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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025547
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】改装建具
(51)【国際特許分類】
E06B 1/56 20060101AFI20250214BHJP
E06B 5/16 20060101ALI20250214BHJP
【ＦＩ】
E06B1/56 A
E06B5/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】ＯＬ
(21)【出願番号】P 2023130396
(22)【出願日】2023-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社ＬＩＸＩＬ
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】恐田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】大東 正樹
(72)【発明者】
【氏名】筒井 淳司
(72)【発明者】
【氏名】冨田 裕之
(72)【発明者】
【氏名】北村 真吾
【テーマコード（参考）】
2E011
2E239
【Ｆターム（参考）】
2E011JA02
2E011KA01
2E011KB03
2E011KB04
2E011KC02
2E011KC03
2E011KC04
2E011KC08
2E011KC09
2E011KD14
2E011KE04
2E011KE06
2E011KG00
2E011KH01
2E239CA02
2E239CA32
2E239CA33
2E239CA57
2E239CA62
(57)【要約】
【課題】金属製の室外側部分と、金属製の室内側部分と、室外側部分と室内側部分との間に配置され断熱性を有する連結部材と、を有する既設枠を備え、防火性能を確保できる改装建具を提供すること。
【解決手段】改装建具１は、金属製の既設枠室外側部分２１１１，２２１１，２３１１，２４１１と、金属製の既設枠室内側部分２１１２，２２１２，２３１２，２４１２と、既設枠室外側部分と既設枠室内側部分との間に配置され断熱性を有する既設枠連結部材２１１３，２２１３，２３１３，２４１３と、を有する既設枠２１，２２，２３，２４と、既設枠２１，２２，２３，２４の内周側に取り付けられる新設枠３１，３２，３３，３４と、既設枠連結部材２１１３，２２１３，２３１３，２４１３に向かって発泡するように設けられる加熱発泡材７１１，７１２，７２１，７３１，７３２，７４１，７４２と、を備える。
【選択図】図４
【解決手段】改装建具１は、金属製の既設枠室外側部分２１１１，２２１１，２３１１，２４１１と、金属製の既設枠室内側部分２１１２，２２１２，２３１２，２４１２と、既設枠室外側部分と既設枠室内側部分との間に配置され断熱性を有する既設枠連結部材２１１３，２２１３，２３１３，２４１３と、を有する既設枠２１，２２，２３，２４と、既設枠２１，２２，２３，２４の内周側に取り付けられる新設枠３１，３２，３３，３４と、既設枠連結部材２１１３，２２１３，２３１３，２４１３に向かって発泡するように設けられる加熱発泡材７１１，７１２，７２１，７３１，７３２，７４１，７４２と、を備える。
【選択図】図４
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物躯体の開口部に取り付けられる既設枠であって、金属製の既設枠室外側部分と、金属製の既設枠室内側部分と、前記既設枠室外側部分と前記既設枠室内側部分との間に配置され断熱性を有する既設枠連結部材と、を有する既設枠と、
前記既設枠の内周側に取り付けられる新設枠と、
前記既設枠連結部材に向かって発泡するように設けられる加熱発泡材と、を備える改装建具。
前記既設枠の内周側に取り付けられる新設枠と、
前記既設枠連結部材に向かって発泡するように設けられる加熱発泡材と、を備える改装建具。
【請求項2】
前記加熱発泡材は、前記新設枠に取り付けられる、請求項１に記載の改装建具。
【請求項3】
前記新設枠と前記既設枠との間に配置され前記新設枠と前記既設枠との間の空間を仕切る仕切部材を備え、
前記加熱発泡材は、前記仕切部材に取り付けられる、請求項１又は２に記載の改装建具。
前記加熱発泡材は、前記仕切部材に取り付けられる、請求項１又は２に記載の改装建具。
【請求項4】
前記新設枠は、金属製の新設枠室外側部分と、金属製の新設枠室内側部分と、前記新設枠室外側部分と前記新設枠室内側部分との間に配置され断熱性を有する新設枠連結部材と、を有し、
前記加熱発泡材は、前記新設枠室外側部分及び前記新設枠室内側部分の少なくとも一方に取り付けられる、請求項１又は２に記載の改装建具。
前記加熱発泡材は、前記新設枠室外側部分及び前記新設枠室内側部分の少なくとも一方に取り付けられる、請求項１又は２に記載の改装建具。
【請求項5】
前記既設枠の室外側部分の少なくとも一部は、前記新設枠の室外側部に覆われて配置される、請求項１又は２に記載の改装建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、改装建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の開口部をリフォーム等で改装する場合に、開口部に取り付けられている既設枠の内周側に新設枠を取り付けることが行われている。既設枠が、金属製の室外側部分と、金属製の室内側部分と、室外側部分と室内側部分との間に配置され断熱性を有する連結部材と、を有して構成され、断熱性能を向上させた改装建具が知られている（例えば、特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開２０２０－１２５６２２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
改装建具において、既設枠の室外側部分と室内側部分とが、断熱性を有する連結部材で連結される場合、火災発生時に、連結部材が溶融することで、金属製の室外側部分や金属製の室内側部分が動いてしまうと、防火性能を確保することが困難であった。
【0005】
本開示は、金属製の室外側部分と、金属製の室内側部分と、室外側部分と室内側部分との間に配置され断熱性を有する連結部材と、を有する既設枠を備え、防火性能を確保できる改装建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、建物躯体の開口部に取り付けられる既設枠であって、金属製の既設枠室外側部分と、金属製の既設枠室内側部分と、前記既設枠室外側部分と前記既設枠室内側部分との間に配置され断熱性を有する既設枠連結部材と、を有する既設枠と、前記既設枠の内周側に取り付けられる新設枠と、前記既設枠連結部材に向かって発泡するように設けられる加熱発泡材と、を備える改装建具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第１実施形態に係る改装建具を室外側から見た正面図である。
【図7】第２実施形態の改装建具の上枠部分を拡大して示す縦断面図である。
【図8】第２実施形態の改装建具の下枠部分を拡大して示す縦断面図である。
【図9】第２実施形態の改装建具の左側の縦枠部分を拡大して示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の第１実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。本実施形態に係る改装建具１は、既設枠２が建物躯体１００の開口部に取り付けられた状態で、既設枠２に新設枠３を取り付けるリフォーム用の改装建具である。
【0009】
本明細書において、見込み方向とは、改装建具１における室内外方向に沿う方向である。見付け方向とは、改装建具１における面材の面方向に沿う方向であり、見込み方向に対して直交する方向である。「見付け面」は、改装建具１における室外側及び室内側に面するそれぞれの面を意味し、「見込み面」は、改装建具１において室内外方向に延びる面を意味する。図面において、改装建具１の室外側を「室外側Ｘ１」とし、改装建具１の室内側を「室内側Ｘ２」とする。改装建具１を正面視したときの横方向を「左右」とする。改装建具１を正面視したときの改装建具１の中央部に向かう方向を「内方」とし、改装建具１の中央部から離れる方向を「外方」とする。
【0010】
本実施形態に示す改装建具１は、木質系の建物躯体１００の開口部に納められた引き違い窓タイプの改装サッシである。図１に示すように、改装建具１は、既設枠２と、新設枠３と、２枚の障子４１，４２と、１枚の網戸４３（図２及び図３参照）と、を有する。既設枠２は、建物躯体１００の開口部における上下左右の四周に亘って取り付けられる。新設枠３は、既設枠２の内周側における上下左右の四周に亘って取り付けられる。障子４１，４２及び網戸４３は、新設枠３の内側に左右方向にスライド移動可能に納められる。図１に示すように、室内側Ｘ２に配置される障子４１には、クレセント錠４４が取り付けられている。図１において、網戸４３は図示を省略している。
【0011】
既設枠２は、図２及び図３に示すように、既設上枠２１、既設下枠２２及び左右一対の既設縦枠２３，２４の４つの枠部材を矩形に四方組みすることによって形成され、改装前の建物躯体１００の開口部の内側に取り付けられている。
【0012】
既設枠２の室内側Ｘ２には額縁部材１０１が配置される。額縁部材１０１は、建物躯体１００の開口部の内周面における上下左右の四周に亘って取り付けられ、既設枠２の室内側Ｘ２の端面２ａから室内側に向けて延びている。四方組みされた既設枠２と建物躯体１００の室外側Ｘ１に設けられる外壁材１０２との隙間は、バックアップ材１０３及びシーリング材１０４によって四周に亘って目止めされている。
【0013】
既設上枠２１は、図２及び図４に示すように、建物躯体１００の開口部の上部に配置され、開口部における室外側Ｘ１に片寄った位置に固定されている。既設上枠２１は、既設上枠本体である金属枠体２１１（金属部）の枠の内周側の内側表面に、樹脂カバー材２１３（樹脂部）を取り付けた複合構造を有する。そのため、断熱性及び防露性に優れる。金属枠体２１１は、既設上枠２１の室外側Ｘ１に配置される。樹脂カバー材２１３は、金属枠体２１１の室内側Ｘ２の部分に取り付けられる。
【0014】
既設上枠２１の金属枠体２１１は、見込み方向に延びる上面延在板２１ａと、上面延在板２１ａからそれぞれ下方に向けて突出する既設障子用の一対のガイドレール２１１ａ、２１１ｂと、既設網戸用のガイドレール２１１ｃと、上面延在板２１ａの室内側Ｘ２の端部に形成される室内側端部２１ｂと、上面延在板２１ａの見込み方向の途中から上方に突出して延びる上方延出板２１ｄと、を有する。室内側端部２１ｂは、室内側Ｘ２の最も端部において、下方突出部２１ｃが下方に向けて突出して形成されている。
【0015】
既設上枠２１の金属枠体２１１は、一対のガイドレール２１１ｂ、２１１ａとの間で、金属製の室外側枠部材２１１１（既設枠室外側部分）と金属製の室内側枠部材２１１２（既設枠室内側部分）とに見込み方向に分割されている。室外側枠部材２１１１及び室内側枠部材２１１２は、いずれも金属枠部材であり、それぞれアルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材の枠からなる。室外側枠部材２１１１と室内側枠部材２１１２との間には、連結部材２１１３（既設枠連結部材）が配置されている。室外側枠部材２１１１と室内側枠部材２１１２とは、連結部材２１１３によって一体的に連結されている。連結部材２１１３は、樹脂等の断熱性を有する部材からなり、既設上枠２１の金属枠体２１１における室外側枠部材２１１１から室内側枠部材２１１２への熱の伝達を遮断する。
【0016】
樹脂カバー材２１３は、障子４１の上側において既設上枠２１が延びる方向の全長に亘って延びている。樹脂カバー材２１３は、樹脂カバー部２１３１と、樹脂製のアングル部２１３２と、を有する。樹脂カバー部２１３１は、既設上枠２１におけるガイドレール２１１ａの室内側Ｘ２の部分を含んで構成され、ガイドレール２１１ａの室内側Ｘ２の面から金属枠体２１１の室内側Ｘ２の室内側端部２１ｂの内側表面にかけて設けられている。アングル部２１３２は、樹脂カバー部２１３１の室内側Ｘ２の端部に設けられ、金属枠体２１１の室内側端部２１ｂよりも室内側Ｘ２に突出する。
【0017】
アングル部２１３２の下端に形成される室内側突出板２１３２ａは、既設上枠２１の室内側Ｘ２の端部において、見込み方向に延びて形成され、額縁部材１０１の室外側Ｘ１の端部の下面に沿って配置される。既設上枠２１は、建物躯体１００の開口部の上方において、室内側Ｘ２の端部が、アングル部２１３２の下端の室内側突出板２１３２ａを介して、建物躯体１００の額縁部材１０１に固定されていると共に、上方延出板２１ｄにおいて建物躯体１００に固定されている。
【0018】
既設下枠２２は、図２及び図５に示すように、建物躯体１００の開口部の下部に配置され、開口部における室外側Ｘ１に片寄った位置に固定されている。既設下枠２２は、既設下枠本体である金属枠体２２１（金属部）の枠の内周側の内側表面に、樹脂カバー材２２２（カバー部）を取り付けた複合構造を有する。そのため、断熱性及び防露性に優れる。金属枠体２２１は、既設下枠２２の室外側Ｘ１に配置される。樹脂カバー材２２２は、金属枠体２２１の室内側Ｘ２の部分に取り付けられる。
【0019】
既設下枠２２の金属枠体２２１は、段差状に形成される。金属枠体２２１は、室内側Ｘ２に設けられる上段部２２ａと、上段部２２ａの室外側Ｘ１の下方に段差２２ｂを介して設けられる中段部２２ｃと、中段部２２ｃの室外側Ｘ１の下方に段差中段部２２ｄ１を有する段差２２ｄを介して設けられる下段部２２ｅと、上段部２２ａの室内側Ｘ２の端部から上方に立ち上がる室内側端部２２ｆと、上方に向けて突出する既設障子用の一対のガイドレール２２１ａ、２２１ｂと、既設網戸用のガイドレール２２１ｃと、上段部２２ａの室内側Ｘ２の端部から下方に延びる下方延出壁部２２ｈと、中段部２２ｃの下部において中段部２２ｃと段差２２ｄの一部とを含んで構成され中空部を有する中空枠部２２ｉと、中空枠部２２ｉの室内側Ｘ２の端部から下方に突出して延びる下方延出板２２ｊと、を有する。
【0020】
ガイドレール２２１ａは、上段部２２ａの見込み方向の途中に設けられる。ガイドレール２２１ｂは、中段部２２ｃと下段部２２ｅとの境の段差２２ｄの室内側Ｘ２の端部における上部に設けられる。ガイドレール２２１ｃは、既設下枠２２の最も室外側Ｘ１において、下段部２２ｅの室外側Ｘ１の端部に設けられる。既設下枠２２の高さは、最も室内側Ｘ２のガイドレール２２１ａから最も室外側Ｘ１のガイドレール２２１ｃにかけて、次第に低くなるように形成されている。
【0021】
既設下枠２２の金属枠体２２１は、一対のガイドレール２２１ｂ、２２１ａとの間で、金属製の室外側枠部材２２１１（既設枠室外側部分）と金属製の室内側枠部材２２１２（既設枠室内側部分）とに見込み方向に分割されている。室外側枠部材２２１１及び室内側枠部材２２１２は、いずれも金属枠部材であり、それぞれアルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材の枠からなる。室外側枠部材２２１１と室内側枠部材２２１２との間には、連結部材２２１３（既設枠連結部材）が配置されている。室外側枠部材２２１１と室内側枠部材２２１２とは、連結部材２２１３によって一体的に連結されている。連結部材２２１３は、樹脂等の断熱性を有する部材からなり、既設下枠２２の金属枠体２２１における室外側枠部材２２１１から室内側枠部材２２１２への熱の伝達を遮断する。
【0022】
樹脂カバー材２２２は、障子４１の下側において既設下枠２２が延びる方向の全長に亘って延びている。樹脂カバー材２２２は、樹脂カバー部２２２１と、樹脂製のアングル部２２２２と、を有する。樹脂カバー部２２２１は、既設下枠２２におけるガイドレール２２１ａの室内側Ｘ２の上段部２２ａの上面から金属枠体２２１の室内側Ｘ２の室内側端部２２ｆの内側表面にかけて設けられている。アングル部２２２２は、樹脂カバー部２２２１の室内側Ｘ２の端部に設けられ、金属枠体２２１の室内側端部２２ｆよりも室内側Ｘ２に突出する。
【0023】
アングル部２２２２の上端に形成される室内側突出板２２２２ａは、見込み方向に延びて形成され、額縁部材１０１の室外側Ｘ１の端部の上面に沿って配置される。既設下枠２２は、建物躯体１００の開口部の上方において、室内側Ｘ２の端部が、アングル部２２２２の上端の室内側突出板２２２２ａを介して、建物躯体１００の額縁部材１０１に固定されていると共に、下方延出板２２ｊにおいて建物躯体１００に固定されている。
【0024】
既設縦枠２３，２４は、図３に示すように、建物躯体１００の開口部の左右方向の両端部に配置され、開口部における室外側Ｘ１に片寄った位置に固定されている。左右の既設縦枠２３，２４は、左右対称である以外、実質的に同一の構造を有する。そのため、左右の既設縦枠２３，２４における左側の既設縦枠２３について主に説明する。右側の既設縦枠２４の説明については、図３において、左側の既設縦枠２３に対応する符号を付けてその説明を省略する場合がある。また、右側の既設縦枠２４の詳細な説明について、図６の左側の既設縦枠２３の説明を援用して、その説明を省略する。
【0025】
図６に示すように、既設縦枠２３は、既設縦枠本体である金属枠体２３１（金属部）の枠の内周側の内側表面に、樹脂カバー材２３２（樹脂部）を取り付けた複合構造を有する。そのため、断熱性及び防露性に優れる。金属枠体２３１は、既設縦枠２３の室外側Ｘ１に配置される。樹脂カバー材２３２は、金属枠体２３１の室内側Ｘ２の部分に取り付けられる。
【0026】
既設縦枠２３の金属枠体２３１は、見込み方向に延びる側部延在板２３ａと、側部延在板２３ａの室外側Ｘ１の端部から左右方向の外方に突出する外方突出片２３ｂと、側部延在板２３ａの室内側Ｘ２の端部から左右方向の内方に立ち上がる室内側端部２３ｃと、側部延在板２３ａの見込み方向の途中から左右方向の外方に突出して延びる外方延出板２３ｅと、を有する。
【0027】
既設縦枠２３の金属枠体２３１は、金属製の室外側枠部材２３１１（既設枠室外側部分）と金属製の室内側枠部材２３１２（既設枠室内側部分）とに見込み方向に分割されている。室外側枠部材２３１１及び室内側枠部材２３１２は、いずれも金属枠部材であり、それぞれアルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材の枠からなる。室外側枠部材２３１１と室内側枠部材２３１２との間には、連結部材２３１３（既設枠連結部材）が配置されている。室外側枠部材２３１１と室内側枠部材２３１２とは、連結部材２３１３によって一体的に連結されている。連結部材２３１３は、樹脂等の断熱性を有する部材からなり、既設縦枠２３の金属枠体２３１における室外側枠部材２３１１から室内側枠部材２３１２への熱の伝達を遮断する。
【0028】
図６に示すように、樹脂カバー材２３２は、既設縦枠２３が延びる方向の全長に亘って延びている。樹脂カバー材２３２は、樹脂カバー部２３２１と、樹脂製のアングル部２３２２と、を有する。
【0029】
樹脂カバー部２３２１は、既設縦枠２３における側部延在板２３ａの室内側Ｘ２の端部の左右方向の内方の内側面から金属枠体２３１の室内側Ｘ２の室内側端部２３ｃの内側表面にかけて設けられている。アングル部２３２２は、樹脂カバー部２３２１の室内側Ｘ２の端部に設けられ、金属枠体２３１の室内側端部２３ｃよりも室内側Ｘ２に突出する。
【0030】
アングル部２３２２の左右方向の内方の端部に形成される室内側突出板２３２２ａは、既設縦枠２３の室内側Ｘ２の端部において、見込み方向に延びて形成され、額縁部材１０１の左右方向の内方の内側面に沿って配置される。既設縦枠２３は、建物躯体１００の開口部の側方において、室内側Ｘ２の端部が、アングル部２３２２の左右方向の内方の端部の室内側突出板２３２２ａを介して、建物躯体１００の額縁部材１０１に固定されていると共に、外方延出板２３ｅにおいて建物躯体１００に固定されている。
【0031】
本実施形態の新設枠３は、既設枠２の形状に対応するように、既設枠２に専用に形成された専用枠である。新設枠３は、図２及び図３に示すように、新設上枠３１、新設下枠３２及び左右一対の新設縦枠３３，３４の４つの枠部材を予め矩形に四方組みした状態で、既設枠２から額縁部材１０１に亘る内周側に取り付けられる。詳しくは、新設枠３は、予め四方組みした状態で建物躯体１００の開口部の室内側Ｘ２から室外側Ｘ１に出した後、室内側Ｘ２に引き込むようにして、既設枠２及び額縁部材１０１の内周側に配置される。既設枠２及び額縁部材１０１の内周側に配置された新設枠３は、固定部材であるねじＳＣ１，ＳＣ２，ＳＣ３，ＳＣ４によって、既設枠２よりも室内側Ｘ２の建物躯体１００に固定される。
【0032】
次に、新設枠３の新設上枠３１、新設下枠３２及び左右一対の新設縦枠３３，３４の構成について、個別に説明する。
【0033】
まず、新設上枠３１について説明する。
【0034】
図４に示すように、新設上枠３１は、既設上枠２１の長さ方向に沿って左右方向に延びている。新設上枠３１は、既設上枠２１のガイドレール２１１ｃから額縁部材１０１の見込み方向の中央部付近に亘る見込み方向の長さを有する。新設上枠３１は、金属製の室外側枠部材３１１（新設枠室外側部分）と金属製の室内側枠部材３１２（新設枠室内側部分）とに見込み方向に２分割されている。室外側枠部材３１１及び室内側枠部材３１２は、いずれも金属枠部材であり、それぞれアルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる。室外側枠部材３１１と室内側枠部材３１２との間には、連結部材３１３（新設枠連結部材）が配置されている。室外側枠部材３１１と室内側枠部材３１２とは、連結部材３１３によって一体的に連結されている。連結部材３１３は、樹脂等の断熱性を有する部材からなり、新設上枠３１における室外側枠部材３１１から室内側枠部材３１２への熱の伝達を遮断する。
【0035】
新設上枠３１は、新設枠３の内側に納められる２枚の障子４１，４２用の一対のガイドレール３１４ａ，３１４ｂと、新設枠３の最も室外側Ｘ１に納められる網戸４３用のガイドレール３１４ｃと、を有する。ガイドレール３１４ｂ，３１４ｃは、室外側枠部材３１１に配置され、下方に向けて突出している。ガイドレール３１４ａは、室内側枠部材３１２において連結部材３１３に隣接して配置され、下方に向けて突出している。ガイドレール３１４ａ，３１４ｂ，３１４ｃは、新設上枠３１の長さ方向の全長に亘って延びている。
【0036】
図４に示すように、室外側枠部材３１１は、ガイドレール３１４ｂが配置される部位から連結部材３１３に亘って延びる断面略矩形状の中空部３１１１と、中空部３１１１の室内側Ｘ２に連続して配置される断面略矩形状の中空部３１１２と、を有する。室内側枠部材３１２は、連結部材３１３から室内側Ｘ２に向けて延びる断面略矩形状の中空部３１２１を有する。
【0037】
室外側枠部材３１１の上面３１１ａ（見込み面）には、加熱発泡材７１１が取り付けられている。加熱発泡材７１１は、所定の厚さで形成されると共に、見込み方向に幅を有し、新設上枠３１の長さ方向の全長に亘って延びる。加熱発泡材７１１は、既設上枠２１の金属枠体２１１の連結部材２１１３に向かって発泡するように、見込み方向において、既設上枠２１の金属枠体２１１の連結部材２１１３に対向する位置において、新設上枠３１の室外側枠部材３１１の上面３１１ａに取り付けられている。
【0038】
加熱発泡材７１１は、既設上枠２１の金属枠体２１１の連結部材２１１３に対向する位置において、既設上枠２１の金属枠体２１１の連結部材２１１３が配置される空間側の上面３１１ａ（既設上枠２１側の面、見込み面）に取り付けられており、火災発生時の火炎の熱により、厚さ方向に発泡するため、既設上枠２１の金属枠体２１１の連結部材２１１３に向かって発泡する。
【0039】
これにより、火災発生時において、連結部材２１１３の溶融を防止でき、又は、連結部材２１１３の溶融を遅らせることができる。また、火災発生時において、加熱発泡材７１１により既設上枠２１の金属枠体２１１の連結部材２１１３と新設上枠３１との間を塞ぐことで、既設上枠２１の金属枠体２１１の連結部材２１１３と新設上枠３１との間に室外側Ｘ１又は室内側Ｘ２から火炎の熱が流入することを抑制でき、或いは、既設上枠２１の金属枠体２１１の連結部材２１１３と新設上枠３１との間から室外側Ｘ１又は室内側Ｘ２に火炎の熱が流出することを抑制することができる。
【0040】
室外側枠部材３１１の上面３１１ａ及び室内側枠部材３１２の上面３１２ａは、いずれも同一平面上に配置されており、新設上枠３１の見込み方向に面一状に並んで配置されている。
【0041】
室外側枠部材３１１は、室外側枠部材３１１の上面３１１ａよりも低い位置で室外側Ｘ１に向けて延びる室外側延出部３１１３を一体に有する。室外側延出部３１１３は、新設上枠３１の室外側Ｘ１の端部に配置される。室外側延出部３１１３は、見込み方向において、ガイドレール３１４ｂとガイドレール３１４ｃとの間に配置される。室外側延出部３１１３は、見込み方向において、新設上枠３１の上面に浸入した雨水を室内側Ｘ２に流入させることなく、左右方向に流す排水溝でもある。
【0042】
室外側延出部３１１３の最も室外側Ｘ１の部位には、見付け方向の上方に向けて延びる室外側壁部３１５が一体に設けられる。室外側壁部３１５は、室外側枠部材３１１及び室内側枠部材３１２の上面３１１ａ，３１２ａよりもさらに上方に突出し、既設上枠２１の最も室外側Ｘ１のガイドレール２１１ｃの室外側面２１１ｄに対して、室外側Ｘ１から重なるように配置されている。これにより、既設上枠２１のガイドレール２１１ｃの室外側面２１１ｄ（室外側部分）は、新設上枠３１の室外側壁部３１５（室外側部）に覆われて配置される。
【0043】
室外側壁部３１５には、アルミニウム等の金属材からなる化粧材３１６（カバー材）が室外側Ｘ１から着脱可能に取り付けられている。化粧材３１６は、室外側壁部３１５を覆うとともに、既設上枠２１よりも見付け方向の上方に延出し、新設上枠３１の室外側Ｘ１の見付け面を形成している。化粧材３１６は、既設上枠２１と外壁材１０２との間に露出するシーリング材１０４を室外側Ｘ１から覆い隠している。
【0044】
新設上枠３１の最も室内側Ｘ２の部位には、新設上枠３１を建物躯体１００に固定するための取付部３１８が一体に設けられる。取付部３１８は、室外側枠部材３１１及び室内側枠部材３１２の上面３１１ａ，３１２ａと平行に配置され、室内側枠部材３１２における室内側Ｘ２の端面の上部から室内側Ｘ２に向けて板状に延出している。
【0045】
取付部３１８の上面には、新設上枠３１の長さ方向に延びる少なくとも一対の突条部３１８１が設けられる。一対の突条部３１８１は、取付部３１８の上面から僅かに上方に突出し、見込み方向に所定の間隔をあけて平行に配置される。
【0046】
矩形に四方組みされた状態の新設枠３における新設上枠３１は、既設上枠２１から額縁部材１０１に亘る部位の内周側に配置される。新設上枠３１の室外側枠部材３１１は、既設上枠２１の下方に配置される。新設上枠３１の室内側枠部材３１２は、額縁部材１０１の下方に配置される。
【0047】
図４に示すように、新設上枠３１と額縁部材１０１との間に隙間が形成される場合には、その隙間を埋めるようにスペーサ部材３０１が配置される。スペーサ部材３０１は、１枚以上のシートによって構成される。スペーサ部材３０１は、新設上枠３１の長さ方向の幅が所定幅のピース状に形成され、新設上枠３１の長さ方向に離れた複数箇所に配置されている。スペーサ部材３０１を構成するシートの厚み及びシートの積層数は、新設上枠３１の室内側枠部材３１２と額縁部材１０１との間の隙間の大きさ等に応じて適宜設定される。
【0048】
室外側枠部材３１１の上面３１１ａの室内側Ｘ２の部位、室内側枠部材３１２の上面３１２ａ、取付部３１８及び連結部材３１３は、スペーサ部材３０１に当接して重なっている。四方組みされた新設枠３における新設上枠３１は、室内側Ｘ２から取付部３１８及びスペーサ部材３０１を貫通するねじＳＣ１によって、既設上枠２１よりも室内側Ｘ２の建物躯体１００に固定される。ねじＳＣ１は、取付部３１８の一対の突条部３１８１の間を貫通する。一対の突条部３１８１は、スペーサ部材３０１に当接し、ねじＳＣ１の締結トルクが作用した際の取付部３１８の変形を抑制する。
【0049】
新設枠３が既設枠２の内周側に取り付けられた状態において、既設上枠２１と新設上枠３１との間には、新設上枠３１を既設上枠２１に取り付けるための他の部材が介在していない。新設上枠３１は、既設上枠２１の内周側に直接的に上下に対面するように配置される。そのため、新設上枠３１は、既設上枠２１に可及的に近接して配置可能である。新設上枠３１は、既設上枠２１に固定されないため、既設上枠２１に歪み等が生じていても、その歪みの状態に影響されずに取り付け可能である。ねじＳＣ１は、既設上枠２１と接触しないため、ねじＳＣ１を介して既設上枠２１と新設上枠３１の室内側枠部材３１２との間で熱が伝達されることもない。
【0050】
新設上枠３１の一対のガイドレール３１４ａ，３１４ｂの間には、樹脂製または木質由来材料製のレール間カバー３１１４が取り付けられる。レール間カバー３１１４は、新設上枠３１におけるガイドレール３１４ａ，３１４ｂの間を実質的に遮蔽するように、室外側枠部材３１１の下面と連結部材３１３の下面側とに亘って配置される。図４に示すように、レール間カバー３１１４は、上板部３１１４ａと、上板部３１１４ａの下方に略平行に配置される下板部３１１４ｂと、上板部３１１４ａ及び下板部３１１４ｂを繋ぐ複数の連結板部３１１４ｃとによって構成される二重構造を有する。レール間カバー３１１４は、既設上枠２１側から新設上枠３１に伝わる外気温度が、新設上枠３１の内周側に伝達されることを抑制する。
【0051】
図４に示すように、新設上枠３１の室内側枠部材３１２の室内側Ｘ２の端部の下部には、樹脂製または木質由来材料製のアングル部材３１９が取り付けられている。アングル部材３１９の室外側Ｘ１には、樹脂製または木質由来材料製のカバー材３１９１が一体に設けられている。アングル部材３１９には、ねじ５１ａによって、樹脂製の化粧カバー５１が取り付けられている。
【0052】
化粧カバー５１は、アングル部材３１９に連続して室内側Ｘ２に向けて延びるとともに、額縁部材１０１に亘って配置される。アングル部材３１９に固定された化粧カバー５１は、アングル部材３１９と額縁部材１０１との間の新設上枠３１及びスペーサ部材３０１を室内側Ｘ２から覆っている。ねじＳＣ１の頭部は、化粧カバー５１の内側に配置される。化粧カバー５１と額縁部材１０１との境目は、ねじ６１ａによって額縁部材１０１に固定される断面Ｌ字状の見切り材６１によって遮蔽されている。
【0053】
次に、新設下枠３２について説明する。
【0054】
図５に示すように、新設下枠３２は、既設下枠２２の長さ方向に沿って左右方向に延びている。新設下枠３２は、既設下枠２２のガイドレール２２１ｃから額縁部材１０１の見込み方向の中央部付近に亘る見込み方向の長さを有する。新設下枠３２は、金属製の室外側枠部材３２１（新設枠室外側部分）と金属製の室内側枠部材３２２（新設枠室内側部分）とに見込み方向に２分割されている。室外側枠部材３２１及び室内側枠部材３２２は、いずれも金属枠部材であり、それぞれアルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる。室外側枠部材３２１と室内側枠部材３２２との間には、連結部材３２３（新設枠連結部材）が配置されている。室外側枠部材３２１と室内側枠部材３２２とは、連結部材３２３によって一体的に連結されている。連結部材３２３は、樹脂等の断熱性を有する部材からなり、新設下枠３２における室外側枠部材３２１から室内側枠部材３２２への熱の伝達を遮断する。
【0055】
新設下枠３２は、新設上枠３１のガイドレール３１４ａ，３１４ｂ，３１４ｃに対応してそれぞれ上方に突出するガイドレール３２４ａ，３２４ｂ，３２４ｃを有する。ガイドレール３２４ａ，３２４ｂ，３２４ｃは、新設下枠３２の長さ方向の全長に亘って延びている。最も室内側Ｘ２のガイドレール３２４ａは、室内側枠部材３２２の上面における最も室外側Ｘ１に、連結部材３２３に隣接して配置される。ガイドレール３２４ｂは、室外側枠部材３２１の上面における見込み方向の中央部付近に配置される。ガイドレール３２４ｃは、室外側枠部材３２１の上面における最も室外側Ｘ１に配置される。
【0056】
図５に示すように、室外側枠部材３２１は、既設下枠２２の形状に沿うように下方に向けて膨出する形状の中空部３２１１を有する。
【0057】
室内側枠部材３２２は、連結部材３２３から室内側Ｘ２に向けて延びる断面略矩形状の中空部３２２１を有する。室内側枠部材３２２の下面における室外側Ｘ１の部位には、上方に向けて凹んだ形状の段部３２２２が形成されている。室内側枠部材３２２の下面における室内側Ｘ２の部位には、下方に突出する２つの段差脚部３２２３が形成されている。
【0058】
室外側枠部材３２１の室内側Ｘ２の下面３２１ｂ（見込み面）には、加熱発泡材７２１が取り付けられている。加熱発泡材７２１は、所定の厚さで形成されると共に、見込み方向に幅を有し、新設下枠３２の長さ方向の全長に亘って延びる。加熱発泡材７２１は、既設下枠２２の金属枠体２２１の連結部材２２１３に向かって発泡するように、見込み方向において、既設下枠２２の金属枠体２２１の連結部材２２１３に対向する位置において、新設下枠３２の室外側枠部材３２１の室内側Ｘ２の下面３２１ｂに取り付けられている。
【0059】
加熱発泡材７２１は、既設下枠２２の金属枠体２２１の連結部材２２１３に対向する位置において、既設下枠２２の金属枠体２２１の連結部材２２１３が配置される空間側の下面３２１ｂ（既設下枠２２側の面、見込み面）に取り付けられており、火災発生時の火炎の熱により、厚さ方向に発泡するため、既設下枠２２の金属枠体２２１の連結部材２２１３に向かって発泡する。
【0060】
これにより、火災発生時において、連結部材２２１３の溶融を防止でき、又は、連結部材２２１３の溶融を遅らせることができる。また、火災発生時において、加熱発泡材７２１により既設下枠２２の金属枠体２２１の連結部材２２１３と新設下枠３２との間を塞ぐことで、既設下枠２２の金属枠体２２１の連結部材２２１３と新設下枠３２との間に室外側Ｘ１又は室内側Ｘ２から火炎の熱が流入することを抑制でき、或いは、既設下枠２２の金属枠体２２１の連結部材２２１３と新設下枠３２との間から室外側Ｘ１又は室内側Ｘ２に火炎の熱が流出することを抑制することができる。
【0061】
新設下枠３２の室外側Ｘ１の部位には、高さ調整部材３２５が取り付けられる。高さ調整部材３２５は、新設下枠３２から下方に延び、既設下枠２２のガイドレール２２１ｂ，２２１ｃ間の下段部２２ｅの上面に載置される。高さ調整部材３２５が調整されることによって、新設下枠３２の室外側Ｘ１の高さが調整される。
【0062】
新設下枠３２の室外側Ｘ１の側面には、アルミニウム等の金属材からなる化粧材３２６（カバー材）が室外側Ｘ１から着脱可能に取り付けられている。化粧材３２６は、高さ調整部材３２５を覆うとともに、既設下枠２２よりも見付方向の下方に延出し、新設下枠３２の見付け面を形成している。化粧材３２６は、既設下枠２２と外壁材１０２との間に露出するシーリング材１０４を室外側Ｘ１から覆い隠している。
【0063】
新設下枠３２の最も室内側Ｘ２の部位には、新設下枠３２を建物躯体１００に固定するための取付部３２７が一体に設けられる。取付部３２７は、室内側枠部材３２２における室内側Ｘ２の端面の下部から室内側Ｘ２に向けて板状に延出している。
【0064】
取付部３２７の下面には、新設下枠３２の長さ方向に延びる少なくとも一対の突条部３２７１が設けられる。一対の突条部３２７１は、取付部３２７の下面から僅かに下方に突出し、見込み方向に所定の間隔をあけて平行に配置される。
【0065】
矩形に四方組みされた状態の新設枠３において、新設下枠３２は、既設下枠２２から額縁部材１０１に亘る部位の内周側に配置される。新設下枠３２の室外側枠部材３２１は、既設下枠２２の上方に配置される。新設下枠３２の室内側枠部材３２２は、額縁部材１０１の上方に配置される。
【0066】
取付部３２７は、額縁部材１０１に当接している。四方組みされた新設枠３における新設下枠３２は、室内側Ｘ２から取付部３２７を貫通するねじＳＣ２によって、既設下枠２２よりも室内側Ｘ２の建物躯体１００に固定される。ねじＳＣ２は、取付部３２７の一対の突条部３２７１の間を貫通する。一対の突条部３２７１は、額縁部材１０１に当接し、ねじＳＣ２の締結トルクが作用した際の取付部３２７の変形を抑制する。
【0067】
図５に示すように、新設下枠３２の室内側枠部材３２２の段部３２２２内には、スペーサ部材３０２が配置されている。スペーサ部材３０２は、１枚以上のシートによって構成される。スペーサ部材３０２は、新設下枠３２の長さ方向の幅が所定幅のピース状に形成され、新設下枠３２の長さ方向に離れた複数箇所に配置されているか、または、スペーサ部材３０２は、新設下枠３２の長さ方向の全長に亘って配置されている。スペーサ部材３０２を構成するシートの厚み及びシートの積層数は、段部３２２２の上下方向の深さ及び新設下枠３２の室内側枠部材３２２と額縁部材１０１との間の隙間の大きさ等に応じて適宜設定される。
【0068】
新設枠３が既設枠２の内周側に取り付けられた状態において、既設下枠２２と新設下枠３２との間には、新設下枠３２を既設下枠２２に取り付けるための他の部材が介在していない。新設下枠３２は、既設下枠２２の内周側に直接的に上下に対面するように配置される。そのため、新設下枠３２は、既設下枠２２に可及的に近接して配置可能である。新設下枠３２は、既設下枠２２に固定されないため、既設下枠２２に歪み等が生じていても、その歪みの状態に影響されずに取り付け可能である。ねじＳＣ２は、既設下枠２２と接触しないため、ねじＳＣ２を介して既設下枠２２と新設下枠３２の室内側枠部材３２２との間で熱が伝達されることもない。
【0069】
新設下枠３２の一対のガイドレール３２４ａ，３２４ｂの間には、樹脂製または木質由来材料製のカバー材３２１３が取り付けられる。カバー材３２１３は、ガイドレール３２４ｂの室内側Ｘ２の側面を覆うとともに室内側Ｘ２に向けて延びて、室外側枠部材３２１の上面と連結部材３２３の上面側とを覆っている。
【0070】
図５に示すように、新設下枠３２の室内側枠部材３２２には、樹脂製または木質由来材料製のアングル部材３２８が取り付けられている。アングル部材３２８の室外側Ｘ１には、樹脂製または木質由来材料製のカバー材３２８１が一体に設けられている。アングル部材３２８には、ねじ５２ａによって、樹脂製の化粧カバー５２が取り付けられている。
【0071】
化粧カバー５２は、アングル部材３２８に連続して室内側Ｘ２に向けて延びるとともに、額縁部材１０１に亘って配置される。アングル部材３２８に固定された化粧カバー５２は、アングル部材３２８と額縁部材１０１との間の新設下枠３２を室内側Ｘ２から覆っている。ねじＳＣ２の頭部及びねじ３５２ａの頭部は、化粧カバー５２の内側に配置される。化粧カバー５２と額縁部材１０１との境目は、ねじ６２ａによって額縁部材１０１に固定される断面Ｌ字状の見切り材６２によって遮蔽されている。
【0072】
次に、新設縦枠３３，３４について説明する。左右の新設縦枠３３，３４は、左右対称である以外、実質的に同一の構造を有する。そのため、左右の新設縦枠３３，３４における左側の新設縦枠３３について主に説明する。右側の新設縦枠３４の説明については、図３において、左側の新設縦枠３３に対応する符号を付けてその説明を省略する場合がある。また、右側の新設縦枠３４の詳細な説明について、図６の左側の新設縦枠３３の説明を援用して、その説明を省略する。
【0073】
図６に示すように、新設縦枠３３は、既設縦枠２３の長さ方向に沿って上下方向に延びている。新設縦枠３３は、既設縦枠２３の室外側Ｘ１の端部から額縁部材１０１の見込み方向の中央部付近に亘る見込み方向の長さを有する。新設縦枠３３は、金属枠部材であり、それぞれアルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる。
【0074】
図６に示すように、新設縦枠３３は、室外側Ｘ１側に配置される断面略矩形状の中空部３３１と、室内側Ｘ２に配置される断面略矩形状の中空部３３２と、を有する。
【0075】
新設縦枠３３の中空部３３１に対応する部分の左右方向の外方側の外側面３３１ａには、加熱発泡材７３１が取り付けられている。加熱発泡材７３１は、所定の厚さで形成されると共に、見込み方向に幅を有し、新設縦枠３３の長さ方向の全長に亘って延びる。加熱発泡材７３１は、既設縦枠２３の金属枠体２３１の連結部材２３１３に向かって発泡するように、見込み方向において、既設縦枠２３の金属枠体２３１の連結部材２３１３に対向する位置において、新設縦枠３３の中空部３３１の室内側Ｘ２において左右方向の外方の外側面３３１ａに取り付けられている。
【0076】
加熱発泡材７３１は、既設縦枠２３の金属枠体２３１の連結部材２３１３に対向する位置において、既設縦枠２３の金属枠体２３１の連結部材２３１３が配置される空間側の外側面３３１ａ（既設縦枠２３側の面、見込み面）に取り付けられており、火災発生時の火炎の熱により、厚さ方向に発泡するため、既設縦枠２３の金属枠体２３１の連結部材２３１３に向かって発泡する。
【0077】
これにより、火災発生時において、連結部材２３１３の溶融を防止でき、又は、連結部材２３１３の溶融を遅らせることができる。また、火災発生時において、加熱発泡材７３１により既設縦枠２３の金属枠体２３１の連結部材２３１３と新設縦枠３３との間を塞ぐことで、既設縦枠２３の金属枠体２３１の連結部材２３１３と新設縦枠３３との間に室外側Ｘ１又は室内側Ｘ２から火炎の熱が流入することを抑制でき、或いは、既設縦枠２３の金属枠体２３１の連結部材２３１３と新設縦枠３３との間から室外側Ｘ１又は室内側Ｘ２に火炎の熱が流出することを抑制することができる。
【0078】
図６に示すように、中空部３３１に対応する外側面３３１ａ及び中空部３３２に対応する外側面３３２ａは、いずれも同一平面上に配置されており、新設縦枠３３の見込み方向に面一状に並んで配置されている。
【0079】
新設縦枠３３の最も室外側Ｘ１の部位には、見付け方向の外方に向けて延びる室外側壁部３３４が一体に設けられる。室外側壁部３３４は、中空部３３１及び中空部３３２の外側面３３１ａ，３３２ａよりもさらに見付け方向の外方に突出し、既設縦枠２３の最も室外側Ｘ１の外方突出片２３ｂの端面２３ｘに対して、室外側Ｘ１から重なるように配置されている。これにより、既設縦枠２３の外方突出片２３ｂの端面２３ｘ（室外側部分）は、新設縦枠３３の室外側壁部３３４（室外側部）に覆われて配置される。
【0080】
室外側壁部３３４には、アルミニウム等の金属材からなる化粧材３３５（カバー材）が室外側Ｘ１から着脱可能に取り付けられている。化粧材３３５は、室外側壁部３３４を覆うとともに、既設縦枠２３，２４よりも見付け方向の外方に延出し、新設縦枠３３の見付け面を形成している。化粧材３３５は、既設縦枠２３と外壁材１０２との間に露出するシーリング材１０４を室外側Ｘ１から覆い隠している。
【0081】
新設縦枠３３の最も室内側Ｘ２の部位には、新設縦枠３３を建物躯体１００に固定するために使用される取付部３３６が一体に設けられる。取付部３３６は、新設縦枠３３の室内側Ｘ２の端面の左右方向の外方の部分から室内側Ｘ２に向けて板状に延出している。
【0082】
取付部３３６の左右方向の外方の外側面には、新設縦枠３３の長さ方向に延びる少なくとも一対の突条部３３６１が設けられる。一対の突条部３３６１は、取付部３３６の左右方向の外方の外側面から僅かに外方に突出し、見込み方向に所定の間隔をあけて平行に配置される。
【0083】
矩形に四方組みされた状態の新設枠３における左右一対の新設縦枠３３は、既設縦枠２３から額縁部材１０１に亘る部位の内周側に配置される。図６に示すように、新設縦枠３３と額縁部材１０１との間に隙間が形成される場合には、その隙間を埋めるようにスペーサ部材３０３が配置される。スペーサ部材３０３は、１枚以上のシートによって構成される。スペーサ部材３０３は、新設縦枠３３の長さ方向の幅が所定幅のピース状に形成され、新設縦枠３３の長さ方向に離れた複数箇所に配置されている。スペーサ部材３０３を構成するシートの厚み及びシートの積層数は、新設縦枠３３と額縁部材１０１との間の隙間の大きさ等に応じて適宜設定される。
【0084】
新設縦枠３３の外側面３３２ａ及び取付部３３６は、スペーサ部材３０３に当接して重なっている。四方組された新設枠３における新設縦枠３３は、室内側Ｘ２から取付部３３６及びスペーサ部材３０３を貫通するねじＳＣ３によって、既設縦枠２３よりも室内側Ｘ２の建物躯体１００に固定される。ねじＳＣ３は、取付部３３６の一対の突条部３３６１の間を貫通する。一対の突条部３３６１は、スペーサ部材３０３に当接し、ねじＳＣ３の締結トルクが作用した際の取付部３３６の変形を抑制する。
【0085】
新設枠３が既設枠２の内周側に取り付けられた状態において、既設縦枠２３と新設縦枠３３との間には、新設縦枠３３を既設縦枠２３に取り付けるための他の部材が介在していない。新設縦枠３３は、既設縦枠２３の内周側に直接的に左右に対面するように配置される。そのため、新設縦枠３３は、既設縦枠２３に可及的に近接して配置可能である。新設縦枠３３は、既設縦枠２３に固定されないため、既設縦枠２３に歪み等が生じていても、その歪みの状態に影響されずに取り付け可能である。ねじＳＣ３は、既設縦枠２３と接触しないため、ねじＳＣ３を介して既設縦枠２３と新設縦枠３３との間で熱が伝達されることもない。
【0086】
図６に示すように、新設縦枠３３には、樹脂製または木質由来材料製のアングル部材３３８が取り付けられている。アングル部材３３８には、ねじ５３ａによって、樹脂製の化粧カバー５３が取り付けられている。
【0087】
化粧カバー５３は、アングル部材３３８に連続して室内側Ｘ２に向けて延びるとともに、額縁部材１０１に亘って配置される。アングル部材３３８に固定された化粧カバー５３は、アングル部材３３８と額縁部材１０１との間の新設縦枠３３及びスペーサ部材３０３を室内側Ｘ２から覆っている。ねじＳＣ３の頭部は、化粧カバー５３の内側に配置される。化粧カバー５３と額縁部材１０１との境目は、ねじ６３ａによって額縁部材１０１に固定される断面Ｌ字状の見切り材６３によって遮蔽されている。
【0088】
新設縦枠３３の室内側Ｘ２の部位の内側面には、樹脂製のカバー材３３３が設けられる。カバー材３３３は、アングル部材３３８の室外側Ｘ１に隣接して配置され、アングル部材３３８から新設縦枠３３の室内側Ｘ２において新設縦枠３３の左右方向の内方の内側面を覆っている。
【0089】
次に、障子４１，４２について説明する。
【0090】
障子４１，４２は、図２及び図３に示すように、それぞれ上框４１１，４２１と、下框４１２，４２２と、左右一対の縦框４１３，４２３と、を矩形に四方組みした框体の内側に、１枚以上のガラス等からなる面材４１４，４２４を納めることによって構成される。
【0091】
図２に示すように、上框４１１，４２１は、アルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる上框本体４１１１，４２１１と、上框本体４１１１，４２１１の室内側Ｘ２の側面をカバーする樹脂製または木質由来材料製のカバー部材４１１２，４２１２と、によって構成される。上框本体４１１１，４２１１は、新設上枠３１のガイドレール３１４ａ，３１４ｂの下部に設けられる。
【0092】
図２に示すように、下框４１２，４２２は、アルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる下框本体４１２１，４２２１と、下框本体４１２１，４２２１の室内側Ｘ２の側面をカバーする樹脂製または木質由来材料製のカバー部材４１２２，４２２２と、によって構成される。下框本体４１２１，４２２１は、新設下枠３２のガイドレール３２４ａ，３２４ｂの上部に設けられる。下框本体４１２１，４２２１の内部には、戸車４１２３，４２２３が設けられ、ガイドレール３２４ａ，３２４ｂ上に転動可能に載置されている。
【0093】
図３に示すように、縦框４１３，４２３は、アルミニウム等の金属材によって長さ方向に押出し成形された押出形材からなる縦框本体４１３１，４２３１と、縦框本体４１３１，４２３１の室内側Ｘ２の側面をカバーする樹脂製または木質由来材料製のカバー部材４１３２，４２３２と、によって構成される。
【0094】
以上の本実施形態の改装建具１によれば、新設枠３が既設枠２の内周側に取り付けられた状態において、既設枠２と新設枠３との間には、新設枠３を既設枠２に対して取り付けるための部材が介在しないため、新設枠３は、既設枠２に可及的に近接して配置可能である。そのため、枠部材の見付け方向の寸法が可及的にコンパクトな改装建具１を構築することができる。新設枠３は、既設枠２に固定されないため、既設枠２の歪みの状態に影響されずに取り付け可能である。そのため、新設枠３の施工性が向上する。固定部材であるねじＳＣ１，ＳＣ２，ＳＣ３，ＳＣ４は、既設枠２と接触しないため、ねじＳＣ１，ＳＣ２，ＳＣ３，ＳＣ４を介して既設枠２と新設枠３との間で熱が伝達されることがなく、断熱性に優れる。
【0095】
本実施形態の改装建具１は、以下の効果を有する。
【0096】
本実施形態の改装建具１は、建物躯体１００の開口部に取り付けられる既設枠２（既設上枠２１，既設下枠２２，既設縦枠２３，２４）であって、金属製の室外側枠部材２１１１，２２１１，２３１１，２４１１と、金属製の室内側枠部材２１１２，２２１２，２３１２，２４１２と、室外側枠部材２１１１，２２１１，２３１１，２４１１と室内側枠部材２１１２，２２１２，２３１２，２４１２との間に配置され断熱性を有する連結部材２１１３，２２１３，２３１３，２４１３と、を有する既設枠２（既設上枠２１，既設下枠２２，既設縦枠２３，２４）と、既設枠２（既設上枠２１，既設下枠２２，既設縦枠２３，２４）の内周側に取り付けられる新設枠３（新設上枠３１，新設下枠３２，新設縦枠３３，３４）と、連結部材２１１３，２２１３，２３１３に向かって発泡するように設けられる加熱発泡材７１１，７２１，７３１，７４１と、を備える。
【0097】
これにより、火災発生時において、加熱発泡材７１１，７２１，７３１，７４１は、既設枠２（既設上枠２１，既設下枠２２，既設縦枠２３，２４）の連結部材２１１３，２２１３，２３１３に向かって発泡する。そのため、火災発生時において、既設枠２（既設上枠２１，既設下枠２２，既設縦枠２３，２４）の連結部材２１１３，２２１３，２３１３の溶融を防止でき、又は、連結部材２１１３，２２１３，２３１３の溶融を遅らせることができる。よって、防火性能を確保できる。
【0098】
また、本実施形態においては、加熱発泡材７１１，７２１，７３１，７４１は、新設枠３（新設上枠３１，新設下枠３２，新設縦枠３３，３４）に取り付けられる。これにより、連結部材２１１３，２２１３，２３１３に向かって発泡する位置に加熱発泡材７１１，７２１，７３１，７４１を容易に取り付けることができる。
【0099】
また、本実施形態においては、加熱発泡材７１１、７２１は、新設枠３（新設上枠３１，新設下枠３２）の室外側枠部材３１１，３２１に取り付けられる。これにより、室外側Ｘ１における火災発生時に、室外側Ｘ１から火炎が侵入しても、加熱発泡材７１１、７２１が発泡することで、新設枠３（新設上枠３１，新設下枠３２）の連結部材３１３，３２３の溶融を防止でき、又は、連結部材３１３，３２３の溶融を遅らせることができる。
【0100】
また、本実施形態においては、既設上枠２１のガイドレール２１１ｃの室外側面２１１ｄ（室外側部分）は、新設上枠３１の室外側壁部３１５（室外側部）に覆われて配置される。既設縦枠２３，２４の外方突出片２３ｂ，２４ｂの端面２３ｘ，２４ｘ（室外側部分）は、新設縦枠３３，３４の室外側壁部３３４，３４４（室外側部）に覆われて配置される。
【0101】
これにより、室外側Ｘ１において火災が発生した場合において、室外側Ｘ１からの火炎の熱は、新設枠３（新設上枠３１，新設縦枠３３，３４）には直接伝達され、既設枠２（既設上枠２１，既設縦枠２３，２４）の連結部材２１１３，２２１３，２３１３には、新設枠３（新設上枠３１，新設縦枠３３，３４）を介して伝達される。よって、室外側Ｘ１からの火炎の熱は、既設枠２（既設上枠２１，既設縦枠２３，２４）の連結部材２１１３，２２１３，２３１３よりも、新設枠３（新設上枠３１，新設縦枠３３，３４）に取り付けられた加熱発泡材７１１，７２１，７３１，７４１に速く伝達される。よって、加熱発泡材７１１，７２１，７３１，７４１は、既設枠２（既設上枠２１，既設縦枠２３，２４）の連結部材２１１３，２２１３，２３１３が溶融するよりも、早く発泡しやすい。従って、火災発生時において、既設枠２（既設上枠２１，既設縦枠２３，２４）の連結部材２１１３，２２１３，２３１３が溶融するよりも、加熱発泡材７１１，７２１，７３１，７４１を、既設枠２（既設上枠２１，既設縦枠２３，２４）の連結部材２１１３，２２１３，２３１３に早く発泡させることができる。よって、防火性能を向上できる。
【0102】
次に、第２実施形態について説明する。第２実施形態において、第１実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0103】
次に、第２実施形態について説明する。第２実施形態では、新設枠３（新設上枠３１，新設下枠３２、新設縦枠３３，３４）にには、図２及び図３に示す第１実施形態の加熱発泡材７１１，７２１，７３１，７４１は取り付けられていない。第２実施形態では、図７～図９に示すように、仕切部材８１、８２，８３が設けられると共に、仕切部材８１，８２，８３には、加熱発泡材７１２，７２２，７３２が取り付けられている。更に、第２実施形態では、図８に示すように、新設下枠３２には、連結支持板３５が設けられる。第２実施形態において、第１実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0104】
まず、既設上枠２１及び新設上枠３１が設けられる周辺の構造について説明する。図７に示すように、既設上枠２１には、仕切部材８１が取り付けられている。仕切部材８１の上面には、加熱発泡材７１２が取り付けられている。図７に示す第２実施形態の新設上枠３１には、図４に示す第１実施形態の加熱発泡材７１１は取り付けられていない。
【0105】
仕切部材８１は、既設上枠２１の金属枠体２１１の連結部材２１１３と新設上枠３１との間の空間を仕切って、既設上枠２１と新設上枠３１との間に設けられている。仕切部材８１は、アルミニウム等の金属材からなる板材により形成され、既設上枠２１の長さ方向の全長に亘って延びて形成される。
【0106】
仕切部材８１は、既設上枠２１のガイドレール２１１ａ及びガイドレール２１１ｂの下方において見込み方向に延びる見込み方向延在板８１１（見込み方向延在部）と、見込み方向延在板８１１の室外側Ｘ１の端部から室外側Ｘ１に上り傾斜で傾斜して所定長さ延びる上り傾斜板８１２と、上り傾斜板８１２の上端部から上方に所定長さ突出する室外側上方突出板８１３と、見込み方向延在板８１１の室内側Ｘ２の端部から上方に所定長さ突出する段差板８１４と、段差板８１４の上端部から室内側Ｘ２に所定長さ延びる室内側取付延在板８１５と、を有する。
【0107】
見込み方向延在板８１１は、既設上枠２１の金属枠体２１１の連結部材２１１３と新設上枠３１との間に配置される。見込み方向延在板８１１は、見込み方向に延びる平面状の板材により形成され、既設上枠２１側の上面が、既設上枠２１のガイドレール２１１ａの下端部に当接して配置される。見込み方向延在板８１１は、室内側Ｘ２から室外側Ｘ１に向かって、樹脂カバー材２１３の樹脂カバー部２１３１の室内側Ｘ２の端部の位置から、ガイドレール２１１ｂの手前の近傍の位置まで、直線状に延びる。
【0108】
室外側上方突出板８１３は、見込み方向延在板８１１の室外側Ｘ１の端部に上り傾斜板８１２を介して接続され、既設上枠２１のガイドレール２１１ｂの室内側Ｘ２の面に沿って当接して配置される。
【0109】
室内側取付延在板８１５は、段差板８１４の上端部から、見込み方向の室内側Ｘ２に延びて形成され、既設上枠２１の樹脂カバー材２１３のアングル部２１３２の下端に形成される室内側突出板２１３２ａの下面に沿って見込み方向に延びる。室内側取付延在板８１５は、既設上枠２１の樹脂カバー材２１３のアングル部２１３２の室内側突出板２１３２ａの下面に当接して配置され、ねじ８１５ａにより、既設上枠２１の樹脂カバー材２１３のアングル部２１３２の室内側突出板２１３２ａ及び額縁部材１０１に固定される。
【0110】
図７に示すように、第２実施形態においては、図４に示す第１実施形態において加熱発泡材７１１が新設上枠３１に取り付けられることに代えて、加熱発泡材７１２は、既設上枠２１に取り付けられた仕切部材８１の見込み方向延在板８１１の上面に取り付けられる。加熱発泡材７１２は、仕切部材８１の見込み方向延在板８１１の上面において、既設上枠２１の金属枠体２１１の連結部材２１１３に対向する位置に取り付けられる。
【0111】
加熱発泡材７１２は、既設上枠２１の金属枠体２１１の連結部材２１１３に対向する位置において、仕切部材８１の見込み方向延在板８１１の上面（見込み面）に取り付けられており、火災発生時の火炎の熱により、厚さ方向に発泡するため、既設上枠２１の金属枠体２１１の連結部材２１１３に向かって発泡する。これにより、火災発生時において、連結部材２１１３の溶融を防止でき、又は、連結部材２１１３の溶融を遅らせることができる。また、火災発生時において、仕切部材８１で仕切られた空間において、既設上枠２１の金属枠体２１１の連結部材２１１３に向かって加熱発泡材７１２を発泡させることができる。よって、仕切部材８１で加熱発泡材７１２が発泡する空間を狭めることで、加熱発泡材７１２の使用量を少なくすることができる。
【0112】
次に、既設下枠２２及び新設下枠３２が設けられる周辺の構造について説明する。図８に示すように、既設下枠２２には、仕切部材８２が取り付けられている。仕切部材８２の下面には、加熱発泡材７２２が取り付けられている。図８に示す第２実施形態の新設下枠３２には、図５に示す第１実施形態の加熱発泡材７２１は取り付けられていない。また、新設下枠３２には、連結支持板３５が接続されている。
【0113】
連結支持板３５に関連する構成について説明する。図８に示すように、新設下枠３２において、新設下枠３２の室内側枠部材３２２の段部３２２２内には、下方からスペーサ部材３０２と連結支持板３５とがねじ３５２ｂによって取り付けられ、額縁部材１０１との間を埋めている。
【0114】
スペーサ部材３０２は、１枚以上のシートによって構成される。スペーサ部材３０２は、新設下枠３２の長さ方向の幅が所定幅のピース状に形成され、新設下枠３２の長さ方向に離れた複数箇所に配置されているか、または、スペーサ部材３０２は、新設下枠３２の長さ方向の全長に亘って配置されている。スペーサ部材３０２を構成するシートの厚み及びシートの積層数は、段部３２２２の上下方向の深さ及び新設下枠３２の室内側枠部材３２２と額縁部材１０１との間の隙間の大きさ等に応じて適宜設定される。
【0115】
連結支持板３５は、アルミニウム等の金属製の板材からなり、図８に示すように、見込み方向に延びる板状に形成される。連結支持板３５は、段差状に形成され、室内側枠部材３２２から連結部材３２３の下方を通って室外側枠部材３２１まで延びている。連結支持板３５は、改装建具１の左右方向の長さが所定幅のピース状に形成され、改装建具１の左右方向の中央付近に配置される。
【0116】
連結支持板３５が設けられている新設下枠３２の長さ方向である左右方向の中央付近においては、新設下枠３２の長さ方向において、新設下枠３２の取付部３２７と室内側枠部材３２２の下面の室内側Ｘ２の部位から下方に突出する２つの段差脚部３２２３とは連結支持板３５が配置される幅の分だけ欠損して切り欠かれている。連結支持板３５は、新設下枠３２の長さ方向の中央付近において、新設下枠３２の取付部３２７及び２つの段差脚部３２２３が切り欠かれて欠損された箇所に設けられている。
【0117】
図８に示すように、連結支持板３５は、見込み方向において、室外側枠部材３２１と室内側枠部材３２２とを連結する連結部材３２３を跨いで、室外側枠部材３２１と室内側枠部材３２２とを下方から支持した状態で接続する。連結支持板３５は、室外側Ｘ１に配置される室外側上段板３５１と、室内側Ｘ２に配置され室外側上段板３５１よりも低い位置に配置される室内側下段板３５２と、室外側Ｘ１から室内側Ｘ２向かうに従って下り傾斜で傾斜して形成され室外側上段板３５１と室内側下段板３５２とを接続する下り傾斜接続板３５３と、を有する。
【0118】
室外側上段板３５１は、室外側Ｘ１に配置され、見込み方向に略水平に延びる。室外側上段板３５１は、室外側枠部材３２１における連結部材３２３に隣接する部位の下面３２１ｂの下方に配置され、室外側枠部材３２１における連結部材３２３に隣接する部位の下面３２１ｂに当接し、下方から室外側枠部材３２１を支持している。室外側上段板３５１は、室外側上段板３５１及び新設下枠３２の室外側枠部材３２１の室内側Ｘ２の下部を貫通するねじ３５１ａによって、新設下枠３２の室外側枠部材３２１の室内側Ｘ２の下部に固定される。
【0119】
室内側下段板３５２は、室外側上段板３５１の室内側Ｘ２に下り傾斜接続板３５３を介して接続され、室外側上段板３５１よりも低い位置において、見込み方向に略水平に延びる。室内側下段板３５２は、新設下枠３２の室内側枠部材３２２の室内側Ｘ２の端面よりも室内側Ｘ２に突出し、新設下枠３２の取付部３２７の先端と同じ位置まで延出する。
【0120】
室内側下段板３５２は、室内側Ｘ２の部位が、室内側下段板３５２を斜め上方から貫通するねじ３５２ａによって、既設下枠２２よりも室内側Ｘ２の建物躯体１００に固定される。室内側下段板３５２の室内側Ｘ２の部位を固定するねじ３５２ａは、左右方向に見た場合において、新設下枠３２の取付部３２７を固定するねじＳＣ２と同様の大きさのねじが使用され、ほぼ同じ位置でほぼ同様の傾斜角度で配置されている。室内側下段板３５２は、室外側Ｘ１の部位が、室内側下段板３５２、スペーサ部材３０２及び室内側枠部材３２２の段部３２２２を下方から貫通するねじ３５２ｂによって、室内側枠部材３２２の下部に固定される。
【0121】
連結支持板３５は、火災発生時に、樹脂で構成された連結部材３２３が焼失しても、室外側枠部材３２１と室内側枠部材３２２とを接続すると共に金属製の板材で形成されているため、室外側枠部材３２１と室内側枠部材３２２との分離を抑制できる。これにより、火災発生時に、樹脂で構成された連結部材３２３が焼失しても、新設下枠３２の強度を維持できる。
【0122】
また、連結支持板３５は、室内側Ｘ２の部位において、ねじ３５２ａによって建物躯体１００に固定されており、室外側Ｘ１の部位において、新設下枠３２の室内側枠部材３２２を下方から支持している。これにより、連結支持板３５は、室内側Ｘ２の部位がねじ３５２ａによって建物躯体１００に固定されているため、室外側Ｘ１の部位において、新設下枠３２の室外側枠部材３２１が下方に垂れ下がることを防止した状態で支持できる。
【0123】
仕切部材８２について説明する。図８に示すように、仕切部材８２は、既設下枠２２の金属枠体２２１の連結部材２２１３と新設下枠３２との間の空間を仕切って、既設下枠２２と新設下枠３２との間に設けられている。仕切部材８２は、アルミニウム等の金属材からなる板材により形成され、既設下枠２２の長さ方向の全長に亘って延びて形成される。
【0124】
仕切部材８２は、既設下枠２２のガイドレール２２１ａの室外側Ｘ１の面に沿って上下方向に所定長さ延びる上下方向延在板８２１と、上下方向延在板８２１の上端部から室内側Ｘ２に見込み方向に所定長さ延びる見込み方向延在板８２２（見込み方向延在部）と、を有する。
【0125】
上下方向延在板８２１は、見込み方向において、既設下枠２２における上段部２２ａと中段部２２ｃとの間の段差２２ｂから室外側Ｘ１に僅かに離れた位置において、既設下枠２２の中段部２２ｃよりも僅かに上方の位置から、ガイドレール２２１ａの上端部よりも僅かに上方の位置まで延びて形成されている。
【0126】
見込み方向延在板８２２は、見込み方向において、室外側Ｘ１から室内側Ｘ２に向けて、既設下枠２２における上段部２２ａと中段部２２ｃとの間の段差２２ｂから室外側Ｘ１に僅かに離れた位置から、樹脂カバー材２２２のアングル部２２２２の上端に形成される室内側突出板２２２２ａの上面に亘って延びる。見込み方向延在板８２２は、室内側Ｘ２の端部において、既設下枠２２の樹脂カバー材２２２のアングル部２２２２の室内側突出板２２２２ａの上面に沿って当接して配置され、ねじ８２２ａにより、既設下枠２２の樹脂カバー材２２２のアングル部２２２２の室内側突出板２２２２ａ及び額縁部材１０１に固定される。
【0127】
図８に示すように、第２実施形態においては、図５に示す第１実施形態において加熱発泡材７２１が新設下枠３２に取り付けられたことに代えて、加熱発泡材７２２は、既設下枠２２に取り付けられた仕切部材８２の見込み方向延在板８２２の下面に取り付けられる。加熱発泡材７２２は、仕切部材８２の見込み方向延在板８２２の室外側Ｘ１の下面において、既設下枠２２の金属枠体２２１の連結部材２２１３に対向する位置に取り付けられる。
【0128】
加熱発泡材７２２は、既設下枠２２の金属枠体２２１の連結部材２２１３に対向する位置において、仕切部材８２の見込み方向延在板８２２の下面（見込み面）に取り付けられており、火災発生時の火炎の熱により、厚さ方向に発泡するため、既設下枠２２の金属枠体２２１の連結部材２２１３に向かって発泡する。これにより、火災発生時において、連結部材２２１３の溶融を防止でき、又は、連結部材２２１３の溶融を遅らせることができる。また、火災発生時において、仕切部材８２で仕切られた空間において、既設下枠２２の金属枠体２２１の連結部材２２１３に向かって加熱発泡材７２２を発泡させることができる。よって、仕切部材８２で加熱発泡材７２２が発泡する空間を狭めることで、加熱発泡材７２２の使用量を少なくすることができる。
【0129】
次に、既設縦枠２３及び新設縦枠３３が設けられる周辺の構造について説明する。図９に示すように、既設縦枠２３には、仕切部材８３が取り付けられている。仕切部材８３の左右方向の外方の面には、加熱発泡材７３２が取り付けられている。図９に示す第２実施形態の新設縦枠３３には、図６に示す第１実施形態の加熱発泡材７３１は取り付けられていない。
【0130】
仕切部材８３は、既設縦枠２３の金属枠体２３１の連結部材２３１３と新設縦枠３３との間の空間を仕切って、既設縦枠２３と新設縦枠３３との間に設けられている。仕切部材８３は、アルミニウム等の金属材からなる板材により形成され、既設縦枠２３の長さ方向の全長に亘って延びて形成される。
【0131】
仕切部材８３は、既設縦枠２３の側部延在板２３ａの室外側Ｘ１の部分において側部延在板２３ａから左右方向の内方に突出する２つの突出板２３ｆ，２３ｇのうち、室外側Ｘ１の突出板２３ｆの先端部の室外側Ｘ１の面に沿って左右方向に所定長さ延びる左右方向延在板８３１と、左右方向延在板８３１の左右方向の内方の端部から室内側Ｘ２に見込み方向に延びる見込み方向延在板８３２（見込み方向延在部）と、を有する。
【0132】
左右方向延在板８３１は、既設縦枠２３の突出板２３ｆの先端部の室外側Ｘ１の面に当接して左右方向に所定長さ延びて配置される。見込み方向延在板８３２は、既設縦枠２３と新設縦枠３３との間に配置され、見込み方向に延びる平面状の板材により形成される。見込み方向延在板８３２は、見込み方向において、室外側Ｘ１から室内側Ｘ２に向けて、既設縦枠２３の突出板２３ｆから、樹脂カバー材２３２のアングル部２３２２の左右方向の内方の端部に形成される室内側突出板２３２２ａの左右方向の内方の面に亘って延びる。見込み方向延在板８３２は、室内側Ｘ２の端部において、既設縦枠２３の樹脂カバー材２３２のアングル部２３２２の室内側突出板２３２２ａの左右方向の内方の面に沿って当接して配置され、ねじ８３２ａにより、既設縦枠２３の樹脂カバー材２３２のアングル部２３２２の室内側突出板２３２２ａ及び額縁部材１０１に固定される。
【0133】
図９に示すように、第２実施形態においては、図６に示す第１実施形態において加熱発泡材７３１が新設縦枠３３に取り付けられたことに代えて、加熱発泡材７３２は、既設縦枠２３に取り付けられた仕切部材８３の見込み方向延在板８３２の左右方向の外方の面に取り付けられる。加熱発泡材７３２は、仕切部材８３の見込み方向延在板８１１の室外側Ｘ１の左右方向の外方の面において、既設縦枠２３の金属枠体２３１の連結部材２３１３に対向する位置に取り付けられる。
【0134】
加熱発泡材７３２は、既設縦枠２３の金属枠体２３１の連結部材２３１３に対向する位置において、仕切部材８３の見込み方向延在板８３２の左右方向の外方の面（見込み面）に取り付けられており、火災発生時の火炎の熱により、厚さ方向に発泡するため、既設縦枠２３の金属枠体２３１の連結部材２３１３に向かって発泡する。これにより、火災発生時において、連結部材２３１３の溶融を防止でき、又は、連結部材２３１３の溶融を遅らせることができる。また、火災発生時において、仕切部材８３で仕切られた空間において、既設縦枠２３の金属枠体２３１の連結部材２３１３に向かって加熱発泡材７３２を発泡させることができる。よって、仕切部材８３で加熱発泡材７３２が発泡する空間を狭めることで、加熱発泡材７３２の使用量を少なくすることができる。
【0135】
以上のように、第２実施形態においては、加熱発泡材７１２，７２２，７３２，７４２は、仕切部材８１，８２，８３，８４に取り付けられる。これにより、連結部材２１１３，２２１３，２３１３に向かって発泡する位置に加熱発泡材７１２，７２２，７３２，７４２を容易に取り付けることができる。また、仕切部材８１、８２，８３，８４により、仕切られた空間において、加熱発泡材７１２，７２２，７３２，７４２を、連結部材２１１３，２２１３，２３１３に向かって発泡させるため、加熱発泡材７１２，７２２，７３２，７４２が発泡する空間を狭めることで、加熱発泡材７１２，７２２，７３２，７４２の使用量を少なくすることができる。
【0136】
以上、本開示の改装建具の一実施形態について説明したが、本開示の改装建具は適宜変更可能である。例えば、本開示の改装建具は、上述した２枚の障子４１，４２を有する者に制限されず、３枚以上の障子を有するものであってもよいし、１枚だけの障子を有する片引き窓を構成するものであってもよい。さらに、本開示の改装建具は、辷り出し窓やＦＩＸ窓、上げ下げ窓、外倒し窓、内倒し窓、あるいは開き窓を構成するものであってもよい。
【0137】
上述した実施形態においては、新設枠３を構成する新設上枠３１、新設下枠３２及び新設縦枠３３，３４それぞれに、加熱発泡材を設けたが、これに限定されない。加熱発泡材は、新設枠を構成する上下左右の枠部材のうちの少なくともいずれか１つの枠部材に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0138】
１ 改装建具、 ２ 既設枠、 ３ 新設枠、 ２１ 既設上枠（既設枠）、 ２２ 既設下枠（既設枠）、 ２３，２４ 既設縦枠（既設枠）、 ２３ｘ，２４ｘ 端面（室外側部分）、 ３１ 新設上枠（新設枠）、 ３２ 新設下枠（新設枠）、 ３３，３４ 新設縦枠（新設枠）、 １００ 建物躯体、 ３１５ 室外側壁部（室外側部）、 ３３４，３４４ 室外側壁部（室外側部）、 ７１１，７１２，７２１，７２２，７３１，７３２，７４１，７４２ 加熱発泡材、 ２１１１，２２１１，２３１１，２４１１ 室外側枠部材（既設枠室外側部分）、 ２１１２，２２１２，２３１２，２４１２ 室内側枠部材（既設枠室内側部分）、 ２１１３，２２１３，２３１３，２４１３ 連結部材（既設枠連結部材）
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】