(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002576
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】レシピ制御装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20241226BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102853
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】523233787
【氏名又は名称】株式会社アルファウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】軒口 裕志
(72)【発明者】
【氏名】山内 義美
(72)【発明者】
【氏名】橋本 勝博
(57)【要約】 (修正有)
【課題】レシピを自動的に選択できるようにするレシピ制御装置を提供する。
【解決手段】半導体製造システムにおいて、レシピ制御装置は、半導体処理部で処理されるウェハを運搬するウェハキャリアを識別するためのウェハキャリアの識別情報を取得し、ウェハキャリアの識別情報を処理制御部部に出力し、処理制御部からウェハキャリアの識別情報と関連したレシピ情報であるウェハキャリア関連レシピ情報を受信し、レシピ情報に基づいて、半導体処理部にレシピを選択させ、選択したレシピを含む画面表示情報を受信し、受信した画面表示情報を解析して、画面表示情報に含まれるレシピである表示レシピ情報を得て、ウェハキャリア関連レシピ情報と表示レシピ情報とが一致するか否か解析し、ウェハキャリア関連レシピ情報と表示レシピ情報とが一致すると判断した場合に、半導体処理部にウェハキャリア関連レシピ情報に従って、ウェハを処理するように指令を出す。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体処理装置に接続され、前記半導体処理装置のレシピを制御するためのレシピ制御装置であって、
前記半導体処理装置において処理されるウェハを運搬するウェハキャリアを識別するためのウェハキャリアの識別情報を取得するための識別情報取得部と、
前記識別情報取得部が取得した前記ウェハキャリアの識別情報を前記半導体処理装置に出力するための識別情報出力部と、
前記半導体処理装置から前記ウェハキャリアの識別情報と関連したレシピ情報であるウェハキャリア関連レシピ情報を受信するためのレシピ受信部と、
前記ウェハキャリア関連レシピ情報に基づいて、前記半導体処理装置にレシピを選択させるためのレシピ選択部と、
前記レシピを選択した前記半導体処理装置のレシピを含む画面表示情報を受信するための表示情報受信部と、
前記表示情報受信部が受信した画面表示情報を解析して、前記画面表示情報に含まれるレシピである表示レシピ情報を得るための表示情報解析部と、
前記ウェハキャリア関連レシピ情報と前記表示レシピ情報とが一致するか否か解析するためのレシピ解析部と、
前記レシピ解析部が、前記ウェハキャリア関連レシピ情報と前記表示レシピ情報とが一致すると判断した場合に、前記半導体処理装置に前記ウェハキャリア関連レシピ情報に従って、前記ウェハを処理するように指令を出す処理指令出力部と、
を有する、レシピ制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレシピ制御装置であって、
前記半導体処理装置は、
半導体処理部と、
前記半導体処理部を制御するための処理制御部と、
前記処理制御部と接続された表示部と、
ウェハキャリアの識別情報と関連して、ウェハキャリアによって運搬されるウェハを処理するためのレシピを記憶するレシピ記憶部と、を有し、
前記処理制御部、前記表示部、及び前記レシピ記憶部は、スタンドアロン型のコンピュータ又はオンプレミスサーバにより構成されるサーバに含まれる、レシピ制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載のレシピ制御装置であって、
前記ウェハキャリアの識別情報は、前記ウェハキャリアを識別するためのバーコード情報である、レシピ制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載のレシピ制御装置であって、
前記表示情報解析部は、画面表示情報を画像解析し、前記画面表示情報に含まれるレシピである表示レシピ情報を得る、レシピ制御装置。
【請求項5】
半導体処理装置に接続されたコンピュータを、前記半導体処理装置のレシピを制御するためのレシピ制御装置として機能させるためのプログラムであって、
前記レシピ制御装置は、
前記半導体処理装置において処理されるウェハを運搬するウェハキャリアを識別するためのウェハキャリアの識別情報を取得するための識別情報取得部と、
前記識別情報取得部が取得した前記ウェハキャリアの識別情報を前記半導体処理装置に出力するための識別情報出力部と、
前記半導体処理装置から前記ウェハキャリアの識別情報と関連したレシピ情報であるウェハキャリア関連レシピ情報を受信するためのレシピ受信部と、
前記ウェハキャリア関連レシピ情報に基づいて、前記半導体処理装置にレシピを選択させるためのレシピ選択部と、
前記レシピを選択した前記半導体処理装置のレシピを含む画面表示情報を受信するための表示情報受信部と、
前記表示情報受信部が受信した画面表示情報を解析して、前記画面表示情報に含まれるレシピである表示レシピ情報を得るための表示情報解析部と、
前記ウェハキャリア関連レシピ情報と前記表示レシピ情報とが一致するか否か解析するためのレシピ解析部と、
前記レシピ解析部が、前記ウェハキャリア関連レシピ情報と前記表示レシピ情報とが一致すると判断した場合に、前記半導体処理装置に前記ウェハキャリア関連レシピ情報に従って、前記ウェハを処理するように指令を出す処理指令出力部と、
を有する、プログラム。
【請求項6】
請求項5に記載されたプログラムを記憶した非一時的情報記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は半導体処理装置に接続され、半導体処理装置のレシピを制御するためのレシピ制御装置などに関する。
【背景技術】
【0002】
第2986146号公報には、半導体製造装置のレシピ運用システムが記載されている。このシステムは、複数の半導体製造装置と、半導体製造装置毎に設けられた装置コントローラと、これら装置コントローラに共通に接続され、プロセスレシピが格納されたホスト制御手段と、装置コントローラとホスト制御手段とを結ぶ伝送路とは別の伝送路により各装置コントローラに共通に接続されると共に、ホスト制御手段と直接情報の授受を行なうために専用の伝送路によりホスト制御手段に接続されたレシピ管理手段と、を備え、ホスト制御手段は、各装置コントローラにプロセスレシピを送ると共に、レシピ管理手段に対して専用の伝送路を介してレシピの書き込み、読みだし、レシピの履歴の読みだしができるように構成され、各装置コントローラは、ホスト制御手段から送られたプロセスレシピに基づいて夫々半導体製造装置を運転し、レシピ管理手段は、半導体製造装置で使用されたプロセスレシピの履歴を格納することを特徴とする半導体製造装置のレシピ運用システムである(請求項1)。
【0003】
第2986146号公報に記載された半導体製造装置では、オペレータがレシピを選択する際に(段落[0030])、レシピを誤るという問題が生ずる。これは、半導体製造装置におけるレシピが多数あるため、適切なレシピをオペレータの判断に委ねたことによる。レシピを誤って半導体を製造すると、製造された半導体を廃棄しなければならなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、通常動作ではオペレータがレシピを選択して、半導体を製造する半導体処理装置に対して、情報の授受を行うことができるように接続するだけで、レシピを自動的に選択できるようにできるレシピ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、基本的には、半導体処理装置(のキーボードなど)をハッキングして、半導体処理装置にレシピを選択させるとともに、半導体処理装置の表示部において選択されたレシピを表示するための画像データを傍受して解析し、レシピが正しことを確認するようなレシピ制御装置により、解決できるという知見に基づく。
【0007】
第1の発明は、半導体処理装置1に接続され、半導体処理装置1のレシピを制御するためのレシピ制御装置11に関する。
【0008】
半導体処理装置1は、例えば、半導体処理部3と、半導体処理部3を制御するための処理制御部5と、処理制御部5と接続された表示部7と、処理制御部5と接続されたレシピ記憶部9とを有する。レシピ記憶部9は、ウェハキャリアの識別情報と関連して、ウェハキャリアによって運搬されるウェハを処理するための要素である。処理制御部5、表示部7、及びレシピ記憶部9は、例えば、スタンドアロン型のコンピュータ又はオンプレミスサーバにより構成されるサーバに含まれる。
【0009】
レシピ制御装置11は、識別情報取得部13と、識別情報出力部15と、レシピ受信部17と、レシピ選択部19と、表示情報受信部21と、表示情報解析部23と、レシピ解析部25と、処理指令出力部27とを有する。
【0010】
識別情報取得部13は、ウェハキャリアの識別情報を取得するための要素である。ウェハキャリアの識別情報は、半導体処理装置において処理されるウェハを運搬するウェハキャリアを識別するための情報である。ウェハキャリアの識別情報の例は、ウェハキャリアを識別するためのバーコード情報である。
【0011】
識別情報出力部15は、識別情報取得部13が取得したウェハキャリアの識別情報を半導体処理装置1に出力するための要素である。
【0012】
レシピ受信部17は、半導体処理装置1からウェハキャリアの識別情報と関連したレシピ情報であるウェハキャリア関連レシピ情報を受信するための要素である。
【0013】
レシピ選択部19は、ウェハキャリア関連レシピ情報に基づいて、半導体処理装置1にレシピを選択させるための要素である。
【0014】
表示情報受信部21は、レシピを選択した半導体処理装置のレシピを含む画面表示情報を受信するための要素である。
【0015】
表示情報解析部23は、表示情報受信部21が受信した画面表示情報を解析して、画面表示情報に含まれるレシピである表示レシピ情報を得るための要素である。表示情報解析部23は、例えば、画面表示情報を画像解析し、画面表示情報に含まれるレシピである表示レシピ情報を得る。
【0016】
レシピ解析部25は、ウェハキャリア関連レシピ情報と表示レシピ情報とが一致するか否か解析するための要素である。
【0017】
処理指令出力部27は、レシピ解析部25が、ウェハキャリア関連レシピ情報と表示レシピ情報とが一致すると判断した場合に、半導体処理装置にウェハキャリア関連レシピ情報に従って、ウェハを処理するように指令を出すための要素である。
【0018】
第2の発明は、半導体処理装置に接続されたコンピュータを、上記したレシピ制御装置として機能させるためのプログラムや、そのプログラムを記憶した非一時的情報記録媒体に関する。
【発明の効果】
【0019】
この発明は、半導体を製造する半導体処理装置に対して、情報の授受を行うことができるように接続するだけで、レシピを自動的に選択できるようにするレシピ制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、半導体処理装置とレシピ制御装置を説明するためのブロック図である。
【
図2】
図2は、半導体製造システムの処理の流れを説明するための概念図である。
【
図3】
図3は、半導体処理装置の表示部に、レシピを選択した際の画像が表示された様子を示す概念図である。
【
図4】
図4は、レシピを解析する際のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は、以下に説明する形態に限定されるものではなく、以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
【0022】
第1の発明は、レシピ制御装置11に関する。レシピ制御装置11は、半導体処理装置1に接続されて、半導体処理装置1のレシピを制御するための要素である。なお、この明細書は、半導体処理装置1とレシピ制御装置11とを含む半導体製造システムをも提供する。半導体処理装置1は、例えば、特許第2986146号の半導体製造装置、特許第4880024号の半導体製造装置、及び特許第5783975号の半導体処理装置など、ウェハに対して様々な処理プロセスを施して、半導体を処理し、半導体を製造するための装置を意味する。レシピ制御装置11は、半導体処理装置において処理されるウェハを運搬するウェハキャリアを識別するためのウェハキャリアの識別情報を取得し、ウェハキャリアの識別情報を半導体処理装置に出力し、半導体処理装置からウェハキャリアの識別情報と関連したレシピ情報であるウェハキャリア関連レシピ情報を受信し、ウェハキャリア関連レシピ情報に基づいて、半導体処理装置にレシピを選択させ、レシピを選択した半導体処理装置のレシピを含む画面表示情報を受信し、表示情報受信部が受信した画面表示情報を解析して、画面表示情報に含まれるレシピである表示レシピ情報を得て、ウェハキャリア関連レシピ情報と表示レシピ情報とが一致するか否か解析し、レシピ解析部が、ウェハキャリア関連レシピ情報と表示レシピ情報とが一致すると判断した場合に、半導体処理装置にウェハキャリア関連レシピ情報に従って、ウェハを処理するように指令を出す。
【0023】
図1は、半導体処理装置とレシピ制御装置を説明するためのブロック図である。
図1に示されるように、半導体処理装置1は、例えば、半導体処理部3と、半導体処理部3を制御するための処理制御部5と、処理制御部5と接続された表示部7と、処理制御部5と接続されたレシピ記憶部9とを有する。半導体処理部3は、ウェハに対して各種処理(例えば、運搬、加熱、物質を蒸着する、エッチングする)を施すための要素である。半導体処理部3は、通常、プロセッサやメモリを有しており、各種演算を行って、具体的に半導体に対する処理を行う。処理制御部5は、通常、プロセッサやメモリを含むコンピュータなどである。処理制御部5は、ホストコンピュータとして機能する。半導体処理部3と、処理制御部5とは、通常、物理的に別の装置である。レシピ記憶部9は、ウェハキャリアの識別情報と関連して、ウェハキャリアによって運搬されるウェハを処理するためのレシピを記憶するための要素である。処理制御部5、表示部7、及びレシピ記憶部9は、例えば、スタンドアロン型のコンピュータ又はオンプレミスサーバにより構成されるサーバに含まれる。
図1に示されるように、レシピ制御装置11は、識別情報取得部13と、識別情報出力部15と、レシピ受信部17と、レシピ選択部19と、表示情報受信部21と、表示情報解析部23と、レシピ解析部25と、処理指令出力部27とを有する。レシピ制御装置は、基本的には、コンピュータやサーバにより構成される。
図1に示されるように、半導体処理装置11は、インターネットやイントラネットなどのネットワーク31を介して、情報の授受を行うことができるような状態で、半導体処理装置1と接続されている。
【0024】
コンピュータは、入力部、出力部、制御部、演算部及び記憶部を有しており、各要素は、バスなどによって接続され、情報の授受を行うことができるようにされている。例えば、記憶部には、制御プログラムが記憶されていてもよいし、各種情報が記憶されていてもよい。入力部から所定の情報が入力された場合、制御部は、記憶部に記憶される制御プログラムを読み出す。そして、制御部は、適宜記憶部に記憶された情報を読み出し、演算部へ伝える。また、制御部は、適宜入力された情報を演算部へ伝える。演算部は、受け取った各種情報を用いて演算処理を行い、記憶部に記憶する。制御部は、記憶部に記憶された演算結果を読み出して、出力部から出力する。このようにして、各種処理や各工程が実行される。この各種処理を実行するものが、各部や各手段である。コンピュータは、プロセッサを有し、プロセッサが各種機能や各種工程を実現するものであってもよい。コンピュータは、スタンドアロンであってもよい。コンピュータは、機能の一部がサーバと端末に分散されていてもよい。その場合サーバと端末とは、インターネットやイントラネットなどのネットワークにより、情報の授受を行うことができるようにされていることが好ましい。コンピュータは、プロセッサと、プロセッサに連結されたメモリと、を備えていてもよい。そして、メモリが、命令を格納しており、命令は、プロセッサによって実行されると、コンピュータに、各種工程を行わせたり、コンピュータを各種要素として機能させるものであってもよい。コンピュータは、各種教師データを与えて学習モデルを構築し、機械学習により各種演算を実現するようにしてもよい。この場合、コンピュータは、AI(人工知能)の機械学習・深層学習により作成された学習モデルを用いて各種解析や分析を実行してもよい。
【0025】
図2は、半導体製造システムの処理の流れを説明するための概念図である。
【0026】
識別情報取得部13は、ウェハキャリアの識別情報を取得する。ウェハキャリアの識別情報は、ウェハキャリアを識別するための情報である。半導体製造システムは、ウェハキャリアを用いてウェハを運搬する。ウェハキャリアを識別することで、半導体処理装置1において処理されるウェハを特定できる。キャリアウェハには、ロット番号などが、例えばバーコードで表示されている。バーコードではなく、RFタグなど、ウェハキャリアを識別できる情報がウェハキャリアに付されていてもよい。具体的に説明すると、バーコード読み取り器のバーコード読み取り位置まで、ウェハキャリアが運搬されてくる。すると、バーコード読み取り器は、ウェハキャリアに印刷されているバーコードを読み出す。レシピ制御装置11は、例えばバーコードと関連してコード情報(ウェハキャリアの識別情報)を記憶部に記憶している。このため、レシピ制御装置11は、読み出したバーコードを解析して、記憶部からコード情報(ウェハキャリアの識別情報:例ウェハキャリアのロット番号)を読み出し、記憶部に記憶する。このようにして、識別情報取得部13は、ウェハキャリアの識別情報を取得することができる。
【0027】
識別情報出力部15が、識別情報取得部13が取得したウェハキャリアの識別情報を半導体処理装置1(の処理制御部5)に出力する。レシピ制御装置11は、記憶部から、コード情報(ウェハキャリアの識別情報)を読み出して、半導体処理装置1と接続されたネットワークを利用して、半導体処理装置1にコード情報(ウェハキャリアの識別情報)を出力すればよい。この際、レシピ制御装置11は、半導体処理装置1との通信に用いられるプロトコルに関する情報を記憶部に記憶しており、そのプロトコルに従って、半導体処理装置1(の処理制御部5:ホスト制御手段)に対して、情報を送信することが好ましい。この点は、以下の説明において同様である。
【0028】
半導体処理装置1のレシピ記憶部9は、ウェハキャリアの識別情報と関連して、ウェハキャリアによって運搬されるウェハを処理するためのレシピを記憶している。半導体処理装置1(の処理制御部5)は、受け取ったウェハキャリアの識別情報を用いて、レシピ記憶部9から、その識別情報と対応したレシピを読み出し、レシピ制御装置11へと出力する。この際出力されるレシピが、ウェハキャリア関連レシピ情報(ウェハキャリアの識別情報と関連したレシピ情報)である。レシピは、識別情報のほか、搬送レシピ、生産レシピやプロセスレシピともよばれ、各種処理の条件、使用される試料やプロセス(例えば、搬送順、プロセスチャンバの種類、ガスの種類、ガスの流量、ガスの温度、熱処理温度、熱処理時間など)を含むウェハへの処理情報である。
【0029】
レシピ受信部17は、半導体処理装置1からウェハキャリア関連レシピ情報を受信する。レシピ制御装置11は、受信したウェハキャリア関連レシピ情報を記憶部に記憶してもよい。
【0030】
レシピ選択部19は、ウェハキャリア関連レシピ情報に基づいて、半導体処理装置1にレシピを選択させるための要素である。レシピ制御装置11は、半導体処理装置1(の半導体処理部3)を遠隔操作できる状態とされている。このような遠隔操作は、例えば、リモートデスクトップ(登録商標)など、様々なソフトウェアやアプリケーションを導入することにより達成できる。レシピ制御装置11は、半導体処理装置1を遠隔操作できるようにされているので、レシピ選択部19は、半導体処理装置1にレシピを選択するための命令を出力でき、そのような命令を受け取った半導体処理装置1は、命令に従って、レシピを選択する。レシピ制御装置11は、半導体処理装置1のレシピを選択させるためのプログラムを記憶しており、そのプログラムの指令に従って、半導体処理装置1を操作できる。このため、レシピ選択部19は、ウェハキャリア関連レシピ情報に基づいて、半導体処理装置1にウェハキャリア関連レシピ情報に対応したレシピを選択させる。レシピ制御装置11の好ましい態様は、半導体処理装置1(の半導体処理部3)にもともと備わっていたポインティングデバイス(例えば、キーボード及びマウスのいずれか又は両方)をハッキングするものである。つまり、この場合、レシピ選択部19は、ポインティングデバイスから出力される制御信号と同様の制御信号を半導体処理装置1に入力することで、半導体処理装置1を制御する。このようにして、レシピ制御装置11(のレシピ選択部19)は、半導体処理装置1にレシピを選択させることができる。例えば、半導体処理装置1にもともと備わっていたポインティングデバイスを、レシピ制御装置11に接続する。そして、レシピ制御装置11は、そのポインティングデバイスの入力キーと対応した制御信号を解析して、記憶部に記憶する。そして、レシピ制御装置11は、そのポインティングデバイスによる制御信号と同様の制御信号を半導体処理装置1に入力する。このようにして、レシピ制御装置11は、半導体処理装置1のポインティングデバイスをハッキングできる。なお、レシピ制御装置11は、ポインティングデバイスに共通する制御信号や一般的に用いられている制御信号を用いることで、ポインティングデバイスをハッキングしてもよい。
【0031】
ウェハキャリア関連レシピ情報に対応したレシピを選択した半導体処理装置1は、モニタなどの表示部7にレシピを選択した様子を示す画像を表示するための画面表示情報を出力する。この出力に基づいて、表示部7にレシピを選択した様子を示す画像が表示される。表示部7の例は、半導体処理部3のモニタである。
【0032】
図3は、半導体処理装置の表示部に、レシピを選択した際の画像が表示された様子を示す概念図である。レシピ選択画面やレシピの表示態様は、半導体処理装置により異なる。
図3に示される例では、レシピの識別情報(レシピID)のほか、レシピの具体的な内容(レシピの種類など)が表示されている。
図3に示される例は、一例に過ぎない。半導体処理装置1は、画面表示情報を表示部7に出力するだけではなく、又は表示部7に出力せずに、レシピ制御装置11へと出力する。これは、半導体処理装置1を遠隔操作したレシピ制御装置11が、画面表示情報をレシピ制御装置11に送らせるようにしてもよい。
【0033】
表示情報受信部21が、レシピを選択した半導体処理装置のレシピを含む画面表示情報を受信する。半導体処理装置1が画面表示情報をレシピ制御装置11に出力した後、表示情報受信部21が画面表示情報を受け取る。レシピ制御装置11は、受け取った画面表示情報を適宜記憶部に記憶してもよい。
【0034】
表示情報解析部23が、表示情報受信部21が受信した画面表示情報を解析して、画面表示情報に含まれるレシピである表示レシピ情報を得る。表示情報解析部23は、例えば、画面表示情報を画像解析し、画面表示情報に含まれるレシピである表示レシピ情報を得る。表示情報解析部23は、例えば、表示画面情報に含まれるレシピの識別情報(レシピID)やレシピの具体的な内容を、表示画面情報に含まれるタグなどの識別子をもとに解析してもよい。表示情報解析部23は、学習モデルを用いた機械学習により、表示画面情報に含まれるレシピ情報を得てもよい。レシピ制御装置11は、過去の画面表示情報と、その結果の表示レシピ情報を教師データとして、学習モデルを学習させ、精度を向上させてもよい。このようにすれば、通常であれば、半導体処理装置のモニタに表示させるための情報を傍受して、半導体処理装置が採用しようとしているレシピ情報を得ることができることとなる。このように表示情報を解析することは、半導体処理装置1のポインティングデバイスをハッキングできたか否か、チェックすることにもなる。特に、旧型の半導体処理装置1は、スタンドアロン型の装置が多く、通常、ソフトウェアを導入等することができない。そのような半導体処理装置1であっても、ポインティングデバイスをハッキングし、そのうえで、表示画面を解析すれば、ハッキングによる誤作動をチェックできることとなる。
【0035】
図4は、レシピを解析する際のフローチャートである。
図4に示されるように、レシピ解析部25は、ウェハキャリア関連レシピ情報と表示レシピ情報とが一致するか否か解析する。レシピ解析部25は、記憶部からウェハキャリア関連レシピ情報と表示レシピ情報とを読み出す。読み出すレシピ情報は、レシピの識別情報(レシピID)でもよいし、レシピの具体的内容であってもよい。レシピ解析部25は、読み出したウェハキャリア関連レシピ情報と表示レシピ情報とを比較し、これらが一致するか否か解析する。レシピ解析部25は、解析して得られた結果である解析結果(一致するか一致しないかに関する情報)を記憶部に記憶する。
【0036】
処理指令出力部27は、レシピ解析部25が、ウェハキャリア関連レシピ情報と表示レシピ情報とが一致すると判断した場合に、半導体処理装置にウェハキャリア関連レシピ情報に従って、ウェハを処理するように指令を出す。処理指令出力部27は、記憶部から解析結果を読み出す。そして、処理指令出力部27は、読み出した解析結果が、一致するというものである場合は、半導体処理装置1に対し、半導体処理装置にウェハキャリア関連レシピ情報に従って、ウェハを処理するように指令を出力する。その指令(処理開始指令)を受け取った半導体処理装置1は、レシピに従って、ウェハに対して処理を行う。半導体処理装置1を遠隔操作するレシピ処理装置11が、半導体処理装置1を遠隔操作して、レシピ情報に従って、ウェハの処理を開始してもよい。処理指令出力部27が、半導体処理装置1に対して、処理開始指令を出力した旨の情報を出力してもよい。
【0037】
一方、処理指令出力部27は、読み出した解析結果が、一致しないというものである場合は、半導体処理装置1に対し、処理を中止するように指令を出力する。その指令(処理中止指令)に従って、半導体処理装置1は、レシピに基づく処理を中止する。その後、レシピ制御装置11は、ウェハキャリアの識別情報を取得しなおすなど、レシピ制御プロセスを再度行う。
【0038】
この明細書は、半導体処理装置に接続されたコンピュータを、上記したレシピ制御装置として機能させるためのプログラムや、そのプログラムを記憶した非一時的情報記録媒体も記載する。非一時的情報記録媒体の例は、CD-ROM、DVD、ハードディスク、USBメモリ、及びSDカードである。
【産業上の利用可能性】
【0039】
この発明は、半導体の製造業において利用されうる。
【符号の説明】
【0040】
1 半導体処理装置
3 半導体処理部
5 処理制御部
7 表示部
9 レシピ記憶部
11 レシピ制御装置
13 識別情報取得部
15 識別情報出力部
17 レシピ受信部
19 レシピ選択部
21 表示情報受信部
23 表示情報解析部
25 レシピ解析部
27 処理指令出力部
31 ネットワーク