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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025638
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】刺股
(51)【国際特許分類】
   F41B 15/00 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
F41B15/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130567
(22)【出願日】2023-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】318013123
【氏名又は名称】アイ・コーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】石原 洋二
(57)【要約】
【課題】防犯に用いる刺股であって、捕獲した対象者が逃れ難く且つ高い強度を維持することも可能な刺股を提供することを課題とする。
【解決手段】柄と、柄の一端側の捕獲部と、トリガー操作具と、捕獲部側に揺動可能に支持された開閉アームと、トリガー操作具の操作に開閉アームの作動を連動させる連動機構を備え、捕獲部は柄の先端側からさらに先側に突出する一対のフレームを有し、捕獲部は先側に向かって開放された二股形状に成形され、その間には対象者を捕獲する捕獲スペースが形成され、トリガー操作具は捕獲スペース側に配置され、開閉アームは、揺動によって、捕獲スペースの外側に揺動された開姿勢と、その内側に揺動された閉姿勢とに切り換えられ、連動機構は、トリガー操作具が操作された場合、開閉アームを開姿勢から閉姿勢に切り換える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防犯に用いる刺股であって、
柄と、
前記柄の一端側である先端側からさらに先側に向かって突出形成された捕獲部と、
前記捕獲部側に操作可能に支持されたトリガー操作具と、
前記捕獲部側に揺動可能に支持された一又は複数の開閉アームと、
前記トリガー操作具の操作に前記開閉アームの作動を連動させる連動機構を備え、
前記捕獲部は前記柄の先端側からさらに先側に突出する一対のフレームを有し、
前記捕獲部における一対の前記フレームを含む全体は、先側に向かって開放されたU字状、コの字状又はY字状をなす二股形状に成形され、
一対の前記フレーム間には対象者を捕獲する捕獲スペースが形成され、
前記トリガー操作具は、前記捕獲スペースに捕獲された対象者によって操作されるように、該捕獲スペース側に配置され、
前記開閉アームは一対の前記フレームの少なくとも一方に支持して設けられ、
前記開閉アームは、揺動によって、前記捕獲スペースの外側に揺動された開姿勢と、前記捕獲スペースの内側に揺動された閉姿勢との切換を行うように構成され、
前記連動機構は、前記トリガー操作具が対象者によって操作された場合、前記開閉アームを前記開姿勢から前記閉姿勢に切り換えるように構成された
ことを特徴とする刺股。
【請求項2】
前記開閉アームを前記閉姿勢への切換側に付勢する付勢部材と、
ロック機構と、をさらに備え、
前記ロック機構は、前記開閉アームを前記開姿勢に切り換えられる側で係止してロックするロック状態と、該ロック状態を解除して前記開閉アームの前記閉姿勢側への揺動を許容する解除状態との切換を行うように構成され、
前記連動機構は、前記トリガー操作具が対象者によって操作された場合、前記ロック機構を前記ロック状態から前記解除状態に切り換えるように構成された
請求項1に記載の刺股。
【請求項3】
前記柄の基端側に配置された操作具と、
前記操作具と前記開閉アームとを連係させる連係機構と、をさらに備え、
前記連係機構は、前記操作具の操作と、前記開閉アームの前記閉姿勢から前記開姿勢への切換と、を連係させるように構成された
請求項2に記載の刺股。
【請求項4】
前記柄は、内部が中空な筒状に形成され、
前記連係機構の少なくとも一部は、前記柄の内部に配置された
請求項3に記載の刺股。
【請求項5】
対象者に電撃を加える電撃装置をさらに備え、
前記電撃装置は、一対の電極と、一対の前記電極の間に電圧を印加させる電源回路と、前記電源回路による一対の前記電極の間への電圧の印加の有無を切り換える切換手段と、を有する
請求項1に記載の刺股。
【請求項6】
前記開閉アームを、一対の前記フレームの夫々に支持して設け、
一対の前記開閉アームの夫々に前記電極を設けた
請求項5に記載の刺股。
【請求項7】
一対の前記電極は、前記開閉アームとは別に一対の前記フレームの夫々に左右揺動可能に支持された電極アームである
請求項5又は6の何れかに記載の刺股。
【請求項8】
前記電極アームも前記開閉アームと共に前記連動機構によって揺動作動が制御される
請求項7に記載の刺股。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防犯に用いる刺股に関する。
【背景技術】
【0002】
前後方向の柄と、該柄の前端側(先端側)からさらに前方(先側)に向かって突出形成された捕獲部と、該捕獲部側に操作可能に支持されたトリガー操作具と、連動機構と、を備え、捕獲部は、柄の先端側から左右両側に突出し且つその中途部が後方に凹んだ円弧状に湾曲されたフレームと、フレームの左右の端側に左右揺動可能にそれぞれ支持された左右一対の開閉アームと、を有し、一対の開閉アームは、互いが近接する側である左右内側と、互いが離間する側である左右外側とに同期的に揺動作動するように構成され、フレーム及び左右の開閉アームによって囲まれ且つ前方が開放されたスペースを、対象者を捕獲する捕獲スペースとし、トリガー操作具は、捕獲スペース側の対象者によって後方に押し操作(トリガー操作)されるように、フレーム側に配置され、連動機構は、トリガー操作に連動して左右の開閉アームを、左右内側に同期的に揺動させることにより、捕獲スペースの前方の開放された部分の一部が閉じられた閉状態に切り換えるように構成された刺股が公知になっている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
上記文献の刺股によれば、捕獲スペースに捕獲した対象者自身によってトリガー操作が押し操作され、閉状態に切り換えられ、該対象者が捕獲スペースから逃れ難くなるという効果が期待できる反面、捕獲スペースを形成する一対の開閉アーム自体が左右に可動するため、強度が高く維持することが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-026694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、防犯に用いる刺股であって、捕獲した対象者が逃れ難く且つ高い強度を維持することも可能な刺股を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、防犯に用いる刺股であって、柄と、前記柄の一端側である先端側からさらに先側に向かって突出形成された捕獲部と、前記捕獲部側に操作可能に支持されたトリガー操作具と、前記捕獲部側に揺動可能に支持された一又は複数の開閉アームと、前記トリガー操作具の操作に前記開閉アームの作動を連動させる連動機構を備え、前記捕獲部は前記柄の先端側からさらに先側に突出する一対のフレームを有し、前記捕獲部における一対の前記フレームを含む全体は、先側に向かって開放されたU字状、コの字状又はY字状をなす二股形状に成形され、一対の前記フレーム間には対象者を捕獲する捕獲スペースが形成され、前記トリガー操作具は、前記捕獲スペースに捕獲された対象者によって操作されるように、該捕獲スペース側に配置され、前記開閉アームは一対の前記フレームの少なくとも一方に支持して設けられ、前記開閉アームは、揺動によって、前記捕獲スペースの外側に揺動された開姿勢と、前記捕獲スペースの内側に揺動された閉姿勢との切換を行うように構成され、前記連動機構は、前記トリガー操作具が対象者によって操作された場合、前記開閉アームを前記開姿勢から前記閉姿勢に切り換えるように構成されたことを特徴とする。
【0007】
前記開閉アームを前記閉姿勢への切換側に付勢する付勢部材と、ロック機構と、をさらに備え、前記ロック機構は、前記開閉アームを前記開姿勢に切り換えられる側で係止してロックするロック状態と、該ロック状態を解除して前記開閉アームの前記閉姿勢側への揺動を許容する解除状態との切換を行うように構成され、前記連動機構は、前記トリガー操作具が対象者によって操作された場合、前記ロック機構を前記ロック状態から前記解除状態に切り換えるように構成されたものとしてもよい。
【0008】
前記柄の基端側に配置された操作具と、前記操作具と前記開閉アームとを連係させる連係機構と、をさらに備え、前記連係機構は、前記操作具の操作と、前記開閉アームの前記閉姿勢から前記開姿勢への切換と、を連係させるように構成されたものとしてもよい。
【0009】
前記柄は、内部が中空な筒状に形成され、前記連係機構の少なくとも一部は、前記柄の内部に配置されたものとしてもよい。
【0010】
対象者に電撃を加える電撃装置をさらに備え、前記電撃装置は、一対の電極と、一対の前記電極の間に電圧を印加させる電源回路と、前記電源回路による一対の前記電極の間への電圧の印加の有無を切り換える切換手段と、を有するものとしてもよい。
【0011】
前記開閉アームを、一対の前記フレームの夫々に支持して設け、一対の前記開閉アームの夫々に前記電極を設けたものとしてもよい。
【0012】
一対の前記電極は、前記開閉アームとは別に一対の前記フレームの夫々に左右揺動可能に支持された電極アームであるものとしてもよい。
【0013】
前記電極アームも前記開閉アームと共に前記連動機構によって揺動作動が制御されるものとしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
固定的に設けた一対のフレームの間に対象者を捕獲する捕獲スペースを設け、該フレームに開閉アームを揺動可能に支持するため、捕獲した対象者が逃れ難く且つ高い強度も維持することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明を提供した刺股の平面図である。
図2】本発明を提供した刺股の側面図である。
図3】両方の開閉アームが閉姿勢に切り換えられた状態の刺股の平面図である。
図4】作動機構の構成を簡略化して示すブロック図である。
図5】本発明の別実施形態に係る刺股について開閉アームを開姿勢に切り換えた状態を示す平面図である。
図6図5に示す刺股について開閉アームを閉姿勢に切り換えた状態を示す平面図である。
図7図7は刺股に設けた電撃装置の電気的な回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1図2は本発明を提供した刺股の平面図及び側面図であり、図3は両方の開閉アームが閉姿勢に切り換えられた状態の刺股の平面図であり、図4は作動機構の構成を簡略化して示すブロック図である。これらの図面に示された刺股は、一直線状に形成された金属製(具体的には、アルミ製)の柄1と、柄1の一端(先端)側からさらに先側に突出した二股形状の捕獲部2と、を備えている。
【0017】
使用者は、前後方向に向けた状態の柄1の基端側を自身の身体に近い側に位置させ、且つ、該柄1の先端側(捕獲部2)を自身の身体から遠い側に位置させた状態で、刺股を使用する。この際の使用者を基準として、前後・左右・上下の方向を定義する。以下、この前提で説明を行う。
【0018】
柄1は、筒状に形成され、その内部に空間(内部スペース)が形成された中空状をなしており、この内部スペースは、前方(先側)が開放されている。
【0019】
この柄1の後端である基端側には、側面視で前後方向に長い方形環状をなす金属製又は合成樹脂のハンドル3が一体的に設けられている。このハンドル3における上下方向の棒状に形成された後部分は、使用者が把持する把持部3aである。このハンドル3の環状内側には、上下方向の把持操作具(操作具)4が、ハンドル3の長手方向である前後方向にスライド可能に支持されている。
【0020】
把持操作具4は、把持部3aと共に把持して該把持部3a側(後方)に引き操作するように構成されている。この把持操作具4は、図示しない付勢部材によって、把持部3aから離間する側(前方)に弾性的に付勢されている。すなわち、操作力が解除された場合、付勢部材からの付勢力によって、把持部3aから離間した非作用位置に変位する一方で、把持部3aと共に把持された場合には、把持部3aに近接した作用位置に操作されるように構成されている。
【0021】
捕獲部2は、柄1の先端側から前方(さらに先側)に一体的に突出形成され且つ互いに左右対称な形状をなす左右一対の金属製(具体的には、合金製)のフレーム6,6と、左右のフレーム6,6の夫々に左右揺動可能に取り付けされた金属製の開閉アーム7,7と、を有している。
【0022】
左右のフレーム6,6は、互いが離間する側(外側)に向かって斜め先側に突出し、平面視でハの字状をなしている。各フレーム6は、変形し難い剛性と強度を有し、その先寄り部分はその他の部分に対して外側に湾曲したガイド部6aを構成している。
【0023】
左右のフレーム6,6を含む捕獲部2の全体形状は、先側が開放されたコの字状、U字状又はY字状(本例では、Y字状)に成形されている。この全体形状によって、捕獲部2は、左右のフレーム6,6の間に先側が開放された捕獲スペースSが形成されている。この捕獲スペースSは、対象者の胴体部分を捕獲するための空間である。左右のフレーム6,6のガイド部6a,6aは、対象者を捕獲スペースS内に案内するように作用する。
【0024】
左右の開閉アーム7,7は、その基端部が近い側のフレーム6,6の中途部に取り付け支持され、該フレーム6の左右外側に揺動された開姿勢と、該フレーム6の左右内側(捕獲スペースS側)に揺動された閉姿勢との間の範囲に限定された状態で、左右揺動するように構成されている。
【0025】
このような開閉アーム7の揺動範囲を確保するため、刺股は、開閉アーム7が近い側のフレーム6を平面視で通過する構造を有している必要がある。具体的には、フレーム6の上面側又は下面側の何れか一方に開閉アーム7を支持するか、或いは、左右揺動する開閉アーム7を通過させるように、フレーム6を左右方向に貫通する通過孔6bを該フレーム6に穿設する等の構造が想定され、図示する例では、後者の構造が採用されている。
【0026】
なお、開閉アーム7は、その左右の揺動範囲において、その先端部がフレーム6の先端部より先側に突出することはなく、通過孔6bは、閉じられた長孔状に成形されている。
【0027】
ちなみに、左右の開閉アーム7,7は、開姿勢に切り換えられた状態と、閉姿勢に切り換えられた状態とにおいて、互いに左右対称な形状をなしている。また、各開閉アーム7の先端部は、その他の部分である中途部及び基端部に対して左右内側に湾曲又は屈曲形成されて規制部7aを構成している。
【0028】
左右の開閉アーム7,7は、その夫々を閉姿勢に切り換えた場合、左右の規制部7a,7a同時が近接して捕獲スペースSの開放された先側部分の大部分が塞がれた状態(閉状態)になる一方で、その夫々を開姿勢に切り換えた場合、その夫々の大部分又は全体が左右のフレーム6,6の左右外側に位置して捕獲スペースSの開放された先側部分の全体が開かれた状態(開状態)になる。
【0029】
開閉アーム7,7を閉姿勢への切換側に弾性的に付勢する付勢部材が設けられている。図示する例では、この付勢部材は、左右の開閉アーム7,7毎に設けられているが、単一の付勢部材によって左右両方の開閉アーム7,7をまとめて閉姿勢への切換側に付勢してもよい。ちなみに、開閉アーム7,7を開姿勢で係止してロックするロック機構9,9が左右の開閉アーム7,7毎に設けられている。
【0030】
ロック機構9は、対応する開閉アーム7を開姿勢に切り換えられる側で係止してロックするロック状態と、該ロック状態を解除して開閉アーム7の閉姿勢側への揺動を許容する解除状態との切換を行うように構成される。
【0031】
捕獲スペースS側(言い換えると、左右のフレーム6,6の間)には、該捕獲スペースS内に捕獲した対象者によって操作されるトリガー操作具11が設けられるとともに、このトリガー操作具11による操作に左右の開閉アーム7,7の左右揺動(姿勢の切換)を連動させる連動機構12が設けられている。
【0032】
トリガー操作具11は、後方(基端側)に凹んだ円弧状に形成された被操作部13と、被操作部13の中間部から後方に一直線状をなし且つ柄1と同軸軸心となる軸部14と、を有し、全体としてY字状又はT字状をなしている。トリガー操作具11は、その軸部14を柄1の前端の開放部分から柄1の内部スペースに嵌合して挿入することによって、その軸方向にスライド移動可能に該柄1に取り付け支持される。
【0033】
トリガー操作具11は、その被操作部13が、捕獲スペースSの奥側に押し込まれ且つ左右のフレーム6,6の基端側に格納された状態(操作状態)と、捕獲スペースSの開放側に進展した状態(非操作状態)との間の範囲で、移動作動するように構成されている。刺股には、トリガー操作具11を非操作状態に弾性的に付勢する付勢部材(図示しない)が設けられている。
【0034】
このトリガー操作具11は、捕獲スペースSに捕獲された対象者の胴体側によって、付勢部材の付勢力に抗して操作状態への切換側(具体的には、後方)に押し込み操作(トリガー操作)される。刺股には、左右の開閉アーム7,7の揺動作動を制御する作動機構16が設けられている。
【0035】
作動機構16は、トリガー操作具11のトリガー操作に左右の開閉アーム7,7の揺動作動を連動させる上述の連動機構12と、把持操作具4の引き操作と連動機構12の作動を連係させる連係機構18と、を有している。
【0036】
連動機構12は、トリガー操作具11がトリガー操作された場合、一対のロック機構9の夫々をロック状態から解除状態に切り換えるように構成されている。このようにして、各ロック機構9,9がロック状態から解除状態に切り換えられた場合、該ロック機構9,9によって開姿勢で係止されていた対応する開閉アーム7,7が、付勢部材からの弾力的に付勢力により閉姿勢に切り換えられる。すなわち、連動機構12は、単一のトリガー操作具11がトリガー操作された場合、左右の夫々の開閉アーム7,7を開姿勢から閉姿勢に切り換えるように構成されている。
【0037】
連係機構18は、少なくともその一部(具体的には、押し引き操作可能な金属製の芯材18a)が上述した内部スペースに収容されている。この連係機構18は、把持操作具4が非作用位置から作用位置に把持操作された場合、左右の開閉アーム7,7の夫々を、付勢部材からの付勢力に抗して、閉姿勢から開姿勢に切り換える(すなわち、左右外側に揺動作動させる)ように構成されている。
【0038】
ちなみに、左右の開閉アーム7,7毎に設けられたロック機構9,9は、対応する開閉アーム7,7が閉姿勢から開姿勢に切り換えられる場合、該開閉アーム7,7との当接等によって解除状態からロック状態に自動的に切り換えられるように構成されている。該構成によれば、付勢部材によって閉姿勢に付勢されている開閉アーム7を、その付勢力に抗して閉姿勢から開姿勢に切り換えられた場合、対応するロック機構9は、自動的にロック状態に切り換えられて該開閉アーム7を開姿勢で保持する。
【0039】
続いて、刺股の使用方法について説明すると、使用者は、不審者や侵入者等の対象者を発見した場合、左右の開閉アーム7,7が開姿勢でロックされた状態で刺股における把持部3aを左右一方の手で把持し、その柄1の中途部を左右他方の手で把持した状態で、捕獲スペースSに対象者の胴体部分が捕獲されるように、該対象者に向かって刺股を突く操作を行う。この操作によって対象者は使用者に近づき難くなる。
【0040】
また、捕獲スペースS内に対象者を捕獲した場合、該対象者によってトリガー操作具11がトリガー操作され、開状態から閉状態への切換によって、対象者が捕獲スペースSから逃れ難くなる。
【0041】
さらに、警察に引き渡す場合や、他に助けが来る等、刺股の使用する目的を達成した場合、使用者は、把持操作具4を把持部3aと共にまとめて把持し、閉状態から開状態への切換を行い、次の使用に備える。
【0042】
なお、ロック機構9を省略し、トリガー操作具11が操作状態である場合には、左右の開閉アーム7,7の夫々を閉姿勢とする一方で、トリガー操作具11が非操作状態である場合には、左右の開閉アーム7,7の夫々を開姿勢とするように、単一のトリガー操作具11と左右の開閉アーム7,7とを連動機構12によって機械的に連結してもよい。
【0043】
また、連係機構18を、開閉アーム7,7に機械的に直接連結しているが、この連係機構18を、連動機構12を介して、開閉アーム7,7に機械的に連結してもよい。
【0044】
さらに、左右の開閉アーム7,7を閉姿勢に付勢する付勢部材を、把持操作具4を非作用位置側に付勢する付勢部材と兼用させることも可能である。
【0045】
次に、図5乃至図7に基づいて、本発明の別実施形態につき、上述の形態と異なる部分を説明する。
【0046】
図5は本発明の別実施形態に係る刺股について開閉アームを開姿勢に切り換えた状態を示す平面図であり、図6図5に示す刺股について開閉アームを閉姿勢に切り換えた状態を示す平面図である。この刺股には、対象者に電撃を加える電撃装置20が設けられている。電撃装置20は、一対の電極7,7,19,19と、一対の電極7,7,19,19間に高電圧を印加する電源回路21(図7参照)と、この電圧の印加の有無を切り換える切換スイッチ(切換手段)22,22と、を有している。
【0047】
一対で一組の電極7,7,19,19が二組設けられている。一組目の一対の電極は、上述した左右の開閉アーム7,7である。二組目の一対の電極は、左右の夫々のフレーム6,6の先側の端部である先端部に左右揺動可能に取り付け支持された電極アーム19,19である。
【0048】
電極アーム19,19は、その基端部がフレーム6,6に取り付け支持され、その支持された基端部を支点として、左右に揺動される。各電極アーム19は、この左右揺動によって、その先端部が左右内側を向いた閉姿勢と、その先端部が利用者側(後方)を向いた開姿勢とに切り換えることが可能に構成されている。
【0049】
電極アーム19,19は開閉アーム7,7と共に上述した連動機構12によって揺動が制御される。具体的には、連動機構12は、左右の開閉アーム7,7の夫々が開姿勢に切り換えられた場合、左右の電極アーム19,19の夫々が閉姿勢に切り換えられる一方で、左右の開閉アーム7,7の夫々が閉姿勢に切り換えられた場合、左右の電極アーム19,19の夫々が開姿勢に切り換えられる。
【0050】
左右の電極アーム19,19の夫々が閉姿勢に切り換えられた場合、捕獲スペースSの先側の開放された部分の少なくとも一部(本例では大部分)が塞がれる閉状態に切り換える一方で、左右の電極アーム19,19の夫々が開姿勢に切り換えられた場合、この電極アーム19,19による閉状態が解除された状態である開状態に切り換えられる。
【0051】
ちなみに、左右の電極アーム19,19は、湾曲方向に弾性変更可能に構成されている。このため、閉状態に切り換えられた電極アーム19,19を、対象者に押し付けて湾曲させることにより、該対象者を捕獲スペースSに捕獲することが可能になる。
【0052】
切換スイッチ22,22は、平面視で柄1と交差(直交)する方向(左右方向)に一直線状を延びる操作杆23の左右夫々の端側に配置されている。具体的には、操作杆23が、柄1の中途部から左右両側に突出しており、その突出した左右の端部には、利用者が把持するグリップ24,24がそれぞれ一体的に形成されている。左右の切換スイッチ22,22は、モーメンタリ式の押しボタンであり、グリップ24,24を把持した手の拇指によって操作可能な箇所(具体的には、操作杆23の左右の端部寄り部分の背面側)に、押し操作可能に設けられている。
【0053】
図7は刺股に設けた電撃装置の構成を示すブロック図である。電源回路21は、左右の切換スイッチ22,22の押し操作の有無に基づいて、一対の電極アーム19,19の間の電圧の印加の有無と、一対の開閉アーム7,7の間の電圧の印加の有無と、を切り換えるように構成されている。
【0054】
具体的には、電源回路21は、左右の切換スイッチ22,22の一方又は両方を押し操作している間は、二組の電極7,7,19,19の内の少なくも一組の電極7,7,19,19に電圧を印加するように構成されている。
【0055】
対象者は、その間に電圧が印加された一対の電極7,7,19,19に触れることにより、感電する。すなわち、捕獲スペースSに対象者を捕獲されるまでの間は、該対象者に電極アーム19,19によって電撃を加える一方で、捕獲スペースSに捕獲した対象者に対しては、開閉アーム7,7によって対象者の電撃を加える。
【0056】
以上のように構成される刺股は、電撃装置20によって、防犯の効果をさらに向上させることが可能になる。
【0057】
なお、左右一方の切換スイッチ22,22を押し操作した場合は、二組の電極7,7,19,19の一方の組の電極7,7,19,19の間に電圧を印加する一方で、左右他方の切換スイッチ22,22を押し操作した場合は、二組の電極7,7,19,19の他方の組の電極7,7,19,19の間に電圧を印加するように、電源回路21を構成してもよい。
【0058】
また、二組の電極7,7,19,19の一方の組の電極7,7,19,19を省略してもよい。特に、電極アーム19,19を省略した形態は、上述した形態から最小限の機械的構成の追加で本形態に対応させることが可能になる。
【0059】
さらに、開閉アーム7,7と電極アーム19,19とを各別に操作できる構造を採用してもよい。この場合、電極アーム19,19を操作する専用の操作具を、操作杆23のグリップ24,24に設けてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 柄
2 捕獲部
4 把持操作具(操作具)
6 フレーム
7 開閉アーム
9 ロック機構
11 トリガー操作具
12 連動機構
18 連係機構
20 電撃装置
21 電源回路
22 切換スイッチ(切換手段)
S 捕獲スペース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7