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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025767
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】乳酸菌及び皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/20 20060101AFI20250214BHJP
   A61K 8/9728 20170101ALI20250214BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
C12N1/20 A
A61K8/9728
A61Q19/00
C12N1/20 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130873
(22)【出願日】2023-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】595134504
【氏名又は名称】株式会社テクノーブル
(71)【出願人】
【識別番号】000225142
【氏名又は名称】奈良県
(72)【発明者】
【氏名】愛水 哲史
(72)【発明者】
【氏名】澤木 茂豊
(72)【発明者】
【氏名】北條 雅也
(72)【発明者】
【氏名】石川 亜希
(72)【発明者】
【氏名】木村 桐
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼崎 貞弘
【テーマコード(参考)】
4B065
4C083
【Fターム(参考)】
4B065AA30X
4B065AC20
4B065BA22
4B065CA44
4B065CA50
4C083AA031
4C083AA032
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB032
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC182
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC482
4C083AD092
4C083AD272
4C083AD302
4C083AD332
4C083AD352
4C083AD572
4C083AD642
4C083BB51
4C083CC04
4C083CC05
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD31
4C083EE12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】天然物由来の成分とその皮膚外用剤(医薬部外品又は化粧品等)での利用を提供する。
【解決手段】本発明では、ソメイヨシノの花由来の「Lactococcus lactis」(寄託番号:NBRC115206)である乳酸菌と、それらの乳酸菌由来成分を含む皮膚外用剤(医薬部外品又は化粧品)を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソメイヨシノの花由来の乳酸菌(”Lactococcus lactis”、寄託番号:NBRC115206)。
【請求項2】
請求項1に記載の乳酸菌を配合した表皮細胞賦活剤。
【請求項3】
請求項1に記載の乳酸菌を配合した皮膚外用剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に配合可能な乳酸菌又はその抽出物等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚外用剤に配合する有効成分として天然物由来の成分が研究開発されている。しかし、それらの天然物由来の成分は、皮膚外用剤の有効成分として利用する場合に、有効性や安定性だけでなく、素材の安定確保の点についても課題があった。
【0003】
従来、上記課題に鑑みて、天然物由来の成分として微生物由来成分が注目されており、例えば、乳酸菌由来成分を食品又は化粧品に有効成分とする技術が公開されている(特許文献1~6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-264811号
【特許文献2】特開2006-028047号
【特許文献3】特開2007-070305号
【特許文献4】特開2011-168520号
【特許文献5】特開2022-122490号
【特許文献6】特開2023-040559号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、本発明者らは、サクラ花由来の乳酸菌(Lactococcus lactis,寄託番号:NBRC115206)が、表皮細胞の賦活効果を有し、皮膚外用剤の有効成分として有用であることを新たに見出した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、サクラ花由来の乳酸菌(Lactococcus lactis,寄託番号:NBRC115206)及びその乳酸菌の抽出物、或いは乳酸菌抽出物の濃縮物又は乾燥粉末を有効成分とする皮膚外用剤である。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、サクラ花由来の乳酸菌(Lactococcus lactis,寄託番号:NBRC115206)及びその乳酸菌の抽出物、或いは乳酸菌抽出物の濃縮物又は乾燥粉末を有効成分とする皮膚外用剤であって、本発明によれば、有効成分である乳酸菌抽出物、或いはその濃縮物又は乾燥粉末を配合することで、表皮細胞賦活効果を発揮する皮膚外用剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明で用いる乳酸菌は、ソメイヨシノの花由来の乳酸菌(Lactococcus lactis,寄託番号:NBRC115206)である。
【0009】
乳酸菌抽出物、或いはその濃縮物又は乾燥物は、以下のようにして調製することができる。例えば、乳酸菌抽出物の製造方法は、乳酸菌を培養液で培養する方法、培養した乳酸菌を酸やアルカリで菌体成分を可溶化する加水分解法、乳酸菌菌体内にあるタンパク質分解酵素などを利用する自己消化法、タンパク質分解酵素等の酵素剤を利用する酵素法、これらを組み合わせた方法により得ることができる。
【0010】
乳酸菌を培養する際の炭素源は、特に限定はなく、炭素源としては、例えば、グルコース、フルクトース、ラクトース、ラフィノース等が挙げられる。また、炭素源に加えて、窒素源を添加することでも良く、例えば、窒素源としては、アミノ酸やペプトン等が挙げられる。
【0011】
乳酸菌の培養温度は、20℃~40℃の範囲で、好ましくは28℃~37℃の範囲である。また、pHは、3.0~8.5の範囲で、好ましくは、3.5~7.5の範囲である。
【0012】
乳酸菌抽出物の濃縮物は、乳酸菌の培養液、或いは加水分解方法、乳酸菌の自己消化法又は酵素法にて得られる液を、減圧濃縮器等で濃縮することで得ることが出来る。
【0013】
また、乳酸菌抽出物の乾燥物は、乳酸菌の培養液又はその濃縮液を、真空乾燥法、スプレードライ法などにより乾燥することで得ることができる。
【0014】
また、乳酸菌抽出物の乾燥物は、化学安定性、低吸湿性を目的として、賦形剤を加えた乾燥物としても良い。賦形剤は、澱粉、ブドウ糖、結晶セルロース、乳糖、デキストリン等の糖類、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、等の糖アルコールなどを用いることができるが、乳酸菌抽出物と混合して乾燥粉末化できるものであればいずれの物質でもよい。
【0015】
本発明に係る乳酸菌の抽出物或いはその濃縮物又は乾燥物は、皮膚外用剤(化粧料、医薬部外品、外用医薬品)に配合することができる。皮膚外用剤としては、例えば、乳液、クリーム、ローション、エッセンス、パック、口紅、ファンデーション、リクイドファンデーション、メイクアッププレスパウダー、ほほ紅、白粉、洗顔料、ボディシャンプー、頭皮,頭髪用シャンプー、頭髪用コンディショナー、育毛,養毛用のシャンプー又はトニック、石けん等の清浄用化粧料、さらには浴剤等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0016】
本発明に係る乳酸菌の抽出物或いはその濃縮物又は乾燥物の配合量は、その固形分として、基礎化粧料の場合は、0.002~5.0重量%(固形分重量%、以下同じ)の範囲、メイクアップ化粧料の場合は、0.002~5.0重量%の範囲、又清浄用化粧料の場合は、0.002~20.0重量%の範囲である。また、毛髪用化粧料の場合は、固形分量として、0.0001~10.0重量%の範囲である。
【0017】
本発明に係る乳酸菌抽出物或いはその濃縮物又は乾燥物を皮膚外用剤に利用する場合、皮膚外用剤に配合可能な成分、例えば油性成分、界面活性剤(合成系、天然物系)、乳化剤、保湿剤、増粘剤、防腐・殺菌剤、消泡剤、粉体成分、抗酸化剤、キレート剤、pH調整剤、色素、香料等を必要に応じて適宜配合することができる。また、本発明に係る乳酸菌抽出物或いはその濃縮物又は乾燥物の有効性、特長を損なわない限り、他の生理活性成分と組み合わせて配合することも何ら差し支えない。
【0018】
ここで、油性成分としては、例えばハス油、オリーブ油、ホホバ油、ヒマシ油、大豆油、米油、米糠油、米胚芽油、ヤシ油、カミツレ油、パーム油、カカオ油、メドウフォーム油、ベルガモット油、ローズヒップ油、アラビアコーヒーノキ種子油、ランベンダー油、シアーバター、ティーツリー油、アボガド油、マカデミアナッツ油、バニラ油、植物由来スクワラン等の植物由来の油脂類;ミンク油、タートル油等の動物由来の油脂類;ミツロウ、カルナウバロウ、ライスワックス、ラノリン等のロウ類;流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、スクワラン等の炭化水素類;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、エイコセン酸等の脂肪酸類;ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール類;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、イソオクタン酸セチル、2-エチルヘキシルグリセライド、高級脂肪酸オクチルドデシル(ステアリン酸オクチルドデシル等)等の合成エステル類及び合成トリグリセライド類等が挙げられる。
【0019】
また、界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤;脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン脂肪アミン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、α-スルホン化脂肪酸アルキルエステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩等のアニオン界面活性剤;第四級アンモニウム塩、第一級~第三級脂肪アミン塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、2-アルキル-1-アルキル-1-ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N,N-ジアルキルモルフォルニウム塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド塩等のカチオン界面活性剤;N,N-ジメチル-N-アルキル-N-カルボキシメチルアンモニオベタイン、N,N,N-トリアルキル-N-アルキレンアンモニオカルボキシベタイン、N-アシルアミドプロピル-N′,N′-ジメチル-N′-β-ヒドロキシプロピルアンモニオスルホベタイン等の両性界面活性剤等を使用することができる。
【0020】
また、乳化剤又は乳化助剤としては、酵素処理ステビア等のステビア誘導体、サポニン又はその誘導体、カゼイン又はその塩(ナトリウム等)、糖と蛋白質の複合体、ショ糖又はそのエステル、ラクトース、大豆由来の水溶性多糖、大豆由来蛋白質と多糖の複合体、ラノリン又はその誘導体、コレステロール、ステビア誘導体(ステビア酵素処理物等)、ケイ酸塩(アルミニウム、マグネシウム等)、炭酸塩(カルシウム、ナトリウム等)、サポニン及びその誘導体、レシチン及びその誘導体(水素添加レシチン、水酸化レシチン等)、乳酸菌醗酵米、乳酸菌醗酵発芽米、乳酸菌醗酵穀類(麦類、豆類、雑穀等)等を配合することもできる。
【0021】
また、保湿剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体液等があり、さらにトレハロース等の糖類、ムコ多糖類(例えば、ヒアルロン酸及びその誘導体、コンドロイチン及びその誘導体、ヘパリン及びその誘導体等)、チューベロース多糖体、エラスチン及びその誘導体、コラーゲン及びその誘導体、NMF関連物質、加水分解コンキオリン、加水分解シルク、スフィンゴモナス培養物、スフィンゴ糖脂質、セラミド(ヒト型セラミド、ユズセラミド等)、乳酸、尿素、高級脂肪酸オクチルドデシル、海藻抽出物、シラン根(白及)抽出物、各種アミノ酸及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0022】
また、増粘剤としては、例えば、アルギン酸、寒天、カラギーナン、フコイダン等の褐藻、緑藻又は紅藻由来成分;シラン根(白及)抽出物;ペクチン、ローカストビーンガム、アロエ多糖体、アルカリゲネス産生多糖体等の多糖類;キサンタンガム、トラガントガム、ローストビーンガム、グアーガム等のガム類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、マスチック樹脂、アクリル酸・メタクリル酸共重合体等の合成高分子類;ヒアルロン酸及びその誘導体;ポリグルタミン酸及びその誘導体等が挙げられる。
【0023】
また、防腐・殺菌剤としては、例えば、尿素;パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等のパラオキシ安息香酸エステル類;フェノキシエタノール、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、サリチル酸、エタノール、ウンデシレン酸、フェノール類、ジャマール(イミダゾデイニールウレア)、ポリリン酸、プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、各種精油類、樹皮乾留物、大根発酵液、サトウキビ等の植物由来のエタノール又は1,3-ブチレングリコール等がある。
【0024】
また、粉体成分としては、例えば、セリサイト、酸化チタン、タルク、カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、無水ケイ酸、雲母、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、シルクパウダー、セルロース系パウダー、穀類(米、麦、トウモロコシ、キビ等)のパウダー、豆類(大豆、小豆等)のパウダー等がある。
【0025】
また、紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸エチル、パラジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシル、サリチル酸アミル及びその誘導体、パラメトキシ桂皮酸2-エチルヘキシル、桂皮酸オクチル、オキシベンゾン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-ターシャリーブチル-4-メトキシベンゾイルメタン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、アロエ抽出物等がある。
【0026】
また、消泡剤とは、例えば、エタノール、イソプロパノール、ジシロキサン、ジメチルポリシクロサン、ジメチコンケイ酸シリカ、トリシロキサン、シリル化シリカ、ジメチコン、トリメチルシロキシケイ酸、DPGイソボルニルエーテル等がある。
【0027】
また、抗酸化剤としては、例えば、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、アスタキサンチン、ムラサキシキブの抽出物、シラン根の抽出物、シャクヤク抽出物、ビタミンE及びその誘導体(例えば、ビタミンEニコチネート、ビタミンEリノレート等)等がある。
【0028】
また、キレート剤としては、例えば、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム、エデト酸又はその塩類、グルコン酸、フィチン酸、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウム等がある。
【0029】
また、pH調整剤としては、例えば、クエン酸又はその塩類、乳酸又はその塩類、グリコール酸、コハク酸、塩酸、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等がある。
【0030】
また、美白剤としては、t-シクロアミノ酸誘導体、コウジ酸及びその誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、ハイドロキノン又はその誘導体、エラグ酸及びその誘導体、ニコチン酸及びその誘導体、レゾルシノール誘導体、トラネキサム酸及びその誘導体、4-メトキシサリチル酸カリウム塩、マグノリグナン(5,5'-ジプロピル-ビフェニル-2,2’-ジオール)、ヒドロキシ安息香酸及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、α-ヒドロキシ酸、AMP(アデノシンモノホスフェイト、アデノシン1リン酸)が挙げられ、これらを単独で配合しても、複数を組み合わせて配合しても良い。
【0031】
また、上記のコウジ酸誘導体としては、例えばコウジ酸モノブチレート、コウジ酸モノカプレート、コウジ酸モノパルミテート、コウジ酸ジブチレート等のコウジ酸エステル類、コウジ酸エーテル類、コウジ酸グルコシド等のコウジ酸糖誘導体等が、アスコルビン酸誘導体としては、例えばL-アスコルビン酸-2-リン酸エステルナトリウム、L-アスコルビン酸-2-リン酸エステルマグネシウム、L-アスコルビン酸-2-硫酸エステルナトリウム、L-アスコルビン酸-2-硫酸エステルマグネシウム等のアスコルビン酸エステル塩類、L-アスコルビン酸-2-グルコシド、L-アスコルビン酸-5-グルコシド、アスコルビルトコフェリルマレイン酸、アスコルビルトコフェリルリン酸K、ミリスチル3-グリセリルアスコルビン酸、カプリリル2-グリセリルアスコルビン酸等のアスコルビン酸糖誘導体、それらアスコルビン酸糖誘導体の6位アシル化物(アシル基は、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基等)、L-アスコルビン酸テトライソパルミチン酸エステル、L-アスコルビン酸テトララウリン酸エステル等のL-アスコルビン酸テトラ脂肪酸エステル類、3-O-エチルアスコルビン酸、L-アスコルビン酸-2-リン酸-6-O-パルミテートナトリウム、グリセリルアスコルビン酸又はそのアシル化誘導体、ビスグリセリルアスコルビン酸等のアスコルビン酸グルセリン誘導体、L-アスコルビン酸リン酸アミノプロピル、L-アスコルビン酸のヒアルロン酸誘導体、3-O-Dラクトース-L-アスコルビン酸、イソステアリルアスコルビルリン酸塩等が、ハイドロキノン誘導体としては、アルブチン(ハイドロキノン-β-D-グルコピラノシド)、α-アルブチン(ハイドロキノン-α-D-グルコピラノシド)等が、トラネキサム酸誘導体としては、トラネキサム酸エステル(例えば、トラネキサム酸ラウリルエステル、トラネキサム酸ヘキサデシルエステル、トラネキサム酸セチルエステル又はその塩)、トラネキサム酸のアミド体(例えば、トラネキサム酸メチルアミド)等が挙げられ、レゾルシノール誘導体としては、例えば、4-n-ブチルレゾルシノール、4-イソアミルレゾルシノール等が、2,5-ジヒドロキシ安息香酸誘導体としては、例えば2,5-ジアセトキシ安息香酸、2-アセトキシ-5-ヒドロキシ安息香酸、2-ヒドロキシ-5-プロピオニルオキシ安息香酸等が、ニコチン酸誘導体としては、例えばニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等が、α-ヒドロキシ酸としては、例えば乳酸、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、α-ヒドロキシオクタン酸等がある。
【0032】
また、生理活性成分としては、例えば、胎盤抽出液、FK706、リノール酸及びその誘導体もしくは加工物(例えばリポソーム化リノール酸等)、動物又は魚由来のコラーゲン及びその誘導体、エラスチン及びその誘導体、グリチルリチン酸及びその誘導体(ジカリウム塩等)、t-シクロアミノ酸誘導体、ビタミンA及びその誘導体、アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、γ-アミノ-β-ヒドロキシ酪酸、ゲンチアナ抽出物、甘草抽出物等がある。
【0033】
次に、製造例、試験例及び実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、以下において、部はすべて重量部を、また、%はすべて重量%を意味する。
【0034】
製造例1.乳酸菌抽出物の調製(1)
グルコール及びペプトンを含む液体培地を調製して滅菌し、その滅菌した液体培地900gに、予めGYP液体培地で培養しておいたソメイヨシノの花由来の乳酸菌(ラクトコッカス ラクティス, Lactococcus lactis NBRC115206)の前培養液18gを添加し、30℃で6日間静置培養した。この乳酸菌培養液を加熱殺菌して濾過し、749gの乳酸菌培養液を得た(固形分濃度1.10%)
【0035】
試験例1.表皮細胞賦活効果試験
ヒト表皮細胞NHEKを、HuMedia KG2培地(クラボウ社製)を入れた96穴マイクロプレートに8×103個/穴播種し、37℃,5.0%CO2の条件下に1日間プレ培養した後、製造例1の抽出物を試料溶液として(2.0%)を含むHuMedia KB2培地を添加し、同条件でさらに2日間培養した。2日間培養後上清を捨て、PBS(-)で1回洗浄後、PBS(-)で100倍希釈したhoechst33342試薬を100μL/穴添加し、37℃で1時間インキュベートし、DNAを蛍光染色した。その後、蛍光強度[励起:355nm、放射:460nm:蛍光マイクロプレートリーダー(フルオロスキャンアセント、Thermo Fisher Scientific社製))を測定し、DNA量を求めた。製造例1の試料溶液の代わりに30%の1,3-ブチレングリコールを添加した区に対しても同様の操作を行った区をコントロールとし、ここに得られた蛍光強度(DNA量)に対する各試料添加区の蛍光強度の相対値を求め、細胞増殖率(%)とした。
【0036】
試験例1の結果を表1に示す。
[表1]
【0037】
表1に示すように、本発明に係る乳酸菌抽出物は、格段にすぐれた表皮細胞賦活効果を有することを確認した。これにより、本発明に係る乳酸菌抽出物は、皮膚外用剤の有効成分として配合することで、表皮細胞を活性化し、表皮ターンオーバーを正常化することでバリア機能のしっかりとした潤いのある肌へ導く効果が示唆される。
【0038】
処方例1.化粧水
[成分] 部
ホホバ油 1.0
ポリオキシエチレン(5.5)セチルアルコール 5.0
メチルパラベン 0.1
製造例1の乳酸菌抽出物 2.0
グリセリン 5.0
1,3-ブチレングリコール 5.0
クエン酸ナトリウム 0.2
精製水 全量が100部となる量
【0039】
処方例2.化粧水
処方例1の化粧水において、製造例1の乳酸菌抽出物に代えて、製造例2の乳酸菌抽出物を配合する他は、同様の組成で調製した化粧水を得る。
【0040】
処方例3.乳液
[成分] 部
スクワラン 5.0
ヘキサラン 3.0
ホホバ油 1.0
ツバキ油 1.5
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート 1.0
親油型ステアリン酸グリセリル 1.0
水添大豆レシチン 1.5
製造例1の乳酸菌抽出物 3.0
L-アスコルビン酸-2-グルコシド 2.0
水酸化カリウム 0.5
グリセリン 3.0
1,3-ブチレングリコール 2.0
カルボキシメチルセルロース 0.3
キサンタンガム 0.2
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
精製水 全量が100部となる量
【0041】
処方例4.乳液
処方例3の乳液において、製造例1の乳酸菌抽出物に代えて、製造例2の乳酸菌抽出物を配合する他は、同様の組成で調製した乳液を得る。
【0042】
処方例5.クリーム
[成分] 部
オリーブ油 5.0
ホホバ油 5.0
スクワラン 5.0
ベヘニルアルコール 2.0
パルミチン酸 2.5
製造例1の乳酸菌抽出物 2.0
水素添加レシチン 0.5
カルボキシビニルポリマー 0.3
アルギン酸ナトリウム 0.2
海藻抽出物 2.0
メチルパラベン 0.15
エチルパラベン 0.03
精製水 全量が100部となる量
【0043】
処方例6.クリーム
処方例5のクリームにおいて、製造例1の乳酸菌抽出物に代えて、製造例2の乳酸菌抽出物を配合する他は、同様の組成で調製したクリームを得る。