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特開2025-25566包装袋、包材、可視化装置、および包装装置
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  • 特開-包装袋、包材、可視化装置、および包装装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025566
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】包装袋、包材、可視化装置、および包装装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/00 20060101AFI20250214BHJP
   B65B 61/02 20060101ALI20250214BHJP
   B65D 30/02 20060101ALI20250214BHJP
   B65D 65/16 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
B65D33/00 A
B65B61/02
B65D30/02
B65D65/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130433
(22)【出願日】2023-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】593129342
【氏名又は名称】株式会社タカゾノ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 浩史
(72)【発明者】
【氏名】上坂 光晴
【テーマコード(参考)】
3E056
3E064
3E086
【Fターム(参考)】
3E056AA02
3E056AA05
3E056BA11
3E056CA01
3E056FA01
3E056FA02
3E056FH20
3E064AA05
3E064BA30
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC13
3E064BC18
3E064EA05
3E064FA01
3E064GA04
3E064HA06
3E064HB03
3E064HN05
3E086AB01
3E086AC07
3E086AD01
3E086BA04
3E086BA15
3E086BB22
3E086BB51
3E086CA28
(57)【要約】
【課題】通常は視認しにくく必要に応じて可視化できる態様で包装袋に表示を付す。
【解決手段】包装袋19は、シート状の包材を備え、包材の一部に、光拡散率または屈折率が包材と異なる表示110が付されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の包材を備え、
前記包材の一部に、光拡散率または屈折率が前記包材と異なる表示が付されている、包装袋。
【請求項2】
前記包材の表面の一部を加工処理することにより、前記表示が付されている、請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記加工処理は熱処理である、請求項2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記包材は樹脂製である、請求項3に記載の包装袋。
【請求項5】
前記表示は、前記包装袋に収容される収容物に関連する情報を表す、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の包装袋。
【請求項6】
前記収容物は薬剤であり、
前記表示は、前記薬剤を服用する服用者のプライバシーに関する情報を表す、請求項5に記載の包装袋。
【請求項7】
前記表示は、前記服用者が前記薬剤を服用するまでの所定機会に必要であり、かつ、服用した後は不要である情報を表す、請求項6に記載の包装袋。
【請求項8】
前記包材の一部に、色が前記包材と異なる第2の表示がさらに付されている、請求項1に記載の包装袋。
【請求項9】
前記第2の表示は、前記包装袋に収容される薬剤の服用に必要な情報を表す、請求項8に記載の包装袋。
【請求項10】
シート状の包材であって、
前記包材の一部に、光拡散率または屈折率が前記包材と異なる表示が付されている、包材。
【請求項11】
収容物を収容する包装袋であって、
前記収容物に関連する表示が、偏光を照射することにより可視化可能に付されている、包装袋。
【請求項12】
請求項1または請求項11に記載の包装袋に付された表示を可視化する可視化装置であって、
前記包装袋に偏光を照射する照射部と、
前記包装袋と視点との間に配置される偏光フィルタと、を備える、可視化装置。
【請求項13】
シート状の包材から包装袋を形成する包装部と、
前記包材の一部に、光拡散率または屈折率が前記包材と異なる表示を付す表示付与部とを備える、包装装置。
【請求項14】
前記包材の一部に、色が前記包材と異なる第2の表示を付す第2の表示付与部をさらに備える、請求項13に記載の包装装置。
【請求項15】
前記包装装置は、印刷ヘッドを有し、
前記表示付与部は、前記印刷ヘッドを前記包材に直接接触させ、
前記第2の表示付与部は、前記印刷ヘッドを前記包材にインクリボンを介して接触させる、請求項14に記載の包装装置。
【請求項16】
前記印刷ヘッドは熱を発生し、
前記表示付与部は、前記印刷ヘッドの熱を前記包材に直接に伝達し、
前記第2の表示付与部は、前記印刷ヘッドの熱を前記インクリボンに伝達する、請求項15に記載の包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包装袋、包材、可視化装置、および包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2020-175546号公報(特許文献1)には、薬剤を収容する分包袋に文字情報とコード化情報とを読み取り可能に書き込む技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-175546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
薬剤を収容する包装袋に薬剤の名称および服用者名などが明示されていると、服用者のプライバシー保護の観点から望ましくない。
【0005】
本開示では、通常は視認しにくく必要に応じて可視化できる態様で表示を付すための技術が提案される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある局面に従った包装袋は、シート状の包材を備え、包材の一部に、光拡散率または屈折率が包材と異なる表示が付されている。
【0007】
本開示のある局面に従った、シート状の包材は、その一部に、光拡散率または屈折率が包材と異なる表示が付されている。
【0008】
本開示のある局面に従った包装袋は、収容物を収容する包装袋であって、収容物に関連する表示が、偏光を照射することにより可視化可能に付されている。
【0009】
本開示のある局面に従った、包装袋に付された表示を可視化する可視化装置は、包装袋に偏光を照射する照射部と、包装袋と視点との間に配置される偏光フィルタと、を備えている。
【0010】
本開示のある局面に従った包装装置は、シート状の包材から包装袋を形成する包装部と、包材の一部に、光拡散率または屈折率が包材と異なる表示を付す表示付与部とを備えている。
【発明の効果】
【0011】
本開示に従うと、通常は視認しにくく必要に応じて可視化できる態様で表示を付すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る包装装置の概略構成図である。
図2図1に示す包装装置における、印刷部の概略構成図である。
図3】サーマルヘッドに対するインクリボンの配置を示す斜視図である。
図4】実施形態に係る包装装置の電気的構成を示すブロック図である。
図5】包装袋の外観を示す図である。
図6】包装袋に付された表示を示す模式図である。
図7】包装袋の部分断面図である。
図8】可視化装置の概略構成を示す模式図である。
図9】表示を可視化した包装袋の外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態について図に基づいて説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。実施形態から任意の構成が抽出され、それらが任意に組み合わされることも、当初から予定されている。
【0014】
[全体構成]
図1は実施形態に係る包装装置1の概略構成図である。
【0015】
包装装置1は、包装対象物を包装するために用いられる。包装対象物は、薬剤であり、具体的には固形の薬剤である。固形の薬剤としては、散剤、顆粒剤、錠剤、丸剤およびカプセル剤などが挙げられる。包装対象物は、固形の薬剤に限られない。包装対象物は、半固形の薬剤であってもよく、または、液状の薬剤であってもよい。
【0016】
包装装置1は、処方箋に基づいて薬剤を包装するための薬剤包装装置である。処方箋は、医師が患者に交付するものである。処方箋には、患者情報および薬剤情報が記載されている。患者情報は、患者の氏名および年齢を含む。薬剤情報は、薬名、分量、用法および用量を含む。このような処方箋に基づいて薬剤を1回の服用分ずつ包装するために、包装装置1が用いられる。
【0017】
包装装置1に、包材ロール2,3が取り付けられる。包材ロール2は、包材21がロール状に巻回されたものである。包材21は、包材ロール2から送り出される。包材ロール3は、包材31がロール状に巻回されたものである。包材31は、包材ロール3から送り出される。包材21,31は、長尺シート状である。包材21,31はたとえば、樹脂製のフィルム材で形成されている。包材21,31はたとえば、OPP(二軸延伸ポリプロピレン)製であってもよく、PET(polyethylene terephthalate)製であってもよい。
【0018】
包装装置1は、包材ロール2から巻き出される包材21と、包材ロール3から巻き出される包材31とをヒートシールすることにより合体させて、薬剤が収容された包装袋19を形成する。包装装置1は、包材搬送部9を備えている。包材搬送部9は、包材21,31に駆動力を作用し、包材21,31を搬送する。包材21,31は、その長手方向に搬送される。図1中の矢印は、包材21,31の搬送方向DRを示す。
【0019】
包材21の搬送方向DRの上流(包材ロール2に近い側)から下流(包材ロール2から離れる側)に向けて順に、ダンサーローラ11A、ガイドローラ12A,13Aが設けられている。ダンサーローラ11Aおよびガイドローラ12A,13Aは、搬送される包材21を案内するとともに、包材21に一定の張力を作用する機能を有している。包材31の搬送方向DRの上流(包材ロール3に近い側)から下流(包材ロール3から離れる側)に向けて順に、ダンサーローラ11B、ガイドローラ12B,13Bが設けられている。ダンサーローラ11Bおよびガイドローラ12B,13Bは、搬送される包材31を案内するとともに、包材31に一定の張力を作用する機能を有している。
【0020】
包装装置1は、包装部5を備えている。包装部5は、薬剤供給部6と、収容部形成部7と、ミシン目形成部8とを備えている。
【0021】
薬剤供給部6は、包材搬送部9によって搬送される包材21,31の間に、薬剤を供給する。図示しないホッパの先端が包材21と包材31との間に配置され、ホッパの先端から薬剤が包材21と包材31との間に投入される。薬剤は、処方箋に基づいて1回の服用分ずつ供給される。
【0022】
収容部形成部7は、包材搬送部9によって搬送される包材21,31を用いて、包装袋19を形成する。包装袋19には、収容物が収容される。収容物は、薬剤である。収容部形成部7は、包材21と包材31とを重ね合わせた状態で熱融着して、薬剤供給部6から供給される薬剤を1回服用分ごとに個包装化し、薬剤が内部に収容された包装物である包装袋19を形成する。
【0023】
ミシン目形成部8は、収容部形成部7に設けられている。ミシン目形成部8は、包材搬送部9によって搬送される包材21,31に、搬送方向DRに直交する方向に延びるミシン目を形成する。ミシン目は、複数の細孔が包材21,31の短手方向に連続して並んだものである。ミシン目は、包材21,31の長手方向において隣り合う包装袋19を仕切る位置に形成される。ミシン目に沿って包材21,31を切り裂くことで、隣り合う包装袋19が容易に分離される。
【0024】
包装装置1は、印刷部4をさらに備えている。印刷部4は、包材ロール3から巻き出され包材搬送部9によって搬送される包材31に、所定の表示を付す。所定の表示は、包装袋19に収容される薬剤に関連する情報である。印刷部4は、包材31の搬送方向において、包装部5の上流に配置されている。印刷部4は、収容部形成部7による包材21,31の熱融着に先駆けて、薬剤に関連する情報を包材31に印刷する。薬剤に関連する情報としては、薬剤を服用する服用者の氏名および年齢、服用時期(用法)、薬剤名および量(数量、重量)などが挙げられる。
【0025】
包装装置1は、線引き装置10をさらに備えている。線引き装置10は、搬送される包材21に、包材21の搬送方向DRに延びる線を引くために使用される。線引き装置10は、包材21に、複数色の線を印字可能である。印刷部4によって包材31に印刷される薬剤に関連する情報に対応させて、線引き装置10が包材21に特定の色の線を引くことができる。たとえば線引き装置10は、服用時期に応じて赤、黒、青、緑などのそれぞれ異なる色の線を引くことができる。
【0026】
[印刷部4の構成]
図2は、図1に示す包装装置1における、印刷部4の概略構成図である。印刷部4は、サーマルヘッド41を用いて、インクリボン45のインクを包材31上に熱転写させる。印刷部4はまた、サーマルヘッド41を用いて包材31の表面を熱処理する。具体的に印刷部4は、サーマルヘッド41を用いて包材31を加熱して、包材31の表面の一部を融解させる。熱処理は、包材31の表面の加工処理の一例に対応する。
【0027】
印刷部4は、サーマルヘッド41と、プラテンローラ44と、を有している。サーマルヘッド41は、複数の発熱素子を有している。サーマルヘッド41は、「印刷ヘッド」の一例に対応する。サーマルヘッド41は、熱を発生する。プラテンローラ44は、包材31を支える。サーマルヘッド41およびプラテンローラ44は、インクリボン45および包材31を間に挟んで、対向して配置されている。
【0028】
印刷部4は、ヘッド接離モータ42と、ヘッド移動モータ43とを、さらに有している。ヘッド接離モータ42は、サーマルヘッド41を、包材31の厚み方向(図2中の上下方向)に往復移動させ、圧接位置と離隔位置とに移動させる。圧接位置は、サーマルヘッド41がインクリボン45および包材31を介してプラテンローラ44に圧接する位置である。離隔位置は、サーマルヘッド41がプラテンローラ44から離隔する位置である。ヘッド移動モータ43は、サーマルヘッド41およびプラテンローラ44を、包材31の搬送方向DR(図2中の左右方向)に往復移動させる。
【0029】
印刷部4は、リボン供給軸46と、リボン巻取軸47と、ガイドローラ48,49と、リボン搬送モータ47aと、をさらに有している。リボン供給軸46は、インクリボン45を供給する。リボン巻取軸47は、インクリボン45を巻き取る。ガイドローラ48,49は、リボン供給軸46とリボン巻取軸47との間に設けられ、インクリボン45を案内する。リボン搬送モータ47aは、リボン巻取軸47を回転駆動する。
【0030】
リボン搬送モータ47aがリボン巻取軸47を回転駆動することで、インクリボン45がリボン供給軸46からリボン巻取軸47に向かって、その長手方向に搬送される。インクリボン45の搬送方向と包材31の搬送方向DRとは、互いに平行であり、いずれも図2中の左右方向である。
【0031】
このような印刷部4では、サーマルヘッド41を圧接位置に移動させる。この状態で、サーマルヘッド41を包材31の搬送経路に沿って移動させる。このとき、サーマルヘッド41の複数の発熱素子を、選択的に発熱させる。これによって、包装対象物である薬剤に関連する所定の表示が、包材31に一包装分ずつ付される。
【0032】
図3は、サーマルヘッド41に対するインクリボン45の配置を示す斜視図である。包材31の長手方向(搬送方向DR)およびインクリボン45の長手方向に直交する方向を、幅方向と称する。幅方向における包材31の寸法が、図3に示される幅Wである。幅方向におけるインクリボン45の寸法が、図3に示される幅W2である。幅W2は、幅Wよりも小さい。インクリボン45の幅W2は、幅方向におけるサーマルヘッド41の寸法よりも小さい。
【0033】
サーマルヘッド41は、幅方向においてインクリボン45の両側に、インクリボン45で覆われない部分を有している。サーマルヘッド41の表面の、インクリボン45で覆われずに露出している部分は、表示付与部411を構成している。表示付与部411は、幅W1,W3を有している。サーマルヘッド41の一部分のみが、インクリボン45によって覆われる。サーマルヘッド41の表面の、インクリボン45で覆われる部分は、第2の表示付与部412を構成している。
【0034】
サーマルヘッド41が圧接位置に配置されている状態で、表示付与部411は、包材31に直接接触する。表示付与部411は、サーマルヘッド41の発生する熱を包材31に直接に伝達する。これにより表示付与部411は、包材31の表面の一部を熱処理する。表示付与部411は、包材31の表面の一部を融解させる。包材31の表面の一部の、光拡散率または屈折率が変化する。表示付与部411は、包材31の表面の一部に、光拡散率または屈折率が包材31と異なる表示を付す。
【0035】
サーマルヘッド41が圧接位置に配置されている状態で、第2の表示付与部412は、インクリボン45を介して、包材31に接触する。第2の表示付与部412は、サーマルヘッド41の発生する熱を、インクリボン45に伝達する。第2の表示付与部412は、インクリボン45のインクを包材31に熱転写させて、包材31の表面に着色する。第2の表示付与部412は、インクリボン45を用いて、包材31の表面の一部に、色が包材31と異なる第2の表示を付す。
【0036】
包材搬送部9(図1)によって搬送され印刷部4を通過した後の包材31には、表面の一部に光拡散率または屈折率が包材31と異なる表示が付されており、表面の一部に色が包材31と異なる第2の表示が付されている。
【0037】
図2,3に示される実施形態の印刷部4では、共通のサーマルヘッド41が表示付与部411と第2の表示付与部412とを構成しているが、この例に限られない。従来の印刷部4と同様に、印刷部4ではインクリボン45のインクを包材31に転写して第2の表示を包材31に付し、印刷部4よりも搬送方向DRの上流側に、包材31を加熱して包材31の表面の一部を融解させる別の装置が設けられてもよい。
【0038】
または、光拡散率または屈折率が包材31と異なる表示は、必ずしも包装装置1で付されなくてもよい。光拡散率または屈折率が包材31と異なる表示が外部の装置によって予め包材31に付されて、その包材31が巻回された包材ロール3が包装装置1に取り付けられて、包装袋19の形成に用いられてもよい。包材31に表示を付す装置と、包材31に第2の表示を付す印刷部4とが別の装置である場合には、第2の表示は、熱転写による印刷に限られず、他の印刷方法で包材31に印刷されてもよく、印刷以外の態様で包材31に付されてもよい。
【0039】
[包装装置1の電気的構成]
図4は、実施形態に係る包装装置1の電気的構成を示すブロック図である。図4に示すように、包装装置1は、操作部91と、全体制御部90と、を備えている。
【0040】
操作部91は、包装装置1を操作する操作者によって操作される。操作者によって操作部91が操作されることで、包装装置1の包装動作に必要な情報が、全体制御部90に入力される。包装装置1の包装動作に必要な情報としては、処方箋に基づく処方データおよび種々の設定情報が挙げられる。設定情報としては、包材31の幅Wの寸法、および包装袋19に付される表示の内容などが挙げられる。包装装置1の包装動作に必要な情報は、外部のコンピュータから全体制御部90に入力されてもよい。
【0041】
操作部91は、入力された処方データに基づいて、印刷部4において包材31に印刷される印刷データを生成する。操作部91は、生成した印刷データを、全体制御部90に入力する。全体制御部90が印刷データを生成してもよく、または外部で生成された印刷データが全体制御部90に入力されてもよい。
【0042】
全体制御部90は、包装装置1の包装動作に必要な情報に基づいて、包装装置1全体の動作を制御する。包材搬送部9(図1)は、包材搬送モータ92を有している。包材搬送モータ92が一対の搬送ローラを回転駆動することで、包材21,31が搬送される。全体制御部90は、包材搬送モータ92、包装部5、および印刷部4を制御する。
【0043】
全体制御部90は、包装部5に制御信号を送信し、薬剤供給部6が供給すべき薬剤の種類および数量を指令する。収容部形成部7(図1)は、ヒータ75および加圧モータ72を有している。ヒータ75は、加熱部材に内蔵されている。加圧モータ72は、加熱部材を駆動する。ヒータ75が加熱部材を加熱した状態で、加熱部材が包材21,31を加圧することにより、包材21,31が熱融着して、薬剤を内部に収容した包装袋19が形成される。
【0044】
包装部5は、包装制御部95を有している。包装制御部95は、全体制御部90からの制御信号に基づいて、薬剤供給部6、ヒータ75および加圧モータ72を制御する。薬剤供給部6、ヒータ75、および加圧モータ72が、適宜駆動および停止することにより、包装袋19の包装が行なわれる。
【0045】
全体制御部90は、印刷データに基づいて包材31への印刷が実行されるように、印刷部4に制御信号を送信する。印刷部4は、印刷制御部94を有している。印刷制御部94は、全体制御部90からの制御信号に基づいて、サーマルヘッド41、ヘッド接離モータ42、ヘッド移動モータ43およびリボン搬送モータ47aを制御する。サーマルヘッド41が有する発熱素子、ヘッド接離モータ42、ヘッド移動モータ43、およびリボン搬送モータ47aが適宜駆動および停止することにより、包材31に薬剤に関連する表示が付される。
【0046】
[包装袋19]
図5は、包装袋19の外観を示す図である。包装袋19の周縁部には、包材21と包材31とが熱融着した融着部23が形成されている。融着部23によって区切られた包装袋19の内部に、収容部22(図7)が形成されている。薬剤100は収容部22内に収容されている。包材31を透かして、包装袋19内の薬剤100が、包装袋19の外から見えている。
【0047】
包装袋19を構成する包材31の表面の一部に、第2の表示130が付されている。第2の表示130は、包装袋19の中央付近に付されている。第2の表示130は、図3を参照して説明したように、インクリボン45のインクを包材31に転写させることにより、包材31の表面の一部に付された表示である。第2の表示130は、包材31の地色とは異なる色を有している。包材31の表面に転写されたインク色の反射光を視認することにより、第2の表示130を、目で見ることができる。第2の表示130は、目に見える可視表示である。
【0048】
第2の表示130は、包装袋19に収容されている薬剤100の服用に必要な情報を表している。一例として、第2の表示130は、用法を表している。用法はたとえば、薬剤100を服用するタイミング、たとえば食後など、を表している。薬剤100を服用する服用者は、第2の表示130を目で見て、薬剤100をどのタイミングで服用するのかを確認した上で、適切なタイミングで薬剤100を服用することができる。
【0049】
図6は、包装袋19に付された表示110を示す模式図である。包装袋19を構成する包材31の表面の一部には、第2の表示130に加えて、表示110が付されている。表示110は、第2の表示130よりも融着部23に近い位置において、包材31に付されている。表示110は、図3を参照して説明したように、包材31の表面の一部を融解させて光拡散率または屈折率を変化させた表示である。図6には、理解のため表示110を点線で図示しているが、実際には表示110は、可視化する処理を行なわなければ目で見ることができない。表示110は、目には見えない不可視表示である。
【0050】
表示110は、包装袋19に収容されている薬剤100に関連する情報を表している。表示110は、情報を文字で表した文字表示111を含んでいる。文字表示111は、薬剤100を服用する服用者の氏名112ならびに年齢113、包装袋19に収容されている薬剤名114、および包装袋19に収容されている薬剤100の数量115を含んでいる。文字表示111は、薬剤100を服用する服用者のプライバシーに関する情報を表している。
【0051】
表示110は、情報を二次元コードで表したコード化表示120を含んでいる。図6に示されるコード化表示120は、情報を白色および黒色のセルで縦横モザイク状に表示したマトリクス型二次元コードであるが、この例に限られるものではない。コード化表示120は、一次元コードを縦に積み重ねた構造を持つスタック型二次元コードであってもよい。コード化表示120は、二次元コードに限られず、バーコードなどの一次元コードであってもよい。
【0052】
文字表示111は、服用者が薬剤100を服用する前の、たとえば薬局または施設の職員などが服用者に包装袋19を手渡すときに、必要である情報を表している。コード化表示120は、服用者が薬剤100を服用する前の、薬剤100の監査のときに必要である情報を表している。一方、表示110に含まれる文字表示111およびコード化表示120は、服用者が薬剤100を服用した後は不要である情報を表している。
【0053】
図7は、包装袋19の部分断面図である。包材21と包材31との間に、中空の収容部22が形成されている。収容部22に、薬剤100が収容されている。包材31は、表面31Sを有している。
【0054】
表示110(文字表示111およびコード化表示120)は、包材31の表面31Sを加工処理することにより、包材31の表面31Sの一部に付されている。包材31の表面31Sを熱処理することで包材31を融解させ、包材31の表面31Sの一部を変性させる、具体的には光拡散率または屈折率を変化させることにより、包材31の一部に、文字表示111およびコード化表示120が付されている。
【0055】
第2の表示130は、包材31の表面31Sにインクを転写することにより、包材31の表面31Sの一部に付されている。包材31の地色とは異なる色のインクを包材31の表面31Sに塗布することにより、包材31の表面31S上に、第2の表示130が付されている。
【0056】
包材31に表示110を付すための表面31Sの加工処理は、熱処理に限られない。加工処理は、包材31の表面31Sの一部の光拡散率または屈折率を変えられればよい。たとえば加工処理は、擦過、溶解、打痕などの、他の種類の表面31Sを荒らす処理であってもよい。または、包材31の表面31S上に、包材31および空気とは光拡散率または屈折率が異なる層を設けてもよい。この層は、透明なインク、樹脂、蒸着層などで形成されてもよい。
【0057】
包材31を加熱して表面31Sの一部を融解させる場合には、包材31として樹脂フィルムを選定する必要がある。樹脂フィルムとしては、PETフィルムよりもOPPフィルムの方が、可視化したときの表示110の視認性が高いので好ましい。熱処理以外で表示110を形成する場合には、包材31は樹脂製に限られず、他の素材製であってもよい。たとえば包材31は、セロポリ製であってもよく、グラシン紙であってもよい。
【0058】
[表示110の可視化]
図8は、可視化装置200の概略構成を示す模式図である。可視化装置200は、包装袋19に付されている不可視表示である表示110を可視化して目で見えるようにするための装置である。
【0059】
可視化装置200は、光源201と、第1偏光フィルタ202と、第2偏光フィルタ203とを備えている。光源201は、全方向に振動する光を出射する。第1偏光フィルタ202と第2偏光フィルタ203とは、光の振動方向を一定方向に揃える。光源201から視点204に至る光路において、包装袋19は、第1偏光フィルタ202と第2偏光フィルタ203との間に配置される。光源201と第1偏光フィルタ202とは、包装袋19に偏光を照射する照射部210を構成している。第2偏光フィルタ203は、包装袋19と視点204との間に配置されている。
【0060】
光源201が出射する光L1は、様々な振動方向成分を有する自然光である。第1偏光フィルタ202を通過した後の光L2は、振動方向が規則的な偏光である。光L3は、包装袋19のうち、包材31の表面31Sに付された表示110を透過した光を表す。偏光が表示110を透過するときに光が拡散、屈折するので、光L3は非偏光である。第2偏光フィルタ203を通過した後の光L4は、偏光である。
【0061】
表示110は、包材31の一部の光拡散率または屈折率を変化させて、包材31に付されている。包装袋19を透過した光は、基本的に偏光のままであり、その光が第2偏光フィルタ203を通っても、視点204に届く光の強度は下がらない。しかし、表示110を透過するときに、偏光である光L2が拡散される。その拡散光が第2偏光フィルタ203で偏光され、拡散光の大部分は第2偏光フィルタ203を透過しなくなる。一部の光だけが第2偏光フィルタ203を通ることになるので、視点204に届く光の強度が下がる。光の強度が下がった部分が暗くなり、黒く見えるようになる。表示110の形に光の強度が下がっていることによって、目で見て、文字表示111およびコード化表示120であるように見える。
【0062】
なお、明暗を反転させてもよい。すなわち、包装袋19を透過した光は基本的に拡散され、表示110を透過した光は偏光のままとなるように構成することで、表示110の形に光の強度が上がるようにしてもよい。
【0063】
図9は、表示110を可視化した包装袋19の外観を示す図である。図9には、図8に示される可視化装置200に包装袋19を取り付けて、視点204から包装袋19を見たときの、包装袋19が図示されている。可視化装置200を用いて偏光を照射することにより表示110を可視化する処理を行なうことで、表示110と第2の表示130との両方を目で見ることが可能になっている。
【0064】
可視化装置200の視点204は、たとえば人の目である。包装袋19を服用者に手渡すときに、文字表示111を可視化して文字表示111で表された情報を見ることにより、薬剤の取り違えを防止できる。またたとえば、視点204はコードリーダーである。薬剤100の監査のときに、コード化表示120を可視化してコードリーダーでコード化表示120を読み取ることにより、薬剤100の監査を適切に行なうことができる。
【0065】
図8に示される可視化装置200では、包装袋19の厚み方向に光を透過させる構成であるが、この例に限られない。可視化装置200は、偏光である光L2を包材31の表面31Sに照射して光を反射させ、その反射光を第2偏光フィルタ203で偏光させる処理によって、表示110を可視化する装置であってもよい。
【0066】
[作用および効果]
上述した説明と一部重複する部分もあるが、本実施形態の特徴的な構成、ならびにその作用および効果を列挙すると、以下のようになる。
【0067】
図5,6に示されるように、包装袋19には、包材31の一部に、光拡散率または屈折率が包材31と異なる表示110が付されている。表示110を見たいときには偏光処理を通じて表示110を見ることができ、見る必要がないときには表示110を見えにくくすることができる。包装袋19を廃棄するときに表示110を消す手間が不要になるので、利便性を向上することができる。
【0068】
図2,3に示されるように、包材31の表面の一部を加工処理することにより、表示110が付されてもよい。擦過、溶解、融解、打痕などの包材31の表面を荒らす処理、または、包材31および空気とは光拡散率または屈折率が異なる層を包材31の表面に設ける処理によって、光拡散率または屈折率が異なる表示110を包材31に付すことができる。
【0069】
図2,3に示されるように、加工処理は熱処理であってもよい。包材31を加熱して表面の性状を変える処理によって、光拡散率または屈折率が異なる表示110を包材31に付すことができる。包材31が樹脂製であれば、包材31を加熱することで表面を融解させることができるので、確実に表示110を包材31に付すことができる。
【0070】
図6に示されるように、表示110は、包装袋19に収容される収容物に関連する情報を表してもよい。収容物に関する情報を、光拡散率または屈折率が包材31と異なる表示110として包装袋19に付すことで、偏光処理をしない通常の状態では見えにくくすることができる。収容物に関する情報が第三者の目に触れにくくなるので、情報を適切に保護することができる。
【0071】
図6に示されるように、包装袋19に薬剤100が収容され、表示110は、薬剤100を服用する服用者のプライバシーに関する情報を表してもよい。薬剤の名称および服用者名などの、薬剤100を服用する服用者のプライバシーに関する情報を、目に見える形式で包装袋19に付すのは、情報の取り扱い上好ましくない。服用者のプライバシーに関する情報を、光拡散率または屈折率が包材31と異なる表示110として包装袋19に付すことで、偏光処理をしない通常の状態では見えにくくすることができる。これにより、服用者のプライバシーに関する情報を適切に保護することができる。
【0072】
図6に示されるように、表示110は、薬局または施設での管理時など、服用者が薬剤100を服用するまでの所定機会に必要であり、かつ、服用した後は不要である情報を表してもよい。表示110を見る必要がある機会には、表示110を可視化することができる。薬剤100を服用した後には表示110が見えにくくされているので、表示110を消す手間を掛けずに包装袋19を廃棄することができる。
【0073】
図5,6に示されるように、包装袋19には、包材31の一部に、色が包材31と異なる第2の表示130が付されていてもよい。第三者の目に入っても問題ないので見えにくくしなくてもよい情報、または見やすい方が好ましい情報を、包材31と色を異ならせた第2の表示130として、包材31に付すことができる。包装袋19の取扱者は、第2の表示130を見て、第2の表示130で表された情報に従って、適切に包装袋19および収容物を取り扱うことができる。
【0074】
図5,6に示されるように、第2の表示130は、包装袋19に収容される薬剤100の服用に必要な情報を表してもよい。薬剤100を服用する服用者は、第2の表示130を見て、薬剤100の服用に必要な情報に従って、適切に薬剤100を服用することができる。服薬者の目に見えるのは第2の表示130のみで、表示110は目に見えない形式で包材31に付されているので、情報過多による服薬判断の誤認、包装袋19内の残薬見落としなどの発生を抑制することができる。
【0075】
図8に示されるように、包装袋19に付された、包装袋19に収容される収容物に関連する表示は、偏光を照射することにより可視化可能である。表示110を見たいときには偏光処理を通じて表示110を見ることができ、見る必要がないときには表示110を見えにくくすることができる。包装袋19を廃棄するときに表示110を消す手間が不要になるので、利便性を向上することができる。
【0076】
図8に示されるように、包装袋19に付された表示110を可視化する可視化装置200は、包装袋19に偏光を照射する照射部210と、包装袋19と視点204との間に配置される第2偏光フィルタ203とを備えている。表示110を見る必要がある機会に、可視化装置200を用いて包装袋19に偏光を照射することにより表示110を可視化して、表示110によって表される情報を視認することができる。
【0077】
図1~3に示されるように、包装装置1は、シート上の包材21,31から包装袋19を形成する包装部5と、包材31の一部に、光拡散率または屈折率が包材31と異なる表示110を付す表示付与部411とを備えている。この包装装置1を用いて、包材31の一部に光拡散率または屈折率が包材31と異なる表示110が付された包装袋19を取得することができる。表示110を見たいときには偏光処理を通じて表示110を見ることができ、見る必要がないときには表示110を見えにくくすることができる。
【0078】
図3に示されるように、包装装置1は、包材31の一部に、色が包材31と異なる第2の表示130を付す第2の表示付与部412をさらに備えてもよい。この包装装置1を用いて、見えにくくしなくてもよい情報、または見やすい方が好ましい情報を、包材31と色を異ならせた第2の表示130として、包材31に付すことができる。
【0079】
図3に示されるように、包装装置1はサーマルヘッド41を有し、表示付与部411はサーマルヘッド41を包材31に直接接触させ、第2の表示付与部412はサーマルヘッド41を包材31にインクリボン45を介して接触させてもよい。表示付与部411は、包材31の表面の一部を加工処理することにより、包材31に表示110を付すことができる。第2の表示付与部412は、インクリボン45のインクを包材31に転写させることにより、包材31に第2の表示130を付すことができる。
【0080】
図3に示されるように、サーマルヘッド41は熱を発生し、表示付与部411はサーマルヘッド41の熱を包材31に直接に伝達し、第2の表示付与部412はサーマルヘッド41の熱をインクリボン45に伝達してもよい。表示付与部411は、包材31の表面の一部を熱処理して、たとえば包材31の表面の一部を融解させることにより、包材31に表示110を付すことができる。第2の表示付与部412は、インクリボン45のインクを包材31に熱転写することにより、包材31に第2の表示130を印刷して付すことができる。
【0081】
図3に示されるように、表示付与部411と第2の表示付与部412とが共通のサーマルヘッド41を備えてもよい。サーマルヘッド41よりも幅の小さいインクリボン45を用いて第2の表示130を包材31に付すようにすれば、インクリボン45を介さずにサーマルヘッド41の一部分を包材31に直接に接触させて、表示110を包材31に付すことができる。サーマルヘッド41の一回の動作で表示110と第2の表示130との両方を一度に包材31に付すことができるので、短時間で表示を付すことができる。従来と同様の印刷部4を使用して、表示110と第2の表示130との両方を包材31に付すことができるので、包装装置1のコスト増大を回避することができる。
【0082】
以上のように本発明の実施形態について説明を行なったが、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0083】
1 包装装置、4 印刷部、5 包装部、9 包材搬送部、19 包装袋、21,31 包材、22 収容部、23 融着部、31S 表面、41 サーマルヘッド、44 プラテンローラ、45 インクリボン、100 薬剤、110 表示、111 文字表示、112 氏名、113 年齢、114 薬剤名、115 数量、120 コード化表示、130 第2の表示、200 可視化装置、201 光源、202 第1偏光フィルタ、203 第2偏光フィルタ、204 視点、210 照射部、411 表示付与部、412 第2の表示付与部、DR 搬送方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9