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特開2025-2558包装材、遮光材、包装袋、及びパッケージ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002558
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】包装材、遮光材、包装袋、及びパッケージ
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20241226BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20241226BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B32B27/20 A
B32B27/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102810
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】394014423
【氏名又は名称】三慶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100226023
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 崇仁
(72)【発明者】
【氏名】石川 善朗
(72)【発明者】
【氏名】合田 学剛
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AB03
3E086AD03
3E086BA04
3E086BA15
3E086BB01
3E086BB21
3E086BB51
3E086CA01
3E086CA28
4F100AA19C
4F100AA20C
4F100AA21B
4F100AA21H
4F100AA37B
4F100AA37H
4F100AB10C
4F100AK01A
4F100AK03A
4F100AK42A
4F100AK63D
4F100AR00A
4F100AR00B
4F100AT00
4F100BA04
4F100CA13B
4F100CA13H
4F100EC182
4F100EC18B
4F100EH662
4F100EH66C
4F100GB15
4F100JL12D
4F100JL12G
4F100JN02
(57)【要約】
【課題】
亜塩素酸の光による劣化を抑制することができる包装材を提供すること。
【解決手段】
亜塩素酸水又は亜塩素酸水を含む物品を収容する包装袋を形成するための包装材であって、200~700nmの波長の光に対する透過率が1%以下である、包装材。
【選択図】図2


【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜塩素酸水又は亜塩素酸水を含む物品を収容する包装袋を形成するための包装材であって、
200~700nmの波長の光に対する透過率が1%以下である、包装材。
【請求項2】
更にガスバリア層を有する、請求項1に記載の包装材。
【請求項3】
更にシーラント層を含む、請求項1又は2に記載の包装材。
【請求項4】
熱融着性を有する遮光層を含む、請求項1又は2に記載の包装材。
【請求項5】
前記遮光層が、無機顔料を有する、請求項4に記載の包装材。
【請求項6】
前記無機顔料が、黒色顔料及び白色顔料の少なくとも一種である、請求項5に記載の包装材。
【請求項7】
前記無機顔料が、シリカ、酸化チタン、アルミナ、カーボンブラック及び層状鉱物の少なくとも一種である、請求項5に記載の包装材。
【請求項8】
前記遮光層の200~700nmの波長の光に対する透過率が1%以下である、請求項4に記載の包装材。
【請求項9】
亜塩素酸水を収容する包装袋を形成するための、請求項1又は2に記載の包装材。
【請求項10】
亜塩素酸水又は亜塩素酸水を含む物品を遮光するためのフィルム状の遮光材であって、
200~700nmの波長の光に対する透過率が1%以下である、遮光材。
【請求項11】
前記遮光材を含む、請求項10に記載の包装材。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の包装材から形成された、包装袋。
【請求項13】
亜塩素酸水又は亜塩素酸水を含む物品が請求項12に記載の包装袋内に収容されている、パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包装材、遮光材、包装袋、及びパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
包装袋は、食品、医療品、薬剤など、様々な製品を内包するために使用されている。内包される製品の性状としては、固形物、液状物、半固形物等、様々であり、その性質も様々である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020‐117233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、亜塩素酸水は、殺菌料等として頻繁に使用される薬剤であり、通常、高濃度の水溶液として販売されている。使用時には、亜塩素酸水の入った容器から、適量を取り出し、任意に濃度を調整する等して使用するため、使用時に操作が煩雑となる。そこで、本開示者らが使用に適した濃度の亜塩素酸水を、適当な量で包装袋に小分けすることに想到し、そのようなパッケージを作製したところ、光によりパッケージ中の亜塩素酸が劣化しやすいことが判明した。
【0005】
本開示は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、亜塩素酸の光による劣化を抑制することができる包装材又は遮光材を提供することを目的とする。また、本開示は、そのような包装材から形成された包装袋、及び当該包装袋を含むパッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の包装材は、亜塩素酸水又は亜塩素酸水を含む物品を収容する包装袋を形成するための包装材であって、200~700nmの波長の光に対する透過率が1%以下である。
【0007】
上記包装材が、更にガスバリア層を有すると好ましい。
【0008】
上記包装材が、更にシーラント層を含むと好ましい。
【0009】
上記包装材が、熱融着性を有する遮光層を含むと好ましい。
【0010】
上記遮光層が、無機顔料を有すると好ましい。
【0011】
上記無機顔料が、黒色顔料及び白色顔料の少なくとも一種であると好ましい。
【0012】
上記無機顔料が、シリカ、酸化チタン、アルミナ、カーボンブラック及び層状鉱物の少なくとも一種であると好ましい。
【0013】
上記遮光層の200~700nmの波長の光に対する透過率が1%以下であると好ましい。
【0014】
上記包装材は、亜塩素酸水を収容する包装袋を形成するための包装材であってよい。
【0015】
本実施形態の遮光材は、亜塩素酸水又は亜塩素酸水を含む物品を遮光するためのフィルム状の遮光材であって、200~700nmの波長の光に対する透過率が1%以下である。本開示の包装材は、かかる遮光材を含むものであってもよい。
【0016】
本開示の包装袋は、上記包装材から形成されたものである。
【0017】
本開示のパッケージは、亜塩素酸水又は亜塩素酸水を含む物品が上記包装袋内に収容されているものである。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、亜塩素酸の光による劣化を抑制することができる包装材又は遮光材を提供することができる。また、本開示は、そのような包装材から形成された包装袋、及び当該包装袋を含むパッケージを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の一実施形態に係る遮光材の断面図である。
図2】本開示の一実施形態に係る包装材の断面図である。
図3】本開示の一実施形態に係る包装材の断面図である。
図4】本開示の一実施形態に係る包装材の断面図である。
図5】本開示の一実施形態に係る包装袋を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本実施形態の遮光材は、亜塩素酸水又は亜塩素酸水を含む物品を遮光するためのフィルム状の遮光材であって、200~700nmの波長の光に対する透過率が1%以下である。このような遮光材によれば、亜塩素酸の光による劣化を抑制することができる。
【0021】
亜塩素酸は、紫外線照射により分解することは知られている。しかしながら、本発明者が鋭意検討したところによれば、亜塩素酸水又は亜塩素酸水を含む物品に対して照射される紫外線を遮蔽しただけでは亜塩素酸の劣化を十分に抑制できないことが判明した。すなわち、亜塩素酸は、紫外線だけでなく、可視光によっても分解するため、亜塩素酸水又は亜塩素酸水を含む物品を長期間保存するためには、可視光を遮蔽することも必要となる。
【0022】
図1に本実施形態に係る遮光材100の断面図を示す。遮光材100は、可視光に対して遮光性のフィルム(遮光層)を有する。遮光材100は、遮光性のフィルム(遮光層)101のみからなるものであってもよく、更に他の層を備えていてもよい。
【0023】
遮光層は、無機顔料を含む層であってよい。無機顔料としては、特に限定されないが、黒色顔料及び白色顔料の少なくとも一種であると好ましい。白色顔料としては、シリカ、酸化チタン、アルミナ等が挙げられる。黒色顔料としては、カーボンブラック等が挙げられる。他にも無機顔料として、マイカ等の層状鉱物が挙げられる。
【0024】
遮光層は、例えば、無機顔料と熱可塑性樹脂とを有する層であってよい。このような層は、熱融着性の層(シーラント層)としても機能し得る。無機顔料と熱可塑性樹脂とを有する層は、無機顔料をシーラント層内に内包する層である。
【0025】
熱可塑性樹脂としては、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
【0026】
無機顔料及び熱可塑性樹脂を含む層としては、無機顔料を熱可塑性樹脂に練り込んだ材料を製膜して得られたフィルム、無機顔料、熱可塑性樹脂、及び溶剤を含む無機インキを塗布し、乾燥させた塗膜等であってよい。
【0027】
遮光材は、複数の遮光層を有していてもよい。例えば、遮光材は、遮光層を2層以上積層した多層構造を有していてよい。無機顔料及び熱可塑性樹脂を含む層を2層以上積層したものとしては、例えば、白色顔料を練り込んだLLDPE層(白色層)及び黒色顔料を練り込んだLLDPE層(黒色層)を白-黒-白の順に積層したもの等が挙げられる。
【0028】
遮光層の厚みは5~150μmであってよく、15~90μmであってよく、20~80μmであってもよい。
【0029】
遮光材は、遮光層以外にシーラント層を備えていてもよい。遮光材がシーラント層を有する場合、遮光材は、包装材としても使用できる。シーラント層の厚みは5~150μmであってよく、15~90μmであってよく、20~80μmであってもよい。シーラント層の材料としては、上記熱可塑性樹脂等が挙げられる。
【0030】
遮光材は、ガスバリア層を有していてよい。ガスバリア層としては、特に限定されないが、金属又は無機化合物を蒸着した層(蒸着層)であってよい。蒸着層は、アルミニウムを蒸着して得られたものであってもよく、酸化アルミニウム(AlO)、酸化ケイ素(SiO)等(xは、例えば、1.0~2.0)の酸化物を含むものであってもよく、亜塩素酸又はその塩に対する耐性の観点からは、蒸着層は酸化物を含む層であってよい。遮光材がガスバリア層を有することにより、亜塩素酸の散逸による濃度の減少を抑制することができる。
【0031】
蒸着層の厚みは、使用用途によって適宜設定すればよいが、好ましくは30nm以上、50nm以上であってよく、100nm以下、80nm以下であってよい。蒸着層の厚みを30nm以上とすることで蒸着層の連続性を十分なものとしやすく、100nm以下とすることでカールやクラックの発生を十分に抑制でき、十分なガスバリア性能及び可撓性を達成しやすい。
【0032】
遮光材は、基材フィルムを有していてもよい。基材フィルムは、可撓性フィルムであってよい。基材フィルムとしては、例えば、フィルム状の熱可塑性ポリマーを備えていてよい。可撓性フィルムとしては、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、配向ポリアミド(OPA)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、直鎖低密度ポリエチエレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)のフィルムが挙げられる。基材フィルムの厚みは5~150μmであってよく、15~90μmであってよく、20~80μmであってもよい。
【0033】
遮光材の200~700nmの波長の光に対する透過率は、0.9%以下であってよく、0.8%以下であってよく、0.7%以下であってよく、0.6%以下であってよい。また、遮光材における遮光層の200~700nmの波長の光に対する透過率は、0.9%以下であってよく、0.8%以下であってよく、0.7%以下であってよく、0.6%以下であってよい。
【0034】
遮光材は、紫外線に対して遮光性であってよい。遮光材の200nm以上、400nm未満の波長に対する透過率は、0.5%以下であってよく、0.3%以下であってよく、0.2%以下であってよく、0.1%以下であってよく、実質的に0%であってよい。遮光材における遮光層の200nm以上、400nm未満の波長の光に対する透過率は、0.5%以下であってよく、0.3%以下であってよく、0.2%以下であってよく、0.1%以下であってよく、実質的に0%であってよい。
【0035】
本実施形態の遮光材は、亜塩素酸水又は亜塩素酸水を含む物品を容器に収容した後、当該容器の周囲に巻き付けて、容器内の亜塩素酸水又は亜塩素酸水を含む物品を遮光するために使用することができる。遮光材を容器に巻き付けた後、接着剤、接着テープなどにより巻き付けた状態を固定してもよい。容器は、亜塩素酸水又は亜塩素酸水を含む物品を収容できるものであれば特に限定されず、ガラス、樹脂、ステンレス等の金属など材質は問わない。容器は、スクリュー栓等の蓋により封じられていてもよく、亜塩素酸水又は亜塩素酸水を含む物品を容器に入れた後に開口部を溶接するなどにより封じてもよい。
【0036】
本実施形態の遮光材は、包装材に含まれていてもよい。すなわち、包装材は、遮光材から形成されていてもよく、追加的に他の層を有していてもよい。包装材の場合、製袋して包装袋とすることもできる。
【0037】
本実施形態に係る包装材(遮光材であってもよい)は、亜塩素酸水又は亜塩素酸水を含む物品を収容する包装袋を形成するための包装材であって、上記遮光層を含むものであってよい。包装材は、遮光層以外にシーラント層及び基材フィルムを有していてよく、シーラント層は、包装袋とした際に最も内側の層を構成するように、包装材の最外側の層であってよい。シーラント層と反対側の最外側の層は、基材フィルムであってよい。包装材は更にガスバリア層を有していてもよい。
【0038】
図2に本実施形態に係る包装材(遮光材であってもよい)10の断面図を示す。図2において、包装材10は、基材フィルム1と、接着剤層2と、シーラント層3とをこの順に備える。図2の包装材において、シーラント層3は、上記熱可塑性樹脂と共に無機顔料を含む。つまり、シーラント層は遮光層でもある。このような包装材10は、基材フィルム1にドライラミネート法等により接着剤組成物の層(接着剤層2)を形成し、シーラント層3を当該接着剤層上に積層することにより得ることができる。
【0039】
図3に本実施形態の包装材(遮光材であってもよい)の他の例の断面図を示す。包装材20は、基材フィルム1と、接着剤層2と、遮光層5と、シーラント層4とをこの順に備える。このような包装材20は、基材フィルム1にドライラミネート法等により接着剤組成物の層(接着剤層2)を形成し、遮光層5を表面に形成したシーラント層4を当該接着剤層2上に積層することにより得ることができる。
【0040】
図4に本実施形態に係る包装材(遮光材であってもよい)の断面図を示す。図4において、包装材30は、基材フィルム1と、ガスバリア層7と、接着剤層2と、遮光層6と、シーラント層4とをこの順に備える。
【0041】
本実施形態の包装袋は、上記包装材のシーラント層同士を向かい合わせ、ヒートシールすることにより形成することができる。図5に、本実施形態の包装袋の一例を示す。図5の包装袋110は、2枚の包装材60及び62を向かい合わせて配置し、3片をヒートシールして形成されたものである。包装袋110は、3片のヒートシールされた部分に囲まれた収容部102を有する。収容部には、亜塩素酸水又は亜塩素酸水を含む物品を収容することができる。収容部に亜塩素酸水又は亜塩素酸水を含む物品を収容した後、包装袋の開口部をヒートシール等により封じ、包装袋内に亜塩素酸水又は亜塩素酸水を含む物品を収容するパッケージを製造することができる。
【0042】
本明細書において亜塩素酸水は、以下の反応により製造された水溶液である。
まず、塩素酸又は塩素酸塩を溶解させた水溶液を用意する。当該水溶液は、塩化ナトリウムを溶解させた水溶液に塩酸を加え、酸性条件下で、無隔膜電解槽内で電解する(下記A式)、又は塩素酸塩水溶液に、硫酸を加えて強酸性にすることにより塩素酸を生成させる(下記B式)ことによって得られる。次に、過酸化水素水、を加えて還元反応させることによって得られる亜塩素酸(HClO)を水溶液中に生じさせる(下記C式及びD式)ことで亜塩素酸水が得られる。塩素酸塩としては、塩素酸ナトリウムであってよい。B式の反応を行う際には、塩素酸水溶液のpHが2.3~3.4の範囲内に維持されるように硫酸を加えてよい。
A式:NaCl+3HO+6e→NaClO+3H
B式:2NaClO+HSO→2HClO+NaSO
C式:2HClO+H→2ClO+2HO+O
D式:2ClO+H→2HClO+O
【0043】
亜塩素酸水には、長時間にわたり亜塩素酸(HClO)を安定的に維持することを目的として、無機酸、無機酸塩、有機酸及び有機酸塩からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を配合してよい。無機酸としては、炭酸、リン酸、ホウ酸、硫酸等が挙げられる。また、無機酸塩としては、炭酸塩(炭酸水素塩を含む)、水酸化塩、リン酸塩、ホウ酸塩が挙げられる。具体的には、炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。水酸化塩としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。リン酸塩は、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム等が挙げられる。ホウ酸塩としては、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム等が挙げられる。有機酸としては、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、乳酸等が挙げられる。また、有機酸塩では、コハク酸ナトリウム、コハク酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸カルシウム等が挙げられる。
【0044】
亜塩素酸水のpHは、3.2~7.0であってよい。
【0045】
亜塩素酸水を含む物品としては、例えば、多孔質基材、又は繊維基材等の基材に亜塩素酸水を含浸させたものが挙げられる。基材の材質としては例えば、シート、フィルム、パッチ、ブラシ、不織布、ペーパー、布、脱脂綿、スポンジ等が挙げられる。基材は、これらの材質のうち複数の材質を含んでいてよい。
【0046】
本開示の一実施形態に係る包装袋は、当該包装袋中に200mg/L以上の遊離塩素濃度を有する亜塩素酸水を封入して40℃で3週間保存したとき、包装袋中の亜塩素酸水の遊離塩素濃度が100mg/L以上であってよい。このような包装袋は、上述の第1及び第2の実施形態に係る包装袋であってよい。亜塩素酸水における遊離塩素濃度は、封入する前に測定しておき、測定後速やかに包装袋中に封入する。遊離塩素濃度は、JIS K 0102 33.4(ジエチル-p-フェニレンジアンモニウム(DPD)吸光光度法)、又はこれに準拠した方法により測定することができる。3週間保存した後の遊離塩素濃度(保存後の遊離塩素濃度)は、包装袋から亜塩素酸水を取り出して測定する。包装袋は、例えば、10cm×10cmの三方袋であってよく、封入時には、四方がヒートシールされていてよい。
【0047】
遮光材又は包装材の具体的な構成としては以下のものが挙げられる。
基材フィルムと、接着剤層と、シーラント層とをこの順に備え、以下の(1)及び(2)の少なくとも一方を満たす。
(1)シーラント層が無機顔料を含む。
(2)シーラント層と前記接着剤層との間に無機顔料を含む層を有する。
(3)基材フィルムと前記接着剤層との間、及びシーラント層と接着剤層との間の少なくとも一方に無機酸化物を含む層を有する。
(3)の場合、更に遮光性の層を有していてもよい。
【0048】
本開示は、以下の例示的実施形態を含む。
[1]亜塩素酸水又は亜塩素酸水を含む物品を収容する包装袋を形成するための包装材であって、200~700nmの波長の光に対する透過率が1%以下である、包装材。
[2]ガスバリア層を有する、[1]の包装材。
[3]シーラント層を含む、[1]又は[2]の包装材。
[4]熱融着性を有する遮光層を含む、[1]~[3]のいずれか一つの包装材。
[5]前記遮光層が、無機顔料を有する、[4]の包装材。
[6]前記無機顔料が、黒色顔料及び白色顔料の少なくとも一種である、[5]の包装材。
[7]前記無機顔料が、シリカ、酸化チタン、アルミナ、カーボンブラック及び層状鉱物の少なくとも一種である、[5]の包装材。
[8]前記遮光層の200~700nmの波長の光に対する透過率が1%以下である、[4]~[7]のいずれか一つの包装材。
[9]亜塩素酸水を収容する包装袋を形成するための、[1]~[8]のいずれか一つの包装材。
[10]亜塩素酸水又は亜塩素酸水を含む物品を遮光するためのフィルム状の遮光材であって、200~700nmの波長の光に対する透過率が1%以下である、遮光材。
[11]前記遮光材を含む、[10]の包装材。
[12][1]~[9]及び[11]のいずれか一つの包装材から形成された、包装袋。
[13]亜塩素酸水又は亜塩素酸水を含む物品が[12]に記載の包装袋内に収容されている、パッケージ。
【実施例0049】
(実施例A1~A5、比較例A1)
実施例A1~A5、及び比較例A1として以下の遮光材を用意した。
実施例A1:株式会社武田産業製、商品名:WBW-R(白(酸化チタン)-黒(カーボンブラック)-白(酸化チタン)の順に顔料を練り込んだLLDPEが積層された多層フィルム)
実施例A2:乳白LL(出光ユニテック株式会社製、ユニクレストMS‐530CW、厚さ:50μm、白色顔料として酸化チタンが含まれる)
実施例A3:白白LL(LLDPEフィルム(厚さ50μm)上に二層の白インキ(サカタインクス株式会社製、ベルカラー120R白、白色顔料として酸化チタンが含まれる)層を形成したもの。)
実施例A4:白黒LL(LLDPEフィルム(厚さ50μm)上に黒インキ(東洋インキ株式会社製、リオグラン墨、黒色顔料としてカーボンブラックが含まれる)層及び白インキ(サカタインクス株式会社製、ベルカラー120R白)層をこの順に形成したもの。)
実施例A5:白白セピア/PET(PET(東レ株式会社製、商品名:ルミラーP60、厚さ12μm)上に遮光セピア(東洋インキ株式会社製、ファインスター遮光セピア)、及び二層の白インキの層をこの順に形成したもの)
比較例A1:PET(東レ株式会社製、商品名:ルミラーP60、厚さ12μm)
【0050】
(紫外-可視領域の透過率の測定)
透過率の測定は、株式会社日立製作所の分光光度計U-3010を使用し、JIS K 7361-1プラスチック-透明材料の全光線透過率の試験方法に従って行った。
【0051】
(遊離塩素濃度の測定)
スクリュー栓付の50mlのガラスバイアルに亜塩素酸水を入れ、栓をした。亜塩素酸水が入ったガラスバイアルの全体を実施例A1~A5、及び比較例A1の各遮光材で覆い、光源(パナソニック株式会社製、殺菌灯G15、LED直管形蛍光灯15形)で照射しながら3週間常温(25℃)で保管した。ここで、ガラスバイアルに入れる直前及び3週間保管後の亜塩素酸水の遊離塩素濃度をJIS K 0102 33.4の方法で測定した。結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
(実施例B1)
(実施例1)
主剤として脂肪族ポリエステルポリオール(三井化学株式会社製、商品名:タケラックA626)、硬化剤としてポリイソシアネート(三井化学株式会社製、商品名:タケネートA50)、溶剤として酢酸エチルを配合して接着剤組成物を調製した。当該接着剤組成物を基材フィルムとしてPETフィルム上に、ドライラミネート装置を用いて塗布し、接着剤層を形成した。次に、シーラント層として上記WBW-Rを積層し、40℃で2日間養生して積層体(包装材)を得た。積層体の透過率を測定した。結果を表2に示す。
【0054】
得られた包装材を、互いのシーラント層が向かい合うように二枚重ね、3片をヒートシールして10cm×10cmのサイズの三方袋を作製した。三方袋中に亜塩素酸水10mlを封入し、亜塩素酸水を含むパッケージを作製した。三方袋に封入する直前の亜塩素酸水、及びパッケージを40℃で3週間保存した後にパッケージから取り出した亜塩素酸水における遊離塩素濃度をJIS K 0102 33.4の方法で測定した。結果を表2に示す。
【0055】
(実施例B2)
基材フィルムをGL-ARH(凸版印刷株式会社製、厚さ:12μm、PET基材上にアルミナ蒸着層を有するフィルム)に変更したこと以外は、実施例B1と同様にパッケージを作製し、各種測定を行った。結果を表2に示す。なお、GL-ARHは、蒸着層が接着剤層側を向くように配置された。
【0056】
(実施例B3)
シーラント層を上記乳白LLに変更したこと以外は、実施例B2と同様にパッケージを作製し、各種測定を行った。結果を表2に示す。
【0057】
(実施例B4)
基材フィルムをGL-AECF(凸版印刷株式会社製、PET基材上にアルミナ蒸着層を有するフィルム)に変更し、WBW-Rを上記白白LLDPEに変更したこと以外は、実施例B1と同様にパッケージを作製し、各種測定を行った。結果を表2に示す。なお、GL-AECFは、蒸着層が接着剤層を向くように配置された。
【0058】
(実施例B5)
上記白白LLDPEを上記白黒LLDPEに変更したこと以外は、実施例B4と同様にパッケージを作製し、各種測定を行った。結果を表2に示す。
【0059】
(比較例1)
シーラント層をLLDPEに変更したこと以外は、実施例B1と同様にパッケージを作製し、各種測定を行った。結果を表2に示す。
【0060】
(比較例2)
基材フィルムをGL-AECFに変更したこと以外は、比較例B1と同様にパッケージを作製し、各種測定を行った。結果を表2に示す。
【0061】
【表2】
【符号の説明】
【0062】
1…基材フィルム、2…接着剤層、3、4…シーラント層、5…遮光層、6…遮光層、7…ガスバリア層、10、20、30、60、62…包装材(遮光材)、100…遮光材、101…遮光層、110…包装袋、102…収容部。
図1
図2
図3
図4
図5