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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025707
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/04 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
H02K5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130759
(22)【出願日】2023-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 大夢
【テーマコード(参考)】
5H605
【Fターム(参考)】
5H605AA08
5H605BB10
5H605CC02
5H605CC10
5H605DD01
5H605DD11
5H605EA06
5H605GG04
(57)【要約】
【課題】軸止め装置の紛失を防止するとともに、軸止め装置の保管の手間を軽減する。
【解決手段】回転電機1は、中央部に回転子17を有する回転軸10と、回転子の周方向の周囲に配置された固定子16と、回転軸の両端部を回転自在に支持する一対の軸受11,12と、一対の軸受のそれぞれを保持する一対のブラケット13,14と、一対のブラケットと固定子とを保持する外枠15と、外枠又はブラケットに固定されたカバー(外羽根カバー18)と、を備える。回転軸は、少なくとも一方側のブラケットから外側に突出する突出部分10aを有している。回転軸の突出部分は、カバーによって覆われている。カバーには、回転軸を一時的に回転不能に固定する軸止め装置50が一体的に設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部に回転子を有する回転軸と、
前記回転子の周方向の周囲に配置された固定子と、
前記回転軸の両端部を回転自在に支持する一対の軸受と、
一対の前記軸受のそれぞれを保持する一対のブラケットと、
一対の前記ブラケットと前記固定子とを保持する外枠と、
前記外枠又は前記ブラケットに固定されたカバーと、を備え、
前記回転軸は、少なくとも一方側のブラケットから外側に突出する突出部分を有しており、
前記回転軸の前記突出部分は、前記カバーによって覆われており、
前記カバーには、前記回転軸を一時的に回転不能に固定する軸止め装置が一体的に設けられている
ことを特徴とする回転電機。
【請求項2】
請求項1に記載の回転電機において、
前記軸止め装置は、前記回転軸の前記突出部分に直接又は間接的に当接することで前記回転軸を一時的に回転不能に固定する固定具を有し、
前記カバーは、前記回転軸の延長方向に位置する部分に貫通孔を有するとともに、前記貫通孔によって、前記回転軸の前記突出部分に向けて前記固定具を移動可能に保持する
ことを特徴とする回転電機。
【請求項3】
請求項2に記載の回転電機において、
前記固定具は、円柱部と、円柱部から径方向に突出する突起部と、を有しており、
前記貫通孔は、前記固定具の前記円柱部の直径と同等サイズの円孔と、前記固定具の前記突起部を通すことができるように、当該円孔から周囲に拡張して形成された中空な溝状の拡張部と、を有する形状になっている
ことを特徴とする回転電機。
【請求項4】
請求項2に記載の回転電機において、
前記固定具は、その一部が把持部として機能するように、前記貫通孔から外部に突出して配置される
ことを特徴とする回転電機。
【請求項5】
請求項2に記載の回転電機において、
前記カバーの内部に配置され、かつ、前記固定具を支持する支持具を備え、
前記支持具は、前記回転軸の延長方向に位置する部分に支持具側貫通孔が設けられており、
前記固定具は、前記カバーの前記貫通孔と前記支持具側貫通孔とによって前記回転軸の前記突出部分に向けて移動可能に保持される
ことを特徴とする回転電機。
【請求項6】
請求項5に記載の回転電機において、
前記固定具は、円柱部と、円柱部から径方向に突出する突起部と、を有しており、
前記貫通孔は、前記固定具の前記円柱部の直径と同等サイズの円孔と、前記固定具の前記突起部を通すことができるように、当該円孔から周囲に拡張して形成された中空な溝状の拡張部と、を有する形状になっている
ことを特徴とする回転電機。
【請求項7】
請求項5に記載の回転電機において、
前記固定具の表面には、雄ネジが形成され、
前記カバーの前記貫通孔と前記支持具側貫通孔の内面には、雌ネジが形成されている
ことを特徴とする回転電機。
【請求項8】
請求項2に記載の回転電機において、
さらに、前記回転軸の前記突出部分に当接するように配置された当接部材と、
前記回転軸の前記突出部分から離間する方向に前記当接部材を付勢する弾性部材と、
前記カバーの内部に配置され、かつ、前記当接部材と前記弾性部材を支持する支持具と、を備え、
前記支持具は、前記回転軸の延長方向に位置する部分に支持具側貫通孔が設けられており、
前記固定具は、前記カバーの前記貫通孔によって前記当接部材の端部に向けて移動可能に保持され、
前記当接部材は、前記弾性部材と前記支持具側貫通孔とによって前記回転軸の前記突出部分に向けて移動可能に保持される
ことを特徴とする回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機は、輸送時の振動が回転軸から軸受へと伝わり、軸受に負荷がかかる場合がある。そこで、回転電機は、輸送時に軸止め装置(治具)を取り付けることで、輸送による振動が回転軸から軸受へと伝わることを防止する。これにより、回転電機は、軸受に負荷がかからないようにして、軸受を保護する。なお、軸止め装置に関連する技術として、特許文献1に記載されたものがある。特許文献1には、回転軸の負荷側をベルトにて締め付ける構造や、負荷側を覆うカバーに取り付けた治具を回転軸へ押し付けて回転軸を固定する技術が記載されている。
【0003】
軸止め装置は、回転電機の輸送後に不要となる。そのため、軸止め装置は、回転電機の輸送後に回転電機から取り外される。そして、回転電機から取り外された軸止め装置の処分は、顧客任せになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-191747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された従来技術は、軸止め装置の部品点数削減による、工数削減及び廃棄コストの低減を目的としたものである。そして、従来技術は、回転電機から取り外された軸止め装置(治具)を紛失してしまうことや、軸止め装置(治具)の保管に手間を要することについては考慮されていないものである。そのため、従来技術は、回転電機から取り外された軸止め装置(治具)を紛失したり、軸止め装置(治具)の保管に手間を要したりすることがある。
【0006】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、軸止め装置の紛失を防止するとともに、軸止め装置の保管の手間を軽減する回転電機を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、回転電機であって、中央部に回転子を有する回転軸と、前記回転子の周方向の周囲に配置された固定子と、前記回転軸の両端部を回転自在に支持する一対の軸受と、一対の前記軸受のそれぞれを保持する一対のブラケットと、一対の前記ブラケットと前記固定子とを保持する外枠と、前記外枠又は前記ブラケットに固定されたカバーと、を備え、前記回転軸は、少なくとも一方側のブラケットから外側に突出する突出部分を有しており、前記回転軸の前記突出部分は、前記カバーによって覆われており、前記カバーには、前記回転軸を一時的に回転不能に固定する軸止め装置が一体的に設けられている構成とする。
その他の手段は、後記する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、軸止め装置の紛失を防止するとともに、軸止め装置の保管の手間を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1に係る回転電機の外観図である。
図2】実施形態1に係る回転電機の断面図である。
図3】実施形態1に係る回転電機の軸止め装置の構成図である。
図4】実施形態1に係る回転電機の軸止め装置による回転軸の固定前の説明図である。
図5】実施形態1に係る回転電機の軸止め装置による回転軸の固定後の説明図である。
図6】実施形態2に係る回転電機の軸止め装置の構成図である。
図7】実施形態3に係る回転電機の軸止め装置の構成図である。
図8】実施形態4に係る回転電機の軸止め装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)について詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示しているに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0011】
[実施形態1]
<回転電機の構成>
以下、図1及び図2を参照して、本実施形態1に係る回転電機1の構成について説明する。図1は、本実施形態1に係る回転電機1の外観図である。図2は、回転電機1の断面図である。
【0012】
図1及び図2に示すように、本実施形態1に係る回転電機1は、有底円筒状のブラケット13及びブラケット14(図2)と円筒状の外枠15とで外郭が形成されている。
【0013】
回転電機1の内部には、回転軸10が配置されている。回転軸10は、負荷が設置される側の端部が回転電機1の内部から外部に突出するように配置されている。ここで、図2に示す構成において、回転軸10の負荷が設置される側の端部とは、回転軸10のブラケット13が設けられている側の端部である。また、回転軸10のブラケット14が設けられている側の端部は、回転軸10の負荷が設置されない側の端部である。以下、回転軸10の中心付近を基準にして、ブラケット13に近い側を「負荷側」と称し、ブラケット14に近い側を「反負荷側」と称する。また、回転軸10の中心付近からブラケット13に向かう方向を「負荷側の方向」と称し、回転軸10の中心付近からブラケット14に向かう方向を「反負荷側の方向」と称する。
【0014】
図2に示すように、外郭を形成する円筒状の外枠15の内部には、固定子16が固定配置されている。固定子16の内部には、回転子17が回転自在に配置されている。回転子17は、回転軸10の中央部に固定されている。回転軸10は、両端部側が一対の軸受11,12によって回転自在に支持されている。軸受11は、負荷側に配置された軸受であり、軸受12は、反負荷側に配置された軸受である。軸受11は、負荷側のブラケット13によって固定され、軸受12は、反負荷側のブラケット14によって固定されている。また回転軸10は、固定子16の内側に回転子17が対向するように配置されている。
【0015】
回転軸10の反負荷側の端部には、外羽根19が取り付けられている。外羽根19は、回転軸10に負荷が設置されない反負荷側に固定されている。外羽根19は、回転軸10と共に回転して、回転電機1を冷却するための空気(冷却用空気)の流れを形成する。
【0016】
外羽根19の周囲には、外羽根19を保護するためのカバーとして外羽根カバー18が配置されている。外羽根カバー18は、回転電機1の外羽根19を反負荷側から覆っており、外部からの外羽根19への接触を防止するために、外枠15又はブラケット14(図示例では、ブラケット14)に固定されている。なお、外羽根カバー18の材質については、外羽根19を保護するための強度を確保するために、金属材が望ましい。
【0017】
回転軸10は、ブラケット13,14のうち、少なくとも一方側のブラケット(本実施形態では、ブラケット14)から外側に突出する突出部分10aを有している。回転軸10の突出部分10aは、外羽根カバー18によって覆われている。突出部分10aの端部には、平面状の平面部10aaが形成されている。
【0018】
外羽根カバー18には、回転軸10を一時的に回転不能に固定するための軸止め装置50が一体的に設けられている。回転電機1は、輸送時に、軸止め装置50で回転軸10を押さえ付けることで、輸送による振動が回転軸10から軸受11,12へと伝わることを防止する。これにより、回転電機1は、軸受11,12に負荷がかからないようにして、軸受11,12を保護する。
【0019】
<軸止め装置の構成>
以下、図3から図5を参照して、軸止め装置50の構成について説明する。図3は、軸止め装置50の構成図である。図3は、図2に示す回転電機1のカバー側部分20の構成を拡大して示している。図4は、軸止め装置50による回転軸10の固定前の説明図である。図5は、軸止め装置50による回転軸10の固定後の説明図である。
【0020】
図3に示すように、本実施形態では、軸止め装置50は、外羽根カバー18に設けられた円形の貫通孔H18と、貫通孔H18に取り付けられた固定具51とによって構成される。貫通孔H18は、外羽根カバー18の中心部分、つまり、外羽根カバー18の回転軸10の延長方向に位置部分に設けられている。固定具51は、回転軸10の突出部分10aに直接又は間接的に当接することで回転軸10を一時的に回転不能に固定する部材である。本実施形態1~後記する実施形態3では、固定具51は、回転軸10の突出部分10aに直接的に当接することで回転軸10を一時的に回転不能に固定する。また、後記する実施形態4では、固定具51は、後記する柱材54(図8)を介して回転軸10の突出部分10aに間接的に当接することで回転軸10を一時的に回転不能に固定する。固定具51の内部側端部(回転軸10の突出部分10aに対向する側の端部)は、平面状に形成されている。なお、固定具51の材質については、回転軸10を固定するための強度を確保するために、金属材が望ましい。
【0021】
固定具51は、貫通孔H18を貫通して回転軸10の突出部分10aの方向へ伸びるように、配置されている。貫通孔H18は、回転軸10の突出部分10aに向けて(軸方向に向けて)固定具51を移動可能に保持する。そのため、貫通孔H18は、固定具51を軸方向に保持することが可能な厚みを有しているとよい。
【0022】
固定具51は、棒状の形状を呈している棒状部材である。固定具51は、円柱部51aと、円柱部51aから放射状に突出する突起部51bと、を有している。また、図4に示すように、貫通孔H18は、円孔H18aと、円孔H18aから周囲に拡張して形成された中空な溝状の拡張部H18bと、を有している。貫通孔H18の円孔H18aの直径は、固定具51の円柱部51aの直径と同等になっている。また、貫通孔H18の拡張部H18bの大きさは、固定具51の突起部51bよりも若干(例えば、数ミリ程度)大きく設定されている。これにより、貫通孔H18の拡張部H18bは、回転軸10の突出部分10aの方向に固定具51を固定具51が移動されるときに、固定具51の突起部51bを通過させることができる。
【0023】
軸止め装置50は、回転電機1の輸送時に、利用者によって以下のように操作されることで、回転軸10を一時的に固定する。
【0024】
図4に示すように、例えば、利用者は、回転電機1の輸送時に、固定具51の突起部51bと外羽根カバー18の貫通孔H18の拡張部H18bの位相(周方向の位置)が一致するように固定具51を回転させる。これにより、回転電機1は、利用者が回転軸10の突出部分10aの方向に固定具51を押すときに、固定具51と外羽根カバー18が干渉しないようにして、固定具51の突起部51bを貫通孔H18の拡張部H18bに通過させることができる。次に、利用者は、回転軸10の突出部分10aの方向に固定具51を押して、回転軸10の突出部分10aの方向に固定具51を移動させる。その際に、固定具51の突起部51bは、貫通孔H18の拡張部H18bを通過する。これにより、利用者は、固定具51と回転軸10の突出部分10aの平面部10aaとを当接させることができる。
【0025】
図5に示すように、次に、利用者は、固定具51を回転させて、固定具51の突起部51bと貫通孔H18の拡張部H18bの位相(周方向の位置)をずらすことで、固定具51の突起部51bを外羽根カバー18の内側に引っ掛ける。これにより、回転電機1は、固定具51で回転軸10を回転不能に押さえ付けて、回転軸10の動きを抑制することができる。そして、回転電機1は、輸送による振動が回転軸10から軸受11,12へと伝わることを防止することができる。これにより、回転電機1は、軸受11,12に負荷がかからないようにして、軸受11,12を保護することができる。また、回転電機1は、固定具51の突起部51bを外羽根カバー18の内側に引っ掛けることで、固定具51が反負荷側に押し返されるのを防ぐことができる。
【0026】
また、利用者は、回転電機1の輸送後に、固定具51の突起部51bと外羽根カバー18の貫通孔H18の拡張部H18bの位相(周方向の位置)が一致するように固定具51を回転させる。これにより、回転電機1は、固定具51による回転軸10の押さえ付けを解除(解放)することができる。次に、利用者は、反負荷側の方向(回転軸10の突出部分10aから離間する方向)に固定具51を引いて、反負荷側の方向に固定具51を移動させる。その際に、固定具51の突起部51bは、貫通孔H18の拡張部H18bを通過する。これにより、回転電機1は、固定具51と回転軸10の突出部分10aの平面部10aaとの当接を解除(解放)することができる。
【0027】
係る構成において、固定具51は、外羽根カバー18の貫通孔H18sに保持されているため、取り外しが不要である。そのため、回転電機1は、軸止め装置50(特に固定具51)の紛失を防止するとともに、軸止め装置50(特に固定具51)の保管の手間を軽減することができる。
【0028】
<回転電機の主な特徴>
(1)図2に示すように、本実施形態に係る回転電機1は、回転軸10と、固定子16と、一対の軸受11,12と、一対のブラケット13,14と、外枠15と、外羽根カバー18(カバー)と、を備える。回転軸10は、中央部に回転子17を有する。固定子16は、回転子17の周方向の周囲に配置されている。一対の軸受11,12は、回転軸10の両端部を回転自在に支持する。一対のブラケット13,14は、一対の軸受11,12のそれぞれを保持する。外枠15は、一対のブラケット13,14と固定子16とを保持する。外羽根カバー18(カバー)は、外枠15又はブラケット14に固定さされている。回転軸10は、少なくとも一方側のブラケット14から外側に突出する突出部分10aを有している。回転軸10の突出部分10aは、外羽根カバー18によって覆われている。外羽根カバー18には、回転軸10を一時的に回転不能に固定する軸止め装置50が一体的に設けられている。
【0029】
このような本実施形態に係る回転電機1は、軸止め装置50が外羽根カバー18と一体的に設けられているため、軸止め装置50の紛失を防止するとともに、軸止め装置50の保管の手間を軽減することができる。
【0030】
(2)図3に示すように、本実施形態に係る回転電機1において、軸止め装置50は、回転軸10の突出部分10aに直接又は間接的に当接することで回転軸10を一時的に回転不能に固定する固定具51を有する。外羽根カバー18は、回転軸10の延長方向に位置する部分に貫通孔H18を有するとともに、貫通孔H18によって、回転軸10の突出部分10aに向けて固定具51を移動可能に保持する構成であるとよい。
【0031】
このような本実施形態に係る回転電機1は、貫通孔H18によって、回転軸10の突出部分10aに向けて固定具51を移動可能に保持するため、回転電機1からの軸止め装置50の固定具51の取り外しを無くすことができる。
【0032】
(3)図3から図5に示すように、本実施形態に係る回転電機1において、固定具51は、円柱部51aと、円柱部51aから径方向に突出する突起部51bと、を有している。貫通孔H18は、固定具51の円柱部51aの直径と同等サイズの円孔H18a(図4)と、固定具51の突起部51bを通すことができるように、円孔H18a(図4)から周囲に拡張して形成された中空な溝状の拡張部H18b(図4)と、を有する形状になっているとよい。
【0033】
このような本実施形態に係る回転電機1は、貫通孔H18の円孔H18a(図4)の中で固定具51の円柱部51aを移動させながら回転させることで、固定具51の突起部51bを拡張部H18b(図4)に通す。その後に、本実施形態に係る回転電機1は、貫通孔H18の円孔H18a(図4)の中で固定具51の円柱部51aを移動させながら回転させることで、固定具51の突起部51bを外羽根カバー18に内面に当接させるとともに、固定具51の端部を回転軸10の突出部分10aに当接させる。これにより、本実施形態に係る回転電機1は、回転軸10を一時的に回転不能に固定することができる。
【0034】
(4)図3から図5に示すように、本実施形態に係る回転電機1において、固定具51は、その一部が把持部として機能するように、貫通孔H18から外部に突出して配置されるとよい。
【0035】
このような本実施形態に係る回転電機1は、固定具51が貫通孔H18から外部に突出しており、その突出部分を把持部51cとして利用(操作)することができる。
【0036】
以上の通り、本実施形態1に係る回転電機1によれば、軸止め装置50(特に、固定具51)の紛失を防止するとともに、軸止め装置50(特に、固定具51)の保管の手間を軽減することができる。
【0037】
[実施形態2]
以下、図6を参照して、本実施形態2に係る回転電機1Aの軸止め装置50Aの構成について説明する。図6は、本実施形態2に係る回転電機1Aの軸止め装置50Aの構成図である。
【0038】
図6に示すように、本実施形態2に係る回転電機1Aは、前記した実施形態1に係る回転電機1(図3)と比較すると、軸止め装置50(図3)の代わりに、軸止め装置50Aを備える点で相違している。本実施形態2の軸止め装置50Aは、前記した実施形態1の軸止め装置50(図3)と比較すると、外羽根カバー18の内側に支持具52を有する点で相違している。
【0039】
支持具52は、外羽根カバー18とともに、固定具51を支持する部材である。支持具52は、有底円筒形状を呈している。支持具52は、底部の中心に円形の貫通孔(以下、「支持具側貫通孔H52」と称する)を備えている。支持具側貫通孔H52は、支持具52の中心部分、つまり、支持具52の回転軸10の延長方向に位置部分に設けられている。
支持具52は、外羽根カバー18との間に、固定具51の一部を格納するための格納空間を有している。
【0040】
固定具51は、外羽根カバー18の貫通孔H18と支持具52の支持具側貫通孔H52とを貫通するように配置される。軸止め装置50Aは、外羽根カバー18の貫通孔H18と支持具52の支持具側貫通孔H52とで固定具51を支持することにより、上下左右方向に振れること無く軸方向に移動可能に固定具51を支持することができる。そのため、回転電機1Aは、回転軸10の突出部分10aの平面部10aaに対し固定具51の内部側端部(回転軸10の突出部分10aに対向する側の端部)を垂直に当接させることができる。なお、支持具52の材質については、固定具51を支持するための強度を確保するために、金属材が望ましい。
【0041】
係る構成において、固定具51は、外羽根カバー18の貫通孔H18sと支持具52の支持具側貫通孔H52とに保持されているため、取り外しが不要である。そのため、回転電機1Aは、軸止め装置50(特に固定具51)の紛失を防止するとともに、軸止め装置50(特に固定具51)の保管の手間を軽減することができる。
【0042】
しかも、本実施形態に係る回転電機1Aは、上下左右方向に振れること無く軸方向に移動可能に固定具51を支持することができる。そのため、回転電機1Aは、回転軸10の突出部分10aの平面部10aaに対して固定具51の内部側端部(回転軸10の突出部分10aに対向する側の端部)を垂直に当接させることができる。
【0043】
[実施形態3]
以下、図7を参照して、本実施形態3に係る回転電機1Bの軸止め装置50Bの構成について説明する。図7は、本実施形態3に係る回転電機1Bの軸止め装置50Bの構成図である。
【0044】
図7に示すように、本実施形態3に係る回転電機1Bは、前記した実施形態2に係る回転電機1A(図6)と比較すると、軸止め装置50A(図6)の代わりに、軸止め装置50Bを備える点で相違している。本実施形態3の軸止め装置50Bは、前記した実施形態2の軸止め装置50B(図6)と比較すると、固定具51の代わりに、ボルト53を有するとともに、貫通孔H18と支持具側貫通孔H52との代わりに、貫通孔H18sと支持具側貫通孔H52sとが外羽根カバー18と支持具52sとに設けられている点で相違している。
【0045】
ボルト53は、固定具として用いられる部材である。ボルト53は、実施形態1,2の固定具51と同様に、回転軸10の突出部分10aに直接又は間接的に当接することで回転軸10を一時的に回転不能に固定する。ボルト53の表面には、雄ネジ53sが形成されている。
【0046】
外羽根カバー18の貫通孔H18sと支持具側貫通孔H52sは、内面に雌ネジが形成された孔である。つまり、外羽根カバー18の貫通孔H18sと支持具側貫通孔H52sは、ネジ孔として構成されている。外羽根カバー18の貫通孔H18sと支持具側貫通孔H52sは、回転軸10の軸方向上に設けられている。そして、ボルト53は、外羽根カバー18の貫通孔H18sと支持具側貫通孔H52sとを貫通するように配置されている。
【0047】
利用者は、回転電機1の輸送時に、ボルト53を締めることで、回転軸10の突出部分10aの方向(負荷側の方向)にボルト53を前進させる。これにより、回転電機1Bは、回転軸10の突出部分10aの平面部10aaに対しボルト53の内部側端部(回転軸10の突出部分10aに対向する側の端部)を垂直に当接させることができる。このような回転電機1Bは、ボルト53で回転軸10を回転不能に押さえ付けて、輸送による振動が回転軸10から軸受11,12へと伝わることを防止することができる。これにより、回転電機1Aは、軸受11,12に負荷がかからないようにして、軸受11,12を保護することができる。
【0048】
また、利用者は、回転電機1の輸送後に、ボルト53を緩めることで、外羽根カバー18の方向(反負荷側の方向)にボルト53を後退させる。これにより、回転電機1Bは、ボルト53と回転軸10の突出部分10aの平面部10aaとの当接の当接を解除(解放)することができる。
【0049】
係る構成において、ボルト53は、外羽根カバー18の貫通孔H18s(ネジ孔)にねじ込まれているため、取り外しが不要である。そのため、回転電機1は、軸止め装置50B(特に固定具としてのボルト53)の紛失を防止するとともに、軸止め装置50B(特にボルト53)の保管の手間を軽減することができる。
【0050】
また、回転電機1Bは、固定具としてボルト53を使用することで、部品の製作工数の削減、ボルト53の締める動作と緩める動作のみで回転軸10の固定と解除が可能になる。
【0051】
[実施形態4]
以下、図8を参照して、本実施形態4に係る回転電機1Cの軸止め装置50Cの構成について説明する。図8は、本実施形態4に係る回転電機1Cの軸止め装置50Cの構成図である。
【0052】
図8に示すように、本実施形態4に係る回転電機1Cは、前記した実施形態3に係る回転電機1B(図7)と比較すると、軸止め装置50B(図7)の代わりに、軸止め装置50Cを備える点で相違している。本実施形態4の軸止め装置50Cは、前記した実施形態3の軸止め装置50B(図7)と比較すると、支持具52s(図7)の代わりに、前記した実施形態2の支持具52(図6)を有する点、ボルト53の内部側端部と支持具52との間に、柱材54とコイルバネ55とを有する点で相違している。
【0053】
柱材54は、回転軸10の突出部分10aに当接するように配置された当接部材である。柱材54は、円柱状の部分と平板状の部分とを有している。そのため、柱材54は、側面視でT字形状を呈している。柱材54は、円柱状の部分が負荷側に配置され、平板状の部分が反負荷側に配置される。柱材54の円柱状の部分は、コイルバネ55の内部に収納されている。柱材54の円柱状の部分は、回転軸10の固定時に、回転軸10と当接する。柱材54の平板状の部分は、回転軸10の固定時と開放時にかかわらず、常時、ボルト53と当接する。柱材54の平板状の部分は、例えば円板状の形状を呈している。
【0054】
コイルバネ55は、反負荷側の方向(回転軸10の突出部分10aから離間する方向)に柱材54を付勢する弾性部材である。コイルバネ55は、円筒形状を呈している。
【0055】
前記した実施形態3に係る回転電機1B(図7)は、ボルト53と回転軸10とが当接していない状態で、回転電機1を運転させた場合に、運転時の振動によりボルト53が回転してしまい、脱落する可能性がある。そこで、本実施形態4に係る回転電機1Cは、運転時の振動によりボルト53が回転しないように、ボルト53と支持具52との間に柱材54とコイルバネ55を配置している。これにより、本実施形態4に係る回転電機1Cは、コイルバネ55でボルト53の振動を吸収して、ボルト53の脱落を防止することができる。
【0056】
柱材54は、ボルト53と回転軸10との間に位置し、支持具52の中心に位置する孔を貫通するように配置される。また、柱材54は、コイルバネ55から反発力を受けるため、反負荷側の端部が皿状になっている。柱材54が受けたコイルバネ55の反発力は、柱材54と当接しているボルト53に伝わり、ボルト53が外羽根カバー18に押さえ付けられることで、ボルト53の脱落を防止する。
【0057】
柱材54の材質については、ボルト53と回転軸10に挟まれ圧縮されるため、金属材が望ましい。またコイルバネ55の材質は、ゴムやバネ等が考えられるが、回転電機1が屋外で使用されることもあるため、耐候性に優れた材料が望ましい。また、ボルト53は、蝶ネジ等の回し易いものがよい。
【0058】
係る構成において、ボルト53は、外羽根カバー18の貫通孔H18sに保持されているため、取り外しが不要である。そのため、回転電機1Cは、軸止め装置50C(特に固定具51)の紛失を防止するとともに、軸止め装置50C(特に固定具51)の保管の手間を軽減することができる。
【0059】
しかも、回転電機1Cは、ボルト53と回転軸10とが当接していない状態で、回転電機1を運転させた場合であっても、コイルバネ55でボルト53の振動を吸収して、ボルト53の脱落を防止することができる。
【0060】
本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成を加えることも可能である。また、各構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0061】
1,1A,1B,1C 回転電機
10 回転軸
10a 突出部分
10aa 平面部
11 軸受
12 軸受
13 ブラケット
14 ブラケット
15 外枠
16 固定子
17 回転子
18 外羽根カバー(カバー)
19 外羽根
20 カバー側部分
50 軸止め装置
51 固定具
51a 円柱部
51b 突起部
51c 把持部
52,52a 支持具
52a 支持具
53 ボルト(固定具)
53s 雄ネジ
54 柱材(当接部材)
55 コイルバネ(弾性部材)
H18 貫通孔(孔)
H18a 円孔
H18b 拡張部
H18s 貫通孔(雌ネジ)
H52 支持具側貫通孔(円孔)
H52s 支持具側貫通孔(雌ネジ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8