(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025735
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】包装用フィルム及び包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 77/20 20060101AFI20250214BHJP
B65D 65/28 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
B65D77/20 S
B65D65/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130820
(22)【出願日】2023-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000134316
【氏名又は名称】株式会社トービ
(74)【代理人】
【識別番号】110003915
【氏名又は名称】弁理士法人岡田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 達也
【テーマコード(参考)】
3E067
3E086
【Fターム(参考)】
3E067AA03
3E067AB26
3E067AB81
3E067AB96
3E067BA01B
3E067BA20C
3E067BB14C
3E067BB16C
3E067CA01
3E067EB03
3E067EB11
3E067EB19
3E067EB27
3E067EE01
3E067FB01
3E067FC06
3E086AC12
3E086AC15
3E086AC33
3E086AD04
3E086AD16
3E086BA04
3E086BA15
3E086BB67
3E086CA11
3E086CA28
(57)【要約】
【課題】偽造することが困難で、真正品と不正な商品との識別を容易にすることが可能な包装用フィルム及び包装体を提供する。
【解決手段】この発明にかかる包装用フィルム1は、フィルム本体10と、フィルム本体10を切離させる切離部11と、フィルム本体の表面又は裏面、及び断面の形状の異なりとして形成された、記号列として看取可能な可読部とを備え、可読部は、切離部11の少なくとも一部として構成される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム本体と、
前記フィルム本体を切離させる切離部と、
前記フィルム本体の表面又は裏面、及び断面の形状の異なりとして形成された、記号列として看取可能な可読部とを備え、
前記可読部は、前記切離部の少なくとも一部として構成される、
包装用フィルム。
【請求項2】
前記切離部は、前記フィルム本体上に形成された単数又は複数の弱め線を有し、
前記可読部は、前記フィルム本体の前記弱め線として形成されている、
請求項1に記載の包装用フィルム。
【請求項3】
前記切離部は、
前記フィルム本体上に形成された複数の弱め線を有し、
前記可読部の前記記号列は、前記複数の弱め線に囲まれている、
請求項1に記載の包装用フィルム。
【請求項4】
前記記号列の各々の記号の寸法は、0.3mm角以上、0.5mm角以下である、
請求項2に記載の包装用フィルム。
【請求項5】
前記複数の弱め線の各々の態様と、前記可読部の前記記号列の各々の記号を描画する描線の態様とは同一である、
請求項3に記載の包装用フィルム。
【請求項6】
前記記号列は、文字列である、
請求項1に記載の包装用フィルム。
【請求項7】
前記フィルム本体は、熱収縮フィルムである、
請求項1に記載の包装用フィルム。
【請求項8】
請求項1に記載の包装用フィルムが被包装物の表面に密着して形成された、包装体。
【請求項9】
請求項2に記載の包装用フィルムが被包装物の表面に密着して形成された包装体であって、
前記記号列の各々の記号は、前記包装用フィルムが被包装物の表面に密着された状態にあって、少なくとも肉眼では確認できない程度の大きさを有する、包装体。
【請求項10】
前記被包装物は、蓋部により容器本体を閉塞する容器であり、
前記包装用フィルムが少なくとも前記蓋部に密着して形成されている、
請求項8又は9に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被包装物を包装する包装体に用いられる包装用フィルム及び包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
被包装物を包装する技術として、シュリンクフィルムを用いた技術が知られている。例として、特許文献1には、筒状に形成されて被包装物に挿入されたのち、加熱されることにより熱収縮し、この熱収縮によって被包装物に密着状態となって包装体を形成する、熱収縮性のシュリンクフィルムが開示されている。この筒状のシュリンクフィルムにおいては、包装体の開封や、被包装物からの剥離のために、軸線方向に沿って一対の弱め線が形成されている。これにより、包装体において一対の弱め線に挟まれてなる帯状の部分が切離部となり、弱め線に沿って切離部を他の部分から切り取ることにより、包装体を被包装物から分離することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
模倣品や製品の製造年月日等が改竄された商品等、真正品とは異なる商品(以下、「不正な商品」と称す)の流通を防止するため、真正品である旨を示す各種の表示をシュリンクフィルムの表面に印刷により設けることが行われている。印刷面を弱め線上に設けることにより、包装体を被包装物から分離、除去した後には当該表示は破損されるため、いったん使用された包装体と同一の表示を有する包装体を有する商品を再生産することは困難である。
【0005】
しかしながら、このような表示は、包装体のもととなるシュリンクフィルム自体を含めて容易に偽造することができるため、不正な商品と真正品とを十分に識別する効果があるとは言えなかった。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、偽造することが困難で、真正品と不正な商品との識別を容易にすることが可能な包装用フィルム及び包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る包装用フィルムは、フィルム本体と、前記フィルム本体を切離させる切離部と、前記フィルム本体の表面又は裏面、及び断面の形状の異なりとして形成された、記号列として看取可能な可読部とを備え、前記可読部は、前記切離部の少なくとも一部として構成される、包装用フィルムである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、偽造することが困難で、真正品と不正な商品との識別を容易にすることが可能になるという効果を奏する。
【0009】
この発明の上記の目的、その他の目的、特徴及び利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】この発明の第1の実施の形態に係る包装用フィルムの構成を示す外観斜視図である。
【
図2】この発明の第1の実施の形態に係る包装用フィルムの構成を示す平面図である。
【
図3】この発明の第1の実施の形態に係る包装用フィルムにより被包装物を包装してなる包装体の構成を示す外観斜視図である。
【
図4】
図3に係る線IV-IVにおける断面模式図である。
【
図5】(A)
図2における領域Rの要部拡大図であり、(B)
図5(A)に係る線V-Vにおける断面模式図である。
【
図6】この発明の第2の実施の形態に係る包装用フィルムの構成を示す外観斜視図である。
【
図7】この発明の第2の実施の形態に係る包装用フィルムの構成を示す平面図である。
【
図8】この発明の第2の実施の形態に係る包装用フィルムにより被包装物を包装してなる包装体の構成を示す外観斜視図である。
【
図9】(A)この発明の第2の実施の形態に係る包装用フィルムの可読部の構成を示す平面図であり、(B)この発明の第2の実施の形態に係る包装用フィルムの可読部の文字列の構成を示す平面図であり、(C)この発明の第2の実施の形態に係る包装用フィルムの可読部の他の例の構成を示す平面図である。
【
図10】(A)この発明の他の実施の形態に係る包装用フィルムの構成を示す平面図であり、(B)この発明の他の実施の形態に係る包装用フィルムの使用状態を示す外観斜視図である。
【
図11】(A)この発明の他の実施の形態に係る包装用フィルムの構成を示す平面図であり、(B)この発明の他の実施の形態に係る包装用フィルムの使用状態を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
A.第1の実施の形態
1.包装用フィルム及び包装体
以下、この発明の第1の実施の形態に係る包装用フィルム及び包装体の一例について説明する。
【0012】
(包装用フィルム)
図1は、この発明の第1の実施の形態に係る包装用フィルムの構成を示す外観斜視図である。
図2は、この発明の第1の実施の形態に係る包装用フィルムの構成を示す、展開図としての平面図である。
図3はこの発明の第1の実施の形態に係る包装用フィルムにより被包装物を包装してなる包装体の構成を示す外観斜視図である。
図4は、
図3に係る線IV-IVにおける断面模式図である。
【0013】
この発明の第1の実施の形態の包装用フィルム1は、円筒形状のフィルム本体10と、第1の弱め線20a及び第2の弱め線20bからなる弱め線20によりフィルム本体10の一部が区画されてなる切離部11とを備える。
【0014】
以下、
図2に示す展開図としての平面図を主に参照して説明する。フィルム本体10は、展開状態において矩形の平面形状を有し、平面視にて対向する一対の長辺である上縁端10a及び下縁端10b、並びに上縁端10a及び下縁端10bに直交する一対の短辺である左縁端10c及び右縁端10dにより囲まれた表面10F及び裏面10Bを有する。
【0015】
ここで、各図を参照して説明する際の方向を次の通り定める。フィルム本体10の一対の長辺に沿った方向(X軸方向)を左右方向又は側面方向とし、左縁端10cが位置する側を左側、右縁端10dが位置する側を右側とする。フィルム本体10の一対の短辺に沿った方向(Y軸方向)を上下方向とし、上縁端10aが位置する側を上側、下縁端10bが位置する側を下側とする。フィルム本体10の一対の長辺及び短辺の両方に直交する方向を正面方向又は裏面方向(Z軸方向)とし、表面10Fが位置する側を正面、裏面10Bが位置する側を裏面とする。なお、円筒形状のフィルム本体10において、上下方向(Y軸方向)を中心軸とした場合、周方向はX軸がなす周に対応し、半径方向はZ軸に対応する。これら各方向は、各図に記す直交座標又は円筒座標にて示し、以後の説明は適宜図中座標の表示に基づき行う。
【0016】
フィルム本体10は、たとえば、熱収縮性を有する合成樹脂のシート、若しくはそれらシート複数の積層である、熱収縮フィルムとして構成される。合成樹脂としては、OPP(二軸延伸ポリプロピレン)を用いることが好ましいが、熱収縮性を有する合成樹脂であれば、他の種類を用いてもよい。フィルム本体10の厚みは特には限定されないが、8μm以上100μm以下であることが好ましい。その他、フィルム本体10は、着色の有無、透過性の有無、表面印刷の有無等によって限定されず、これらについては任意の構成としてもよい。また、フィルム本体10は、熱収縮性を有しないフィルムでもよい。
【0017】
切離部11は、フィルム本体10の上縁端10aから上方に突出した部位であるつまみ部10Xと、フィルム本体10の下縁端10bから上方に切り欠かれた部位であって、つまみ部10Xの直下に位置する切り欠き部10Yと、つまみ部10Xの左端及び切り欠き部10Yの左端を繋ぐ第1の弱め線20a並びにつまみ部10Xの右端及び切り欠き部10Yの右端を繋ぐ第2の弱め線20bにより囲まれた帯状の領域とから構成される。
【0018】
つまみ部10Xは平面形状が台形である。切り欠き部10Yの輪郭は台形で、且つ、つまみ部10Xの平面形状に対応している。したがって、第1の弱め線20a及び第2の弱め線20bは、フィルム本体10の上縁端10a及び下縁端10bを横断する一対の平行な垂線として形成される。なお、つまみ部10Xの平面形状及び切り欠き部10Yの輪郭の形状は一例であって、矩形、円形その他任意の形状であってよい。
【0019】
第1の弱め線20a及び第2の弱め線20bの各々は、各図においては説明の便宜上破線により表示し、肉眼による観察では一条の直線又は点線として看取されるが、微視的には、一般的に用いられるレーザ装置による加工によってフィルム本体10上に形成される、このレーザ加工は、例えば、CO2レーザ装置により行われる。複数の孔部がなす列である。以下の説明では第1の弱め線20aを例とするが、第2の弱め線20bも同様の構成を有する。
【0020】
図2における領域Rの要部拡大図である
図5(A)に示すように、第1の弱め線20aは、フィルム本体10の平面視において、表面10F側からは単語21wが周期的に配列されてなる文字列21として看取される。例として、単語21wはカタカナである文字21a「ホ」、文字21b「ン」、文字21c「モ」及び文字21d「ノ」の4つの文字からなる単語「ホンモノ」、とした。なお、文字列21の文字種はひらがな、漢字、アルファベットであってもよい。又は、それらの混合であってもよい。
【0021】
また、第1の弱め線20aは、文字列21のような文字列として看取されるものとしたが、任意の記号列としてもよい。この発明において、「記号列」とは、文字、数字、記号、図形の各々及びそれらの任意の組み合わせにより表示されるものである。また、この発明において「記号」とは、「記号列」を構成する各々の文字、数字、記号、図形を意味する。すなわち、記号列には、ロゴやマークなども含む。
【0022】
文字21a~21dの一文字当たりの寸法は平均0.3mm角以上0.5mm角以下であることが好ましい。これにより、文字21a~21dは、包装用フィルム1の熱収縮の前後を問わず、少なくとも肉眼では確認できない程度の大きさとなる。その結果、第1の弱め線20aが単語21wを含む文字列21であることは、拡大鏡その他の光学機器等を介した観察により看取されることとなり、模倣がされにくい利点を有する。なお、文字列21を形成するのに必要なレーザ加工の条件の例としては、切離部11の大きさによって、適宜調整される。
【0023】
次に、
図5(A)に係る線V-Vにおける断面模式図である
図5(B)に示すように、第1の弱め線20aは、フィルム本体10の断面視において、表面10Fから裏面10Bを貫通する複数の孔部10Sがなす列として形成される。孔部10Sの開口形状は文字21a~21dの各々の平面形状に一致する。したがって、孔部10Sは、これら平面形状に応じて第1の弱め線20aの線幅W内の任意の断面で異なった形状を有する。
【0024】
換言すれば、フィルム本体10は、単語21wが周期的に配列されてなる文字列21として看取可能な可読部を有しており、可読部は、フィルム本体10の弱め線20として形成されている。この場合、可読部は、切離部11として構成される。
【0025】
切離部11においては、
図2に示すように、つまみ部10X及び切り欠き部10Yを上下に横断するように延出する芯材12が設けられる。芯材12は、フィルム本体10と同一材料又は熱収縮性を有する異種材料により構成される。芯材12は、フィルム本体10が単数のシートである場合はフィルム本体10の表面10F又は裏面10Bに貼付されることにより、又はフィルム本体10が複数のシートの積層である場合はその層間に挿入されることにより、切離部11に設けられる。芯材12は切離部11の補強材として働き、切離部11が操作される際、これが上下に破断することを妨げる。ただし、芯材12は省略してもよい。
【0026】
更に、フィルム本体10においては、上縁端10a寄りであって、つまみ部10Xより下方の位置に、左右に沿って折れ線10Lが設けられる。フィルム本体10は、折れ線10Lによって、側面部13及び端面部14に区画される。
【0027】
図2に示すシート状の包装用フィルム1は、フィルム本体10の折れ線10Lを表面10Fから裏面10Bに向かって直角に折り曲げるとともに、フィルム本体10を、上下方向を軸として巻回し、左縁端10c及び右縁端10dのいずれか一方側を他方側に重ね合わせて溶着又は接着するように加工される。
図1においては、右縁端10d側が左縁端10c側に重ね合わされるものとした。これにより、包装用フィルム1は、
図1に示すように、上縁端10aを輪郭とする上側開口OP1及び下縁端10bを輪郭とする下側開口OP2並びに上側開口OP1の周囲に形成された円環状の端面部14を有する円筒形状の外形を形成する。
【0028】
円筒形状の包装用フィルム1において、側面部13は円筒の側面に対応し、端面部14は円筒の上面に対応し、折れ線10Lは円筒の側面と上面との境界に対応する。これにより、下縁端10bにより形成される下側開口OP2に被包装物が挿入され、円環状の端面部14に係止することで、包装用フィルム1は被包装物に仮装着される。
【0029】
(被包装物及び包装体)
図3及び
図4を参照して、被包装物及び包装体について説明する。
【0030】
被包装物100は、飲料、薬品、化粧品等の液体及びその封入容器からなる物品である。ただし、被包装物100は、その種類、機能、目的等に限定されるものではない。
【0031】
被包装物100は、円柱形の本体部101と、本体部101から上方に突出した円柱形の頸部102と、頸部102を閉塞する円柱形の蓋部103とを備える。本体部101及び頸部102はこの発明の容器本体の例であり、蓋部103はこの発明の蓋部の例である。
【0032】
本体部101、頸部102及び蓋部103は同軸配置され、頸部102の外径は蓋部103の外径より小さい。これにより、被包装物100の頸部102及び蓋部103の表面は、図中Z軸方向視で凹凸を生じている。
【0033】
包装体1Sは、被包装物100を包装する部材である。包装体1Sは、円筒形状の包装用フィルム1が被包装物100の蓋部103に挿入され、仮装着された状態で熱収縮することにより頸部102及び蓋部103の形状に追従して変形し、それらの表面に密着する。これにより、包装体1Sは、頸部102及び蓋部103の外形の凹凸をそのまま拡大した形状をとりながらこれを包装している。包装体1Sに包装された被包装物100の蓋部103は、上側開口OP1を介して外部に露出する。なお、
図4においては、包装体1Sのみを断面図として示した。
【0034】
包装体1Sの開封は、つまみ部10Xをつまみ、包装体1Sから半径方向に沿って切離部11を引っ張りだし、下方へ引き下げることにより行う。これにより、切離部11は弱め線20に沿ってフィルム本体10から切離され、包装体1Sは被包装物100から分離できる。
【0035】
この発明に係る第1の実施の形態の包装用フィルム1は、フィルム本体10と、フィルム本体10を切離させる切離部11と、可読部とを備える。可読部は、フィルム本体10の弱め線20として形成され、切離部11として構成される。すなわち、包装用フィルム1は、フィルム本体10の平面視において、表面10F側からは単語21wが周期的に配列されてなる文字列21として看取可能な可読部を有しており、可読部は、フィルム本体10から切離部11を切離するための弱め線20である。そして、弱め線20は、少なくとも肉眼では確認できない程度の大きさの文字21a~21dを開口形状として有する複数の孔部10Sの連なりとして形成されている。
【0036】
これにより、肉眼による観察では弱め線20はミシン目等の従来の弱め線として看取されるため、包装用フィルム1が模造される場合でも、文字列21としての弱め線20の構成は看過され易く、偽造することが困難になっている。したがって、模造された包装用フィルム1において文字列21としての弱め線20の構成が含まれる恐れは著しく低く、真正品と模造された包装用フィルムを含む不正な商品との識別が容易となる。
【0037】
弱め線20としての文字列21は任意の語句を用いてもよいが、被包装物100に関連する語句であることが好ましい。具体的には、被包装物100が商品である場合は、商品名、製造販売者名、その他当該商品に関連した商標等を用いることができる。また、文字列21は、単語21wを周期的に配列する構成のほか、弱め線20全体で一続きの単語、文章となるような構成であってもよい。
【0038】
更に、弱め線20は、文字21a~21dの各々の平面形状に一致する開口形状を有することにより、これら平面形状に応じて、
図5(B)に示す第1の弱め線20aのように、その線幅内の任意の断面で異なった形状を有する。
【0039】
これにより、切離部11とフィルム本体10とがなす切離面は不規則なパターンとして形成され、ミシン目等の従来の弱め線の切離による規則的なパターンを有する切離面よりも外観上の特徴が顕著となる。したがって、包装用フィルム1の不正な開封といった不具合を容易に発見することができる。
【0040】
更に、文字21a~21dの一文字当たりの寸法は0.3mm角以上0.5mm角以下であることが好ましい。これにより、文字21a~21dは、包装用フィルム1の熱収縮の前後を問わず、少なくとも肉眼では確認できない程度の大きさとなり、弱め線20の構成を看過され易くして、包装用フィルム1の偽造を困難とすることができる。
【0041】
以上のように、この発明の第1の実施の形態によれば、偽造することが困難で、真正品と不正な商品との識別を容易にすることが可能となる。
【0042】
B.第2の実施の形態
1.包装用フィルム及び包装体
以下、この発明の一例として包装用フィルム及び包装体について第2の実施の形態にて説明する。
【0043】
(包装用フィルム)
図6は、この発明の第2の実施の形態に係る包装用フィルムの構成を示す外観斜視図である。
図7は、この発明の第2の実施の形態に係る包装用フィルムの構成を示す、展開図としての平面図である。
図8はこの発明の第2の実施の形態に係る包装用フィルムにより被包装物を包装してなる包装体の構成を示す外観斜視図である。ただし、
図1~5に示す第1の実施の形態と同一又は相当する構成については、同一符号を付し、共通する構成については、詳細な説明は省略する。
【0044】
この発明の第2の実施の形態の包装用フィルム2における切離部11は、フィルム本体10の上縁端10aから上方に突出した部位であるつまみ部10Xと、フィルム本体10の下縁端10bから上方に切り欠かれた部位であって、つまみ部10Xの直下に位置する切り欠き部10Yと、つまみ部10Xの左端及び切り欠き部10Yの左端を繋ぐ直線とつまみ部10Xの右端及び切り欠き部10Yの右端を繋ぐ直線に挟まれた領域とから構成される。つまみ部10Xの平面形状及び切り欠き部10Yの輪郭の形状は、第1の実施の形態と同様である。
【0045】
切離部11においては、つまみ部10Xから切り欠き部10Yまで上下方向に横断する複数の弱め線30aが設けられる。
【0046】
弱め線30aは、各図においては説明の便宜上破線又は白抜き破線により表示し、肉眼による観察では一条の直線又は点線として看取されるが、一般的に用いられるレーザ装置による加工によってフィルム本体10上に形成される微細な貫通孔がなす列である。このレーザ加工は、例えば、CO2レーザ装置により行われる。例として、貫通孔は長さ0.5mmで任意の幅の寸法を有する長円又は矩形の開口形状を有し、間隔0.5mmで等間隔に配置されることによって、ミシン目状のパターンを有する弱め線30aを形成する。ただし、貫通孔の長さの寸法、間隔、開口形状は、包装用フィルム2の用途に応じて、任意の値、任意の形状としてもよい。
【0047】
更に、切離部11においては、要部拡大図である
図9(A)に示すように、複数の弱め線30aに重なるような態様で、可読部31が設けられる。すなわち、可読部31は、切離部11の一部として構成される。可読部31は、
図7及び
図9(A)に特に示すように、切離部11内の、仮想線である図中長鎖線で示す領域に設けられた文字列である。
【0048】
可読部31は、弱め線30aと同様、ミシン目状のパターンを有する微細な貫通孔の列を描線とし、文字の並びとして看取される文字列31aにより構成される部位である。なお、文字列31aは、説明の便宜上、
図6、8においては破線により表示し、
図7、9においては白抜き破線として示した。
【0049】
例として、文字列31aは、図中に示すようにカタカナである4つの文字「ホ」「ン」「モ」「ノ」からなる一つの単語「ホンモノ」とした。なお、文字列31aの文字種はひらがな、漢字、アルファベットであってもよい。又は、それらの混合であってもよい。
図9(C)には、文字列31aが7つのアルファベット「H」「O」「N」「M」「O」「N」「O」からなる一つの単語「HONMONO」である例を示した。
【0050】
文字列31aの形成は、弱め線30aの形成と同様に、一般的に用いられるレーザ装置による加工によって行う。このレーザ加工は、例えば、CO2レーザ装置により行われる。文字列31aと弱め線30aとは、同一の工程により一括して形成してもよいし、互いに異なる工程により順を追って形成してもよい。なお、文字列31aを形成するのに必要なレーザ加工の条件の例としては、切離部11の大きさによって、適宜調整される。
【0051】
弱め線30aを構成する貫通孔と文字列31aを構成する貫通孔とは、互いに重なり合うように形成されていてもよく、互いが重なり合わず形成されていてもよい。
図7及び
図9(A)に、文字列31aを構成する貫通孔がすべて形成され、弱め線30aを構成する貫通孔の一部であって文字列31aに重なる位置となるものが形成されない状態を示した。弱め線30aを構成する貫通孔がすべて形成され、文字列31aを構成する貫通孔の一部であって弱め線30aに重なる位置となるものが形成されないものとしてもよい。
【0052】
可読部31においては、貫通孔により形成された複数の弱め線30aと、貫通孔の列を描線とする文字列31aとが混在している。その結果、文字列31aは弱め線30aに埋もれ、隠された態様にて表示される。そのため、肉眼による通常の観察では、切離部11が可読部31を含んでいることは看取されにくく、模倣がされにくい利点を有する。
【0053】
弱め線30aと文字列31aの描線とは、同一形状、同一寸法の貫通孔からなり、同一のミシン目状のパターンを有する、すなわち同一の態様を有することが好ましい。これにより、切離部11において、弱め線30aと文字列31aとの判別がより困難となる利点を有する。また、レーザ加工の条件を揃えることができる利点を有する。ただし、弱め線30aと文字列31aの描線とは、互いに異なる態様を有していてもよい。なお、
図9(A)(C)においては、図示において可読部31の表示を明確にするため、弱め線30aと文字列31aの描線とは、便宜上異なるパターンとして示した。
【0054】
切離部11においては、第1の実施の形態同様、つまみ部10X及び切り欠き部10Yを上下に横断するように延出する芯材を設けてもよい。芯材は切離部11の補強材として働き、切離部11が操作される際、これが上下に破断することを妨げる。
【0055】
(被包装物及び包装体)
被包装物100の構成は第1の実施の形態と同一であり、詳細な説明は省略する。
【0056】
包装体2Sは、被包装物100を包装する部材であり、
図8及び
図3に示すように、その構成の詳細は、第1の実施の形態1の包装体1Sと同様であり、詳細な説明は省略する。
【0057】
包装体2Sの開封は、つまみ部10Xをつまみ、包装体2Sから半径方向に沿って切離部11を引っ張りだし、下方へ引き下げることにより行う。これにより、切離部11は複数の弱め線30aの延出方向に沿ってフィルム本体10から切離され、包装体2Sは被包装物100から分離できる。
【0058】
この発明に係る第2の実施の形態の包装用フィルム2は、フィルム本体10と、フィルム本体10を切離させる切離部11と、可読部31とを備え、可読部31は、切離部11に含まれている。すなわち、包装用フィルム2は、フィルム本体10から切離される切離部11において、貫通孔により形成された複数の弱め線30aと、貫通孔の列を描線とする文字列31aとが混在しており、文字列31aは複数の弱め線30aに埋もれ、隠された態様で表示される。
【0059】
そのため、肉眼による通常の観察では、可読部31が切離部11に含まれていることは看取されにくい。これにより、包装用フィルム1が模造される場合でも可読部31の構成は看過され易く、偽造することが困難になっている。したがって、真正品と模造された包装用フィルムを含む不正な商品との識別が容易となる。
【0060】
更に、可読部31を含むことにより、切離部11における弱め線30aのパターンと可読部31の文字列31aとが混じり合い、弱め線30a及び文字列31aを構成する貫通孔のなすパターンは全体として規則性を有さない。これにより、切離部11とフィルム本体10とがなす切離面は、包装用フィルム2毎に不規則的なパターンとして形成され、ミシン目等の従来の弱め線の切離による規則的なパターンを有する切離面よりも外観上の特徴が顕著となる。したがって、包装用フィルム2の不正な開封といった不具合を容易に発見することができる。
【0061】
可読部31の文字列は、任意の語句を用いてもよいが、被包装物100に関連する語句であることが好ましい。具体的には、被包装物100が商品である場合は、商品名、製造販売者名、その他当該商品に関連した商標等を用いることができる。また、文字列は、複数の単語を周期的に配列する構成であってもよい。
【0062】
弱め線30aと文字列31aの描線とは、同一形状、同一寸法の貫通孔からなり、同一のミシン目状のパターンを有する、すなわち同一の態様を有することが好ましい。これにより、切離部11において、弱め線30aと可読部31の文字列31aとの判別がより困難となり、可読部31の構成を看過され易くして、包装用フィルム1の偽造を更に困難とすることができる。
【0063】
以上のように、この発明の第2の実施の形態によれば、偽造することが困難で、真正品と不正な商品との識別を容易にすることが可能となる。
【0064】
C.その他の実施の形態
この発明の各実施の形態に係る包装用フィルムは、熱収縮により被包装物100の表面に密着するよう変形する包装用フィルム1及び包装用フィルム2を例としたが、収縮を伴わないフィルムであってもよい。
【0065】
図10(A)は、収縮性を有さない、又は収縮性を利用せずに用いられる包装用フィルム4を示す平面図である。包装用フィルム4は、矩形の平面形状のフィルム本体40を有する。フィルム本体40は、平面視にて対向する一対の長辺である上縁端40a及び下縁端40b、並びに上縁端40a及び下縁端40bに直交する一対の短辺である左縁端40c及び右縁端40dにより囲まれた表面40F及び裏面40Bを有する。
【0066】
包装用フィルム4においては、弱め線41は、フィルム本体40の上縁端40a及び下縁端40bの各々の中央を横断する一本の垂線として形成される。弱め線41の構成は、第1の実施の形態の弱め線20の第1の弱め線20a又は第2の弱め線20bと同一なので、詳細な説明は省略する。
【0067】
同様に、
図11(A)は、収縮性を有さない、又は収縮性を利用せずに用いられる包装用フィルム5を示す平面図である。包装用フィルム5は、包装用フィルム4と同様の矩形の平面形状のフィルム本体40を有する。
【0068】
包装用フィルム5においては、切離部51は、フィルム本体40の上縁端40a及び下縁端40bの各々の中央を横断する、所定幅の一本の帯として形成される。切離部51は内側に図中長鎖線で示す領域に設けられた可読部52を含む。切離部51及び可読部52の細部の構成は、第2の実施の形態の切離部11及び可読部31と同一であり、詳細な説明は省略する。
【0069】
包装用フィルム4は、
図10(B)に示すように、開口箱状の収納容器6の開口部6Xを覆うことで収納容器6内の被包装物PIを包装している。包装用フィルム4は、弱め線41の左右両側をつまみ、引っ張ることにより、弱め線41を切離させ、開放状態とすることができる。同様に、包装用フィルム5は、
図11(B)に示すように、収納容器6の開口部6Xを覆った状態において、切離部51の左右両側をつまみ、引っ張ることにより、切離部51を切離させ、開放状態とすることができる。
【0070】
このように、この発明の包装用フィルムは、被包装物の包装に用いることができるものであれば、その性質、形状、被包装物の包装の態様等によって限定されない。
【0071】
また、この発明の各実施の形態に係る包装用フィルムにおいては、弱め線20及び弱め線41は文字列21のような文字列として看取されるものとしたが、任意の記号列であるとしてもよい。また、この発明の各実施の形態に係る包装用フィルムにおいては、可読部31及び可読部52は文字列31aのような文字列として看取されるものとしたが、任意の記号列であるとしてもよい。この発明において、「記号列」とは、文字、数字、記号、図形の各々及びそれらの任意の組み合わせにより表示されるものである。また、この発明において「記号」とは、「記号列」を構成する各々の文字、数字、記号、図形を意味する。すなわち、記号列には、ロゴやマークなども含む。
【0072】
また、この発明の第1の実施の形態に係る包装用フィルム1においては、文字列21を構成する単語21wの各々の文字21a~21dは、包装用フィルム1の熱収縮の前後を問わず、少なくとも肉眼では確認できない程度の大きさであるとしたが、フィルム本体の熱収縮の前では肉眼では確認できる程度の大きさであって、フィルム本体の熱収縮の後では肉眼では確認できない程度に縮小するものであってもよい。
【0073】
また、この発明の各実施の形態に係る包装用フィルムにおいては、弱め線20、弱め線30a及び弱め線41並びに可読部31及び可読部52は、一般的に用いられるレーザ装置による加工より、フィルム本体10の表面10Fから裏面10Bまでを貫通する複数の孔部又は貫通孔がなす列であるとしたが、弱め線は、フィルム本体の表面又は裏面、及び断面における形状の異なりであればよい。したがって、孔部又は貫通孔のほか、表面若しくは裏面又はそれら両方における凹みとして形成されていてもよい。また、一般的に用いられるレーザ装置による加工のほか、塑性加工、切削加工その他任意の周知慣用の技術的手段により形成されていてもよい。なお、このレーザ加工は、例えば、CO2レーザ装置により行われる。
【0074】
また、この発明に係る各実施の形態の包装用フィルムは、フィルム本体10と、フィルム本体10を切離させる切離部11を備え、文字列21、文字列31a等を例とする上記「記号列」として看取可能な可読部を、弱め線20及び弱め線41又は可読部31及び可読部52として有するものとしたが、この発明の可読部は、切離部に含まれていればよい。すなわち、この発明の可読部は、切離部への含まれ方の具体的な態様によって限定されない。
【0075】
なお、以上のように、この発明の実施の形態は、前記記載で開示されているが、この発明は、これに限定されるものではない。
【0076】
すなわち、この発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施の形態及び各変形例に対し、機序、形状、材質、数量、位置または配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、この発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0077】
1、2、4、5 包装用フィルム
1S、2S 包装体
6 収納容器
6X 開口部
10、40 フィルム本体
10B、40B 裏面
10F、40F 表面
10S 孔部
10X つまみ部
10Y 切り欠き部
10a、40a 上縁端
10b、40b 下縁端
10c、40c 左縁端
10d、40d 右縁端
11、51 切離部
12 芯材
13 側面部
14 端面部
20、30a、41 弱め線
20a 第1の弱め線
20b 第2の弱め線
21、31a 文字列
21w 単語
21a、21d、21c、21d 文字
31、52 可読部
100 被包装物
101 本体部
102 頸部
103 蓋部