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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025643
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】人力駆動車用の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/45 20100101AFI20250214BHJP
【FI】
B62M6/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130595
(22)【出願日】2023-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】松田 浩史
(72)【発明者】
【氏名】柿木 伸介
(72)【発明者】
【氏名】藪内 佑基
(57)【要約】
【課題】アシスト力の付与に関する利便性を向上できる制御装置を提供する。
【解決手段】人力駆動車用の制御装置であって、モータを駆動させることによって人力駆動車にアシスト力を付与するアシスト状態において、モータを停止させるための停止条件を満たす場合、モータの駆動を継続させるための継続条件が満たされる間、モータを継続して駆動させるように構成される制御部と、継続条件に含まれる設定値を変更可能に記憶する記憶部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用の制御装置であって、
モータを駆動させることによって前記人力駆動車にアシスト力を付与するアシスト状態において、前記モータを停止させるための停止条件を満たす場合、前記モータの駆動を継続させるための継続条件が満たされる間、前記モータを継続して駆動させるように構成される制御部と、
前記継続条件に含まれる設定値を変更可能に記憶する記憶部と、を備える、制御装置。
【請求項2】
前記停止条件は、前記人力駆動車のケイデンスが予め定める閾値以下の場合に満たされる、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記設定値は、前記人力駆動車の走行距離に関する第1設定範囲を含み、
前記継続条件は、前記アシスト状態において、前記停止条件が満たされてからの前記人力駆動車の走行距離が前記第1設定範囲の場合に満たされる、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、操作部の操作に応じて、前記記憶部の前記第1設定範囲を段階的に変更する、請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記アシスト状態において、前記停止条件が満たされてからの前記人力駆動車の走行距離が、前記第1設定範囲を超える前に、前記モータを停止させる、請求項3に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記人力駆動車の車速、および、前記第1設定範囲に基づいて、前記人力駆動車の走行距離が前記第1設定範囲に達するまでの走行時間を算出し、
前記アシスト状態において、前記停止条件が満たされてからの経過時間が、前記走行時間を超える前に、前記モータを停止させる、請求項3に記載の制御装置。
【請求項7】
前記第1設定範囲は、2メートル以下の値を含む、請求項3に記載の制御装置。
【請求項8】
前記設定値は、時間に関する第2設定範囲を含み、
前記継続条件は、前記アシスト状態において、前記停止条件が満たされてからの経過時間が前記第2設定範囲の場合に満たされる、請求項1に記載の制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、操作部の操作に応じて、前記記憶部の前記第2設定範囲を段階的に変更する、請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記アシスト状態において、前記停止条件が満たされてからの経過時間が、前記第2設定範囲を超える前に、前記モータを停止させる、請求項8に記載の制御装置。
【請求項11】
前記第2設定範囲は、前記人力駆動車が2メートルを走行する時間以下の値を含む、請求項8に記載の制御装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記アシスト状態において、前記停止条件が満たされると、前記モータの出力トルクを徐々に減少させるように構成される、請求項1に記載の制御装置。
【請求項13】
前記制御部に接続される無線通信部をさらに備え、
前記制御部は、前記無線通信部を介して、前記操作部に接続可能に構成される、請求項4、または、9に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人力駆動車用の制御装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、人力駆動車にアシスト力を付与するためのモータを、人力駆動力に応じて制御する制御装置が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-323880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の制御装置において、アシスト力の付与に関する利便性の向上が望まれる。
【0005】
本開示の目的の1つは、利便性を向上できる制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1側面に従う制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、モータを駆動させることによって人力駆動車にアシスト力を付与するアシスト状態において、モータを停止させるための停止条件を満たす場合、モータの駆動を継続させるための継続条件が満たされる間、モータを継続して駆動させるように構成される制御部と、継続条件に含まれる設定値を変更可能に記憶する記憶部と、を備える。
第1側面の制御装置によれば、設定値を変更することによって、アシスト状態において停止条件を満たす場合にモータが継続して駆動される条件をカスタマイズできるため、アシスト力の付与に関する利便性を向上できる。
【0007】
第1側面に従う第2側面の制御装置において、停止条件は、人力駆動車のケイデンスが予め定める閾値以下の場合に満たされる。
第2側面の制御装置によれば、アシスト状態においてケイデンスが予め定める閾値以下の場合にモータが継続して駆動される条件をカスタマイズできる。
【0008】
第1側面に従う第3側面の制御装置において、設定値は、人力駆動車の走行距離に関する第1設定範囲を含み、継続条件は、アシスト状態において、停止条件が満たされてからの人力駆動車の走行距離が第1設定範囲の場合に満たされる。
第3側面の制御装置によれば、アシスト状態において停止条件を満たす場合に人力駆動車に継続してアシスト力が付与される走行距離をカスタマイズできるため、アシスト力の付与に関する利便性を向上できる。
【0009】
第3側面に従う第4側面の制御装置において、制御部は、操作部の操作に応じて、記憶部の第1設定範囲を段階的に変更する。
第4側面の制御装置によれば、操作部の操作によって、ユーザが第1設定範囲を段階的に変更できるので利便性が向上する。
【0010】
第3、または、第4側面に従う第5側面の制御装置において、制御部は、アシスト状態において、停止条件が満たされてからの人力駆動車の走行距離が、第1設定範囲を超える前に、モータを停止させる。
第5側面の制御装置によれば、アシスト状態において停止条件を満たす場合に人力駆動車に継続してアシスト力が付与される走行距離が、必要以上に長くなることを抑制できる。
【0011】
第3、または、第4側面に従う第6側面の制御装置において、制御部は、人力駆動車の車速、および、第1設定範囲に基づいて、人力駆動車の走行距離が第1設定範囲に達するまでの走行時間を算出し、アシスト状態において、停止条件が満たされてからの経過時間が、走行時間を超える前に、モータを停止させる。
第6側面の制御装置によれば、アシスト状態において停止条件を満たす場合に人力駆動車に継続してアシスト力が付与される走行距離が、必要以上に長くなることを抑制できる。
【0012】
第3から第6側面のいずれか1つに従う第7側面の制御装置において、第1設定範囲は、2メートル以下の値を含む。
第7側面の制御装置によれば、アシスト状態において停止条件を満たす場合に人力駆動車に継続してアシスト力が付与される走行距離を、2メートル以下の範囲においてカスタマイズできる。
【0013】
第1側面に従う第8側面の制御装置において、設定値は、時間に関する第2設定範囲を含み、継続条件は、アシスト状態において、停止条件が満たされてからの経過時間が第2設定範囲の場合に満たされる。
第8側面の制御装置によれば、アシスト状態において停止条件を満たす場合に人力駆動車にアシスト力が継続して付与される時間をカスタマイズできるため、アシスト力の付与に関する利便性を向上できる。
【0014】
第8側面に従う第9側面の制御装置において、制御部は、操作部の操作に応じて、記憶部の第2設定範囲を段階的に変更する。
第9側面の制御装置によれば、操作部の操作によって、ユーザが第2設定範囲を段階的に変更できる。
【0015】
第8、または、第9側面に従う第10側面の制御装置において、制御部は、アシスト状態において、停止条件が満たされてからの経過時間が、第2設定範囲を超える前に、モータを停止させる。
第10側面の制御装置によれば、アシスト状態において停止条件を満たす場合に人力駆動車にアシスト力が継続して付与される時間が、必要以上に長くなることを抑制できる。
【0016】
第8から第10側面のいずれか1つに従う第11側面の制御装置において、第2設定範囲は、人力駆動車が2メートルを走行する時間以下の値を含む。
第11側面の制御装置によれば、アシスト状態において停止条件を満たす場合に人力駆動車にアシスト力が継続して付与される走行距離を、2メートル以下の範囲においてカスタマイズできる。
【0017】
第1から第11側面のいずれか1つに従う第12側面の制御装置において、制御部は、アシスト状態において、停止条件が満たされると、モータの出力トルクを徐々に減少させるように構成される。
第12側面の制御装置によれば、人力駆動車の走行の快適性、および、安定性を向上できる。
【0018】
第4、または、第9側面に従う第13側面の制御装置において、制御部に接続される無線通信部をさらに備え、制御部は、無線通信部を介して、操作部に接続可能に構成される。
第13側面の制御装置によれば、無線通信部によって操作部と通信できる。
【発明の効果】
【0019】
本開示の制御装置によれば、アシスト力の付与に関する利便性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態に係る制御装置を備える人力駆動車を示す側面図。
図2】制御装置を備える人力駆動車の電気的な構成の一例を示すブロック図。
図3】第1実施形態における制御フローを示すフローチャート。
図4】設定画面の一例を示す図。
図5】第2実施形態における制御フローを示すフローチャート。
図6】第3実施形態における制御フローを示すフローチャート。
図7】第3実施形態において、ペダルに対する入力トルク、および、アシスト力の関係の一例を示す図。
図8】第4実施形態における制御フローを示すフローチャート。
図9】第5実施形態における制御フローを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る制御装置22が説明される。第1実施形態に係る制御装置22の説明には、図1から図6が用いられる。
【0022】
人力駆動車10は、少なくとも1つの車輪16を有し、少なくとも人力駆動力によって駆動できる乗り物である。人力駆動車10は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、ハンドバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。人力駆動車10が有する車輪16の数は限定されない。人力駆動車10は、例えば1輪車、および、2輪以上の車輪16を有する乗り物を含む。人力駆動車10は、人力駆動力のみによって駆動できる乗り物に限定されない。人力駆動車10は、人力駆動力だけではなく、電気モータの駆動力を推進に利用するE-bikeを含む。E-bikeは、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、実施形態において、人力駆動車10は電動アシスト自転車として説明される。
【0023】
人力駆動車10は、クランク11、フレーム12、シート13、ハンドルバー14、フロントフォーク15、車輪16、駆動機構17、変速機18、バッテリ19、ドライブユニット20、および、制御システム21を備える。図1に示されるクランク11は、フレーム12に対して回転可能なクランク軸11a、および、クランク軸11aの軸方向の両端部にそれぞれ設けられる一対のクランクアーム11bを含む。一対のクランクアーム11bには、それぞれペダル11cが連結される。
【0024】
フレーム12には、シートポスト13aを介してシート13が設けられる。フレーム12は、ハンドルバー14、および、フロントフォーク15を回転可能に支持する。ハンドルバー14は、ユーザが把持できるように構成される。ハンドルバー14がフレーム12に対して回転することによってフロントフォーク15が回転し、人力駆動車10の進行方向が変化する。ハンドルバー14には、変速操作装置14aが設けられる。
【0025】
車輪16は、前輪16a、および、後輪16bを含む。前輪16aは、フロントフォーク15に回転可能に取り付けられる。後輪16bは、フレーム12に回転可能に取り付けられる。駆動機構17は、クランク11、および、後輪16bを連結する。駆動機構17は、第1回転体17a、第2回転体17b、および、第1駆動力伝達部17cを含む。
【0026】
本実施形態では、第1回転体17aは、1つのフロントスプロケットを含む。第1回転体17aは、複数のフロントスプロケットを含んでもよい。第1回転体17aは、ドライブユニット20の第2駆動力伝達部20bを介してクランク軸11aに連結される。第2駆動力伝達部20bは、クランク軸11aと一体的に回転するように構成される。第1回転体17aは、第2駆動力伝達部20bの回転に伴って回転する。クランク軸11aが第1回転方向に回転して、人力駆動力が後輪16bに伝達されると、人力駆動車10は、前進する。第2駆動力伝達部20bは、クランク軸11aが第1回転方向に回転する場合に、クランク軸11aと第1回転体17aとが一体的に回転し、クランク軸11aが第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転する場合に、クランク軸11aと第1回転体17aとの相対回転を許容するワンウェイクラッチを含んでいてもよい。
【0027】
本実施形態では、第2回転体17bは、複数のリアスプロケットを含む。第2回転体17bは、1つのフロントスプロケットを含んでもよい。第2回転体17bは、後輪16bに連結される。第1駆動力伝達部17cは、第1回転体17aの回転力を第2回転体17bに伝達する。第1駆動力伝達部17cは、例えば、チェーンを含む。第1回転体17a、および、第2回転体17bがプーリを含み、第1駆動力伝達部17cがベルトを含んでいてもよい。第1回転体17a、および、第2回転体17bがベベルギアを含み、第1駆動力伝達部17cがシャフトを含んでいてもよい。
【0028】
変速機18は、人力駆動車10の変速比を変更する。変速比は、クランク軸11aの回転速度に対する後輪16bの回転速度の比率を示す。変速機18は、外装変速機、および、内装変速機の少なくとも一方を含む。本実施形態では、変速機18は、外装変速機を含む。変速機18が外装変速機を含む場合、変速比は、例えば、第1駆動力伝達部17cが係合するフロントスプロケットの歯数を、第1駆動力伝達部17cが係合するリアスプロケットの歯数で割ることによって算出される。外装変速機は、フロントディレイラ、および、リアディレイラ18aの少なくとも一方を含む。本実施形態では、外装変速機は、リアディレイラ18aを含む。リアディレイラ18aは、変速操作装置14aがユーザによって操作される場合に、第1駆動力伝達部17cを複数のリアスプロケットの間において掛け替えられるように構成される。
【0029】
バッテリ19は、電子機器に電力を供給する。電子機器は、人力駆動車10に搭載されるコンポーネントを含む。電子機器には、例えば、制御装置22、トルクセンサ23、車速センサ24、および、ケイデンスセンサ25が含まれる。バッテリ19は、例えば充電できない電池、および、充電池の少なくとも1つを含む。充電池は、外部電源からの電力によって充電可能に構成される。バッテリ19は、フレーム12に設けられる。バッテリ19は、例えば、フレーム12のダウンチューブ内に少なくとも一部が配置される。
【0030】
図1、および、図2に示されるドライブユニット20は、一対のクランクアーム11bに入力される人力駆動力に応じて、人力駆動車10にアシスト力を付与するように構成される。ドライブユニット20は、モータ20a、および、第2駆動力伝達部20bを含む。
【0031】
モータ20aは、バッテリ19からの電力によって駆動するように構成される。モータ20aは、ペダル11cから後輪16bまでの人力駆動力の動力伝達経路に、または、前輪16aに駆動力を伝達するように構成される。本実施形態では、モータ20aは、図1に示される第2駆動力伝達部20bと連結されることによって、人力駆動力の動力伝達経路に駆動力を伝達するように構成される。モータ20aは、減速機を介して第2駆動力伝達部20bと連結されてもよい。
【0032】
第2駆動力伝達部20bには、人力駆動力、および、モータ20aのアシスト力が伝達される。人力駆動力、および、アシスト力が駆動機構17を介して後輪16bに伝達されることによって、人力駆動車10は走行する。
【0033】
ドライブユニット20のモータ20aは、複数の制御状態において制御される。モータ20aの制御状態は、人力駆動車10が人力駆動力によって推進する状態において、モータ20aが駆動されて人力駆動車10にアシスト力が付与されるアシスト状態と、人力駆動車10が人力駆動力によって推進する状態において、モータ20aが停止されてアシスト力が付与されない非アシスト状態と、を含む。
【0034】
モータ20aの出力は、アシスト状態において、人力駆動車10の車速が予め定める速度未満の場合、人力駆動力に応じて制御される。モータ20aの出力が制御されることによって、人力駆動車10に付与されるアシスト力の大きさが変化する。アシスト状態は、人力駆動力に対するモータ20aの最大出力比率が異なる複数のアシスト状態を含んでよい。
【0035】
図2に示される制御システム21は、モータ20aを制御するように構成される。制御システム21は、制御装置22、トルクセンサ23、車速センサ24、および、ケイデンスセンサ25を備える。制御装置22は、人力駆動車用の制御装置22であって、モータ20aを駆動させることによって人力駆動車10にアシスト力を付与するアシスト状態において、モータ20aを停止させるための停止条件を満たす場合、モータ20aの駆動を継続させるための継続条件が満たされる間、モータ20aを継続して駆動させるように構成される制御部22bと、継続条件に含まれる設定値を変更可能に記憶する記憶部22aと、を備える。
【0036】
停止条件は、ユーザがペダリングを停止すると推定される場合に満たされる。停止条件は、例えば、人力駆動車10のケイデンスが予め定める閾値以下の場合、および、人力駆動力が予め定める閾値以下の場合の少なくとも一方を満たす場合に満たされる。本実施形態では、停止条件は、人力駆動車10のケイデンスが予め定める閾値以下の場合に満たされる。停止条件の閾値は、5rpmである。閾値の大きさは、本実施形態に限定されない。閾値は、例えば、0rpmから7rpmの範囲内の値であってよい。閾値は、好ましくは、0rpmから5rpmの範囲内の値である。
【0037】
継続条件は、アシスト状態において停止条件が満たされてからの人力駆動車10の走行距離が比較的短いと推定される場合に満たされる。継続条件は、設定値に基づいて規定される。本実施形態では、設定値は、人力駆動車10の走行距離に関する第1設定範囲を含む。継続条件は、アシスト状態において、停止条件が満たされてからの人力駆動車10の走行距離が第1設定範囲の場合に満たされる。第1設定範囲は、2メートル以下の値を含む。第1設定範囲は、複数の値を含んでいてもよく、1つの値のみを含んでいてもよい。
【0038】
制御装置22は、記憶部22a、および、制御部22bを備える。本実施形態では、制御装置22は、制御部22bに接続される無線通信部22cをさらに備える。記憶部22aは、制御プログラム、および、制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部22aは、例えば不揮発性メモリ、揮発性メモリ、および、ハードディスクの少なくとも1つを含む。
【0039】
制御部22bは、ドライブユニット20に関する制御を実行するように構成される。制御部22bは、予め定められた制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)、または、MPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部22bは、1、または、複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。制御部22bは、モータ20aに接続されるインバータ回路をさらに含む。
【0040】
制御部22bは、時間を計測する機能を有する。制御部22bは、例えば、CPU、または、MPUによって時間を計測してもよく、タイマまたは時計を有していてもよい。制御部22bは、電気ケーブル、または、無線通信装置によってトルクセンサ23、車速センサ24、および、ケイデンスセンサ25と通信するように構成される。制御部22bは、ドライブユニット20に含まれていてもよい。
【0041】
トルクセンサ23は、一対のクランクアーム11bに入力されるトルクに関する情報を検出するように構成される。トルクセンサ23は、例えば、ペダル11cから第1回転体17aまでの駆動力の伝達経路に設けられる。トルクセンサ23は、例えば、歪センサを含む。トルクセンサ23は、磁歪センサ、光学センサ、および、圧力センサを含んでもよい。トルクセンサ23は、一対のクランクアーム11bに加えられるトルクに応じた信号を制御部22bに出力する。制御部22bは、トルクセンサ23から出力される信号に基づいて人力駆動力を検出するように構成される。トルクセンサ23は、ドライブユニット20に設けられてもよい。
【0042】
車速センサ24は、人力駆動車10の車速に関する情報を検出するように構成される。車速センサ24は、例えば、人力駆動車10の少なくとも1つの車輪16の回転速度を検出する。車速センサ24は、例えば、人力駆動車10のフレーム12、または、フロントフォーク15に取り付けられて、少なくとも1つの車輪16に設けられる磁石の磁気を検出する磁気センサによって構成される。車速センサ24は、少なくとも1つの車輪16の回転速度に応じた信号を制御部22bに出力する。制御部22bは、車速センサ24から出力される信号に基づいて人力駆動車10の車速を検出するように構成される。
【0043】
ケイデンスセンサ25は、人力駆動車10のケイデンスを検出するように構成される。ケイデンスは、例えば、単位時間あたりのクランク軸11aの回転数によって規定される。単位時間は、例えば、1分である。ケイデンスセンサ25は、例えば、ペダル11cから第1回転体17aまでの駆動力の伝達経路に設けられる。ケイデンスセンサ25は、例えば、磁界の強度に応じた信号を出力する磁気センサを含む。ケイデンスセンサ25は、光学センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、または、トルクセンサなどを含んでもよい。ケイデンスセンサ25は、ケイデンスに応じた信号を制御部22bに出力する。制御部22bは、ケイデンスセンサ25から出力される信号に基づいてケイデンスを検出するように構成される。ケイデンスセンサ25は、ドライブユニット20に設けられてもよい。
【0044】
無線通信部22cは、外部機器からの無線信号を受信できる。無線通信部22cは、Bluetooth(登録商標)、および、ANT+(登録商標)等の既存の通信規格によって通信するように構成されてもよく、独自の通信規格によって無線通信するように構成されてもよい。制御部22bは、無線通信部22cを介して、操作部30に接続可能に構成される。
【0045】
操作部30は、ユーザが手、または、指によって操作するように構成される。本実施形態では、操作部30は、予め定めるアプリケーションがインストールされるスマートフォン31を含む。スマートフォン31は、例えば、予め定めるアプリケーションが起動されて予め定める操作が行われる場合に、無線通信部22cに信号を出力する。制御部22bは、無線通信部22cを介してスマートフォン31からの信号を受信すると、スマートフォン31からの信号に基づいて、スマートフォン31に対するユーザの操作を検出するように構成される。操作部30は、予め定めるアプリケーションがインストールされるタブレット型コンピュータであってもよい。
【0046】
本実施形態では、制御部22bは、人力駆動力の変化速度に対するモータ20aの出力の変化速度の変化率を変更するように構成される。変化率は、人力駆動力が増加する場合の第1変化率、および、人力駆動力が減少する場合の第2変化率の少なくとも1つを含む。
【0047】
制御部22bは、例えば、第1フィルタによって第1変化率を変更する。第1フィルタは、例えば、第1時定数を含む。制御部22bは、第1フィルタの第1時定数を変更することによって第1変化率を変更するように構成される。制御部22bは、人力駆動力からモータ20aの出力を算出するためのゲインを変更することによって第1変化率を変更するように構成されてもよい。第1フィルタは、例えば、演算処理装置において予め定めるソフトウェアを実行することによって構成される。
【0048】
制御部22bは、例えば、第2フィルタによって第2変化率を変更する。第2フィルタは、例えば、第2時定数を含む。制御部22bは、第2フィルタの第2時定数を変更することによって第2変化率を変更するように構成される。制御部22bは、人力駆動力からモータ20aの出力を算出するためのゲインを変更することによって第2変化率を変更するように構成されてもよい。第2フィルタは、例えば、演算処理装置において予め定めるソフトウェアを実行することによって構成される。例えば、制御部22bは、人力駆動力が減少する場合の第2変化率を、人力駆動力が増加する場合の第1変化率よりも小さい値に変更することによって、人力駆動力が低下してもアシスト力を低下し難くできる。人力駆動力が低下してもアシスト力を低下し難いことによって、ユーザは、ペダル11cを漕ぎ易い。
【0049】
制御部22bが実行する制御の一例が説明される。制御部22bが実行する制御の一例の説明には、図3が用いられる。制御部22bは、図3に示されるフローチャートに従った第1制御フローを実行するように構成される。第1制御フローは、アシスト状態において停止条件が満たされる場合に、継続条件を満たす間、モータ20aを継続して駆動させるように、モータ20aを制御する処理を含む。
【0050】
本実施形態では、第1制御フローを開始するための第1条件は、バッテリ19から制御装置22に電力が供給される場合に満たされる。制御部22bは、第1制御フローが終了すると、予め定める第2条件が満たされるまで、第1制御フローを予め定める時間ごとに繰り返し実行する。本実施形態では、第2条件は、バッテリ19から制御装置22に電力が供給されない場合に満たされる。第1条件、および、第2条件は、本実施形態に限定されない。
【0051】
ステップS11において、制御部22bは、第1制御フローの実行に必要な情報を検出する。本実施形態では、制御部22bは、車速センサ24からの信号に基づいて、人力駆動力の車速を検出する。制御部22bは、ケイデンスセンサ25からの信号に基づいて、人力駆動力のケイデンスを検出する。制御部22bは、ステップS11の処理を行った後、ステップS12に移行する。
【0052】
ステップS12において、制御部22bは、モータ20aの制御状態がアシスト状態の場合、ステップS13に移行する。制御部22bは、モータ20aの制御状態が非アシスト状態の場合、第1制御フローを終了する。
【0053】
ステップS13において、制御部22bは、停止条件を満たす場合、ステップS14に移行する。本実施形態では、制御部22bは、ステップS11において検出されるケイデンスが5rpm以下の場合に、ステップS14に移行する。制御部22bは、停止条件を満たさない場合、第1制御フローを終了する。本実施形態では、制御部22bは、ステップS11において検出されるケイデンスが5rpmよりも大きい場合に、第1制御フローを終了する。
【0054】
ステップS14において、制御部22bは、アシスト状態において停止条件が満たされてからの人力駆動車10の走行距離を算出する。本明細書においては、アシスト状態において停止条件が満たされてからの人力駆動車10の走行距離が、停止条件成立後の走行距離Mとして記載される場合がある。制御部22bは、例えば、アシスト状態において停止条件を満たした時点における人力駆動車10の車速、および、アシスト状態において停止条件を満たしてからの経過時間に基づいて、停止条件成立後の走行距離Mを算出する。制御部22bは、アシスト状態において停止条件を満たしてからの経過時間を、時計機能を用いることによって算出できる。
【0055】
停止条件成立後の走行距離Mを算出する方法は、本実施形態に限定されない。制御部22bは、例えば、第1制御フローが繰り返し実行されることによって、ステップS11において繰り返し検出される人力駆動車10の車速に基づいて、停止条件成立後の走行距離Mを算出してもよい。制御部22bは、ステップS14の処理を行った後、ステップS15に移行する。
【0056】
ステップS15において、制御部22bは、継続条件を満たす場合、ステップS17に移行する。本実施形態では、制御部22bは、記憶部22aに記憶される第1設定範囲を読み込み、ステップS14において算出される停止条件成立後の走行距離Mが第1設定範囲の場合に、ステップS17に移行する。例えば、第1設定範囲が0メートルから1.5メートルの範囲の場合、制御部22bは、停止条件成立後の走行距離Mが1.5メートル以下の場合に、ステップS17に移行する。
【0057】
ステップS15において、制御部22bは、継続条件を満たさない場合、ステップS16に移行する。本実施形態では、制御部22bは、停止条件成立後の走行距離Mが第1設定範囲とは異なる範囲の場合に、ステップS16に移行する。例えば、第1設定範囲が0メートルから1.5メートルの範囲の場合、制御部22bは、停止条件成立後の走行距離Mが1.5メートルよりも大きい場合に、ステップS16に移行する。
【0058】
ステップS16において、制御部22bは、モータ20aを停止するようにモータ20aを制御する。制御部22bは、ステップS16の処理を行った後、第1制御フローを終了する。
【0059】
ステップS17において、制御部22bは、モータ20aの駆動を継続するようにモータ20aを制御する。ステップS17において、モータ20aの駆動を継続させる場合、継続条件が満たされる間のモータ20aの出力トルクの大きさ、および、変化の態様は、特に限定されない。ステップS17において、モータ20aの駆動を継続する方法は、限定されない。
【0060】
例えば、制御部22bは、予め定めるトルクを出力するように、モータ20aを制御してもよい。例えば、制御部22bは、予め定めるパラメータに応じて、モータ20aの出力トルクを変化させてもよい。予め定めるパラメータは、例えば、人力駆動車10の人力駆動力、停止条件成立後の走行距離M、および、アシスト状態において停止条件が満たされてからの経過時間の少なくとも1つを含む。ステップS17におけるモータ20aの制御によって、制御部22bは、アシスト状態においてペダリングが停止されると推定される場合に、人力駆動車10に継続してアシスト力を付与できる。制御部22bは、ステップS17の処理を行った後、第1制御フローを終了する。
【0061】
制御部22bは、第1制御フローのステップS15において用いられる第1設定範囲を変更するように構成される。第1設定範囲を変更することによって、アシスト状態において停止条件を満たす場合にモータ20aの駆動が継続される条件をカスタマイズできるため、アシスト力の付与に関する利便性を向上できる。図4が用いられ、第1設定範囲を変更するための構成の一例が説明される。本実施形態では、制御部22bは、操作部30の操作に応じて、記憶部22aの第1設定範囲を段階的に変更する。
【0062】
操作部30のスマートフォン31には、第1設定範囲を変更するための設定画面40を含むアプリケーションがインストールされる。設定画面40は、スマートフォン31において設定画面40を含むアプリケーションが起動され、スマートフォン31に対して予め定める操作が行われることによって、スマートフォン31に表示される。設定画面40は、第1領域41、および、第2領域42を含む。
【0063】
第1領域41は、人力駆動力の上昇速度に対するアシスト力の上昇速度の比率を示す、上昇比率を変更できるように構成される。本実施形態では、第1領域41において、上昇比率がバーグラフによって表示される。ユーザは、第1領域41のバーグラフをタッチすることによって、上昇比率の変更をスマートフォン31に指示できる。スマートフォン31は、上昇比率の変更を指示する信号を、無線通信部22cを介して制御部22bに出力できる。
【0064】
例えば、スマートフォン31は、設定画面40に表示される予め定めるボタンがタッチされる場合に、上昇比率の変更を指示する信号を、無線通信部22cを介して制御部22bに出力する。制御部22bは、スマートフォン31からの信号に応じて、上昇比率を変更する。例えば、制御部22bは、スマートフォン31からの信号に応じて、第2変化率を変更する。
【0065】
第2領域42は、第1設定範囲を変更できるように構成される。本実施形態では、第2領域42には、第1設定範囲を変更するための選択肢をユーザが選択できる選択ボタン42aが表示される。選択ボタン42aがタッチされることによって、スマートフォン31には、複数の選択肢が表示される。本実施形態では、スマートフォン31には、Low、Mid、および、Highの選択肢が表示される。ユーザは、設定画面40において、Low、Mid、および、Highのうち、1つの選択肢を選択することによって、第1設定範囲の変更をスマートフォン31に指示できる。
【0066】
スマートフォン31は、第1設定範囲の変更を指示する信号を、無線通信部22cを介して制御部22bに出力できる。スマートフォン31は、第2領域42においてLowが選択される場合、第2領域42においてMidが選択される場合、第2領域42においてHighが選択される場合において、互いに異なる信号を、無線通信部22cを介して制御部22bに出力する。制御部22bは、スマートフォン31からの信号に応じて、第1設定範囲を等間隔に変更する。本実施形態では、制御部22bは、設定範囲の上限値を等間隔に変更する。
【0067】
例えば、制御部22bは、第2領域42においてHighが選択される場合、第1設定範囲を、0メートルから1.5メートルの範囲に変更する。制御部22bは、第2領域42においてMidが選択される場合、第1設定範囲を、0メートルから1.0メートルの範囲に変更する。制御部22bは、第2領域42においてLowが選択される場合、第1設定範囲を、0メートルから0.5メートルの範囲に変更する。第2領域42において選択される1つの選択肢に応じた第1設定範囲の値は、本実施形態に限定されない。
【0068】
例えば、制御部22bは、第2領域42において選択される1つの選択肢に応じて、不等間隔に第1設定範囲を変更してもよい。例えば、制御部22bは、第2領域42においてMidが選択される場合に、第1設定範囲の上限値を1.0メートルではなく、1.2メートルに変更してもよい。例えば、制御部22bは、第2領域42においてMidが選択される場合に、第1設定範囲の上限値を1.0メートルではなく、0.8メートルに変更してもよい。
【0069】
第1設定範囲を変更するための選択肢は、本実施形態に限定されない。例えば、選択ボタン42aがタッチされることによって、Low、および、Highの2つの選択肢が、スマートフォン31に表示されてもよい。例えば、選択ボタン42aがタッチされることによって、4つ以上の選択肢がスマートフォン31に表示されてもよい。
【0070】
ユーザは、図4に示される設定画面40を操作することによって、アシスト状態において停止条件を満たす場合におけるモータ20aの停止タイミングをカスタマイズできる。例えば、ユーザは、人力駆動車10の走行環境に応じて、モータ20aの停止タイミングをカスタマイズできる。ユーザは、例えば、人力駆動車10によってオフロードの走行を行う場合に、設定画面40の選択ボタン42aにおいてHighを選択することによって、アシスト状態において停止条件を満たす場合におけるモータ20aの停止タイミングを遅くできる。本実施形態では、選択ボタン42aにおいてHighが選択される場合、停止条件成立後の走行距離Mが1.5メートルに達するまでモータ20aが駆動され、人力駆動車10に対するアシスト力の付与が継続される。
【0071】
人力駆動車10に対するアシスト力の付与が継続されることによって、例えば、トレイルの走行において、路面の障害物を避けるためにクランク11が停止、または、逆転される場合に、人力駆動車10の速度が失われ難いため、トレイルの走破性を向上できる。
【0072】
(第2実施形態)
第2実施形態の制御装置22が説明される。第2実施形態の制御装置22の説明には、図3、および、図5が用いられる。第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号が付され、重複する説明が省略される。
【0073】
制御部22bは、アシスト状態において、停止条件が満たされると、モータ20aの出力トルクを徐々に減少させるように構成される。制御部22bは、図5に示される第2制御フローを実行する。図5に示される第2制御フローにおいて、制御部22bは、図3に示される第1制御フローと同様に、ステップS11からステップS14の処理を行う。制御部22bは、第2制御フローにおいて、ステップS14の処理の後、ステップS25からステップS27の処理を行う。
【0074】
ステップS25において、制御部22bは、現時点から次回の第2制御フローの実行時までの間、継続条件が満たされると推定される場合に、ステップS27に移行する。例えば、制御部22bは、ステップS14において算出される停止条件成立後の走行距離M、ステップS11において検出される人力駆動車10の車速、および、第2制御フローが繰り返し実行される時間に基づいて、次回の第2制御フローの実行時における、停止条件成立後の走行距離Mを算出する。制御部22bは、停止条件成立後の走行距離Mの算出結果が第1設定範囲の上限値を超えない場合、ステップS27に移行する。
【0075】
ステップS25において、制御部22bは、現時点から次回の第2制御フローの実行時までの間に、継続条件が満たされなくなると推定される場合に、ステップS26に移行する。例えば、制御部22bは、次回の第2制御フローの実行時における停止条件成立後の走行距離Mの算出結果が第1設定範囲の上限値を超える場合、ステップS26に移行する。
【0076】
ステップS26において、制御部22bは、モータ20aを停止するようにモータ20aを制御する。制御部22bは、ステップS26の処理を行った後、第2制御フローを終了する。
【0077】
ステップS27において、制御部22bは、ステップS14において算出される停止条件成立後の走行距離Mに応じて、モータ20aの出力トルクを徐々に減少させる。例えば、制御部22bは、記憶部22aに記憶される第1設定範囲を読み込み、第1設定範囲の上限値、および、停止条件成立後の走行距離Mの差が小さいほど、モータ20aの出力トルクが小さくなるように、モータ20aの出力トルクを制御する。
【0078】
モータ20aの出力トルクが徐々に減少されることによって、アシスト状態においてペダリングが停止される場合に、人力駆動車10に付与されるアシスト力が徐々に減少されるため、人力駆動車10の走行の快適性、および、安定性を向上できる。
【0079】
第2制御フローのステップS25の処理を実行することによって、制御部22bは、アシスト状態において、停止条件が満たされてからの人力駆動車10の走行距離Mが、第1設定範囲を超える前に、モータ20aを停止できる。
【0080】
停止条件成立後の走行距離Mが第1設定範囲を超える前にモータ20aを停止することによって、制御部22bは、アシスト状態において停止条件が満たされる場合に、人力駆動車10が必要以上に走行することを抑制できる。例えば、アシスト状態において停止条件が満たされてから、人力駆動車10が2メートルを超えて走行することを抑制できる。
【0081】
(第3実施形態)
第3実施形態の制御装置22が説明される。第3実施形態の制御装置22の説明には、図3から図7が用いられる。第1実施形態、および、第2実施形態と共通する構成については、第1実施形態、および、第2実施形態と同一の符号が付され、重複する説明が省略される。
【0082】
制御部22bは、図6に示される第3制御フローを実行する。図6に示される第3制御フローにおいて、制御部22bは、図3に示される第1制御フローと同様に、ステップS11からステップS16の処理を行う。制御部22bは、ステップS15において、継続条件を満たす場合に、ステップS37からステップS39の処理を行う。
【0083】
ステップS37において、制御部22bは、人力駆動車10の車速、および、第1設定範囲に基づいて、人力駆動車10の走行距離Mが第1設定範囲に達するまでの走行時間を算出する。本実施形態では、制御部22bは、記憶部22aに記憶される第1設定範囲を読み込み、ステップS14において算出される停止条件成立後の走行距離Mが第1設定範囲に達するまでの走行時間を算出する。本明細書においては、停止条件成立後の走行距離Mが第1設定範囲に達するまでの走行時間が、到達走行時間T0として記載される場合がある。
【0084】
制御部22bは、例えば、第1設定範囲の上限値を、停止条件を満たした際の車速によって除算し、除算結果を時間に換算することによって、到達走行時間T0を算出する。到達走行時間T0を算出する方法は、本実施形態に限定されない。制御部22bは、ステップS37の処理を行った後、ステップS38に移行する。
【0085】
ステップS38において、制御部22bは、時間を計測する機能を用いることによって、アシスト状態において停止条件が満たされてからの経過時間T1を算出する。本明細書においては、アシスト状態において停止条件が満たされてからの経過時間T1が、停止条件成立後の経過時間T1として記載される場合がある。制御部22bは、ステップS38の処理を行った後、ステップS39に移行する。
【0086】
ステップS39において、制御部22bは、ステップS37において算出される到達走行時間T0、および、ステップS38において算出される停止条件成立後の経過時間T1に応じて、モータ20aの出力トルクを徐々に減少させる。例えば、制御部22bは、到達走行時間T0、および、停止条件成立後の経過時間T1の差が小さいほど、モータ20aの出力トルクが小さくなるように、モータ20aの出力トルクを制御する。
【0087】
図7には、第3制御フローが実行される場合における、人力駆動力、および、アシスト力の一例が示される。図7は、モータ20aの制御状態がアシスト状態であり、かつ、時間がゼロ秒から6秒までの間において、人力駆動車10の車速が時速10キロメートルであることが前提とされる。図7においては、時間がゼロ秒から3秒までの間において、ユーザによってペダリングが行われ、人力駆動車10にアシスト力が付与される。
【0088】
図7においては、時間が3秒を経過すると、ペダリングが停止される。ペダリングが停止されることによって停止条件が満たされ、モータ20aの出力トルクが徐々に減少される。図7において、Lv.1のグラフは、ペダリングが停止されてから人力駆動車が0.20833mだけ進むとモータ20aが停止する場合におけるモータ20aの出力トルクの変化を表す。図7において、Lv.2のグラフは、ペダリングが停止されてから人力駆動車が0.75mだけ進むとモータ20aが停止する場合におけるモータ20aの出力トルクの変化を表す。図7において、Lv.3のグラフは、ペダリングが停止されてから人力駆動車が1mだけ進むとモータ20aが停止する場合におけるモータ20aの出力トルクの変化を表す。図7において、Lv.4のグラフは、ペダリングが停止されてから人力駆動車が1.25mだけ進むとモータ20aが停止する場合におけるモータ20aの出力トルクの変化を表す。図7において、Lv.3のグラフは、ペダリングが停止されてから人力駆動車が1.5mだけ進むとモータ20aが停止する場合におけるモータ20aの出力トルクの変化を表す。
【0089】
例えば、図4に示される設定画面40においてHighが選択される場合、第1設定範囲の上限値が1.5メートルに設定される。図7において人力駆動車10の車速が時速10キロメートルのため、制御部22bは、到達走行時間T0として、約0.54秒を算出する。制御部22bは、図7に示されるLv.5のグラフのように、ペダリングが停止されてから約0.54秒が経過すると、モータ20aの出力トルクをゼロNmまで減少させ、モータ20aを停止させる。
【0090】
制御部22bは、アシスト状態において、停止条件が満たされてからの経過時間T1が、走行時間を超える前に、モータ20aを停止させてもよい。走行時間は、停止条件成立後の走行距離Mが第1設定範囲に達するまでの到達走行時間T0を含む。例えば、制御部22bは、図6に示される第3制御フローにおいて、ステップS15にかえて、図5に示される第2制御フローのステップS25の処理を行うことによって、経過時間T1が走行時間を超える前に、モータ20aを停止できる。経過時間T1が到達走行時間T0を超える前にモータ20aを停止させることによって、アシスト状態において停止条件が満たされる場合に、人力駆動車10が必要以上に走行することを抑制できる。
【0091】
制御部22bは、第3制御フローにおいて、人力駆動車10の走行距離Mではなく、人力駆動車10の走行時間に基づいてモータ20aを制御する。走行時間に基づいてモータ20aを制御することによって、時間を計測する機能を用いて、モータ20aを制御するための演算処理を簡単に行える。
【0092】
(第4実施形態)
第4実施形態の制御装置22が説明される。第4実施形態の制御装置22の説明には、図3図4図6、および、図8が用いられる。第1実施形態から第3実施形態と共通する構成については、第1実施形態から第3実施形態と同一の符号が付され、重複する説明が省略される。
【0093】
制御部22bは、図8に示される第4制御フローを実行する。図8に示される第4制御フローにおいて、制御部22bは、図3に示される第1制御フローと同様に、ステップS11からステップS13の処理を行う。制御部22bは、ステップS13において、停止条件を満たす場合に、ステップS44からステップS47の処理を行う。
【0094】
ステップS44において、制御部22bは、図6に示される第3制御フローのステップS38と同様の処理によって、停止条件成立後の経過時間T1を算出する。制御部22bは、ステップS44の処理を行った後、ステップS45に移行する。
【0095】
ステップS45において、制御部22bは、継続条件を満たす場合、ステップS47に移行する。本実施形態では、継続条件は、アシスト状態において停止条件を満たしてからの経過時間が比較的短い場合に満たされる。継続条件の設定値は、時間に関する第2設定範囲を含む。継続条件は、アシスト状態において、停止条件が満たされてからの経過時間が第2設定範囲の場合に満たされる。停止条件が満たされてからの経過時間は、ステップS44において算出される停止条件成立後の経過時間T1を含む。第2設定範囲は、人力駆動車10が2メートルを走行する時間以下の値を含む。第2設定範囲は、複数の値を含んでいてもよく、1つの値のみを含んでいてもよい。
【0096】
人力駆動車10が2メートルを走行する時間は、人力駆動車10の車速によって変化する。人力駆動車10には、アシスト状態において、人力駆動車10の車速が予め定める速度未満の場合に、アシスト力が付与される。第2設定範囲は、人力駆動車10にアシスト力が付与される車速の範囲において、人力駆動車10が2メートルを走行する時間以下の値を含む。例えば、第2設定範囲は、時速25キロメートル未満の速度において、人力駆動車10が2メートルを走行する時間以下の値を含む。
【0097】
記憶部22aは、第2設定範囲を変更可能に記憶する。制御部22bは、第2設定範囲を変更するように構成される。例えば、制御部22bは、操作部30の操作に応じて、記憶部22aの第2設定範囲を段階的に変更する。第2設定範囲を段階的に変更する場合、制御部22bは、図4に示される設定画面40の第2領域42の操作に応じて、第2設定範囲を変更できる。
【0098】
ステップS45において、制御部22bは、記憶部22aに記憶される第2設定範囲を読み込み、ステップS44において算出される停止条件成立後の経過時間T1が第2設定範囲の場合に、ステップS47に移行する。例えば、第2設定範囲が0秒から0.5秒の範囲の場合、制御部22bは、停止条件成立後の経過時間T1が0.5秒以下の場合に、ステップS47に移行する。
【0099】
ステップS45において、制御部22bは、継続条件を満たさない場合、ステップS46に移行する。本実施形態では、制御部22bは、停止条件成立後の経過時間T1が第2設定範囲とは異なる範囲の場合に、ステップS46に移行する。例えば、第2設定範囲が0秒から0.5秒の範囲の場合、制御部22bは、停止条件成立後の経過時間T1が0.5秒よりも大きい場合に、ステップS46に移行する。
【0100】
ステップS46において、制御部22bは、モータ20aを停止するようにモータ20aを制御する。制御部22bは、ステップS46の処理を行った後、第4制御フローを終了する。
【0101】
ステップS47において、制御部22bは、モータ20aの駆動を継続するようにモータ20aを制御する。制御部22bは、例えば、図3に示される第1制御フローのステップS17と同様の処理によって、モータ20aを制御する。制御部22bは、ステップS47の処理を行った後、第4制御フローを終了する。制御部22bは、第4制御フローを実行することによって、時間を計測する機能を用いて、モータ20aを制御するための演算処理を簡単に行える。
【0102】
(第5実施形態)
第5実施形態の制御装置22が説明される。第5実施形態の制御装置22の説明には、図8、および、図9が用いられる。第1実施形態から第4実施形態と共通する構成については、第1実施形態から第4実施形態と同一の符号が付され、重複する説明が省略される。
【0103】
制御部22bは、図9に示される第5制御フローを実行する。図9に示される第5制御フローにおいて、制御部22bは、図8に示される第4制御フローと同様に、ステップS11からステップS13の処理と、ステップS44の処理と、を行う。制御部22bは、第5制御フローにおいて、ステップS44の処理の後、ステップS55からステップS57の処理を行う。
【0104】
ステップS55において、制御部22bは、現時点から次回の第5制御フローの実行時までの間、継続条件が満たされると推定される場合に、ステップS57に移行する。例えば、制御部22bは、ステップS44において算出される停止条件成立後の経過時間T1、および、第5制御フローが繰り返し実行される時間に基づいて、次回の第5制御フローの実行時における、停止条件成立後の経過時間T1を算出する。制御部22bは、停止条件成立後の経過時間T1の算出結果が第2設定範囲の上限値を超えない場合、ステップS57に移行する。
【0105】
ステップS55において、制御部22bは、現時点から次回の第5制御フローの実行時までの間に、継続条件が満たされなくなると推定される場合に、ステップS56に移行する。例えば、制御部22bは、次回の第5制御フローの実行時における停止条件成立後の経過時間T1の算出結果が第2設定範囲の上限値を超える場合、ステップS56に移行する。
【0106】
ステップS56において、制御部22bは、モータ20aを停止するようにモータ20aを制御する。制御部22bは、ステップS56の処理を行った後、第5制御フローを終了する。
【0107】
ステップS57において、制御部22bは、ステップS44において算出される停止条件成立後の経過時間T1に応じて、モータ20aの出力トルクを徐々に減少させる。例えば、制御部22bは、記憶部22aに記憶される第2設定範囲を読み込み、第2設定範囲の上限値、および、停止条件成立後の経過時間T1の差が小さいほど、モータ20aの出力トルクが小さくなるように、モータ20aの出力トルクを制御する。
【0108】
モータ20aの出力トルクが徐々に減少されることによって、アシスト状態においてペダリングが停止される場合に、人力駆動車10に付与されるアシスト力が徐々に減少されるため、人力駆動車10の走行の快適性、および、安定性が向上する。
【0109】
第5制御フローのステップS55の処理を実行することによって、制御部22bは、アシスト状態において、停止条件が満たされてからの経過時間T1が、第2設定範囲を超える前に、モータ20aを停止できる。停止条件成立後の経過時間T1が第2設定範囲を超える前にモータ20aを停止することによって、制御部22bは、アシスト状態において停止条件が満たされる場合に、人力駆動車10が必要以上に走行することを抑制できる。
【0110】
(変形例)
各実施形態に関する説明は、本発明が取り得る形態の例示であり、本発明を制限することを意図していない。本発明は、例えば以下に示す各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わされた形態を取り得る。
【0111】
例えば、各実施形態における制御装置22の構成は一例であり、制御装置22は、各実施形態において示されない各種装置を含んでいてもよく、各実施形態において示す各種装置のうち一部を含まない構成としてもよい。例えば、制御装置22は、無線通信部22cを含まない構成としてもよい。制御装置22が無線通信部22cを含まない場合、制御部22bは、電気ケーブルによって操作部30と通信するように構成されてよい。
【0112】
各実施形態において例示される制御において用いられる各種の閾値は限定されず、任意に設定されてもよい。各種の閾値は、予め定める操作装置の操作等によって任意に変更されてもよい。
【0113】
各実施形態において例示される構成は、相互に矛盾しない範囲において互いに組み合わせられてもよい。各実施形態において例示されるフローチャートの処理内容、および、処理順序は一例であり、本発明の範囲内において適宜処理内容、および、処理順序を変更できる。
【0114】
例えば、制御部22bは、第1実施形態において例示される第1制御フロー、および、第4実施形態において例示される第4制御フローを組み合わせ、第1設定範囲、および、第2設定範囲に基づいてモータ20aを制御できる。例えば、制御部22bは、停止条件成立後の走行距離Mが第1設定範囲であり、かつ、停止条件成立後の経過時間T1が第2設定範囲の場合に、モータ20aの駆動を継続してもよい。例えば、制御部22bは、停止条件成立後の走行距離Mが第1設定範囲とは異なる範囲の場合、および、停止条件成立後の経過時間T1が第2設定範囲とは異なる範囲の場合の少なくとも一方を満たす場合に、モータ20aを停止してもよい。
【0115】
例えば、制御部22bは、図3、および、図6に示されるステップS15の処理において、第1設定範囲ではなく、第1設定値に基づいて、継続条件を満たすか否か判定してもよい。第1設定値は、人力駆動車10の走行距離を示す数値を含む。第1設定値に基づいて継続条件を満たすか否か判定する場合、制御部22bは、停止条件成立後の走行距離Mが第1設定値と等しい場合に、モータ20aを停止させてもよい。制御部22bは、ステップS15の処理と同様に、図5に示されるステップS25の処理において、第1設定範囲ではなく、第1設定値に基づいて、継続条件を満たすか否か判定してもよい。
【0116】
例えば、制御部22bは、図8に示されるステップS45の処理において、第2設定範囲ではなく、第2設定値に基づいて、継続条件を満たすか否か判定してもよい。第2設定値は、人力駆動車10の走行時間を示す数値を含む。第2設定値に基づいて継続条件を満たすか否か判定する場合、制御部22bは、停止条件成立後の経過時間T1が第2設定値と等しい場合に、モータ20aを停止させてもよい。制御部22bは、ステップS45の処理と同様に、図9に示されるステップS55の処理において、第2設定範囲ではなく、第2設定値に基づいて、継続条件を満たすか否か判定してもよい。
【0117】
例えば、第1設定範囲、および、第2設定範囲を変更するための設定画面40は、第2領域42において、スマートフォン31の操作に応じて数値が入力されるように構成されてもよい。ユーザは、第2領域42に数値を入力することによって、第1設定範囲、および、第2設定範囲を細かく設定できる。
【0118】
制御部22bは、スマートフォン31とは異なる装置の操作に応じて、第1設定範囲、および、第2設定範囲を変更してもよい。例えば、制御部22bは、人力駆動車10に搭載される操作装置の操作に応じて、第1設定範囲、および、第2設定範囲を変更してもよい。例えば、制御部22bは、ハンドルバー14に設けられる変速操作装置14aの操作に応じて、第1設定範囲、および、第2設定範囲を変更してもよい。
【0119】
変速操作装置14aの操作に応じて第1設定範囲、および、第2設定範囲を変更する場合、制御部22bは、例えば、変速操作装置14aの操作状態を検出する操作状態検出部と通信するように構成される。制御部22bは、操作状態検出部から出力される信号に基づいて、アップシフトに関する操作状態、および、ダウンシフトに関する操作状態の少なくとも一方を検出するように構成される。制御部22bは、アップシフトに関する操作状態、および、ダウンシフトに関する操作状態の少なくとも一方に応じて、記憶部22aに記憶される第1設定範囲、および、第2設定範囲を変更する。
【0120】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」、または、「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」、または、「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0121】
10…人力駆動車、22…制御装置、20a…モータ、22a…記憶部、22b…制御部、22c…無線通信部、30…操作部、M…停止条件成立後の走行距離、T0…到達走行時間、T1…停止条件成立後の経過時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9