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特開2025-25557重量物の位置調整装置及び重量物の位置調整方法
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  • 特開-重量物の位置調整装置及び重量物の位置調整方法 図1
  • 特開-重量物の位置調整装置及び重量物の位置調整方法 図2
  • 特開-重量物の位置調整装置及び重量物の位置調整方法 図3
  • 特開-重量物の位置調整装置及び重量物の位置調整方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025557
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】重量物の位置調整装置及び重量物の位置調整方法
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/00 20060101AFI20250214BHJP
   B66F 3/08 20060101ALN20250214BHJP
【FI】
F28F9/00 321
B66F3/08 D
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130408
(22)【出願日】2023-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000204000
【氏名又は名称】太平電業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】小窪 稔
(72)【発明者】
【氏名】進藤 雅俊
【テーマコード(参考)】
3L065
【Fターム(参考)】
3L065AA04
(57)【要約】
【課題】故障しにくくメンテナンスコストを抑制できる重量物の位置調整装置を提供する。
【解決手段】重量物を持ち上げるジャッキの下面に設けられる第1平面部材と、第1平面部材の下面と面接触する上面を有する第2平面部材と、第2平面部材上で第1平面部材及びジャッキを水平方向に移動させる移動部材と、を備え、第1平面部材の下面をエンジニアリングプラスチック又は鋼材とし、第2平面部材の上面をエンジニアリングプラスチック又は鋼材とすることで接触面での摩擦抵抗を小さくする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量物を設置する際の位置合わせに用いられる、重量物の位置調整装置であって、
前記重量物を持ち上げるジャッキと、
前記ジャッキの下面に設けられる第1平面部材と、
前記第1平面部材の下面と面接触する上面を有する第2平面部材と、
前記第2平面部材上で前記第1平面部材及び前記ジャッキを水平方向に移動させる移動部材と、
を備え、
前記第1平面部材の下面がエンジニアリングプラスチック又は鋼材であり、
前記第2平面部材の上面がエンジニアリングプラスチック又は鋼材であることを特徴とする重量物の位置調整装置。
【請求項2】
請求項1に記載の重量物の位置調整装置であって、
前記エンジニアリングプラスチックは、モノマーキャストナイロン(MC)、ポリアセタール(POM)、超高分子量ポリエチレン(UHPE)又はフッ素樹脂(PTFE)の何れかであることを特徴とする重量物の位置調整装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の重量物の位置調整装置であって、
前記鋼材は、ステンレス鋼、炭素鋼、銅又は銅系合金の溶射皮膜がコーティングされたものの何れかであることを特徴とする重量物の位置調整装置。
【請求項4】
請求項1に記載の重量物の位置調整装置であって、
前記鋼材の前記エンジニアリングプラスチックとの接触面は、面粗度がRa0.1μm以下であることを特徴とする重量物の位置調整装置。
【請求項5】
請求項1に記載の重量物の位置調整装置であって、
前記第1平面部材と前記第2平面部材の接触面には、潤滑剤が塗布されていることを特徴とする重量物の位置調整装置。
【請求項6】
請求項1に記載の重量物の位置調整装置であって、
前記移動部材はボルトであることを特徴とする重量物の位置調整装置。
【請求項7】
重量物を設置する際の位置合わせに用いられる、重量物の位置調整装置を用いた重量物の位置調整方法であって、
前記位置調整装置は、
前記重量物を持ち上げるジャッキと、
前記ジャッキの下面に設けられる第1平面部材と、
前記第1平面部材の下面と面接触する上面を有する第2平面部材と、
前記第2平面部材上で前記第1平面部材及び前記ジャッキを水平方向に移動させる移動部材と、
を備え、
前記第1平面部材の下面がエンジニアリングプラスチック又は鋼材であり、
前記第2平面部材の上面がエンジニアリングプラスチック又は鋼材であり、
前記重量物を前記重量物の設置位置まで搬送し、前記重量物を仮受架台に仮置きする仮置き工程と、
前記仮置きされた前記重量物の前記ジャッキが当接するジャッキ当接部の下方に、前記位置調整装置を設置する設置工程と、
前記ジャッキ当接部を前記ジャッキにより押し上げることにより前記重量物を持ち上げて、前記仮受架台から前記ジャッキに前記重量物の荷重を移す持ち上げ工程と、
前記重量物を前記ジャッキで持ち上げた状態で、前記重量物の位置が前記設置位置と一致するように前記移動部材を用いて前記ジャッキを水平方向に移動させる移動工程と、
前記ジャッキにより前記重量物を下ろして前記設置位置に載置する載置工程と、
を含むことを特徴とする重量物の位置調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、重量物を所定の設置位置に設置する際の位置調整を行うための位置調整装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電所で用いられる復水器などの重量物を所定の設置位置に設置する場合、従来の設置方法では、重量物をコロに載せたり、搬送用レール上を走行する台車に載せたりして設置位置付近まで搬送した後、重量物をチェーンブロックで吊り上げ、作業員が外力を加えながら微調整を繰り返しながら重量物を設置位置に設置していた。そのため、設置に長時間を要し、また、重量物を吊り上げての作業となるため危険が伴っていた。
【0003】
そうした中、特許文献1には、重量物の位置調整に用いられる位置調整支援装置が開示されている。当該位置調整支援装置は、鉛直方向に伸縮するアクチュエータ本体と、アクチュエータ本体の下面に設けられ、水平面内自在移動可能な球体接触ベアリングと、を備えており、重量物を持ち上げた状態で水平方向に容易に移動することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-261739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の位置調整支援装置は、ベアリングによりアクチュエータ本体及び重量物を支持するため機械的故障が起きやすくメンテナンスコストが高額化しやすいという問題がある。また、ベアリングを含むため装置そのものが重くなりやすく設置の時間や多くの機器(資材)を要しコストが高くなりやすい、ベアリングを含むため装置そのものの高さが高くなり重量物を高い位置で支持する必要がある、アクチュエータ用受点と調整ボルト用受点の様に多数の支持点を用意する必要がある、といった問題もある。
【0006】
そこで、この発明の目的は、これらの問題を解消すべく、故障しにくくメンテナンスコストや設置コストを抑制でき、低く狭い場所でも使用でき、多数の支持点を用意する必要の無い、重量物の位置調整装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記目的を達成するためになされたものであって、下記を特徴とするものである。
【0008】
請求項1に記載の発明は、重量物を設置する際の位置合わせに用いられる、重量物の位置調整装置であって、前記重量物を持ち上げるジャッキと、前記ジャッキの下面に設けられる第1平面部材と、前記第1平面部材の下面と面接触する上面を有する第2平面部材と、前記第2平面部材上で前記第1平面部材及び前記ジャッキを水平方向に移動させる移動部材と、を備え、前記第1平面部材の下面がエンジニアリングプラスチック又は鋼材であり、前記第2平面部材の上面がエンジニアリングプラスチック又は鋼材であることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の重量物の位置調整装置であって、前記エンジニアリングプラスチックは、モノマーキャストナイロン(MC)、ポリアセタール(POM)、超高分子量ポリエチレン(UHPE)又はフッ素樹脂(PTFE)の何れかであることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の重量物の位置調整装置であって、前記鋼材は、ステンレス鋼、炭素鋼、銅又は銅系合金の溶射皮膜がコーティングされたものの何れかであることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の重量物の位置調整装置であって、前記鋼材の前記エンジニアリングプラスチックとの接触面は、面粗度がRa0.1μm以下であることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の重量物の位置調整装置であって、前記第1平面部材と前記第2平面部材の接触面には、潤滑剤が塗布されていることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の重量物の位置調整装置であって、前記移動部材はボルトであることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、重量物を設置する際の位置合わせに用いられる、重量物の位置調整装置を用いた重量物の位置調整方法であって、前記位置調整装置は、前記重量物を持ち上げるジャッキと、前記ジャッキの下面に設けられる第1平面部材と、前記第1平面部材の下面と面接触する上面を有する第2平面部材と、前記第2平面部材上で前記第1平面部材及び前記ジャッキを水平方向に移動させる移動部材と、を備え、前記第1平面部材の下面がエンジニアリングプラスチック又は鋼材であり、前記第2平面部材の上面がエンジニアリングプラスチック又は鋼材であり、前記重量物を前記重量物の設置位置まで搬送し、前記重量物を仮受架台に仮置きする仮置き工程と、前記仮置きされた前記重量物の前記ジャッキが当接するジャッキ当接部の下方に、前記位置調整装置を設置する設置工程と、前記ジャッキ当接部を前記ジャッキにより押し上げることにより前記重量物を持ち上げて、前記仮受架台から前記ジャッキに前記重量物の荷重を移す持ち上げ工程と、前記重量物を前記ジャッキで持ち上げた状態で、前記重量物の位置が前記設置位置と一致するように前記移動部材を用いて前記ジャッキを水平方向に移動させる移動工程と、前記ジャッキにより前記重量物を下ろして前記設置位置に載置する載置工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、第2平面部材と第1平面部材が面接触している面における摩擦力を小さくすることができ、ジャッキで重量物を持ち上げた状態のまま、移動部材により、第2平面部材上を第1平面部材及びジャッキを水平面上でスライド移動させることができる。また、位置調整装置はジャッキを水平面上でスライド移動させる構成が鋼板やエンジニアリングプラスチックと簡易なため、故障しにくくメンテナンスコストや設置コストを抑制でき、低く狭い場所でも使用でき、多数の支持点を用意する必要も無い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態における重量物50及び位置調整装置1を示す平面図である。
図2】本実施形態における位置調整装置1の平面図である。
図3】本実施形態における位置調整装置1のA-A断面図である。
図4】本実施形態における位置調整装置1を用いた重量物50の位置調整方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。はじめに、本実施形態における重量物50の設置方法について説明する。
【0018】
本実施形態における重量物50の設置方法では、まず、重量物50の搬送元から設置位置まで搬送用レールを仮設し、搬送用レール上を走行する台車に重量物50を載せて搬送元から設置位置まで搬送する。重量物50を設置位置まで搬送したら、重量物50をジャッキアップして、重量物50の下に配置した仮受架台に荷重を載せ替えてから、搬送用レール及び台車を撤去する。
【0019】
次いで、図1に示すように、位置調整装置1の上部に設けられた油圧ジャッキ10で重量物50の当接部52を持ち上げることにより重量物50をジャッキアップする。具体的には、重量物50の外面に外側に向けて複数突設された当接部52のそれぞれに対応して、複数の位置調整装置1を用意する。そして、複数の位置調整装置1における油圧ジャッキ10により当接部52を同時に持ち上げることで重量物50をジャッキアップする。
【0020】
次いで、重量物50の荷重がそれぞれの位置調整装置1に掛かっている状態において、油圧ジャッキ10の位置を水平面上でスライド移動させることにより調整し、重量物50を設置位置に移動させる。このとき、油圧ジャッキ10の位置調整は、各位置調整装置1で同時に行うことが好ましい。
【0021】
重量物50を設置位置まで移動させたら、油圧ジャッキ10により重量物50をジャッキダウンして、設置位置に設置された固定具で重量物50を固定し、位置調整装置1を撤去する。
【0022】
次に、図2及び図3を用いて本実施形態における重量物50の位置調整装置1について説明する。なお、図2は、本実施形態における位置調整装置1の平面図である。図3は、図2のA-A断面図である。但し、図3には、説明のために、図2には描写していない重量物50の本体部51と、当接部52を描写している。
【0023】
図2図3に示すように、本実施形態における重量物50の位置調整装置1は、平面視した場合に重量物50の位置が設置位置と重なる際の油圧ジャッキ10の位置を含むように配置される平面視方形状の土台2と、土台2の上面中央に固設される平面視方形状の第1滑り部材3と、第1滑り部材3の上面と面接触する下面を有する平面視方形状の第2滑り部材4と、第2滑り部材4を上方より保持する平面視方形状の保持部材5と、保持部材5上に油圧ジャッキ10を固定する固定部材6と、平面視した場合の保持部材5の4辺を外側からそれぞれ押し込み可能な4つの押しボルト8と、押しボルト8を土台2にそれぞれ固設する取付部材7と、油圧ジャッキ10を有する。
【0024】
土台2には、例えば、ステンレス鋼(SUS)プレートなどの鋼板を用いることができる。
【0025】
第1滑り部材3には、例えば、ステンレス鋼(SUS)プレートなどの鋼板を用いることができる。鋼板の素材としては、ステンレス鋼の他に、例えば、銅系合金の溶射皮膜がコーティングされたもの、炭素鋼、銅などを用いることができる。また、第1滑り部材3における第2滑り部材4と面接触する面(上面)は、面粗度Ra0.1μm以下に仕上げておくことが好ましい。第1滑り部材3は、第2滑り部材4と面接触する面にこれらの鋼材が用いられていればよく、接触面以外の部材には他の材料を用いてもよい。
【0026】
第2滑り部材4には、例えば、モノマーキャストナイロン板(例えば、三菱ケミカルアドバンスドマテリアルズ株式会社製の「MC901」)などの板状のエンジニアリングプラスチックを用いることができる。エンジニアリングプラスチックの中でも、構造用および機械部材に適合している高性能プラスチックで、主に工業用途に使用されるもので、耐熱摩耗性が良く、動摩擦係数が0.05~0.2程度のものが好ましい。例えば、モノマーキャストナイロン(MC)、ポリアセタール(POM)、超高分子量ポリエチレン(UHPE)、フッ素樹脂(PTFE)などを第2滑り部材4に採用することができる。
【0027】
第2滑り部材4における第1滑り部材3と面接触する面(下面)は、摩擦係数がなるべく低くなるように加工しておくことが好ましい。なお、第2滑り部材4は、第1滑り部材3と面接触する面にエンジニアリングプラスチックが用いられていればよく、接触面以外の部材には他の材料を用いてもよい。
【0028】
第1滑り部材3と第2滑り部材4にこれらの素材を採用することにより、第1滑り部材3と第2滑り部材4が面接触している面における摩擦抵抗を小さくする。これにより、第1滑り部材3と第2滑り部材4が面接触している面における摩擦抵抗を、油圧ジャッキ10側の当接部52と接触している上面と、当接部52側の油圧ジャッキ10と接触している下面における摩擦抵抗よりも小さくする。
【0029】
なお、第1滑り部材3側の接触面を鋼板とし、第2滑り部材4側の接触面を板状のエンジニアリングプラスチックとしたが、これを入れ替えて、第1滑り部材3側の接触面を板状のエンジニアリングプラスチックとし、第2滑り部材4側の接触面を鋼板としてもよい。また、第1滑り部材3側の接触面及び第2滑り部材4側の接触面の両方を鋼板としてもよい。さらに、第1滑り部材3側の接触面及び第2滑り部材4側の接触面の両方を板状のエンジニアリングプラスチックとしてもよい。
【0030】
第1滑り部材3と第2滑り部材4が面接触する部分には、滑りやすいように、従来公知の潤滑油などの潤滑剤11を塗布しておくことが好ましい。
【0031】
保持部材5の素材には、例えば、炭素鋼やステンレス鋼(SUS)を用いることができる。保持部材5の下面には、第2滑り部材4が嵌め込まれる窪みが形成されている。窪みは、第2滑り部材4を嵌め込んだ際、第2滑り部材4の下面が下方に突出する深さとなっている。これにより、第1滑り部材3と第2滑り部材4が面接触することができる。また、窪みは、方形状をしており四方に壁部が形成されている。
【0032】
固定部材6の素材には、例えば、炭素鋼やステンレス鋼(SUS)を用いることができる。固定部材6は、保持部材5上に載置された油圧ジャッキ10を固定する。
【0033】
取付部材7及び押しボルト8の素材には、例えば、炭素鋼やステンレス鋼(SUS)を用いることができる。4つの押しボルト8は、それぞれ先端が保持部材5を平面視した場合の各辺に当接するように取付部材7により固定される。取付部材7には押しボルト8用のタップが切られており、押しボルト8を回転させることにより、保持部材5及びその上にある油圧ジャッキ10や重量物50を水平面に沿ってスライド移動させる。なお、保持部材5を平面視した場合の一の辺を押しボルト8により押す場合には、対向する他の辺側の押しボルト8はそのままだと保持部材5を移動させることができないので、外側に逃げるように移動させることとする。
【0034】
位置調整装置1上に設置する油圧ジャッキ10は、保持部材5上に固定することができ、且つ、重量物50を他の位置調整装置1の油圧ジャッキ10とともに持ち上げ可能であればよく、例えば、株式会社大阪ジャッキ製作所のET型パワージャッキなど、従来公知のジャッキを採用することができる。
【0035】
次に、図4を用いて、位置調整装置1を用いた重量物50の位置調整方法について説明する。
【0036】
まず、重量物50を重量物50の設置位置まで搬送し、重量物50を仮受架台(図示しない)に仮置きする(「仮置き工程」の一例)(ステップS1)。重量物50の搬送は、例えば、重量物50をコロ(図示しない)に載せたり、搬送用レール(図示しない)上を走行する台車(図示しない)に載せたりして搬送する。仮受架台は、重量物50の本体部51の下部と地面の間に設置され、重量物50の荷重を受ける。なお、この段階では、重量物50の位置が設置位置と完全に一致することは難しく、次のステップ以降で重量物50の位置が設置位置と完全に一致するように微調整を行う。
【0037】
次に、仮受架台に仮置きされた重量物50の油圧ジャッキ10が当接する当接部52(「ジャッキ当接部」の一例)の下方に、位置調整装置1を設置する(「設置工程」の一例)(ステップS2)。
【0038】
次に、当接部52を油圧ジャッキ10により押し上げることにより重量物50を持ち上げて、仮受架台から油圧ジャッキ10に重量物50の荷重を移す(「持ち上げ工程」の一例)(ステップS3)。
【0039】
次に、重量物50を油圧ジャッキ10で持ち上げた状態で、重量物50の位置が設置位置と一致するように押しボルト8(「移動部材」の一例)を用いて油圧ジャッキ10を水平方向に移動させる(「移動工程」の一例)(ステップS4)。
【0040】
次に、油圧ジャッキ10により重量物50を下ろして設置位置に載置する(「載置工程」の一例)(ステップS5)。
【0041】
以上説明したように、本実施形態の重量物50の位置調整装置1は、重量物50を設置する際の位置合わせに用いられ、重量物50を持ち上げる油圧ジャッキ10(「ジャッキ」の一例)と、油圧ジャッキ10の下面に保持部材5を介して設けられる第2滑り部材4(「第1平面部材」の一例)と、第2滑り部材4の下面と面接触する上面を有する第1滑り部材3(「第2平面部材」の一例)と、第1滑り部材3上で第2滑り部材4及び油圧ジャッキ10を水平方向に移動させる押しボルト8(「移動部材」の一例)と、を備え、第2滑り部材4の下面及び第1滑り部材3の上面の一方がエンジニアリングプラスチックであり、他方が鋼材である。
【0042】
したがって、本実施形態の重量物50の位置調整装置1によれば、第1滑り部材3と第2滑り部材4が面接触している面における摩擦力を小さくすることができ、油圧ジャッキ10で重量物50を持ち上げた状態のまま、押しボルト8の力により、第1滑り部材3上を第2滑り部材4及び油圧ジャッキ10を水平面上でスライド移動させることができる。また、位置調整装置1は油圧ジャッキ10を水平面上でスライド移動させる構成が鋼板とエンジニアリングプラスチックと簡易なため、故障しにくくメンテナンスコストや設置コストを抑制でき、低く狭い場所でも使用でき、多数の支持点を用意する必要も無い。
【符号の説明】
【0043】
1 :位置調整装置
2 :土台
3 :第1滑り部材
4 :第2滑り部材
5 :保持部材
6 :固定部材
7 :取付部材
8 :押しボルト
10 :油圧ジャッキ
11 :潤滑剤
50 :重量物
51 :本体部
52 :当接部
図1
図2
図3
図4