IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社マネーフォワードの特許一覧

特開2025-25578プログラム、情報処理方法及び情報処理システム
<>
  • 特開-プログラム、情報処理方法及び情報処理システム 図1
  • 特開-プログラム、情報処理方法及び情報処理システム 図2
  • 特開-プログラム、情報処理方法及び情報処理システム 図3
  • 特開-プログラム、情報処理方法及び情報処理システム 図4
  • 特開-プログラム、情報処理方法及び情報処理システム 図5
  • 特開-プログラム、情報処理方法及び情報処理システム 図6
  • 特開-プログラム、情報処理方法及び情報処理システム 図7
  • 特開-プログラム、情報処理方法及び情報処理システム 図8
  • 特開-プログラム、情報処理方法及び情報処理システム 図9
  • 特開-プログラム、情報処理方法及び情報処理システム 図10
  • 特開-プログラム、情報処理方法及び情報処理システム 図11
  • 特開-プログラム、情報処理方法及び情報処理システム 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025578
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理方法及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20250214BHJP
   G06Q 10/10 20230101ALI20250214BHJP
【FI】
G06Q30/0601 306
G06Q10/10 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130453
(22)【出願日】2023-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】513040384
【氏名又は名称】株式会社マネーフォワード
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】川島 理絵
【テーマコード(参考)】
5L010
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA06
5L030BB58
5L030BB67
5L049AA06
5L049BB58
5L049BB67
(57)【要約】
【課題】下請法の適否の判定を支援することが可能な技術を提供する。
【解決手段】本発明の一態様によれば、コンピュータに次の各ステップを実行させるプログラムが提供される。このプログラムにおける取得ステップでは、取引の取引情報を取得する。推定ステップでは、取得した取引情報に基づいて、取引の内容を推定する。判定ステップでは、推定ステップによる推定の結果に基づいて、下請法が適用されるか否かを判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに次の各ステップを実行させるプログラムであって、
取得ステップでは、取引の取引情報を取得し、
推定ステップでは、取得した前記取引情報に基づいて、前記取引の内容を推定し、
判定ステップでは、前記推定ステップによる推定の結果に基づいて、下請法が適用されるか否かを判定する、
プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のプログラムにおいて、
前記推定ステップにおいて、学習済みモデルを用いて前記取引の内容を推定する、
プログラム。
【請求項3】
請求項2に記載のプログラムにおいて、
前記学習済みモデルは、大規模言語モデルであり、
前記推定ステップにおいて、大規模言語モデルに対して、取得した前記取引情報と、教師データと、当該教師データが示す取引の内容に対するアノテーションと、を含んだプロンプトを入力することで、前記大規模言語モデルに前記取引の内容を推定させる、
プログラム。
【請求項4】
請求項3に記載のプログラムにおいて、
前記大規模言語モデルは、GPTを含む、
プログラム。
【請求項5】
請求項2に記載のプログラムにおいて、
前記学習済みモデルは、教師あり学習モデルであり、学習データと当該学習データに対するアノテーションとを教師データとして、学習モデルに機械学習させることによって得られる、
プログラム。
【請求項6】
請求項1に記載のプログラムにおいて、
前記取得ステップでは、申請情報から前記取引情報を取得し、前記申請情報は、組織内での支払の申請に使用される情報である、
プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のプログラムにおいて、
前記申請情報は、フォーマット情報と、添付ファイルとを含み、前記フォーマット情報は、前記申請にあたってフォーマットに従って入力される情報であり、
前記推定ステップでは、前記フォーマット情報と、前記添付ファイルとに基づいて、取引内容を推定する、
プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムにおいて、
前記添付ファイルは、発注書と、契約書と、メールとのうち少なくとも1つを含む、
プログラム。
【請求項9】
請求項6に記載のプログラムにおいて、
前記判定ステップでは、前記申請情報から取引先の資本金を判定し、前記資本金に基づいて前記下請法が適用されるか否かを判定する、
プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムにおいて、
表示制御ステップでは、前記下請法が適用されるか否かの判定の結果を表示させる、
プログラム。
【請求項11】
情報処理方法であって、
請求項1~10の何れか1つに記載のプログラムの各ステップを備える、
情報処理方法。
【請求項12】
情報処理システムであって、
請求項1~10の何れか1つに記載のプログラムを実行するコンピュータを備える、
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理方法及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来において、「部品の発注状態に関する情報を含む発注状態情報と、部品の購入金の支払条件を含むサプライヤとの契約に関する情報を含む契約条件情報とを格納した記憶部と、製品の当初の生産計画日と異なる変更後の生産計画日の入力を受け付ける入力受付部と、生産計画日が変更となった製品に用いられる部品の発注状態および前記サプライヤとの契約条件を各々、前記発注状態情報および前記契約条件情報から特定し、前記発注状態が発注待ちである部品および前記発注状態が発注済みであっても前記サプライヤが下請法の対象ではない場合の部品を、納期調整が可能な部品として特定する調整可能部品特定部と、を備える」ことを開示する技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-099640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年において、取引についての下請法の適否の判定に当たって、どのような取引内容なのか等のことが手動でチェックされている。
【0005】
本発明では上記事情を鑑み、下請法の適否の判定を支援することが可能な技術を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、コンピュータに次の各ステップを実行させるプログラムが提供される。このプログラムにおける取得ステップでは、取引の取引情報を取得する。推定ステップでは、取得した取引情報に基づいて、取引の内容を推定する。判定ステップでは、推定ステップによる推定の結果に基づいて、下請法が適用されるか否かを判定する。
【0007】
本開示によれば、下請法の適否の判定を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】下請法の資本金に関する適用範囲を示す図である。
図2】情報処理システム1のシステム構成の一例を示す図である。
図3】サーバ装置2のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】設定者端末3のハードウェア構成の一例を示す図である。
図5】申請者端末4のハードウェア構成の一例を示す図である。
図6】サーバ装置2のプロセッサ21によって実現される機能を示すブロック図の一例である。
図7】実施形態1に係る情報処理の一例を示す図である。
図8】申請情報60の一例を説明する図である。
図9】実施形態1に係る学習モデル7aに機械学習させる処理の一例を示す図である。
図10】申請画面9の一例を示す図である。
図11】実施形態1に係る学習済みモデル7bに予測させる処理の一例を示す図である。
図12】申請に紐付く取引が下請法の適用範囲か否かを判定したときの申請画面9の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態]
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント装置でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0011】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0012】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0013】
1.下請法の適用範囲
「下請法」とは、「下請代金支払遅延等防止法」の略であり、親事業者による下請事業者に対する優越的地位の濫用行為を取り締まるために制定された法律である。下請法が適用される場合は、親事業者が業としての行為を下請事業者に委託する場合(例えば、自動車メーカーが,自動車の部品の製造を部品メーカーに委託する場合)、であって、親事業者と下請事業者との資本金の関係が所定の条件を満たす場合である。本願発明者は、下請法が適用されるか否かの判定には以下の情報が必要であることを見出した。
・親事業者の資本金
・下請事業者の資本金
・親事業者の事業内容
・取引内容
【0014】
次に下請法の適用範囲となる親事業者と下請事業者の資本金の関係について図1を示しながら説明する。図1は、下請法の資本金に関する適用範囲を示す図である。図1によると、以下(1)~(4)の4類型が下請法の適用範囲となる。
(1)資本金が3億円超の親事業者と、資本金が3億円以下の下請事業者との間での以下(a)~(d)の取引
(2)資本金が1千万円超かつ3億円以下の親事業者と、資本金が1千万円以下の下請事業者との間での以下(a)~(d)の取引
(a)製品の製造委託
(b)製品の修理委託
(c)政令で定める情報成果物作成(プログラムの作成)
(d)政令で定める役務提供委託(運送、物品の倉庫における保管、情報処理)
(3)資本金が5千万超の親事業者と、資本金が5千万円以下の下請事業者との間での以下(e)~(f)の取引
(4)資本金が1千万円超かつ3億円以下の親事業者と、資本金が1千万円以下の下請事業者との間での以下(e)~(f)の取引
(e)放送番組や広告の制作、商品デザイン、製品の取扱説明書、設計図面などの作成など、政令で定める情報成果物作成以外の情報成果物の作成
(f)ビルや機械のメンテナンス、コールセンター業務などの顧客サービス代行など政令で定める役務提供委託以外の役務の提供
【0015】
[実施形態1]
2.情報処理システム1のシステム構成
以下では、下請法の適否の判定を支援するための具体的態様の一例を説明する。まず、図2を参照しながら、実施形態1の情報処理システム1のシステム構成について説明する。
【0016】
図2は、情報処理システム1のシステム構成の一例を示す図である。図2が示すように、情報処理システム1は、サーバ装置2、設定者端末3と、申請者端末4と、ネットワーク5とを含む。サーバ装置2は、ネットワーク5を介して、設定者端末3又は申請者端末4と通信可能に構成される。これにより、サーバ装置2、設定者端末3及び申請者端末4は、それぞれ相互に様々な情報を送信又は受信することができる。なお、サーバ装置2、設定者端末3及び申請者端末4は、情報処理装置の一例であり、本実施形態に限定されるものではない。設定者端末3及び申請者端末4は、PC(Personal Computer)、タブレット型コンピュータ、スマートフォン等の何れであってもよい。なお、サーバ装置2、設定者端末3及び申請者端末4は、それぞれ1以上ある。ここで、情報処理システム1に例示されるシステムとは、1つ又はそれ以上の装置又は構成要素からなるものである。従って、サーバ装置2単体、設定者端末3単体又は申請者端末4単体であっても情報処理システム1に例示されるシステムに含まれる。
【0017】
3.ハードウェア構成
次に、図3図5を参照しながら本実施形態のサーバ装置2、設定者端末3及び申請者端末4のハードウェア構成について説明する。
【0018】
3.1.サーバ装置2のハードウェア構成
図3は、サーバ装置2のハードウェア構成の一例を示す図である。図3に示されるように、サーバ装置2は、プロセッサ21と、記憶部22と、通信部23とを備え、これらの構成要素がサーバ装置2の内部において通信バスを介して電気的に接続されている。サーバ装置2は、実施形態に係る処理を実行する。
【0019】
プロセッサ21は、サーバ装置2に関連する全体動作の処理及び制御を行う。プロセッサ21は、例えば中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。プロセッサ21が、記憶部22に記憶された所定のプログラムを読み出し、プログラムに基づき処理を実行することによって、サーバ装置2に係る種々の機能、例えば、後述する図7等に示される処理が実現される。なお、プロセッサ21は単一であることに限定されず、機能ごとに複数のプロセッサ21を有するように実施してもよい。また、それらの組合せであってもよい。
【0020】
記憶部22は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、プロセッサ21によって実行されるサーバ装置2に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。記憶部22は、プロセッサ21によって実行されるサーバ装置2に係る種々のプログラム、変数及びプロセッサ21がプログラムに基づき処理を実行する際に用いるデータ等を記憶している。記憶部22は、記憶媒体の一例である。
【0021】
通信部23は、USB、IEEE1394、Thunderbolt(登録商標)、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段が好ましいものの、無線LANネットワーク通信、LTE/3G/4G/5G等のモバイル通信、BLUETOOTH(登録商標)通信等を必要に応じて含めてもよい。すなわち、これら複数の通信手段の集合として実施することがより好ましい。すなわち、サーバ装置2は、通信部23を介して、外部から種々の情報を通信してもよい。
【0022】
3.2.設定者端末3のハードウェア構成
図4は、設定者端末3のハードウェア構成の一例を示す図である。図4に示されるように、設定者端末3は、プロセッサ31と、記憶部32と、通信部33と、入力部34と、出力部35と、を有し、これらの構成要素が設定者端末3の内部において通信バスを介して電気的に接続されている。設定者端末3は、実施形態に係る処理を実行する。設定者端末3のプロセッサ31、記憶部32及び通信部33については、サーバ装置2のプロセッサ21、記憶部22及び通信部23を参照されたい。
【0023】
設定者端末3は、設定者により使用される。設定者は、下請法の適否の判定を実行するための種々の設定を行うユーザである。設定者は、学習モデル7aに機械学習させることで学習済みモデル7bの設定を行うユーザである。
【0024】
入力部34は、設定者端末3の筐体に含まれてもよいし、外付けされてもよい。例えば、入力部34は、出力部35と一体となってタッチパネルとして実施されてもよい。タッチパネルであれば、ユーザは、タップ操作、スワイプ操作等を入力することが可能である。もちろん、タッチパネルに代えて、スイッチボタン、マウス、QWERTYキーボード等を採用してもよい。すなわち、入力部34がユーザによってなされた操作に基づく入力を受け付ける。当該入力が命令信号として、通信バスを介してプロセッサ31に転送され、プロセッサ31が必要に応じて所定の制御又は演算を実行しうる。
【0025】
出力部35は、設定者端末3の表示部として機能することが可能である。出力部35は、例えば、設定者端末3の筐体に含まれてもよいし、外付けされてもよい。出力部35は、ユーザが操作可能なグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)の画面を表示する。これは例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及びプラズマディスプレイ等の表示デバイスを、設定者端末3の種類に応じて使い分けて実施することが好ましい。
【0026】
3.3.申請者端末4のハードウェア構成
図5は、申請者端末4のハードウェア構成の一例を示す図である。図5に示されるように、申請者端末4は、プロセッサ41と、記憶部42と、通信部43と、入力部44と、出力部45と、を有し、これらの構成要素が申請者端末4の内部において通信バスを介して電気的に接続されている。申請者端末4は、実施形態に係る処理を実行する。申請者端末4のプロセッサ41、記憶部42、通信部43、入力部44及び出力部45については、前述のサーバ装置2のプロセッサ21、記憶部22及び通信部23並びに設定者端末3の入力部34及び出力部35を参照されたい。
【0027】
申請者端末4は、申請者により利用される。申請者は、学習済みモデルを使用して下請法の適否の判定の結果を取得しようとするユーザである。また、申請者は、組織内での支払の申請を行うユーザである。
【0028】
なお「組織」とは、所定の目的を達成するための集団である。組織は、例えば、株式会社、有限会社、合資会社、合名会社、合資会社、一般社団法人、一般財団法人、公益社団・公益財団法人、NPO法人、組合等の法人を含んでもよい。また、組織は、例えば、その組織が会社である場合、グループ会社、関連会社、関係会社、親会社、子会社を含んでもよい。
【0029】
4.プロセッサ21の機能構成
本節では、図6を示しながら本実施形態の機能構成について説明する。図6は、サーバ装置2のプロセッサ21によって実現される機能を示すブロック図の一例である。情報処理システム1の一例であるサーバ装置2のプロセッサ21は、情報送受信部210と、記憶制御部211と、学習部212と、取得部213と、推定部214と、判定部215と、表示制御部216とを備える。前述の通り、記憶部22に記憶されているソフトウェアによる情報処理がハードウェアの一例であるプロセッサ21によって具体的に実現されることで、プロセッサ21に含まれる各機能部として実行されうる。
【0030】
情報送受信部210は、ネットワーク5及び通信部23を介して、種々の情報を他の装置から受け付け、受信し、又は取得するように構成される。また、情報送受信部210は、通信部23及びネットワーク5を介して、種々の情報を他の装置に送信又は出力するように構成される。
【0031】
記憶制御部211は、サーバ装置2の記憶部22に種々の情報を記憶させる。
【0032】
学習部212は、学習モデルに対して機械学習を実行させる。
【0033】
取得部213は、取引の取引情報を取得する。
【0034】
推定部214は、取得した取引情報に基づいて、取引の内容を推定する。
【0035】
判定部215は、推定ステップによる推定の結果に基づいて、下請法が適用されるか否かを判定する。
【0036】
表示制御部216は、各情報処理装置の出力部35、45に表示する画面データを制御するように構成される。なお、画面データとは、画面、画像、アイコン、テキスト等といった、ユーザが視認可能な態様で生成された視覚情報そのものでもよいし、例えば各種端末に画面、画像、アイコン、テキスト等の視覚情報を表示させるためのレンダリング情報であってもよい。
【0037】
情報送受信部210と、記憶制御部211と、学習部212と、取得部213と、推定部214と、判定部215と、表示制御部216との詳細は後述する。
【0038】
5.情報処理システム1の動作の流れ
本実施形態の情報処理システム1で実行される好ましい情報処理の一例を説明する。
【0039】
本明細書において、ネットワーク5、通信部23、通信部33、通信部43、入力部34及び入力部44に関連する情報処理を省略して記載することがある。例えば、プロセッサ31が設定者による入力部34への操作を介して所定の入力を受け付けることを、単にプロセッサ31が設定者から所定の入力を受け付けると記載することがある。プロセッサ41が申請者による入力部44への操作を介して所定の入力を受け付けることを、単にプロセッサ41が申請者から所定の入力を受け付けると記載することがある。また、プロセッサ21が通信部23とネットワーク5と通信部33とを介して、設定者端末3との間で情報を送受信することを、単にプロセッサ21が設定者端末3に情報を送信する、又は単にプロセッサ21が設定者端末3から情報を受け付けると省略して記載することがある。サーバ装置2と申請者端末4との間の情報処理についても同様に省略して記載することがある。
【0040】
本明細書において、出力部35に情報を表示させる情報処理について、単にプロセッサ31がある情報を出力部35に表示させるものとして、また、間接的には表示制御部216がある情報を出力部35に表示させるものとして省略して記載することがある。その場合例えば次に説明するような情報処理が実行されている。例えば、プロセッサ31は、ユーザによる画面の状態を変化させる指示を受け付ける。プロセッサ31は、その指示に基づいて画面データを生成する。プロセッサ31は、生成した画面データに基づいて、出力部35への表示を制御する。また、他の例として、プロセッサ31は、ユーザによる画面に情報を表示させるための指示をユーザから受け付ける。プロセッサ31は、その指示をサーバ装置2に送信する。情報送受信部210は、その指示を設定者端末3から受信する。表示制御部216は、その指示に基づいて画面データを生成する。情報送受信部210は、生成した画面データを設定者端末3に送信する。プロセッサ31は、生成した画面データをサーバ装置2から受信する。プロセッサ31は、生成した画面データに基づいて、出力部35への表示を制御する。当該省略した記載は、申請者端末4にも適用されるものとする。
【0041】
5.1.情報処理の概要
以下では、図7を示しながら実施形態1の設定時と推定時の情報処理を説明する。図7は、実施形態1に係る情報処理の一例を示す図である。実施形態1の情報処理システム1は、親事業者の資本金、下請事業者の資本金及び親事業者の事業内容について、機械学習を使用しない方法により判定をし、取引内容について、機械学習を使用した方法により判定する。なお、以下では、親事業者を構成する組織のことを「自社」と称し、下請事業者を構成する組織のことを「取引先」と称することがある。
【0042】
5.1.1.設定時の情報処理の概要
まず、図7の処理P1~処理P4を示しながら、下請法の適否の判定のために使用される、自社の資本金、取引先の資本金及び自社の事業内容の情報を、設定者が設定する場合の情報処理について説明する。
処理P1では、設定者端末3のプロセッサ31は、下請法に該当するか判定する設定を行うための、所定の情報の入力を設定者から受け付ける。ここでの、所定の情報は、後述のように、下請法に該当するか否かの判定をするために必要な情報の一部である。後述するように、所定の情報は、自社の資本金の金額と、自社の事業内容と、取引先の資本金と、を含んでいてもよい。
処理P2では、プロセッサ31は、入力を受け付けた所定の情報をサーバ装置2に送信する。サーバ装置2の情報送受信部210は、所定の情報を設定者端末3から受け付ける。
処理P3では、プロセッサ21は、所定の情報に基づいて以下で説明する情報処理を行う。
処理P4では、表示制御部216は、所定の情報に基づいて情報処理を行うことを設定者端末3の出力部35に表示させる。
【0043】
上記処理P1で入力を受け付ける所定の情報は、自社の資本金、自社の事業内容及び取引先の資本金毎に異なる。従って、処理P3で行われる情報処理も、自社の資本金、自社の事業内容及び取引先の資本金毎に異なる。以下ではそれぞれの場合の所定の情報と、処理P3で行われる情報処理とについて説明する。
【0044】
(自社の資本金)
所定の情報は、例えば、自社の資本金の金額(例えば、60,000,000円等)の情報を含む。その場合、処理P3では、記憶制御部211は、自社の資本金の金額を記憶部22に記憶させる。
【0045】
(自社の事業内容)
所定の情報は、例えば、自社の事業内容の情報を含む。その場合、処理P1では、設定者端末3のプロセッサ31は、設定者から自社の事業内容の入力を受け付ける。入力を受け付ける自社の事業内容は、複数であってもよい。当該入力は、設定者によるプルダウン、ラジオボタン等のオブジェクトの操作を介して受け付けるものであっても、文字の入力を受け付けるものであってもよい。
オブジェクトの操作を介して受け付ける場合、処理P3では、記憶制御部211は、オブジェクトの操作の結果が(a)~(f)の何れに該当するかを記憶部22に記憶させる。
文字の入力を受け付ける場合、処理P3では、プロセッサ21は、入力された文字のデータに基づいて、(a)~(f)の何れに該当するかを判定する。記憶制御部211は、判定の結果、(a)~(f)の何れに該当するかを記憶部22に記憶させる。
【0046】
(取引先の資本金)
所定の情報は、例えば、取引先の資本金の情報を含む。処理P3では、少なくとも以下の2通りの方法によって、取引先マスタを構築する。ある。取引先マスタは、取引先としての各取引先の資本金の情報を参照可能なデータテーブルであり、取引先コード、法人番号、取引先名、住所、代表者名、資本金等の項目から構成される。取引先コードは、親事業者が取引先毎に割り当てる固有の文字列であり、例えば、後述する「ABC株式会社」の「333」等である。
【0047】
取引先の資本金の情報を設定する1つ目の方法としては、ユーザから取引先の資本金の情報を直接受け付ける方法がある。上記処理P1で入力を受け付ける所定の情報は、例えば、取引先の取引先情報及び取引先の資本金の情報を含む。処理P3では、設定者が入力した、取引先の取引先情報及び取引先の資本金の情報を設定者端末3から受け付けた場合、サーバ装置2の記憶制御部211は、取引先の取引先情報と取引先の資本金の情報とを取引先マスタに記憶させる。取引先情報は、それ単体の情報によって、又は複数の情報を組み合わせることで、取引先の企業を特定することが可能な情報であり、例えば、取引先コード、法人番号、取引先名、住所、代表者名、口座情報(銀行名、支店名、口座種別、普通又は口座、口座番号)等を含む。
【0048】
取引先の資本金の情報を設定する2つ目の方法としては、取引先の何らかの情報に基づいて外部データベースから、当該取引先の資本金の情報を取得する方法がある。上記処理P1で入力を受け付ける所定の情報は、例えば、資本金の情報を取得したい取引先の取引先情報を含む。処理P3では、設定者が入力した取引先情報を設定者端末3から受け付けた場合、サーバ装置2のプロセッサ21は、当該取引先情報をキーとして外部データ源を参照する。プロセッサ21は、外部データ源から、資本金の情報を取得したい取引先の資本金の情報を取得する。サーバ装置2の記憶制御部211は、取引先の取引先情報と取引先の資本金の情報とを取引先マスタに記憶させる。
【0049】
また、外部データ源は、各企業の取引先情報に紐付けて当該企業の資本金の情報を取得可能な情報元である。当該外部データ源は、例えば、Yahoo!ファイナンス、EDINET、帝国データバンク、東京商工リサーチ等の各企業の資本金の情報を掲載しうる情報元である。
【0050】
(取引内容)
次に図7の処理P5~処理P9を示しながら、学習済みモデル7bの設定を行う場合の情報処理について説明する。
処理P5では、設定者端末3のプロセッサ31は、設定者から学習データとしての申請情報60a、60b、60cの特定を受け付ける。当該学習データとなる申請情報60a、60b、60cは、設定者が属する自社の過去の取引に紐付く申請から特定されてもよいし、自社と関係のない取引に紐付くサンプルとなるデータから特定されてもよい。申請情報の詳細については、図8を示して後述する。
処理P6では、プロセッサ31は、学習データとしての申請情報60a、60b、60cについて、設定者からどの取引内容に相当するかアノテーション61a、61b、61cを受け付ける。
処理P7では、プロセッサ31は、設定者から機械学習の実行指示を受け付ける。
処理P8では、学習データと当該学習データに対応するアノテーション61a、61b、61cとを含む教師データ6a、6b、6cと、機械学習の実行指示とをサーバ装置2に送信する。情報送受信部210は、学習データと当該学習データに対するアノテーション61a、61b、61cとを含む教師データ6a、6b、6cと、機械学習の実行指示とを設定者端末3から受け付ける。
処理P9では、学習部212は、学習データ及び当該学習データに対するアノテーション61a、61b、61cを含む教師データ6a、6b、6cと、学習モデル7aとに基づいて、学習済みモデル7bを生成し、取得する。処理P8~処理P9の詳細については、図9を示して詳述する。
【0051】
5.1.2.判定時の情報処理の概要
次に、図7の処理P10~処理P16を示しながら、申請者が、債務支払サービスを用いて、組織内での支払の申請を行い、学習済みモデル7bによる下請法の適否の判定の結果を取得する場合の情報処理について説明する。債務支払サービスは、組織内での債務の支払いについて申請と承認とを管理するためのサービスである。
【0052】
処理P10では、申請者端末4のプロセッサ41は、申請者から債務支払サービスの申請画面9(図10を参照)を介して新たな取引の申請情報の入力(フォーマット情報領域90とフォーマット情報領域91と添付ファイル領域92とへの操作)と、下請法の判定の指示(判定実行ボタン93の押下)とを受け付ける。
処理P11では、プロセッサ41は、申請者から新たな取引の申請情報と、下請法の判定の指示とをサーバ装置2に送信する。サーバ装置2の情報送受信部210は、申請者から新たな取引の申請情報と、下請法の判定の指示とを申請者端末4から受け付ける。
処理P12では、下請法の判定の指示に応じて、サーバ装置2の取得部213は、申請情報60から取引の取引情報を取得する。例えば、取得部213は、申請情報に含まれる複数の情報から取引情報を特定して(図10の例では内容情報と相見積情報と添付ファイル内の情報とを特定する)、学習済みモデル7bに使用する情報として取得する。
処理P13では、推定部214は、取得した取引情報に基づいて、学習済みモデル7bを用いて取引内容を推定する。処理P12~処理P13の詳細については、図11を示して詳述する。
【0053】
処理P14では、判定部215は、申請情報60から取引先の資本金を判定する。具体的には例えば、取得部213は、申請情報60から取引先情報(組織名が「ABC株式会社」、取引先コードが「333」、口座情報が「東京銀行 東京支店 普通 1234567」等)を取得する。判定部215は、取引先情報をキーとして、取引先マスタを参照し、取引先情報に対応する下請事業者を特定する。判定部215は、取引先マスタから対応する下請事業者を特定した場合、当該下請事業者に紐付く資本金の情報(「2,500,000円」等)を取得する。このような構成によれば、組織内で支払いの申請に使用される申請情報から更に資本金の情報を取得し、下請法の適否の判定を支援に利用することができる。
【0054】
処理P15では、判定部215は、推定部214による推定の結果によって推定される取引情報と、申請情報60から判定された取引先情報とに基づいて、下請法が適用されるか否かを判定する。判定の具体的な方法は、少なくとも次の2種類の方法があるがこれに限定されるものではない。
判定部215は、自社の事業内容と、委託した取引内容とから自社が業として請け負っている行為を委託しているか否か判定をし、当該取引内容と自社と取引先との間の資本金を判定する。具体的には例えば、判定部215は、自社であるMF株式会社の事業内容がソフトウェアの開発であると判定し、取引先であるABC株式会社との取引内容が汎用アプリケーションソフトの開発の委託であると判定した場合、資本金以外の条件を満たすと判定する。そして、判定部215は、自社であるMF株式会社の資本金が60,000,000円であり、取引先のABC株式会社の資本金が2,500,000円である場合、下請法の適用範囲となるものと判定する。
また、判定部215は、資本金から判定を行ってもよい。自社と取引先との資本金が次に例示する下請法の適用範囲とならない範囲である場合は、下請法の適用範囲外と判定する。この下請法の適用範囲とならない範囲は、自社及び取引先の資本金が3億円を超える場合、自社及び取引先の資本金が1千万円以下である場合、自社及び取引先の資本金が1千万円を超え、かつ5千万円以下である場合、自社及び取引先の資本金が5千万円を超え、かつ3千万円以下である場合などである。
【0055】
処理P16では、表示制御部216は、下請法が適用されるか否かの判定の結果を表示させた申請画面9(図12を参照)を出力部45に表示させる。このような構成によれば、ユーザが下請法の適否の判定の結果を確認することができる。
【0056】
5.2 情報処理の詳細
次に、図8図12を用いて、上記概説した情報処理の詳細部分を説明する。
【0057】
図8は、申請情報60の一例を説明する図である。申請情報60は、組織内での支払の申請に使用される情報である。申請情報60は、フォーマット情報600と、添付ファイル(支払書類情報601、契約書情報602及びメール情報603)とを含む。
【0058】
フォーマット情報600は、申請にあたってフォーマットに従って入力される情報である。図8のフォーマットに従って入力される情報は、例えば、作業種類情報と、取引先情報と、費用負担部門情報と、申請総額情報と、内容情報と、相見積情報と、終了予定日情報と、支払予定日情報と、メモ情報とを含む。
【0059】
作業種類情報は、発注又は購買による支払いをどのようにして行うかを特定するための情報であり、例えば、請求書、口座振替等である。
取引先情報は、先述した通りの情報であり、図8の例では取引先名として「ABC株式会社」を、取引先コードとして「333」を、口座情報として「東京銀行 東京支店 普通 1234567」をそれぞれ含む。他の例では、取引先情報は、「代表取締役 特許太郎」等の代表者名、「1234-56-789123」等の12桁の法人番号、「123-4567 東京都港区・・・」等の住所を含む。
費用負担部門情報は、費用を負担する部門の情報を含み、図8の例では「技術開発部」等の情報である。
申請総額情報は、支払う費用の金額の情報を含み、図8の例では「3,000,000円」等の情報である。申請総額情報は、税込みの費用であっても税抜きの費用であってもよい。
内容情報は、発注内容又は購入物品内容についての、用途、目的、期間、費用等の詳細の情報を含み、図8の例では「大阪支社でのシステム開発委託費用 ・期間2024年4月1日~2025年3月31日 ・費用:300万円(税抜き)」等の情報である。
相見積情報は、相見積に関する情報を含み、図8の例では「前回の開発と期間と費用を除き同じ契約内容 安定したアウトプットで開発を推進していただいており開発体制の構築に不可欠であるため継続希望。」等の相見積もりをしなかった理由の情報を含んでいる。相見積情報は、他にも「相見積もりの結果M社よりS社の方が安かったため」等の相見積をした結果の情報も含みうる。
終了予定日情報は、納入される予定の日付又は業務が完了する予定の日付の情報を含み、図8の例では「2025年3月31日」等の情報である。
支払予定日情報は、支払いをする予定の日付の情報を含み、図8の例では「2025年2月28日」等の情報である。
メモ情報は、任意の連絡事項又はメモの情報である。
【0060】
添付ファイルは、取引に関する情報を含む見積書、発注書その他金額の確認できるファイルである。添付ファイルは、支払書類情報601と、契約書情報602と、メール情報603とのうち少なくとも1つを含む。添付ファイルは、組織内での支払いの申請の際に添付されるファイルである。添付ファイルのファイル形式は、txt、csv、pdf、doc、docx、xls、msg、eml等の任意の拡張子である。
【0061】
支払書類情報601は、支払書類の情報である。支払書類は、例えば、申請書、見積書、注文書、発注書、発注請書等の支払いに関する書類であり、図8の例では注文書である。支払書類情報601は、取引関連情報を含む。取引関連情報は、取引内容を示唆する情報であり、支払書類内の所定の箇所に配置される。図8の例では、取引関連情報は、表形式の情報の中の「業務」に対応付けられている位置にある「MF社におけるシステム開発業務」の情報と、「成果物」に対応付けられている位置にある「細部注文指図・協議によるもの及び作業報告書」の情報とである。
【0062】
契約書情報602は、契約の内容が記載された書書の情報である。契約は、贈与契約、売買契約、交換契約、消費貸借契約、使用貸借契約、賃貸借契約、雇用契約、請負契約、委任契約・準委任契約、寄託契約、組合契約、終身定期金契約、和解契約といった典型契約を含んでもよい。また、契約は、販売契約、取引基本契約、秘密保持契約、業務委託契約、システム開発契約、ソフトウェア開発委託契約、OEM契約、派遣契約、人材紹介契約、ライセンス契約、販売代理店契約・販売仲介契約、M&Aに関する契約、コンサルティング契約、共同研究契約、共同出願契約、合弁契約等を含んでもよい。契約書情報602も、取引関連情報を含む。契約書情報602においても、取引関連情報は、契約書内の所定の箇所に配置される。図8の例では、契約はシステム開発契約であり、取引関連情報は、「1.サービスの要綱」の直下の位置にある「スマートフォン向けアプリケーション「MF」の開発」の情報である。
【0063】
メール情報603は、取引に関する自社と取引先との間のメールの情報である。取引関連情報も、メール内の所定の箇所に配置される。「いつもお世話になります。」と「よろしくお願いします。」との間に配置される「注文書を拝見しました。弊社でのシステム開発を受託させていただければと存じます。」の情報である。
【0064】
学習部212は、支払書類情報601と、契約書情報602と、メール情報603とのそれぞれに記載されている全ての内容又は取引関連情報をベクトル化することでベクトルの情報を取得する。ベクトルの情報は、学習モデル7a及び学習済みモデル7bの特徴量として使用される。
【0065】
学習部212は、支払書類情報601と、契約書情報602と、メール情報603とのそれぞれについて、取引関連情報を取得できるように、それぞれの書類の種類ごとの取引関連情報の位置(例えば、注文書は、表形式の情報の中の「業務」に対応付けられている位置にあり、システム開発契約は「1.サービスの要綱」の直下の位置にある等)についても機械学習を実行する。また、添付ファイルのファイル形式が画像形式である場合、プロセッサ21は、OCR(Optical Character Recognition/Reader)によって画像内の文字を予め認識する。このような構成によれば、添付ファイルから必要な情報を取得するため、下請法の適否の判定の精度を向上させることができる。
【0066】
次に、図9を用いて、図7の処理P9の学習モデル7aに機械学習させる処理の詳細について説明する。図9は、実施形態1に係る学習モデル7aに機械学習させる処理の一例を示す図である。図9には、複数の教師データ6a、6b、6cと、学習モデル7aとが含まれる。
【0067】
教師データ6a、6b、6cは、学習データとしての申請情報60a、60b、60cと、アノテーション61a、61b、61cとを含む。学習データとしての申請情報60a、60b、60cは、先述した申請情報60を参照されたい。
【0068】
アノテーション61a、61b、61cは、機械学習のトレーニングデータに対して、人間によるラベル付け又はタグ付けされた情報であり、本実施形態において、ラベル付けされた取引内容を示す情報である。アノテーション61aは、取引内容が自動車部品の製造委託であることがラベル付けされている。アノテーション61bは、取引内容が家電製品の修理委託であることがラベル付けされている。アノテーション61cは、取引内容が汎用アプリケーションソフトの開発委託であることがラベル付けされている。なお、これらのアノテーションは、下請法の適否を推定するために取引内容を分類するためのラベルを意味し得る。
【0069】
学習モデル7aは、教師あり学習モデル又は大規模言語モデルである。学習モデル7aには、教師データ6a、6b、6cの数が十分に存在する場合は、教師あり学習モデルが使用され、教師データ6a、6b、6cの数が十分に存在しない場合は、大規模言語モデルが使用される。学習モデル7aは、申請情報に含まれる、内容情報と、相見積情報と、上記した添付ファイルから取得した情報とを、特徴量として機械学習を実行する。
【0070】
教師あり学習モデルは、機械学習により得られる教師データ6a、6b、6c及びラベルの間の対応関係を学習モデルに習得させる方法である。教師あり学習モデルは、学習データと当該学習データに対するアノテーション61a、61b、61cとを教師データ6a、6b、6cとして、学習モデルに機械学習させることによって得られる。教師あり学習モデルには、CNN(Convolutional Neural Network)等の手法が利用される。このような構成によれば、教師あり学習による手法によって取引の内容を推定できるため、下請法の適否の判定を支援することができる。
【0071】
大規模言語モデルは、大量のテキストデータを使ってトレーニングされた自然言語処理のモデルのことであり、文章を入力とし、入力された文章に対応する結果を出力する。本実施形態の大規模言語モデルは、取引情報と、教師データ6a、6b、6cと、当該教師データ6a、6b、6cが示す取引の内容に対するアノテーション61a、61b、61cと、大規模言語モデルに取引内容を出力させることを指示するプロンプトと、を用いてFew-shot学習される。ある観点によると、推定部214は、大規模言語モデルに対して、取得した前記取引情報と、教師データ6a、6b、6cと、当該教師データ6a、6b、6cが示す取引の内容に対するアノテーション61a、61b、61cと、を含んだプロンプトを入力することで、取引内容判定結果8を取得する。本実施形態の大規模言語モデルは、自己回帰(autoregressive)モデルであり、Few-Shot学習などのような方式を利用することでファインチューニング(fine-tuning)を経なくても推論が可能な言語モデルである。Few-shot学習は、プロンプトによって少量のデータだけでもパターンを理解し、大規模言語モデルを構築する手法である。大規模言語モデルは、例えば、GPT(Generative Pre-trained Transformer)、HyperClova(登録商標)等を含み、自然なプロンプト(prompt)等によって制御が可能な優れたFew-Shot学習器である。このような構成によれば、GPT等の大規模言語モデルによる手法によって取引の内容を推定できるため、下請法の適否の判定を支援することができる。
【0072】
図10は、申請画面9の一例を示す図である。申請画面9は、債務支払サービスを用いて申請を行うための画面である。申請画面9は、フォーマット情報領域90、91と、添付ファイル領域92と、判定実行ボタン93とを含む。
【0073】
フォーマット情報領域90、91は、申請にあたってフォーマットに従って情報が入力される領域である。フォーマット情報領域90は、申請総額情報と、内容情報とが入力される領域である。フォーマット情報領域91は、相見積情報と、終了予定日情報とが入力される領域である。
【0074】
添付ファイル領域92は、添付ファイルのアップロードに使用される領域である。情報送受信部210は、添付ファイル領域92の操作に応じて、添付ファイルのアップロードを申請者端末4から受け付ける。
【0075】
判定実行ボタン93は、下請法の適用範囲となるかの判定を実行するためのボタンである。判定実行ボタン93の押下に応じて、判定部215は、図11に示すように、フォーマット情報600と、添付ファイルとに基づいて、取引内容を推定する。このような構成によれば、フォーマットに従って入力されるフォーマット情報を使用し、かつ、添付ファイルから必要な情報を取得するため、下請法の適否の判定の精度を向上させることができる。
【0076】
次に図11を用いて、図7の処理P12~処理P13の申請情報60を学習済みモデル7bに入力し、取引内容判定結果8を出力する処理の詳細について説明する。図11は、実施形態1に係る学習済みモデル7bに予測させる処理の一例を示す図である。
【0077】
図11には、申請情報60と、学習済みモデル7bと、取引内容判定結果8とが含まれる。
【0078】
申請情報60は、図9にて先述した通り支払に基づく情報である。申請情報60は、図10の申請画面9を介して入力される情報によって構成される。
【0079】
学習済みモデル7bは、申請情報60(フォーマット情報600及び添付ファイル)の入力に応じて、自社と取引先との間で行われる取引内容の情報を出力するように構成される。学習済みモデル7bは、学習モデル7aに対して機械学習を実行することで得られる。学習済みモデル7bは、教師あり学習モデル又は大規模言語モデルである。
【0080】
学習済みモデル7bが教師あり学習モデルである場合、推定部214は、学習済みモデル7bに対して、フォーマット情報600及び添付ファイルに入力することで、取引内容判定結果8を取得する。このような構成によれば、教師あり学習による手法によって取引の内容を推定できるため、下請法の適否の判定を支援することができる。
【0081】
学習済みモデル7bが大規模言語モデルである場合、推定部214は、フォーマット情報600及び添付ファイルを外規模言語モデルに入力することで、取引内容判定結果8を取得する。このような構成によれば、大規模言語モデルによる手法によって取引の内容を推定できるため、下請法の適否の判定を支援することができる。
【0082】
取引内容判定結果8は、学習済みモデル7bを使用して取引内容を予測した結果であり、「汎用アプリケーションソフトの開発の委託」等の情報である。
【0083】
次に図12を用いて、図7の処理P16の下請法の適否の判定を出力する処理の詳細について説明する。図12は、申請に紐付く取引が下請法の適用範囲か否かを判定したときの申請画面9の一例を示す図である。申請画面9は、図10と比較して判定結果領域94を含む。
【0084】
判定結果領域94は、申請に紐付く取引が下請法の適用範囲か否かの結果が表示される領域である。図12の判定結果領域94は、「下請法に該当する可能性がある」旨と、自社の資本金が「3,000,000円」である旨と、取引先の資本金が「60,000,000円」である旨と、自社の事業内容が「ソフトウェアの開発」である旨と、自社と取引先との取引内容が「汎用アプリケーションソフトの開発の委託」である旨との情報を含む。他の例では、判定結果領域94は、「下請法に該当しない」旨を表示してもよい。
【0085】
[実施形態2]
実施形態1では、自社の資本金、取引先の資本金及び自社の事業内容を、ルールベースを用いて判定し、取引内容を人工知能により判定するものとして説明した。実施形態2では、自社の資本金、取引先の資本金、自社の事業内容及び取引内容を学習済みモデルにより推定してもよい。その場合、実施形態1と比較して、特徴量には、取引先マスタの情報と、取引先情報とが更に加わる。
【0086】
以上、本開示によれば、下請法の適否の推定を支援することができる。
【0087】
[その他]
プログラムは、1以上のコンピュータに次の各ステップを実行させるプログラムである。情報処理システム1は、プログラムを実行する1以上のコンピュータを備える。前述の実施形態に係る情報処理システム1に関して、コンピュータを、情報処理システム1のプロセッサ21として機能させるプログラムであってもよい。また、情報処理システム1が実行する情報処理方法であってもよい。
【0088】
実施形態1では、申請者が申請に使用する申請画面9において、下請法の判定を行う例について説明をしたが、変形例では、当該申請を承認する承認者が使用する承認の画面において、下請法の判定を行うことができてもよい。
【0089】
変形例では、フォーマットに従って入力される情報には、親事業者の資本金と、下請事業者の資本金と、親事業者の事業内容と、取引内容とのうち何れか1つの情報が含まれてもよい。すなわち、変形例では、親事業者の資本金と、下請事業者の資本金と、親事業者の事業内容と、取引内容とのうち何れか1つの情報が直接入力され、何れかの情報が、そのまま下請法の判定の支援に使用される。
【0090】
サーバ装置2は、オンプレミス形態であってもよく、クラウド形態であってもよい。クラウド形態のサーバ装置2としては、例えば、SaaS(Software as a Service)、クラウドコンピューティングという形態で、上記の機能や処理を提供してもよい。
【0091】
上記実施形態では、サーバ装置2が種々の記憶・制御を行ったが、サーバ装置2に代えて、複数の外部装置が用いられてもよい。すなわち、種々の情報やプログラムは、ブロックチェーン技術等を用いて複数の外部装置に分散して記憶されてもよい。
【0092】
情報処理システム1に含まれる装置のうちの少なくとも1つは、日本国外に設置されていてもよい。例えば、サーバ装置2が日本国外に設置され、各端末装置が日本国内に設置されていてもよい。同様に、ユーザが日本国外から自身の端末装置を用いて、日本国内に設置されたサーバ装置2にアクセスしていてもよい。このような態様によれば、様々な管理形態によって、より利便性の高い体験をユーザに提供することができる。
【0093】
更に、次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0094】
(1)コンピュータに次の各ステップを実行させるプログラムであって、取得ステップでは、取引の取引情報を取得し、推定ステップでは、取得した前記取引情報に基づいて、前記取引の内容を推定し、判定ステップでは、前記推定ステップによる推定の結果に基づいて、下請法が適用されるか否かを判定する、プログラム。
【0095】
このような構成によれば、取引について下請法の適否の判定を支援することができる。
【0096】
(2)上記(1)に記載のプログラムにおいて、前記推定ステップにおいて、学習済みモデルを用いて前記取引の内容を推定する、プログラム。
【0097】
このような構成によれば、機械学習による手法によって取引の内容を推定できるため、下請法の適否の判定を支援することができる。
【0098】
(3)上記(2)に記載のプログラムにおいて、前記学習済みモデルは、大規模言語モデルであり、前記推定ステップにおいて、大規模言語モデルに対して、取得した前記取引情報と、教師データと、当該教師データが示す取引の内容に対するアノテーションと、を含んだプロンプトを入力することで、前記大規模言語モデルに前記取引の内容を推定させる、プログラム。
【0099】
このような構成によれば、大規模言語モデルによる手法によって取引の内容を推定できるため、下請法の適否の判定を支援することができる。
【0100】
(4)上記(3)に記載のプログラムにおいて、前記大規模言語モデルは、GPTを含む、プログラム。
【0101】
このような構成によれば、大規模言語モデルとしてのGPTを使用する手法によって取引の内容を推定できるため、下請法の適否の判定を支援することができる。
【0102】
(5)上記(2)に記載のプログラムにおいて、前記学習済みモデルは、教師あり学習モデルであり、学習データと当該学習データに対するアノテーションとを教師データとして、学習モデルに機械学習させることによって得られる、プログラム。
【0103】
このような構成によれば、教師あり学習による手法によって取引の内容を推定できるため、下請法の適否の判定を支援することができる。
【0104】
(6)上記(1)に記載のプログラムにおいて、前記取得ステップでは、申請情報から前記取引情報を取得し、前記申請情報は、組織内での支払の申請に使用される情報である、プログラム。
【0105】
このような構成によれば、組織内で支払いの申請に使用される申請情報から取引情報を取得し、当該取引情報についての下請法の適否の判定を支援することができる。
【0106】
(7)上記(6)に記載のプログラムにおいて、前記申請情報は、フォーマット情報と、添付ファイルとを含み、前記フォーマット情報は、前記申請にあたってフォーマットに従って入力される情報であり、前記推定ステップでは、前記フォーマット情報と、前記添付ファイルとに基づいて、取引内容を推定する、プログラム。
【0107】
このような構成によれば、フォーマットに従って入力されるフォーマット情報を使用し、かつ、添付ファイルから必要な情報を取得するため、下請法の適否の判定の精度を向上させることができる。
【0108】
(8)上記(7)に記載のプログラムにおいて、前記添付ファイルは、発注書と、契約書と、メールとのうち少なくとも1つを含む、プログラム。
【0109】
このような構成によれば、予め定められた種類のファイルを使用するため、添付ファイルから必要な情報が更に取得されやすくなり、下請法の適否の判定の精度を向上させることができる。
【0110】
(9)上記(6)に記載のプログラムにおいて、前記判定ステップでは、前記申請情報から取引先の資本金を判定し、前記資本金に基づいて前記下請法が適用されるか否かを判定する、プログラム。
【0111】
このような構成によれば、更に資本金の情報を取得できるため、当該資本金の情報に基づいて、下請法の適否を判定する際の支援に利用することができる。
【0112】
(10)上記(9)に記載のプログラムにおいて、表示制御ステップでは、前記下請法が適用されるか否かの判定の結果を表示させる、プログラム。
【0113】
このような構成によれば、ユーザが下請法の適否の判定の結果を確認することができる。
【0114】
(11)情報処理方法であって、上記(1)~(10)の何れか1つに記載のプログラムの各ステップを備える、情報処理方法。
【0115】
このような構成によれば、取引について下請法の適否の判定を支援することができる。
【0116】
(12)情報処理システムであって、上記(1)~(10)の何れか1つに記載のプログラムを実行するコンピュータを備える、情報処理システム。
【0117】
このような構成によれば、取引について下請法の適否の判定を支援することができる。
もちろん、この限りではない。
【0118】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0119】
1 :情報処理システム
2 :サーバ装置
21 :プロセッサ
210 :情報送受信部
211 :記憶制御部
212 :学習部
213 :取得部
214 :推定部
215 :判定部
216 :表示制御部
22 :記憶部
23 :通信部
3 :設定者端末
31 :プロセッサ
32 :記憶部
33 :通信部
34 :入力部
35 :出力部
4 :申請者端末
41 :プロセッサ
42 :記憶部
43 :通信部
44 :入力部
45 :出力部
5 :ネットワーク
60 :申請情報
600 :フォーマット情報
601 :支払書類情報
602 :契約書情報
603 :メール情報
6a :教師データ
60a :申請情報
61a :アノテーション
6b :教師データ
60b :申請情報
61b :アノテーション
6c :教師データ
60c :申請情報
61c :アノテーション
7 :申請画面
7a :学習モデル
7b :学習済みモデル
8 :取引内容判定結果
9 :申請画面
90 :フォーマット情報領域
91 :フォーマット情報領域
92 :添付ファイル領域
93 :判定実行ボタン
94 :判定結果領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12