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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025647
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/29 20060101AFI20250214BHJP
   H01F 27/00 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
H01F27/29 125
H01F27/29 123
H01F27/29 P
H01F27/29 G
H01F27/00 R
H01F27/29 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130613
(22)【出願日】2023-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003915
【氏名又は名称】弁理士法人岡田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勇人
(72)【発明者】
【氏名】神戸 勇貴
(72)【発明者】
【氏名】中本 慎吾
【テーマコード(参考)】
5E043
5E070
【Fターム(参考)】
5E043AA01
5E043AB01
5E043EB02
5E043EB06
5E070AA01
5E070AA05
5E070AB01
5E070BA03
5E070EA01
5E070EA02
5E070EB03
(57)【要約】
【課題】電極と巻芯部から延びるワイヤとの接合強度を向上可能なコイル部品を提供する。
【解決手段】軸線方向に延びる巻芯部11と巻芯部11の軸線方向の両端部それぞれに設けられた第1鍔部12a及び第2鍔部12bを有するコア10と、第1鍔部12a及び第2鍔部12bそれぞれに設けられた第1電極20a及び第2電極20bを含む電極20と、巻芯部11に巻回されるとともに、第1電極20aと接合される第1端部30a及び第2電極20bに接合される第2端部30bを有する第1ワイヤ30と、を備えるコイル部品100であって、第1電極20aは、第1端部30aが接合される第1接合面21aを有し、第1接合面21aには、少なくとも1つの突起25が設けられており、第1ワイヤ30が第1接合面21aに設けられた少なくとも1つの突起25を跨ぐ状態で、第1端部30aが第1接合面21aに接合している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延びる巻芯部と前記巻芯部の前記軸線方向の両端部それぞれに設けられた第1鍔部及び第2鍔部を有するコアと、
前記第1鍔部及び前記第2鍔部それぞれに設けられた第1電極及び第2電極を含む電極と、
前記巻芯部に巻回されるとともに、前記第1電極と接合される第1端部及び前記第2電極に接合される第2端部を有する第1ワイヤと、を備えるコイル部品であって、
前記第1電極は、前記第1端部が接合される第1接合面を有し、
前記第1接合面には、少なくとも1つの突起が設けられており、
前記第1ワイヤが前記第1接合面に設けられた少なくとも1つの前記突起を跨ぐ状態で、前記第1端部が前記第1接合面に接合している、
コイル部品。
【請求項2】
前記突起は、
前記第1接合面のうち前記巻芯部側の端部である第1巻芯部側端部及び前記第1巻芯部側端部と対向する前記巻芯部側とは反対の端部である第1巻芯部反対側端部の少なくともいずれかに設けられている、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記突起は、前記第1巻芯部側端部に設けられている、請求項2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記突起は、前記第1ワイヤの前記第1端部に食い込んでいる、請求項1乃至3のいずれかに記載のコイル部品。
【請求項5】
前記第1電極及び前記第2電極は、少なくとも前記第1鍔部及び前記第2鍔部上に配置された金属板からなる金属端子電極であり、あるいは、
前記第1電極及び前記第2電極は、少なくとも前記第1鍔部及び前記第2鍔部上に導電性金属が塗布された塗布電極である、請求項1又は2に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記第1ワイヤの最も前記第1鍔部側に位置するターンが前記巻芯部から離隔する第1離隔部と前記第1端部とが前記巻芯部を挟んで対向しており、前記第1電極の前記第1接合面に前記突起が設けられている、請求項1又は2に記載のコイル部品。
【請求項7】
第3端部及び第4端部を有する第2ワイヤを含み、
前記電極は、前記第1電極と前記軸線方向を挟んで対向し前記第1鍔部に設けられた第3電極と、前記第2電極と前記軸線方向を挟んで対向し前記第2鍔部に設けられた第4電極と、をさらに含み、
前記第3端部は、前記第3電極と接合される前記第2ワイヤの一方の端部であり、
前記第4端部は、前記第4電極と接合される前記第2ワイヤの他方の端部であり、
前記第3電極及び前記第4電極は、それぞれ、前記第3端部が接合される第3接合面及び前記第4端部が接合される第4接合面を有し、
前記第3接合面には、少なくとも1つの突起が設けられており、
前記第2ワイヤが前記第3接合面に設けられた少なくとも1つの前記突起を跨ぐ状態で、前記第3端部が前記第3接合面に接合されている、
請求項1又は2に記載のコイル部品。
【請求項8】
第3端部及び第4端部を有する第2ワイヤを含み、
前記電極は、前記第1電極と前記軸線方向を挟んで対向し前記第1鍔部に設けられた第3電極と、前記第2電極と前記軸線方向を挟んで対向し前記第2鍔部に設けられた第4電極と、をさらに含み、
前記第3端部は、前記第3電極と接合される前記第2ワイヤの一方の端部であり、
前記第4端部は、前記第4電極と接合される前記第2ワイヤの他方の端部であり、
前記第3電極及び前記第4電極は、それぞれ、前記第3端部が接合される第3接合面及び前記第4端部が接合される第4接合面を有し、
前記第4接合面には、少なくとも1つの突起が設けられており、
前記第2ワイヤが前記第4接合面に設けられた少なくとも1つの前記突起を跨ぐ状態で、前記第4端部が前記第4接合面に接合されている、
請求項1又は2に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記第1電極と前記第1端部は、合金層を介して接合されている、請求項1又は2に記載のコイル部品。
【請求項10】
前記合金層は、Cuと、Sn及びNiの少なくともいずれかと、を含む、請求項9に記載のコイル部品。
【請求項11】
前記第1接合面に設けられた前記突起の高さは、前記第1ワイヤのワイヤ径に対して1/10以上、1/4以下の範囲である、請求項1又は2に記載のコイル部品。
【請求項12】
前記第1接合面のうち前記巻芯部側の端部である第1巻芯部側端部に設けられた前記突起は、前記第1電極の前記第1巻芯部側端部が前記第1鍔部から離れる方向に跳ね上がる形状で形成されている、請求項1又は2に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
コイル部品は、例えば各種電子機器の輻射ノイズ等のフィルタリングに使用される。特許文献1には、コイル部品として、2本のワイヤが1対となった状態でフェライトコアの巻芯部に巻かれており、巻芯部に凹みからなる係止部が設けられた構成が開示されている。巻芯部の係止部に1対のワイヤを引っかけることにより、ワイヤのずれを抑制して、1対のワイヤ間に隙間が生じるのを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-208227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のコイル部品では、巻芯部の両端に設けられた電極とワイヤとの接合については何ら開示がない。ワイヤが電極から外れてしまった場合にはコイル部品は本来の機能を発揮することができず、不良品となる。そこで、電極とワイヤとの接合強度の向上が求められている。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、電極と巻芯部から延びるワイヤとの接合強度を向上可能なコイル部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかるコイル部品は、軸線方向に延びる巻芯部と巻芯部の軸線方向の両端部それぞれに設けられた第1鍔部及び第2鍔部を有するコアと、第1鍔部及び第2鍔部それぞれに設けられた第1電極及び第2電極を含む電極と、巻芯部に巻回されるとともに、第1電極と接合される第1端部及び第2電極に接合される第2端部を有する第1ワイヤと、を備えるコイル部品である。
第1電極は、第1端部が接合される第1接合面を有する。
第1接合面には、少なくとも1つの突起が設けられている。
第1ワイヤが第1接合面に設けられた少なくとも1つの突起を跨ぐ状態で、第1端部が第1接合面に接合している。
【0007】
突起が第1ワイヤの第1端部を第1接合面に留めるアンカーとなるため、第1ワイヤの第1端部が第1電極から外れ難くなる。これにより、第1電極と第1ワイヤの第1端部との接合強度を向上可能である。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、電極と巻芯部から延びるワイヤとの接合強度を向上可能なコイル部品を提供することができる。
【0009】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の実施の形態にかかるコイル部品の一例を示す外観斜視図である。
図2図1の底面図である。
図3図1の上面図である。
図4図1の側面図である。
図5図2の線V-Vにおける断面図である。
図6図2の線VI-VIにおける断面図であり、(a)は長方形状の断面形状を有するワイヤの端部を示す断面図であり、(b)は部分によって厚みの異なる断面形状を有するワイヤの端部を示す断面図である。
図7】突起の配置位置の別の態様1を示す底面拡大図である。
図8】突起の配置位置の別の態様2を示す底面拡大図である。
図9】突起の配置位置の別の態様3を示す底面拡大図である。
図10】突起の形状の別の態様1を示す図2の線V-Vに対応する断面図であり、(a)は第1巻芯部側端部における突起の形状の断面図であり、(b)は第1巻芯部反対側端部における突起の形状の断面図である。
図11】この発明の変形例にかかるコイル部品の一例を示す外観斜視図である。
図12】この発明の別の変形例にかかるコイル部品の一例を示す底面図である。
図13】塗布電極を用いた電極を有するコイル部品の図2の線V-Vにおける断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.コイル部品
この発明の実施の形態にかかるコイル部品について説明する。図1は、この発明の実施の形態にかかるコイル部品の一例を示す外観斜視図である。図2は、図1の底面図である。図3は、図1の上面図である。図4は、図1の側面図である。図5は、図2の線V-Vにおける断面図である。なお、図5では、巻芯部11を削除し、第1鍔部12a、突起25、第1端部30a等を示すように簡略化している。図6は、図2の線VI-VIにおける断面図であり、(a)は長方形状の断面形状を有するワイヤの端部を示す断面図であり、(b)は部分によって厚みの異なる断面形状を有するワイヤの端部を示す断面図である。
【0012】
コイル部品100は、コア10と、電極20と、ワイヤ30と、を備える。本実施の形態では、コイル部品100の一例としてコモンモードチョークコイルを説明する。ただし、コイル部品としては、コモンモードチョークコイルに限定されず、例えばトランス、結合インダクタなどの巻線型のコイルを挙げることができる。以下、各部について説明する。
【0013】
コア10は、巻芯部11と、1対の鍔部12と、を有する。ここで、図1図4等において、1対の鍔部12が対向している方向がL方向であり、コア10の長さ方向である。コア10の鍔部12において電極20が配置されている面を底面として、底面方向においてL方向と直交する方向がW方向であり、コア10の幅方向である。L方向及びW方向と直交する方向がT方向であり、コア10の高さ方向である。
【0014】
巻芯部11は、軸線方向(ここではL方向)に延びる。巻芯部11は、ワイヤ30が巻回される。1対の鍔部12は、巻芯部11の軸線方向の両端部それぞれに設けられた第1鍔部12a及び第2鍔部12bを有する。第1鍔部12a及び第2鍔部12bそれぞれには、ワイヤ30の両端部が接続される電極20が配置される。
【0015】
第1鍔部12a及び第2鍔部12bは、巻芯部11よりも一回り大きく形成されている。第1鍔部12aは、巻芯部11の両端部の一方において、軸線方向に直交する方向に巻芯部11から張り出すように配置されている。図1等の例では、第1鍔部12aは、直方体状に形成されており、後述の第1電極20aが配置される第1底面12a1と、第1底面12a1と対向する第1上面12a2と、第1底面12a1と第1上面12a2とを連結する1対の第1側面12a3と、を有する。また、第1鍔部12aは、巻芯部11側を向く内面と、巻芯部11とは反対側を向く外面と、を有する。
【0016】
第2鍔部12bは、巻芯部11の両端部の他方において、軸線方向に直交する方向に巻芯部11から張り出すように配置されている。図1等の例では、第2鍔部12bは、第1鍔部12aと同様の形状である。第2鍔部12bは、直方体状に形成されており、後述の第2電極20bが配置される第2底面12b1と、第2底面12b1と対向する第2上面12b2と、第2底面12b1と第2上面12b2とを連結する1対の第2側面12b3と、を有する。また、第2鍔部12bは、巻芯部11側を向く内面と、巻芯部11とは反対側を向く外面と、を有する。
【0017】
図1等の例では、巻芯部11及び1対の鍔部12それぞれは直方体状である。しかし、巻芯部11及び1対の鍔部12の形状はこれに限定されず、例えば円柱状、楕円柱状、立方体状、多角柱状などを挙げることができる。コア10は、フェライト、アモルファス合金等の磁性体材料から形成されていてもよく、アルミナ、樹脂などの非磁性体材料から形成されていてもよい。
【0018】
本実施の形態ではワイヤ30は1本から構成されている。図1の例によるワイヤを以下第1ワイヤ30(ワイヤの一例)と言う。第1ワイヤ30は、コア10の巻芯部11に巻回される。第1ワイヤ30は、内部に配置された導電性材料からなる導線が、絶縁材料である被覆材により被覆されて構成されている。導線は、例えば、銅、銀、金等により形成されている。また、導線は、例えば細い円柱状に形成されている。ただし、導線は、板状に幅を有して形成されていてもよい。被覆材は、例えばエナメル樹脂、ポイウレタン樹脂、ポリアミドイミド樹脂等から形成されている。第1ワイヤ30は両端部を有している。第1ワイヤ30の一方の端部である第1端部30aは第1電極20aと接合される。第1ワイヤ30の他方の端部である第2端部30bは第2電極20bと接合される。なお、ワイヤの数は1本に限定されない。
【0019】
電極20は、第1端部30aが接合される第1電極20aと、第2端部30bが接合される第2電極20bと、を有する。第1電極20aは第1鍔部12aに設けられており、第2電極20bは第2鍔部12bに設けられている。第1電極20aは、第1鍔部12aにおいて第1底面12a1のうちW方向の一方の端部に配置されていてもよく、第1底面12a1のうちW方向の他方の端部に配置されていてもよく、中央付近に配置されていてもよい。また、第1電極20aは、第1鍔部12aにおいて第1底面12a1の全面を覆うように配置されていてもよい。なお、本実施の形態では、第1電極20aは、第1鍔部12aにおいて第1底面12a1のうちW方向の一方の端部に配置されている。また、第2電極20bは、第2鍔部12bにおいて第2底面12b1のうちW方向の一方の端部に配置されていてもよく、第2底面12b1のうちW方向の他方の端部に配置されていてもよく、中央付近に配置されていてもよい。また、第2電極20bは、第2鍔部12bにおいて第2底面12b1の全面を覆うように配置されていてもよい。なお、本実施の形態では、第2電極20bは、第2鍔部12bにおいて第2底面12b1のうちW方向の一方の端部に配置されている。すなわち、本実施の形態では、第1電極20aと第2電極20bとは、底面方向において巻芯部11に対して同じ側に配置されている。
【0020】
本実施の形態では、第1及び第2電極20a、20bは金属板からなる。第1及び第2電極20a、20bは、第1ワイヤ30の第1端部30a及び第2端部30bと接合されている接合面21を有する。具体的に、第1底面12a1上の第1電極20aは、第1電極20aと第1端部30aとが接合されている第1接合面21aを有する。第2底面12b1上の第2電極20bは、第2電極20bと第2端部30bとが接合されている第2接合面21bを有する。第1及び第2接合面21a、21bは、図1において第1及び第2鍔部12a、12bの第1及び第2底面12a1、12b1が上方に向いた状態で、第1及び第2電極20a、20bのうち上方の面である。
【0021】
第1及び第2電極20a、20bは、これに限定されないが、例えばエポキシ樹脂などの接着剤により第1及び第2底面12a1、12b1に接着されている。第1及び第2電極20a、20bは、例えば、Cu、Ag、Au、Fe等の金属で形成されており、接合面21はSnめっき、Niめっき、Sn及びNiめっきの2層めっき等によりめっき処理が施されている。
【0022】
第1ワイヤ30の端部30a、30bは電極20に対して、レーザ溶接及び熱圧着等で接合されている。レーザ溶接及び熱圧着等の際に第1ワイヤ30の端部30a、30bの被覆材は除去され、電極20と第1ワイヤ30の端部30a、30bの導線とが熱溶着する。電極20と第1ワイヤ30の端部30a、30bの導線との接合部27には合金層が形成されている。合金層は、例えば、第1ワイヤ30の導線にCuが含まれ、電極20にSn及びNiが含まれる場合、レーザ溶接及び熱圧着等により、第1ワイヤ30のCuと電極20のSn及びNiが導線と電極20との間で相互拡散する。これにより、Cuと、Sn及びNiの少なくともいずれかと、を含む合金層が形成される。合金層は、相互拡散により第1ワイヤ30と電極20との間の空隙が消失し、異種金属が交じりっている状態となっているため、第1ワイヤ30の端部と電極20との接合強度を比較的に大きくすることができる。そして、第1電極20aと第1端部30aとは合金層からなる第1接合部27aにより接合されている。また、第2電極20bと第2端部30bとは合金層からなる第2接合部27bにより接合されている。
【0023】
また、接合面21は接合面21の平坦部から突出する少なくとも1つの突起25を有している。なお、突起25も電極20としての機能を有し、電極20の一部である。電極20と第1ワイヤ30の端部との接合部27では、第1ワイヤ30が接合面21に設けられた少なくとも1つの突起25を跨ぐ状態で、例えば第1ワイヤ30が突起25に引っかかった状態で、第1ワイヤ30の端部が接合面21に接合している。このとき、第1ワイヤ30の端部は、突起25と直接もしくは、接合部27を介して突起25と接触する。前述の通り、第1ワイヤ30の端部は電極20と一体となって接合部27において合金層となっている。ただし、第1ワイヤ30の端部の一部は導線の状態のままの場合もある。よって、第1ワイヤ30が接合面21の突起25を跨ぐ状態で、第1ワイヤ30の端部が接合面21に接合しているとは、第1ワイヤ30の端部と電極20とからなる合金層が突起25を跨ぐ状態で第1ワイヤ30の端部が接合面21に接合している場合と、導線の状態の第1ワイヤ30の端部が突起25を跨ぐ状態で第1ワイヤ30の端部が接合面21に接合している場合と、合金層と導線の状態の第1ワイヤ30の端部がともに突起25を跨ぐ状態で第1ワイヤ30の端部が接合面21に接合している場合とが考えられる。本開示では、いずれの場合においても、「第1ワイヤ30の端部がともに突起25に接合している」とする。
【0024】
具体的に説明すると、第1接合面21a及び第2接合面21bの少なくともいずれかにおいて、少なくとも1つの突起25が形成されている。本実施の形態では、第1接合面21aに突起25が設けられている。そして、第1ワイヤ30が第1接合面21aに設けられた少なくとも1つの突起25を跨ぐ状態で、第1電極20aと第1ワイヤ30の第1端部30aとの第1接合部27aにおいて、第1端部30aが第1接合面21aに接合している。このとき、第1ワイヤ30の第1端部30aは、突起25と直接もしくは、第1接合部27aを介して突起25と接触する。さらに、第2接合面21bに突起25が設けられている。そして、第1ワイヤ30が第2接合面21bに設けられた少なくとも1つの突起25を跨ぐ状態で、第2電極20bと第1ワイヤ30の第2端部30bとの第2接合部27bにおいて、第2端部30bが第2接合面21bに接合している。このとき、第1ワイヤ30の第2端部30bは、突起25と直接もしくは、第2接合部27bを介して突起25と接触する。なお、第1及び第2接合面21a、21bのいずれか一方に突起25が設けられており、第1及び第2接合部27a、27bのいずれか一方において、第1ワイヤ30が突起25を跨ぐ状態で、第1及び第2端部30a、30bのいずれか一方が第1及び第2接合面21a、21bのいずれか一方に接合していてもよい。
【0025】
なお、図4図5等に示すように、第1及び第2接合部27a、27bの少なくともいずれかにおいて、突起25が第1及び第2端部30a、30bの少なくともいずれかに食い込むことにより第1ワイヤ30の端部が接合面21に接合していると好ましい。突起25が第1及び第2端部30a、30bに食い込んでいる状態には、突起25が合金層に食い込んでいる状態、突起25が導線の状態の第1ワイヤ30の端部に食い込んでいる状態、突起25が合金層と導線状態の第1ワイヤ30の端部の両方に食い込んでいる状態のいずれかを含む。電極20の突起25が第1ワイヤ30の端部に食い込んでいるため、突起25が第1ワイヤ30を接合面21に留めるアンカーとしての力が大きくなる。よって、電極20と第1ワイヤ30との接合強度をさらに向上可能である。
【0026】
本実施の形態では、突起25は、接合面21のうち巻芯部11側の端部である巻芯部側端部22に設けられている。巻芯部側端部22は巻芯部11側における電極20のW方向に延びる端面に沿っている。また、突起25は、接合面21内において巻芯部側端部22に沿って長く形成されている。
【0027】
突起25は第1接合面21aのうち巻芯部11側の端部である第1巻芯部側端部22aに沿って設けられている。また、突起25は第2接合面21bのうち巻芯部11側の端部である第2巻芯部側端部22bに沿って設けられている。なお、突起25が第1及び第2接合面21a、21bのいずれか一方に設けられている場合は、突起25は第1接合面21aの第1巻芯部側端部22a及び第2接合面21bの第2巻芯部側端部22bのいずれか一方に設けられていればよい。
【0028】
また、第1ワイヤ30が、巻き終わりもしくは巻き始め付近において、巻芯部11から離隔する離隔部31と第1ワイヤ30の端部とが巻芯部11を挟んで対向するように構成することができる。そして、この電極20の接合面21には突起25が設けられている。
【0029】
本実施の形態では、図1の例に示すように、第1ワイヤ30の最も第1鍔部12a側に位置するターンが巻芯部11から離隔する第1離隔部31aと第1端部30aとが巻芯部11を挟んで対向している。第1離隔部31aから第1電極20aまでの間において、第1ワイヤ30は巻芯部11と離れており非接触状態で空中を通過している。この非接触状態の部分を以下、空中配線部分という。
【0030】
また、図1の例では、第1ワイヤ30の最も第2鍔部12b側に位置するターンが巻芯部11から離隔する第2離隔部31bと第2端部30bとが巻芯部11に対して同じ側に位置している。図1の例では、第2電極20bの第2接合面21bに突起25が設けられている。ただし、第2接合面21bに突起25が設けられていなくてもよい。第2離隔部31bから第2電極20bまでの間において、第1ワイヤ30が巻芯部11と離れており非接触状態で空中を通過している。この非接触状態の部分を以下、空中配線部分という。
【0031】
なお、上記の突起25は、例えば突出部を有する金型を電極20に押圧することにより、金型の突出部に対応して電極20を変形させて形成することができる。また、突起25の反対面には金型の突出部により電極20が押圧されて凹んだ凹部251(図5)が形成されている。凹部251内は空気が含まれていてもよいし、接着剤が充填されていてもよい。
その他の形成方法としては、突起25以外となる接合面21に金型を押し付けて凹ませることにより、相対的に突起25となる部分を盛り上がらせて、突起25とすることができる。
【0032】
次に、接合面21上に接合された第1ワイヤ30の端部の断面形状について説明する。ここでは、第1ワイヤ30の第2端部30bについて説明するが、第1端部30aも同様である。図6には、図2のVI-VI断面が記載されている。第2端部30bの断面形状としては、(a)に示すように長方形状の場合もあれば、(b)に示すように部分によって厚みが異なる場合もある。また、第2端部30bは、長方形状の断面形状のみを有する場合、部分によって厚みが異なる断面形状のみを有する場合、これらが混在している場合がある。
【0033】
図6(a)についてさらに説明すると、第2鍔部12bの第2底面12b1において第2電極20bが設けられている。第2電極20bの第2接合面21bにおいて、第2接合部27bにより第1ワイヤ30の第2端部30bが第2電極20bと接合されている。図6(a)の例では、第2接合部27bにおける第2端部30bの断面形状は長方形状である。なお、ここでは第2端部30bの断面形状を長方形状で説明したが、正方形状であってもよい。
【0034】
図6(b)についてさらに説明すると、図6(a)とは異なり、第2接合部27bにおける第2端部30bの断面形状は、左右で異なる。図6(b)の例では、巻芯部11の軸線方向に沿って巻芯部11からその反対側に向かうにつれて第2端部30bの厚みは徐々に薄くなっている。
【0035】
突起25の接合面21からの高さは、突起25が第1ワイヤ30の端部に食い込むものの、第1ワイヤ30の端部が切断されない程度である。例えば、突起25の接合面21からの高さは、第1ワイヤ30の接合面21からの高さを超えないことが好ましい。あるいは、突起25の高さは、接合部27の高さを超えないことが好ましい。また、図5を参照して、突起25の高さh1(第1接合面21aからの突出高さ)は、第1ワイヤ30のワイヤ径r(導線の直径r)の1/10以上、1/4以下であることが好ましい。これにより、突起25が第1ワイヤ30に食い込み過ぎることにより第1ワイヤ30が断線するなどの破損を抑制することができる。また、突起25が第1ワイヤ30に食い込んでいる食い込み深さh2(導線の表面から突起25が導線の内部に食い込んでいる距離)は、第1ワイヤ30の端部が切断されない程度である。
【0036】
2.作用効果
(1)
上記の実施の形態によれば、電極20(第1及び第2電極20a、20b)と第1ワイヤ30の端部(第1及び第2端部30a、30b)との接合面21(第1及び第2接合面21a、21b)には突起25が設けられており、第1ワイヤ30が突起25を跨ぐ状態で、第1ワイヤ30の端部が電極20の接合面21に接合している。よって、突起25が第1ワイヤ30の端部を接合面21に留めるアンカーとなるため、第1ワイヤ30の端部が電極20から外れ難くなる。これにより、電極20と第1ワイヤ30の端部との接合強度を向上可能である。例えば、接合面21が平坦であり第1ワイヤ30の端部の電極20における引っかかりが少ない場合には、電極20から第1ワイヤ30の端部が外れやすい。しかし、上記構成であれば、突起25により電極20と第1ワイヤ30の端部との接合強度を向上可能である。
【0037】
ここで、第1ワイヤ30は巻芯部11に巻かれており、第1ワイヤ30には端部から巻芯部11に向かって張力が生じる。この張力は、例えばコイル部品100がおかれている雰囲気の温度変化等により変化する。このような張力の変化に伴い第1ワイヤ30の端部から巻芯部11に向かって大きな張力が生じる場合には、第1ワイヤ30の端部が電極20から引き離される場合がある。しかし、上記の通り突起25により電極20に第1ワイヤ30の端部を留めることができ、電極20と第1ワイヤ30の端部との接合強度を向上可能である。
【0038】
(2)
上記の実施の形態によれば、突起25は接合面21において巻芯部11側に近い巻芯部側端部22に設けられている。ここで、第1ワイヤ30は巻芯部11に巻かれており、第1ワイヤ30には端部から巻芯部11に向かって張力が生じる。このように第1ワイヤ30の端部が巻芯部11に向かって引っ張られる場合には、巻芯部側端部22の突起25が第1ワイヤ30を接合面21に効率的に留めるアンカーとなる。つまり、第1ワイヤ30の端部にかかる巻芯部11側への張力を、接合面21における巻芯部11側、つまり接合面21における第1ワイヤ30の端部のうち巻芯部11に近い側において、巻芯部側端部22の突起25により受け止めることができる。特に、接合面21が巻芯部11の表面より高い位置に位置している状態で、接合面21から巻芯部11の表面に向かって第1ワイヤ30が引っ張られると、第1ワイヤ30の端部の張力は接合面21の巻芯部側端部22寄りの角部に大きく作用する。この角部における第1ワイヤ30の端部にかかる張力を巻芯部側端部22の突起25により効率よく受け止めることができる。よって、電極20と第1ワイヤ30の端部との接合強度をさらに向上可能である。
また、仮に、第1ワイヤ30が巻芯部側端部22と対向する巻芯部反対側端部23にまで延びていない場合でも、巻芯部側端部22の突起25により第1ワイヤ30の端部を確実に接合面21に留めることができる。
【0039】
(3)
上記の実施の形態によれば、突起25は、接合面21内において巻芯部側端部22に沿って長く形成されている。このように突起25が長く形成されている場合には、突起25と第1ワイヤ30の端部との接触面積を増加させ、第1ワイヤ30が突起25を跨ぐ状態で第1ワイヤ30の端部を接合面21に確実に接合することができる。よって、電極20と第1ワイヤ30の端部との接合強度をさらに向上可能である。
また、第1ワイヤ30の接合位置がずれても、突起25を跨ぐように第1ワイヤ30の端部を接合面21に確実に接合することができる。
【0040】
(4)
上記の実施の形態によれば、第1離隔部31aと第1ワイヤ30の第1端部30aとが巻芯部11を挟んで対向している。このように第1離隔部31aと第1端部30aとが巻芯部11を挟んで対向している場合、第1離隔部31aと第1端部30aとが巻芯部11に対して同じ側にある場合に比べて空中配線部分が長い。そして、空中配線部分が長い場合、空中配線部分が短い場合よりも第1端部30aから巻芯部11に向かう張力が大きくなる傾向がある。このように張力が大きい場合でも、巻芯部11を挟んで第1離隔部31aと対向する第1電極20aに突起25が設けられているため、この第1電極20aの突起25が第1端部30aを第1接合面21aに留めるアンカーとなる。これにより、第1電極20aと第1ワイヤ30の第1端部30aとの接合強度を向上可能である。
【0041】
なお、上記の実施の形態によれば、第2離隔部31bと第1ワイヤ30の第2端部30bとが巻芯部11に対して同じ側に位置している。このように第2離隔部31bと第2端部30bとが巻芯部11に対して同じ側に位置している場合、第2離隔部31bと第2端部30bとが巻芯部11に対して反対側にある場合に比べて空中配線部分が短い。そして、空中配線部分が短い場合、空中配線部分が長い場合よりも第2端部30bから巻芯部11に向かう張力が小さくなる傾向がある。この場合であっても、第2接合面21bに突起25が設けられていれば、第2電極20bと第2端部30bとの接合強度をより向上可能である。
【0042】
(5)
上記の実施の形態において、図6(b)に示すように、第2端部30b(第1端部30a)の巻芯部11側の厚みは巻芯部11の反対側の厚みよりも大きい。このように第2端部30b(第1端部30a)の厚みが位置により異なるのは、電極20の形状、電極20の傾き、第2端部30b(第1端部30a)の電極20への接合時の押圧力などの違いが原因と考えられる。そして、この厚みの違いにより第2端部30b(第1端部30a)の電極20への接合強度に違いが生じる。例えば、第2端部30b(第1端部30a)において巻芯部11側の厚みが大きい部分は接合時の押圧力が弱くなってしまった部分であり、第2端部30b(第1端部30a)と電極20との接合強度が弱くなる場合がある。このような場合でも、特に巻芯部側端部22に突起25が設けられている場合には、第2端部30b(第1端部30a)において巻芯部11側の厚みが大きい部分が巻芯部側端部22の突起25を跨ぐ状態で、第2端部30b(第1端部30a)を第2接合面21b(第1接合面21a)に接合させることができる。よって、第2端部30b(第1端部30a)と電極20との接合強度を向上させることができる。
【0043】
なお、以上のように、本発明の実施の形態は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施の形態に対し、機序、形状、材質、数量、位置又は配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。
【0044】
3.変形例
(1)突起の態様について
上記の実施の形態では、突起25は、接合面21において巻芯部側端部22に設けられている。突起25が配置される位置はこれに限定されない。突起25の配置位置の別の態様について別の態様1~3を例に挙げて説明する。図7は、突起の配置位置の別の態様1を示す底面拡大図である。図8は、突起の配置位置の別の態様2を示す底面拡大図である。図9は、突起の配置位置の別の態様3を示す底面拡大図である。
また、上記の実施の形態では、突起25は、巻芯部側端部22の一部分のみが突出して形成されている。突起25の形状はこれに限定されない。突起25の別の形状について別の態様1を例に挙げて説明する。図10は、突起の形状の別の態様1を示す図2の線V-Vに対応する断面図であり、(a)は第1巻芯部側端部における突起の形状の断面図であり、(b)は第1巻芯部反対側端部における突起の形状の断面図である。
【0045】
(1-1)配置位置の別の態様1
図7では、突起25は、接合面21において巻芯部11側とは反対の端部である巻芯部反対側端部23に設けられている。具体的に、第1接合面21aにおいて、突起25は、第1巻芯部反対側端部23aに設けられている。第1巻芯部反対側端部23aは、巻芯部11とは反対側における第1電極20aのW方向に延びる端面に沿っている。また、突起25は、第1接合面21a内において第1巻芯部反対側端部23aに沿って長く形成されている。同様に、第2接合面21b(図1参照)において、突起25は、第2巻芯部反対側端部23b(図1参照)において第2電極20bのW方向に延びる端面に沿って長く形成されることができる。巻芯部反対側端部23の突起25もまた、第1ワイヤ30の端部を効率的に接合面21に留めるアンカーとなる。よって、電極20と第1ワイヤ30の端部との接合強度をさらに向上可能である。なお、突起25は、第1接合面21a及び第2接合面21bの少なくともいずれかにおいて、巻芯部側端部22及び巻芯部反対側端部23の少なくともいずれかにおいて長く延びる形状で設けることができる。
【0046】
(1-2)配置位置の別の態様2
図8では、突起25は、接合面21において巻芯部側端部22及び巻芯部反対側端部23との間の中央部に設けられている。具体的に、突起25は、第1接合面21aの中央部においてW方向に長く形成されている。同様に、突起25は、第2接合面21b(図1参照)の中央部においてW方向に長く形成されることができる。なお、突起25は、第1接合面21a及び第2接合面21bの少なくともいずれかにおいて、巻芯部側端部22、巻芯部反対側端部23及び中央部の少なくともいずれかにおいて長く延びる形状で設けることができる。
【0047】
(1-3)配置位置の別の態様3
図9では、突起25は、W方向に長く延びた形状ではなく、局所的に突出した形状により形成されている。図9の例では、局所的に突出した形状の複数の突起25が第1接合面21aにおいて分散して形成されている。同様に、局所的に突出した形状の複数の突起25が第2接合面21bにおいて分散して形成されることができる。なお、突起25は、巻芯部側端部22において長く延びる形状、巻芯部反対側端部23において長く延びる形状、中央部において長く延びる形状及び局所的に突出した形状の少なくともいずれかの態様で設けてもよく、複数種類の形状をくみ合わせこともできる。なお、局所的に突出した複数の形状の突起25は、巻芯部側端部22においてW方向に沿って設けられてもよいし、巻芯部反対側端部23おいてW方向に沿って設けられてもよいし、中央部おいてW方向に沿って設けられてもよい。また、電極20と第1ワイヤ30との接合において第1ワイヤ30が突起25を跨ぐ状態で端部が接合面21に接合するのであれば、局所的に突出した形状の突起25の数は限定されず、例えば1個であってもよい。
【0048】
(1-4)形状の別の態様1
図10では、第1電極20aの突起25aについて説明するが、第2電極20bの突起25aにおいても同様に形成することができる。図10(a)では、第1電極20aのうち第1巻芯部側端部22aを跳ね上がる形状に形成することにより突起25aを形成している。突起25aは、第1底面12a1からT方向(軸線方向と直交する方向)において離れる側に、第1巻芯部側端部22a以外の平坦部分に対して第1巻芯部側端部22aが傾斜した状態で跳ね上がることにより第1底面12a1から浮き上がっている。つまり、第1電極20aにおいて第1巻芯部側端部22aはその最も巻芯部11側まで第1底面12a1から浮き上がった状態である。
【0049】
また、図10(b)では、第1電極20aのうち第1巻芯部反対側端部23aを跳ね上がる形状に形成することにより突起25bを形成している。突起25bは、第1底面12a1からT方向において離れる側に、第1巻芯部反対側端部23a以外の平坦部分に対して第1巻芯部反対側端部23aが傾斜した状態で跳ね上がることにより第1底面12a1から浮き上がっている。つまり、第1電極20aにおいて第1巻芯部反対側端部23aはその最も巻芯部11の反対側まで第1底面12a1から浮き上がった状態である。
【0050】
図10(a)、(b)に示すように、巻芯部側端部22、巻芯部反対側端部23を鍔部12の底面から跳ね上げた状態で突起25a、25b形成することにより、第1ワイヤ30の端部を跳ね上がった状態の突起25a、25bにさらに引っかけやすい。よって、跳ね上がった状態の突起25a、25bにより電極20と第1ワイヤ30の端部との接合強度を向上可能である。なお、巻芯部側端部22が跳ね上がった形状の突起25aの方が、突起25bよりも電極20と第1ワイヤ30の端部との接合強度をより向上可能である。前述の通り、第1ワイヤ30の端部の張力は接合面21の巻芯部側端部22寄りの角部に大きく作用する。突起25aはこの角部に対応しているため、第1ワイヤ30の張力がより大きい部分において第1ワイヤ30の端部を突起25aに引っかけることができ、より接合強度を高めやすい。
【0051】
図10のように、金属板からなる電極20において巻芯部側端部22及び巻芯部反対側端部23の少なくともいずれかが突起25a、25bとして形成される場合、例えば金属板からなる電極20を成形する際に、突起25a、25bに対応するように金型の端部に突出部を設ける。端部に突出部が形成された金型を電極20となる金属板に押圧することにより、電極20の端部が跳ね上がる状態となり突起25a、25bを形成することができる。このように突起25a、25bが電極20の端部に形成される場合、押圧による跳ね上がりによる力を金型及び電極20の外方に逃すことができるため、成形時に大きな力を必要とせずに、比較的小さな力で突起25a、25bを形成することができる。よって、突起25a、25bの形成時に電極20にかかる応力を抑制することができ、電極20の強度低下を抑制することができる。また、接合面21の端部に突起25a、25bを形成する方が、例えば金型と電極20との間の押圧力を比較的に小さくでき、成型が容易である。
【0052】
一方、上記の実施の形態の図1、別の態様1~3の図7~9の突起25は、図10の跳ね上がった状態の突起25a、25bとは異なり、平坦状の金属板からなる電極20において平坦部分の面内に部分的に突出するように形成されている。このような突起25が形成される場合、例えば金属板からなる電極20を成形する際に、突起25に対応するように金型の平坦面の面内の所望の位置に部分的に突出部を設ける。部分的に突出部が形成された金型を電極20となる金属板に押圧することにより、電極20の所望の位置が押圧されて盛り上がることにより突起25を形成することができる。このように突起25が電極20の面内に部分的に形成される場合、電極20が部分的に大きく上下に屈曲させられる。よって、接合面21の面内に突起25を部分的に形成する場合は、接合面21の端部に跳ね上がった状態の突起25a、25bを形成するよりも、金型をより強く押圧する必要がある。
【0053】
(1-5)その他の態様
(a)
上記の実施の形態及び図7図8の態様では、突起25はW方向に長く延びて形成されている。しかし、第1ワイヤ30が突起25を跨ぐ状態で第1ワイヤ30の端部が電極20の接合面21に接合されていればよく、突起25はL方向に長く形成されていてもよい。
【0054】
(b)
また、上記の実施の形態では、突起25の断面形状は断面視においてL方向に概ね対称な形状である。しかし、突起25の形状はこれに限定されない。例えば、突起25は、断面視において巻芯部11側とは反対側に向かって傾斜しつつ突出していてもよい。つまり、突起25が接合面21から先端に向かって突出している方向と第1ワイヤ30に生じる張力の方向とが交差していてもよい。この場合、巻芯部11側からの第1ワイヤ30の張力に対して第1ワイヤ30の端部が突起25に引っかかりやすく、また第1ワイヤ30の端部が突起25から外れにくい。よって、突起25が第1ワイヤ30を電極20に効率よくとどめるアンカーとなり、電極20と第1ワイヤ30の端部との接合強度を向上可能である。
【0055】
(c)
また、突起25は、断面視において、上記の実施の形態のように先端が先細りしている形状には限定されない。第1ワイヤ30の端部が突起25を跨ぐ状態で接合面21に接合されるのであれば、突起25の断面形状は長方形状及び正方形状等であってもよい。
【0056】
(d)
また、上記の実施の形態において突起25は接合面21に対応して設けられている。つまり、突起25は、例えば図1では、接合面21における巻芯部側端部22に設けられている。しかし、接合面21上での第1ワイヤ30の端部の位置に対応させて突起25を設けてもよい。例えば、接合面21における第1ワイヤ30の端部の先端に対応させて突起25が設けられてもよいし、接合面21における第1ワイヤ30の端部の根元に対応して突起25が設けられてもよい。
【0057】
(2)電極の配置位置について
(2-1)鍔部の側面への電極の配置について
上記の実施の形態では、第1及び第2電極20a、20bは第1鍔部12aの第1底面12a1及び第2鍔部12bの第2底面12b1に配置されている。しかし、第1ワイヤ30の第1及び第2端部30a、30bと第1及び第2電極20a、20bとが接合されればよく、第1及び第2電極20a、20bの配置位置はこれに限定されない。例えば、第1及び第2電極20a、20bは、第1鍔部12aの第1側面12a3及び第2鍔部12bの第2側面12b3に配置されていてもよい。この例について変形例にかかるコイル部品100Aを例に挙げて以下に説明する。図11は、この発明の変形例にかかるコイル部品の一例を示す外観斜視図である。
【0058】
変形例にかかるコイル部品100Aは、上記の実施の形態のコイル部品100とは異なり、第1及び第2電極20a、20bが第1側面12a3及び第2側面12b3に配置されている。第1ワイヤ30の第1端部30aは、第1側面12a3側の第1電極20aに向かって延びて突起25を跨ぐ状態で第1接合部27aにより第1電極20aと接合されている。また、第1ワイヤ30の第2端部30bは、第2側面12b3側の第2電極20bに向かって延びて突起25を跨ぐ状態で第2接合部27bにより第2電極20bと接合されている。以下に、上記の実施の形態のコイル部品100と異なる点を中心に説明する。
【0059】
図11の例では、第1電極20aは、第1鍔部12aにおいて第1底面12a1のW方向の一方の端部に配置されるとともに、第1底面12a1から屈曲して第1側面12a3に沿って連続的に配置されている。第2電極20bは、第2鍔部12bにおいて第2底面12b1のW方向の一方の端部に配置されるとともに、第2底面12b1から屈曲して第2側面12b3に沿って連続的に配置されている。
【0060】
第1側面12a3上の第1電極20aは、第1電極20aと第1端部30aとが接合されている第1接合面21aを有する。第2側面12b3上の第2電極20bは、第2電極20bと第2端部30bとが接合されている第2接合面21bを有する。第1及び第2接合面21a、21bは、図11において第1及び第2鍔部12a、12bの第1及び第2底面12a1、12b1が上方に向いた状態で、第1及び第2電極20a、20bのうち側方に面する。このとき、第1及び第2底面12a1、12b1が実装面となる。
【0061】
第1及び第2接合面21a、21bそれぞれには、第1及び第2電極20a、20bのうちT方向に延びる端面に沿った第1及び第2巻芯部側端部22a、22bに沿って突起25が設けられている。第1ワイヤ30が第1接合面21aの突起25を跨ぐ状態で、第1電極20aと第1端部30aとが合金層からなる第1接合部27aにより接合される。また、第1ワイヤ30が第2接合面21bの突起25を跨ぐ状態で、第2電極20bと第2端部30bとが合金層からなる第2接合部27bにより接合される。
【0062】
図11の例では、第1ワイヤ30の最も第1鍔部12a側に位置するターンが巻芯部11から離隔する第1離隔部31aと第1端部30aとが巻芯部11に対して同じ側にある。また、第1ワイヤ30の最も第2鍔部12b側に位置するターンが巻芯部11から離隔する第2離隔部31bと第2端部30bとが巻芯部11に対して同じ側にある。
【0063】
なお、図11の例では、第1及び第2電極20a、20bは第1及び第2底面12a1、12b1に加えて第1及び第2側面12a3、12b3に配置されている。しかし、第1及び第2電極20a、20bは第1及び第2側面12a3、12b3のみに配置されてもよい。
【0064】
(2-2)第1及び第2電極の同じ側への配置について
上記の実施の形態では第1及び第2電極20a、20bは巻芯部11に対して同じ側に配置されている。しかし、コイル部品100の性能に応じて、第1及び第2電極20a、20bは巻芯部11を挟んで互いに対角上に配置されてもよい。例えば、第1電極20aは、第1鍔部12aにおいて第1底面12a1のW方向の一方の端部に配置されることができる。一方、第2電極20bは、第2鍔部12bにおいて第2底面12b1のW方向の他方の端部に配置されることができる。
【0065】
(3)ワイヤの数について
上記の実施の形態では、ワイヤ30は1本の第1ワイヤ30のみを含む。しかし、ワイヤの数はこれに限定されず、2本以上のワイヤが含まれていてもよい。電極は、各ワイヤの両端部(一方の端部及び他方の端部)それぞれが接合される複数対の電極を含む。各電極におけるワイヤの端部との接合面の少なくともいずれかには少なくとも1つの突起が設けられている。
【0066】
一例として、ワイヤは、2本の第1ワイヤ30及び第2ワイヤ32を含んでいてもよい。第1ワイヤ30及び第2ワイヤ32を含むコイル部品100Bについて以下に説明する。図12は、この発明の別の変形例にかかるコイル部品の一例を示す底面図である。実施の形態に係るコイル部品100と異なる点を中心に説明する。
【0067】
コイル部品100Bは、コア10と、電極20と、第1ワイヤ30及び第2ワイヤ32と、を備える。コア10は、巻芯部11と、2対の鍔部12と、を有する。第1及び第2ワイヤ30、32はバイファラ巻きにより巻芯部11に巻回されている。第1ワイヤ30は、一方の端部である第1端部30aと、他方の端部である第2端部30bと、を含む。第2ワイヤ32は、一方の端部である第3端部30cと、他方の端部である第4端部30dと、を含む。
【0068】
電極20は、第1電極20aと、第2電極20bと、第3電極20cと、第4電極20dと、を含む。第1電極20aと第3電極20cとは第1鍔部12aにおいて巻芯部11の中心である軸線方向を挟んで対向している。第1電極20aは第1鍔部12aの一方の端部に設けられており、第3電極20cは第1鍔部12aの他方の端部に設けられている。また、第2電極20bと第4電極20dとは第2鍔部12bにおいて巻芯部11の中心である軸線方向を挟んで対向している。第2電極20bは第2鍔部12bの一方の端部に設けられており、第4電極20dは第2鍔部12bの他方の端部に設けられている。
【0069】
第1ワイヤ30の第1端部30aは第1電極20aと接合される。第1ワイヤ30の第2端部30bは第2電極20bと接合される。第2ワイヤ32の第3端部30cは第3電極20cと接合される。第2ワイヤ32の第4端部30dは第4電極20dと接合される。
【0070】
第1底面12a1上の第1電極20aは、第1電極20aと第1端部30aとが接合されている第1接合面21aを有する。第2底面12b1上の第2電極20bは、第2電極20bと第2端部30bとが接合されている第2接合面21bを有する。第1底面12a1上の第3電極20cは、第3電極20cと第3端部30cとが接合されている第3接合面21cを有する。第2底面12b1上の第4電極20dは、第4電極20dと第4端部30dとが接合されている第4接合面21dを有する。
【0071】
第1~第4接合面21a~21dの少なくともいずれかには少なくとも1つの突起25が設けられている。図12の例では、第1接合面21aには、第1巻芯部側端部22aにおいて第1接合面21aから突出する突起25が形成されている。第2接合面21bには、第2巻芯部側端部22bにおいて第2接合面21bから突出する突起25が形成されている。第3接合面21cには、第3巻芯部側端部22cにおいて第3接合面21cから突出する突起25が形成されている。第4接合面21dには、第4巻芯部側端部22dにおいて第4接合面21dから突出する突起25が形成されている。図12の例では、第1~第4巻芯部側端部22a~22dは、上記の実施の形態と同様に電極20のW方向に延びる端面に沿っている。
ここでは記載していないが、突起25を第1~第4巻芯部反対側端部23a~23dの少なくともいずれかに設けることもできる。
【0072】
第1ワイヤ30が第1接合面21aに設けられた突起25を跨ぐ状態で、第1電極20aと第1ワイヤ30の第1端部30aとが合金層からなる第1接合部27aにより接合されている。このとき、第1ワイヤ30の第1端部30aは、突起25と直接もしくは、第1接合部27aを介して突起25と接触する。また、第1ワイヤ30が第2接合面21bに設けられた突起25を跨ぐ状態で、第2電極20bと第1ワイヤ30の第2端部30bとが合金層からなる第2接合部27bにより接合されている。このとき、第1ワイヤ30の第2端部30bは、突起25と直接もしくは、第2接合部27bを介して突起25と接触する。第2ワイヤ32が第3接合面21cに設けられた突起25を跨ぐ状態で、第3電極20cと第2ワイヤ32の第3端部30cとが合金層からなる第3接合部27cにより接合されている。このとき、第2ワイヤ32の第3端部30cは、突起25と直接もしくは、第3接合部27cを介して突起25と接触する。また、第2ワイヤ32が第4接合面21dに設けられた突起25を跨ぐ状態で、第4電極20dと第2ワイヤ32の第4端部30dとが合金層からなる第4接合部27dにより接合されている。このとき、第2ワイヤ32の第4端部30dは、突起25と直接もしくは、第4接合部27dを介して突起25と接触する。
【0073】
上記構成であれば、ワイヤの本数が複数本であっても、本実施の形態と同様に、突起25により電極20とワイヤの端部との接合強度を向上可能である。
【0074】
(4)導電性金属が塗布された塗布電極について
上記の実施の形態では、電極20は金属板を成型した金属端子電極である。しかし、電極20はこれに限定されず、コア10の鍔部12に導電性金属を含む導電性ペーストを塗布して焼成することにより、電極20として塗布電極を形成することもできる。図13は、塗布電極を用いた電極を有するコイル部品の図2の線V-Vにおける断面図である。なお、図13では、巻芯部11を削除し、第1鍔部12a、突起25、第1端部30a等を示すように簡略化している。以下、第1及び第2電極20a、20bの構成は同様であるので、第1電極20aについて説明する。
【0075】
図13に示す塗布電極からなる第1電極20aは、突起25を有するように形成されている。このような第1電極20aは、コア10の第1鍔部12aに第1底面12a1から突出するコア突起26を設けることにより形成することができる。コア突起26に対応する例えば凹部を有する金型を準備し、コア10の材料を金型へ流し込み、コア10の材料を金型により押圧して焼成することによって、第1鍔部12aの第1底面12a1にコア突起26が形成されたコア10を形成する。図13の例では、コア突起26は第1底面12a1の巻芯部11側に形成されている。コア突起26が形成された第1底面12a1に導電性ペーストを塗布すると、コア突起26の突出に沿って導電性ペーストが盛り上がって塗布される。この導電性ペーストを焼成することにより、突起25を有する塗布電極である第1電極20aが形成される。
【0076】
第1ワイヤ30が第1接合面21aに設けられた突起25を跨ぐ状態で、塗布電極である第1電極20aと第1ワイヤ30の第1端部30aとが合金層からなる第1接合部27aにより接合されている。
【0077】
(5)空中配線部分について
上記の実施の形態では、第1ワイヤ30の最も第1鍔部12a側に位置するターンが巻芯部11から離隔する第1離隔部31aと第1端部30aとが巻芯部11を挟んで対向している。そして、第1離隔部31aから第1電極20aまでの空中配線部分が比較的に長い。しかし、コイル部品の種類によっては、第1離隔部31aと第1端部30aとが巻芯部11に対して同じ側にあり、空中配線部分が短くてもよい。
【0078】
なお、第1ワイヤ30が巻芯部11から離隔する離隔部31と第1ワイヤ30の端部とが巻芯部11に対して同じ側にある場合、前述の通り空中配線部分が短いため第1ワイヤ30の端部から巻芯部11側に向かう張力が小さい。この場合であっても、接合面21に突起25が設けられていれば、電極20と第1ワイヤ30の端部との接合強度をより向上可能である。
【0079】
(6)電極とワイヤとの接合について
上記の実施の形態では、第1ワイヤ30が接合面21に設けられた突起25を跨ぐ状態で、電極20と第1ワイヤ30の端部とが合金層からなる接合部27により接合されている。この場合、レーザ溶接及び熱圧着等が用いられて合金層が形成される。電極20と第1ワイヤ30の端部とが接合されればよく、レーザ溶接及び熱圧着等が用いられなくてもよい。また、電極20と第1ワイヤ30の端部との接合部27には必ずしも合金層が形成される必要はない。
【0080】
例えば、第1ワイヤ30が電極20の接合面21に設けられた突起25を跨ぐ状態で、第1ワイヤ30の端部が電極20に導電性接着剤により接着されることにより電極20と第1ワイヤ30の端部とが接合されてもよい。また、例えば、第1ワイヤ30が電極20の接合面21に設けられた突起25を跨ぐ状態で、第1ワイヤ30の端部が電極20に半田等の導電材料により接合されてもよい。
【0081】
<1>
軸線方向に延びる巻芯部と前記巻芯部の前記軸線方向の両端部それぞれに設けられた第1鍔部及び第2鍔部を有するコアと、
前記第1鍔部及び前記第2鍔部それぞれに設けられた第1電極及び第2電極を含む電極と、
前記巻芯部に巻回されるとともに、前記第1電極と接合される第1端部及び前記第2電極に接合される第2端部を有する第1ワイヤと、を備えるコイル部品であって、
前記第1電極は、前記第1端部が接合される第1接合面を有し、
前記第1接合面には、少なくとも1つの突起が設けられており、
前記第1ワイヤが前記第1接合面に設けられた少なくとも1つの前記突起を跨ぐ状態で、前記第1端部が前記第1接合面に接合している、コイル部品。
【0082】
<2>
前記突起は、
前記第1接合面のうち前記巻芯部側の端部である第1巻芯部側端部及び前記第1巻芯部側端部と対向する前記巻芯部側とは反対の端部である第1巻芯部反対側端部の少なくともいずれかに設けられている、<1>に記載のコイル部品。
【0083】
<3>
前記突起は、前記第1巻芯部側端部に設けられている、<2>に記載のコイル部品。
【0084】
<4>
前記突起は、前記第1ワイヤの前記第1端部に食い込んでいる、<1>乃至<3>のいずれかに記載のコイル部品。
【0085】
<5>
前記第1電極及び前記第2電極は、少なくとも前記第1鍔部及び前記第2鍔部上に配置された金属板からなる金属端子電極であり、あるいは、
前記第1電極及び前記第2電極は、少なくとも前記第1鍔部及び前記第2鍔部上に導電性金属が塗布された塗布電極である、<1>乃至<4>のいずれかに記載のコイル部品。
【0086】
<6>
前記第1ワイヤの最も前記第1鍔部側に位置するターンが前記巻芯部から離隔する第1離隔部と前記第1端部とが前記巻芯部を挟んで対向しており、前記第1電極の前記第1接合面に前記突起が設けられている、請求項<1>乃至<5>のいずれかに記載のコイル部品。
【0087】
<7>
第3端部及び第4端部を有する第2ワイヤを含み、
前記電極は、前記第1電極と前記軸線方向を挟んで対向し前記第1鍔部に設けられた第3電極と、前記第2電極と前記軸線方向を挟んで対向し前記第2鍔部に設けられた第4電極と、をさらに含み、
前記第3端部は、前記第3電極と接合される前記第2ワイヤの一方の端部であり、
前記第4端部は、前記第4電極と接合される前記第2ワイヤの他方の端部であり、
前記第3電極及び前記第4電極は、それぞれ、前記第3端部が接合される第3接合面及び前記第4端部が接合される第4接合面を有し、
前記第3接合面には、少なくとも1つの突起が設けられており、
前記第2ワイヤが前記第3接合面に設けられた少なくとも1つの前記突起を跨ぐ状態で、前記第3端部が前記第3接合面に接合されている、
<1>乃至<6>のいずれかに記載のコイル部品。
【0088】
<8>
第3端部及び第4端部を有する第2ワイヤを含み、
前記電極は、前記第1電極と前記軸線方向を挟んで対向し前記第1鍔部に設けられた第3電極と、前記第2電極と前記軸線方向を挟んで対向し前記第2鍔部に設けられた第4電極と、をさらに含み、
前記第3端部は、前記第3電極と接合される前記第2ワイヤの一方の端部であり、
前記第4端部は、前記第4電極と接合される前記第2ワイヤの他方の端部であり、
前記第3電極及び前記第4電極は、それぞれ、前記第3端部が接合される第3接合面及び前記第4端部が接合される第4接合面を有し、
前記第4接合面には、少なくとも1つの突起が設けられており、
前記第2ワイヤが前記第4接合面に設けられた少なくとも1つの前記突起を跨ぐ状態で、前記第4端部が前記第4接合面に接合されている、
<1>乃至<7>のいずれかに記載のコイル部品。
【0089】
<9>
前記第1電極と前記第1端部は、合金層を介して接合されている、<1>乃至<8>のいずれかに記載のコイル部品。
【0090】
<10>
前記合金層は、Cuと、Sn及びNiの少なくともいずれかと、を含む、<9>に記載のコイル部品。
【0091】
<11>
前記第1接合面に設けられた前記突起の高さは、前記第1ワイヤのワイヤ径に対して1/10以上、1/4以下の範囲である、<1>乃至<10>のいずれかに記載のコイル部品。
【0092】
<12>
前記第1接合面のうち前記巻芯部側の端部である第1巻芯部側端部に設けられた前記突起は、前記第1電極の前記第1巻芯部側端部が前記第1鍔部から離れる方向に跳ね上がる形状で形成されている、<1>乃至<11>のいずれかに記載のコイル部品。
【符号の説明】
【0093】
10 :コア
11 :巻芯部
12 :鍔部
12a、12b :第1、第2鍔部
12a1、12b1 :第1、第2底面
12a2、12b2 :第1、第2上面
12a3、12b3 :第1、第2側面
20 :電極
20a~20d :第1~第4電極
21 :接合面
21a~21d :第1~第4接合面
22 :巻芯部側端部
22a~22d :第1~第4巻芯部側端部
23 :巻芯部反対側端部
23a~23d :第1~第4巻芯部反対側端部
25 :突起
25a、25b :突起
26 :コア突起
27 :接合部
27a~27d :第1~第4接合部
30 :第1ワイヤ(ワイヤ)
32 :第2ワイヤ
30a~30d :第1~第4端部(端部)
31 :離隔部
31a、31b :第1、第2離隔部
100 :コイル部品
100A :コイル部品
100B :コイル部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13