熱が流出することを抑制することができる。

【0113】

本実施形態においては、新設上枠３１と既設上枠２１との間に配置され加熱発泡材７１１が発泡する空間を仕切るヒレ部材３１７（仕切部材）を有する。そのため、加熱発泡材７１１が室外側Ｘ１に広がって発泡することを抑制できる。これにより、加熱発泡材７１１が発泡する空間を狭めることで、加熱発泡材７１１の使用量を少なくすることができる。

【0114】

次に、第２実施形態について説明する。第２実施形態は、第１実施形態の構成に加えて、図７～図９に示すように、仕切部材８（上枠側仕切部材８１、下枠側仕切部材８２、縦枠側仕切部材８３）が設けられる。第２実施形態において、第１実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。

【0115】

第２実施形態は、第１実施形態の構成に加えて、仕切部材８（上枠側仕切部材８１、下枠側仕切部材８２、縦枠側仕切部材８３）を備える。仕切部材８（上枠側仕切部材８１、下枠側仕切部材８２、縦枠側仕切部材８３）は、新設枠３（新設上枠３１、新設下枠３２，新設縦枠３３，３４）と既設枠２（既設上枠２１、既設下枠２２、既設縦枠２３，２４）との間に配置され、新設枠３に取り付けられた加熱発泡材が発泡する空間を仕切る。

【0116】

図７に示すように、上枠側仕切部材８１は、既設上枠２１と新設上枠３１との間の空間を仕切るように、既設上枠２１と新設上枠３１との間に設けられている。上枠側仕切部材８１は、アルミニウム等の金属材からなる板材により形成され、新設上枠３１の長さ方向の全長に亘って延びて形成される。

【0117】

上枠側仕切部材８１は、図７に示すように、既設上枠２１のガイドレール２１１ａ及びガイドレール２１１ｂの下方において見込み方向に延びる見込み方向延在板８１１と、見込み方向延在板８１１の室外側Ｘ１の端部から室外側Ｘ１に上り傾斜で傾斜して所定長さ延びる上り傾斜板８１２と、上り傾斜板８１２の上端部から上方に所定長さ突出する室外側上方突出板８１３と、見込み方向延在板８１１の室内側Ｘ２の端部から上方に所定長さ突出する段差板８１４と、段差板８１４の上端部から室内側Ｘ２に所定長さ延びる室内側取付延在板８１５と、を有する。

【0118】

見込み方向延在板８１１は、既設上枠２１と新設上枠３１との間に配置される。見込み方向延在板８１１は、見込み方向に延びる平面状の板材により形成され、既設上枠２１側の上面が、既設上枠２１のガイドレール２１１ａの下端部及びガイドレール２１１ｂの下端部に当接して配置される。見込み方向延在板８１１は、室内側Ｘ２から室外側Ｘ１に向かって、既設上枠２１のガイドレール２１１ａとガイドレール２１１ｂとの間の位置から、ガイドレール２１１ｂとガイドレール２１１ｃとの間の位置まで、直線状に延びる。

【0119】

室外側上方突出板８１３は、見込み方向延在板８１１の室外側Ｘ１の端部に上り傾斜板８１２を介して接続され、既設上枠２１のガイドレール２１１ｃの室内側Ｘ２の面に沿って配置され、既設上枠２１のガイドレール２１１ｃの室内側Ｘ２の面に当接する。

【0120】

室内側取付延在板８１５は、段差板８１４の上端部から、見込み方向の室内側Ｘ２に延びて形成され、既設上枠２１の室内側突出板２１ｃの下面に沿って見込み方向に延びる。室内側取付延在板８１５は、既設上枠２１の室内側突出板２１ｃの下面に当接して配置され、ねじ８１５ａにより、既設上枠２１の室内側突出板２１ｃ及び額縁部材１０１に固定される。

【0121】

以上の上枠側仕切部材８１は、既設上枠２１と新設上枠３１との間に配置されることにより、既設上枠２１と新設上枠３１との間の空間を仕切って、加熱発泡材７１１，７１２，７１４，７１５が既設上枠２１側に発泡する空間を仕切る。これにより、加熱発泡材７１１，７１２，７１４，７１５が発泡する空間を狭めることで、加熱発泡材７１１，７１２，７１４，７１５の使用量を少なくすることができる。

【0122】

図８に示すように、下枠側仕切部材８２は、既設下枠２２と新設下枠３２との間の空間を仕切るように、既設下枠２２と新設下枠３２との間に設けられている。下枠側仕切部材８２は、アルミニウム等の金属材からなる板材により形成され、新設下枠３２の長さ方向の全長に亘って延びて形成される。

【0123】

下枠側仕切部材８２は、図８に示すように、室外側Ｘ１の端部において見込み方向に所定長さ延びる室外側取付片８２１と、室外側取付片８２１の室内側Ｘ２の端部から上方に所定長さ延びる上方突出延在板８２２と、上方突出延在板８２２の上端部から室内側Ｘ２に上り傾斜で傾斜して所定長さ延びる上り傾斜延在板８２３と、上り傾斜延在板８２３の上端部から室内側Ｘ２に見込み方向に突出する室内側突出板８２４と、を有する。

【0124】

室外側取付片８２１は、既設下枠２２のガイドレール２２１ｂとガイドレール２２１ｃとの間の段差２２ｄの上下方向の途中に形成される段差中段部２２ｄ１の上面にねじ８２１ａにより固定される。

【0125】

上方突出延在板８２２は、室外側取付片８２１の室内側Ｘ２の端部から、段差２２ｄの室内側Ｘ２の立ち上がり部分２２ｄ２の室外側Ｘ１の面及び既設下枠２２のガイドレール２２１ｂの室外側Ｘ１の面に沿って、既設下枠２２のガイドレール２２１ｂの上端部近傍まで、上方に延びる。

【0126】

上り傾斜延在板８２３は、上方突出延在板８２２の上端部が配置される既設下枠２２のガイドレール２２１ｂの上端部近傍から、中段部２２ｃと上段部２２ａとの間の段差２２ｂの上端部の僅かに上方側の位置まで、上り傾斜で傾斜して延びる。

【0127】

室内側突出板８２４は、上り傾斜延在板８２３の室内側Ｘ２の端部から室内側Ｘ２に突出する。室内側突出板８２４は、既設下枠２２の上段部２２ａの室外側Ｘ１の部分の上面に沿って配置され、既設下枠２２の上段部２２ａの室外側Ｘ１の部分の上面に当接する。

【0128】

以上の下枠側仕切部材８２は、既設下枠２２と新設下枠３２との間に配置されることにより、既設下枠２２と新設下枠３２との間の空間を仕切って、加熱発泡材７２１が既設下枠２２側に発泡する空間を仕切る。これにより、加熱発泡材７２１が発泡する空間を狭めることで、加熱発泡材７２１の使用量を少なくすることができる。

【0129】

図９に示すように、縦枠側仕切部材８３は、既設縦枠２３と新設縦枠３３との間の空間を仕切るように、既設縦枠２３と新設縦枠３３との間に設けられている。縦枠側仕切部材８３は、アルミニウム等の金属材からなる板材により形成され、新設縦枠３３の長さ方向の全長に亘って延びて形成される。

【0130】

縦枠側仕切部材８３は、図９に示すように、既設縦枠２３の左右方向の内方において見込み方向に延びる見込み方向延在板８３１と、見込み方向延在板８３１の室外側Ｘ１の端部から左右方向の外方に所定長さ突出する室外側外方突出板８３２と、見込み方向延在板８３１の室内側Ｘ２の端部から左右方向の内方に所定長さ突出する段差板８３３と、段差板８３３の左右方向の内方側の端部から室内側Ｘ２に所定長さ延びる室内側取付延在板８３４と、を有する。

【0131】

見込み方向延在板８３１は、既設縦枠２３と新設縦枠３３との間に配置される。見込み方向延在板８３１は、見込み方向に延びる平面状の板材により形成される。見込み方向延在板８３１は、既設縦枠２３側の面が、既設縦枠２３の見込み方向に延びる側部延在板２３ａの見込み方向の途中において左右方向の内方に突出する２つの突出板２３ｆ，２３ｇの先端部の僅かに内方側に位置して見込み方向に延びる。見込み方向延在板８３１は、室内側Ｘ２から室外側Ｘ１に向かって、既設縦枠２３の室内側壁部２３ｃよりも室外側Ｘ１の位置から、２つの突出板２３ｆ，２３ｇのうちの室外側Ｘ１に配置される突出板２３ｆの間の位置まで、直線状に延びる。

【0132】

室外側Ｘ１に形成される室外側外方突出板８３２は、２つの突出板２３ｆ，２３ｇのうちの室外側Ｘ１に配置される突出板２３ｆの室外側Ｘ１の面に沿って配置される。

【0133】

室内側取付延在板８３４は、段差板８３３の左右方向の内方の端部から、見込み方向の室内側Ｘ２に延びて形成され、既設縦枠２３室内側突出板２３ｄの左右方向の内方側の面に沿って見込み方向に延びる。室内側取付延在板８３４は、既設縦枠２３の室内側突出板２３ｄの左右方向の内方側の面に当接して配置され、ねじ８３４ａにより、既設縦枠２３の室内側突出板２３ｄ及び額縁部材１０１に固定される。

【0134】

以上の縦枠側仕切部材８３は、既設縦枠２３と新設縦枠３３との間に配置されることにより、既設縦枠２３と新設縦枠３３との間の空間を仕切って、加熱発泡材７３１，７３２，７３４が既設縦枠２３側に発泡する空間を仕切る。これにより、加熱発泡材７３１，７３２，７３４が発泡する空間を狭めることで、加熱発泡材７３１，７３２，７３４の使用量を少なくすることができる。

【0135】

以上のように、第２実施形態においては、仕切部材８（上枠側仕切部材８１、下枠側仕切部材８２、縦枠側仕切部材８３）を設けることで、既設枠２（既設上枠２１，既設下枠２２，既設縦枠２３，２４）と新設枠３（新設上枠３１，新設下枠３２，新設縦枠３３，３４）との間の空間を仕切って、加熱発泡材７１１，７１２，７１４，７１５，７２１，７３１，７３２，７３４が発泡する空間を仕切ることができる。これにより、加熱発泡材７１１，７１２，７１４，７１５，７２１，７３１，７３２，７３４が発泡する空間を狭めることで、加熱発泡材７１１，７１２，７１４，７１５，７２１，７３１，７３２，７３４の使用量を少なくすることができる。

【0136】

以上、本開示の改装建具の一実施形態について説明したが、本開示の改装建具は適宜変更可能である。例えば、本開示の改装建具は、上述した２枚の障子４１，４２を有する者に制限されず、３枚以上の障子を有するものであってもよいし、１枚だけの障子を有する片引き窓を構成するものであってもよい。さらに、本開示の改装建具は、辷り出し窓やＦＩＸ窓、上げ下げ窓、外倒し窓、内倒し窓、あるいは開き窓を構成するものであってもよい。

【0137】

上述した実施形態においては、新設枠３を構成する新設上枠３１、新設下枠３２、及び新設縦枠３３それぞれに、加熱発泡材を設けたが、これに限定されない。加熱発泡材は、新設枠を構成する上下左右の枠部材のうちの少なくともいずれか１つの枠部材に設けられていればよい。

【符号の説明】

【0138】

１ 改装建具、 ２ 既設枠、 ３ 新設枠、 ８ 仕切部材、 ２１ 既設上枠（既設枠）、 ２２ 既設下枠（既設枠）、 ２３，２４ 既設縦枠（既設枠）、 ３１ 新設上枠（新設枠）、 ３２ 新設下枠（新設枠）、３３，３４ 新設縦枠（新設枠）、 ３５ 仕切部材、 ８１ 上枠側仕切部材、 ８２ 下枠側仕切部材、 ８３ 縦枠側仕切部材、 １００ 建物躯体、 ３１１ａ，３１２ａ 上面（見込み面）、 ３１７ ヒレ部材（仕切部材）、 ３３１ａ，３３２ａ 外側面（見込み面）、 ７１１，７１２，７１３，７１４，７１５，７１６，７２１，７３１，７３２，７３３，７３４，７４１，７４２，７４３，７４４ 加熱発泡材

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】