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特開2025-2584筋衛星細胞増殖促進剤及び筋衛星細胞増殖抑制剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002584
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】筋衛星細胞増殖促進剤及び筋衛星細胞増殖抑制剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/48 20060101AFI20241226BHJP
   A61K 36/82 20060101ALI20241226BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20241226BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
A61K36/48
A61K36/82
A61P21/00
A61P43/00 107
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102870
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】上谷 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】森 恵理
【テーマコード(参考)】
4C088
【Fターム(参考)】
4C088AB45
4C088AB59
4C088AC04
4C088AC05
4C088BA08
4C088CA03
4C088CA25
4C088MA07
4C088NA14
4C088ZA94
4C088ZB22
(57)【要約】
【課題】筋衛星細胞増殖促進剤、筋衛星細胞増殖抑制剤を提供すること。
【解決手段】ダイズ抽出物、半発酵茶葉抽出物及び不発酵茶葉抽出物からなる群より選択される1種以上を含有する筋衛星細胞増殖促進剤を提供することを目的とする。また、発酵茶葉抽出物を含有する筋衛星細胞増殖抑制剤を提供することを目的とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイズ抽出物、半発酵茶葉抽出物及び不発酵茶葉抽出物からなる群より選択される1種以上を有効成分として含有する筋衛星細胞増殖促進剤。
【請求項2】
ダイズがダイズ種子であり、半発酵茶葉がウーロン茶葉であり、不発酵茶葉が宇治茶葉及び/又は抹茶葉である、請求項1に記載の筋衛星細胞増殖促進剤。
【請求項3】
発酵茶葉抽出物を有効成分として含有する筋衛星細胞増殖抑制剤。
【請求項4】
発酵茶葉抽出物が紅富貴茶葉である、請求項3に記載の筋衛星細胞増殖促進剤。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋衛星細胞増殖促進剤、筋衛星細胞増殖促進用製品、筋衛星細胞増殖抑制剤、及び筋衛星細胞増殖抑制製品に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトを含む哺乳類の体において、筋芽細胞が筋管細胞に分化し、筋管細胞が融合した筋繊維となり、その細胞間を結合組織が埋めて筋束を構成し、筋束が集まって筋肉が構成される。筋肉は、エネルギー代謝や糖などの体内への取込み、歩行や姿勢の維持などの日常動作、運動などの身体活動などにおいて重要な役割を果たすが、加齢とともに減ずることが知られている。
【0003】
筋線維の細胞膜と基底膜の間には、筋衛星細胞が存在する。筋衛星細胞は、活性化すると筋芽細胞に分化し、その後、筋細胞へ分化する。複数の筋細胞は融合して筋管となり、筋線維を形成する。
【0004】
筋量及び筋力を向上させるためにサンザシやロゼアを含む筋衛星細胞分化促進剤(特許文献1)が提案されているが、筋衛星細胞の増殖については、十分に研究されていない。加齢にともなう生活の質の低下を抑制し、より長く健康的に生活するために、筋衛星細胞増殖促進作用、筋衛星細胞増殖抑制作用を有する外用製品や経口製品が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-15429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ダイズ抽出物、半発酵茶葉抽出物及び不発酵茶葉抽出物からなる群より選択される1種以上を含有する筋衛星細胞増殖促進剤を提供することを目的とする。また、発酵茶葉抽出物を含有する筋衛星細胞増殖抑制剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、意外にもダイズ抽出物、半発酵茶葉抽出物、不発酵茶葉抽出物からなる群より選択される1種以上を含有する組成物が、筋衛星細胞の増殖を促進し、筋衛星細胞増殖促進作用を有することを見出した。一方で発酵茶葉抽出物を含有する組成物が、筋衛星細胞の増殖を抑制し、筋衛星細胞増殖抑制作用を有することを見出した。本発明はこの知見に基づくものであり、以下の各発明を提供するものである。
【0008】
[1]ダイズ抽出物、半発酵茶葉抽出物、不発酵茶葉抽出物からなる群より選択される1種以上を有効成分として含有する筋衛星細胞増殖促進剤。
[2]ダイズがダイズ種子である、[1]に記載の筋衛星細胞増殖促進剤。
[3]半発酵茶葉がウーロン茶葉であり、不発酵茶葉が宇治茶葉及び/又は抹茶葉である、[1]に記載の筋衛星細胞増殖促進剤。
[4]ダイズ抽出物、半発酵茶葉抽出物、不発酵茶葉抽出物からなる群より選択される1種以上を有効成分として含有する筋衛星細胞増殖促進用外用組成物。
[5]ダイズがダイズ種子である、[4]に記載の筋衛星細胞増殖促進用外用組成物。
[6]半発酵茶葉がウーロン茶葉であり、不発酵茶葉が宇治茶葉及び/又は抹茶葉である、[4]に記載の筋衛星細胞増殖促進用外用組成物。
[7]ダイズ抽出物、半発酵茶葉抽出物及び不発酵茶葉抽出物からなる群より選択される1種以上を有効成分として含有する筋衛星細胞増殖促進用飲食品組成物。
[8]ダイズがダイズ種子である、[7]に記載の筋衛星細胞増殖促進用飲食品組成物。
[9]半発酵茶葉がウーロン茶葉であり、不発酵茶葉が宇治茶葉及び/又は抹茶葉である、[7]に記載の筋衛星細胞増殖促進用飲食品組成物。
[10]発酵茶葉抽出物を有効成分として含有する筋衛星細胞増殖抑制剤。
[11]発酵茶葉が紅茶葉である、[10]に記載の筋衛星細胞増殖抑制剤。
[12]紅茶葉が紅富貴茶葉である、[11]に記載の筋衛星細胞増殖抑制剤。
[13]発酵茶葉抽出物を有効成分として含有する筋衛星細胞増殖抑制用外用組成物。
[14]発酵茶葉が紅茶葉である、[13]に記載の筋衛星細胞増殖抑制用外用組成物。
[15]紅茶葉が紅富貴茶葉である、[14]に記載の筋衛星細胞増殖抑制用外用組成物。
[16]発酵茶葉抽出物を有効成分として含有する筋衛星細胞増殖抑制用飲食品組成物。
[17]発酵茶葉が紅茶葉である、[16]に記載の筋衛星細胞増殖抑制用飲食品組成物。
[18]紅茶葉が紅富貴茶葉である、[17]に記載の筋衛星細胞増殖抑制用飲食品組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の筋衛星細胞増殖促進剤は、ダイズ抽出物、半発酵茶葉抽出物及び不発酵茶葉抽出物からなる群より選択される1種以上を含有しているため、筋衛星細胞の増殖を促進させ、一方で筋衛星細胞増殖抑制は、発酵茶葉抽出物を含有しているため、筋衛星細胞の増殖を抑制させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
〔1.筋衛星細胞増殖促進剤〕
本実施形態に係る筋衛星細胞増殖促進剤は、ダイズ抽出物、半発酵茶葉抽出物及び不発酵茶葉抽出物からなる群より選択される1種以上を含有する。
【0012】
ダイズは、マメ科の植物を意味する。本発明のダイズ抽出物は、いかなる部位を用いてもよく、1種以上の部位を選択して用いてもよい。特に種子の抽出物が好ましい。ダイズの抽出方法や抽出溶媒は特に限定されず、公知の技術を用いることができる。抽出物をそのまま使用しても良く、抽出物を乾燥させた粉末や顆粒等を使用しても良く、抽出物を酵素分解等の公知の技術を用いて処理をした分解物を使用しても良い。市販されているものを用いてもよい。
【0013】
茶葉は、ツバキ科に属する植物の葉を意味する。茶葉は、茶葉中の酵素反応の度合いにより半発酵茶葉、不発酵茶葉、発酵茶葉に分類される。具体的には、ウーロン茶葉などの半発酵茶葉;宇治茶葉、抹茶葉、緑茶などの不発酵茶葉などが挙げられる。特に、ウーロン茶葉、宇治茶葉、抹茶葉が好ましい。本発明の茶葉の抽出方法や抽出溶媒は特に限定されず、公知の技術を用いることができる。抽出物をそのまま使用しても良く、抽出物を乾燥させた粉末や顆粒等を使用しても良く、抽出物を酵素分解等の公知の技術を用いて処理をした分解物を使用しても良い。市販されているものを用いてもよい。
【0014】
溶媒を用いてダイズ及び/又は茶葉の抽出物を得る場合は、通常用いられる溶媒であればよく、例えば、エタノール、水等の極性溶媒の1種又は2種以上で抽出した抽出液、その抽出液を乾燥し粉末にしたもの、これらの粉砕物、抽出物、乾燥物等をカラムや溶液間の分配により精製し、有効成分を高めたもの等を用いることができる。市販のものを用いてもよい。
【0015】
本発明の筋衛星細胞増殖促進剤は、筋衛星細胞の増殖促進作用を有し、筋量の増加などの効果が期待される。特に加齢にともなうサルコペニア、ロコモティブシンドローム、身体的フレイルの予防及び/又は治療の効果が期待される。また、前記作用を有するため皮膚下の筋肉が増量し、肌のしわやたるみ、ハリ弾力減少の予防及び/又は改善効果が期待される。特に顔は、加齢にともなう眼輪筋や表情筋の減退により、頭骨の形状やくぼみに沿って皮膚が落ち込み影が生じることで、より年齢が高い印象を周囲に与える外観変化が目立ちやすくなるため、まぶたのくぼみ、涙袋や目袋のたるみやふくらみ、目じりのしわやたるみ等の予防及び/又は改善に効果が期待される。特に目の周辺は皮膚が薄いため、外観印象の変化の予防及び/又は改善に大きな効果が期待される。
【0016】
本実施形態に係る筋衛星細胞増殖促進剤におけるダイズ抽出物、半発酵茶葉抽出物、不発酵茶葉抽出物の含有量は、筋衛星細胞増殖促進作用を有する範囲であれば特に限定されず、他の配合成分の種類及び含有量、筋衛星細胞増殖促進剤の製剤形態等に応じて適宜設定される。本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、0.00001~5w/v%であることが好ましく、0.00002~3w/v%であることがより好ましく、0.00005~1w/v%であることが更に好ましく、0.0001~1w/v%であることが特に好ましい。ヒトへの投与量は、1日あたり、0.001~2000mgであることが好ましく、0.01~1000mgであることがより好ましく、0.1~500mgであることが更に好ましく、1~300mgであることが特に好ましい。
【0017】
本実施形態に係る筋衛星細胞増殖促進剤は、更に賦形剤、増粘剤、結合剤、崩壊剤、分散剤、界面活性剤、懸濁剤、乳化剤、安定化剤、ゲル化剤、甘味剤、酸味剤、旨み剤、塩味剤、苦味剤、着色剤、紫外線防止剤、抗酸化剤、保存剤、抗菌剤、pH調整剤、緩衝剤、キレート剤、ビタミン類、香料、ミネラル等の添加剤、アミノ酸又はその塩、糖類、保湿剤、有機酸又はその塩類、食物繊維、藍及びオウバクを除く植物抽出物、動物組織抽出物等を含有してもよい。これらは公知のものを適宜選択して使用でき、常法を用いて製造することができる。
【0018】
本実施形態に係る筋衛星細胞増殖促進剤の剤型は、具体的な製品や性状などに限定されずに用いることができ、液状、ゲル状、クリーム状、ペースト状、固形状、エアゾール又は貼付剤など、いずれの剤型にも公知の方法により適宜調製することができる。液状では化粧水、乳液、美容液、内服液剤、シロップ剤などが挙げられる。固形ではスティック剤、錠剤、チュアブル剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、軟膏などが挙げられる。また投与形態においては、外用剤、内用剤を問わないものの、本発明の効果を奏する観点から、外用剤であることが好ましい。外用剤としては医薬品、化粧品を問わず、限定されない。これらは、常法を用いて製造することができる。
【0019】
〔2.筋衛星細胞増殖促進用外用製品〕
本実施形態に係る外用製品は、筋衛星細胞の増殖促進作用を有する。したがって、本発明の一実施形態として、ダイズ抽出物、半発酵茶葉抽出物及び不発酵茶葉抽出物からなる群より選択される1種以上を含有する筋衛星細胞増殖促進用外用製品が提供される。
【0020】
なお、本実施形態における、ダイズ抽出物及び半発酵茶葉抽出物、不発酵茶葉抽出物からなる群より選択される1種以上の含有量等、その他の成分の種類及び含有量等、外用製品の製剤形態及び用途等については、〔1.筋衛星細胞増殖促進剤〕で説明したとおりである。
【0021】
〔3.筋衛星細胞増殖促進用飲食品製品〕
本実施形態に係る飲食品製品は、筋衛星細胞の増殖促進作用を有する。したがって、本発明の一実施形態として、ダイズ抽出物、半発酵茶葉抽出物及び不発酵茶葉抽出物からなる群より選択される1種以上を含有する筋衛星細胞増殖促進用飲食品製品が提供される。
【0022】
なお、本実施形態における、ダイズ抽出物、半発酵茶葉抽出物及び不発酵茶葉抽出物からなる群より選択される1種以上の含有量等、その他の成分の種類及び含有量等、外用製品の製剤形態及び用途等については、〔1.筋衛星細胞増殖促進剤〕で説明したとおりである。
【0023】
〔4.筋衛星細胞増殖抑制剤〕
本実施形態に係る筋衛星細胞増殖抑制剤は、発酵茶葉抽出物を含有する。
【0024】
茶葉は、ツバキ科に属する植物の葉を意味する。茶葉は、茶葉中の酵素反応の度合いにより半発酵茶葉、不発酵茶葉、発酵茶葉に分類される。具体的には、紅茶葉などの発酵茶葉が挙げられる。特に、紅富貴茶葉が好ましい。本発明の茶葉の抽出方法や抽出溶媒は特に限定されず、公知の技術を用いることができる。抽出物をそのまま使用しても良く、抽出物を乾燥させた粉末や顆粒等を使用しても良く、抽出物を酵素分解等の公知の技術を用いて処理をした分解物を使用しても良い。市販されているものを用いてもよい。
【0025】
溶媒を用いて茶葉の抽出物を得る場合は、通常用いられる溶媒であればよく、例えば、エタノール、水等の極性溶媒の1種又は2種以上で抽出した抽出液、その抽出液を乾燥し粉末にしたもの、これらの粉砕物、抽出物、乾燥物等をカラムや溶液間の分配により精製し、有効成分を高めたもの等を用いることができる。市販のものを用いてもよい。
【0026】
本発明の筋衛星細胞増殖抑制剤は、筋衛星細胞の増殖抑制作用を有し、筋量の増加抑制、筋肥大抑制などの効果が期待される。特に運動や筋肉増大にともなう外観変化の予防及び/又は治療の効果が期待される。また、前記作用を有するため、咬筋増大による顔の大きさの拡大予防及び/又は治療、運動やトレーニングによる腕足の太さの拡大予防及び/又は治療などの効果が期待される。特に顔は外観変化によって印象の変化が生じやすいため、外観印象の変化の予防及び/又は改善に大きな効果が期待される。また、痩身を目的とした筋量の調節の効果が期待される。
【0027】
本実施形態に係る筋衛星細胞増殖抑制剤における発酵茶葉抽出物の含有量は、筋衛星細胞増殖抑制作用を有する範囲であれば特に限定されず、他の配合成分の種類及び含有量、筋衛星細胞増殖抑制剤の製剤形態等に応じて適宜設定される。本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、0.00001~5w/v%であることが好ましく、0.00002~3w/v%であることがより好ましく、0.00005~1w/v%であることが更に好ましく、0.0001~1w/v%であることが特に好ましい。ヒトへの投与量は、1日あたり、0.001~2000mgであることが好ましく、0.01~1000mgであることがより好ましく、0.1~500mgであることが更に好ましく、1~300mgであることが特に好ましい。
【0028】
本実施形態に係る筋衛星細胞増殖抑制剤は、更に賦形剤、増粘剤、結合剤、崩壊剤、分散剤、界面活性剤、懸濁剤、乳化剤、安定化剤、ゲル化剤、甘味剤、酸味剤、旨み剤、塩味剤、苦味剤、着色剤、紫外線防止剤、抗酸化剤、保存剤、抗菌剤、pH調整剤、緩衝剤、キレート剤、ビタミン類、香料、ミネラル等の添加剤、アミノ酸又はその塩、糖類、保湿剤、有機酸又はその塩類、食物繊維、藍及びオウバクを除く植物抽出物、動物組織抽出物等を含有してもよい。これらは公知のものを適宜選択して使用でき、常法を用いて製造することができる。
【0029】
本実施形態に係る筋衛星細胞増殖抑制剤の剤型は、具体的な製品や性状などに限定されずに用いることができ、液状、ゲル状、クリーム状、ペースト状、固形状、エアゾール又は貼付剤など、いずれの剤型にも公知の方法により適宜調製することができる。液状では化粧水、乳液、美容液、内服液剤、シロップ剤などが挙げられる。固形ではスティック剤、錠剤、チュアブル剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、軟膏などが挙げられる。また投与形態においては、外用剤、内用剤を問わないものの、本発明の効果を奏する観点から、外用剤であることが好ましい。外用剤としては医薬品、化粧品を問わず、限定されない。これらは、常法を用いて製造することができる。
【0030】
〔5.筋衛星細胞増殖抑制用外用製品〕
本実施形態に係る外用製品は、筋衛星細胞の増殖抑制作用を有する。したがって、本発明の一実施形態として、発酵茶葉抽出物を含有する筋衛星細胞増殖抑制用外用製品が提供される。
【0031】
なお、本実施形態における、発酵茶葉抽出物の含有量等、その他の成分の種類及び含有量等、外用製品の製剤形態及び用途等については、〔4.筋衛星細胞増殖抑制剤〕で説明したとおりである。
【0032】
〔6.筋衛星細胞増殖抑制用飲食品製品〕
本実施形態に係る飲食品製品は、筋衛星細胞の増殖抑制作用を有する。したがって、本発明の一実施形態として、発酵茶葉抽出物を含有する筋衛星細胞増殖抑制用飲食品製品が提供される。
【0033】
なお、本実施形態における、発酵茶葉抽出物の含有量等、その他の成分の種類及び含有量等、外用製品の製剤形態及び用途等については、〔4.筋衛星細胞増殖抑制剤〕で説明したとおりである。
【実施例0034】
以下、試験例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、以下の試験例等における配合量は特記しない限り質量%を示す。なお、各試験例における培養条件などの試験条件は、特記しない限り、添加する植物抽出物の違いを除いて同じ条件となるように行った。また、全ての試験毎に、植物抽出物を添加しないコントロールを供し、本発明の植物抽出物の効果を正確に評価した。
【0035】
〔試験例1:筋衛星細胞の増殖試験1〕
筋衛星細胞試料を以下のように調製した。
1.筋衛星細胞(HSkMC、LIFELINE社製)を凍結保管していたセラムチューブを細胞保管用液体窒素タンクから取り出し、恒温槽に浸し,懸濁液を融解した。
2.懸濁液を50mL遠沈管に移し,セラムチューブ内を培地で共洗いした。
3.懸濁液に培地(StemLife Sk Comp kit、LIFELINE社製)を加えて、総量を30mLとした。
4.総量30mLのうち、15mLをT75フラスコ2枚に播種した。
5.T75フラスコをCOインキュベーター(37.0℃、5.0%炭酸ガス)に入れた。
6.1日後、培地を交換し、それから1日おきに培地を交換した。
7.COインキュベーターからT75フラスコを取り出し、位相差顕微鏡下で観察し、筋衛星細胞がサブコンフルエントの状態にあることを確認した。
8.トリプシン処理によりT75フラスコから筋衛星細胞を剥離し、50mL遠沈管で回収し,トリパンブルー染色によって筋衛星細胞の生細胞数を計測した。
【0036】
筋衛星細胞増殖試験を以下の方法で行った。
1.筋衛星細胞を2000cells/100uL/wellとなるように96well plateに播種し、24時間培養した(37.0℃、5.0%炭酸ガス)。
2.培地を吸引除去し、各植物抽出物を200uL/wellとなるように添加し、成長因子を含有しない培地で3日間培養した(37.0℃、5.0%炭酸ガス)。
3.培養後培地を除去し、100uLのメタノールで25℃20分間固定した。
4.ペーパータオルの上でプレートを逆さにしてメタノールを除去し、PBSによる洗浄を2回繰り返した。
5.PBSを除去した後、ブロッキング液を添加して室温でシェイカーにかけた(450rpm)。
6.ブロッキング液を除去し、一次抗体(Rb pAb to PAX7(abcam ab187339) 30ulを4℃で1晩反応させた。
7.反応後の液を廃棄し、PBSで1回洗浄した。
8.50ulの二次抗体(Alexa Fluor 633 goat anti-rabbit IgG(H+L)(invitrogen A21070))1/1000、hoechst33342 1/1000in ブロッキング液を添加し,室温の遮光条件下にて1時間シェイカー(450rpm)にかけた。
9.液を廃棄し、PBSで1回洗浄した後、ImageXpress Micro(Molecular Devices社製)にて細胞数を測定した。
10.植物抽出物を添加しないコントロールの細胞数に対する、各試験液の細胞数の割合を筋衛星細胞増殖率として算出した。
【0037】
結果を表1に示す。ダイズ種子抽出物、ウーロン茶葉抽出物を含有する試験液では、筋衛星細胞の増殖が促進された。ダイズ種子抽出物及びウーロン茶葉抽出物を含有する試験液では、筋衛星細胞の増殖がより促進された。
【0038】
【表1】
【0039】
結果を表2に示す。ウーロン茶葉抽出物、宇治茶葉抽出物、京抹茶葉抽出物を含有する試験液では、筋衛星細胞の増殖が促進された。
【0040】
【表2】
【0041】
結果を表3に示す。紅富貴茶葉抽出物を含有する試験液では、筋衛星細胞の増殖が抑制された。
【0042】
【表3】
【0043】
健康や外観印象を維持改善するためには、全身の筋肉の量や質を調節することが重要であり、体の各部位が適切に機能するために必要な筋肉の量や質を調節することも重要である。本発明によると、ダイズ抽出物、半発酵茶葉抽出物及び不発酵茶葉抽出物からなる群より選択される1種以上によって筋衛星細胞の増殖を促進させ、一方で発酵茶葉抽出物によって筋衛星細胞の増殖を抑制することができるから、目的に応じて筋衛星細胞の増殖を制御することができる。