(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025760
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】支援装置、車両、プログラム、及び支援方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
G08G1/16 D
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130865
(22)【出願日】2023-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】品川 雅治
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA05
5H181AA06
5H181AA07
5H181AA25
5H181AA26
5H181BB04
5H181BB12
5H181BB13
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF27
5H181LL06
5H181LL09
5H181LL16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】車両の走行危険地点が存在する場合に適切に走行支援を行う。
【解決手段】支援装置は、車両の外部から送信される走行危険地点を示す情報を受信する受信部と、前記走行危険地点及び前記車両の現在位置に基づいて前記車両から前記走行危険地点までの距離及び方位を算出する算出部と、前記車両の進行方向前方に設定される検出範囲内で前記走行危険地点を検出する検出部と、前記検出範囲内で前記走行危険地点が検出された場合に、走行支援を行う支援制御部と、前記車両が旋回していることを検出する旋回検出部と、前記旋回検出部により前記車両が旋回していることが検出された場合に、前記車両の旋回方向へ前記検出範囲を拡大する範囲変更部とを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外部から送信される走行危険地点を示す情報を受信する受信部と、
前記走行危険地点及び前記車両の現在位置に基づいて前記車両から前記走行危険地点までの距離及び方位を算出する算出部と、
前記車両の進行方向前方に設定される検出範囲内で前記走行危険地点を検出する検出部と、
前記検出範囲内で前記走行危険地点が検出された場合に、走行支援を行う支援制御部と、
前記車両が旋回していることを検出する旋回検出部と、
前記旋回検出部により前記車両が旋回していることが検出された場合に、前記車両の旋回方向へ前記検出範囲を拡大する範囲変更部と
を備える支援装置。
【請求項2】
前記範囲変更部は、前記旋回検出部により前記車両が旋回していることが検出された場合に、前記旋回検出部により前記車両が旋回していないことが検出された場合に設定される第1検出範囲に第2検出範囲を追加することによって、前記車両の旋回方向へ前記検出範囲を拡大する
請求項1に記載の支援装置。
【請求項3】
前記範囲変更部は、前記旋回検出部により前記車両が旋回していることが検出された場合に、前記車両の旋回半径が小さいほど、前記車両の旋回方向へ前記検出範囲をより広く拡大する
請求項1又は2に記載の支援装置。
【請求項4】
前記範囲変更部は、前記旋回検出部により前記車両が旋回していることが検出された場合に、前記第2検出範囲を画定する点を前記第1検出範囲より旋回中心に近い位置に設定する
請求項2に記載の支援装置。
【請求項5】
前記範囲変更部は、前記旋回検出部により前記車両が旋回していることが検出された場合に、前記車両の旋回半径が小さいほど、前記第2検出範囲を画定する点を前記第1検出範囲より旋回中心により近い位置に設定する
請求項4に記載の支援装置。
【請求項6】
前記範囲変更部は、前記旋回検出部により前記車両が旋回していることが検出された場合に、前記車両の速度が速いほど、前記第2検出範囲を画定する点を前記車両から遠方に設定する
請求項5に記載の支援装置。
【請求項7】
前記第1検出範囲は、前記車両の走行速度が長いほど前記車両の進行方向に長く設定される
請求項6に記載の支援装置。
【請求項8】
前記旋回検出部は、ヨーレート及び車速と、ステア角と、横方向加速度と、GNSSに基づく位置情報との少なくともいずれかに基づいて、前記旋回半径を検出する
請求項3に記載の支援装置。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の支援装置を備える車両。
【請求項10】
車両の外部から送信される走行危険地点を示す情報を受信する段階と、
前記走行危険地点及び前記車両の現在位置に基づいて前記車両から前記走行危険地点までの距離及び方位を算出する段階と、
前記車両の進行方向前方に設定される検出範囲内で前記走行危険地点を検出する段階と、
前記検出範囲内で前記走行危険地点が検出された場合に、走行支援を行う段階と、
前記車両が旋回していることを検出する段階と、
前記車両が旋回していることが検出された場合に、前記車両の旋回方向へ前記検出範囲を拡大する段階と
を備える支援方法。
【請求項11】
コンピュータを、請求項1又は2に記載の支援装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支援装置、車両、プログラム、及び支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通参加者の中でも脆弱な立場にある人々にも配慮した持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する取り組みが活発化している。この実現に向けて運転支援技術に関する研究開発を通して交通の安全性や利便性をより一層改善する研究開発に注力している。特許文献1-2には、物体や他の車両を検出する範囲に関する技術が記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2015-45622号公報
[特許文献2] 特開2011-253241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、運転支援技術においては、車両の走行危険地点が存在する場合に適切に走行支援を行うことが課題となる。本願は上記課題の解決のため、車両の走行危険地点に関する支援を適切に行うことを目的としたものである。そして、延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、支援装置が提供される。支援装置は、車両の外部から送信される走行危険地点を示す情報を受信する受信部を備える。支援装置は、前記走行危険地点及び前記車両の現在位置に基づいて前記車両から前記走行危険地点までの距離及び方位を算出する算出部を備える。支援装置は、前記車両の進行方向前方に設定される検出範囲内で前記走行危険地点を検出する検出部を備える。支援装置は、前記検出範囲内で前記走行危険地点が検出された場合に、走行支援を行う支援制御部を備える。前記車両が旋回していることを検出する旋回検出部を備える。支援装置は、前記旋回検出部により前記車両が旋回していることが検出された場合に、前記車両の旋回方向へ前記検出範囲を拡大する範囲変更部を備える。
【0005】
上記支援装置において、前記範囲変更部は、前記旋回検出部により前記車両が旋回していることが検出された場合に、前記旋回検出部により前記車両が旋回していないことが検出された場合に設定される第1検出範囲に第2検出範囲を追加することによって、前記車両の旋回方向へ前記検出範囲を拡大してよい。
【0006】
上記いずれかの支援装置において、前記範囲変更部は、前記旋回検出部により前記車両が旋回していることが検出された場合に、前記車両の旋回半径が小さいほど、前記車両の旋回方向へ前記検出範囲をより広く拡大してよい。
【0007】
上記いずれかの支援装置において、前記範囲変更部は、前記旋回検出部により前記車両が旋回していることが検出された場合に、前記第2検出範囲を画定する点を前記第1検出範囲より旋回中心に近い位置に設定してよい。
【0008】
上記いずれかの支援装置において、前記範囲変更部は、前記旋回検出部により前記車両が旋回していることが検出された場合に、前記車両の旋回半径が小さいほど、前記第2検出範囲を画定する点を前記第1検出範囲より旋回中心により近い位置に設定してよい。
【0009】
上記いずれかの支援装置において、前記範囲変更部は、前記旋回検出部により前記車両が旋回していることが検出された場合に、前記車両の速度が速いほど、前記第2検出範囲を画定する点を前記車両から遠方に設定してよい。
【0010】
上記いずれかの支援装置において、前記第1検出範囲は、前記車両の走行速度が長いほど前記車両の進行方向に長く設定されてよい。
【0011】
上記いずれかの支援装置において、前記旋回検出部は、ヨーレート及び車速と、ステア角と、横方向加速度と、GNSSに基づく位置情報との少なくともいずれかに基づいて、前記旋回半径を検出してよい。
【0012】
本発明の第2の態様においては、車両が提供される。前記車両は、上記いずれかの支援装置を備える。
【0013】
本発明の第3の態様においては、方法が提供される。前記支援方法は、車両の外部から送信される走行危険地点を示す情報を受信する段階を備える。前記支援方法は、前記走行危険地点及び前記車両の現在位置に基づいて前記車両から前記走行危険地点までの距離及び方位を算出する段階を備える。前記支援方法は、前記車両の進行方向前方に設定される検出範囲内で前記走行危険地点を検出する段階を備える。前記支援方法は、前記検出範囲内で前記走行危険地点が検出された場合に、走行支援を行う段階を備える。前記支援方法は、前記車両が旋回していることを検出する段階を備える。前記支援方法は、前記車両が旋回していることが検出された場合に、前記車両の旋回方向へ前記検出範囲を拡大する段階を備える。
【0014】
本発明の第4の態様においては、プログラムが提供される。前記プログラムは、コンピュータを、上記いずれかの支援装置として機能させる。
【0015】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一実施形態に係る支援装置40の利用場面を模式的に示す。
【
図2】車両20がカーブ路72を走行している場合に設定される検出範囲120を示す。
【
図4】車両20が直進している場合に設定される第1検出範囲100を説明するための図である。
【
図5】車両20が旋回している場合に設定される検出範囲120を説明するための図である。
【
図6】支援装置40が実行する支援方法に関するフローチャートの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0018】
図1は、一実施形態に係る支援装置40の利用場面を模式的に示す。車両20は、支援装置40を備える。車両21は、支援装置41を備える。支援装置40及び支援装置41は、それぞれの車両の走行支援に関する制御を行う走行支援機能を有する。
【0019】
車両21は、車両20の進行経路の前方を走行する先行車両である。支援装置40及び支援装置41は、他車の走行上危険となり得る地点を示す走行危険地点情報を、他の車両に送信することができる。
【0020】
本実施形態では、支援装置40が、支援装置41が送信した走行危険地点情報を受信した場合に、車両20の走行支援に関する制御を行う形態を説明する。例えば、支援装置41は、車両21の減速度の大きさが予め定められた値を超えた場合に、減速度の大きさが予め定められた値を超える地点を示す走行危険地点情報を、周囲の車両に送信してよい。走行危険地点情報は、例えば緊急電子ブレーキライト(EEBL)のためのメッセージであってよい。支援装置41は、車両21がスリップしたことを検出した場合に、スリップした地点を示す走行危険地点情報を、周囲の車両に送信してよい。走行支援は、例えば、車両の走行上の障害となる物体が存在することに関する警報(例えば、前方に車両が存在する旨の警報、事故車・故障車警報(PCW)等)であってよい。走行危険地点情報は、他の車両以外のサーバから支援装置40に送信される情報であってよい。
【0021】
図1において、支援装置41は、車両21が走行中に急減速した場合に、急減速が発生した地点Qを走行危険地点情報として周囲の車両に送信する。走行危険地点情報は、例えば、急減速した地点の緯度経度情報及び速度情報を含んでよい。
【0022】
車両20は直線路70上を走行しているとする。支援装置40は、走行危険地点情報を受信すると、走行危険地点を検出する範囲である第1検出範囲100を設定する。第1検出範囲100は、車両20の現在位置Pより車両20の進行方向に沿って車両20の前方に位置する範囲である。第1検出範囲100は、例えば、矩形状の範囲である。
【0023】
支援装置40は、受信した走行危険地点情報が示す走行危険地点が第1検出範囲100内にある場合に、走行支援を行う。
図1に示されるように、第1検出範囲100内に走行危険地点である地点Qが存在するので、支援装置40は走行支援を行う。支援装置40は、走行危険地点が検出範囲内にない場合には走行支援を行わず、車両20の移動に応じて走行危険地点が検出範囲内に入った場合に、走行支援を行ってよい。
【0024】
支援装置40は、走行支援を行っている場合に、他の車両から新たな走行危険地点情報を受信したときでも、車両20が地点Qを通過するまでの間、走行支援を継続し、新たな走行危険地点を示す情報に基づく走行支援を行わないようにしてよい。
【0025】
支援装置40は、走行危険地点を検知した場合に、検知した走行危険地点を示す走行危険地点情報を車両20の外部に送信してよい。支援装置40は、走行危険地点を検知した場合には、車両20における走行支援を行わないようにしてよい。
【0026】
図2は、車両20がカーブ路72を走行している場合に設定される検出範囲120を示す。支援装置40は、車両20の走行速度及びヨーレートに基づいて、車両20が旋回していることを検出すると、第2検出範囲110を設定して、第1検出範囲100に第2検出範囲110を追加した範囲を、走行危険地点を検出する検出範囲120として設定する。第2検出範囲110は、第1検出範囲100より車両20の旋回方向側に位置する範囲である。例えば、
図2に示すように車両20が右旋回をしている場合、第2検出範囲110は第1検出範囲100より車両20の右側に位置する範囲である。
【0027】
これにより、車両20が旋回している場合、車両20が直進している場合に比べて、車両20の旋回方向に沿う方向に検出範囲を広げることができる。これにより、走行危険地点である地点Qを検出し損ねないようにすることができる。
【0028】
図3は、車両20のシステム構成を示す。車両20は、センサ29と、支援装置40と、通信装置250と、警報装置270とを備える。
【0029】
センサ29は、ヨーレートセンサ24、GNSS受信機25、及び車速センサ26等を含む。車速センサ26は、車両20の速度を検出する。ヨーレートセンサ24は、車両20のヨーレートを検出する。GNSS受信機25は、全地球航法衛星システム(GNSS)により車両20の現在位置情報を取得する。警報装置270は、例えば、HMI(Human Machine Interface)機能を備える機器である。通信装置250は、車両20の外部との通信を担う。通信装置250は、例えばPC5等の直接通信によって車々間通信を行う。通信装置250は、移動通信の基地局を通じて通信することによって他の車両との間で通信を行ってよい。通信装置250は、受信部251と、送信部252とを備える。
【0030】
支援装置40は、処理部200と、記憶部290とを備える。処理部200は、例えば、プロセッサを含む演算処理装置により実現される。記憶部290は、不揮発性の記憶媒体を備えて実現される。処理部200は、記憶部290に格納された情報を用いて処理を行う。処理部200は、CPU、ROM、RAM、I/O及びバス等を備えたマイクロコンピュータを備えるECU(Electronic Control Unit)によって実現されてよい。
【0031】
処理部200は、算出部210と、範囲変更部220と、検出部230と、支援制御部240とを備える。
【0032】
受信部251は、車両20の外部から送信される走行危険地点を示す情報を受信する。例えば、受信部251は、車両21が備える支援装置41から送信される走行危険地点情報を受信する。
【0033】
算出部210は、走行危険地点及び車両20の現在位置に基づいて車両20から走行危険地点までの距離及び方位を算出する。検出部230は、車両20の進行方向前方に設定される検出範囲内で走行危険地点を検出する。
【0034】
支援制御部240は、検出範囲内で走行危険地点が検出された場合に、走行支援を行う。例えば、支援制御部240は、警報装置270が備えるHMI機能を通じて、走行危険地点が存在することを車両20の乗員に通知する。なお、支援制御部240は、車両20の運転自体を支援してよい。支援制御部240は、車両20の走行速度の制御を支援してよい。支援制御部240は、車両20の操舵を支援してよい。
【0035】
旋回検出部222は、車両20が旋回していることを検出する。旋回検出部222は、ヨーレートセンサ24及び車速センサ26によって検出された情報に基づいて、車両20が旋回していることを検出する。範囲変更部220は、旋回検出部222により車両20が旋回していることが検出された場合に、車両20の旋回方向へ検出範囲を拡大する。
【0036】
範囲変更部220は、旋回検出部222により車両20が旋回していることが検出された場合に、旋回検出部222により車両20が旋回していないことが検出された場合に設定される第1検出範囲100に第2検出範囲110を追加することによって、車両20の旋回方向へ検出範囲を拡大する。
【0037】
範囲変更部220は、旋回検出部222により車両20が旋回していることが検出された場合に、車両20の旋回半径が小さいほど、車両20の旋回方向へ検出範囲をより広く拡大してよい。
【0038】
範囲変更部220は、旋回検出部222により車両20が旋回していることが検出された場合に、第2検出範囲110を画定する点を第1検出範囲100より旋回中心に近い位置に設定する。
【0039】
範囲変更部220は、旋回検出部222により車両20が旋回していることが検出された場合に、車両20の旋回半径が小さいほど、第2検出範囲110を画定する点を第1検出範囲100より旋回中心により近い位置に設定する。旋回検出部222は、車両20の速度及びヨーレートと、ステア角と、横方向加速度と、GNSSによる位置情報との少なくともいずれかに基づいて、旋回半径を検出してよい。
【0040】
範囲変更部220は、旋回検出部222により車両20が旋回していることが検出された場合に、車両20の速度が速いほど、第2検出範囲110を画定する点を車両20から遠方に設定する。第1検出範囲100は、車両20の走行速度が長いほど車両20の進行方向に長く設定される。
【0041】
送信部252は、車両20が走行した地点が走行上危険であることを検知した場合に、検知した走行上危険な地点を示す走行危険地点情報を、車両20の外部に送信する。例えば、送信部252は、車両20において予め定められた値を超える減速度が検出された場合に、予め定められた値を超える減速度が検出された地点を示す走行危険地点情報を、車両20の外部に送信する。送信部252は、車両20の周囲に、車両の走行上に危険がある歩行者等の物体を検出した場合に、検出した物体が存在する地点を示す走行危険地点情報を、車両20の外部に送信してよい。送信部252は、車両20のABS機能によりスリップを検出した場合に、スリップが検出された地点を示す走行危険地点情報を車両20の外部に送信してよい。
【0042】
支援制御部240は、走行支援を行っている場合に、受信部251が新たな走行危険地点を示す情報を受信したときでも、車両20が走行危険地点を通過するまでの間、走行支援を継続し、新たな走行危険地点を示す情報に基づく走行支援を抑制してよい。
【0043】
図4は、車両20が直進している場合に設定される第1検出範囲100を説明するための図である。第1検出範囲100は、点P1、点P2、点P3及び点P4により画定される矩形の範囲である。
【0044】
点P1及び点P2は、車両20の走行方向に対して車両20の現在位置Pの両側に設定される点である。点P1は、車両20の走行方向に対して現在位置Pの左側に設定される点である。点P2は、現在位置Pの右側に設定される点である。点P1と点P2は、点P1と点P2とを結ぶ線が進行方向に直交するように設定される。点P1と点P2との間の距離は、予め定められた長さに設定されてよい。点P1及び点P2は、車両20の走行車線の幅に基づいて設定されてよい。点P1と点P2との間の距離は、少なくとも車両20の走行車線の幅より長くなるように設定されてよい。
【0045】
点P3は、車両20の進行方向に点P1からL1だけ離れた位置に設定される。点P4は、車両20の進行方向に点P2からL1だけ離れた位置に設定される。L1は、車両20の速度に応じて設定される。L1は、車両20の速度が速いほど長く設定される。L1は、予め定められた減速率で車両20を減速させた場合に、車両20の速度が予め定められた速度に減速するまでに車両20が走行する距離より長く設定される。
【0046】
検出部230は、算出部210が算出した車両20から走行危険地点である地点Qまでの距離及び方位、並びに車両20の現在位置Pに基づいて、第1検出範囲100内に地点Qが含まれるか否かを判断する。支援制御部240は、検出範囲100内部に地点Qが含まれる場合に、走行支援を行う。例えば、支援制御部240は、警報装置270を通じて、地点Qに関する情報を車両20の乗員に通知する。
【0047】
図5は、車両20が旋回している場合に設定される検出範囲120を説明するための図である。旋回検出部222は、ヨーレートセンサ24で検出されたヨーレート及び車速センサ26で検出された速度に基づいて、車両20が旋回していることを検出する。
【0048】
旋回検出部222によって車両20が旋回していることが検出された場合、範囲変更部220は、点P4より旋回方向にシフトした位置に、第2検出範囲110を画定する点P5を設定する。
図5の例では、範囲変更部220は、車両20の進行方向に対して点P4より右側に点P5を設定する。
【0049】
具体的には、範囲変更部220は、ヨーレートセンサ24で検出されたヨーレート及び車速センサ26で検出された速度に基づいて、車両20が旋回する曲率半径Rを算出する。範囲変更部220は、車両20の現在位置Pを通る半径Rの円Cを設定する。範囲変更部220は、車両20の現在位置Pから円Cに沿ってL1だけ進んだ点P5'を設定する。例えば、車両20の旋回中心をOとすると、範囲変更部220は、曲率半径及びL1に基づいてP-O-P5'がなす角度θを算出することにより、点P5'を算出する。
【0050】
範囲変更部220は、点P4と点P5'とを通る直線上に点P5を設定する。範囲変更部220は、点P4と点P5との距離を予め定められた距離に設定してよい。範囲変更部220は、点P4と点P5との距離を、車両20の走行車線の幅に基づいて設定してよい。範囲変更部220は、点P4と点P5との間の距離を、少なくとも車両20の走行車線の幅より長くなるように設定してよい。範囲変更部220は、点P1、点P2、点P5、点P4、点P3で画定される多角形の範囲を、検出範囲120として設定する。
【0051】
これにより、車両20が直進している場合に比べて、車両20が旋回している場合には、検出範囲を車両20の旋回方向へ広げることができる。これにより、車両20が旋回している場合に、進行方向の先の走行危険地点である地点Qを検出し損ねないようにすることができる。
【0052】
図5に関連して説明した点P5の設定方法によれば、旋回半径Rが小さいほど角度θが大きくなるため、旋回半径Rが小さいほど、第1検出範囲100より旋回方向内側に点P5を設定することができる。つまり、旋回半径が小さいほど、第1検出範囲100より旋回中心Oに近い位置に点P5を設定することができる。このように、旋回半径Rが小さいほど、車両20の旋回方向に第2検出範囲110をより広くすることができる。このように、範囲変更部220は、車両20の旋回半径に応じて第2検出範囲110を設定することができるので、車両20が旋回している場合に、進行方向の先の走行危険地点である地点Qを検出し損ねないようにすることができる。
【0053】
図6は、支援装置40が実行する支援方法に関するフローチャートの一例を示す。本フローチャートの処理は車両20において繰り返し実行される。本フローチャートの処理は、走行危険地点情報を受信した後に実行されてよい。本フローチャートの処理は、走行危険地点情報を受信した後に、繰り返し実行されてよい。
【0054】
S602において、範囲変更部220は、車両20の速度に応じた矩形の第1検出範囲100を検出範囲として設定する。第1検出範囲100は、車両20の速度が速いほど、車両20の走行方向に沿って長く設定される。
【0055】
S604において、旋回検出部222は、車両20の旋回情報を取得する。例えば、旋回検出部222は、センサ29からヨーレート及び車速を示す情報を取得する。旋回検出部222は、車両20のステア角、横方向加速度、及びGNSSによる車両20の位置情報の時間変化を、車両20の旋回情報として取得してもよい。
【0056】
S606において、旋回検出部222は、旋回情報に基づいて車両20が旋回中であるか否かを判断する。S606において車両20が旋回中でないと判断された場合、S612において、S602で設定した検出範囲内に地点Qが存在するか否かを判断する。地点QがS602で設定した検出範囲内に存在すると判断された場合に、S614において、走行支援を行い、本フローチャートの処理を終了する。
【0057】
S606において車両20が旋回中であると判断された場合、S608において、範囲変更部220は旋回の曲率半径Rに応じて第2検出範囲110を設定する。S610において、範囲変更部220は、第1検出範囲100及び第2検出範囲110を検出範囲として設定する。続いて、S612において、S610で設定した検出範囲内に地点Qが存在するか否かを判断する。地点QがS610で設定した検出範囲内に存在すると判断された場合に、S614において、走行支援を行い、本フローチャートの処理を終了する。
【0058】
以上に説明した支援装置40によれば、車両20が旋回している場合に、走行危険地点の検出範囲を旋回方向へ広く設定することができる。そのため、走行支援をし損ねる可能性を低減しつつ、検出範囲が過剰に広くならないように設定することができる。これにより、先行車両が急減速した地点、先行車両がスリップした地点等、車両20の走行において危険となり得る地点の情報をより適切に車両20の乗員に通知することができる。
【0059】
本実施形態において、車々間通信によって走行危険地点情報を送受信するとした。しかし、走行危険地点情報を保持するサーバを更に備える形態を採用してよい。例えば、サーバは、各車両から送信された走行危険地点情報を受信すると、走行危険地点情報が示す走行危険地点を予め定められた期間保持してよい。サーバは、保持している走行危険地点を示す情報を、走行危険地点に向かって走行している車両に送信してもよい。走行危険地点を検出した他の車両から離れた位置を走行している車両は、車々間通信によって走行危険地点情報を受信できない場合があるが、走行危険地点情報を保持するサーバを設けることによって、車両に走行危険地点情報をより確実に提供することができる。
【0060】
なお、車両20は、輸送機器の一例としての車両である。車両は、内燃機関を備える自動車、電気自動車、燃料電池自動車(FCV)等の自動車であってよい。自動車は、バス、トラック、二輪自動車等を含む。車両は、鞍乗型車両等であってよく、バイクであってよい。輸送機器としては、車両の他に、無人航空機を含む航空機、船舶等の機器を含む。輸送機器は、人又は物品を輸送する任意の機器であってよい。輸送機器は移動体の一例である。移動体は、輸送機器に限らず、移動可能な任意の機器であってよい。
【0061】
図7は、本発明の複数の実施形態が全体的又は部分的に具現化され得るコンピュータ2000の例を示す。コンピュータ2000にインストールされたプログラムは、コンピュータ2000を、実施形態に係るシステム又はシステムの各部、もしくは支援装置40等の装置又は当該装置の各部として機能させる、当該システム又はシステムの各部もしくは当該装置又は当該装置の各部に関連付けられるオペレーションを実行させる、及び/又は、実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2000に、本明細書に記載の処理手順及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU2012によって実行されてよい。
【0062】
本実施形態によるコンピュータ2000は、CPU2012、及びRAM2014を含み、それらはホストコントローラ2010によって相互に接続されている。コンピュータ2000はまた、ROM2026、フラッシュメモリ2024、通信インタフェース2022、及び入力/出力チップ2040を含む。ROM2026、フラッシュメモリ2024、通信インタフェース2022、及び入力/出力チップ2040は、入力/出力コントローラ2020を介してホストコントローラ2010に接続されている。
【0063】
CPU2012は、ROM2026及びRAM2014内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。
【0064】
通信インタフェース2022は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。フラッシュメモリ2024は、コンピュータ2000内のCPU2012によって使用されるプログラム及びデータを格納する。ROM2026は、アクティブ化時にコンピュータ2000によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ2000のハードウエアに依存するプログラムを格納する。入力/出力チップ2040はまた、キーボード、マウス及びモニタ等の様々な入力/出力ユニットをシリアルポート、パラレルポート、キーボードポート、マウスポート、モニタポート、USBポート、HDMI(登録商標)ポート等の入力/出力ポートを介して、入力/出力コントローラ2020に接続してよい。
【0065】
プログラムは、CD-ROM、DVD-ROM、又はメモリカードのようなコンピュータ可読記憶媒体又はネットワークを介して提供される。RAM2014、ROM2026、又はフラッシュメモリ2024は、コンピュータ可読記憶媒体の例である。プログラムは、フラッシュメモリ2024、RAM2014、又はROM2026にインストールされ、CPU2012によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2000に読み取られ、プログラムと上記様々なタイプのハードウエアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ2000の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0066】
例えば、コンピュータ2000及び外部デバイス間で通信が実行される場合、CPU2012は、RAM2014にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース2022に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース2022は、CPU2012の制御下、RAM2014及びフラッシュメモリ2024のような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取った送信データをネットワークに送信し、ネットワークから受信された受信データを、記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0067】
また、CPU2012は、フラッシュメモリ2024等のような記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM2014に読み取られるようにし、RAM2014上のデータに対し様々な種類の処理を実行してよい。CPU2012は次に、処理されたデータを記録媒体にライトバックする。
【0068】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理にかけられてよい。CPU2012は、RAM2014から読み取られたデータに対し、本明細書に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々な種類のオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々な種類の処理を実行してよく、結果をRAM2014にライトバックする。また、CPU2012は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2012は、第1の属性の属性値が指定されている、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0069】
上で説明したプログラム又はソフトウェアモジュールは、コンピュータ2000上又はコンピュータ2000近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能である。コンピュータ可読記憶媒体に格納されたプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2000に提供してよい。
【0070】
コンピュータ2000にインストールされ、コンピュータ2000を支援装置40として機能させるプログラムは、CPU2012等に働きかけて、コンピュータ2000を、支援装置40の各部としてそれぞれ機能させてよい。これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータ2000に読込まれることにより、ソフトウェアと上述した各種のハードウエア資源とが協働した具体的手段である支援装置40の各部として機能する。そして、これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータ2000の使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の支援装置40が構築される。
【0071】
様々な実施形態が、ブロック図等を参照して説明された。ブロック図において各ブロックは、(1)オペレーションが実行されるプロセスの段階又は(2)オペレーションを実行する役割を持つ装置の各部を表わしてよい。特定の段階及び各部が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、及び/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタル及び/又はアナログハードウエア回路を含んでよく、集積回路(IC)及び/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、及び他の論理オペレーション、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウエア回路を含んでよい。
【0072】
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、処理手順又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段をもたらすべく実行され得る命令を含む製品の少なくとも一部を構成する。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0073】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0074】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ又はプログラマブル回路に対し、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、説明された処理手順又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段をもたらすべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0075】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0076】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0077】
20 車両
29 センサ
24 ヨーレートセンサ
25 GNSS受信機
26 車速センサ
40 支援装置
100 第1検出範囲
110 第2検出範囲
120 検出範囲
200 処理部
210 算出部
220 範囲変更部
222 旋回検出部
230 検出部
240 支援制御部
250 通信装置
251 受信部
252 送信部
270 警報装置
290 記憶部
2000 コンピュータ
2010 ホストコントローラ
2012 CPU
2014 RAM
2020 入力/出力コントローラ
2022 通信インタフェース
2024 フラッシュメモリ
2026 ROM
2040 入力/出力チップ