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  • 特開-プリント配線板 図1
  • 特開-プリント配線板 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025736
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】プリント配線板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/18 20060101AFI20250214BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
H05K1/18 S
H05K1/18 J
H05K1/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130822
(22)【出願日】2023-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日吉 元気
【テーマコード(参考)】
5E336
5E338
【Fターム(参考)】
5E336AA04
5E336AA12
5E336AA16
5E336BB03
5E336BB15
5E336CC31
5E336CC53
5E336EE03
5E336GG01
5E336GG30
5E338AA03
5E338AA16
5E338BB75
5E338CC09
5E338CD11
5E338CD32
5E338EE01
5E338EE28
(57)【要約】
【課題】搬送時や使用時のヒートサイクルによるプリント配線板の絶縁層の伸縮を抑制してプリント配線板の反りを小さくし、クラックを発生しにくくすることにある。
【解決手段】プリント配線板1の表面に実装された表面実装部品2,3を有するプリント配線板であって、表面実装部品3は、プリント配線板1とともに電子回路を構成する正規の表面実装部品3aと、電子回路を構成しないダミーの表面実装部品3bとを含み、プリント配線板1はその表面に、正規の表面実装部品の非実装領域IRを有し、正規の表面実装部品の非実装領域IRには、ダミーの表面実装部品3bが実装されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線板の表面に実装された表面実装部品を有するプリント配線板であって、
前記表面実装部品は、前記プリント配線板とともに電子回路を構成する正規の表面実装部品と、前記電子回路を構成しないダミーの表面実装部品とを含み、
前記プリント配線板はその表面に、前記正規の表面実装部品の非実装領域を有し、
前記正規の表面実装部品の非実装領域には、前記ダミーの表面実装部品が実装されている。
【請求項2】
請求項1記載のプリント配線板であって、
前記正規の表面実装部品と前記ダミーの表面実装部品とは、前記プリント配線板の表面を通ってその表面を二等分する直線に関して対称に位置している。
【請求項3】
請求項1記載のプリント配線板であって、
前記ダミーの表面実装部品は、前記正規の表面実装部品と同様のものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面実装部品を有するプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
表面実装部品を有する従来のプリント配線板は、例えば特許文献1で開示されて知られている。図2は、特許文献1で開示された従来のプリント配線板を示す平面図であり、図中符号1はプリント配線板を示す。図示のように従来のプリント配線板1は、表面実装部品として半導体チップ2と複数のコンデンサ3とを有しており、半導体チップ2は、プリント配線板1の表面の中央部に実装され、コンデンサ3は、プリント配線板1の表面の周辺部に実装されている。
【0003】
この従来のプリント配線板1は、絶縁層と導体層とが交互に積層されて形成されたビルドアップ層を絶縁性のコア基板の両面に有し、それらのビルドアップ層の導体層で半導体チップ2と複数のコンデンサ3とを接続して、所定の機能を奏する電子回路を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-077729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来のプリント配線板1は、その表面の周辺部のうち、半導体チップ2の一方の側(図2では上側)の領域だけに複数のコンデンサ3を実装している。このため、プリント配線板1の搬送時や使用時のヒートサイクルによって、その表面の周辺部のうちコンデンサ3を実装していない側の領域で、一般にコンデンサ3よりも熱変形が大きい絶縁層が伸縮する。それゆえ従来のプリント配線板1は、周辺部の絶縁層の伸縮で反りと戻りを繰り返すので、クラックが発生し易いという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプリント配線板は、そのプリント配線板の表面に実装された表面実装部品を有し、
前記表面実装部品は、前記プリント配線板とともに電子回路を構成する正規の表面実装部品と、前記電子回路を構成しないダミーの表面実装部品とを含み、
前記プリント配線板はその表面に、前記正規の表面実装部品の非実装領域を有し、
前記正規の表面実装部品の非実装領域には、前記ダミーの表面実装部品が実装されている。
【0007】
なお、前記正規の表面実装部品と前記ダミーの表面実装部品とは、前記プリント配線板の表面を通ってその表面を二等分する直線に関して対称に位置していると好ましい。
【0008】
また、前記ダミーの表面実装部品は、前記正規の表面実装部品と同様のものであると好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のプリント配線板の一実施形態を示す平面図である。
図2】従来のプリント配線板を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明のプリント配線板の一実施形態を示す平面図であり、図1中、図2におけると同様の部分はそれと同一の符号にて示す。すなわち図中符号1はプリント配線板を示す。この実施形態のプリント配線板1は、絶縁層と導体層とが交互に積層されて形成されたビルドアップ層を、絶縁性のコア基板の例えば両面に有している。
【0011】
ここで、同じビルドアップ層の導体層同士は、例えば導体層間の絶縁層を貫通するビアホール導体により電気的に接続され、コア基板の両面のビルドアップ層の導体層同士は、例えばビルドアップ層間のコア基板を貫通するスルーホール導体により電気的に接続されている。
【0012】
この実施形態のプリント配線板1はまた表面実装部品として、例えばCPU(中央処理ユニット)等の半導体チップ2と、複数のコンデンサ3a,3bとを有している。この実施形態のプリント配線板1は、半導体チップ2と複数のコンデンサ3a,3bを、例えばコア基板の両面のビルドアップ層の導体層で電気的に接続して、例えば高周波信号の処理等の所定の機能を奏する電子回路を構成している。
【0013】
この実施形態のプリント配線板1では、プリント配線板1の表面の比較的広い範囲を占有する半導体チップ2は、プリント配線板1の表面の中央部に実装されている。また、各々が半導体チップ2と比べて小さい複数のコンデンサ3a,3bは、プリント配線板1の表面の周辺部に実装されている。半導体チップ2およびコンデンサ3a,3bの実装方法は、例えばプリント配線板1の表面に露出した導体パッドへの接続端子のはんだ付けでもよく、他の方法でもよい。
【0014】
この実施形態のプリント配線板1では、それら複数のコンデンサ3a,3bは、上記の電子回路を構成する正規の表面実装部品としての複数の正規のコンデンサ3aの他に、上記の電子回路を構成しない複数のダミーのコンデンサ3bも含んでいる。複数のダミーのコンデンサ3bの各々は、複数の正規のコンデンサ3aの各々と概略同一のものではあるが、上記の電子回路から切り離されていて、その電子回路の一部として機能しない。
【0015】
複数の正規のコンデンサ3aは、プリント配線板1の表面の周辺部のうち、半導体チップ2の一方の側(図1では上側)の領域である正規の表面実装部品の実装領域RRだけに実装されている。また複数のダミーのコンデンサ3bは、半導体チップ2の他方の側(図1では下側)の領域である正規の表面実装部品の非実装領域IRだけに実装されている。
【0016】
正規の表面実装部品の実装領域RRと正規の表面実装部品の非実装領域IRとは、プリント配線板1の表面を通ってその表面を二等分する直線である中心線CLに関して実質的に対称に位置している。そして複数の正規のコンデンサ3aの各々と複数のダミーのコンデンサ3bの各々とは、上記中心線CLに関して実質的に対称に位置している。
【0017】
この実施形態のプリント配線板1では、正規の表面実装部品の実装領域RRに対し中心線CLに関して実質的に対称に位置する正規の表面実装部品の非実装領域IRに、複数のダミーのコンデンサ3bが実装されている。従って、プリント配線板1の搬送時や使用時のヒートサイクルでのプリント配線板1の周辺部の絶縁層の伸縮によるプリント配線板1の反りおよび戻りが、正規の表面実装部品の非実装領域IRでも複数のダミーのコンデンサ3bによって抑制されて従来のプリント配線板1より小さくなる。それゆえ、プリント配線板1にクラックが発生しにくい。
【0018】
しかもこの実施形態のプリント配線板1では、複数の正規のコンデンサ3aの各々と複数のダミーのコンデンサ3bの各々とが、互いに実質的に同一のものであって、上記中心線CLに関して実質的に対称に位置している。従って、プリント配線板1の搬送時や使用時のヒートサイクルによるプリント配線板1の周辺部の絶縁層の伸縮によるプリント配線板1の反りおよび戻りが、複数のダミーのコンデンサ3bによって有効に抑制されて従来のプリント配線板1より小さくなる。それゆえ、プリント配線板1にクラックがより発生しにくい。
【0019】
以上、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、本発明では、例えば表面実装部品は、半導体チップ2や複数のコンデンサ3a,3bでなく他の抵抗等の電子部品でもよい。また正規の表面実装部品とダミーの表面実装部品との少なくとも一方は、複数でなく1個でもよい。
【0020】
さらに本発明では、例えばプリント配線板1は、コア基板の片面にビルドアップ層を有するプリント配線板や、コア基板を持たないコアレスビルドアップ配線板でもよく、絶縁基板の片面に1層の導体層が形成された簡易な構成のプリント配線板でもよい。
【符号の説明】
【0021】
1 プリント配線板
2 半導体チップ
3 コンデンサ
3a 正規のコンデンサ
3b ダミーのコンデンサ
CL 中心線
IR 正規の表面実装部品の非実装領域
RR 正規の表面実装部品の実装領域
図1
図2