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特開2025-25576基板搬送ロボット、および、基板搬送ロボットの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025576
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】基板搬送ロボット、および、基板搬送ロボットの制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20250214BHJP
   B25J 15/00 20060101ALI20250214BHJP
   B25J 15/08 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J15/00 F
B25J15/08 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130449
(22)【出願日】2023-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】金丸 亮介
(72)【発明者】
【氏名】北野 真也
(72)【発明者】
【氏名】中矢 敦史
(72)【発明者】
【氏名】新井 洋平
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707AS05
3C707AS24
3C707DS05
3C707ES03
3C707ES17
3C707EV05
3C707EV19
3C707HS27
3C707KS31
3C707KW01
3C707KX08
3C707LT06
3C707LT12
3C707LV04
3C707LV05
3C707MS07
3C707NS13
5F131AA02
5F131AA03
5F131AA21
5F131AA22
5F131BA02
5F131BA04
5F131BA22
5F131BA24
5F131CA09
5F131CA12
5F131CA18
5F131CA32
5F131CA33
5F131DB03
5F131DB12
5F131DB22
5F131DB42
5F131DB43
5F131DB45
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5F131DB62
5F131DB76
5F131DB86
5F131DD03
5F131DD43
5F131DD78
5F131EA04
5F131EC02
5F131KA02
5F131KA22
5F131KA40
5F131KA52
5F131KA72
5F131KB12
5F131KB32
5F131KB56
5F131KB58
(57)【要約】
【課題】基板の搬送動作を適切に行うことが可能な基板搬送ロボットおよび基板搬送ロボットの制御方法を提供する。
【解決手段】この基板搬送ロボット100は、基板または検出治具の基板載置部に対する搬送動作において、基板または検出治具と、基板保持ハンドとの接触状態を検出する接触センサ41、42、および、43と、基板保持ハンドの傾きを調整するチルト機構30と、接触センサ41、42、および、43からの検出信号に基づいて、チルト機構30を動作させることにより基板載置部と基板保持ハンドとの相対的な傾きを調整する制御部50と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、または、前記基板を模した検出治具を保持する基板保持ハンドと、
前記基板または前記検出治具の基板載置部に対する搬送動作において、前記基板または前記検出治具と、前記基板保持ハンドとの接触状態を検出する接触センサと、
前記基板保持ハンドの傾きを調整する傾き調整機構と、
前記接触センサからの検出信号に基づいて、前記傾き調整機構を動作させることにより前記基板載置部と前記基板保持ハンドとの相対的な傾きを調整する制御部と、を備える、基板搬送ロボット。
【請求項2】
前記接触センサは、複数配置されており、
前記制御部は、複数の前記接触センサの各々における検出信号の変化の差異に基づいて、前記基板載置部と前記基板保持ハンドとの相対的な傾きを調整する、請求項1に記載の基板搬送ロボット。
【請求項3】
前記接触センサは、前記基板保持ハンドに配置され、前記基板と前記基板保持ハンドとの接触状態を検出するハンドセンサと、前記検出治具に配置され、前記検出治具と前記基板保持ハンドとの接触状態を検出する治具センサと、前記基板載置部に配置され、前記基板載置部と前記基板または前記検出治具との接触状態を検出することによって前記基板または前記検出治具と前記基板保持ハンドとの接触状態を検出する載置部センサとの少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載の基板搬送ロボット。
【請求項4】
前記接触センサは、少なくとも3つの前記ハンドセンサを含み、
前記ハンドセンサは、前記基板保持ハンドにおいて、前記基板が当接する位置のうちの互いに異なる少なくとも3つの位置に配置されている、請求項3に記載の基板搬送ロボット。
【請求項5】
前記基板保持ハンドは、先端部が2つに分かれた二股形状を有しており、
前記ハンドセンサは、前記基板保持ハンドにおいて、2つに分かれた前記先端部の各々に1つずつ配置されている先端部センサと、基端部に配置されている基端部センサとを含む、請求項4に記載の基板搬送ロボット。
【請求項6】
前記接触センサは、少なくとも3つの前記治具センサを含み、
前記治具センサは、前記検出治具において、前記基板保持ハンドが当接する位置と、前記基板載置部が当接する位置とのうちの互いに異なる少なくとも3つの位置に配置されている、請求項3に記載の基板搬送ロボット。
【請求項7】
前記基板および前記検出治具は、円板状形状を有し、
前記接触センサは、
少なくとも3つ配置されており、
円板状形状を有する前記基板または前記検出治具の周縁部に対して、円周を3分割する位置に対応して1つずつ配置されている、請求項1または2に記載の基板搬送ロボット。
【請求項8】
前記制御部は、前記接触センサからの検出信号に基づいて、上下方向に沿った1軸の検出値を取得することによって、前記基板載置部と前記基板保持ハンドとの相対的な傾きを調整する、請求項2に記載の基板搬送ロボット。
【請求項9】
前記傾き調整機構は、
下側部材と、
前記下側部材と上下方向に対向して配置された上側部材と、
前記下側部材と前記上側部材との間において、上下方向から見て互いに異なる箇所に配置される3つの球面滑り軸受けと、
3つの前記球面滑り軸受けのうちの2つにそれぞれ対応して設けられる2つの高さ位置調整機構と、を含み、
前記制御部は、前記接触センサからの検出信号に基づいて、前記高さ位置調整機構により前記下側部材に対する前記上側部材の傾きを調整することによって前記基板載置部と前記基板保持ハンドとの相対的な傾きを調整する、請求項1または2に記載の基板搬送ロボット。
【請求項10】
前記基板保持ハンドは、各々が前記基板または前記検出治具を保持する複数のブレード部材を含み、
前記複数のブレード部材が接続されるブレード保持部をさらに備え、
前記制御部は、前記接触センサからの検出信号に基づいて、前記傾き調整機構を動作させることにより前記ブレード保持部の傾きを調整することによって、前記基板載置部と前記基板保持ハンドとの相対的な傾きを調整する、請求項1または2に記載の基板搬送ロボット。
【請求項11】
前記制御部は、前記接触センサからの検出信号に基づいて、前記基板に対して熱処理が行われる熱処理装置に配置された前記基板載置部と前記基板保持ハンドとの相対的な傾きを調整する、請求項1または2に記載の基板搬送ロボット。
【請求項12】
基板、または、前記基板を模した検出治具の基板載置部に対する搬送動作において、前記基板または前記検出治具を保持する基板保持ハンドと、前記基板または前記検出治具との接触状態を検出し、
前記基板保持ハンドと前記基板または前記検出治具との接触状態を検出した検出信号に基づいて、前記基板保持ハンドの傾きを調整する傾き調整機構を動作させることにより前記基板載置部と前記基板保持ハンドとの相対的な傾きを調整する、基板搬送ロボットの制御方法。
【請求項13】
複数の接触センサからの検出信号を取得することによって、前記基板保持ハンドと前記基板または前記検出治具との接触状態を検出し、
前記複数の接触センサの各々における検出信号の変化の差異に基づいて、前記傾き調整機構を動作させることにより前記複数の接触センサの各々における検出信号の変化の差異を解消することによって、前記基板載置部と前記基板保持ハンドとの相対的な傾きを調整する、請求項12に記載の基板搬送ロボットの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、基板搬送ロボット、および、基板搬送ロボットの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板搬送用ロボットが知られている。たとえば、特許文献1では、基板保持部とロボットアームとを備える基板搬送用ロボットが記載されている。基板保持部は、基板を保持する。ロボットアームは、基板保持部を支持するとともに、基板保持部を水平面内で移動させる。また、特許文献1に記載の基板搬送用ロボットは、基板保持状態を検知する接触センサを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-170382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の基板搬送用ロボットのように基板を搬送する場合において、基板を保持する基板保持ハンドである基板保持部と、基板が載置される基板載置部との間の傾きにずれが生じる場合がある。その場合には、基板保持ハンドと基板載置部との間の傾きのずれに起因して、基板の搬送動作が適切に行われず、基板に対して不要な力または振動が加えられる場合がある。基板の搬送動作において、基板に対して力または振動などが加えられた場合には基板の表面に異物が付着することがある。このような異物は、基板に形成される回路に異常が生じることの原因となる。また、基板の搬送動作が適切に行われない場合には、搬送された基板に位置ずれが生じる場合がある。そのため、基板の搬送動作を適切に行うことが望まれている。
【0005】
この開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この開示の1つの目的は、基板の搬送動作を適切に行うことが可能な基板搬送ロボット、および、基板搬送ロボットの制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この開示の第1の局面による基板搬送ロボットは、基板、または、基板を模した検出治具を保持する基板保持ハンドと、基板または検出治具の基板載置部に対する搬送動作において、基板または検出治具と、基板保持ハンドとの接触状態を検出する接触センサと、基板保持ハンドの傾きを調整する傾き調整機構と、接触センサからの検出信号に基づいて、傾き調整機構を動作させることにより基板載置部と基板保持ハンドとの相対的な傾きを調整する制御部と、を備える。
【0007】
この開示の第1の局面による基板搬送ロボットは、上記のように、接触センサからの検出信号に基づいて、傾き調整機構を動作させることにより基板載置部と基板保持ハンドとの相対的な傾きを調整する制御部を備える。これにより、接触センサからの検出信号に基づいて傾き調整機構を動作させることによって、基板保持ハンドと基板載置部との間の傾きのずれを抑制できる。そのため、基板保持ハンドと基板載置部との間の傾きのずれに起因して基板の搬送動作が不適切となることを抑制できる。その結果、基板の搬送動作を適切に行うことができる。
【0008】
この開示の第2の局面による基板搬送ロボットの制御方法は、基板、または、基板を模した検出治具の基板載置部に対する搬送動作において、基板または検出治具を保持する基板保持ハンドと、基板または検出治具との接触状態を検出し、基板保持ハンドと基板または検出治具との接触状態を検出した検出信号に基づいて、基板保持ハンドの傾きを調整する傾き調整機構を動作させることにより基板載置部と基板保持ハンドとの相対的な傾きを調整する。
【0009】
この開示の第2の局面による基板搬送ロボットの制御方法は、上記のように、基板保持ハンドと基板または検出治具との接触状態を検出した検出信号に基づいて、基板保持ハンドの傾きを調整する傾き調整機構を動作させることにより基板載置部と基板保持ハンドとの相対的な傾きを調整する。これにより、接触状態を検出した検出信号に基づいて傾き調整機構を動作させることによって、基板保持ハンドと基板載置部との間の傾きのずれを抑制できる。そのため、基板保持ハンドと基板載置部との間の傾きのずれに起因して基板の搬送動作が不適切となることを抑制できる。その結果、基板の搬送動作を適切に行うことが可能な基板搬送ロボットの制御方法を提供できる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、基板の搬送動作を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態による基板搬送ロボットの全体構成を示した斜視図である。
図2】第1実施形態によるチルト機構を示す斜視図である。
図3】チルト機構の上下方向に沿った断面図である。
図4】基板保持ハンドにおける接触センサの配置を説明するための斜視図である。
図5】基板搬送ロボットの制御的な構成を示すブロック図である。
図6】搬送動作における傾きの調整を説明するための模式図である。
図7】第1実施形態による基板搬送ロボットの制御方法を説明するためのフローチャートである。
図8】第2実施形態による基板搬送ロボットの全体構成を示した斜視図である。
図9】検出治具における接触センサの配置を説明するための斜視図である。
図10】第1変形例による基板載置部における接触センサの配置を説明するための天面図である。
図11】第2変形例による基板保持ハンドを説明するための斜視図である。
図12】第3変形例による基板保持ハンドを説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
以下、本開示を具体化した本開示の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1から図6までを参照して、第1実施形態による基板搬送ロボット100の構成について説明する。以下では、水平面内で互いに略直交する2方向を、それぞれX方向およびY方向とする。また、水平面(X-Y平面)に略直交する上下方向を、Z方向とする。
【0014】
(基板搬送ロボットの構成)
図1に示すように、基板搬送ロボット100は、熱処理装置101に配置されている。基板搬送ロボット100は、熱処理装置101において、FOUP102(Front Opening Unified Pod)と基板載置部103との間で基板Wの搬送動作を行う。基板搬送ロボット100による搬送動作は、FOUP102に配置された基板Wを基板載置部103に対して搬入することと、FOUP102に対して基板載置部103から基板Wを搬出することとの両方を含む。すなわち、基板搬送ロボット100による搬送動作は、基板載置部103に基板Wを置く動作と、基板載置部103に載置されている基板Wを取る動作とを含む。
【0015】
FOUP102は、複数の基板Wが収納される基板収納容器である。基板載置部103は、熱処理装置101に配置されており、複数の基板Wが載置される。熱処理装置101では、基板載置部103に載置された状態の複数の基板Wに対して熱処理が行われる。基板載置部103は、複数の基板Wを上下方向であるZ方向に沿って並べて保持する柱状の保持部材103aを有する。基板載置部103には、3つの保持部材103aが、Z方向に沿って延びるように配置されている。複数の基板Wの各々の周縁部が、保持部材103aに配置された複数の爪部の各々に保持されることによって、複数の基板Wは、基板載置部103において、主表面同士が対向した状態でZ方向に沿って並べて配置される。基板Wは、円板状形状を有する半導体ウエハである。基板Wは、たとえば、シリコン、ゲルマニウム、または、石英ガラスなどにより形成されている。
【0016】
基板搬送ロボット100は、基板保持ハンド10と、駆動機構20と、制御部50とを備える。駆動機構20は、ブレード保持部21と、水平移動機構22と、旋回機構23と、取付部24と、昇降機構25とを含む。また、第1実施形態による基板搬送ロボット100では、駆動機構20において、チルト機構30が配置されている。なお、チルト機構30は、傾き調整機構の一例である。
【0017】
基板保持ハンド10は、先端部が2つに分かれた二股形状の複数のブレード部材11を有している。基板保持ハンド10は、二股形状の複数のブレード部材11により基板Wを保持する。基板保持ハンド10において、ブレード部材11は、上下方向であるZ方向に並んで5つ配置されている。5つのブレード部材11の各々は、1枚ずつ基板Wを保持する。基板保持ハンド10は、二股形状を有する板状のブレード部材11におけるZ方向の上方向側の面に基板Wが載置されることによって基板Wを保持するパッシブハンドである。基板保持ハンド10は、駆動機構20の動作により移動する。
【0018】
ブレード保持部21には、複数のブレード部材11の2つに分かれた先端部とは反対側の基端部が接続されている。水平移動機構22は、水平方向に延びる支持体22aを有する。ブレード保持部21は、水平移動機構22の支持体22aに取り付けられており、支持体22aに対して水平方向に移動する。水平移動機構22は、ブレード保持部21と共に基板保持ハンド10を水平方向に移動させる。なお、水平移動機構22は、基板保持ハンド10の5つのブレード部材11をまとめて水平方向に移動させる動作と、5つのブレード部材11のうちの一番下の1つを水平方向に移動させる動作とを切り替えて行う。旋回機構23は、Z方向に延びる回転軸部23aを有する。回転軸部23aには、支持体22aが取り付けられている。旋回機構23は、回転軸部23aを中心に、支持体22aおよびブレード保持部21と共に基板保持ハンド10をZ方向周りの回転方向に回転させる。回転軸部23aは、後述するモータ23bにより回転される。
【0019】
チルト機構30は、基板保持ハンド10の傾きを調整する。チルト機構30は、支持体22aと取付部24との間に配置されている。チルト機構30は、取付部24に対する水平移動機構22の支持体22a、ブレード保持部21、および、基板保持ハンド10の傾きを変更することによって、基板保持ハンド10の姿勢を傾ける。すなわち、チルト機構30は、支持体22aおよびブレード保持部21の傾きを変更することによって、基板保持ハンド10の傾きを変更する。また、チルト機構30には、回転軸部23aが取り付けられている。昇降機構25は、Z方向に延びる支持体25aを有し、支持体25aに取付部24が取り付けられている。昇降機構25は、取付部24をZ方向に移動する。すなわち、昇降機構25は、取付部24、チルト機構30、旋回機構23、水平移動機構22およびブレード保持部21と共に基板保持ハンド10をZ方向に昇降させる。
【0020】
〈チルト機構の詳細〉
図2に示すように、チルト機構30は、取付部24が配置されているZ方向の下方向側に配置された板状の下側部材31と、下側部材31と上下方向であるZ方向に対向して配置された上側部材32とを有する。下側部材31は、取付部24に取り付けられている。上側部材32には、支持体22aが回転軸部23aを介して取り付けられている。支持体22aは、回転軸部23aを回転軸として回転する。また、チルト機構30は、下側部材31と上側部材32との間において、上下方向であるZ方向から見て互いに異なる箇所に配置される3つの球面滑り軸受け33、34、および、35を有する。
【0021】
球面滑り軸受け35は、チルト機構30の幅方向であるX方向における中心を基端から先端に延びる仮想中心線L上の先端に配置されている。球面滑り軸受け33および34は、それぞれ、球面滑り軸受け35よりも基板搬送ロボット100の基端側に配置されている。また、球面滑り軸受け33および34は、それぞれ、Z方向から見て、仮想中心線Lを対称軸として線対称となるように配置されている。なお、球面滑り軸受け33および34は、球面滑り軸受け35よりも高い同じ高さ位置に配置されている。
【0022】
図3に示すように、球面滑り軸受け35は、内輪35aおよび外輪35bを有する。球面滑り軸受け35は、外輪35bが中間部材35cを介して下側部材31に取り付けられ、内輪35aがボルト35dを介して上側部材32に取り付けられている。そして、チルト機構30は、3つの球面滑り軸受け33、34、および、35のうちの2つの球面滑り軸受け33および34にそれぞれ対応して配置された2つの高さ位置調整機構36および37を有する。なお、球面滑り軸受け35に対しては、高さ位置調整機構が配置されていない。
【0023】
球面滑り軸受け33は、内輪33aおよび外輪33bを有する。球面滑り軸受け33は、内輪33aが中間部材33cおよび高さ位置調整機構36を介して下側部材31に取り付けられ、外輪33bが上側部材32に取り付けられている。高さ位置調整機構36は、雄ネジ部材36aと、雌ネジ部材36bとを有する。雄ネジ部材36aは、雌ネジ部材36bに螺合されているとともに、後述するモータ36cにより回転される。雌ネジ部材36bは、雄ネジ部材36aが回転されることによりZ方向に移動する。また、雌ネジ部材36bは、内輪33aの内孔に嵌合されており、球面滑り軸受け33を介して上側部材32に取り付けられている。雌ネジ部材36bがZ方向に移動されることにより、上側部材32の高さ位置が変更される。
【0024】
球面滑り軸受け34は、球面滑り軸受け33と同様の構成である。すなわち、球面滑り軸受け34は、内輪34aおよび外輪34bを有する。球面滑り軸受け34は、内輪34aが中間部材34cおよび高さ位置調整機構37を介して下側部材31に取り付けられ、外輪34bが上側部材32に取り付けられている。高さ位置調整機構37は、高さ位置調整機構36と同様の構成である。すなわち、高さ位置調整機構37は、雄ネジ部材37aと、雌ネジ部材37bとを有する。雄ネジ部材37aは、雌ネジ部材37bに螺合されているとともに、後述するモータ37cにより回転される。雌ネジ部材37bは、雄ネジ部材37aが回転されることによりZ方向に移動する。また、雌ネジ部材37bは、内輪34aの内孔に嵌合されており、球面滑り軸受け34を介して上側部材32に取り付けられている。雌ネジ部材37bがZ方向に移動されることにより、上側部材32の高さ位置が変更される。
【0025】
高さ位置調整機構36および37の少なくとも一方により、上側部材32の高さ位置を変更することにより、上側部材32の下側部材31に対する傾きが変更される。上側部材32の下側部材31に対する傾きの変更により、支持体22aの取付部24に対する傾きが変更され、基板保持ハンド10の姿勢が傾けられる。また、上側部材32の高さ位置を変更して上側部材32を傾ける際、球面滑り軸受け33、34または35の外輪を内輪の表面上で滑らせつつ上側部材32を傾けるため、上側部材32を歪ませることなく上側部材32が傾けられる。
【0026】
〈接触センサおよび制御部の構成〉
図4に示すように、第1実施形態では、基板搬送ロボット100は、3つの接触センサ41、接触センサ42、および、接触センサ43を備えている。接触センサ41、42、および、43は、基板保持ハンド10において、上下方向に沿って並んで配置されている複数のブレード部材11のうちの一番下のブレード部材11に配置されている。なお、図4では、基板保持ハンド10において5つのブレード部材11のうちの一番下の1つのみを図示している。接触センサ41、42、および、43は、基板保持ハンド10において、基板Wの周縁部が当接する位置のうちの互いに異なる3つの位置に配置されている。具体的には、接触センサ41および42は、基板保持ハンド10において、ブレード部材11の2つに分かれた先端部の各々に1つずつ配置されている。接触センサ43は、基板保持ハンド10において、ブレード部材11の基端部に配置されている。接触センサ41、42、および、43は、基板保持ハンド10のブレード部材11の基板Wが載置されるZ方向の上方向側の面において、円板状形状を有する基板Wの周縁部に対して、円周を3分割する位置に対応して1つずつ配置されている。接触センサ41、42、および、43は、基板Wの基板載置部103に対する搬送動作において、基板Wと基板保持ハンド10との接触状態を検出する。具体的には、接触センサ41、42、および、43の各々は、基板保持ハンド10に対して基板Wが接触しているか否かの接触状態を検出する。接触センサ41、42、および、43の各々は、たとえば、ひずみゲージまたは圧電センサなどによる力覚センサを含む。接触センサ41、42、および、43の各々は、互いに直交する3軸方向の各々における接触力を検出する。接触センサ41、42、および、43の各々は、接触状態を検出した検出結果を示す検出信号を、制御部50に対して出力する。なお、接触センサ41は、ハンドセンサおよび先端部センサの一例である。接触センサ42は、ハンドセンサおよび先端部センサの一例である。接触センサ43は、ハンドセンサおよび基端部センサの一例である。
【0027】
図5に示すように、制御部50は、基板搬送ロボット100の各部の動作を制御する。具体的には、制御部50は、水平移動機構22、旋回機構23、昇降機構25、および、チルト機構30を制御することにより、基板搬送ロボット100の搬送動作を制御する。具体的には、水平移動機構22、旋回機構23、昇降機構25、高さ位置調整機構36、および、高さ位置調整機構37には、それぞれ、駆動源としてのモータ22b、23b、25b、36c、および、37cが配置されている。制御部50は、モータ22b、23b、25b、36c、および、37cを制御することにより、基板搬送ロボット100による基板Wの搬送動作を制御する。モータ22b、23b、25b、36c、および、37cの各々は、サーボモータである。また、制御部50は、接触センサ41、42、および、43からの検出信号を取得する。
【0028】
制御部50は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置と、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)などのメモリと、ハードディスクなどの記憶装置とを含む。制御部50は、記憶装置に記憶されたプログラムおよびパラメータなどに基づいて、演算装置による制御処理を実行する。また、制御部50は、基板搬送ロボット100の動作の全体を制御するメインCPUと、モータ22b、23b、25b、36c、および、37cを含む駆動源に供給される電流の制御を行うサーボCPUとを有する。
【0029】
第1実施形態では、制御部50は、接触センサ41、42、および、43からの検出信号に基づいて、チルト機構30を動作させることによって、基板載置部103と基板保持ハンド10との相対的な傾きを調整する。制御部50は、3つの接触センサ41、42、および、43の各々における検出信号の変化の差異に基づいて、基板載置部103と基板保持ハンド10との相対的な傾きを調整する。なお、制御部50は、接触センサ41、42、および、43からの検出信号に基づいて、上下方向に沿った1軸の検出値を取得することによって、基板載置部103と基板保持ハンド10との相対的な傾きを調整する。したがって、接触センサ41、42、および、43は、少なくとも上下方向に沿った接触力を検出する1軸以上のセンサであればよい。
【0030】
具体的には、制御部50は、接触センサ41、42、および、43からの検出信号に基づいて、接触センサ41、42、および、43により検出された3軸の接触力の検出結果のうちの上下方向であるZ方向に沿った1軸の検出値を取得する。たとえば、制御部50は、取得された検出信号の検出値が予め設定されたしきい値よりも大きいか否かを判定することによって、基板保持ハンド10に配置された接触センサ41、42、および、43の各々において、基板Wとの接触が検出されたか否かを判定する。
【0031】
図6に示すように、基板載置部103において、基板Wが載置される載置面に対して、基板保持ハンド10において基板Wが保持される面が傾いている場合には、基板Wを基板載置部103から搬出する動作において、接触センサ41、42、および、43の各々における検出信号が変化したタイミングが互いに異なるタイミングとなる。たとえば、基板保持ハンド10のブレード部材11の先端部が上下方向において下方向側に傾いている場合には、基板Wを搬出する動作において、接触センサ41および42よりも先に、接触センサ43が基板Wに接触したことを検知する。制御部50は、接触センサ41、42、および、43の各々における検出信号が変化したタイミングの差異に基づいて、基板載置部103に対する基板保持ハンド10の相対的な傾きを検出する。なお、基板Wを基板載置部103に対して搬入する動作を行う場合には、接触センサ41、42、および、43の各々により、基板保持ハンド10により保持された状態の基板Wが接触している状態から、基板Wが基板載置部103に載置されることにより基板保持ハンド10に接触していない状態へと変化したことが検出信号の変化として検出される。なお、図6では、基板保持ハンド10において5つのブレード部材11のうちの一番下の1つのみを図示している。
【0032】
制御部50は、基板載置部103と基板保持ハンド10との相対的な傾きを解消するために、チルト機構30の動作を制御する。すなわち、制御部50は、チルト機構30を動作させることにより取付部24に対するブレード保持部21の傾きを調整することによって、基板載置部103に対する基板保持ハンド10の相対的な傾きを調整する。制御部50は、接触センサ41、42、および、43からの検出信号に基づいて、高さ位置調整機構36および37により、下側部材31に対する上側部材32の傾きを調整する。これにより、制御部50は、基板載置部103に対する基板保持ハンド10の相対的な傾きを調整する。制御部50は、チルト機構30を動作させることによって、3つの接触センサ41、42、および、43の各々における検出信号の変化の差異を解消する。たとえば、制御部50は、基板Wの搬出動作において、基板保持ハンド10の基端部に配置された接触センサ43における検出信号の変化のタイミングが、先端部に配置された接触センサ41および42における検出信号の変化のタイミングよりも早い場合には、先端部が持ち上がるようにチルト機構30を動作させて基板保持ハンド10の傾きを調整する。このように、制御部50は、接触センサ41、42、および、43の各々からの検出信号に基づいて、チルト機構30を動作させることによって、検出信号が変化したタイミングの差異を小さくする。
【0033】
たとえば、制御部50は、基板搬送ロボット100の据え付け時、または、定期的なメンテナンス時において、接触センサ41、42、および、43の各々からの検出信号に基づいて、チルト機構30を動作させるための設定値を設定する傾き設定動作を実行する。制御部50は、傾き設定動作によって、基板載置部103と基板保持ハンド10との相対的な傾きを調整する。制御部50は、傾き設定動作により予め設定された設定値に基づいてチルト機構30により基板保持ハンド10の傾きを所定の大きさに設定した状態で、基板載置部103に対する基板Wの搬送動作を行う。傾き設定動作では、たとえば、制御部50は、複数回に渡って、基板Wを基板載置部103に載置する搬入動作と、基板載置部103から保持する搬出動作とを繰り返して行うとともに、繰り返しの搬入動作および搬出動作を行いながら取得された接触センサ41、42、および、43の各々からの検出信号に基づいて、複数回に渡ってチルト機構30の動作を調整する。たとえば、制御部50は、3つの接触センサ41、42、および、43の各々における検出信号の変化のタイミングの差異が、所定のしきい値よりも小さくなる設定値を、傾き設定動作におけるチルト機構30の調整結果として設定して、記憶装置に記憶する。チルト機構30の調整結果として設定された設定値は、基板Wの搬送動作におけるチルト機構30の高さ位置調整機構36および37の設定値として記憶される。
【0034】
また、制御部50は、傾き設定動作において設定された設定値に基づいて、複数の基板Wを基板載置部103に対して搬送している場合において、基板載置部103と基板保持ハンド10との相対的な傾きが検出された場合には、チルト機構30の設定値を更新する。たとえば、制御部50は、複数の接触センサ41、42、および、43のうちの一部において、検出信号の変化が検出されるとともに、予め設定された所定のしきい値としての所定の時間が経過した場合にも、複数の接触センサ41、42、および、43の全てにおいて検出信号の変化が検出されない場合には、検出信号の変化の差異が所定のしきい値以上であるとして、基板載置部103と基板保持ハンド10との相対的な傾きが検出されたと判断する。その場合には、制御部50は、検出信号の変化が検出されていない接触センサ41、42、および、43において、検出信号が変化するようにチルト機構30の動作を制御する。たとえば、制御部50は、基板Wを搬出する動作において、接触センサ41および42よりも先に、接触センサ43が基板Wに接触した場合には、接触センサ43からの検出信号のみに変化が生じる。その場合において検出信号の変化の差異が所定のしきい値以上であると判断された場合には、制御部50は、接触センサ43からの検出信号はそのままであって、接触センサ41および42からの検出信号に変化が生じるように、チルト機構30を動作させるとともに、接触センサ41および42からの検出信号に変化が生じた時点における設定値を、チルト機構30の動作における新たな設定値として更新する。制御部50は、たとえば、基板保持ハンド10において基板Wが載置される面であるブレード部材11のZ方向の上方向側の面と、基板載置部103において基板Wが載置される載置面とが、互いに平行となるように、チルト機構30の動作を設定する。すなわち、制御部50が、基板Wの搬送動作において、基板保持ハンド10において保持されている状態の基板Wと、基板載置部103において載置されている状態の基板Wとが、互いに平行となるように、チルト機構30を動作させる。
【0035】
(基板搬送ロボットの制御方法)
図7を参照して、第1実施形態における基板搬送ロボット100の制御方法をフローチャートに基づいて説明する。なお、ステップS1からステップS4までの制御処理は、制御部50によって実行される。
【0036】
まず、ステップS1において、基板Wの基板載置部103に対する搬送動作において、複数の接触センサ41、42、および、43からの検出信号を取得することによって、基板保持ハンド10と基板Wとの接触状態が検出される。
【0037】
次に、ステップS2において、複数の接触センサ41、42、および、43の各々における検出信号の変化の差異が所定のしきい値よりも小さいか否かが判断される。検出信号の変化の差異が所定のしきい値よりも小さいと判断された場合には、制御処理が終了される。検出信号の変化の差異が所定のしきい値よりも小さいと判断されない場合には、ステップS3に進む。
【0038】
ステップS3では、複数の接触センサ41、42、および、43の各々における検出信号の変化の差異に基づいて、チルト機構30を動作させることにより複数の接触センサ41、42、および、43の各々における検出信号の変化の差異を解消することによって、基板載置部103と基板保持ハンド10との相対的な傾きが調整される。たとえば、複数の接触センサ41、42、および、43のうちの一部において検出信号の変化が検出されている場合には、検出信号の変化が検出されていない複数の接触センサ41、42、および、43のうちの残りにおいて検出信号の変化が検出されるように、チルト機構30を動作させることによって、複数の接触センサ41、42、および、43の各々における検出信号の変化の差異が解消される。
【0039】
次に、ステップS4において、ステップS2により基板載置部103と基板保持ハンド10との相対的な傾きが調整された状態におけるチルト機構30の設定値が記憶される。
【0040】
[第1実施形態の効果]
基板搬送ロボット100は、接触センサ41、42、および、43からの検出信号に基づいて、傾き調整機構としてのチルト機構30を動作させることにより基板載置部103と基板保持ハンド10との相対的な傾きを調整する制御部50を備える。これにより、接触センサ41、42、および、43からの検出信号に基づいてチルト機構30を動作させることによって、基板保持ハンド10と基板載置部103との間の傾きのずれを抑制できる。そのため、基板保持ハンド10と基板載置部103との間の傾きのずれに起因して基板Wの搬送動作が不適切となることを抑制できる。その結果、基板Wの搬送動作を適切に行うことができる。
【0041】
接触センサ41、42、および、43は、複数配置されている。制御部50は、複数の接触センサ41、42、および、43の各々における検出信号の変化の差異に基づいて、基板載置部103と基板保持ハンド10との相対的な傾きを調整する。ここで、1つの接触センサにより基板載置部103と基板保持ハンド10との相対的な傾きを検出する場合には、互いに直交する3軸方向の力を検出する接触センサが用いられる。また、1つの接触センサを用いる場合には、検出箇所が1か所となるため、基板Wに反りがある場合などには、検出結果の精度が低下して、基板載置部103と基板保持ハンド10との相対的な傾きの調整の精度が低下すると考えられる。そのため、複数の接触センサ41、42、および、43の各々における検出信号の変化の差異に基づいて基板載置部103と基板保持ハンド10との相対的な傾きを調整することによって、1つの接触センサからの検出信号に基づいて基板載置部103と基板保持ハンド10との相対的な傾きを調整する場合に比べて、より容易に精度よく傾きを調整できる。その結果、基板Wの搬送動作をより適切に行うことができる。
【0042】
基板搬送ロボット100は、基板保持ハンド10に配置され、基板Wと基板保持ハンド10との接触状態を検出するハンドセンサとしての接触センサ41、42、および、43を含む。これにより、接触センサ41、42、および、43が基板保持ハンド10に配置されているため、実際の基板Wの搬送動作を行っている最中にも、基板保持ハンド10と基板載置部103との相対的な傾きを調整できる。そのため、基板Wの搬送動作を行っている最中において、基板保持ハンド10と基板載置部103との相対的な傾きに変化が生じた場合にも、チルト機構30により傾きを調整できるので、基板Wの搬送動作をより適切に行うことができる。また、基板保持ハンド10に配置された光電センサなどのマッピングセンサによって基板載置部103に配置された基板Wを検出する場合には、基板載置部103に配置された基板Wの手前側しか検出することができず、基板Wの奥側を検出することが困難となる。これに対して、基板保持ハンド10に配置された接触センサ41、42、および、43を用いることによって、基板載置部103に載置された基板Wの手前側のみならず奥側も容易に検出できるので、基板保持ハンド10に配置された接触センサ41、42、および、43からの検出結果に基づいて、基板保持ハンド10と基板載置部103との相対的な傾きをより精度よく検出できる。そのため、基板Wの搬送動作をより適切に行うことができる。
【0043】
基板搬送ロボット100は、ハンドセンサとしての接触センサ41、42、および、43は、基板保持ハンド10において、基板Wが当接する位置のうちの互いに異なる少なくとも3つの位置に配置されている。これにより、3つの接触センサ41、42、および、43によって互いに異なる3点における基板Wと基板保持ハンド10との接触を検出できるので、3つの接触センサ41、42、および、43からの検出結果によって、基板保持ハンド10と基板載置部103との相対的な3次元的な傾きを容易に検出できる。そのため、基板保持ハンド10と基板載置部103との相対的な3次元的な傾きを容易に調整できるので、基板Wの搬送動作をより適切に行うことができる。
【0044】
基板保持ハンド10は、先端部が2つに分かれた二股形状を有している。基板搬送ロボット100は、ハンドセンサは、基板保持ハンド10において、2つに分かれた先端部の各々に1つずつ配置されている先端部センサとしての接触センサ41および42と、基端部に配置されている基端部センサとしての接触センサ43とを含む。これにより、二股形状を有する基板保持ハンド10において、基板Wが接触する位置に配置された接触センサ41、42、および、43により基板Wと基板保持ハンド10との接触状態をより精度よく検出できる。その結果、二股形状を有する基板保持ハンド10を用いた基板Wの搬送動作をより適切に行うことができる。
【0045】
基板Wは、円板状形状を有する。接触センサ41、42、および、43は、円板状形状を有する基板Wの周縁部に対して、円周を3分割する位置に対応して1つずつ配置されている。これにより、円板状の基板Wに対して、周縁部の円周を3分割する位置に対応して接触センサ41、42、および、43を1つずつ配置することによって、互いにより離間した位置に、接触センサ41、42、および、43の各々を配置できる。その結果、接触センサ41、42、および、43による検出結果に基づいて、基板載置部103に対する基板保持ハンド10の相対的な傾きをより精度よく検出できるので、基板Wの搬送動作をより適切に行うことができる。
【0046】
制御部50は、接触センサ41、42、および、43からの検出信号に基づいて、上下方向に沿った1軸の検出値を取得することによって、基板載置部103と基板保持ハンド10との相対的な傾きを調整する。これにより、制御部50を複数の軸の検出値に基づいて基板載置部103と基板保持ハンド10との相対的な傾きを調整するように構成する場合に比べて、接触センサ41、42、および、43を、少なくとも1軸の検出値を検出するように構成すればよいので、接触センサ41、42、および、43の構成が複雑化することを抑制できる。その結果、基板搬送ロボット100の装置構成が複雑化することを抑制できる。
【0047】
傾き調整機構としてのチルト機構30は、下側部材31と、下側部材31と上下方向に対向して配置された上側部材32と、下側部材31と上側部材32との間において、上下方向から見て互いに異なる箇所に配置される3つの球面滑り軸受け33、34、および、35と、3つの球面滑り軸受け33、34、および35のうちの2つである球面滑り軸受け33および34にそれぞれ対応して設けられる2つの高さ位置調整機構36および37と、を含む。制御部50は、接触センサ41、42、および、43からの検出信号に基づいて、高さ位置調整機構36および37により下側部材31に対する上側部材32の傾きを調整することによって基板載置部103と基板保持ハンド10との相対的な傾きを調整する。これにより、3つの球面滑り軸受け33、34、および、35と2つの高さ位置調整機構36および37とを用いて、下側部材31および上側部材32を互いに対して歪ませることなく、基板載置部103と基板保持ハンド10との相対的な傾きを調整できるので、基板Wの搬送動作をより適切に行うことができる。
【0048】
基板保持ハンド10は、各々が基板Wを保持する複数のブレード部材11を含む。複数のブレード部材11が接続されるブレード保持部21を備える。制御部50は、接触センサ41、42、および、43からの検出信号に基づいて、傾き調整機構としてのチルト機構30を動作させることによりブレード保持部21の傾きを調整することによって、基板載置部103と基板保持ハンド10との相対的な傾きを調整する。これにより、複数のブレード部材11が接続されているブレード保持部21の傾きをチルト機構30により調整することによって、複数のブレード部材11の傾きをまとめて調整できる。その結果、複数のブレード部材11の傾きを別個に調整する場合に比べて、装置構成が複雑化することを抑制できる。
【0049】
制御部50は、接触センサ41、42、および、43からの検出信号に基づいて、基板Wに対して熱処理が行われる熱処理装置101に配置された基板載置部103と基板保持ハンド10との相対的な傾きを調整する。ここで、熱処理装置101に配置された基板載置部103は、基板Wに対する熱処理によって変形する場合がある。この場合には、基板載置部103と基板保持ハンド10との間の傾きにずれが生じる。そのため、熱処理装置101に配置された基板載置部103と基板保持ハンド10との相対的な傾きを調整することによって、基板Wの搬送動作を効果的に適切に行うことができる。
【0050】
(基板搬送ロボットの制御方法の効果)
第1実施形態では、上記のように、基板搬送ロボット100の制御方法は、基板保持ハンド10と基板Wとの接触状態を検出した検出信号に基づいて、基板保持ハンド10の傾きを調整する傾き調整機構としてのチルト機構30を動作させることにより基板載置部103と基板保持ハンド10との相対的な傾きを調整する。これにより、接触状態を検出した検出信号に基づいてチルト機構30を動作させることによって、基板保持ハンド10と基板載置部103との間の傾きのずれを抑制できる。そのため、基板保持ハンド10と基板載置部103との間の傾きのずれに起因して基板Wの搬送動作が不適切となることを抑制できる。その結果、基板Wの搬送動作を適切に行うことが可能な基板搬送ロボット100の制御方法を提供できる。
【0051】
基板搬送ロボット100の制御方法は、複数の接触センサ41、42、および、43からの検出信号を取得することによって、基板保持ハンド10と基板Wとの接触状態を検出する。また、基板搬送ロボット100の制御方法は、複数の接触センサ41、42、および、43の各々における検出信号の変化の差異に基づいて、傾き調整機構としてのチルト機構30を動作させることにより複数の接触センサ41、42、および、43の各々における検出信号の変化の差異を解消することによって、基板載置部103と基板保持ハンド10との相対的な傾きを調整する。これにより、チルト機構30を動作させることにより複数の接触センサ41、42、および、43の各々における検出信号の変化の差異を解消することによって、基板載置部103と基板保持ハンド10との相対的な傾きを精度よく調整できる。その結果、基板Wの搬送動作をより適切に行うことが可能な基板搬送ロボット100の制御方法を提供できる。
【0052】
[第2実施形態]
次に、図8および図9を参照して、第2実施形態による基板搬送ロボット200の構成について説明する。第2実施形態では、基板搬送ロボット200は、接触センサ41、42、および、43が基板保持ハンド10に配置されていた第1実施形態の基板搬送ロボット100とは異なり、接触センサ241、242、および、243が、検出治具204に配置されている。なお、上記第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0053】
図8に示すように、第2実施形態による基板搬送ロボット200は、第1実施形態の基板搬送ロボット100と同様に、熱処理装置101において、FOUP102と基板載置部103との間で基板Wの搬送動作を行う。基板搬送ロボット200は、基板保持ハンド210と、駆動機構20と、チルト機構30と、制御部250とを備えている。
【0054】
基板保持ハンド210は、第1実施形態の基板保持ハンド10と同様に、基板Wを保持する。また、第2実施形態では、基板保持ハンド210は、後述する傾き設定動作において、基板Wを模した検出治具204を保持する。なお、基板保持ハンド210には、第1実施形態の基板保持ハンド10とは異なり、接触センサは配置されていない。基板保持ハンド210のその他の構成は、第1実施形態の基板保持ハンド10と同様である。
【0055】
図9に示すように、第2実施形態では、3つの接触センサ241、接触センサ242、および、接触センサ243が、検出治具204に配置されている。検出治具204は、基板Wと同様に円板状形状を有している。接触センサ241、242、および、243は、検出治具204において、基板保持ハンド210が当接する位置と、基板載置部103が当接する位置とのうちの互いに異なる3つの位置に配置されている。たとえば、接触センサ241、242、および、243は、検出治具204において、基板保持ハンド210のブレード部材11の2つに分かれた先端部の各々と、基端部とが接触する位置に配置されている。すなわち、接触センサ241、242、および、243は、基板保持ハンド210が当接する位置であって、円板状形状を有する検出治具204の周縁部に対して、円周を3分割する位置に対応して1つずつ配置されている。また、接触センサ241、242、および、243は、検出治具204の基板載置部103に対する搬送動作において、検出治具204と基板保持ハンド10との接触状態を検出する。接触センサ241、242、および、243の各々は、第1実施形態の接触センサ41、42、および、43と同様に、たとえば、ひずみゲージまたは圧電センサなどによる力覚センサを含み、互いに直交する3軸方向の各々における接触力を検出する。接触センサ241、242、および、243の各々は、接触状態を検出した検出結果を示す検出信号を、制御部250に対して出力する。たとえば、接触センサ241、242、および、243の各々は、無線通信により制御部250に対して検出信号を出力する。なお、接触センサ241、242、および、243は、治具センサの一例である。
【0056】
制御部250は、第1実施形態の制御部50と同様に、基板搬送ロボット200の各部の動作を制御する。制御部250のハードウェア的な構成は、第1実施形態の制御部50と同様である。制御部250は、第1実施形態の制御部50と同様に、傾き設定動作によって、基板載置部103と基板保持ハンド210との相対的な傾きを調整する。第2実施形態では、制御部250は、接触センサ241、242、および、243からの検出信号に基づいて、チルト機構30を動作させることによって、基板載置部103と基板保持ハンド210との相対的な傾きを調整する。
【0057】
第2実施形態では、制御部250は、チルト機構30の動作の設定を行う傾き設定動作において、基板Wの替わりに検出治具204を基板搬送ロボット200により基板載置部103に搬送させることによって、接触センサ241、242、および、243からの検出信号を取得する。制御部50は、検出治具204の搬送動作において取得された3つの接触センサ241、242、および、243の各々における検出信号の変化の差異に基づいて、基板載置部103と基板保持ハンド210との相対的な傾きを調整する。
【0058】
なお、第2実施形態による基板載置部103と基板保持ハンド210との相対的な傾きを調整する基板搬送ロボット200の制御方法は、基板Wの搬送動作において基板Wを検出することに替えて、検出治具204の搬送動作において検出治具204を検出するだけであって、その他の点においては、第1実施形態による基板搬送ロボット100の制御方法と同様である。
【0059】
[第2実施形態の効果]
基板搬送ロボット200は、検出治具204に配置され、検出治具204と基板保持ハンド210との接触状態を検出する治具センサとしての接触センサ241、242、および、243を含む。これにより、接触センサ241、242、および、243が、検出治具204に配置されているため、基板保持ハンド210に接触センサを配置することなく、基板保持ハンド210と基板載置部103との相対的な傾きを調整できる。そのため、基板搬送ロボット200の構成の複雑化を抑制しながら、基板保持ハンド210と基板載置部103との相対的な傾きを容易に調整できる。その結果、基板搬送ロボット200の構成の複雑化を抑制しながら、基板Wの搬送動作を適切に行うことができる。
【0060】
基板搬送ロボット200は、少なくとも3つの治具センサとしての接触センサ241、242、および、243を含む。接触センサ241、242、および、243は、検出治具204において、基板保持ハンド210が当接する位置と、基板載置部103が当接する位置とのうちの互いに異なる少なくとも3つの位置に配置されている。これにより、3つの接触センサ241、242、および、243によって互いに異なる3点における接触を検出できるので、3つの接触センサ241、242、および、243からの検出結果によって、基板保持ハンド210と基板載置部103との相対的な3次元的な傾きを容易に検出できる。そのため、基板保持ハンド210と基板載置部103との相対的な3次元的な傾きを容易に調整できるので、基板Wの搬送動作をより適切に行うことができる。
【0061】
検出治具204は、円板状形状を有する。接触センサ241、242、および、243は、円板状形状を有する検出治具204の周縁部に対して、円周を3分割する位置に対応して1つずつ配置されている。これにより、円板状の検出治具204に対して、周縁部の円周を3分割する位置に対応して接触センサ241、242、および、243を1つずつ配置することによって、互いにより離間した位置に、接触センサ241、242、および、243の各々を配置できる。その結果、接触センサ241、242、および、243による検出結果に基づいて、基板載置部103に対する基板保持ハンド210の相対的な傾きをより精度よく検出できるので、基板Wの搬送動作をより適切に行うことができる。
【0062】
なお、第2実施形態におけるその他の効果は、第1実施形態と同様である。また、第2実施形態による基板搬送ロボット200の制御方法の効果も、基板Wの搬送動作において基板Wを検出することに替えて、検出治具204の搬送動作において検出治具204を検出するだけであって、第1実施形態の基板搬送ロボット100の制御方法の効果と同様である。
【0063】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0064】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、傾き調整機構としてのチルト機構30を動作させることにより、熱処理装置101に配置された基板載置部103と基板保持ハンド10および210と相対的な傾きが調整される例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、傾き調整機構の動作により、基板載置部としてのFOUPと、基板保持ハンドとの相対的な傾きが調整されてもよい。また、基板に対して熱処理以外のエッチング処理や加工処理などが行われる処理装置に配置された基板載置部と基板保持ハンドとの相対的な傾きが調整されてもよい。また、EFEM(Equipment Front End Module)において基板が載置されるロードロック部などの基板載置部、または、基板の向きを調整するためのアライナ装置における基板載置部などに対する基板保持ハンドとの相対的な傾きを調整するようにしてもよい。すなわち、基板載置部としてのFOUP、処理装置に配置された基板載置部、ロードロック部などの基板載置部、および、アライナ装置における基板載置部のうちのいずれか同士の間における搬送動作において、傾き調整機構を動作させることにより相対的な傾きが調整されるようにしてもよい。また、基板載置部としてのFOUP同士、処理装置に配置された基板載置部同士、ロードロック部などの基板載置部同士、および、アライナ装置における基板載置部同士のうちのいずれかにおける搬送動作において、傾き調整機構を動作させることにより相対的な傾きが調整されるようにしてもよい。
【0065】
また、上記第1実施形態では、基板保持ハンド10にハンドセンサとしての接触センサ41、42、および、43を配置する例を示し、上記第2実施形態では、検出治具204に治具センサとしての接触センサ241、242、および、243を配置する例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、基板載置部に載置部センサとしての接触センサを配置するようにしてもよい。たとえば、図10に示す第1変形例のように、基板Wが載置される基板載置部303に、載置部センサとしての接触センサ341、342、および、343を配置するようにしてもよい。接触センサ341、342、および、343は、基板載置部303と基板Wまたは検出治具204との接触状態を検出することによって、基板Wまたは検出治具204と基板保持ハンド310との接触状態を検出する。図10では、たとえば、EFEMにおいて基板が載置される基板載置部303に接触センサ341、342、および、343が配置されている。接触センサ341、342、および、343は、基板載置部303において、第1実施形態の接触センサ41、42、および、43と同様に、円板状形状を有する基板Wの周縁部に対して、円周を3分割する位置に対応して1つずつ配置されている。なお、基板Wを保持する基板保持ハンド310には、接触センサは配置されていない。この場合にも、載置部センサとしての接触センサ341、342、および、343を、基板載置部303に配置し、基板載置部303と基板Wまたは検出治具204との接触状態を検出することによって基板Wまたは検出治具204と基板保持ハンド310との接触状態を検出することによって、基板載置部103と基板保持ハンド310との相対的な傾きを調整できるので、基板Wの搬送動作を適切に行うことができる。
【0066】
また、上記第1実施形態では、基板保持ハンド10において3つのハンドセンサとしての接触センサ41、42、および、43が、円板状形状の基板Wの円周を3分割する位置に配置されている例を示し、第2実施形態では、検出治具204において、3つの治具センサとしての接触センサ241、242、および、243が、円板状形状の検出治具204の円周を3分割する位置に配置されている例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、接触センサの個数は、2つ以下であってもよいし、4つ以上であってもよい。また、接触センサが配置される位置は、基板または検出治具の周縁部に対応する位置ではなくてもよい。たとえば、基板または検出治具の円の中心に接触センサを配置してもよい。
【0067】
また、上記第1および第2実施形態では、基板保持ハンド10および210におけるブレード部材11が、二股形状を有するパッシブハンドである例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、図11に示す第2変形例による基板保持ハンド410のように、二股形状を有していない平板状の基板保持ハンドを配置するようにしてもよい。また、パッシブハンドではなく、基板を吸着するバキュームタイプのハンド、または、基板を固定するチャックを有するアクティブタイプのハンドを配置するようにしてもよい。
【0068】
また、上記第2実施形態では、治具センサとしての接触センサ241、242、および、243が、検出治具204において、基板保持ハンド210が当接する位置に配置されている例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、治具センサとしての接触センサを、検出治具において、検出治具が基板載置部に載置された場合に、基板載置部が当接する位置に配置するようにしてもよい。
【0069】
また、上記第1および第2実施形態では、制御部50および250を、上下方向に沿った1軸の検出値を取得することによって、基板載置部103と基板保持ハンド10および210との相対的な傾きを調整する例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、2軸または3軸の検出値に基づいて、基板載置部と基板保持ハンドとの相対的な傾きを調整するようにしてもよい。
【0070】
また、上記第1および第2実施形態では、傾き調整機構としてのチルト機構30が、3つの球面滑り軸受け33、34、および、35と、2つの高さ位置調整機構36および37とを有する例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、球面滑り軸受けを有さない傾き調整機構を配置するようにしてもよい。また、傾き調整機構において、高さ位置調整機構を配置しないようにしてもよい。たとえば、傾き調整機構を、回転機構を配置することによって、傾きを調整するようにしてもよい。また、傾き調整機構の駆動源を、空気圧または油圧のシリンダによるアクチュエータ、圧電素子、ソレノイドコイル、または、リニアモータなどとしてもよい。
【0071】
また、上記第1および第2実施形態では、基板搬送ロボット100および200が駆動機構20として水平移動機構22を含み、基板保持ハンド10において各々が基板Wまたは検出治具204を保持する複数のブレード部材11が配置されている例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、基板搬送ロボットが、基板保持ハンドを移動させる駆動機構として、複数の関節軸を有するロボットアームを備えていてもよい。その場合、ロボットアームは、水平多関節であってもよいし、垂直多関節であってもよい。また、基板搬送ロボットがパラレルリンク構造の駆動機構を有していてもよい。また、図12に示す第3変形例による基板保持ハンド510のように、基板保持ハンド510が、1つの基板を保持するようにしてもよい。図12に示す第3変形例では、基板保持ハンド510は、駆動機構としてのロボットアーム部520に取り付けられている。この場合において、傾き調整機構としてのチルト機構30は、たとえば、ロボットアーム部520の先端部分と、基板保持ハンド510との間に配置されている。この場合にも、接触センサは、基板保持ハンド510に配置されていてもよいし、検出治具に配置されていてもよいし、基板載置部に配置されていてもよい。また、1つの基板を保持する基板保持ハンドが複数配置されていてもよい。たとえば、複数のロボットアームの各々に1つの基板を保持する基板保持ハンドが1つずつ配置されていてもよい。
【0072】
また、上記第1実施形態では、ハンドセンサとしての接触センサ41、42、および、43が上下方向に沿って並んで配置されている複数のブレード部材11のうちの一番下のブレード部材11に配置されている例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、上下方向に沿って並んで配置されている複数のブレード部材のうちの一番上のブレード部材にハンドセンサを配置してもよいし、中央のブレード部材にハンドセンサを配置してもよい。また、複数のブレード部材の各々にハンドセンサを配置してもよい。
【0073】
また、上記第1実施形態では、力覚センサである3つの接触センサ41、42、および、43を配置し、第2実施形態では、3つの接触センサ241、242、および、243を配置する例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、接触状態を検出する接触センサを、機械式スイッチとしてもよい。また、接触センサを、静電容量センサ、または距離センサなどの接触度合いをアナログ値で検出するセンサとしてもよい。また、接触センサは、3軸ではなく1軸方向の接触力を検出するようにしてもよい。また、3つではなく、2つ以下、または、4つ以上の接触センサを配置するようにしてもよい。また、複数の基板を保持する基板保持ハンドに接触センサを配置する場合に、複数のブレード部材の各々に接触センサを配置するようにしてもよい。その場合に、たとえば、傾き調整機構が1つである場合には、複数のブレード部材の各々ごとの検出結果を平均して、傾き調整機構を動作させてもよい。また、複数のブレード部材の各々に対応するように、複数の傾き調整機構を配置するようにしてもよい。複数のブレード部材の各々に対応するように複数の傾き調整機構が配置されている場合には、複数のブレード部材の各々ごとの検出結果に基づいて、対応する傾き調整機構を別個に制御するようにしてもよい。
【0074】
また、上記第1および第2実施形態では、基板搬送ロボット100および200の各部の動作を制御する制御部50および250によって、接触センサ41、42、43、241、242、および、243からの検出信号に基づいて、基板保持ハンド10と基板載置部103との相対的な傾きが取得される例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、基板搬送ロボットの動作を制御する制御装置とは別個の制御装置によって、検出結果に基づく基板保持ハンドと基板載置部との相対的な傾きの検出の演算処理が行われるようにしてもよい。また、基板搬送ロボットの制御部を、1つのCPUにより構成するようにしてもよい。
【0075】
本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成またはプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、および/または、それらの組み合わせ、を含む回路または処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路または回路と見なされる。本開示において、回路、ユニット、または手段は、列挙された機能を実行するハードウェアであるか、または、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラムまたは構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段、またはユニットはハードウェアとソフトウェアの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェアおよび/またはプロセッサの構成に使用される。
【0076】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0077】
(態様1)
基板、または、前記基板を模した検出治具を保持する基板保持ハンドと、
前記基板または前記検出治具の基板載置部に対する搬送動作において、前記基板または前記検出治具と、前記基板保持ハンドとの接触状態を検出する接触センサと、
前記基板保持ハンドの傾きを調整する傾き調整機構と、
前記接触センサからの検出信号に基づいて、前記傾き調整機構を動作させることにより前記基板載置部と前記基板保持ハンドとの相対的な傾きを調整する制御部と、を備える、基板搬送ロボット。
【0078】
(態様2)
前記接触センサは、複数配置されており、
前記制御部は、複数の前記接触センサの各々における検出信号の変化の差異に基づいて、前記基板載置部と前記基板保持ハンドとの相対的な傾きを調整する、態様1に記載の基板搬送ロボット。
【0079】
(態様3)
前記接触センサは、前記基板保持ハンドに配置され、前記基板と前記基板保持ハンドとの接触状態を検出するハンドセンサと、前記検出治具に配置され、前記検出治具と前記基板保持ハンドとの接触状態を検出する治具センサと、前記基板載置部に配置され、前記基板載置部と前記基板または前記検出治具との接触状態を検出することによって前記基板または前記検出治具と前記基板保持ハンドとの接触状態を検出する載置部センサとの少なくとも1つを含む、態様1または態様2に記載の基板搬送ロボット。
【0080】
(態様4)
前記接触センサは、少なくとも3つの前記ハンドセンサを含み、
前記ハンドセンサは、前記基板保持ハンドにおいて、前記基板が当接する位置のうちの互いに異なる少なくとも3つの位置に配置されている、態様3に記載の基板搬送ロボット。
【0081】
(態様5)
前記基板保持ハンドは、先端部が2つに分かれた二股形状を有しており、
前記ハンドセンサは、前記基板保持ハンドにおいて、2つに分かれた前記先端部の各々に1つずつ配置されている先端部センサと、基端部に配置されている基端部センサとを含む、態様4に記載の基板搬送ロボット。
【0082】
(態様6)
前記接触センサは、少なくとも3つの前記治具センサを含み、
前記治具センサは、前記検出治具において、前記基板保持ハンドが当接する位置と、前記基板載置部が当接する位置とのうちの互いに異なる少なくとも3つの位置に配置されている、態様3に記載の基板搬送ロボット。
【0083】
(態様7)
前記基板および前記検出治具は、円板状形状を有し、
前記接触センサは、
少なくとも3つ配置されており、
円板状形状を有する前記基板または前記検出治具の周縁部に対して、円周を3分割する位置に対応して1つずつ配置されている、態様1から態様6までのいずれかに記載の基板搬送ロボット。
【0084】
(態様8)
前記制御部は、前記接触センサからの検出信号に基づいて、上下方向に沿った1軸の検出値を取得することによって、前記基板載置部と前記基板保持ハンドとの相対的な傾きを調整する、態様2に記載の基板搬送ロボット。
【0085】
(態様9)
前記傾き調整機構は、
下側部材と、
前記下側部材と上下方向に対向して配置された上側部材と、
前記下側部材と前記上側部材との間において、上下方向から見て互いに異なる箇所に配置される3つの球面滑り軸受けと、
3つの前記球面滑り軸受けのうちの2つにそれぞれ対応して設けられる2つの高さ位置調整機構と、を含み、
前記制御部は、前記接触センサからの検出信号に基づいて、前記高さ位置調整機構により前記下側部材に対する前記上側部材の傾きを調整することによって前記基板載置部と前記基板保持ハンドとの相対的な傾きを調整する、態様1から態様8までのいずれかに記載の基板搬送ロボット。
【0086】
(態様10)
前記基板保持ハンドは、各々が前記基板または前記検出治具を保持する複数のブレード部材を含み、
前記複数のブレード部材が接続されるブレード保持部をさらに備え、
前記制御部は、前記接触センサからの検出信号に基づいて、前記傾き調整機構を動作させることにより前記ブレード保持部の傾きを調整することによって、前記基板載置部と前記基板保持ハンドとの相対的な傾きを調整する、態様1から態様9までのいずれかに記載の基板搬送ロボット。
【0087】
(態様11)
前記制御部は、前記接触センサからの検出信号に基づいて、前記基板に対して熱処理が行われる熱処理装置に配置された前記基板載置部と前記基板保持ハンドとの相対的な傾きを調整する、態様1から態様10までのいずれかに記載の基板搬送ロボット。
【0088】
(態様12)
基板、または、前記基板を模した検出治具の基板載置部に対する搬送動作において、前記基板または前記検出治具を保持する基板保持ハンドと、前記基板または前記検出治具との接触状態を検出し、
前記基板保持ハンドと前記基板または前記検出治具との接触状態を検出した検出信号に基づいて、前記基板保持ハンドの傾きを調整する傾き調整機構を動作させることにより前記基板載置部と前記基板保持ハンドとの相対的な傾きを調整する、基板搬送ロボットの制御方法。
【0089】
(態様13)
複数の接触センサからの検出信号を取得することによって、前記基板保持ハンドと前記基板または前記検出治具との接触状態を検出し、
前記複数の接触センサの各々における検出信号の変化の差異に基づいて、前記傾き調整機構を動作させることにより前記複数の接触センサの各々における検出信号の変化の差異を解消することによって、前記基板載置部と前記基板保持ハンドとの相対的な傾きを調整する、態様12に記載の基板搬送ロボットの制御方法。
【符号の説明】
【0090】
10、210、310、410、510 基板保持ハンド
11 ブレード部材
21 ブレード保持部
30 チルト機構(傾き調整機構)
31 下側部材
32 上側部材
33、34、35 球面滑り軸受け
36、37 高さ位置調整機構
41 接触センサ(ハンドセンサ、先端部センサ)
42 接触センサ(ハンドセンサ、先端部センサ)
43 接触センサ(ハンドセンサ、基端部センサ)
50、250 制御部
100、200 基板搬送ロボット
101 熱処理装置
103、303 基板載置部
241、242、243 接触センサ(治具センサ)
341、342、343 接触センサ(載置部センサ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12