(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025782
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】化粧料および化粧料用保湿促進剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20250214BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20250214BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/891
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130903
(22)【出願日】2023-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】306018376
【氏名又は名称】クラシエ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】駒場 加奈枝
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA032
4C083AA082
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB032
4C083AB442
4C083AC012
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC242
4C083AC402
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC782
4C083AD092
4C083AD112
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD492
4C083CC03
4C083DD28
4C083DD31
4C083EE12
(57)【要約】
【課題】保湿効果に優れ、肌をなめらかにする化粧料および化粧料用保湿促進剤を提供することを課題とする。
【解決手段】下記成分(A)から成分(C)を含有することを特徴とする化粧料により上記課題を解決する。
(A)ブロッコリースプラウト抽出物
(B)レモン果汁
(C)ジメチルポリシロキサンから選択される少なくとも1種の低粘度シリコーン油
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)から成分(C)を含有することを特徴とする化粧料。
(A)ブロッコリースプラウト抽出物
(B)レモン果汁
(C)直鎖状ジメチルポリシロキサンから選択される少なくとも1種の低粘度シリコーン油
【請求項2】
有効成分としてブロッコリースプラウト抽出物を含む化粧料用保湿促進剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料および化粧料用保湿促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は紫外線や加齢、生活習慣の乱れなどにより乾燥しやすくなることが知られている。皮膚の乾燥が進行すると、肌にざらつきやごわつきが生じてなめらかさを失い、さらには乾燥小じわや毛穴の開き、肌荒れなど数多のスキントラブルの原因となる。したがって、消費者は様々な保湿剤が有する特徴的な機能や使用感触を軸に、好みの商品を選定しスキンケアを行っている。
【0003】
特許文献1では、高級アルコール、シリコーン油、脂肪酸トリグリセリドに多価アルコールあるいは糖アルコールを組み合わせることで、保湿効果に優れ使用感の良好な乳化組成物が、特許文献2では、飽和脂肪アルコール、アニオン界面活性剤、ポリオール、シリコーン油を組み合わせることで、保湿効果の高い組成物が提案されている。保湿効果に特化した製剤は肌をしっとりさせるものの、過剰なしっとり感がべたつきやぬるつきに繋がることも往々にしてある。
【0004】
特許文献3では、トリメチルグリシンと特定の有機酸、ポリエチレングリコールを組み合わせることで、肌にうるおいを与え、肌をなめらかにする皮膚化粧料が提案されている。しかしながら、保湿効果に関して、みずみずしくうるおう効果は感じられるものの、しっとりとしたエモリエント効果は不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許5956138号公報
【特許文献2】特許7130867号公報
【特許文献3】特開2021-88523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、保湿効果に優れ、肌をなめらかにすることができる化粧料および化粧料用保湿促進剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため鋭意研究を行った結果、ブロッコリースプラウト抽出物と、レモン果汁と、直鎖状ジメチルポリシロキサンから選択される少なくとも1種の低粘度シリコーン油と、を含有する化粧料により上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の化粧料は、下記成分(A)から成分(C)を含有する。
(A)ブロッコリースプラウト抽出物
(B)レモン果汁
(C)直鎖状ジメチルポリシロキサンから選択される少なくとも1種の低粘度シリコーン油
【0009】
本発明の化粧料用保湿促進剤は、有効成分としてブロッコリースプラウト抽出物を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、保湿効果に優れ、肌をなめらかにすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態に係る化粧料および化粧料用保湿促進剤について詳述する。
【0012】
(化粧料)
<(A)ブロッコリースプラウト抽出物>
本実施形態に係る化粧料で用いられる成分(A)はブロッコリースプラウト抽出物である。アブラナ科アブラナ属に属するブロッコリーの発芽体であるブロッコリースプラウトは、スルフォラファンの含有量が高く、抗酸化作用や肝臓内の解毒・抗菌作用を有することが知られている。本実施形態に係る化粧料では、成分(A)が、化粧料塗布後の肌の保湿効果を高めることを見出した。
【0013】
成分(A)を具体的に例示すれば、市販品のブロッコリースプラウトエキスPC(オリザ油化株式会社)が挙げられる。
【0014】
本実施形態に係る化粧料には、成分(A)のブロッコリースプラウト抽出物が含有されていればよく、成分(A)の配合量としては、特に制限はない。成分(A)の配合量としては、化粧料の全質量に対し0.1質量%以上3.0質量%以下が好ましい。成分(A)の配合量が0.1質量%以上であれば、十分な保湿効果を得ることができる。また、成分(A)の配合量が3.0質量%以下であれば、化粧料の褐変や析出物発生などを抑制でき、さらに使用時のべたつきを抑制できる。
【0015】
<(B)レモン果汁>
本実施形態に係る化粧料で用いられる成分(B)はレモン果汁であり、レモンの果実の圧搾物であることを特徴とする。レモン果汁が含有するクエン酸は角質を柔らかくし、肌表面の不要な角質が取り除かれることによりつるつるとなめらかな肌となる。
【0016】
成分(B)を具体的に例示すれば、市販品の和ism<レモン果汁>(丸善製薬株式会社)、Hormo Fruit Lemon(エスぺリス社)などが挙げられる。
【0017】
本実施形態に係る化粧料には、成分(B)のレモン果汁が含有されていればよく、成分(B)の配合量としては、特に制限はない。成分(B)の配合量としては、化粧料の全質量に対して0.1質量%以上3.0質量%以下が好ましい。成分(B)の配合量が0.1質量%以上であれば、十分に肌のなめらかさを実感できる。また、成分(B)の配合量が3.0質量%以下であれば、化粧料の褐変や析出物発生などを抑制でき、さらに使用時のべたつきを抑制できる。
【0018】
<(C)直鎖状ジメチルポリシロキサンから選択される少なくとも1種の低粘度シリコーン油>
本実施形態に係る化粧料で用いられる成分(C)は、直鎖状ジメチルポリシロキサンから選択される少なくとも1種の低粘度シリコーン油である。本実施形態に係る化粧料は、成分(C)を配合することにより、乳化化粧料塗布後の肌がしっとりし、すべすべとなめらかな感触を得ることができる。
【0019】
ここで、「低粘度」とは、25℃における動粘度が1×10-5m2/s(10cSt)以下であることを意味する。
【0020】
成分(C)を具体的に例示すれば、市販品のKF-96A-6cs、KF-96A-10cs(信越化学工業株式会社)などが挙げられる。
【0021】
本実施形態に係る化粧料には、成分(C)の直鎖状ジメチルポリシロキサンから選択される少なくとも1種の低粘度シリコーン油が含有されていればよく、成分(C)の配合量としては、特に制限はない。成分(C)の配合量としては、化粧料の全質量に対して1.0質量%以上10.0質量%以下が好ましい。成分(C)の配合量が1.0質量%以上であれば、塗布後にしっとりし、すべすべとなめらかな感触を得ることができる。また、成分(C)の配合量が10.0質量%以下であれば、使用時のべたつきを抑制できる。
【0022】
本実施形態に係る化粧料は、さらに化粧料、医薬品などに通常使用される薬効剤、保湿成分、抗炎症剤、殺菌剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、有機および無機粉体、色素などを必要に応じて配合することができる。また、本発明の効果を損なわない範囲で固形油分、半固形油分を加えることができる。また、本実施形態に係る化粧料の形態は、乳化系、非水系のどちらでもよい。化粧料の形態としては、乳化系が好ましい。
【0023】
本実施形態に係る化粧料は、成分(A)のブロッコリースプラウト抽出物と、成分(B)のレモン果汁と、成分(C)のジメチルポリシロキサンから選択される少なくとも1種の低粘度シリコーン油と、を含有することで、保湿効果に優れ、肌をなめらかにすることができる。
【0024】
<化粧料用保湿促進剤>
本実施形態に係る化粧料用保湿促進剤は、有効成分としてブロッコリースプラウト抽出物を含む。化粧料用保湿促進剤に含まれるブロッコリースプラウト抽出物の説明は上述の通りである。
【0025】
本実施形態に係る化粧料用保湿促進剤は、ブロッコリースプラウト抽出物を有効成分として含むことで、塗布後の肌のしっとり感が高く、十分な保湿効果を実感でき、肌の乾燥を防ぐことができる。
【実施例0026】
次に実施例を挙げて本発明を説明するが、それに先立ち評価方法を示す。なお、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0027】
<保湿効果、べたつきのなさ、肌のなめらかさの評価試験(官能評価)>
10名の専門パネルに実施例・比較例に記載の化粧料を使用してもらい、塗布後の「保湿効果」、「肌のなめらかさ」、「べたつきのなさ」について下記評価基準に基づいてそれぞれ評価した。
【0028】
(評価基準)保湿効果
5点:肌のしっとり感が高く、十分な保湿効果を実感できた。
4点:肌のしっとり感があり、保湿効果を実感できた。
3点:肌のしっとり感がややあり、保湿効果をやや実感できた。
2点:肌のしっとり感があまりなく、保湿効果をあまり実感できなかった。
1点:肌のしっとり感が低く、保湿効果を実感できなかった。
【0029】
(評価基準)肌のなめらかさ
5点:肌のざらつきやごわつきがなく、十分な肌のなめらかさを実感できた。
4点:肌のざらつきやごわつきがあまりなく、肌のなめらかさを実感できた。
3点:肌のざらつきやごわつきが少なく、肌のなめらかさをやや実感できた。
2点:肌のざらつきやごわつきがややあり、肌のなめらかさをあまり実感できなかった。
1点:肌のざらつきやごわつきがあり、肌のなめらかさを実感できなかった。
【0030】
順番入れ替え
(評価基準)べたつきのなさ
5点:肌のべたつきがない。
4点:肌のべたつきがあまりない。
3点:肌のべたつきがわずかにある。
2点:肌のべたつきがややある。
1点:肌のべたつきがある。
【0031】
表1に示す各成分を混合して実施例1~15、比較例1~4の化粧料を作製した。結果を表1に示す。なお、表1中、各実施例および比較例に含まれる各成分の配合量の単位は質量%である。また、表1中、各評価の値は、10名の専門パネルによる評価値の平均を示している。
【0032】
【0033】
表1より明らかなように、本発明の成分を用いた実施例1~15の組成物は、いずれも優れた性能を示していた。一方、比較例1~4では、保湿効果、べたつきのなさ、肌のなめらかさのいずれかの特性が劣っており、本発明の目的を達成できなかった。
【0034】
以下、本発明化粧料のその他の処方例を実施例として挙げる。なお、これらの実施例についても、上記の各項目を検討したところ、いずれの実施例においても、優れた特性を有しており良好であった。
【0035】
実施例16(ボディミルク)
(質量%)
(1)ジメチコン 6.5
(2)ミネラルオイル 4.0
(3)トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル 4.0
(4)セテアリルアルコール 3.0
(5)ステアリン酸グリセリル 2.5
(6)ステアリン酸PEG-2 2.0
(7)ミツロウ 1.0
(8)コレステロール 0.5
(9)アボカド油 0.1
(10)ホホバ種子油 0.1
(11)DPG 5.0
(12)グリセリン 1.0
(13)カルボマー 0.1
(14)水酸化K 0.03
(15)セチル硫酸Na 1.0
(16)カロット液汁 0.1
(17)ブロッコリー芽エキス 0.1
(18)レモン果汁 0.1
(19)乳酸桿菌/ブドウ果汁発酵液 0.1
(20)メチルパラベン 0.1
(21)精製水 残 余
【0036】
(製法)(1)~(10)を加熱混合溶解し、そこにあらかじめ加熱混合溶解した(11)~(21)を混合乳化後冷却し、ボディミルクを調製した。
【0037】
実施例17(ボディクリーム)
(質量%)
(1)ミネラルオイル 18.0
(2)ベヘニルアルコール 3.0
(3)ステアリン酸 2.5
(4)ステアリン酸グリセリル 2.0
(5)イソステアリン酸ソルビタン 0.5
(6)コレステロール 0.2
(7)ジメチコン 0.2
(8)ジステアルジモニウムヘクトライト 0.1
(9)アボカド油 0.1
(10)ホホバ種子油 0.1
(11)シア脂 0.1
(12)アストロカリウムムルムル種子脂 0.1
(13)グリセリン 5.0
(14)ソルビトール 4.0
(15)DPG 4.0
(16)カルボマー 0.1
(17)カロット液汁 0.1
(18)ブロッコリー芽エキス 0.1
(19)レモン果汁 0.1
(20)オレンジ果汁 0.1
(21)メチルパラベン 0.1
(22)精製水 残 余
【0038】
(製法)(1)~(12)を加熱混合溶解し、そこにあらかじめ加熱混合溶解した(13)~(22)を混合乳化後冷却し、ボディクリームを調製した。