(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025574
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】コイル体、電機子及び回転電機
(51)【国際特許分類】
H02K 3/26 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
H02K3/26 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130444
(22)【出願日】2023-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 祐史
(72)【発明者】
【氏名】牧田 真治
(72)【発明者】
【氏名】小出 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】立石 祐介
【テーマコード(参考)】
5H603
【Fターム(参考)】
5H603CA01
5H603CB13
5H603CD25
(57)【要約】
【課題】ベース部材が軸方向に積層される構成において、高効率化及び高トルク化を図る。
【解決手段】コイル体32は、軸方向に積層された複数の基板34と、導電性の材料を用いて複数の基板34上にそれぞれ形成された複数の導体層33と、を備えている。また、コイル体32は、第1の基板34上に形成された第1の導体層33と第2の基板34上に形成された第1の導体層33とを直列で接続する第1の直列接続部50S1を備えている。また、コイル体32は、第1の基板34上に形成された第2の導体層33と第2の基板34上に形成された第2の導体層33とを直列で接続する第2の直列接続部50S2を備えている。また、コイル体32は、第1の直列接続部50S1で接続された各導体層33と第2の直列接続部50S2で接続された各導体層33とを並列で接続する並列接続部52を備えている。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性の材料を用いて径方向に延在する形状に形成され、軸方向に積層された複数のベース部材(34)と、
導電性の材料を用いて複数の前記ベース部材にそれぞれ形成された複数の導体層(33)と、
第1の前記ベース部材に形成された第1の前記導体層と第2の前記ベース部材に形成された第1の前記導体層とを直列で接続する第1の直列接続部(50)と、
第1の前記ベース部材に形成された第2の前記導体層と第2の前記ベース部材に形成された第2の前記導体層とを直列で接続する第2の直列接続部と、
第1の前記直列接続部で接続された各前記導体層と第2の前記直列接続部で接続された各前記導体層とを並列で接続する並列接続部(52)と、
を備えたコイル体(32)。
【請求項2】
絶縁性の材料を用いて径方向に延在する形状に形成され、軸方向に積層された複数のベース部材(34)と、
導電性の材料を用いて複数の前記ベース部材にそれぞれ形成された複数の導体層(33)と、
第1の前記ベース部材に形成されていると共に互いに並列で接続された複数の前記導体層と第2の前記ベース部材に形成されていると共に互いに並列で接続された複数の前記導体層とを直列で接続する第1の直列接続部(50)と、
第3の前記ベース部材に形成されていると共に互いに並列で接続された複数の前記導体層と第4の前記ベース部材に形成されていると共に互いに並列で接続された複数の前記導体層とを直列で接続する第2の直列接続部と、
第1の前記直列接続部で接続された各前記導体層と第2の前記直列接続部で接続された各前記導体層とを並列で接続する並列接続部(52)と、
を備えたコイル体(32)。
【請求項3】
第1の前記ベース部材と第2の前記ベース部材との間には、第3の前記ベース部材が設けられ、
第1の前記ベース部材に形成された第1の前記導体層と第2の前記ベース部材に形成された第1の前記導体層とが、第1の前記直列接続部及び第3の前記ベース部材に形成された第1の前記導体層を介して接続されており、
第1の前記ベース部材に形成された第2の前記導体層と第2の前記ベース部材に形成された第2の前記導体層とが、第2の前記直列接続部及び第3の前記ベース部材に形成された第2の前記導体層を介して接続されている請求項1に記載のコイル体。
【請求項4】
複数の前記ベース部材の軸方向の中心位置(70)に対して軸方向一方側に配置された第1の前記ベース部材に形成された複数の前記導体層と、前記中心位置に対して軸方向他方側に配置された第3の前記ベース部材に形成された複数の前記導体層とが、第1の前記直列接続部を介して接続され、
前記中心位置に対して軸方向一方側に配置された第2の前記ベース部材に形成された複数の前記導体層と、前記中心位置に対して軸方向他方側に配置された第4の前記ベース部材に形成された複数の前記導体層とが、第2の前記直列接続部を介して接続され、
第1の前記直列接続部で接続された各前記導体層と第2の前記直列接続部で接続された各前記導体層とが、前記並列接続部を介して接続されている請求項2に記載のコイル体。
【請求項5】
複数の前記ベース部材の軸方向の中心位置(70)に対して軸方向一方側に配置された第1の前記ベース部材に形成された複数の前記導体層と、前記中心位置に対して軸方向一方側に配置された第2の前記ベース部材に形成された複数の前記導体層とが、第1の前記直列接続部を介して接続され、
前記中心位置に対して軸方向他方側に配置された第3の前記ベース部材に形成された複数の前記導体層と、前記中心位置に対して軸方向他方側に配置された第4の前記ベース部材に形成された複数の前記導体層とが、第2の前記直列接続部を介して接続され、
第1の前記直列接続部で接続された各前記導体層と第2の前記直列接続部で接続された各前記導体層とが、前記並列接続部を介して接続されている請求項2に記載のコイル体。
【請求項6】
一の前記ベース部材と他の前記ベース部材とを接続する層間接続部(64)を備え、
一の前記ベース部材に形成された前記導体層と他の前記ベース部材に形成された前記導体層とを接続する前記直列接続部、一の前記ベース部材に形成された前記導体層と他の前記ベース部材に形成された前記導体層とを接続する前記並列接続部、前記導体層への電流の入力経路又は前記導体層からの電流の出力経路となっている入出力部(43)の少なくとも1つが前記層間接続部上に形成されている請求項1に記載のコイル体。
【請求項7】
前記層間接続部の一部が折り曲げられた状態で、前記層間接続部を介して接続された一の前記ベース部材と他の前記ベース部材とが軸方向に積層されている請求項6に記載のコイル体。
【請求項8】
一の前記ベース部材に形成された前記導体層への電流の入力経路又は前記導体層からの電流の出力経路となっている入出力部と他の前記ベース部材に形成された前記導体層への電流の入力経路又は前記導体層からの電流の出力経路となっている入出力部(43)とが、それぞれ周方向の同じ位置に配置されている請求項1に記載のコイル体。
【請求項9】
前記入出力部が径方向外側に向けて延出している前記ベース部材と、前記入出力部が径方向内側に向けて延出している前記ベース部材とが、軸方向に積層されている請求項8に記載のコイル体。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれか1項に記載のコイル体を備えた電機子(14)。
【請求項11】
軟磁性材料を用いて形成された電機子コア(26)をさらに備え、
各前記ベース部材にそれぞれ形成された前記導体層の間に前記電機子コアの一部が配置されない状態で、前記電機子コアと前記コイル体とが軸方向対向して配置されている請求項10に記載の電機子。
【請求項12】
請求項10に記載の電機子を含んで構成された固定子(14)及び回転子(12)の一方と、
前記コイル体と軸方向に対向して配置されたマグネット(18)を有する固定子及び回転子の他方と、
を備えた回転電機(10、54、56、58、60)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コイル体、電機子及び回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、モータ等の回転電機に用いられる回転電機用コイルが開示されている。この文献に記載された回転電機用コイルは、円板状に形成された複数コイルプレート要素を備えており、これらのコイルプレート要素には、所定の配線パターンが形成されている。また、これらのコイルプレート要素同士は、中間部において離間しつつ内周部および外周部において接合されることで、所定のコイル巻線パターンを有するコイルプレートを構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年においては回転電機の高効率化及び高トルク化を図ることが望まれているが、上記特許文献1に記載された構成にはこの点で改善の余地がある。
【0005】
上記事実を考慮し、ベース部材が軸方向に積層される構成において、高効率化及び高トルク化を図ることができるコイル体、電機子及び回転電機を得ることを本開示が解決しようとする課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するコイル体(32)は、絶縁性の材料を用いて径方向に延在する形状に形成され、軸方向に積層された複数のベース部材(34)と、導電性の材料を用いて複数の前記ベース部材にそれぞれ形成された複数の導体層(33)と、第1の前記ベース部材に形成された第1の前記導体層と第2の前記ベース部材に形成された第1の前記導体層とを直列で接続する第1の直列接続部(50)と、第1の前記ベース部材に形成された第2の前記導体層と第2の前記ベース部材に形成された第2の前記導体層とを直列で接続する第2の直列接続部と、第1の前記直列接続部で接続された各前記導体層と第2の前記直列接続部で接続された各前記導体層とを並列で接続する並列接続部(52)と、を備えている。
また、コイル体(32)は、絶縁性の材料を用いて径方向に延在する形状に形成され、軸方向に積層された複数のベース部材(34)と、導電性の材料を用いて複数の前記ベース部材にそれぞれ形成された複数の導体層(33)と、第1の前記ベース部材に形成されていると共に互いに並列で接続された複数の前記導体層と第2の前記ベース部材に形成されていると共に互いに並列で接続された複数の前記導体層とを直列で接続する第1の直列接続部(50)と、第3の前記ベース部材に形成されていると共に互いに並列で接続された複数の前記導体層と第4の前記ベース部材に形成されていると共に互いに並列で接続された複数の前記導体層とを直列で接続する第2の直列接続部と、第1の前記直列接続部で接続された各前記導体層と第2の前記直列接続部で接続された各前記導体層とを並列で接続する並列接続部(52)と、を備えている。
また、電機子(14)は、上記コイル体を備えている。
また、回転電機(10、54、56、58、60)は、上記電機子を含んで構成された固定子(14)及び回転子(12)の一方と、前記コイル体と軸方向に対向して配置されたマグネット(18)を有する固定子及び回転子の他方と、を備えている。
【0007】
この様に構成することで、ベース部材が軸方向に積層される構成において、高効率化及び高トルク化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】モータを示す斜視図であり、モータの一部を切断して示している。
【
図2】モータを分解して示す分解斜視図であり、一部の部品を切断して示している。
【
図3】コイル体を分解して示す分解斜視図であり、コイル体の一部を切断して示している。
【
図6】一の基板及び一の基板上に形成されたコイル部等を模式的に示す平面図である。
【
図7】モータのコイル部において、特定の層の基板の一部及び当該基板上に形成されたコイル部の断面を示す断面図である。
【
図8】モータのコイル部において、複数の層の基板の一部及び複数の層の基板上にそれぞれ形成されたコイル部の断面を示す断面図である。
【
図9】第1実施形態のモータを模式的に示す断面図である。
【
図10】第1実施形態のモータのコイル体を模式的に示す断面図である。
【
図11】各導体層の結線の状態を示すブロック図である。
【
図12】各導体層の結線の状態を示すブロック図である。
【
図13】第2実施形態のモータを模式的に示す断面図である。
【
図14】第2実施形態のモータのコイル体を模式的に示す断面図である。
【
図15】各導体層の結線の状態を示すブロック図である。
【
図16A】各導体層の結線の状態を示すブロック図である。
【
図16B】モータのコイル体を模式的に示す断面図である。
【
図17】第3実施形態のモータを模式的に示す断面図である。
【
図18】各導体層の結線の状態を示すブロック図である。
【
図19】各導体層の結線の状態を示すブロック図である。
【
図20】基板の積層数が6層となっているモータを模式的に示す断面図である。
【
図21】各導体層の結線の状態を示すブロック図である。
【
図22】各導体層の結線の状態を示すブロック図である。
【
図23】第4実施形態のモータを模式的に示す断面図である。
【
図24】第4実施形態のモータに対して各導体層の結線の状態を変更したモータを模式的に示す断面図である。
【
図25】第5実施形態のモータのコイル体を模式的に示す斜視図であり、第1の基板と第2の基板とが積層される前の状態を示している。
【
図26】第5実施形態のモータのコイル体を模式的に示す平面図であり、第1の基板と第2の基板とが積層される前の状態を示している。
【
図27】第5実施形態のモータのコイル体を模式的に示す平面図であり、第1の基板と第2の基板とが積層された状態を示している。
【
図28】第6実施形態のモータのコイル体を模式的に示す斜視図であり、第1の基板と第2の基板とが積層される前の状態を示している。
【
図29】第6実施形態のモータのコイル体を模式的に示す斜視図であり、第1の基板と第2の基板とが積層された状態を示している。
【
図30】第7実施形態のモータのコイル体を模式的に示す平面図であり、第1の基板と第2の基板と第3の基板とが積層される前の状態を示している。
【
図31】第7実施形態のモータのコイル体を模式的に示す平面図であり、第1の基板と第2の基板とが積層された状態を示している。
【
図32】第7実施形態のモータのコイル体を模式的に示す平面図であり、第1の基板と第2の基板と第3の基板とが積層された状態を示している。
【
図33】第8実施形態のモータのコイル体を模式的に示す斜視図であり、第1の基板と第2の基板と第3の基板とが積層される前の状態を示している。
【
図34】第8実施形態のモータのコイル体を模式的に示す斜視図であり、第1の基板と第2の基板と第3の基板とが積層された状態を示している。
【
図35】第8実施形態のモータのコイル体を模式的に示す平面図であり、第1の基板と第2の基板と第3の基板とが積層される前の状態を示している。
【
図36】第8実施形態のモータのコイル体を模式的に示す平面図であり、第1の基板と第2の基板と第3の基板とが積層される工程の途中の状態を示している。
【
図37】第8実施形態のモータのコイル体を模式的に示す平面図であり、第1の基板と第2の基板と第3の基板とが積層された状態を示している。
【
図38】第9実施形態のモータのコイル体を示す平面図であり、第1の基板と第2の基板とが積層される前の状態を示している。
【
図39】第10実施形態のモータのコイル体を示す平面図であり、第1の基板と第2の基板とが積層される前の状態を示している。
【
図40】第11実施形態のモータのコイル体を示す平面図であり、第1の基板と第2の基板とが積層される前の状態を示している。
【
図41】第11実施形態のモータのコイル部において、複数の層の基板の一部及び複数の層の基板上にそれぞれ形成されたコイル部の断面を示す断面図である。
【
図42】第12実施形態のモータのコイル体を模式的に示す斜視図であり、第1の基板と第2の基板とが積層される前の状態を示している。
【
図43】第12実施形態のモータのコイル体を模式的に示す平面図であり、第1の基板と第2の基板とが積層された状態を示している。
【
図44】第13実施形態のモータのコイル体を模式的に示す斜視図であり、第1の基板と第2の基板とが積層される前の状態を示している。
【
図45】第13実施形態のモータのコイル体を模式的に示す平面図であり、第1の基板と第2の基板とが積層された状態を示している。
【
図46】第14実施形態のモータのコイル体の一部を構成する第1の基板等を模式的に示す平面図である。
【
図47】第14実施形態のモータのコイル体を模式的に示す斜視図であり、第1の基板と第2の基板とが積層された状態を示している。
【
図48】第15実施形態のモータのコイル体の一部を構成する第1の基板等を模式的に示す平面図である。
【
図49】第15実施形態のモータのコイル体を模式的に示す斜視図であり、第1の基板と第2の基板とが積層された状態を示している。
【
図50】第16実施形態のモータのコイル体を模式的に示す斜視図であり、複数の基板が積層された状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(モータの基本構成)
図1~
図8を用いて本開示の実施形態に係るモータ10の基本構成について説明する。なお、図中に適宜示す矢印Z方向、矢印R方向及び矢印C方向は、後述するロータ12の回転軸方向一方側、回転径方向外側及び回転周方向一方側をそれぞれ示すものとする。また、以下、単に軸方向、径方向、周方向を示す場合は、特に断りのない限り、ロータ12の回転軸方向、回転径方向、回転周方向を示すものとする。また、モータ10及び後述する各実施形態のモータは、回転電機の一例である。
【0010】
図1及び
図2に示されるように、モータ10は、回転子としてのロータ12と電機子及び固定子としてのステータ14とが軸方向に対向して配置されたアキシャルギャップ型のブラシレスモータである。なお、
図1及び
図2に示された図は、一例として示したモータ10等の図であり、後の説明とコイル部16の数やマグネット18の数、細部の形状が互いに一致していない箇所がある。
【0011】
ロータ12は、図示しない一対のベアリングを介して回転可能に支持された回転軸22と、回転軸22に固定されたロータコア24と、ロータコア24の軸方向他方側の面に固定された複数のマグネット18と、を含んで構成されている。なお、一対のベアリングは、フレーム21及びフレームエンド23にそれぞれ支持されている。フレーム21とフレームエンド23との間には、ステータ14等が収容される。
【0012】
ロータコア24は、円筒状に形成されていると共に回転軸22が圧入等により固定される第1円筒部24Aと、第1円筒部24Aの軸方向一方側の端部から径方向外側に向けて延在する円板部24Bと、を備えている。円板部24Bは、軸方向を厚み方向とする円板状に形成されている。この円板部24Bの軸方向他方側の面には、後述するマグネット18が固定されている。
【0013】
複数のマグネット18は、固有保磁力Hcが400[kA/m]以上かつ残留磁束密度Brが1.0[T]以上の磁性化合物を用いて形成されている。一例として、マグネット18は、NdFe11TiN、Nd2Fe14B、Sm2Fe17N3、FeNi等の磁性化合物を用いて形成されている。また、複数のマグネット18が、ロータコア24の円板部24Bの軸方向他方側の面に固定されている。また、軸方向他方側の面がN極とされたマグネット18と軸方向他方側の面がS極とされたマグネット18とは、周方向に交互に配列されている。なお、マグネット18の数は、モータ10に要求される出力等を考慮して適宜設定すればよい。
【0014】
ステータ14は、環状に形成された電機子コアとしてのステータコア26と、ステータコア26の軸方向一方側の面に沿って配置されたコイル体32と、を備えている。本実施形態のステータ14は、コイル体32の一部を構成するコイル部16の間にステータコア26の一部が配置されないティースレス構造となっている。
【0015】
ステータコア26は、鋼材等の軟磁性材料を用いて形成されている。このステータコア26は、軸方向を厚み方向とする板状に形成されていると共に軸方向から見て環状に形成されている。このステータコア26は、ロータ12と同軸上に配置されており、ステータコア26の径方向の中心位置とロータコア24に固定された複数のマグネット18の径方向の中心位置とは径方向に一致している。
【0016】
図3に示されるように、コイル体32は、絶縁性の材料を用いてシート状に形成されたベース部材としての複数の基板34と、複数の基板34上にそれぞれ形成された複数のコイル部16と、を含んで構成されている。
【0017】
基板34は、軸方向を厚み方向とする板状に形成されていると共に軸方向から見て環状に形成されている。なお、基板34は、その厚み方向に湾曲させることが可能なフレキシブル基板であってもよいし、その厚み方向に湾曲させることが不能な基板であってもよい。そして、本実施形態のコイル体32では、複数の基板34が軸方向に積層された構成となっている。
【0018】
図3及び
図4に示されるように、複数のコイル部16は複数の基板34上にそれぞれ形成されている。そして、複数の基板34が軸方向に積層されることで、複数のコイル部16が周方向及び軸方向の所定の位置に配置されるようになっている。
【0019】
ここで、
図5に示されるように、U相を構成する複数のコイル部16(U相のコイル群42U)と、V相を構成する複数のコイル部16(V相のコイル群42V)と、W相を構成する複数のコイル部16(W相のコイル群42W)と、がスター結線で結線されている。すなわち、U相のコイル群42Uにおいて電流の入出力経路となる入出力部43とは反対側の端部と、V相のコイル群42Vにおいて電流の入出力経路となる入出力部43とは反対側の端部と、W相のコイル群42Wにおいて電流の入出力経路となる入出力部43とは反対側の端部と、が中性点44において接続されている。
【0020】
図6には、1層目の基板34及び当該基板34上に形成された複数のコイル部16が示されている。ここで、1層目の基板34上には、U相を構成する20個のコイル部16、V相を構成する20個のコイル部16及びW相を構成する20個のコイル部16が形成されている。なお、以下の説明において、U相を構成するコイル部16をコイル部16Uと呼ぶ場合がある。また、V相を構成するコイル部16をコイル部16Vと呼ぶ場合がある。また、W相を構成するコイル部16をコイル部16Wと呼ぶ場合がある。また、以下の説明において、U相を構成する20個のコイル部16をそれぞれコイル部16U1~コイル部16U20と呼ぶ場合がある。また、V相を構成する20個のコイル部16をそれぞれコイル部16V1~コイル部16V20と呼ぶ場合がある。また、W相を構成する20個のコイル部16をそれぞれコイル部16W1~コイル部16W20と呼ぶ場合がある。
【0021】
詳述すると、コイル部16U1は、周方向一方側へ向かうにつれて径方向内側へ傾斜している第1延在部A1と、第1延在部A1における周方向一方側の端から径方向内側に向けて伸びる第2延在部A2と、を備えている。また、コイル部16U1は、第2延在部A2における第1延在部A1とは反対側の端から周方向一方側へ向かうにつれて径方向内側へ傾斜している第3延在部A3と、第3延在部A3における第2延在部A2とは反対側の端から周方向一方側へ向かうにつれて径方向外側へ傾斜している第4延在部A4と、を備えている。さらに、コイル部16U1は、第4延在部A4における第3延在部A3とは反対側の端から径方向外側へ向けて伸びる第5延在部A5と、第5延在部A5における第4延在部A4とは反対側の端から周方向一方側へ向かうにつれて径方向外側へ傾斜している第6延在部A6と、を備えている。なお、以下の説明においては、第1延在部A1~第6延在部A6を導体部16Bと呼ぶ場合がある。本構成のコイル体32では、導体部16Bが周方向に規則的に並んで配置された構成となっている。
【0022】
ここで、第1延在部A1、第2延在部A2及び第3延在部A3は、基板34の一方側の面34A(ステータコア26側の面)側に形成されている。また、第4延在部A4、第5延在部A5及び第6延在部A6は、基板34の他方側の面34B(ステータコア26とは反対側の面)側に形成されている。第3延在部A3と第4延在部A4とは、一例として図示しないビアやスルーホール等を介して電気的に接続されている。なお、
図6では、コイル部16U1において基板34の一方側の面34Aに形成されている部分を実線で示している。また、コイル部16U1において基板34の他方側の面34Bに形成されている部分を破線で示している。
【0023】
また、以上説明した第2延在部A2及び第5延在部A5を鉛直部36と呼ぶ場合がある。また、第1延在部A1及び第6延在部A6を一方のコイルエンド部である外側コイルエンド部38Aと呼び、第3延在部A3及び第4延在部A4を他方のコイルエンド部である内側コイルエンド部38Bと呼ぶ場合がある。そして、1つのコイル部16が第1延在部A1~第6延在部A6を有することにより、1つのコイル部16U1を基板34の厚み方向から見た形状が基板34の径方向外側が開放されかつ径方向内側が閉止された略V字(U字)形状になっている。
【0024】
U相を構成する他のコイル部16U2~コイル部16U20もコイル部16U1と同様に構成されている。すなわち、U相を構成する全てのコイル部16がほぼ同一の構成となっている。
【0025】
コイル部16U1と接続されたコイル部16U2は、コイル部16U1に対して周方向一方側に配置されている。また、コイル部16U2と接続されたコイル部16U3は、コイル部16U2に対して周方向一方側に配置されている。また、コイル部16U3と接続されたコイル部16U4は、コイル部16U3に対して周方向一方側に配置されている。また、コイル部16U4と接続されたコイル部16U5は、コイル部16U4に対して周方向一方側に配置されている。ここで、コイル部16U5の第6延在部A6とコイル部16U1の第1延在部U1とは、軸方向から見て交差している。これにより、コイル部16U5においてコイル部16U6に接続される側の端部が、コイル部16U1における入出力部43側の端部に対して周方向一方側に位置している。
【0026】
また、コイル部16U5と接続されたコイル部16U6は、コイル部16U5に対して周方向一方側に配置されていると共にコイル部16U1と周方向に隣り合って配置されている。また、コイル部16U6と接続されたコイル部16U7は、コイル部16U6に対して周方向一方側に配置されていると共にコイル部16U2と周方向に隣り合って配置されている。また、コイル部16U7と接続されたコイル部16U8は、コイル部16U7に対して周方向一方側に配置されていると共にコイル部16U3と周方向に隣り合って配置されている。また、コイル部16U8と接続されたコイル部16U9は、コイル部16U8に対して周方向一方側に配置されていると共にコイル部16U4と周方向に隣り合って配置されている。また、コイル部16U9と接続されたコイル部16U10は、コイル部16U9に対して周方向一方側に配置されていると共にコイル部16U5と周方向に隣り合って配置されている。コイル部16U10におけるコイル部16U9とは反対側の端部は中性点44となっている。
【0027】
コイル部16U1~コイル部16U10と並列で接続されるコイル部16U11~コイル部16U20は、コイル部16U1~コイル部16U10と同様に構成されている。コイル部16U11~コイル部16U20は、コイル部16U1~コイル部16U10に対してそれぞれ周方向他方側に36°オフセットして配置されている。これにより、コイル部16U11~コイル部16U20の鉛直部36とコイル部16U1~コイル部16U10の鉛直部36とが、周方向の同じ位置に配置されている。ここで、直列で接続されたコイル部16U1~コイル部16U10を導体層33と呼び、直列で接続されたコイル部16U1~コイル部16U10を導体層33と呼ぶことにする。本実施形態では、1つの基板34上にU相の2つの導体層33Uが設けられている。
【0028】
なお、図面に符号を付した詳細な説明は省略するが、V相を構成するコイル部16V1~コイル部16V20は、U相を構成するコイル部16U1~コイル部16U20と同様の構成となっている。V相を構成するコイル部16V1~コイル部16V20は、U相を構成するコイル部16U1~コイル部16U20に対して周方向他方側に12°オフセットして配置されている。ここで、直列で接続されたコイル部16V1~コイル部16V10を導体層33と呼び、直列で接続されたコイル部16V1~コイル部16V10を導体層33と呼ぶことにする。本実施形態では、1つの基板34上にV相の2つの導体層33Vが設けられている。また、W相を構成するコイル部16W1~コイル部16W20は、U相を構成するコイル部16U1~コイル部16U20と同様の構成となっている。W相を構成するコイル部16W1~コイル部16W20は、V相を構成するコイル部16V1~コイル部16V20に対して周方向他方側に12°オフセットして配置されている。ここで、直列で接続されたコイル部16W1~コイル部16W10を導体層33と呼び、直列で接続されたコイル部16W1~コイル部16W10を導体層33と呼ぶことにする。本実施形態では、1つの基板34上にW相の2つの導体層33Wが設けられている。
【0029】
1層目の基板34と重ねられる2層目の基板34及び2層目の基板34上に形成された複数のコイル部16も1層目の基板34及び1層目の基板34上に形成された複数のコイル部16と同様の構成となっている。本実施形態では、1層目の基板34上に形成された複数のコイル部16のパターンと2層目の基板34上に形成された複数のコイル部16のパターンとが一致している。2層目の基板34上に形成された複数のコイル部16は、1層目の基板34上に形成された複数のコイル部16に対して周方向他方側に6°オフセットして配置されている。そして、1層目の基板34と2層目の基板34とが軸方向に重ねられることで、1層目の基板34上に形成された複数のコイル部16及び2層目の基板34上に形成された複数のコイル部16が、周方向及び軸方向の所定の位置に配置される。
【0030】
ここで、
図4には、1層目の基板34と2層目の基板34とが重ねられた状態を模式的に示す図が示されている。この図においては、1層目の基板34と2層目の基板34との間に配置されるコイル部16の各部を実線で示しており、それ以外のコイル部16の各部を破線で示している。この図に示されるように、1層目の基板34上に形成されたコイル部16の各部と2層目の基板34上に形成されたコイル部16の各部とは、周方向に沿って交互に配置されると共に周方向重なっている。なお、この点については、より簡略された
図7及び
図8を用いて後に詳述する。
【0031】
なお、3層目の基板34及び4層目の基板34も、1層目の基板34と2層目の基板34との関係と同様の関係で積層される。また、5つ(3層)以上の基板34を有する構成においても、1層目の基板34と2層目の基板34との関係と同様の関係で積層される。コイル体32の積層数(基板34の積層数)は、モータ10に要求される出力等を考慮して適宜設定すればよい。
【0032】
図7及び
図8には、コイル体32の一部を軸方向及び周方向に沿って切断した断面が示されている。詳述すると、
図7には、特定の層の基板34の一部及び当該基板34上に形成されたコイル部16(導体部16B)の断面が示されている。また、
図8には、複数の層の基板34の一部及び複数の層の基板34上にそれぞれ形成されたコイル部16(導体部16B)の断面が示されている。なお、
図7及び
図8においては断面のハッチングを省略している。
図7及び
図8に示されるように、本実施形態では、一の層の基板34と他の層の基板34とが軸方向に積層された状態では、一の層の基板34上に形成された導体部16Bと他の層の基板34上に形成された導体部16Bとが周方向に沿って交互に配置される。また、一の層の基板34と他の層の基板34とが軸方向に積層された状態では、一の層の基板34上に形成された複数の導体部16Bと他の層の基板34上に形成された複数の導体部16Bとが周方向に重なっている。また、
図4、
図6、
図7及び
図8に示されるように、一の層の基板34と他の層の基板34とが軸方向に積層された状態では、同じ相のコイル部16の導体部16B(鉛直部36)が、軸方向に並んで配置されている。
【0033】
また、本実施形態では、一の層の基板34上に形成された導体部16Bの周方向への幅寸法W1が、他の層の基板34側へ向かうにつれて次第に小さくなっている。また、他の層の基板34上に形成された導体部16Bの周方向への幅寸法W1が、一の層の基板34側へ向かうにつれて次第に小さくなっている。
【0034】
(作用並びに効果)
次に、本実施形態のモータ10の作用並びに効果について説明する。
【0035】
図1、
図2、
図4、
図5に示されるように、本実施形態のモータ10では、ステータ14の一部を構成するU相のコイル群42U、V相のコイル群42V、W相のコイル群42Wへの通電が切り替えられることで、ステータ14に回転磁界が生じる。これにより、ロータ12が回転する。
【0036】
ここで、コイル体32は、複数の基板34と、複数の基板34上にそれぞれ形成された複数のコイル部16と、を含んで構成されている。そして、複数の基板34が軸方向に積層されることで、複数のコイル部16が周方向及び軸方向の所定の位置に配置される。この構成では、ティースのまわりに巻線が巻かれる構成のコイルを有する構成と比べて、コイル体32の軸方向への体格の大型化を抑制することができる。その結果、モータ10の体格の大型化を抑制することができる。
【0037】
(循環電流による損失を抑制するための構成)
ところで、前述のモータ10の一部を構成するコイル体32は、上述した構成の基板34が軸方向に積層された構成となっている。この構成では、各層の基板34上にそれぞれ形成された複数のコイル部16(導体層33)とマグネット18との距離が互いに異なる。そのため、一の層の基板34上に形成されたコイル部16(導体層33)と他の層の基板34上に形成されたコイル部16(導体層33)との間に誘起電圧差が生じ、両者の間において循環電流が生じることが考えられる。以下、この循環電流による損失を抑制するための直列接続部50及び並列接続部52を備えた各実施形態の構成について説明する。
【0038】
(第1実施形態)
図9~
図11を用いて、第1実施形態のモータ54について説明する。なお、第1実施形態のモータ54において前述のモータ10と対応する部材及び部分には、前述のモータ10と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0039】
図9に示されるように、本実施形態のモータ54のコイル体32は、2つの基板34が積層された構成となっている。ここで、2つの基板34のうちステータコア26側に配置された基板34を第1の基板34S1と呼び、2つの基板34のうちマグネット18側に配置された基板34を第2の基板34S2と呼ぶことにする。なお、
図9において符号Tで示された線は、マグネット18の磁束を示している。
【0040】
第1の基板34S1上には、2つの導体層33が設けられている。なお、
図9においては、一方側の導体層33が第1の基板34S1における一方側の面上に形成され、他方側の導体層33が第1の基板34S1における他方側の面上に形成されているように描いているが、これらの導体層33は、前述のモータ10と同様に基板34の両面に沿って形成されている。また、
図9においては、U相、V相及びW相のうちの1つの相の導体層33のみを図示している。ここで、第1の基板34S1に沿って形成された一方の導体層33を第1の導体層33S1と呼び、他方の導体層33を第2の導体層33S2と呼ぶことにする。
【0041】
第2の基板34S2上にも、第1の基板34S1と同様に2つの導体層33が設けられている。ここで、第2の基板34S2に沿って形成された一方の導体層33を第3の導体層33S3と呼び、他方の導体層33を第4の導体層33S4と呼ぶことにする。
【0042】
図10及び
図11に示されるように、第1の基板34S1上に形成された第1の導体層33S1と第2の基板34S2上に形成された第4の導体層33S4とは、第1の直列接続部50S1を介して直列で接続されている。また、第1の基板34S1上に形成された第2の導体層33S2と第2の基板34S2上に形成された第3の導体層33S3とは、第2の直列接続部50S2を介して直列で接続されている。さらに、第1の直列接続部50S1で接続された各導体層33S1、33S4と第2の直列接続部50S2で接続された各導体層33S2、33S3とは、並列接続部52を介して並列で接続されている。
【0043】
なお、本明細書の末尾の付記1に記載された第1のベース部材は、第1の基板34S1に相当する。また、付記1に記載された第1のベース部材に形成された第1の導体層は、第1の導体層33S1に相当する。また、付記1に記載された第2のベース部材は、第2の基板34S2に相当する。また、付記1に記載された第2のベース部材に形成された第1の導体層は、第4の導体層33S4に相当する。また、付記1に記載された第1の直列接続部は、第1の直列接続部50S1に相当する。また、付記1に記載された第1のベース部材に形成された第2の導体層は、第2の基板34S2に相当する。また、付記1に記載された第2のベース部材に形成された第2の導体層は、第3の基板34S3に相当する。また、付記1に記載された第2の直列接続部は、第2の直列接続部50S2に相当する。また、付記1に記載された並列接続部は、並列接続部52に相当する。
【0044】
ここで、第1の導体層33S1に生じる誘起電圧をV1とし、第2の導体層33S2に生じる誘起電圧をV2とし、第3の導体層33S3に生じる誘起電圧をV3とし、第4の導体層33S4に生じる誘起電圧をV4とすると、本実施形態のモータ54では、各誘起電圧V1~V4の関係が以下の式1の関係となる。
V4=V3≒V2=V1 ・・・式1
【0045】
すなわち、最もマグネット18側に配置された第4の導体層33S4と最もマグネットとは反対側に配置された第1の導体層33S1とを第1の直列接続部50S1を介して直列で接続し、マグネット18側に配置された第3の導体層33S3とマグネット18とは反対側に配置された第2の導体層33S2とを第2の直列接続部50S2を介して直列で接続することにより、第4の導体層33S4及び第1の導体層33S1間に生じる誘起電圧を第3の導体層33S3及び第2の導体層33S2間に生じる誘起電圧に近づけることができる。そして、第1の直列接続部50S1で接続された各導体層33S1、33S4と第2の直列接続部50S2で接続された各導体層33S2、33S3とを並列接続部52を介して並列で接続することにより、第4の導体層33S4及び第1の導体層33S1間と第3の導体層33S3及び第2の導体層33S2間との間を循環する循環電流による損失を抑制することができ、その結果、モータ54の高効率化及び高トルク化を図ることができる。なお、各導体層33S1、33S2、33S3、33S4を単純に並列で接続した構成では、各導体層33S1、33S2、33S3、33S4に生じる各誘起電圧V1~V4の関係が以下の式1.1の関係となるため、本実施形態のモータ54のような循環電流による損失を抑制できる効果を得ることはできない。
V4>V3>V2>V1 ・・・式1.1
【0046】
なお、
図12に示されるように、第1の導体層33S1と第3の導体層33S3とを第1の直列接続部50S1を介して直列で接続し、第2の導体層33S2と第4の導体層33S4とを第2の直列接続部50S2を介して直列で接続し、第1の直列接続部50S1で接続された各導体層33S1、33S3と第2の直列接続部50S2で接続された各導体層33S2、33S4とを並列接続部52を介して並列で接続した構成においても、上記第1実施形態のモータ54と同様に、各導体層33間を循環する循環電流による損失を抑制することができる。
【0047】
(第2実施形態)
図13~
図15を用いて、第2実施形態のモータ56について説明する。なお、第2実施形態のモータ56において前述のモータ10や第1実施形態のモータ54と対応する部材及び部分には、前述のモータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0048】
図13に示されるように、本実施形態のモータ56のコイル体32は、3つの基板34が積層された構成となっている。ここで、3つの基板34をステータコア26側からマグネット18側にかけて順番に第1の基板34S1、第2の基板34S2、第3の基板34S3と呼ぶことにする。また、第1の基板34S1に沿って形成された一方の導体層33を第1の導体層33S1と呼び、他方の導体層33を第2の導体層33S2と呼ぶことにする。また、第2の基板34S2に沿って形成された一方の導体層33を第3の導体層33S3と呼び、他方の導体層33を第4の導体層33S4と呼ぶことにする。また、第3の基板34S3に沿って形成された一方の導体層33を第5の導体層33S5と呼び、他方の導体層33を第6の導体層33S6と呼ぶことにする。
【0049】
図14及び
図15に示されるように、第1の基板34S1上に形成された第1の導体層33S1と第2の基板34S2上に形成された第4の導体層33S4とは、第1の直列接続部50S1を介して直列で接続されている。また、第1の基板34S1上に形成された第2の導体層33S2と第2の基板34S2上に形成された第3の導体層33S3とは、第2の直列接続部50S2を介して直列で接続されている。また、第2の基板34S2上に形成された第4の導体層33S4と第3の基板34S3上に形成された第5の導体層33S5とは、第3の直列接続部50S3を介して直列で接続されている。また、第2の基板34S2上に形成された第3の導体層33S3と第3の基板34S3上に形成された第6の導体層33S6とは、第4の直列接続部50S4を介して直列で接続されている。さらに、第1の直列接続部50S1及び第3の直列接続部50S3で接続された各導体層33S1、33S4、33S5と第2の直列接続部50S2及び第4の直列接続部50S4で接続された各導体層33S2、33S3、33S6とは、並列接続部52を介して並列で接続されている。
【0050】
なお、本明細書の末尾の付記1,3に記載された第1のベース部材は、第1の基板34S1に相当する。また、付記1,3に記載された第2のベース部材は、第2の基板34S3に相当する。また、付記3に記載された第3のベース部材は、第3の基板34S2に相当する。また、付記1,3に記載された第1のベース部材に形成された第1の導体層は、第1の導体層33S1に相当する。また、付記1,3に記載された第2のベース部材に形成された第1の導体層は、第5の導体層33S5に相当する。また、付記1,3に記載された第1の直列接続部は、第1の直列接続部50S1及び第3の直列接続部50S3に相当する。また、付記3に記載された第3のベース部材に形成された第1の導体層は、第4の導体層33S4に相当する。また、付記1,3に記載された第1のベース部材に形成された第2の導体層は、第2の導体層33S2に相当する。また、付記1,3に記載された第2のベース部材に形成された第2の導体層は、第6の導体層33S6に相当する。また、付記1,3に記載された第2の直列接続部は、第2の直列接続部50S2及び第4の直列接続部50S4に相当する。また、付記3に記載された第3のベース部材に形成された第2の導体層は、第3の導体層33S3に相当する。
【0051】
ここで、第1の導体層33S1に生じる誘起電圧をV1とし、第2の導体層33S2に生じる誘起電圧をV2とし、第3の導体層33S3に生じる誘起電圧をV3とし、第4の導体層33S4に生じる誘起電圧をV4とし、第5の導体層33S5に生じる誘起電圧をV5とし、第6の導体層33S6に生じる誘起電圧をV6とすると、本実施形態のモータ56では、各誘起電圧V1~V6の関係が以下の式2の関係となる。
V6=V5≒V4=V3≒V2=V1 ・・・式2
【0052】
すなわち、第1の直列接続部50S1及び第3の直列接続部50S3で接続された各導体層33S1、33S4、33S5間に生じる誘起電圧を第2の直列接続部50S2及び第4の直列接続部50S4で接続された各導体層33S2、33S3、33S6間に生じる誘起電圧に近づけることができる。そして、第1の直列接続部50S1及び第3の直列接続部50S3で接続された各導体層33S1、33S4、33S5と第2の直列接続部50S2及び第4の直列接続部50S4で接続された各導体層33S2、33S3、33S6とを並列接続部52を介して並列で接続することにより、各導体層33S1、33S4、33S5と各導体層33S2、33S3、33S6との間を循環する循環電流による損失を抑制することができ、その結果、モータ56の高効率化及び高トルク化を図ることができる。
【0053】
なお、
図16Aに示されるように、第1の導体層33S1と第3の導体層33S3とを第1の直列接続部50S1を介して直列で接続し、第2の導体層33S2と第4の導体層33S4とを第2の直列接続部50S2を介して直列で接続し、第3の導体層33S3と第5の導体層33S5とを第3の直列接続部50S3を介して直列で接続し、第4の導体層33S4と第6の導体層33S6とを第4の直列接続部50S4を介して直列で接続する。また、第1の直列接続部50S1及び第3の直列接続部50S3で接続された各導体層50S1、50S3、50S5と第2の直列接続部50S2及び第4の直列接続部50S4で接続された各導体層50S2、50S4、50S6とを並列接続部52を介して並列で接続する。この構成においても、上記第2実施形態のモータ56と同様に、各導体層33間を循環する循環電流による損失を抑制することができる。
【0054】
なお、第2実施形態のモータ56のコイル体32の構成は、3層以上かつ奇数層となるように複数の基板34が積層されたコイル体32に適用することができる。例えば、複数の基板34が5層となるように構成されたコイル体32では、最もステータコア26側に配置された基板34は第2実施形態のモータ56における第1の基板34S1に相当する。また、最もマグネット18側に配置された基板34は第2実施形態のモータ56における第3の基板34S3に相当する。さらに、最もステータコア26側に配置された基板34と最もマグネット18側に配置された基板34との間に配置された3つの基板34が、第2実施形態のモータ56における第2の基板34S2に相当する。このように、第2実施形態のモータ56のコイル体32の構成は、5層以上かつ奇数層となるように複数の基板34が積層されたコイル体32に拡張して適用することができる。
【0055】
また、第2実施形態のモータ56のコイル体32の構成は、4層以上かつ偶数層となるように複数の基板34が積層されたコイル体32に適用することができる。例えば、
図16Bに示されるように、複数の基板34が4層となるように構成されたコイル体32では、最もステータコア26側に配置された基板34は第2実施形態のモータ56における第1の基板34S1に相当する。また、最もマグネット18側に配置された基板34は第2実施形態のモータ56における第3の基板34S3に相当する。さらに、最もステータコア26側に配置された基板34と最もマグネット18側に配置された基板34との間に配置された2つの基板34が、第2実施形態のモータ56における第2の基板34S2に相当する。詳述すると、このコイル体32は、4つの基板34が積層された構成となっている。ここで、3つの基板34をステータコア26側からマグネット18側にかけて順番に第1の基板34S1、第2の基板34S2、第3の基板34S3、第4の基板34S4と呼ぶことにする。また、第1の基板34S1に沿って形成された一方の導体層33を第1の導体層33S1と呼び、他方の導体層33を第2の導体層33S2と呼ぶことにする。また、第2の基板34S2に沿って形成された一方の導体層33を第3の導体層33S3と呼び、他方の導体層33を第4の導体層33S4と呼ぶことにする。また、第3の基板34S3に沿って形成された一方の導体層33を第5の導体層33S5と呼び、他方の導体層33を第6の導体層33S6と呼ぶことにする。また、第4の基板34S4に沿って形成された一方の導体層33を第7の導体層33S7と呼び、他方の導体層33を第8の導体層33S8と呼ぶことにする。第1の基板34S1上に形成された第1の導体層33S1と第2の基板34S2上に形成された第4の導体層33S4とは、第1の直列接続部50S1を介して直列で接続されている。また、第1の基板34S1上に形成された第2の導体層33S2と第2の基板34S2上に形成された第3の導体層33S3とは、第2の直列接続部50S2を介して直列で接続されている。また、第2の基板34S2上に形成された第4の導体層33S4と第3の基板34S3上に形成された第5の導体層33S5とは、第3の直列接続部50S3を介して直列で接続されている。また、第2の基板34S2上に形成された第3の導体層33S3と第3の基板34S3上に形成された第6の導体層33S6とは、第4の直列接続部50S4を介して直列で接続されている。また、第3の基板34S3上に形成された第5の導体層33S5と第4の基板34S4上に形成された第8の導体層33S8とは、第5の直列接続部50S5を介して直列で接続されている。また、第3の基板34S3上に形成された第6の導体層33S6と第4の基板34S4上に形成された第7の導体層33S7とは、第6の直列接続部50S5を介して直列で接続されている。さらに、第1の直列接続部50S1、第3の直列接続部50S3及び第5の直列接続部50S3で接続された各導体層33S1、33S4、33S5、33S8と第2の直列接続部50S2、第4の直列接続部50S4及び第6の直列接続部50S6で接続された各導体層33S2、33S3、33S6、33S7とは、並列接続部52を介して並列で接続されている。このように、第2実施形態のモータ56のコイル体32の構成は、4層以上かつ偶数層となるように複数の基板34が積層されたコイル体32に拡張して適用することができる。
なお、本明細書の末尾の付記1,3に記載された第1のベース部材は、第1の基板34S1に相当する。また、付記1,3に記載された第2のベース部材は、第4の基板34S4に相当する。また、付記3に記載された第3のベース部材は、第2の基板34S2及び第3の基板34S3に相当する。付記3に記載された第3のベース部材は、複数ある。また、付記1,3に記載された第1のベース部材に形成された第1の導体層は、第1の導体層33S1に相当する。また、付記1,3に記載された第2のベース部材に形成された第1の導体層は、第8の導体層33S8に相当する。また、付記1,3に記載された第1の直列接続部は、第1の直列接続部50S1、第3の直列接続部50S3及び第5の直列接続部50S5に相当する。また、付記3に記載された第3のベース部材に形成された第1の導体層は、第4の導体層33S4及び第5の導体層33S5に相当する。また、付記1,3に記載された第1のベース部材に形成された第2の導体層は、第2の導体層33S2に相当する。また、付記1,3に記載された第2のベース部材に形成された第2の導体層は、第7の導体層33S7に相当する。また、付記1,3に記載された第2の直列接続部は、第2の直列接続部50S2、第4の直列接続部50S4及び第6の直列接続部50S6に相当する。また、付記3に記載された第3のベース部材に形成された第2の導体層は、第3の導体層33S3及び第6の導体層33S6に相当する。
【0056】
(第3実施形態)
図17~
図18を用いて、第3実施形態のモータ58について説明する。なお、第3実施形態のモータ58において前述のモータ10や各実施形態のモータ54等と対応する部材及び部分には、前述のモータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0057】
図17に示されるように、本実施形態のモータ58のコイル体32は、4つの基板34が積層された構成となっている。ここで、4つの基板34をステータコア26側からマグネット18側にかけて順番に第1の基板34S1、第2の基板34S2、第3の基板34S3、第4の基板34S4と呼ぶことにする。また、第1の基板34S1に沿って形成された一方の導体層33を第1の導体層33S1と呼び、他方の導体層33を第2の導体層33S2と呼ぶことにする。また、第2の基板34S2に沿って形成された一方の導体層33を第3の導体層33S3と呼び、他方の導体層33を第4の導体層33S4と呼ぶことにする。また、第3の基板34S3に沿って形成された一方の導体層33を第5の導体層33S5と呼び、他方の導体層33を第6の導体層33S6と呼ぶことにする。また、第4の基板34S4に沿って形成された一方の導体層33を第7の導体層33S7と呼び、他方の導体層33を第8の導体層33S8と呼ぶことにする。
【0058】
図17及び
図18に示されるように、第1の基板34S1上に形成された第1の導体層33S1と第2の導体層33S2とは、並列で接続されている。また、第2の基板34S2上に形成された第3の導体層33S3と第4の導体層33S4とは、並列で接続されている。また、第3の基板34S3上に形成された第5の導体層33S5と第6の導体層33S6とは、並列で接続されている。また、第4の基板34S4上に形成された第7の導体層33S7と第8の導体層33S8とは、並列で接続されている。
【0059】
また、第1の基板34S1上に形成された第1の導体層33S1及び第2の導体層33S2と第4の基板34S4上に形成された第7の導体層33S7及び第8の導体層33S8とは、第1の直列接続部50S1を介して直列で接続されている。また、第2の基板34S2上に形成された第3の導体層33S3及び第4の導体層33S4と第3の基板34S3上に形成された第5の導体層33S5及び第6の導体層33S6とは、第2の直列接続部50S2を介して直列で接続されている。さらに、第1の直列接続部50S1で接続された各導体層33S1、33S2、33S7、33S8と第2の直列接続部50S2で接続された各導体層33S3、33S4、33S5、33S6とは、並列接続部52を介して並列で接続されている。
【0060】
なお、本明細書の末尾の付記2に記載された第1のベース部材は、第1の基板34S1に相当する。また、付記2に記載された第1のベース部材に形成されていると共に互いに並列で接続された複数の導体層は、第1の導体層33S1及び第2の導体層33S2に相当する。また、付記2に記載された第2のベース部材は、第4の基板34S4に相当する。また、付記2に記載された第2のベース部材に形成されていると共に互いに並列で接続された複数の導体層は、第7の導体層33S7及び第8の導体層33S8に相当する。また、付記2に記載された第1の直列接続部は、第1の直列接続部50S1に相当する。また、付記2に記載された第3のベース部材は、第2の基板34S2に相当する。また、付記2に記載された第3のベース部材に形成されていると共に互いに並列で接続された複数の導体層は、第3の導体層33S3及び第4の導体層33S4に相当する。また、付記2に記載された第4のベース部材は、第3の基板34S3に相当する。また、付記2に記載された第4のベース部材に形成されていると共に互いに並列で接続された複数の導体層は、第5の導体層33S5及び第6の導体層33S6に相当する。また、付記2に記載された第2の直列接続部は、第2の直列接続部50S2に相当する。また、付記2に記載された並列接続部は、並列接続部52に相当する。
【0061】
ここで、第1の導体層33S1に生じる誘起電圧をV1とし、第2の導体層33S2に生じる誘起電圧をV2とし、第3の導体層33S3に生じる誘起電圧をV3とし、第4の導体層33S4に生じる誘起電圧をV4とし、第5の導体層33S5に生じる誘起電圧をV5とし、第6の導体層33S6に生じる誘起電圧をV6とし、第7の導体層33S7に生じる誘起電圧をV7とし、第8の導体層33S8に生じる誘起電圧をV8とすると、本実施形態のモータ58では、各誘起電圧V1~V8の関係が以下の式3の関係となる。
V8=V7≒V6=V5≒V4=V3≒V2=V1 ・・・式3
【0062】
すなわち、第1の直列接続部50S1で接続された各導体層33S1、33S2、33S7、33S8間に生じる誘起電圧を第2の直列接続部50S2で接続された各導体層33S3、33S4、33S5、33S6間に生じる誘起電圧に近づけることができる。そして、第1の直列接続部50S1で接続された各導体層33S1、33S2、33S7、33S8と第2の直列接続部50S2で接続された各導体層33S3、33S4、33S5、33S6とを並列接続部52を介して並列で接続することにより、各導体層33S1、33S2、33S7、33S8と各導体層33S3、33S4、33S5、33S6との間を循環する循環電流による損失を抑制することができ、その結果、モータ58の高効率化及び高トルク化を図ることができる。
【0063】
なお、
図19に示されるように、第1の導体層33S1と第4の導体層33S4とを第1の直列接続部50S1を介して直列で接続し、第2の導体層33S2と第3の導体層33S3とを第2の直列接続部50S2を介して直列で接続し、第4の導体層33S4と第5の導体層33S5とを第3の直列接続部50S3を介して直列で接続し、第3の導体層33S3と第6の導体層33S6とを第4の直列接続部50S4を介して直列で接続し、第5の導体層33S5と第8の導体層33S8とを第5の直列接続部50S5を介して直列で接続し、第6の導体層33S6と第7の導体層33S7とを第6の直列接続部50S6を介して直列で接続する。また、第1の直列接続部50S1、第3の直列接続部50S3及び第5の直列接続部50S5で接続された各導体層33S1、33S4、33S5、33S8と第2の直列接続部50S2、第4の直列接続部50S4及び第6の直列接続部50S6で接続された各導体層33S2、33S3、33S6、33S7とを並列接続部52を介して並列で接続する。この構成においても、上記第3実施形態のモータ58と同様に、各導体層33間を循環する循環電流による損失を抑制することができる。
【0064】
なお、第3実施形態のモータ58のコイル体32の構成は、4層以上かつ偶数層となるように複数の基板34が積層されたコイル体32に適用することができる。例えば、複数の基板34が6層となるように構成されたコイル体32では、最もステータコア26側に配置された基板34は第3実施形態のモータ58における第1の基板34S1に相当する。また、最もマグネット18側に配置された基板34は第3実施形態のモータ58における第4の基板34S4に相当する。さらに、最もステータコア26側に配置された基板34と最もマグネット18側に配置された基板34との間に配置された4つの基板34が、第3実施形態のモータ58における第2の基板34S2及び第3の基板34S3に相当する。このように、第3実施形態のモータ58のコイル体32の構成は、6層以上かつ偶数層となるように複数の基板34が積層されたコイル体32に拡張して適用することができる。具体的には、
図20に示されたコイル体32は、6つの基板34が積層された構成となっている。ここで、6つの基板34をステータコア26側からマグネット18側にかけて順番に第1の基板34S1、第2の基板34S2、第3の基板34S3、第4の基板34S4、第5の基板34S5、第6の基板34S6と呼ぶことにする。また、第1の基板34S1に沿って形成された一方の導体層33を第1の導体層33S1と呼び、他方の導体層33を第2の導体層33S2と呼ぶことにする。また、第2の基板34S2に沿って形成された一方の導体層33を第3の導体層33S3と呼び、他方の導体層33を第4の導体層33S4と呼ぶことにする。また、第3の基板34S3に沿って形成された一方の導体層33を第5の導体層33S5と呼び、他方の導体層33を第6の導体層33S6と呼ぶことにする。また、第4の基板34S4に沿って形成された一方の導体層33を第7の導体層33S7と呼び、他方の導体層33を第8の導体層33S8と呼ぶことにする。また、第5の基板34S5に沿って形成された一方の導体層33を第9の導体層33S9と呼び、他方の導体層33を第10の導体層33S10と呼ぶことにする。また、第6の基板34S6に沿って形成された一方の導体層33を第11の導体層33S11と呼び、他方の導体層33を第12の導体層33S12と呼ぶことにする。
【0065】
図21に示されるように、第1の基板34S1上に形成された第1の導体層33S1と第2の導体層33S2とは、並列で接続されている。また、第2の基板34S2上に形成された第3の導体層33S3と第4の導体層33S4とは、並列で接続されている。また、第3の基板34S3上に形成された第5の導体層33S5と第6の導体層33S6とは、並列で接続されている。また、第4の基板34S4上に形成された第7の導体層33S7と第8の導体層33S8とは、並列で接続されている。また、第5の基板34S5上に形成された第9の導体層33S9と第10の導体層33S10とは、並列で接続されている。また、第6の基板34S6上に形成された第11の導体層33S11と第12の導体層33S12とは、並列で接続されている。
【0066】
また、第1の基板34S1上に形成された第1の導体層33S1及び第2の導体層33S2と第4の基板34S4上に形成された第7の導体層33S7及び第8の導体層33S8とは、第1の直列接続部50S1を介して直列で接続されている。また、第2の基板34S2上に形成された第3の導体層33S3及び第4の導体層33S4と第5の基板34S5上に形成された第9の導体層33S9及び第10の導体層33S10とは、第2の直列接続部50S2を介して直列で接続されている。また、第3の基板34S3上に形成された第5の導体層33S5及び第6の導体層33S6と第6の基板34S6上に形成された第11の導体層33S11及び第12の導体層33S12とは、第3の直列接続部50S3を介して直列で接続されている。さらに、第1の直列接続部50S1で接続された各導体層33S1、33S2、33S7、33S8と第2の直列接続部50S2で接続された各導体層33S3、33S4、33S9、33S10と第3の直列接続部50S3で接続された各導体層33S5、33S6、33S11、33S12とは、並列接続部52を介して並列で接続されている。この構成においても、上記第3実施形態のモータ58と同様に、各導体層33間を循環する循環電流による損失を抑制することができる。
【0067】
また、6つの基板34が積層されたコイル体32において、
図22に示されるように、第1の基板34S1上に形成された第1の導体層33S1及び第2の導体層33S2と第3の基板34S3上に形成された第5の導体層33S5及び第6の導体層33S6とを第1の直列接続部50S1を介して直列で接続し、第2の基板34S2上に形成された第3の導体層33S3及び第4の導体層33S4と第4の基板34S4上に形成された第7の導体層33S7及び第8の導体層33S8とを第2の直列接続部50S2を介して直列で接続し、第3の基板34S3上に形成された第5の導体層33S5及び第6の導体層33S6と第5の基板34S5上に形成された第9の導体層33S9及び第10の導体層33S10とを第3の直列接続部50S3を介して直列で接続し、第4の基板34S4上に形成された第7の導体層33S7及び第8の導体層33S8と第6の基板34S6上に形成された第11の導体層33S11及び第12の導体層33S12とを第4の直列接続部50S4を介して直列で接続する。また、第1の直列接続部50S1及び第3の直列接続部50S3で接続された各導体層33S1、33S2、33S5、33S6、33S9、33S10と第2の直列接続部50S2及び第4の直列接続部50S4で接続された各導体層33S3、33S4、33S7、33S8、33S11、33S12とを並列接続部52を介して並列で接続する。この構成においても、上記第3実施形態のモータ58と同様に、各導体層33間を循環する循環電流による損失を抑制することができる。なお、
図22に記載された構成は、前述の第3実施形態(
図17及び
図18参照)に示された構成を6層となるように複数の基板34が積層されたコイル体32に適用した構成となっている。
【0068】
(第4実施形態)
図23を用いて、第4実施形態のモータ60について説明する。なお、第4実施形態のモータ60において前述のモータ10や各実施形態のモータ54等と対応する部材及び部分には、前述のモータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0069】
図23に示されるように、本実施形態のモータ60は、コイル体32に対して軸方向の両側にそれぞれマグネット18が配置された構成のモータ(ここでは「ダブルアキシャル型のモータ」と呼ぶ)である。また、本実施形態のモータ60のコイル体32は、4つの基板34が積層された構成となっている。ここで、4つの基板34を一方側のマグネット18側から他方側のマグネット18側にかけて順番に第1の基板34S1、第2の基板34S2、第3の基板34S3、第4の基板34S4と呼ぶことにする。また、4つの基板34の軸方向の中心位置70は、第2の基板34S2と第3の基板34S3との中央部になっている。
【0070】
第1の基板34S1上に形成された第1の導体層33S1及び第2の導体層33S2と第3の基板34S3上に形成された第5の導体層33S5及び第6の導体層33S6とは、第1の直列接続部50S1を介して直列で接続されている。また、第2の基板34S2上に形成された第3の導体層33S3及び第4の導体層33S4と第4の基板34S4上に形成された第7の導体層33S7及び第8の導体層33S8とは、第2の直列接続部50S2を介して直列で接続されている。これにより、第1の直列接続部50S1で接続された各導体層33S1、33S2、33S5、33S6間に生じる誘起電圧を第2の直列接続部50S2で接続された各導体層33S3、33S4、33S7、33S8間に生じる誘起電圧に近づけることができる。そして、第1の直列接続部50S1で接続された各導体層33S1、33S2、33S5、33S6と第2の直列接続部50S2で接続された各導体層33S3、33S4、33S7、33S8とを並列接続部52を介して並列で接続することにより、各導体層33S1、33S2、33S5、33S6と各導体層33S3、33S4、33S7、33S8との間を循環する循環電流による損失を抑制することができ、その結果、モータ60の高効率化及び高トルク化を図ることができる。なお、本実施形態の構成は、ダブルアキシャル型のモータに有効である。
【0071】
なお、
図24に示されるように、第1の基板34S1上に形成された第1の導体層33S1及び第2の導体層33S2と第2の基板34S2上に形成された第3の導体層33S3及び第4の導体層33S4とを第1の直列接続部50S1を介して直列で接続し、第3の基板34S3上に形成された第5の導体層33S5及び第6の導体層33S6と第4の基板34S4上に形成された第7の導体層33S7及び第8の導体層33S8とを第2の直列接続部50S2を介して直列で接続する。また、第1の直列接続部50S1で接続された各導体層33S1、33S2、33S3、33S4と第2の直列接続部50S2で接続された各導体層33S5、33S6、33S7、33S8とを並列接続部52を介して並列で接続する。この構成においても、上記第4実施形態のモータ60と同様に、各導体層33間を循環する循環電流による損失を抑制することができる。
【0072】
(第5実施形態)
図25~
図27を用いて、第5実施形態のモータについて説明する。なお、第5実施形態のモータにおいて前述のモータ10や各実施形態のモータ54等と対応する部材及び部分には、前述のモータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0073】
図25~
図27に示されるように、本実施形態のモータのコイル体32では、第1の基板34S1と第2の基板34S2とが、後に詳述する層間接続部64を介してつながっている。詳述すると、第1の基板34S1及び第2の基板34S2は、平面状の1つの部材66によって形成されている。この平面状の部材66において第1の基板34S1及び第2の基板34S2にそれぞれ対応する部位には、導体層33がそれぞれ形成されている。また、平面状の部材66において第1の基板34S1と第2の基板34S2とを接続する部分には、第1の基板34S1上に形成された導体層33と第2の基板34S2上に形成された導体層33とを直列で接続する直列接続部50が形成されている。そして、
図26及び
図27に示されるように、平面状の部材66を折返位置68で折り返すことで、第1の基板34S1と第2の基板34S2とが積層されるようになっている。本実施形態の構成では、第1の基板34S1及び第2の基板34S2上にそれぞれ形成される導体層33を1つの平面状の部材66上に形成することができる。また、本実施形態の構成では、第1の基板34S1上に形成された導体層33と第2の基板34S2上に形成された導体層33とを直列接続部50を介して接続するための追加の工程を不要にすることができる。
【0074】
(第6実施形態)
図28~
図29を用いて、第6実施形態のモータについて説明する。なお、第6実施形態のモータにおいて前述のモータ10や各実施形態のモータ54等と対応する部材及び部分には、前述のモータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0075】
図28~
図29に示されるように、本実施形態のモータのコイル体32では、第5実施形態のモータのコイル体32と同様に、第1の基板34S1及び第2の基板34S2は、平面状の1つの部材66によって形成されている。この平面状の部材66において第1の基板34S1と第2の基板34S2とを接続する部分には、第1の基板34S1上に形成された第1の導体層33S1と第2の基板34S2上に形成された第4の導体層33S4とを直列で接続する第1の直列接続部50S1と、第1の基板34S1上に形成された第2の導体層33S2と第2の基板34S2上に形成された第3の導体層33S3とを直列で接続する第2の直列接続部50S2と、が形成されている。本実施形態の構成では、第1の基板34S1及び第2の基板34S2上にそれぞれ形成される導体層33を1つの平面状の部材66上に形成することができる。また、本実施形態の構成では、第1の基板34S1上に形成された第1の導体層33S1と第2の基板34S2上に形成された第4の導体層33S4とを第1の直列接続部50S1を介して接続するための追加の工程及び第1の基板34S1上に形成された第2の導体層33S2と第2の基板34S2上に形成された第3の導体層33S3とを第2の直列接続部50S2を介して接続する追加の工程を不要にすることができる。
【0076】
(第7実施形態)
図30~
図32を用いて、第7実施形態のモータについて説明する。なお、第7実施形態のモータにおいて前述のモータ10や各実施形態のモータ54等と対応する部材及び部分には、前述のモータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0077】
図30~
図32に示されるように、本実施形態のモータのコイル体32では、第1の基板34S1と第2の基板34S2と第3の基板34S3とが、後に詳述する層間接続部64を介してつながっている。詳述すると、
図30に示されるように、第1の基板34S1、第2の基板34S2及び第3の基板34S3は、平面状の1つの部材66によって形成されている。この平面状の部材66において第1の基板34S1、第2の基板34S2及び第3の基板34S3にそれぞれ対応する部位には、導体層33がそれぞれ形成されている。また、平面状の部材66において第1の基板34S1と第2の基板34S2とを接続する部分には、第1の基板34S1上に形成された導体層33と第2の基板34S2上に形成された導体層33とを直列で接続する第1の直列接続部50S1が形成されている。また、平面状の部材66において第2の基板34S2と第3の基板34S3とを接続する部分には、第2の基板34S2上に形成された導体層33と第3の基板34S3上に形成された導体層33とを直列で接続する第2の直列接続部50S2が形成されている。そして、
図30及び
図31に示されるように、平面状の部材66を第1の折返位置68S1で折り返すことで、第1の基板34S1と第2の基板34S2とが積層されるようになっている。また、
図31及び
図32に示されるように、平面状の部材66を第2の折返位置68S2で折り返すことで、第2の基板34S2と第3の基板34S3とが積層されて、第1の基板34S1、第2の基板34S2及び第3の基板34S3が積層されるようになっている。本実施形態の構成では、第1の基板34S1、第2の基板34S2及び第3の基板34S3上にそれぞれ形成される導体層33を1つの平面状の部材66上に形成することができる。また、本実施形態の構成では、第1の基板34S1上に形成された導体層33と第2の基板34S2上に形成された導体層33とを第1の直列接続部50S1を介して接続するための追加の工程及び第2の基板34S2上に形成された導体層33と第3の基板34S3上に形成された導体層33とを第2の直列接続部50S2を介して接続するための追加の工程を不要にすることができる。
【0078】
(第8実施形態)
図33~
図37を用いて、第8実施形態のモータについて説明する。なお、第8実施形態のモータにおいて前述のモータ10や各実施形態のモータ54等と対応する部材及び部分には、前述のモータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0079】
図33及び
図34に示されるように、本実施形態のモータのコイル体32では、第1の基板34S1と第3の基板34S3とが、後に詳述する層間接続部64を介してつながっている。詳述すると、
図30に示されるように、第1の基板34S1及び第3の基板34S3は、平面状の1つの部材66によって形成されている。この平面状の部材66において第1の基板34S1及び第3の基板34S3にそれぞれ対応する部位には、導体層33がそれぞれ形成されている。また、平面状の部材66において第1の基板34S1と第3の基板34S3とを接続する部分には、第1の基板34S1上に形成された導体層33と第3の基板34S3上に形成された導体層33とを直列で接続する直列接続部50が形成されている。そして、
図34~
図36に示されるように、平面状の部材66を折返位置68で折り返すことで、第1の基板34S1と第3の基板34S3とが積層されるようになっている。ここで、平面状の部材66を折返位置68で折り返す際に、第2の基板34S2を第1の基板34S1と第3の基板34S3との間に配置させる。これにより、
図34及び
図37に示されるように、第1の基板34S1、第2の基板34S2及び第3の基板34S3が積層されるようになっている。本実施形態の構成では、第1の基板34S1及び第3の基板34S3上にそれぞれ形成される導体層33を1つの平面状の部材66上に形成することができる。また、本実施形態の構成では、第1の基板34S1及び第3の基板34S3上にそれぞれ形成された導体層33間を直列接続部50を介して接続するための追加の工程を不要にすることができる。
【0080】
(第9実施形態)
図38を用いて、第9実施形態のモータについて説明する。なお、第9実施形態のモータにおいて前述のモータ10や各実施形態のモータ54等と対応する部材及び部分には、前述のモータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0081】
図38に示されるように、本実施形態のモータのコイル体32では、第1の基板34S1と第2の基板34S2とが、層間接続部64を介してつながっている。なお、本実施形態のモータのコイル体32の第1の基板34S1及び第2の基板34S2は、一例として前述の第3実施形態のモータ58のコイル体32における第2の基板34S2及び第3の基板34S3や第1の基板34S1及び第4の基板34S4にそれぞれ相当する。詳述すると、第1の基板34S1及び第2の基板34S2は、平面状の1つの部材66によって形成されている。この平面状の部材66において第1の基板34S1及び第2の基板34S2にそれぞれ対応する部位には、U相の導体層33U、V相の導体層33V及びW相の導体層33Wがそれぞれ形成されている。また、平面状の部材66において第1の基板34S1と第2の基板34S2とを接続する層間接続部64には、第1の基板34S1上に形成されたU相の導体層33Uと第2の基板34S2上に形成されたU相の導体層33Uとを直列で接続するU相の直列接続部50Uが形成されている。また、層間接続部64には、第1の基板34S1上に形成されたV相の導体層33Vと第2の基板34S2上に形成されたV相の導体層33Vとを直列で接続するV相の直列接続部50Vが形成されている。さらに、層間接続部64には、第1の基板34S1上に形成されたW相の導体層33Wと第2の基板34S2上に形成されたW相の導体層33Wとを直列で接続するW相の直列接続部50Wが形成されている。また、層間接続部64には、各導体層33への電流の入力経路又は導体層33からの電流の出力経路となっている入出力部43が形成されている。なお、U相の直列接続部50U、V相の直列接続部50V及びW相の直列接続部50Wは、一例として前述の第3実施形態のモータ58のコイル体32における第1の直列接続部50S1や第2の直列接続部50S2に相当する。そして、平面状の部材66を層間接続部64の折返位置68で折り返すことで、第1の基板34S1と第2の基板34S2とが積層されるようになっている。また、本実施形態では、平面状の部材66が層間接続部64の折返位置68で折り返される前の状態において、第1の基板34S1上に形成されたU相の導体層33U、V相の導体層33V及びW相の導体層33Wと第2の基板34S2上に形成されたU相の導体層33U、V相の導体層33V及びW相の導体層33Wとが、折返位置68を挟んで対称の構成となっている。
【0082】
以上説明した本実施形態の構成では、第1の基板34S1上に形成された導体層33と第2の基板34S2上に形成された導体層33とを直列接続部50を介して接続するための追加の工程を不要にすることができる。また、第1の基板34S1と第2の基板34S2と接続する層間接続部64を設け、この層間接続部64における定められた折返位置68で折り返す構成を採ることにより、第1の基板34S1と第2の基板34S2との位置精度を確保することができる。なお、前述の並列接続部52が層間接続部64に形成された構成としてもよい。
【0083】
(第10実施形態)
図39を用いて、第10実施形態のモータについて説明する。なお、第10実施形態のモータにおいて前述のモータ10や各実施形態のモータ54等と対応する部材及び部分には、前述のモータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0084】
図39に示されるように、本実施形態のモータのコイル体32は、第1の基板34S1と第2の基板34S2とが、層間接続部64を介して接続された第1の基板34S1及び第2の基板34S2を備えている。なお、本実施形態のモータのコイル体32の第1の基板34S1及び第2の基板34S2は、一例として前述の第1実施形態のモータ58のコイル体32における第1の基板34S1及び第2の基板34S2にそれぞれ相当する。本実施形態の構成においても、第1の基板34S1上に形成された導体層33と第2の基板34S2上に形成された導体層33とを直列接続部50を介して接続するための追加の工程を不要にすることができる。
【0085】
(第11実施形態)
図40及び
図41を用いて、第11実施形態のモータについて説明する。なお、第11実施形態のモータにおいて前述のモータ10や各実施形態のモータ54等と対応する部材及び部分には、前述のモータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0086】
図40に示されるように、本実施形態のモータのコイル体32は、以下の点を除いては第9実施形態のモータのコイル体32(
図38参照)と同様に構成されている。本実施形態のモータのコイル体32では、平面状の部材66が層間接続部64の折返位置68で折り返される前の状態において、第1の基板34S1上に形成されたU相の導体層33U、V相の導体層33V及びW相の導体層33Wと第2の基板34S2上に形成されたU相の導体層33U、V相の導体層33V及びW相の導体層33Wとが、同一パターンの構成となっている。そして、平面状の部材66を層間接続部64の折返位置68で折り返すことで、
図41に示されるように、第1の基板34S1と第2の基板34S2とが積層されるようになっている。また、第1の基板34S1と第2の基板34S2とが積層された状態では、第1の基板34上に形成された複数の導体部16Bと第2の基板34上に形成された複数の導体部16Bとがそれぞれ周方向の同じ位置に配置される。また、第1の基板34と第2の基板34とが積層された状態では、第1の基板34上に形成された複数の導体部16Bと他の層の基板34上に形成された複数の導体部16Bとが軸方向に重なっている。
【0087】
以上説明した本実施形態の構成においても、第1の基板34S1上に形成された導体層33と第2の基板34S2上に形成された導体層33とを直列接続部50を介して接続するための追加の工程を不要にすることができる。また、第1の基板34S1上に形成されたU相の導体層33U、V相の導体層33V及びW相の導体層33Wと第2の基板34S2上に形成されたU相の導体層33U、V相の導体層33V及びW相の導体層33Wとを同一パターンとすることで、各基板34上に形成される導体層33の設計工数が増加することを抑制することができる。
【0088】
(第12実施形態)
図42及び
図43を用いて、第12実施形態のモータについて説明する。なお、第12実施形態のモータにおいて前述のモータ10や各実施形態のモータ54等と対応する部材及び部分には、前述のモータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0089】
図42及び
図43に示されるように、本実施形態のモータのコイル体32では、第1の基板34S1と第2の基板34S2とが積層されている。ここで、第1の基板34S1上に形成された導体層33への電流の入力経路又は導体層33からの電流の出力経路となっている一対の入出力部43が、第1の基板34S1の外周部から径方向外側へ向けて延出している。これら一対の入出力部43は、周方向に間隔をあけて配置されている。また、第2の基板34S2上に形成された導体層33への電流の入力経路又は導体層33からの電流の出力経路となっている一対の入出力部43が、第2の基板34S2の外周部から径方向外側へ向けて延出している。これら一対の入出力部43は、周方向に間隔をあけて配置されている。そして、第1の基板34S1から延出している一方(周方向一方側)の入出力部43と、第2の基板34S2から延出している一方(周方向他方側)の入出力部43とは、それぞれ周方向の同じ位置に配置されている。これにより、第1の基板34S1と第2の基板34S2とを積層させた状態で、第1の基板34S1から延出している一方(周方向一方側)の入出力部43と第2の基板34S2から延出している一方(周方向他方側)の入出力部43とを近接して配置することができる。その結果、第1の基板34S1から延出している一方(周方向一方側)の入出力部43と第2の基板34S2から延出している一方(周方向他方側)の入出力部43との接続作業を容易にすることができる。
【0090】
(第13実施形態)
図44及び
図45を用いて、第13実施形態のモータについて説明する。なお、第13実施形態のモータにおいて前述のモータ10や各実施形態のモータ54等と対応する部材及び部分には、前述のモータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0091】
図44及び
図45に示されるように、本実施形態のモータのコイル体32は、一対の入出力部43が第1の基板34S1及び第2の基板34S2の内周部から径方向内側に向けて延出していることを除いては、第12実施形態のモータのコイル体32と同様に構成されている。本実施形態のモータのコイル体32においても、第1の基板34S1から延出している一方(周方向一方側)の入出力部43と第2の基板34S2から延出している一方(周方向他方側)の入出力部43との接続作業を容易にすることができる。
【0092】
(第14実施形態)
図46及び
図47を用いて、第14実施形態のモータについて説明する。なお、第14実施形態のモータにおいて前述のモータ10や各実施形態のモータ54等と対応する部材及び部分には、前述のモータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0093】
図46及び
図47に示されるように、本実施形態のモータのコイル体32では、第1の基板34S1と第2の基板34S2とが積層されている。ここで、第1の基板34S1上に形成されたU相の導体層33Uへの電流の入力経路又はU相の導体層33Uからの電流の出力経路となっている一対のU相の入出力部43Uが、第1の基板34S1の外周部から径方向外側へ向けて延出している。これら一対のU相の入出力部43Uは、周方向に間隔をあけて配置されている。一例として、一対のU相の入出力部43Uの周方向への間隔θは、(360°/スロット数×2)に設定されている。また、第1の基板34S1上に形成されたV相の導体層33Vへの電流の入力経路又はV相の導体層33Vからの電流の出力経路となっている一対のV相の入出力部43Vが、第1の基板34S1の外周部から径方向外側へ向けて延出している。これら一対のV相の入出力部43Vは、一対のU相の入出力部43Uに対して周方向一方側において周方向に間隔をあけて配置されている。一対のV相の入出力部43Vの周方向への間隔θも(360°/スロット数×2)に設定されている。また、第1の基板34S1上に形成されたW相の導体層33Wへの電流の入力経路又はW相の導体層33Wからの電流の出力経路となっている一対のW相の入出力部43Wが、第1の基板34S1の外周部から径方向外側へ向けて延出している。これら一対のW相の入出力部43Wは、周方向に間隔をあけて配置されている。これら一対のW相の入出力部43Wは、一対のV相の入出力部43Vに対して周方向一方側において周方向に間隔をあけて配置されている。一対のW相の入出力部43Wの周方向への間隔θも(360°/スロット数×2)に設定されている。なお、第2の基板34S2上に形成されたU相の導体層33U、V相の導体層33V、W相の導体層33W、一対のU相の入出力部43U、一対のV相の入出力部43V及び一対のW相の入出力部43Wは、第1の基板34S1上に形成されたU相の導体層33U、V相の導体層33V、W相の導体層33W、一対のU相の入出力部43U、一対のV相の入出力部43V及び一対のW相の入出力部43Wとそれぞれ同様の構成となっている。
【0094】
そして、
図47に示されるように、第2の基板34S2を第1の基板34S1に対して周方向一方側にθ°回転させた位置において、第1の基板34S1と第2の基板34S2とを積層する。これにより、第1の基板34S1から延出している一方のU相の入出力部43Uと第2の基板34S2から延出している一方のU相の入出力部43Uとが、周方向の同じ位置に配置されると共に互いに近接して配置される。また、第1の基板34S1から延出している一方のV相の入出力部43Vと第2の基板34S2から延出している一方のV相の入出力部43Vとが、周方向の同じ位置に配置されると共に互いに近接して配置される。さらに、第1の基板34S1から延出している一方のW相の入出力部43Wと第2の基板34S2から延出している一方のW相の入出力部43Wとが、周方向の同じ位置に配置されると共に互いに近接して配置される。このようにすることで、本実施形態のモータのコイル体32では、第1の基板34S1から延出している一方のU相の入出力部43Uと第2の基板34S2から延出している一方のU相の入出力部43Uとの接続作業、第1の基板34S1から延出している一方のV相の入出力部43Vと第2の基板34S2から延出している一方のV相の入出力部43Vとの接続作業及び第1の基板34S1から延出している一方のW相の入出力部43Wと第2の基板34S2から延出している一方のW相の入出力部43Wとの接続作業を容易にすることができる。
【0095】
(第15実施形態)
図48及び
図49を用いて、第15実施形態のモータについて説明する。なお、第15実施形態のモータにおいて前述のモータ10や各実施形態のモータ54等と対応する部材及び部分には、前述のモータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0096】
図48及び
図49に示されるように、本実施形態のモータのコイル体32は、一対のU相の入出力部43U、一対のV相の入出力部43V及び一対のW相の入出力部43Wが第1の基板34S1及び第2の基板34S2の内周部から径方向内側に向けて延出していることを除いては、第14実施形態のモータのコイル体32と同様に構成されている。本実施形態のモータのコイル体32においても、第1の基板34S1から延出している一方のU相の入出力部43Uと第2の基板34S2から延出している一方のU相の入出力部43Uとの接続作業、第1の基板34S1から延出している一方のV相の入出力部43Vと第2の基板34S2から延出している一方のV相の入出力部43Vとの接続作業及び第1の基板34S1から延出している一方のW相の入出力部43Wと第2の基板34S2から延出している一方のW相の入出力部43Wとの接続作業を容易にすることができる。
【0097】
(第16実施形態)
図50を用いて、第16実施形態のモータについて説明する。なお、第16実施形態のモータにおいて前述のモータ10や各実施形態のモータ54等と対応する部材及び部分には、前述のモータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0098】
図50に示されるように、本実施形態のモータのコイル体32は、前述の第14実施形態のモータのコイル体32と第15実施形態のモータのコイル体32とを積層させた構成となっている。そのため、本実施形態のモータのコイル体32においても、第1の基板34S1から延出している一方のU相の入出力部43Uと第2の基板34S2から延出している一方のU相の入出力部43Uとの接続作業、第1の基板34S1から延出している一方のV相の入出力部43Vと第2の基板34S2から延出している一方のV相の入出力部43Vとの接続作業及び第1の基板34S1から延出している一方のW相の入出力部43Wと第2の基板34S2から延出している一方のW相の入出力部43Wとの接続作業を容易にすることができる。
【0099】
以上、本開示の各実施形態について説明したが、本開示は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。また、以上説明した各実施形態の構成の全部又は一部は、互いに組み合わせることができる。例えば、各実施形態の構成の組み合わせについては、モータ10等の用途に応じて各構成を適宜選択すればよい。また、モータ10等の構成は、発電機に適用してもよい。また、コイル体32を含んで構成されたロータにも、本開示の構成を適用することができる。また、本開示の各実施形態の説明において、「第1の」「第2の」等と番号を付して基板34、導体層33及び直列接続部50についての説明をしたが、これらの番号は説明の都合で付した番号である。従って、これらの番号が特許請求の範囲に記載された番号と完全に一致していなければならないことを意味するものではない。
【0100】
<付記>
(付記1)
絶縁性の材料を用いて径方向に延在する形状に形成され、軸方向に積層された複数のベース部材(34)と、
導電性の材料を用いて複数の前記ベース部材にそれぞれ形成された複数の導体層(33)と、
第1の前記ベース部材に形成された第1の前記導体層と第2の前記ベース部材に形成された第1の前記導体層とを直列で接続する第1の直列接続部(50)と、
第1の前記ベース部材に形成された第2の前記導体層と第2の前記ベース部材に形成された第2の前記導体層とを直列で接続する第2の直列接続部と、
第1の前記直列接続部で接続された各前記導体層と第2の前記直列接続部で接続された各前記導体層とを並列で接続する並列接続部(52)と、
を備えたコイル体(32)。
(付記2)
絶縁性の材料を用いて径方向に延在する形状に形成され、軸方向に積層された複数のベース部材(34)と、
導電性の材料を用いて複数の前記ベース部材にそれぞれ形成された複数の導体層(33)と、
第1の前記ベース部材に形成されていると共に互いに並列で接続された複数の前記導体層と第2の前記ベース部材に形成されていると共に互いに並列で接続された複数の前記導体層とを直列で接続する第1の直列接続部(50)と、
第3の前記ベース部材に形成されていると共に互いに並列で接続された複数の前記導体層と第4の前記ベース部材に形成されていると共に互いに並列で接続された複数の前記導体層とを直列で接続する第2の直列接続部と、
第1の前記直列接続部で接続された各前記導体層と第2の前記直列接続部で接続された各前記導体層とを並列で接続する並列接続部(52)と、
を備えたコイル体(32)。
(付記3)
第1の前記ベース部材と第2の前記ベース部材との間には、第3の前記ベース部材が設けられ、
第1の前記ベース部材に形成された第1の前記導体層と第2の前記ベース部材に形成された第1の前記導体層とが、第1の前記直列接続部及び第3の前記ベース部材に形成された第1の前記導体層を介して接続されており、
第1の前記ベース部材に形成された第2の前記導体層と第2の前記ベース部材に形成された第2の前記導体層とが、第2の前記直列接続部及び第3の前記ベース部材に形成された第2の前記導体層を介して接続されている付記1に記載のコイル体。
(付記4)
複数の前記ベース部材の軸方向の中心位置(70)に対して軸方向一方側に配置された第1の前記ベース部材に形成された複数の前記導体層と、前記中心位置に対して軸方向他方側に配置された第3の前記ベース部材に形成された複数の前記導体層とが、第1の前記直列接続部を介して接続され、
前記中心位置に対して軸方向一方側に配置された第2の前記ベース部材に形成された複数の前記導体層と、前記中心位置に対して軸方向他方側に配置された第4の前記ベース部材に形成された複数の前記導体層とが、第2の前記直列接続部を介して接続され、
第1の前記直列接続部で接続された各前記導体層と第2の前記直列接続部で接続された各前記導体層とが、前記並列接続部を介して接続されている付記2に記載のコイル体。
(付記5)
複数の前記ベース部材の軸方向の中心位置(70)に対して軸方向一方側に配置された第1の前記ベース部材に形成された複数の前記導体層と、前記中心位置に対して軸方向一方側に配置された第2の前記ベース部材に形成された複数の前記導体層とが、第1の前記直列接続部を介して接続され、
前記中心位置に対して軸方向他方側に配置された第3の前記ベース部材に形成された複数の前記導体層と、前記中心位置に対して軸方向他方側に配置された第4の前記ベース部材に形成された複数の前記導体層とが、第2の前記直列接続部を介して接続され、
第1の前記直列接続部で接続された各前記導体層と第2の前記直列接続部で接続された各前記導体層とが、前記並列接続部を介して接続されている付記2に記載のコイル体。
(付記6)
一の前記ベース部材と他の前記ベース部材とを接続する層間接続部(64)を備え、
一の前記ベース部材に形成された前記導体層と他の前記ベース部材に形成された前記導体層とを接続する前記直列接続部、一の前記ベース部材に形成された前記導体層と他の前記ベース部材に形成された前記導体層とを接続する前記並列接続部、前記導体層への電流の入力経路又は前記導体層からの電流の出力経路となっている入出力部(43)の少なくとも1つが前記層間接続部上に形成されている付記1~付記5のいずれか1つに記載のコイル体。
(付記7)
前記層間接続部の一部が折り曲げられた状態で、前記層間接続部を介して接続された一の前記ベース部材と他の前記ベース部材とが軸方向に積層されている付記6に記載のコイル体。
(付記8)
一の前記ベース部材に形成された前記導体層への電流の入力経路又は前記導体層からの電流の出力経路となっている入出力部と他の前記ベース部材に形成された前記導体層への電流の入力経路又は前記導体層からの電流の出力経路となっている入出力部(43)とが、それぞれ周方向の同じ位置に配置されている付記1~付記7のいずれか1つに記載のコイル体。
(付記9)
前記入出力部が径方向外側に向けて延出している前記ベース部材と、前記入出力部が径方向内側に向けて延出している前記ベース部材とが、軸方向に積層されている付記8に記載のコイル体。
(付記10)
付記1~付記9のいずれか1つに記載のコイル体を備えた電機子(14)。
(付記11)
軟磁性材料を用いて形成された電機子コア(26)をさらに備え、
各前記ベース部材にそれぞれ形成された前記導体層の間に前記電機子コアの一部が配置されない状態で、前記電機子コアと前記コイル体とが軸方向対向して配置されている付記10に記載の電機子。
(付記12)
付記10又は付記11に記載の電機子を含んで構成された固定子(14)及び回転子(12)の一方と、
前記コイル体と軸方向に対向して配置されたマグネット(18)を有する固定子及び回転子の他方と、
を備えた回転電機(10、54、56、58、60)。
【符号の説明】
【0101】
10 モータ(回転電機)、12 ロータ(回転子)、14 ステータ(電機子、固定子)、18 マグネット、26 ステータコア(電機子コア)、32 コイル体、33 導体層、34 基板(ベース部材)、43 入出力部、50 直列接続部、52 並列接続部、64 層間接続部、70 中心位置、54 モータ(回転電機)、56 モータ(回転電機)、58 モータ(回転電機)、60 モータ(回転電機)