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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025827
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】衣類処理システム
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/38 20200101AFI20250214BHJP
   D06F 58/46 20200101ALI20250214BHJP
【FI】
D06F58/38
D06F58/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130980
(22)【出願日】2023-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】川口 弘暁
(72)【発明者】
【氏名】堀田 浩平
(72)【発明者】
【氏名】堀田 宗佑
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA02
3B167AA04
3B167AB23
3B167AB24
3B167AB30
3B167AB32
3B167AE03
3B167AE04
3B167AE05
3B167AE07
3B167AE12
3B167BA43
3B167BA47
3B167HA16
3B167HA32
3B167JA41
3B167KA02
3B167KA51
3B167KA84
3B167KB16
3B167LC02
3B167LC19
3B167LC20
3B167LD12
3B167LE02
3B167LF06
3B167LF30
3B167LG05
3B167LG08
3B167LG11
3B167MA03
3B167MA13
(57)【要約】
【課題】衣類処理機の運転をより省エネルギーにすることができる衣類処理システムを提供する。
【解決手段】衣類処理システムは、衣類処理部と、決定手段と、制御手段とを備える。前記衣類処理部は、衣類を乾燥させる乾燥運転工程を含む衣類処理を実施する。前記決定手段は、前記衣類処理部の運転時間に応じて前記乾燥運転工程の乾燥制御を決定する。前記制御手段は、前記決定された乾燥制御による前記乾燥運転工程を前記衣類処理部によって実施させる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類を乾燥させる乾燥運転工程を含む衣類処理を実施する衣類処理部と、
前記衣類処理部の運転時間に応じて前記乾燥運転工程の乾燥制御を決定する決定手段と、
前記決定された乾燥制御による前記乾燥運転工程を前記衣類処理部によって実施させる制御手段と、
を備える衣類処理システム。
【請求項2】
前記衣類処理部を含む衣類処理装置の使用者が指定する運転時間の中に洗濯運転工程と前記乾燥運転工程とが含まれていて、前記運転時間に応じて前記乾燥運転工程の乾燥制御を決定する
請求項1に記載の衣類処理システム。
【請求項3】
前記衣類処理装置の使用者の前記運転時間に基づいて前記乾燥運転工程の乾燥制御を決定する
請求項2に記載の衣類処理システム。
【請求項4】
前記決定手段は、
前記衣類処理部の運転時間を、前記衣類処理装置の使用者の過去の洗濯終了後に行われた衣類取り出し時間に基づいて決定する
請求項2に記載の衣類処理システム。
【請求項5】
前記衣類処理装置の運転開始時に予め設定された前記乾燥運転工程に係る第1乾燥設定値とは異なる第2乾燥設定値を、前記衣類処理装置の使用者の前記運転時間の分析結果に基づいて設定する手段
を備えた請求項3に記載の衣類処理システム。
【請求項6】
前記第2乾燥設定値に基づいた乾燥運転工程は、前記第1乾燥設定値に基づいた乾燥運転工程に比べて省エネルギーになる
請求項5に記載の衣類処理システム。
【請求項7】
前記衣類処理装置の使用者が所望する前記運転時間を取得する手段を備え、
前記取得された運転時間に基づいて前記衣類処理装置の運転を実行する
請求項4に記載の衣類処理システム。
【請求項8】
前記衣類処理装置の使用者が所望する運転終了時間を入力する手段を備え、
前記衣類処理装置は前記入力された運転終了時間を含む前記運転時間に基づいて運転を実行する
請求項4に記載の衣類処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
衣類処理機を用いて衣類を処理する衣類処理システムがある。ところで、衣類処理機の運転をより省エネルギーにすることが期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-84468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、衣類処理機の運転をより省エネルギーにすることができる衣類処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の衣類処理システムは、衣類処理部と、決定手段と、制御手段とを備える。前記衣類処理部は、衣類を乾燥させる乾燥運転工程を含む衣類処理を実施する。前記決定手段は、前記衣類処理部の運転時間に応じて前記乾燥運転工程の乾燥制御を決定する。前記制御手段は、前記決定された乾燥制御による前記乾燥運転工程を前記衣類処理部によって実施させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の衣類処理システムの全体構成を示す図。
図2】第1実施形態の衣類処理機を示す断面図。
図3A】第1実施形態の操作パネルの第1表示画面を説明するための図。
図3B】第1実施形態の操作パネルの第2表示画面を説明するための図。
図4】第1実施形態の制御装置の機能構成を示すブロック図。
図5】第1実施形態のサーバの機能構成を示すブロック図。
図6】第1実施形態の特定のユーザUの生活リズムと洗濯機の稼働状況を説明するための図。
図7】第1実施形態の実施形態の衣類処理に関するフローチャート。
図8】第1実施形態のユーザUの生活パターンを解析する処理を説明するための図。
図9】第1実施形態ののユーザUの生活パターンの解析する処理に関するフローチャート。
図10A】第2実施形態の衣類処理を実行する時間帯を説明するための図。
図10B】第2実施形態の衣類処理を実行する時間帯を説明するための図。
図11】第2実施形態の運転終了時刻の入力手段の例を説明するための図。
図12図3Bの操作パネルの第2表示画面の変形例を説明するための図。
図13】第3実施形態の実施形態の端末装置300の機能構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態のプログラム、コンピュータシステム及び衣類処理機を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含み得る。「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含み得る。「XXまたはYY」とは、XXとYYのうちいずれか一方の場合に限定されず、XXとYYの両方の場合も含み得る。これは選択的要素が3つ以上の場合も同様である。「XX」および「YY」は、任意の要素(例えば任意の情報)である。本出願で「取得」とは、送信要求を送信して能動的に取得する場合に限定されず、他の装置から送信される情報を受動的に受信することで取得する場合も含み得る。以下では、説明の便宜上、操作部を「ボタン」と称する場合がある。
【0008】
(第1実施形態)
第1実施形態として、衣類処理機100の運転内容を設定または選択するユーザU(使用者)の操作が衣類処理機100により受け付けられることにより、衣類処理機100を制御する衣類処理システム1について説明する。
【0009】
<1.衣類処理システム>
図1は、第1実施形態の衣類処理システム1の全体構成を示す図である。衣類処理システム1は、例えば、衣類処理機100、サーバ200、および端末装置300の家電管理アプリAPPを含む。なお、衣類処理システム1は、サーバ200を含まず、衣類処理機100単独で、または衣類処理機100と端末装置300の家電管理アプリAPPとの組み合わせにより実現されてもよい。これについては、後述する。また、衣類処理システム1は、サーバ200のみで実現されてもよく、サーバ200と端末装置300の家電管理アプリAPPとにより実現されてもよい。衣類処理システム1は、「コンピュータシステム」の一例である。
【0010】
衣類処理機100は、主として家庭で使用される電気機器である。「衣類処理機」とは、衣類に対して何らかの処理(例えば、洗濯、乾燥、しわ取り、折り目の強化、脱臭、花粉除去、埃除去、または除菌などのうち1つ以上の処理)を行う装置を広く意味する。衣類処理機100は、例えば乾燥処理を行う洗濯機であるが、クローゼット型クリーニング機なども該当する。衣類処理機100は、ユーザUの住居内に設置され、ユーザUの住居内に設置される無線ルータWRおよびモデムMを介してネットワークNWと接続される。衣類処理機100は、ネットワークNWを介して、サーバ200または端末装置300と通信可能である。ネットワークNWは、例えば、インターネット、セルラー網、Wi-Fi網、LPWA(Low Power Wide Area)、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、またはその他の公衆回線や専用回線などを状況に応じて利用すればよい。
【0011】
サーバ200は、衣類処理機100を管理する管理サーバである。サーバ200は、1つまたは複数のサーバ装置(例えばクラウドサーバ)により構成される。サーバ200は、「サーバシステム」と称されてもよい。サーバ200は、ネットワークNWを介して、衣類処理機100または端末装置300と通信可能である。サーバ200は、ネットワークNW中のルータに含まれる情報処理部など、エッジコンピューティングやフォグコンピューティングを行う情報処理部を含んでもよい。サーバ200は、クラウドサーバに限定されず、ユーザUの住居にあるコンピュータでもよく、家庭内ルータ(例えば無線ルータWR)などでもよい。
【0012】
端末装置300は、ユーザUが使用する端末装置である。端末装置300は、例えば、スマートフォンまたはタブレット端末装置のような携帯端末装置である。ただし、端末装置300は、携帯端末装置に限定されず、パーソナルコンピュータなどでもよい。端末装置300は、例えば、表示装置301と、入力装置302と、通信部303とを有する。表示装置301は、種々の情報を表示可能な表示画面301aを有する。入力装置302は、ユーザUの入力を受け付け可能である。入力装置302は、例えば表示装置301の表示画面301aと重ねて設けられたタッチパネルである。入力装置302は、端末装置300に設けられたカメラやマイクなどを含み得る。通信部303は、無線通信可能な通信モジュールである。通信部303は、無線ルータWRおよびモデムMを介してまたは直接にネットワークNWと接続される。通信部303は、ネットワークNWを介して、衣類処理機100またはサーバ200と通信可能である。モデムMは、ネットワークNWに対し電気信号または光信号を送信し、ネットワークNWから電気信号または光信号を受信する。
【0013】
端末装置300には、アプリケーションプログラムPがインストールされ、以下に説明する機能がサポートされる。アプリケーションプログラムPは、例えば、衣類処理機100を管理するためのアプリケーションプログラムである。本実施形態では、アプリケーションプログラムPが実行されることで起動されるアプリケーションソフトウェアを「家電管理アプリAPP」と称する。端末装置300は、「コンピュータ」の一例である。アプリケーションプログラムPは、「プログラム」の一例である。
【0014】
<2.衣類処理機>
次に、ドラム式の洗濯機を例として取り上げて、衣類処理機100について説明する。なお以下の説明は、本出願の「衣類処理機」または「洗濯機」の範囲を限定するものではない。衣類処理機は、ドラム式の洗濯機に限定されず、縦型式の洗濯機でもよい。また、衣類処理機は、乾燥機能を有した洗濯機でもよいし、乾燥機でもよい。
【0015】
図2は、衣類処理機100を示す断面図である。衣類処理機100は、例えば、筐体(外箱)111、操作パネル112、洗濯機構120、乾燥機構130、通信部140、および制御装置150を含む。洗濯機構120と乾燥機構130は、衣類処理部の一例である。
【0016】
筐体111は、衣類処理機100の外郭を形成する部材である。筐体111は、扉を備える箱型に形成されている。筐体111には、扉が開かれた状態を検出するための扉センサが設けられている。
【0017】
操作パネル112は、衣類処理機100に対するユーザUの操作が行われるパネルである。操作パネル112は、例えば筐体111の上面の前端部に設けられている。
例えば、操作パネル112は、表示装置と、入力装置とを含んでもよい。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ装置または有機EL(Electro Luminescence)装置であり、表示画面を有する。入力装置は、例えば、表示画面に重ねて設けられたタッチパネルである。操作パネル112の詳細については、後述する。
【0018】
洗濯機構120は、例えば、水槽121、ドラム(回転槽)122、モータ123、給水装置124、および衣類処理剤の自動投入装置125を含む。水槽121は、筐体111内に設けられ、不図示のサスペンションを介して弾性的に支持されている。ドラム122は、水槽121内に回転可能に設けられている。モータ123は、水槽121の後方に設けられ、回転軸を介してドラム122に接続されている。モータ123は、回転軸を介してドラム122を回転駆動する。給水装置124は、水槽121の上方に設けられている。
【0019】
乾燥機構130は、例えば、循環風路131、ヒートポンプ132、および送風機133を含む。循環風路131は、水槽121とヒートポンプ132とを接続し、水槽121とヒートポンプ132との間で乾燥風を循環させる。ヒートポンプ132は、循環風路131に設けられた加熱装置である。ヒートポンプ132は、循環風路を通る乾燥風を加熱する。送風機133は、循環風路131に設けられて、循環風路131を通じて水槽121とヒートポンプ132との間で乾燥風を循環させる。上記のヒートポンプ132は、例えば電動機により駆動されて冷媒を吐出するコンプレッサー132Cと、一対の熱交換器と、冷媒の流量を制限する絞りと、冷媒を循環させる管路とを備える。
なお、衣類処理機100は、ヒートポンプ132に代えて、乾燥風を加熱するヒータを有してもよい。
【0020】
通信部140は、例えば無線通信が可能な通信モジュールである。通信部140は、無線ルータWRおよびモデムMを介してネットワークNWと接続され、ネットワークNWを介して、サーバ200または端末装置300と通信する。
【0021】
制御装置150は、衣類処理機100の全体を統括的に制御する。制御装置150については、詳しく後述する。
【0022】
(操作パネル112の表示画面)
次に、図3A図3Bを参照して、操作パネル112の表示画面の一例について説明する。
図3Aは、操作パネル112の第1表示画面を説明するための図である。図3Bは、操作パネル112の第2表示画面を説明するための図である。図3Aの第1表示画面を用いて、乾燥運転のコースの設定を行い、図3Bの第2表示画面(「乾燥仕上がり設定画面」という。)を用いて、細部の乾燥設定を行うように構成されている。
【0023】
ユーザUは、操作パネル112を操作して、「乾燥仕上がり設定」を調整することにより、乾燥運転による仕上がり具合を所望のものにすることができる。
例えば、操作パネル112に図3Aの第1表示画面が表示されている状態で、ユーザUが図3Aの第1表示画面内の「変更」ボタンをタップするとその表示が切り替わり、図3Bの「乾燥仕上がり設定画面」が表示される。例えば、乾燥仕上がり設定には、「お急ぎ」、「節電」、「上質乾燥」、「念入り」、「タイマー設定」が存在する。それぞれの乾燥設定値には、仕上がり具合を調整するための特徴が予め設定されている。「お急ぎ」設定は、ヒートポンプ132のコンプレッサー132Cの出力を他の乾燥設定よりも上げる、送風機133のファンの回転数(ファン回転数という。以下同じ。)を高めにして動作させるなどにより、他の乾燥設定よりも短時間で運転を終えることができる設定である。「節電」設定は、コンプレッサー132Cの出力を他の乾燥設定よりも低めに維持し、省エネ運転動作を行う設定である。「上質乾燥」設定は、ドラムの回転周期や、送風機133のファンの風量(ファン風量という。以下同じ)を低めにして動作させることで、乾燥後の衣類の仕上がりを他の乾燥設定よりもふんわりと仕上げる設定である。「念入り」設定は、乾燥運転時間を他の乾燥設定よりも長く設定されていて、乾燥運転を余分に行う設定である。「タイマー設定」は、設定した時間分乾燥を行う設定である。このように各々特徴を持った乾燥設定を備えており、サーバ200は運転データに基づいて「省エネ運転」を実行させることができると判定した場合、乾燥設定の1つである「節電」設定に乾燥運転を切り替えるとよい。
このように、乾燥設定が複数存在していても、その中で比較して省エネルギーになる運転動作を行う乾燥設定に変更することで、省エネルギーの効果を得ることができる。
【0024】
なお、操作パネル112は、上述した例に限定されない。例えば、操作パネル112は、上記構成に代えて、表示装置と、入力装置とを含んでもよい。操作パネル112は、例えば、メンブレンパネルに設けられた複数の操作部および複数の発光部を有するものであってもよい。
【0025】
次に、制御装置150について説明する。制御装置150は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などからなるコンピュータを主体として構成される。
【0026】
図4は、実施形態の制御装置150の機能構成を示すブロック図である。制御装置150は、例えば、制御部151、表示制御部152、操作受付部153、および情報送信部154を有する。これら機能部の全部または一部は、CPUのようなハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。ただし、これら機能部の全部または一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、またはFPGA(Field Programmable Gate Array)、ディスクリート回路などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。
【0027】
(制御部)
制御部151は、洗濯機構120および乾燥機構130などを制御することで、衣類処理機100による洗い動作、すすぎ動作、脱水動作、または乾燥動作などを実行する。洗い動作、すすぎ動作、及び脱水動作は、洗濯運転工程に含まれていてよい。また、乾燥動作は、乾燥運転工程に含まれていてよい。
なお、制御部151は、扉センサの信号から扉の状態を検出して、これに基づいてユーザによって衣類の取り出しの時期を推定する。例えば乾燥運転を終えたのちに扉センサの信号から扉が開かれたことを検出して、衣類の取り出しが行われたと推定するとよい。
【0028】
(表示制御部)
表示制御部152は、操作パネル112の表示を制御する。例えば、表示制御部152は、タッチパネルとして形成された操作受付部153により設定または選択が受け付けられた衣類処理機100の運転内容を表示させる。
【0029】
(操作受付部)
操作受付部153は、操作パネル112を通じて衣類処理機100に入力されるユーザUの操作を受け付ける。例えば、操作受付部153は、操作パネル112を通じて衣類処理機100の運転内容を設定または選択するユーザUの操作(以下「設定関連操作」と称する場合がある)を受け付ける。設定のより具体的な事例を後述する。
【0030】
(情報送信部)
情報送信部154は、通信部140を介して各種情報をサーバ200に送信する。情報送信部154は、衣類処理機100の運転内容を設定または選択する設定関連操作が操作受付部153によって受け付けられた場合に、当該設定関連操作により設定または選択された運転内容を示す情報(以下「運転データD1」と称する場合がある)をサーバ200に送信する。
【0031】
ここで、本出願で「設定または選択する操作が受け付けられる」とは、「設定する操作が受け付けられる」および「選択する操作が受け付けられる」の両方が衣類処理機100(または端末装置300)で実現される場合に限定されず、「設定する操作が受け付けられる」または「選択する操作が受け付けられる」のいずれか一方のみが実現される場合を含み得る。すなわち、本出願で「運転内容を設定または選択する設定関連操作が受け付けられた場合」とは、運転内容を設定する操作のみを受け付け、運転内容を選択する操作を受け付ける機能を有しない衣類処理機(または端末装置)において、運転内容を設定する操作が受け付けられる場合を含み得る。
【0032】
本実施形態では、情報送信部154は、衣類処理機100の1つの運転コースまたはオプションを確定するまでに複数の設定関連操作が受け付けられる場合、設定関連操作が受け付けられるごとに、設定関連操作により設定または選択された運転内容を示す運転データD1をサーバ200に送信する。本出願において「1つの運転コースまたはオプションを確定するまでに」とは、例えば、「1つの運転コースを選ぶ過程で」、または、「1つのオプションを選ぶ過程で」の意味である。
【0033】
本実施形態では、端末装置300の家電管理アプリAPPは、衣類処理剤を収容する容器または上記容器に付随する付随部材から衣類処理剤を識別可能な識別用情報を取得する。
【0034】
なお、情報送信部154は、運転データD1をサーバ200に送信することに代えて、運転データD1を端末装置300に直接送信してもよい。この場合、通信部140は、例えばBluetooth(登録商標)のような近距離無線通信を介して、端末装置300の通信部303と直接通信を行ってもよい。これについては後述する。
【0035】
<3.サーバ200>
次に、サーバ200について説明する。
図5は、実施形態のサーバ200の機能構成を示すブロック図である。サーバ200は、例えば、情報取得部210と、情報送信部220と、情報機能部230と、記憶部290とを含む。
【0036】
情報取得部210は、衣類処理機100の操作受付部153によって衣類処理機100の運転内容を設定または選択する設定関連操作が受け付けられる場合に、当該設定関連操作により設定または選択された運転内容を示す運転データD1を衣類処理機100から取得する。本実施形態では、情報取得部210は、衣類処理機100の操作受付部153によって設定関連操作が受け付けられるごとに、当該設定関連操作により設定または選択された運転内容を示す運転データD1を衣類処理機100から取得する。
なお、制御部151によって扉センサの信号から扉の状態が検出されると、情報取得部210は、この検出結果を取得する。例えば情報取得部210は、乾燥運転を終えたのちに扉センサの信号から扉が開かれたことを検出した場合に、衣類の取り出しが行われたと推定するとよい。
【0037】
また、情報取得部210は、後述する端末装置300の操作受付部330によって衣類処理機100の運転内容を設定または選択する設定関連操作が受け付けられる場合に、当該設定関連操作により設定または選択された運転内容を示す運転データD2を端末装置300から取得する。本実施形態では、情報取得部210は、端末装置300の操作受付部330によって設定関連操作が受け付けられるごとに、当該設定関連操作により設定または選択された運転内容を示す運転データD2を端末装置300から取得する。情報取得部210は、衣類処理機100からの運転データDが取得されるごとに、取得された運転データDを記憶部290の運転履歴データDBに追加する。
【0038】
情報送信部220は、情報機能部230による処理の結果を衣類処理機100に通知する。
【0039】
本実施形態の情報機能部230は、例えば各ユーザUの衣類処理機100と端末装置300とに関連付けられている。
情報機能部230は、衣類用製品を識別可能な情報を、端末装置300から取得する。情報機能部230は、衣類処理機100をユーザUの生活パターンに合わせて制御するための設定を、識別可能な情報に基づいて実施する。
【0040】
情報機能部230は、識別可能な情報に基づいて、衣類処理機100の制御に関する設定を決定するとよい。
【0041】
上記のように、サーバ200には、プログラムSVPがインストールされ、以下に説明する機能がサポートされる。プログラムSVPは、例えば、衣類処理機100を管理するためのアプリケーションプログラムである。このプログラムSVPが提供する機能のなかに、衣類処理機100における衣類処理剤(衣類用製品)の自動投入量管理機能が含まれる。本実施形態では、プログラムSVPが実行されることで起動されるアプリケーションソフトウェアを「家電管理プログラムSVAPP」と称する。本実施形態では、サーバ200がプログラムSVPを実行して「家電管理プログラムSVAPP」の機能を提供する。
【0042】
図6は、実施形態の特定のユーザUの生活リズムと洗濯機の稼働状況を説明するための図である。
このユーザUは、就寝前に衣類処理機100を運転開始にして、夜間の就寝中に洗濯を実施して、朝起きてから衣類を衣類処理機100から取り出す傾向を有している。例えば、洗濯の開始時刻が23時ごろであり、衣類の取り出し時刻が6時30分ごろであることが多い。
【0043】
ところで、図6の上段に示す「通常」コースによる衣類処理によれば、衣類処理機100は、ユーザUの操作を受けてすぐに洗濯処理工程を開始する。これにより洗濯処理工程の開始時刻が運転開始時刻に対応する23時ごろになる。このように洗濯処理工程の開始時刻が設定された結果、洗濯処理工程の開始から衣類の取り出しまでの期間は23時から6時30分ごろになる。本実施形態における実際の運転時間は、運転開始の時刻により定まる。このため、運転時間が、衣類の取り出し時間の6時30分よりも随分手前になることがある。例えば、乾燥設定を標準コースにして運転すれば、洗濯処理工程とその後の乾燥処理工程を含めても2時には終了することが見込まれる。衣類の取り出し時刻を6時30分ごろにしているユーザUにとって、衣類処理が2時に終わっていることの有利性を見出せない場合が多い。
【0044】
そこで、本実施形態では、ユーザUの生活パターンと衣類処理機100の利用傾向とを分析して、その分析結果に基づいて乾燥設定を「標準」コースから「省エネ」コースに自動で切換るように構成する。
例えば、本実施形態における「省エネ」コースの衣類処理では、「標準」コースの衣類処理よりも衣類処理において利用するコンプレッサー132Cの出力を抑えて衣類処理機100の省エネ運転を行う。これにより衣類処理の時間がいくらか長くなるが、衣類処理中の消費電力量が小さくなることにより節電できる。これによって、電気代を節約できるという経済的な有利性が生まれる。
【0045】
図7は、本実施形態の衣類処理に関するフローチャートである。
衣類処理機100は、ユーザUの操作を検出して、衣類処理機100の運転開始の処理を実行する(S11)。
衣類処理機100は、上記の運転開始に応じて衣類処理の運転中になり(S12)、例えば洗濯処理工程の実行中になる。
衣類処理機100は、衣類処理の中の洗濯処理工程において、衣類の重量などの基本情報を取得する。衣類処理機100は、上記の基本情報と、設定情報などを含む運転データをサーバ200に送信する。
【0046】
サーバ200は、衣類処理機100から送信された運転データD1を取得して、記憶部290の運転履歴データDBに時系列情報のデータとして追加する。サーバ200(SVAPP)の情報機能部230は、この運転データD1を用いた解析処理を実行して(S22)、解析処理の結果に基づいた乾燥制御変更指令を衣類処理機100に送信する。衣類処理機100は、サーバ200から送信された乾燥制御変更指令を取得して、これを用いて乾燥制御の変更を実行する。
【0047】
衣類処理機100は、衣類処理に係る運転中に、洗濯処理工程とその後の乾燥処理工程を含めて実施する。この乾燥処理工程では、上記の乾燥制御変更指令に対応する制御が実施される。衣類処理機100は、所定の時間になると乾燥処理工程を終えて、運転終了の処理を実行して(S13)、運転中に各センサから収集した情報を纏めて運転データD1としてサーバ200に通知して、衣類が取り出されることを待機する。
【0048】
朝になってユーザUが扉を開けて衣類を取り出す。ユーザUが扉を開けると、衣類処理機100の扉センサは、扉が開いたことを検出する。衣類処理機100は、扉が開いたことの検出結果を含む運転データD1をサーバ200に通知する(S14)。この運転データD1には、衣類の取り出し時刻、つまり扉が開いた時刻(以下、「衣類の取り出し時刻」と記す。)の情報が含まれる。
【0049】
なお、サーバ200は、夫々取得した運転データD1等を、記憶部290の運転履歴データDBに追加する。サーバ200は、このように取得した運転データD1等を、衣類処理機100の運転データの履歴情報として保持しておき、後日実施する解析処理(S22)に利用する。
【0050】
このようにして、衣類処理機100とサーバ200は、上記の手順に従って乾燥処理工程における乾燥制御を調整する。
【0051】
図8図9を参照して、ユーザUの生活パターンを解析する処理について説明する。
図8は、本実施形態のユーザUの生活パターンを解析する処理を説明するための図である。図8に、運転ごとに記録された運転データの一部の情報をモデル化して示す。各矢印の始点(元)の白丸が運転開始の時刻を示し、各矢印の先端の黒丸が衣類の取り出し時刻を示す。運転データには、運転開始、衣類の取り出し時刻のほか、運転した月日の情報が付加されている。例えば、運転データは、運転の有無によるため、毎日記録されることもあれば、隔日で記録されることもある。
この図8に示す例では、所定の期間Tのなかで運転開始の時刻がt11からt12の範囲でばらついていて、概ね22時から0時の範囲内にある。衣類の取り出し時刻の時刻がt21からt22の範囲でばらついていて、概ね6時から8時の範囲内にある。上記の所定の期間Tは、例えば、現時点を基準にした1週間ほどの過去の期間であってもよく、これに代えて1か月であってもよい。
上記の運転記録から、このユーザUは、遅くとも0時前に運転開始させて、0時から6時の間に就寝していて、早くとも6時以降に衣類を取り出す習慣を有していると推定できる。サーバ200は、衣類の取り出し時刻の範囲(t21からt22まで)のうち、例えば最も早い時刻t21を抽出し、この時刻t21を基準に衣類処理の時間帯を調整する。
【0052】
図9は、本実施形態のユーザUの生活パターンの解析する処理に関するフローチャートである。
サーバ200の記憶部290には、運転履歴データDBが保持されている。運転履歴データDBには衣類処理機100から過去に受信した運転データD1が格納されている。
【0053】
サーバ200は、衣類処理機100から運転開始の運転データを取得すると、運転履歴データDBから当該ユーザUの衣類の取り出し時刻の履歴のデータを抽出する(S221)。
サーバ200は、当該ユーザUの衣類の取り出し時刻の履歴のデータに基づいて、運転終了時刻を決定する(S222)。運転終了時刻を、例えば前述の図8に示した方法を用いて決定するとよい。サーバ200は、決定した運転終了時刻を衣類処理機100に通知する(S223)。
【0054】
上記の実施形態によれば、衣類処理システム1は、衣類処理部と、決定手段と、制御手段とを備える。衣類処理部は、衣類を乾燥させる乾燥運転工程を含む衣類処理を実施する。
決定手段は、衣類処理部の運転時間に応じて前記乾燥運転工程の乾燥制御を決定する。
制御装置150(制御手段)は、前記決定された乾燥制御による前記乾燥運転工程を前記衣類処理部によって実施させる。これにより、衣類処理機の運転をより省エネルギーにすることができる。
【0055】
上位のように、本実施形態の事例としては、「乾燥設定」を「標準」コースから「省エネ」コースに変える、というユーザUが認知しやすい手段を一例として挙げたが、これに制限されることはない。例えば、「乾燥設定」のコースを「標準」コースに維持させた中で、洗濯機内の各部に対する乾燥運転時の制御指令(乾燥制御指令)を変えてもよい。この場合の一例として、コンプレッサー132Cの出力トルク(kW)を抑えること、乾燥用に空気を循環させる送風機133のファンの回転数を抑えること、ドラムの回転頻度を少なくすることなどが挙げられる。
【0056】
これにより、過去の衣類処理に係る運転履歴とこれから実行する衣類処理に係る運転の条件とを解析して、衣類処理中の乾燥制御を補正することにより、省エネルギーの効果を得ることができる。
【0057】
(第1の変形例)
第1の変形例として、サーバ200が、衣類処理機100から受信した運転時間に基づいてユーザUの利用傾向を分析する事例について説明する。
【0058】
<衣類処理の調整>>
サーバ200は、衣類処理機100から受信した運転時間に基づいて衣類処理を調整する。
例えば大きく、深夜の時間帯(例えば夜10:00~朝6:00までの間)とそれ以外の時間帯(通常時)に分類する。深夜時間帯に洗濯運転を実施する場合には、それ以外の時間帯に比べて、運転中に発生する音の音量又は音質の改善が望まれる。乾燥運転の高速脱水中に生じる音や振動、送風機133のファンの音は小さい方が好ましい。
【0059】
これを実現するためには、深夜時間帯の脱水工程におけるドラムの最大回転数(最大脱水回転数という。)を通常時の最大脱水回転数よりも下げるとよい。具体的には、通常時の最大脱水回転数を1400rpmに設定されている場合には、深夜時間帯の最大脱水回転数を1000rpmに設定する。衣類処理機100は、このような設定に基づいて脱水制御を実施する。
【0060】
また、乾燥工程中の送風機133のファンの回転数についても通常時の定格回転数を深夜時間帯の定格回転数に下げるとよい。例えば、通常時の定格回転数が5500rpmに設定されていれば、深夜時間帯の定格回転数を4800rpmにするとよい。
さらに、乾燥工程中のコンプレッサー132Cの出力についても通常時の定格回転数を深夜時間帯の定格回転数に下げるとよい。衣類処理機100は、このような設定に基づいて乾燥制御を実施する。
なお、コンプレッサー132Cの出力を抑えることにより、消費電力量を削減することができる。コンプレッサー132Cの起動時間そのものを少なく抑えることで、電気代の削減になる。
【0061】
例えば、衣類処理機100の制御装置150又はサーバ200の情報機能部230(決定手段)は、衣類処理機100のユーザUの運転時間に基づいて乾燥処理運転工程の乾燥制御を決定するとよい。
【0062】
さらには、運転データD1に含める項目として、衣類の取り出し時間を含めるとよい。運転開始時間、終了時間、及び衣類の取り出し時間を組み合わせて解析することにより、そのユーザUの生活パターンの特徴を抽出しやすくなる。衣類の取り出し時間を、衣類処理機100の運転終了後、衣類処理機100の扉を開いた又は閉じたことをトリガにして検出するとよい。例えば衣類処理機100の扉には扉の開状態または閉状態を検知するスイッチまたはセンサ(扉センサ)が設けられていて、扉の開状態または閉状態を識別することができる。
例えば、衣類処理機100の制御装置150又はサーバ200の情報機能部230(決定手段)は、衣類処理機100の(衣類処理部)の運転時間を、衣類処理機100のユーザUの過去の洗濯終了後に行われた衣類の取り出し時間に基づいて決定するとよい。
【0063】
これにより衣類の取り出し時間から、ユーザUの生活パターンを推測し、省エネルギーに適した制御を実現して乾燥処理工程を実施できる。
【0064】
または、衣類処理機100は、その槽内の重量を検知するセンサを備えていて、その重量の増減によって衣類の取り出しを識別してもよい。
【0065】
(第2の変形例)
第2の変形例として、運転開始から衣類取り出しまでの時間が特に長い家庭、または運転終了の予約設定時刻までの時間が長い事例について説明する。
【0066】
本変形例において、上記の場合に、長時間の省エネ運転を実施する。例えば、省エネ運転とは、コンプレッサー132Cの出力を通常時よりも下げる、ファン回転数を通常時よりも下げる、ドラム回転の仕事率を通常時よりも下げる、脱水時の最大回転数を下げる、などの調整に基づいた制御による運転の一例である。衣類処理機100は、運転開始時、すなわちユーザUが運転開始を指示したときに、運転データを衣類処理機100から送信する。この運転データには開始時間をはじめとする、運転時間に関するデータ、その他にも運転開始時における各種センサ値、運転コース、運転内容などのデータが含まれる。
サーバ200は、衣類処理機100から受信した運転データを解析し、その解析結果に基づいて衣類処理機100が省エネ運転を実施できる条件に合致していると判定された場合に、乾燥制御を変更する指令を行う。衣類処理機100は、分析結果に基づいて運転開始時に予め設定された乾燥設定値を自動で変更する。乾燥設定値とは、衣類の重量、布質、外気温、各種センサ値、などにより決定される。この設定値にもとづいてドラムの回転速度や、ファン回転数、コンプレッサー132Cの出力などの制御方式が決定される。本実施形態によれば、サーバ200は、運転データを解析し、解析結果に基づいて乾燥制御変更指令を衣類処理機100に送信することにより、省エネルギー制御に適した設定値を用いた制御を実現して乾燥処理工程を実施できる。
例えば、サーバ200は、衣類処理機100の運転開始時に予め設定された乾燥運転工程に係る第1乾燥設定値とは異なる第2乾燥設定値を、衣類処理機100のユーザUの運転時間の分析結果に基づいて設定するとよい。
なお、上記の第2乾燥設定値に基づいた乾燥運転工程は、上記の第1乾燥設定値に基づいた乾燥運転工程に比べて省エネルギーになるように決定されているとよい。
【0067】
サーバ200は、衣類処理機100のユーザUが所望する運転時間を取得して、取得された運転時間に基づいて衣類処理機100の運転を実行するとよい。
衣類処理機100は、衣類処理機100のユーザUが所望する運転終了時間を入力する操作パネル112を備えている。衣類処理機100は入力された運転終了時間を含む運転時間に基づいて運転を実行してもよい。
【0068】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。
第1実施形態では、衣類処理機100の運転時間を、ユーザUの衣類処理機100の操作後に長時間待機することなく、比較的短時間で開始させる事例について説明した。これに代えて、本実施形態では、衣類処理機100の運転時間の時間帯を、ユーザUの生活パターンに基づいて調整する事例について説明する。
【0069】
(衣類処理)
図10A図10Bを参照して、衣類処理を実行する時間帯について説明する。
図10A図10Bは、本実施形態の衣類処理を実行する時間帯を説明するための図である。図10Aに第1の適用例について示し、図10Bに第2の適用例について示す。
【0070】
(第1の適用例)
例えば、図10Aに示すように、衣類処理システム1における「運転時間」は、基本的にユーザUの要求に応じて設定される。「運転時間」は、例えば「開始時間」、「終了時間」、「予約運転開始時間」、「予約運転終了時間」などにより規定される。以下、これらについて順に説明する。
【0071】
「開始時間」とは、衣類処理機100の運転(衣類処理)を開始させるためにユーザUが「スタート」ボタンを押したときの時間である。「終了時間」とは、衣類処理に係る一連の運転が終了したときの時間である。例えば、ユーザUが「スタート」ボタンを押して、直ぐに衣類処理機100の運転(衣類処理)を開始させることができる。ためにユーザUが「スタート」ボタンを押したとき
【0072】
「運転時間」の予約設定について説明する。
「予約運転開始時間」について説明する。
「予約運転開始時間」の設定の方法は2パターン存在する。
第1のパターンでは、予約運転の時間を「D時間後」と設定する方法をとる。例えば、「9時間後」、「10時間後」のように、「時間」単位で設定する。このパターンの指定方法は、現在時刻に対して「D時間後」に運転が終わっていてほしいことを指定するものである。
【0073】
衣類処理に係る時間を「総所要時間」と呼ぶ。例えば、「標準」コースの総所要時間が40分ほど掛るとすると、「標準」コースにおける「予約設定時刻」として、1時間後から24時間後までの範囲で設定することができる。「つけおき」コースの総所要時間が2時間30分ほど掛るとすると、「つけおき」コースにおける「予約設定時刻」として、3時間後~24時間後までの範囲で設定することができる。すなわち、衣類処理機100は、衣類処理に必要とされる時間以上後の時間に運転が終了するように1時間単位で要求を受け付ける。
【0074】
第2のパターンでは、予約運転の時間(開始時間、終了時間など。)を「分」単位で設定する方法をとる。例えば5時30分までに終わってほしいユーザUは「予約設定時刻」を5時30分に設定する。
【0075】
ところで、先に挙げた「標準」コースの総所要時間が40分であると仮定する。この予約設定を行う際に、ユーザUが10時間後に運転が終わってほしいと希望し、予約設定を10時間後と設定したとする。この場合、現在時刻に対して9時間後に運転を開始すれば、ユーザUが所望する10時間後に洗濯運転を完了することができる。このケースの場合、予約設定をしてから9時間経過するまで運転待機中となる。この場合に、「開始時間」を現在時刻とした場合に、「予約運転開始時間」が現在時刻から9時間後になる。この事例の場合には、「予約運転開始時間」が示す時刻と「開始時間」が示す時刻とが互いに異なるものになる。
図10Aに、「つけおき」コースの総所要時間を2時間として、23時に運転開始した事例を示す。なお、23時に運転開始することは上記と変わらないが「省エネ」コースの総所要時間を4時間とした場合を示す。
【0076】
例えば、サーバ200は、これまで蓄積した運転データから乾燥制御の設定を省エネ制御用のものに切り替えてもユーザUに支障がないことを判定して、所定の条件が満たされた場合に衣類処理機100の乾燥制御を変更する。省エネ制御とは、より具体的にはコンプレッサー132Cの出力圧力を低減させたり、ドラムの回転数を低速にしたりすることである。これにより、いつもの通りに運転を開始すると、いつもよりも省エネ運転を実行することができる。
【0077】
「予約運転終了時間」について説明する。
「予約運転終了時間」とは、洗濯運転と乾燥運転とを終えた時間のことである。この時間は、洗濯機内部の処理として利用される。例えば、「予約運転終了時間」を過ぎてアイドリング運転を実施する場合がある。アイドリング運転とは、ドラムを間欠的に回転させて、乾燥運転を終えた衣類の吸湿、しわの発生などを予防するものである。
【0078】
(第2の適用例)
図10Bに、「標準」コースの総所要時間を1時間として、23時に運転開始した事例を示す。なお、23時に運転開始すること、「省エネ」コースに切り替えることなどは上記の図10Aに示す事例(第1の適用例)と変わらないが、「予約運転開始時間」が1時間ほど遅くなり、「予約運転終了時間」が1時間ほど繰り上がり、その後にアイドリング運転を実施すること、「省エネ」コースの総所要時間を2時間とすることなどが異なる。なお、「予約運転開始時間」から「予約運転終了時間」までの時間は、処理する衣類の重量、洗濯工程、乾燥工程に指定したコースなどにより適宜設定される。
【0079】
一例を示す。ユーザUは6時ちょうどに洗濯運転を終えていてほしいと所望し、6時に予約設定をしたとする。標準コースの総所要時間を40分とする。ただし、実際の制御で必要な時間は、運転中の条件により、40分よりも短い時間で終わることもあれば、延びてしまう可能性もある。例えば、衣類の量が1kgのときもあれば、12kgのときもある。衣類量により、洗濯時間は異なるものになる。また、脱水途中に衣類の片寄りが発生すると、なかなか脱水ができずに時間が延びる場合もある。
【0080】
また、一方で、衣類処理機100の給水栓に詰まりがあったり、給水水栓の開度が小さかったりすると、衣類処理機100に対する給水の流量が少なくなる場合がある。この場合、給水時間が想定よりも長くなって、ドラムを回転させるまでの時間が長くなるために、衣類処理機100の運転時間が増える場合がある。
【0081】
また、一方で、衣類処理機100の排水ホースに詰まりがあったり、排水フィルターにゴミが溜まっていたりすると排水流量が少なくなる場合がある。この場合、排水時間が想定よりも長くなり、運転時間が延びる場合がある。
【0082】
このように、さまざまな要因により当初見込んでいた所要時間に対して延びてしまう可能性が存在する。このような事象の発生に備えて、それらが発生した場合であっても、ユーザUが所望する予約時間に運転が終わるように、総所要時間を長めに見込むように決定するとよい。
【0083】
そのため、上記のように運転時間を長引かせることになる事象の発生がなければ、予約時間よりも早い時間に運転が終わる場合がある。その場合、衣類処理機100は、衣類処理の運転は終わっていてもアイドリング運転を継続して、ユーザUが設定した予約時間に達したらアイドリング運転を停止させるとともに、運転終了ブザーを報知して、完全な運転終了を行うとよい。このように、「予約運転終了時間」を、洗濯機内部の処理として運転終了を迎え、アイドリング運転を開始する時間と規定してもよい。
【0084】
本実施形態によれば、衣類処理機100の運転時間の時間帯を、ユーザUの生活パターンに基づいて調整することができる。
【0085】
図11を参照して、実施形態の運転終了時刻の入力手段の例を説明する。
図11は、本実施形態の運転終了時刻の入力手段の例を説明するための図である。
図11に示す入力手段には、ユーザUの操作を受け付ける幾つかのボタンがある。「おはよう予約」、「おかえり予約」のボタンは、前回の設定を繰り返し利用する場合に、操作を簡略化するためのものである。これらのボタンのほかに、時刻を設定する入力ボタンが存在し、この時刻は総運転所要時間を考慮した上で設定可能な時間内で設定できる。
【0086】
例えば時刻を設定する入力ボタンを用いて時刻を設定する場合、現在時刻から総運転所要時間が経過してからの時刻を、衣類処理の運転終了時刻として設定することができる。運転終了時刻はユーザUがこの時間までに衣類処理(洗濯運転)が終わっておいてほしいという時間である。例えば、今の時刻が5時であり、総運転所要時間が40分であれば、予約設定可能な時刻は本日の5時50~明日の4時50分(23時間50分後)となる。仮に、運転開始時間が22時で、運転終了時刻は6時で設定されたとする。このとき、運転終了時刻までの猶予は8時間ある。そして、ユーザUが設定した運転内容にもとづいて総運転所要時間を計算する。その結果が3時間であったとする。このとき猶予時間に対して総運転所要時間は十分な余裕があり、省エネ運転に変えたとしても総所要時間が4時間であれば、省エネ運転に変更するほうがユーザUにメリットがある。これによれば、衣類処理機100はサーバ200から取得した分析結果に基づいて省エネ運転にする場合と、分析結果を使用しない場合とで、異なる乾燥制御を実行することができる。
【0087】
衣類処理機100は、サーバ200から取得した分析結果に基づいて運転制御する場合と、分析結果を使用しないで、操作パネル112から設定された条件(運転終了時刻)に従って運転制御する場合の何れかを実行可能である。これにより、衣類処理機100は、異なる乾燥制御を実行することが可能になる。
【0088】
(第1、第2の実施形態に共通する変形例)
図12を参照して、前述の図3Bの操作パネルの第2表示画面(乾燥仕上がり設定画面)の変形例を説明する。
図12は、図3Bの操作パネルの第2表示画面の変形例を説明するための図である。
前述の図3Bとの相違点を中心に説明する。
先に示したように、この乾燥仕上がり設定には、「お急ぎ」、「節電」、「上質乾燥」、「念入り」、「タイマー設定」が存在するが、この中から、衣類処理機100の運転をより省エネルギーにすることを適用する設定を制限してもよい。例えば、「お急ぎ」、「節電」をその選択対象として制限する場合の乾燥仕上がり設定画面の一例を示す。上記の選択対象を示す枠を表示することにより、ユーザUに視覚的にその情報を提示することができる。
【0089】
(第3実施形態)
第3の実施形態について説明する。
前述の実施形態では、ユーザUが運転時間を入力する手段は衣類処理機100の操作パネル112を利用するものであった。本実施形態では、これに代わりネットワークを介して参照するWebページを用いて入力してもよい、あるいは、外部端末(アプリ)を利用する事例について説明する。
【0090】
<端末装置>
次に、端末装置300について説明する。
図13は、本実施形態の端末装置300の機能構成を示すブロック図である。端末装置300は、例えば、情報取得部310、表示制御部320、操作受付部330、情報送信部340、および記憶部390を有する。
【0091】
情報取得部310、表示制御部320、操作受付部330、および情報送信部340は、端末装置300に搭載されたCPUのような1つ以上のハードウェアプロセッサがアプリケーションプログラムPを実行することにより実現される。言い換えると、情報取得部310、表示制御部320、操作受付部330、および情報送信部340は、家電管理アプリAPPに含まれるソフトウェア機能部、または家電管理アプリAPPからの制御により機能するソフトウェア機能部である。家電管理アプリAPPは、衣類処理機100に関連する情報機能部の一例である。
【0092】
情報取得部310は、運転データD1を衣類処理機100から直接またはサーバ200を介して取得する。本実施形態では、情報取得部310は、衣類処理機100の操作受付部153によって設定関連操作が受け付けられるごとに、当該設定関連操作により設定または選択された運転内容を示す運転データD1を取得する。また、情報取得部310は、衣類処理機100がユーザUによる洗剤および柔軟剤の量の変化を検出するごとに、当該洗剤または当該柔軟剤の設定または選択させるための運転データD1を取得する。
情報取得部310は、衣類処理機100のユーザUが所望する運転終了時間を入力する手段の一例である。
【0093】
表示制御部320は、端末装置300の表示装置301を制御することで、表示装置301の表示画面301aに表示される内容を制御する。例えば、表示制御部320は、情報取得部310によって運転データD1が衣類処理機100から直接またはサーバ200を介して受信した場合に、受信した運転データD1に応じて端末装置300の表示装置301に表示させる情報を変更する。本実施形態では、表示制御部320は、情報取得部310によって運転データD1が衣類処理機100から直接またはサーバ200を介して受信するごとに、受信した運転データD1に応じて端末装置300の表示装置301に表示させる情報を変更する。例えば、表示制御部320は、設定された運転コースを示す運転データD1を衣類処理機100から直接またはサーバ200を介して受信した場合に、受信した運転コースを示す情報に応じて表示装置301に表示させる情報を変更するとよい。
【0094】
(変形例)
本特許によれば、衣類処理機100から受信した運転データD1をサーバ200又は端末装置300の家電管理アプリAPPが解析してもよい。
【0095】
また、サーバ200は乾燥制御の変更を衣類処理機100に指示する構成としたが、サーバ200で解析したデータそのものが乾燥制御変更指令ではなく、解析されたデータ、すなわち加工されたデータにもとづいて衣類処理機100が自ら判断し、乾燥制御変更有無を決定してもよい。さらには、乾燥制御変更有無の最終決定はユーザU自らが行っても良い。例えば、衣類処理機100の操作パネル112や、衣類処理機100とネットワークを介してつながった端末装置300の家電管理アプリAPPに「乾燥制御変更しますか?」といった問い合わせを行い、その応答に基づいて乾燥制御を変更してもよい。
【0096】
また、運転時間の1つは衣類処理に関する開始時間である。または、何時から何時までの間に洗濯を行ってほしいという時間範囲でもよい。洗濯機はユーザUが入力した開始時間から運転を開始する。これにより、例えば電気契約で深夜時間帯に電気代が安くなるプランを契約中のユーザUは所望する時間帯に運転を行うことができる。このように、ユーザUが所望する運転条件も含めてサーバは運転内容を決定し、衣類処理機100の制御内容を変更してもよい。
【0097】
以上、いくつかの実施形態について説明した。ただし、実施形態は、上述した例に限定されない。また上述したいくつかの実施形態は、互いに組み合わせて実現可能である。
【0098】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、衣類処理システムは、衣類処理部と、決定手段と、制御手段とを備える。前記衣類処理部は、衣類を乾燥させる乾燥運転工程を含む衣類処理を実施する。前記決定手段は、前記衣類処理部の運転時間に応じて前記乾燥運転工程の乾燥制御を決定する。前記制御手段は、前記決定された乾燥制御による前記乾燥運転工程を前記衣類処理部によって実施させる。これにより、衣類処理機の運転をより省エネルギーにすることができる。
【0099】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0100】
例えば、類似の適用例として、下記の事例に適用できる。
ユーザUが洗濯運転開始の操作を行った後、ただちに衣類処理機100の運転を開始させるのではなく、家庭の電気契約プランにおいて特定の時間帯において電力が安くなるプランに加入している場合には、その時間帯に合わせて衣類処理機100の運転を実行させるとよい。例えば、特定の時間帯を利用する傾向がみられた場合に、衣類処理システム1は、その時間帯を利用して洗濯機の運転を行うようになる。
このようにユーザUが所望する運転時間がユーザUの習慣に現れる場合には、本実施形態を適用することに、電気代の安い時間帯の情報を衣類処理システム1に登録しなくても、
電気代の安い時間帯に運転を合わせることができ、乾燥制御自体によって得られる省エネ効果に加えて、電気料金などの外的な要因においてもユーザUに優位な結果をもたらす。
【符号の説明】
【0101】
1 衣類処理システム、100…衣類処理機(衣類処理装置)、200…サーバ、300…端末装置。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13