(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025711
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】成形型および発泡体
(51)【国際特許分類】
B29C 39/26 20060101AFI20250214BHJP
B29C 33/10 20060101ALI20250214BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
B29C39/26
B29C33/10
B29C44/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130766
(22)【出願日】2023-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003425
【氏名又は名称】株式会社東洋クオリティワン
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】中島 敏保
(72)【発明者】
【氏名】篠宮 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】青山 尚史
(72)【発明者】
【氏名】松平 健介
【テーマコード(参考)】
4F202
4F214
【Fターム(参考)】
4F202AA42
4F202AB02
4F202AC05
4F202AD24
4F202AD35
4F202AG20
4F202AH26
4F202AM32
4F202CA01
4F202CB01
4F202CB12
4F202CK52
4F202CK74
4F202CP01
4F202CP04
4F202CQ03
4F202CQ07
4F214AA42
4F214AB02
4F214AC05
4F214AD24
4F214AG20
4F214AH26
4F214UA01
4F214UB01
4F214UB12
4F214UD19
4F214UK31
(57)【要約】
【課題】インサート部品の形状に関係なく欠肉を低減できる成形型および発泡体を提供する。
【解決手段】成形型は、成形型の第1の通気孔を貫通する第1の軸と、第1の軸を軸方向に往復動するアクチュエータと、第1の軸に設けられた第1の弁体と、第1の弁体を挟んで第1の軸の反対側に突き出す第1の凸部と、を備える。第1の軸の往復動により第1の弁体は第1の通気孔を開閉し、第1の凸部に第1のインサート部品が取り付けられる。発泡体は、第1のインサート部品に設けられた第1の穴と、発泡体の表面に設けられた第2の穴と、が同一直線上につながっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のインサート部品が一体成形される発泡体の成形型であって、
前記成形型の第1の通気孔を貫通する第1の軸と、
前記第1の軸を軸方向に往復動するアクチュエータと、
前記第1の軸に設けられた第1の弁体と、
前記第1の弁体を挟んで前記第1の軸の反対側に突き出す第1の凸部と、を備え、
前記第1の軸の往復動により前記第1の弁体は前記第1の通気孔を開閉し、
前記第1の凸部に前記第1のインサート部品が取り付けられる成形型。
【請求項2】
前記第1の凸部と並んで設けられた第2の凸部を備え、
前記第1の凸部と前記第2の凸部との間の距離は、前記第1のインサート部品の長さよりも短く、
前記第1の凸部および前記第2の凸部に前記第1のインサート部品が固定される請求項1記載の成形型。
【請求項3】
前記第1の通気孔と並んで設けられた前記成形型の第2の通気孔を貫通する第2の軸と、
前記第2の軸に設けられた第2の弁体と、を備え、
前記アクチュエータは、前記第2の軸を軸方向に往復動し、
前記第2の軸の往復動により前記第2の弁体は前記第2の通気孔を開閉し、
前記第2の凸部は、前記第2の弁体を挟んで前記第2の軸の反対側に突き出す請求項2記載の成形型。
【請求項4】
前記第1の凸部のうち前記第1のインサート部品が取り付けられる部分は、断面形状が非円形である請求項1記載の成形型。
【請求項5】
第1のインサート部品が一体成形された発泡体であって、
前記第1のインサート部品に設けられた第1の穴と、
前記発泡体の表面に設けられた第2の穴と、が同一直線上につながっている発泡体。
【請求項6】
前記第2の穴の差渡しは、前記第1の穴の差渡しよりも大きい請求項5記載の発泡体。
【請求項7】
前記発泡体の前記表面と前記第1のインサート部品との間に配置された第2のインサート部品を備える請求項5又は6に記載の発泡体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通気孔が設けられた成形型、及び、インサート部品を一体化した発泡体に関する。
【背景技術】
【0002】
インサート部品を一体化した発泡体の成形型において、特許文献1に開示された先行技術は、発泡体の形状の一部の欠損(以下「欠肉」と称す)を低減するため、成形型の通気孔とインサート部品の貫通孔とが同一直線上に位置しないように、インサート部品を成形型に配置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術は、発泡体と一体化するインサート部品が、貫通孔を有する形状に制限されるという問題点がある。
【0005】
本発明はこの問題点を解決するためになされたものであり、インサート部品の形状に関係なく欠肉を低減できる成形型および発泡体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するための第1の態様は、第1のインサート部品が一体成形される発泡体の成形型であって、成形型の第1の通気孔を貫通する第1の軸と、第1の軸を軸方向に往復動するアクチュエータと、第1の軸に設けられた第1の弁体と、第1の弁体を挟んで第1の軸の反対側に突き出す第1の凸部と、を備える。第1の軸の往復動により第1の弁体は第1の通気孔を開閉し、第1の凸部に第1のインサート部品が取り付けられる。
【0007】
第2の態様は、第1の態様において、第1の凸部と並んで設けられた第2の凸部を備える。第1の凸部と第2の凸部との間の距離は、第1のインサート部品の長さよりも短く、第1の凸部および第2の凸部に第1のインサート部品が固定される。
【0008】
第3の態様は、第2の態様において、第1の通気孔と並んで設けられた成形型の第2の通気孔を貫通する第2の軸と、第2の軸に設けられた第2の弁体と、を備える。アクチュエータは、第1の軸と同時に第2の軸を軸方向に往復動し、第2の軸の往復動により第2の弁体は第2の通気孔を開閉する。第2の凸部は、第2の弁体を挟んで第2の軸の反対側に突き出す。
【0009】
第4の態様は、第1の態様において、第1の凸部のうち第1のインサート部品が取り付けられる部分は、断面形状が非円形である。
【0010】
第5の態様は、第1のインサート部品が一体成形された発泡体であって、第1のインサート部品に設けられた第1の穴と、発泡体の表面に設けられた第2の穴と、が同一直線上につながっている。
【0011】
第6の態様は、第5の態様において、第2の穴の差渡しは、第1の穴の差渡しよりも大きい。
【0012】
第7の態様は、第5又は第6の態様において、発泡体の表面と第1のインサート部品との間に配置された第2のインサート部品を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1の凸部に取り付けられた第1のインサート部品と成形型との間に隙間を設けた状態で第1の通気孔を第1の弁体が閉じると、発泡体の材料が、第1の通気孔と第1の弁体との間からガスを排気しながら第1のインサート部品と成形型との間に進入する。従ってインサート部品の形状に関係なく発泡体の欠肉を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施の形態における成形型の断面図である。
【
図3】(a)は第2実施の形態における成形型の断面図であり、(b)は
図3(a)のIIIb-IIIb線における第1の凸部の断面図であり、(c)及び(d)は変形例における第1の凸部の断面図である。
【
図4】第3実施の形態における成形型の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。
図1は第1実施の形態における成形型10の断面図である。成形型10は、上型と下型との間にキャビティ11が形成されるもの、中子が配置された上型と下型との間にキャビティ11が形成されるものが例示される。
図1では成形型10として上型の一部が図示されており、中子や下型の図示が省略されている(
図2から
図4においても同じ)。
【0016】
図2は成形型10、及び、成形型10によって成形された弾力のある合成樹脂製の発泡体50の断面図である。発泡体50は第1のインサート部品40及び第2のインサート部品43と一体化している。発泡体50の用途は自動車、電車、船舶、飛行機等の乗り物用シートパッドが例示されるが、これに限られるものではない。発泡体50の用途に制限はない。
【0017】
発泡体50に含まれる合成樹脂はウレタンが例示される。ウレタンの材料は、ポリオール、イソシアネート及び水を含むものが例示される。成形型10のキャビティ11の中でポリオールとイソシアネートとの樹脂化反応と、イソシアネートと水との泡化反応と、を同時に進行させて軟質ポリウレタンフォームが作られる。ウレタンの材料は、最初は粘度が低い液状であるが、反応の進行に伴い、膨らみながら粘度が高くなり最後は硬化する。
【0018】
成形型10を貫通する第1の通気孔16及び第2の通気孔26が、互いに間隔をあけて成形型10に設けられている。材料の反応時に発生するガスやキャビティ11内の空気は、第1の通気孔16及び第2の通気孔26から成形型10の外に排気される。成形型10は第1の通気孔16及び第2の通気孔26を開閉するベント装置12を備えている。
図1に成形型10として上型の一部が図示されているため、ベント装置12は上型に配置されているが、これに限られるものではない。成形型10の形状等に応じて中子にベント装置12を配置することは当然可能である。
【0019】
ベント装置12は、第1の通気孔16を貫通する第1の軸17と、第1の軸17を軸方向に往復動するアクチュエータ18と、第1の軸17に設けられた第1の弁体20と、を含む。アクチュエータ18はシリンダが例示される。アクチュエータ18による第1の軸17の往復動により、第1の弁体20は第1の通気孔16を開閉する。
【0020】
第1の通気孔16及び第2の通気孔26は、成形型10を貫通する穴13にそれぞれ配置された筒14の中に作られている。筒14は成形型10の外へ向かって延びている。筒14は、内周の大きさが全長に亘って同一である。筒14は、筒14の外周に配置された固定具15によって成形型10に固定されている。筒14の端部に配置されたアクチュエータ18は、固定具19によって筒14に固定されている。
【0021】
第1の弁体20は、第1の通気孔16の中に進入して第1の通気孔16を閉じる。第1の通気孔16を第1の弁体20が閉じたときに、第1の通気孔16と第1の弁体20との間にガスが通過できる程度の隙間ができる。第1の通気孔16を開くときは、第1の弁体20は、第1の通気孔16から出てキャビティ11の中へ進入する。
【0022】
第1の軸17には、第1の弁体20とアクチュエータ18との間に、軸17の外方に突き出た突出部21,22が設けられている。第1の弁体20及び突出部21,22は、互いに軸方向に間隔をあけて第1の軸17に配置されている。突出部21,22の軸方向の長さは、第1の弁体20の軸方向の長さよりも長い。第1の弁体20が第1の通気孔16を閉じたときに、突出部21,22は第1の通気孔16の中に位置する。突出部21,22の太さは、第1の通気孔16の差渡しよりも僅かに細い。
【0023】
第1の軸17には、第1の弁体20を挟んで、第1の軸17の反対側に突き出す第1の凸部23が設けられている。第1の凸部23は、第1の弁体20から順に第1部24及び第2部25を含み、第1の軸17と同一の直線上に延びている。第1部24は第1の弁体20と同じ太さであり、第2部25の太さは第1部24よりも細い。
【0024】
ベント装置12は、第2の通気孔26を貫通する第2の軸27と、第2の軸27に設けられた第2の弁体28と、をさらに含む。第2の軸27は、第1の軸17と平行に配置されている。アクチュエータ18は、第1の軸17の往復動と同期して、第2の軸27を軸方向に往復動する。アクチュエータ18による第2の軸27の往復動により、第2の弁体28は第2の通気孔26を開閉する。
【0025】
第2の弁体28は、第2の通気孔26の中に進入して第2の通気孔26を閉じる。第2の通気孔26を第2の弁体28が閉じたときに、第2の通気孔26と第2の弁体28との間にガスが通過できる程度の隙間ができる。第2の通気孔26を開くときは、第2の弁体28は、第2の通気孔26から出てキャビティ11の中へ進入する。
【0026】
第2の軸27には、第2の弁体28とアクチュエータ18との間に、軸27の外方に突き出た突出部29,30が設けられている。第2の弁体28及び突出部29,30は、互いに軸方向に間隔をあけて第2の軸27に配置されている。突出部29,30の軸方向の長さは、第2の弁体28の軸方向の長さよりも長い。第1の弁体20や第2の弁体28、突出部21,22,29,30の形や大きさは一例であり、これに限られるものではない。第2の弁体28が第2の通気孔26を閉じたときに、突出部29,30は第2の通気孔26の中に位置する。突出部29,30の太さは、第2の通気孔26の差渡しよりも僅かに細い。
【0027】
第2の軸27には、第2の弁体28を挟んで、第2の軸27の反対側に突き出す第2の凸部31が設けられている。第2の凸部31は、第2の弁体28から順に第1部32及び第2部33を含み、第2の軸27と同一の直線上に延びている。第1部32は第2の弁体28と同じ太さであり、第2部33の太さは第1部32よりも細い。
【0028】
第1の凸部23及び第2の凸部31に第1のインサート部品40が取り付けられる。第1のインサート部品40は、発泡体50に埋め込まれる塊状の部品である。第1のインサート部品40の材料は、発泡体50と材料が異なる発泡スチロールや発泡ポリエチレン等の弾性変形域と塑性変形域とを有する合成樹脂製の発泡体、発泡体50と同じ材料で形成された弾性体である発泡体(軟質フォーム)、繊維からなる弾性体である三次元網目構造体が例示される。三次元網目構造体は、熱融着や接着などにより繊維を固めて成形することにより得られる。発泡体50と比較した第1のインサート部品40の硬さや通気性、第1のインサート部品40の形や大きさに制限はなく、発泡体50の硬さや形、用途に応じて適宜設定される。
【0029】
第1のインサート部品40には、第1の凸部23の第2部25及び第2の凸部31の第2部33がそれぞれはまる第1の穴41,42が設けられている。第1の穴41,42は第1のインサート部品40を貫通している。本実施形態では第2部25,33、第1の穴41,42の断面の形状は全て円形であるが、これに限られるものではなく、これらの断面形状は適宜設定できる。第1の穴41,42に第2部25,33がそれぞれはまると、第1の穴41,42は塞がれる。第1の凸部23の中心と第2の凸部31の中心との間の距離Dは、第1のインサート部品40の長さLよりも短い。本実施形態では第2部25,33は第1の穴41,42からそれぞれ突き出ている。
【0030】
第1のインサート部品40は、第1の穴41と第2部25との間の締め代、及び、第1の穴42と第2部33との間の締め代によって、第1の凸部23及び第2の凸部31に取り付けられる。第1の凸部23及び第2の凸部31の2か所に取り付けられた第1のインサート部品40は、第1の凸部23や第2の凸部31を中心に回転できなくなる。第1のインサート部品40は第1の凸部23及び第2の凸部31の2か所で固定されるため安定性が増す。
【0031】
第1の凸部23の第1部24は第1の穴41より太く、第2の凸部31の第1部32は第1の穴42より太いため、第1部24,32に第1のインサート部品40が当たるまで第1の穴41,42に第2部25,33をはめると、第1の凸部23と第2の凸部31の定められた位置に第1のインサート部品40が取り付けられる。これにより成形型10に第1のインサート部品40を精度良く配置できる。第1の通気孔16を第1の弁体20が閉じ、第2の通気孔26を第2の弁体28が閉じたときは、第1のインサート部品40と成形型10との間に第1のインサート部品40と成形型10との間の距離が5mmから60mm程度の空間44ができる。空間44の距離は第1部24,32の長さによって定まる。
【0032】
本実施形態では成形型10の近くに第2のインサート部品43が配置されている。第2のインサート部品43は、成形型10に設けた固定具(図示せず)に取り付けられる。第2のインサート部品43は、発泡体50を補強する合成樹脂製や金属製のワイヤやフレームが例示される。第2のインサート部品43と成形型10との間の距離は、第1のインサート部品40と成形型10との間の距離よりも短い。第1のインサート部品40や第2のインサート部品43の他に、不織布等の裏面材(図示せず)を成形型10に取り付けて発泡体50と一体化しても良い。
【0033】
成形型10を使って発泡体50を成形するときは、
図1に示すように、成形型10に第2のインサート部品43を配置し、第1の凸部23及び第2の凸部31に第1のインサート部品40を配置する。下型(図示せず)に材料を注入し、第1の通気孔16及び第2の通気孔26の閉じ位置までベント装置12で移動後、成形型10を閉じる。キャビティ11の中で反応した材料は、膨らみながら次第に粘度が高くなりキャビティ11に充填される。材料は、第1の通気孔16と第1の弁体20との間や第2の通気孔26と第2の弁体28との間からガスを排出しながら、第1のインサート部品40と成形型10との間の空間44に進入する。空間44にガスが溜まらないようにできるため、発泡体50の形状の一部の欠損(欠肉)を低減できる。
【0034】
第1のインサート部品40を貫通する穴が、第1の穴41と第1の穴42との間に無くても、発泡体50の材料は、第1のインサート部品40を回り込んで空間44にスムーズに進入するため、インサート部品40の形状に関係なく発泡体50の欠肉を低減できる。第1のインサート部品40の形に制限はないため、第1のインサート部品40を貫通する穴を、第1の穴41と第1の穴42との間に設けても良い。
【0035】
空間44にガスが溜まらないように、第1の通気孔16と第1の弁体20との隙間や第2の通気孔26と第2の弁体28との隙間からガスが排気されるため、第1のインサート部品40と成形型10との間の距離よりも短い位置に第2のインサート部品43が配置されていても、第2のインサート部品43の周囲に生じる発泡体50の欠肉を低減できる。
【0036】
第1の通気孔16と第1の弁体20との隙間や第2の通気孔26と第2の弁体28との隙間から排気されるガスと一緒に、発泡体50の材料の一部が、第1の通気孔16や第2の通気孔26の中に侵入してバリが発生することがある。バリは第1の弁体20の周囲、第1の弁体20と突出部21との間、第2の弁体28の周囲、第2の弁体28と突出部29との間で主に硬化する。
【0037】
発泡体50を取り出すときは、
図2に示すように、成形型10を開き、第1の通気孔16と第2の通気孔26とをベント装置12で開く。第1の通気孔16と第2の通気孔26とが開くときは、突出部21,22は第1の通気孔16を通過し、突出部29,30は第2の通気孔26を通過するため、第1の通気孔16や第2の通気孔26の中のバリは成形型10の内側に現れる。従ってバリを容易に除去できる。
【0038】
発泡体50は、第1の通気孔16及び第2の通気孔26が設けられた成形型10によって表面51が作られ、下型によって表面52が作られる。発泡体50の表面51と表面52との間の距離は例えば70mm以上である。発泡体50は表面51に開口する第2の穴53,54を含む。第2の穴53は、第1の凸部23の第1部24で作られ、第2の穴54は、第2の凸部31の第1部32で作られる。発泡体50において第1の穴41,42は止まり穴である。
【0039】
第2の穴53は、第1のインサート部品40の第1の穴41と同一直線上につながっており、第2の穴54は、第1のインサート部品40の第1の穴42と同一直線上につながっている。第2の穴53の差渡しは、第1の穴41の差渡しよりも大きく、第2の穴54の差渡しは、第1の穴42の差渡しよりも大きいため、ベント装置12から発泡体50を取り外しやすい。発泡体50の表面51に開口する第2の穴53,54があるため、穴53,54の分だけ、曲げやねじれに対する発泡体50の抵抗が小さくなる。その結果、第2の穴53,54の無い発泡体に比べ、撓みやすい発泡体50が得られる。
【0040】
また、発泡体50の表面51と第1のインサート部品40との間に距離があり、第1のインサート部品40が発泡体50に埋まっているため、乗り物などのフレームに取り付けられるときに、フレームに第1のインサート部品40が直接当たらないようにできる。これにより第1のインサート部品40の破損を低減できる。
【0041】
図3を参照して第2実施の形態を説明する。第1実施形態では第1のインサート部品40を2つの凸部23,31に取り付けて固定する場合を説明した。第2実施形態では第1のインサート部品65を1つの凸部62に取り付けて固定する場合を説明する。第2実施形態において、第1実施形態で説明した部分と同一の部分は、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
【0042】
図3(a)は第2実施の形態における成形型60の断面図である。成形型60は第1の通気孔16を開閉するベント装置61を備えている。ベント装置61の第1の軸17には、第1の弁体20を挟んで、第1の軸17の反対側に突き出す第1の凸部62が設けられている。第1の凸部62は第1の軸17と同一の直線上に延びており、第1の弁体20から順に第1部24及び第2部63を含む。第2部63の太さは第1部24よりも細い。第2部63の側面には第2部63の軸方向に沿って延びる突起64が設けられている。第1のインサート部品65に設けられた、止まり穴である第1の穴66に第2部63をはめて、第1のインサート部品65は成形型60の内側に配置される。
【0043】
図3(b)は
図3(a)のIIIb-IIIb線における第1の凸部62の断面図である。第2部63は、断面が円形の棒の側面に設けられた突起64を含み、断面が円形の第1の穴66の中に配置される。突起64による第1の穴66の変形が、第1のインサート部品65の塑性変形域にあれば第1の穴66に突起64が食い込み、第1のインサート部品65の弾性変形域にあれば第1の穴66が楕円状に変形する。これにより第1の凸部62を中心とする第1のインサート部品65の落下と回転とを防止する。第2部63は断面が非円形であるため、成形型60の中の定められた位置に第1のインサート部品65を固定できる。
【0044】
図3(c)及び
図3(d)は第1の凸部62の変形例における第2部67,69の断面図である。
図3(c)に示すように第2部67は、断面が楕円形の棒の側面に設けられた突起68を含む。突起68を含む非円形の第2部67によって第1のインサート部品65の第1の穴66が変形するため、第1の凸部62を中心とする第1のインサート部品65の落下と回転とを防止できる。
【0045】
図3(d)に示すように第2部69は、断面が円形の棒の側面に設けられた複数の突起70を含む。突起70を含む非円形の第2部69によって第1のインサート部品65の第1の穴66が変形するため、第1の凸部62を中心とする第1のインサート部品65の落下と回転とを防止できる。これにより成形型60の中の定められた位置に第1のインサート部品65を固定できる。
【0046】
図4を参照して第3の実施形態を説明する。第1実施形態では第1のインサート部品40が取り付けられる2つの凸部23,31が、アクチュエータ18によって同期して移動する場合について説明した。第3実施形態では第1のインサート部品83が取り付けられる2つの凸部23,82のうち凸部23は移動するが、凸部82は固定されている場合を説明する。第3実施形態において、第1実施形態で説明した部分と同一の部分は、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
【0047】
図4は第3実施の形態における成形型80の断面図である。成形型80は、第1の通気孔16を開閉するベント装置81を備えている。ベント装置81は、第1の通気孔16を貫通する第1の軸17と、第1の軸17を軸方向に往復動するアクチュエータ18と、第1の軸17に設けられた第1の弁体20と、第1の弁体20を挟んで第1の軸17の反対側に突き出す第1の凸部23と、を含む。第1の軸17と平行に成形型80に配置された第2の凸部82が、成形型80の内側へ向かって突き出ている。第2の凸部82は成形型80に固定されている。
【0048】
第1のインサート部品83には、第1の凸部23がはまる第1の穴41と第2の凸部82がはまる第1の穴84が設けられている。第1の穴84は第2部25の太さに比べて小さいため、第1の穴84に第2部25を誤装着しないようにできる。
【0049】
第1の穴84は第2の凸部82の太さに比べて大きい。第2の凸部82は、ベント装置81が第1の通気孔16を閉じたときに、第1の凸部23に取り付けられた第1のインサート部品83の第1の穴84にはまる長さに設定されている。第1の凸部23の中心と第2の凸部82の中心との間の距離Dは、第1のインサート部品83の長さLよりも短い。ベント装置81が第1の通気孔16を閉じたときに、第1の凸部23に取り付けられた第1のインサート部品83の第1の穴84に第2の凸部82がはまるため、第1のインサート部品83は第1の凸部23を中心に回転できなくなる。従って第1のインサート部品83は成形型80に安定に固定される。
【0050】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0051】
実施形態ではインサート部品40,65,83に予め設けた穴41,42,66,84に凸部23,31,62,82をはめてインサート部品40,65,83を固定する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。穴41,42,66,84を設けることなく、凸部23,31,62,82の先端を尖らせ、定められた位置に突き刺してインサート部品40,65,83を固定することは当然可能である。凸部23,31,62,82に磁石を設けたり凸部23,31,62,82を磁石で作製したりして、インサート部品40,65,83の定められた場所に取り付けた強磁性体の部材を吸着してインサート部品40,65,83を固定しても良い。
【0052】
第1実施形態および第3実施形態では、第1の凸部と第2の凸部とを使ってインサート部品40,83を固定する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。インサート部品40,83が大きな場合や複雑な形をしている場合は、3つ以上の凸部を使ってインサート部品40,83を固定することは当然可能である。
【0053】
第2実施形態では凸部62の第2部63,67,69が、断面が円形や楕円形の棒の側面に設けられた突起64,68,70を含む場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。第2部63,67,69の断面形状を三角形や四角形などの多角形にすることは当然可能である。第2部63,67,69の断面形状と第2部63,67,69がはまる穴66の形を多角形(非円形)にすることで、凸部62を中心とするインサート部品65の回転を防止できると共に、インサート部品65の誤装着や落下を防止できる。
【0054】
実施形態では、第1部24,32が第2部25,33,63よりも太い場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。第1部24,32の太さと第2部25,33,63の太さとを同じにしたり、第2部25,33,63の先端から第1部24,32まで太さが次第に大きくなるテーパ状にしたりすることは当然可能である。
【符号の説明】
【0055】
10,60,80 成形型
16 第1の通気孔
17 第1の軸
18 アクチュエータ
20 第1の弁体
23,62 第1の凸部
26 第2の通気孔
27 第2の軸
28 第2の弁体
31 第2の凸部
40,65,83 第1のインサート部品
41,42,66,84 第1の穴
43 第2のインサート部品
50 発泡体
51 表面
53,54 第2の穴