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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025873
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】電子装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3205 20060101AFI20250214BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20250214BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20250214BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
H01L21/88 T
H01L21/88 N
H01L21/88 R
G09F9/33
G09F9/00 348Z
G09F9/00 338
H01L21/92 602J
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023131079
(22)【出願日】2023-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 光一
(72)【発明者】
【氏名】大澤 修一
(72)【発明者】
【氏名】今関 佳克
(72)【発明者】
【氏名】上條 陽一
(72)【発明者】
【氏名】亀井 義史
【テーマコード(参考)】
5C094
5F033
5G435
【Fターム(参考)】
5C094AA21
5C094AA31
5C094BA03
5C094BA23
5C094CA19
5C094DA13
5C094DB01
5C094FA01
5C094FA02
5C094FB01
5C094FB02
5C094FB12
5C094FB15
5C094JA08
5F033HH08
5F033HH18
5F033JJ01
5F033JJ07
5F033JJ08
5F033JJ11
5F033JJ18
5F033KK08
5F033KK18
5F033NN06
5F033NN07
5F033PP15
5F033PP27
5F033QQ08
5F033QQ09
5F033RR21
5F033VV07
5F033XX05
5F033XX17
5F033XX18
5F033XX19
5G435AA14
5G435AA16
5G435BB04
5G435CC09
5G435HH12
5G435HH14
5G435KK05
(57)【要約】
【課題】電子装置の性能を向上させる。
【解決手段】電子装置の端子TM1は、アルミニウムから成る金属層ML2と、金属層ML2の上に配置され、かつ、キャップ膜CP1に接合され、かつ、チタンから成る金属層ML3と、を含んでいる。キャップ膜CP1は、チタンから成り、かつ、金属層ML3に接合されている金属膜MF1を含んでいる。金属膜MF1は、端子TM1の金属層ML3のうち、絶縁層16の開口部16H1において絶縁層16から露出する部分の全体を覆っているコンタクト部CPcと、開口部16H1の外側にあり、かつ、平面視においてコンタクト部CPcの周囲を連続的に囲むように配置されている周縁部CPpと、を含んでいる。金属膜MF1の周縁部CPpと、端子TM1との間には、絶縁層16が介在する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板の上に配置されている第1端子と、
無機材料から成る無機絶縁層であって、前記第1端子を覆う第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に形成されている第1開口部と、
前記第1開口部において、前記第1端子に接続されている第1キャップ膜と、
前記第1キャップ膜を介して前記第1端子と電気的に接続されている第1バンプ電極と、
を有し、
前記第1端子は、
アルミニウムから成る第1金属層と、
前記第1金属層の上に、チタンから成り、かつ、前記第1金属層に密着して配置され、かつ、前記第1開口部において前記第1キャップ膜に接合された第2金属層と、
を含み、
前記第1キャップ膜は、チタンから成り、かつ、前記第1開口部において前記第2金属層に接合されている第1金属膜を含み、
前記第1金属膜は、
前記第1端子の前記第2金属層のうち、前記第1開口部において前記第1絶縁層から露出する部分の全体を覆っているコンタクト部と、
前記第1開口部の外側にあり、かつ、平面視において前記コンタクト部の周囲を連続的に囲むように配置されている周縁部と、
を含み、
前記第1金属膜の前記周縁部と、前記第1端子との間には、前記第1絶縁層が介在する、電子装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1キャップ膜は、前記第1金属膜の上に積層されている第2金属膜をさらに有し、
前記第2金属膜は、アルミニウムまたは銅から成る、電子装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1キャップ膜は、前記第2金属膜の上に積層されている第3金属膜をさらに有し、
前記第2金属膜は、アルミニウムから成り、
前記第3金属膜は、銅から成り、かつ、前記第1金属膜および前記第2金属膜の全体を覆っている、電子装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記第1キャップ膜は、前記第3金属膜の上に積層されている第4金属膜をさらに有し、
前記第1金属膜の一部分は前記第2金属膜から露出しており、
前記第4金属膜は、ニッケルから成り、かつ、前記第3金属膜の全体を覆っている、電子装置。
【請求項5】
請求項2において、
前記第1キャップ膜は、前記第2金属膜の上に積層されている第3金属膜をさらに有し、
前記第2金属膜は、銅から成り、
前記第3金属膜は、ニッケルから成る、電子装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記第1金属膜の一部分は、前記第2金属膜および前記第3金属膜から露出している、電子装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項において、
前記第1キャップ膜の前記第1金属膜の厚さは、前記第1端子の前記第2金属層の厚さよりも厚い、電子装置。
【請求項8】
請求項2から6のいずれか1項において、
前記第1キャップ膜の前記第1金属膜の厚さは、前記第1端子の前記第2金属層の厚さよりも厚く、かつ、前記第2金属膜の厚さよりも薄い、電子装置。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか1項において、
前記第1端子は、チタンから成る第3金属層をさらに含み、
前記第1金属層は、前記第3金属層の上に、前記第3金属層に密着して配置されている、電子装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記第3金属層は、有機材料から成る第2絶縁層の上に前記第2絶縁層に密着して配置されている、電子装置。
【請求項11】
(a)第1基板の上に第1端子を形成する工程と、
(b)前記第1端子を覆うように、無機材料から成る第1絶縁層を形成する工程と、
(c)前記第1絶縁層に第1開口部を形成し、前記第1端子の一部分を前記第1絶縁層から露出させる工程と、
(d)前記第1開口部を覆うように第1キャップ膜を形成する工程と、
(e)前記第1キャップ膜の上にバンプ電極を形成する工程と、
を含み、
前記(a)工程は、
(a1)アルミニウムから成る第1金属層を形成する工程と、
(a2)前記第1金属層の上に、前記第1金属層に密着するように、チタンから成る第2金属層を形成する工程と、
を含み、
前記(d)工程は、
(d1)チタンから成り、かつ、前記第1開口部において前記第2金属層に接合されるように第1金属膜を形成する工程、を含み、
前記第1金属膜は、
前記第1端子の前記第2金属層のうち、前記第1開口部において前記第1絶縁層から露出する部分の全体を覆っているコンタクト部と、
前記第1開口部の外側にあり、かつ、平面視において前記コンタクト部の周囲を連続的に囲むように配置されている周縁部と、
を含み、
前記第1金属膜の前記周縁部と、前記第1端子との間には、前記第1絶縁層が介在する、電子装置の製造方法。
【請求項12】
請求項11において、
前記(d)工程は、(d2)前記第1金属膜の上にアルミニウムまたは銅から成る第2金属膜を積層する工程、をさらに有している、電子装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12において、
前記第2金属膜は、アルミニウムから成り、
前記(d)工程は、(d3)前記第2金属膜の上に銅から成る第3金属膜を積層する工程、をさらに有し、
前記第3金属膜は、前記第1金属膜および前記第2金属膜の全体を覆うように形成される、電子装置の製造方法。
【請求項14】
請求項13において、
前記(d)工程は、(d4)前記第3金属膜の上にニッケルから成る第4金属膜を積層する工程、をさらに有し、
前記第4金属膜は、前記第3金属膜の全体を覆うように形成される、電子装置の製造方法。
【請求項15】
請求項12において、
前記第2金属膜は、銅から成り、
前記(d)工程は、(d3)前記第2金属膜の上にニッケルから成る第3金属膜を積層する工程、をさらに有している、電子装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15において、
前記第1金属膜の一部分は、前記第2金属膜および前記第3金属膜から露出している、電子装置の製造方法。
【請求項17】
請求項11から16のいずれか1項において、
前記(d1)工程では、前記第1キャップ膜の前記第1金属膜の厚さが、前記第1端子の前記第2金属層の厚さよりも厚くなるように形成される、電子装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に配列された複数の電極に電子部品が搭載された電子装置がある。例えば、特開2014-197619号公報(特許文献1)には、基板上に配列された複数の電極にLED(Light Emitting Diode)素子が搭載された電子装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-197619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板上に形成された端子に電子部品が搭載されている電子装置の場合、電子部品の電極と、基板上の端子との接続を容易にするため、基板上にバンプ電極が形成されている場合がある。本願発明者の検討によれば、電子部品を搭載した後の電子装置を観察すると、バンプ電極の周辺にボイドが形成されている場合があることが判った。
【0005】
本発明の目的は、電子装置の性能を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態に係る電子装置は、第1基板と、前記第1基板の上に配置されている第1端子と、無機材料から成る無機絶縁層であって、前記第1端子を覆う第1絶縁層と、前記第1絶縁層に形成されている第1開口部と、前記第1開口部において、前記第1端子に接続されている第1キャップ膜と、前記第1キャップ膜を介して前記第1端子と電気的に接続されている第1バンプ電極と、を有している。前記第1端子は、アルミニウムから成る第1金属層と、前記第1金属層の上に、前記第1金属層に密着して配置され、かつ、前記第1開口部において前記第1キャップ膜に接合され、かつ、チタンから成る第2金属層と、を含んでいる。前記第1キャップ膜は、チタンから成り、かつ、前記第1開口部において前記第2金属層に接合されている第1金属膜を含んでいる。前記第1金属膜は、前記第1端子の前記第2金属層のうち、前記第1開口部において前記第1絶縁層から露出する部分の全体を覆っているコンタクト部と、前記第1開口部の外側にあり、かつ、平面視において前記コンタクト部の周囲を連続的に囲むように配置されている周縁部と、を含んでいる。前記第1金属膜の前記周縁部と、前記第1端子との間には、前記第1絶縁層が介在する。
【0007】
他の実施の形態に係る電子装置の製造方法は、(a)第1基板の上に第1端子を形成する工程と、(b)前記第1端子を覆うように、無機材料から成る第1絶縁層を形成する工程と、(c)前記第1絶縁層に第1開口部を形成し、前記第1端子の一部分を前記第1絶縁層から露出させる工程と、(d)前記第1開口部を覆うように第1キャップ膜を形成する工程と、(e)前記第1キャップ膜の上にバンプ電極を形成する工程と、を含んでいる。前記(a)工程は、(a1)アルミニウムから成る第1金属層を形成する工程と、(a2)前記第1金属層の上に、前記第1金属層に密着するように、チタンから成る第2金属層を形成する工程と、を含んでいる。前記(d)工程は、(d1)チタンから成り、かつ、前記第1開口部において前記第2金属層に接合されるように第1金属膜を形成する工程、を含んでいる。前記第1金属膜は、前記第1端子の前記第2金属層のうち、前記第1開口部において前記第1絶縁層から露出する部分の全体を覆っているコンタクト部と、前記第1開口部の外側にあり、かつ、平面視において前記コンタクト部の周囲を連続的に囲むように配置されている周縁部と、を含んでいる。前記第1金属膜の前記周縁部と、前記第1端子との間には、前記第1絶縁層が介在する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電子装置の一実施形態であるマイクロLED表示装置の構成例を示す平面図である。
図2図1に示す画素周辺の回路の構成例を示す回路図である。
図3図1に示す表示装置の複数の画素のそれぞれに配置されるLED素子の周辺構造の一例を示す透過拡大平面図である。
図4図3のA-A線に沿った拡大断面図である。
図5図3に示す複数の端子のうちの一つを拡大して示す拡大平面図である。
図6図5のB-B線に沿った拡大断面図である。
図7図6に対する検討例を示す拡大断面図である。
図8図6に対する他の検討例を示す拡大断面図である。
図9図4に示す二つの端子のうち、図6とは別の端子を拡大して示す拡大断面図である。
図10】電子装置の一実施態様である表示装置の製造方法の工程フローの一例を示す説明図である。
図11図10の絶縁層形成工程を示す拡大断面図である。
図12図10の開口部形成工程を示す拡大断面図である。
図13図10に示す第1金属膜形成工程を示す拡大断面図である。
図14図10に示す第2金属膜形成工程を示す拡大断面図である。
図15図10に示す第3金属膜形成工程を示す拡大断面図である。
図16図10に示す第4金属膜形成工程を示す拡大断面図である。
図17図6に対する変形例を示す拡大断面図である。
図18図9に対する変形例を示す拡大断面図である。
図19図10に対する変形例である表示装置の製造方法の工程フローの一例を示す説明図である。
図20図19に示すシード層形成工程を示す拡大断面図である。
図21図19に示すレジスト膜形成工程を示す拡大断面図である。
図22図19に示す第2金属層形成工程を示す拡大断面図である。
図23図19に示す第3金属層形成工程を示す拡大断面図である。
図24図19に示すバンプ電極形成工程を示す拡大断面図である。
図25図19に示すレジスト膜除去工程を示す拡大断面図である。
図26図19に示すシード層除去工程を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一または関連する符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
以下の実施の形態では、複数の電子部品を搭載するためのバンプ電極アレイが配列された電子装置の例として、複数のマイクロLED素子が搭載されたマイクロLED表示装置、およびマイクロLED素子が搭載される前のバンプ電極アレイ装置を取り上げて説明する。
【0011】
本願において、特定の部材を構成する材料を説明する際に「部材Aは、Bから成る」という表現を用いる場合がある。これは、「部材Aを構成する材料のうち、重量比で最も多く含んでいる材料がBである」という意味である。このため、部材Aが不純物を含まず、純粋にBのみで構成されている場合の他、不純物としてB以外の材料を含んでいる場合がある。
【0012】
<電子装置>
まず、本実施の形態の電子装置の一態様であるマイクロLED表示装置の構成例について説明する。図1は、一実施形態である表示装置の構成例を示す平面図である。図1では、表示領域DAと周辺領域PFAとの境界、制御回路5、駆動回路6、および複数の画素PIXのそれぞれを二点鎖線で示している。図2は、図1に示す画素周辺の回路の構成例を示す回路図である。なお、図2に示す画素回路PCは、図1に示す一つの画素PIXに対応する等価回路の一例を示している。
【0013】
図1には、X方向およびY方向が示されている。X方向およびY方向は、互いに交差している。以下で説明する例においては、X方向はY方向に直交する。以下では、X方向およびY方向を含むX-Y平面を表示装置の表示面に対して平行な面として説明する。以下の説明において、特に異なる意味で解釈すべきことを明示した場合を除き、「平面視」とは、X-Y平面に平行な面を視た場合を意味する。また、後述するように、X-Y平面に対する法線方向のことを「Z方向」または厚さ方向として説明する。X方向、Y方向およびZ方向は、互いに交差する方向であり、より特定的には互いに直交する方向である。
【0014】
本明細書の説明において、「A」が「B」に「覆われている」と記載する場合がある。「AがBに覆われている」とは、上記したX-Y平面を視た平面視においてAの全体がBと重なっていることを意味する。また、「AがBに覆われている」とは、上記した「厚さ方向(Z方向)において、Aの全体がBと重なっている」と言い換えることもできる。
【0015】
図1に示すように、本実施の形態の表示装置DSP1は、表示領域DAと、表示領域DAの周囲を枠状に囲む周辺領域PFAと、表示領域DA内に行列上に配列された複数の画素PIXと、を有している。また、表示装置DSP1は、基板10と、基板10上に形成された制御回路5と、基板10上に形成された駆動回路6と、を有している。
【0016】
制御回路5は、表示装置DSP1の表示機能の駆動を制御する制御回路である。例えば、制御回路5は、基板10上に実装されたドライバIC(Integrated Circuit)である。図1に示す例では、制御回路5は、基板10が備える4辺のうち、一つの短辺に沿って配置されている。また、本実施の形態の例では、制御回路5は、複数の画素PIXに接続される映像信号線VL(図2参照)を駆動する信号線駆動回路(映像ドライバ)を含んでいる。ただし、制御回路5の位置および構成例は、図1に示す例には限定されず、種々の変形例がある。例えば、図1において、制御回路5として示す位置に、フレキシブル基板などの回路基板が接続され、上記したドライバICは、回路基板上に搭載されている場合がある。また例えば、映像信号線VLを駆動する信号線駆動回路は、制御回路5とは別に形成されている場合がある。
【0017】
駆動回路(走査ドライバ)6は、複数の画素PIXのうち、走査信号線GLB,GLR,GLS(図2参照)を駆動する回路である。駆動回路6は、制御回路5からの制御信号に基づいて、複数の走査信号線を駆動する。図1に示す例では、駆動回路6は、基板10が備える4辺のうち、二つの長辺のそれぞれに沿って配置されている。図1に示す例では、平面視において、表示領域DAは、二つの駆動回路6の間に配置されている。ただし、駆動回路6の位置および構成例は、図1に示す例には限定されず、種々の変形例がある。例えば、図1において、制御回路5として示す位置に、フレキシブル基板などの回路基板が接続され、上記した駆動回路6が回路基板上に搭載されている場合がある。
【0018】
次に、図2を用いて図1に示す画素PIXを駆動する画素回路PCの構成例について説明する。なお、図2では、一つの画素を駆動する一つの画素回路PCを代表的に取り上げて図示している。図1に示す複数の画素PIXのそれぞれが、図2に示す画素回路PCと同様の回路を備えている。画素回路PCは、制御回路5(図1参照)から供給される映像信号Vsgに応じてLED素子(無機発光ダイオード素子、ダイオード素子)20の発光状態を制御する電圧信号方式の回路である。
【0019】
図2に示すように、画素PIXは、LED素子20を備えている。LED素子20は、上記したマイクロ発光ダイオードである。LED素子20はアノード電極20EA(後述する図3参照)およびカソード電極20EC(後述する図3参照)を有している。
【0020】
表示装置DSP1は、表示領域DAにおいて複数種類の配線を備えている。これら配線は、複数の走査信号線GLS,GLR,GLBと、複数の映像信号線VLと、複数の電源線PL1と、複数の電源線PL2と、複数のリセット配線RSLとを含む。
【0021】
走査信号線GLS,GLR,GLBは、X方向に延びており、駆動回路6に接続されている。例えば、図1に示すように、Y方向に並ぶ画素PIXのうち、偶数番目の画素PIXを駆動するための走査信号線GLS,GLR,GLBが一方の駆動回路6に接続され、奇数番目の画素PIXを駆動するための走査信号線GLS,GLR,GLBが他方の駆動回路6に接続されている。他の例として、例えば走査信号線GLS,GLRが全て一方の駆動回路6に接続されるとともに走査信号線GLBが全て他方の駆動回路6に接続されるなど、走査信号線GLS,GLR,GLBのいずれかが一方の駆動回路6に接続され、残りが他方の駆動回路6に接続されている場合もある。
【0022】
映像信号線VL、電源線PL1,PL2およびリセット配線RSLは、Y方向に延びている。映像信号線VLは、制御回路5(図1参照)に接続されている。映像信号線VLには、制御回路5から映像信号Vsgと初期化信号が供給される。電源線PL1には、制御回路5から高電位Pvddが供給される。電源線PL2には、制御回路5から高電位Pvddよりも低い低電位Pvssが供給される。リセット配線RSLには、制御回路5からリセット信号Vrsが供給される。
【0023】
制御回路5は、駆動回路6に図示しないスタートパルス信号やクロック信号を出力する。駆動回路6は複数のシフトレジスタ回路を含んでおり、クロック信号に応じてスタートパルス信号を次段のシフトレジスタ回路に順次転送し、各走査信号線GLS,GLR,GLBに走査信号を順次供給する。
【0024】
画素回路PCは、映像信号線VLに供給される映像信号Vsgに応じてLED素子20を制御する。このような制御を実現するために、本実施形態における画素回路PCは、リセットトランジスタ(スイッチング素子)RST、画素選択トランジスタ(スイッチング素子)SST、出力トランジスタ(スイッチング素子)BCT、駆動トランジスタ(スイッチング素子)DRT、保持容量Csおよび補助容量Cadを有している。補助容量Cadは発光電流量を調整するために設けられる素子であり、場合によっては不要となることもある。
【0025】
リセットトランジスタRST、画素選択トランジスタSST、出力トランジスタBCTおよび駆動トランジスタDRTは、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)から成るスイッチング素子である。薄膜トランジスタの導電型は特に限定されず、例えば、全てのトランジスタがNチャネル型のTFTにより構成されている場合もあるし、これらの少なくとも1つがPチャネル型のTFTにより構成されている場合もある。
【0026】
本実施形態において、リセットトランジスタRST、画素選択トランジスタSST、出力トランジスタBCTおよび駆動トランジスタDRTは、同一工程かつ同一層構造で形成され、半導体層に多結晶シリコンを用いたボトムゲート構造を有している。他の例として、リセットトランジスタRST、画素選択トランジスタSST、出力トランジスタBCTおよび駆動トランジスタDRTは、トップゲート構造を有してもよい。なお、半導体層としては、酸化物半導体や多結晶GaN半導体などを用いる場合がある。
【0027】
リセットトランジスタRST、画素選択トランジスタSST、出力トランジスタBCTおよび駆動トランジスタDRTは、ソース電極、ドレイン電極、およびゲート電極を有している。各トランジスタが備えているゲート電極は制御電極と言い換えることができる。また、各トランジスタが備えているソース電極およびドレイン電極は、単に電極と言い換えることができる。
【0028】
駆動トランジスタDRTおよび出力トランジスタBCTは、電源線PL1と電源線PL2の間でLED素子20と直列に接続されている。電源線PL1に供給される高電位Pvddは例えば10Vに設定され、電源線PL2に供給される低電位Pvssは例えば1.5Vに設定されている。
【0029】
出力トランジスタBCTのドレイン電極は、電源線PL1に接続されている。出力トランジスタBCTのソース電極は、駆動トランジスタDRTのドレイン電極に接続されている。出力トランジスタBCTのゲート電極は、走査信号線GLBに接続されている。出力トランジスタBCTは、走査信号線GLBに与えられる制御信号Gsbによりオン、オフされる。ここで、オンは導通状態を表し、オフは非導通状態を表す。出力トランジスタBCTは、制御信号Gsbに基づきLED素子20の発光時間を制御する。
【0030】
駆動トランジスタDRTのソース電極は、LED素子20の一方の電極(ここではアノード電極20EA)に接続されている。LED素子20の他方の電極(ここではカソード電極20EC)は、電源線PL2に接続されている。駆動トランジスタDRTは、映像信号Vsgに応じた駆動電流をLED素子20に出力する。
【0031】
画素選択トランジスタSSTのソース電極は、映像信号線VLに接続されている。画素選択トランジスタSSTのドレイン電極は、駆動トランジスタDRTのゲート電極に接続されている。画素選択トランジスタSSTのゲート電極は、信号書き込み制御用のゲート配線として機能する走査信号線GLSに接続されている。画素選択トランジスタSSTは、走査信号線GLSから供給される制御信号Gssによりオン、オフされ、画素回路PCと映像信号線VLの接続および非接続を切り替える。すなわち、画素選択トランジスタSSTがオンされることにより、映像信号線VLの映像信号Vsgまたは初期化信号が駆動トランジスタDRTのゲート電極に供給される。
【0032】
リセットトランジスタRSTのソース電極は、リセット配線RSLに接続されている。リセットトランジスタRSTのドレイン電極は、駆動トランジスタDRTのソース電極およびLED素子20の陽極に接続されている。リセットトランジスタRSTのゲート電極は、リセット制御用ゲート配線として機能する走査信号線GLRに接続されている。リセットトランジスタRSTは、走査信号線GLRから供給される制御信号Grsによりオン、オフされる。リセットトランジスタRSTがオンに切り替えられることにより、駆動トランジスタDRTのソース電極およびLED素子20の陽極の電位をリセット配線RSLのリセット信号Vrsによりリセットすることができる。すなわち、リセット配線RSLは、LED素子20の電圧をリセットするための配線である。
【0033】
保持容量Csは、駆動トランジスタDRTのゲート電極とソース電極の間に接続されている。補助容量Cadは、駆動トランジスタDRTのソース電極と電源線PL2の間に接続されている。
【0034】
制御信号Gss,Grs,Gsbは、駆動回路6が上述のスタートパルス信号およびクロック信号に基づいて、各ライン(X方向に並ぶ一連の画素PIX)の走査信号線GLS,GLR,GLBに対し順次供給される。また、図2に示した制御回路5から供給される信号に基づいて、制御回路5が各映像信号線VLに映像信号Vsgおよび初期化信号を順次供給する。映像信号Vsgの供給に伴い保持容量Csに保持された電荷は、初期化信号の供給に伴い初期化される。
【0035】
以上のような構成においては、走査信号線GLS,GLR,GLBに供給される制御信号Gss,Grs,Gsbによって画素回路PCが駆動され、映像信号線VLの映像信号Vsgに応じた輝度でLED素子20が発光する。
【0036】
<LED素子の周辺構造>
次に、図1に示す画素PIXに配置されるLED素子の周辺構造について説明する。図3は、図1に示す表示装置の複数の画素のそれぞれに配置されるLED素子の周辺構造の一例を示す透過拡大平面図である。図4は、図3のA-A線に沿った拡大断面図である。
【0037】
図3では、図4に示す配線層WL4に配置された導体パターンおよびキャップ膜CP1,CP2を実線で示している。図3では、LED素子20およびLED素子20が備えている電極の輪郭を二点鎖線で示している。また、図3に示す画素PIXA、画素PIXB、および画素PIXCのそれぞれは同じ構造を有している。このため、図4では、代表例として画素PIXA(図3参照)の構造を示しているが、図3に示す、画素PIXB、および画素PIXCも同様の断面構造を備えている。
【0038】
以下の説明において、端子TM1、端子TM2という用語を用いて説明するが、「端子」は、外部機器を電気的に接続するための端子部を含む導体パターンの意味であり、「端子パターン」と読みかえて適用することができる。
【0039】
また、図2に示す画素回路PCは、図3に示す画素PIXA、画素PIXB、および画素PIXCのそれぞれに対応した回路である。したがって、図3に示す画素PIXA、画素PIXB、および画素PIXCのそれぞれは、図2を用いて説明したリセットトランジスタRST、画素選択トランジスタSST、出力トランジスタBCTおよび駆動トランジスタDRTを備えている。同様に、図3に示す画素PIXA、画素PIXB、および画素PIXCのそれぞれは、図2を用いて説明した保持容量Csおよび補助容量Cadを有している。
【0040】
図4に示すように、表示装置DSP1は、基板構造体SUB1と、基板構造体SUB1の上に搭載されたLED素子(無機発光ダイオード素子)20と、を有している。表示装置DSP1の基板構造体SUB1は、複数の配線層の間に配置された複数の絶縁層を有している。LED素子20は、複数の配線層のうち、最上層に配置されている配線層WL4の上に搭載されている。
【0041】
表示装置DSP1の基板構造体SUB1は、基板10を有している。基板10は、面10fおよび面10fの反対側の面10bを有する。複数の配線層および複数の絶縁層は、基板10の面10f上に積層されている。基板10は、例えばガラスから成るガラス基板である。ただし、基板10を構成する材料には種々の変形例があり、例えば、樹脂からなる樹脂基板を用いる場合もある。
【0042】
基板構造体SUB1は、スイッチング素子としてのトランジスタを有している。図4では、基板10の上に配置されたスイッチング素子の例として、駆動トランジスタDRTを図示している。ただし、基板10の上(詳しくは絶縁層11の上)には、図2を用いて説明したリセットトランジスタRST、画素選択トランジスタSST、出力トランジスタBCT、および駆動トランジスタDRTのそれぞれが配置されている。図2に示すリセットトランジスタRST、画素選択トランジスタSST、出力トランジスタBCT、および駆動トランジスタDRTのそれぞれは、後述する図4に示す駆動トランジスタDRTと同様な構造になっている。
【0043】
図3に示すように表示装置DSP1は複数のLED素子20を有している。図3では、表示装置が有する複数のLED素子20のうち、LED素子20Aと、LED素子20Aの隣に配置されているLED素子20Bと、LED素子20Bの隣に配置されているLED素子20Cと、を図示している。
【0044】
図4に示すように、LED素子20は、面20fおよび面20fの反対側の面20bを備えている。また、LED素子20は、面20fに配列された複数の(図3では2個の)電極を備えている。LED素子20が備えている複数の電極は、アノード電極20EAおよびカソード電極20ECを含む。アノード電極20EAは、バンプ電極30を介して端子TM1と電気的に接続されている。カソード電極20ECは、バンプ電極31を介して端子TM2と電気的に接続されている。
【0045】
端子TM1および端子TM2は、基板構造体SUB1が備える導体パターンのうち、LED素子20と基板構造体SUB1とを電気的に接続するための「端子」として機能する部分を含む導体パターンである。端子TM1および端子TM2のそれぞれは、基板10の上に配置されている。
【0046】
表示装置DSP1は、基板構造体SUB1上に搭載された複数のLED素子20のそれぞれを駆動することにより、画像を表示する。
【0047】
図4に示す例の場合、表示装置DSP1が備えている複数の配線層は、配線層WL4から基板10に向かって順に積層された、配線層WL4、配線層WL3、配線層WL2、および配線層WL1を有している。また、表示装置DSP1が備えている複数の絶縁層は、基板10の面10f上から順に積層された絶縁層11,12,13,14,15,16を有している。
【0048】
絶縁層11は薄膜トランジスタの下地層であり、無機材料から成る無機絶縁層である。配線層WL1は、絶縁層11上に配置され、絶縁層12に覆われている。配線層WL1に形成された導体パターンは、図4に示すゲート電極EGや、図2を用いて説明した走査信号線GLB,GLS,GLRなどを含んでいる。絶縁層12も無機材料から成る無機絶縁層である。絶縁層12のうち、トランジスタのゲート電極EGと半導体層50との間に配置されている部分は、ゲート絶縁膜として機能する。
【0049】
ゲート電極EGを含む駆動トランジスタDRTは、半導体層50、ゲート電極EG、ソース電極ES、およびドレイン電極EDを有している。図4に示す例では、ボトムゲート構造の薄膜トランジスタを一例として示しているが、上記したようにトップゲート構造とする場合もある。ゲート電極EGは、絶縁層11上に配置されている。半導体層50は、絶縁層12上に配置されている。半導体層50の一部分はソース領域に相当し、ソース領域にはソース電極ESが接続されている。半導体層50の他の一部分はドレイン領域に相当し、ドレイン領域にはドレイン電極EDが接続されている。ソース領域とドレイン領域との間の領域は、チャネル領域として機能する。
【0050】
配線層WL2は、駆動トランジスタDRTを覆う絶縁層13上に配置されている。絶縁層13は無機材料から成る無機絶縁層である。配線層WL2に形成された導体パターンは、複数のトランジスタのそれぞれに接続された配線を含んでいる。例えば、図4に示すように、駆動トランジスタDRTのソース電極ESに接続された配線パターンMW1は、配線層WL2に含まれる。また、配線層WL2に形成された導体パターンは、図2に示す映像信号線VLと、電源線PL1と、電源線PL2と、リセット配線RSLとを含んでいる。
【0051】
配線層WL2は、絶縁層14に形成されたコンタクトホールCH3を介して導体パターンMP1と電気的に接続され、かつ、駆動トランジスタDRTの電極(ソース電極ES)と電気的に接続された配線パターンMW1を含んでいる。
【0052】
配線層WL2を覆う絶縁層14、および絶縁層14上に積層されている絶縁層15のそれぞれは、有機材料から成る有機絶縁膜である。絶縁層14は配線層WL2と配線層WL3との間に配置された絶縁層である。絶縁層15は、配線層WL3と配線層WL4との間に配置された絶縁層である。図4に示すように配線層WL2と配線層WL3との電気的な接続、および配線層WL3と配線層WL4との電気的な接続には、コンタクトホールが用いられる。有機絶縁層は、無機絶縁層と比較した開口部(例えばコンタクトホール)に対する埋め込み特性が優れている。言い換えれば、有機絶縁層の場合、下地に開口部があった場合でも、上面を平坦化し易い。このため、多数のコンタクトホールが形成されている絶縁層14および絶縁層15のそれぞれは有機材料から成る。絶縁層14および絶縁層15を構成する有機材料として、例えばアクリル樹脂を例示することができる。
【0053】
図4では、基板構造体SUB1が備えている多数のコンタクトホールのうち、コンタクトホールCH1,CH2,CH3を示している。コンタクトホールCH1は、端子TM1と配線層WL3の導体パターンMP1とを接続する開口部である。コンタクトホールCH2は端子TM2と配線層WL3の導体パターンMP2とを接続する開口部である。コンタクトホールCH3は、配線層WL3の導体パターンMP1と配線層WL2の配線パターンMW1とを接続するための開口部である。
【0054】
配線層WL3は、絶縁層15に形成されたコンタクトホールCH1を介して端子TM1と電気的に接続された導体パターンMP1と、導体パターンMP1と同じ金属から成り、絶縁層15に形成されたコンタクトホールCH2を介して端子TM2と電気的に接続された導体パターンMP2と、を含んでいる。
【0055】
導体パターンMP1は、コンタクトホールCH1の底面において、端子TM1に接続されている平坦部分と、コンタクトホールCH3に埋め込まれ、配線層WL2に接続されたコンタクト部分と、を有している。図3に示すように、導体パターンMP2は、複数の画素PIXに跨って広がる大面積パターンである。
【0056】
図4に示す導体パターンMP1、導体パターンMP2、端子TM1、および端子TM2のそれぞれは、例えば同じ金属材料から成る。詳細は後述するが、本実施の形態の場合、導体パターンMP1、導体パターンMP2、端子TM1、および端子TM2のそれぞれは、チタンから成るチタン層、アルミニウムから成るアルミニウム層、およびチタンから成るチタン層の積層膜である。
【0057】
配線層WL4は、複数の配線層のうち、最上層に配置された配線層である。配線層WL4は、LED素子20Aのアノード電極20EAと電気的に接続された端子(導体パターン)TM1と、LED素子20Aのカソード電極20ECと電気的に接続された端子(導体パターン)TM2と、を含んでいる。
【0058】
配線層WL4は、無機材料から成る絶縁層16に覆われている。絶縁層16は、例えば窒化珪素、あるいは酸化珪素から成る無機絶縁層である。端子TM1および端子TM2のそれぞれは、絶縁層16に覆われている。
【0059】
詳しくは、端子TM1は、絶縁層16の開口部においてキャップ膜CP1に接続されている端子部分(平坦部分とも言える)と、コンタクトホールCH1に埋め込まれ、配線層WL3に接続されたコンタクト部分と、を有している。コンタクト部分は、絶縁層16に覆われている。同様に、端子TM2は、絶縁層16の開口部においてキャップ膜CP2に接続されている端子部分と、コンタクトホールCH2に埋め込まれ、配線層WL3に接続されたコンタクト部分と、を有している。コンタクト部分は、絶縁層16に覆われている。端子TM1,TM2のそれぞれは、基板構造体SUB1の外部端子である。
【0060】
絶縁層16には部分的に開口部16H1が形成されている。配線層WL4に配置されている端子TM1は、絶縁層16に形成された開口部16H1において、キャップ膜CP1と接続されている。同様に、配線層WL4に配置されている端子TM2は、絶縁層16に形成された開口部16H2において、キャップ膜CP2と接続されている。
【0061】
詳しくは、開口部16H1の底において、キャップ膜CP1と端子TM1とは接合されている。また、開口部16H2の底において、キャップ膜CP2と端子TM2とは接合されている。開口部16H1の底とは、開口部16H1のうち、絶縁層16を貫通している部分、言い換えれば、端子TM1の一部分が絶縁層16から露出している部分の事をいう。
【0062】
詳細は後述するが、キャップ膜CP1およびキャップ膜CP2のそれぞれは、チタンから成るチタン膜を含んでいる。チタン膜は、端子TM1または端子TM2との接合界面に配置されている。
【0063】
バンプ電極30は、キャップ膜CP1を介して端子TM1と電気的に接続されている。バンプ電極31は、キャップ膜CP2を介して端子TM2と電気的に接続されている。また、LED素子20Aのアノード電極20EAは、バンプ電極30およびキャップ膜CP1を介して端子TM1と電気的に接続されている。LED素子20Aのカソード電極20ECは、バンプ電極31およびキャップ膜CP2を介して端子TM2と電気的に接続されている。
【0064】
バンプ電極30およびバンプ電極31のそれぞれは、例えば錫から成る。
【0065】
<キャップ膜およびバンプ電極について>
図5は、図3に示す複数の端子のうちの一つを拡大して示す拡大平面図である。図6は、図5のB-B線に沿った拡大断面図である。図5では、図6に示すキャップ膜CP1が備えている複数の金属膜のうち、最下層に配置された金属膜MF1を実線で示している。図5では、図6に示すキャップ膜CP1が備えている複数の金属膜のうち、最上層に配置された金属膜MF4の輪郭と、バンプ電極30の輪郭と、を二点鎖線で示している。図5では、端子TM1の輪郭を点線で示している。
【0066】
図6に示すように、端子TM1は、有機材料から成る絶縁層15の上に順に積層された金属層ML1、金属層ML2、および金属層ML3を有している。金属層ML1は、チタンから成る。金属層ML1は、絶縁層15上に、絶縁層15に密着して配置されている。金属層ML2は、アルミニウムから成る。金属層ML2は、金属層ML1の上に、金属層ML3に密着して配置されている。金属層ML3は、チタンから成る。金属層ML3は、金属層ML2の上に、金属層ML2に密着して配置されている。金属層ML3は、開口部16H1の底においてキャップ膜CP1に接合されている。
【0067】
金属層ML2は、導体パターンである端子TM1の主たる導電層である。このため金属層ML2の厚さ(例えば、500nm)は、金属層ML1の厚さ(例えば50nm)および金属層ML3の厚さ(例えば50nm)よりも厚い。
【0068】
金属層ML2を構成するアルミニウムは、電気伝導度が高い点、あるいはパターン加工が容易である点、配線パターンや端子パターンを構成する材料として好適である。ただし、配線パターンの熱膨張に伴って生じるストレスに起因する配線パターンの損傷、あるいはエレクトロマイグレーションを抑制する観点から、金属層ML3に密着するようにチタン膜が配置されていることが好ましい。図6に示す例では、金属層ML2が金属層ML1と金属層ML3との間に挟まれている実施態様を示している。ただし、変形例として、金属層ML1が設けられていない場合がある。
【0069】
キャップ膜CP1は、チタンから成り、かつ、開口部16H1の底において金属層ML3に接合されている金属膜MF1を含んでいる。図6に示す例の場合、キャップ膜CP1は、金属膜MF1上に積層された金属膜MF2、金属膜MF3および金属膜MF4のそれぞれを有している。金属膜MF2、金属膜MF3および金属膜MF4の詳細は後述する。
【0070】
金属膜MF1は、図6に示す端子TM1の金属層ML3のうち、開口部16H1の底において絶縁層16から露出する部分の全体を覆っているコンタクト部CPcを有している。金属膜MF1は、開口部16H1の外側にあり、かつ、図5に示すように、平面視においてコンタクト部CPcの周囲を連続的に囲むように配置されている周縁部CPpを含んでいる。「平面視において、コンタクト部CPcの周囲を連続的に囲む」とは図5に示すように、周辺部CPpが途中で分断されていない状態であることを意味する。図6に示すように、断面視において、金属膜MF1は、コンタクト部CPcと周辺部CPpとの間に開口部16H1の側面に沿って延びている部分を有している。このため、コンタクト部CPcと周辺部CPpとは、離間している。
【0071】
図6に示すように、金属膜MF1の周縁部CPpと、端子TM1との間には、絶縁層16が介在する。以下、図6に対する検討例を示す図7および図8を用いて説明する。図7および図8のそれぞれは、図6に対する検討例を示す拡大断面図である。
【0072】
図7に示す表示装置DSP2は、端子TM3の構造が図6に示す端子TM1と相違する。また、表示装置DSP2は、キャップ膜CP3の構造が図6に示すキャップ膜CP1と相違する。
【0073】
図7に示す端子TM3は、チタンから成る金属層ML1と、アルミニウムから成る金属層ML2と、を有する積層膜である。積層された金属層のうち、キャップ膜CP3との接合界面には、金属層ML2が配置されている。また、図7に示すキャップ膜CP3は、銅から成る金属膜MF3と、ニッケルから成る金属膜MF4と、を有する積層膜である。積層された金属膜のうち、端子TM3との接合界面には、金属膜MF3が配置されている。すなわち、図7に示す検討例の場合、端子TM3とキャップ膜CP3との接合界面において、アルミニウムと銅が接合されている。
【0074】
表示装置DSP2の製造工程において、端子TM3上にキャップ膜CP3を形成する工程は以下のように実施される。すなわち、端子TM3を形成した後、端子TM3を覆うように絶縁層16を形成する。次に、端子TM3の一部分が絶縁層16から露出するように開口部を形成する。次に、絶縁層16の開口部から露出する金属層ML2の表面に形成された酸化アルミニウム膜を除去する。酸化アルミニウム膜を除去する方法としては、例えば、所謂ジンケート処理を用いることができる。
【0075】
次に、絶縁層16の開口部から露出する金属層ML2の表面にキャップ膜CP3の金属膜MF3を電気メッキ法により形成する。本願発明者の検討によれば、金属膜MF3を形成するメッキ工程において、金属層ML2の一部分が銅メッキ用のメッキ液に浸食されることが判った。バンプ電極30と端子TM3とを電気的に接続する部分の抵抗を低減させる観点からは、銅から成る金属膜MF3の厚さは厚い方がよい。
【0076】
ところが、上記の通り、金属層ML2の一部分が銅メッキ用のメッキ液に浸食されるので、金属膜MF3の厚さを厚くしようとする程、浸食が進行し、図7に示すように絶縁層16と金属層ML2との間に空洞(ボイド)32が発生する。表示装置DSP2の製造工程、あるいは、完成した表示装置DSP2に温度サイクル負荷が印加された場合、空洞32内の気体(例えば空気)が膨張および収縮を繰り返す。このため、空洞32の周辺の部材には、応力が印加される。この応力の程度によっては、絶縁層16の破壊、あるいは、端子TM3とキャップ膜CP3との接続界面の剥離が生じる場合がある。つまり、表示装置DSP2の場合、空洞32が生じることにより、バンプ電極30の周辺における電気的な接続信頼性が低下する懸念がある。
【0077】
次に、図8に示す表示装置DSP3は、キャップ膜CP4の構造が図6に示すキャップ膜CP1と相違する。
【0078】
表示装置DSP3の場合、キャップ膜CP4との接合界面には、チタンから成る金属層ML3が配置されている。このため、銅から成る金属膜MF3を形成する工程において、金属層ML2の一部分が銅メッキ用のメッキ液に浸食されることを防止できる。また、金属膜MF3の形成方法として、以下の方法を適用することができる。
【0079】
すなわち、まず、スパッタ法により絶縁層16の表面、および開口部において絶縁層16から露出する端子TM1の表面に銅シード層を形成する。次に銅シード層を覆うように、図示しないレジストマスクを形成した後、フォトリソグラフィによりレジストマスクに開口部を形成する。次に、レジストマスクの開口部においてレジストマスクから露出している銅シード層に、例えば電気メッキ法により銅膜を成長させる。その後、レジストマスクの開口部を利用して、銅膜上に、ニッケルから成る金属膜MF4および錫から成るバンプ電極30を形成する。その後、レジストマスク、および銅シード層のうち、バンプ電極30と重なっていない部分を除去することで図8に示す表示装置DSP3のバンプ構造が得られる。
【0080】
ところが、表示装置DSP3の場合、端子TM1とキャップ膜CP4との接合界面では、異種金属が接合されている。このため、キャップ膜CP4の金属膜MF3を形成する前にチタン酸化膜の除去、あるいは、カーボンなどの汚れを除去するための処理を十分に行う必要がある。
【0081】
チタン酸化膜の除去、あるいは、カーボンなどの汚れを除去するための処理は、例えば、以下の方法が例示できる。すなわち、被処理対象基板が配置された真空容器にプロセスガス(例えばアルゴンガス)を導入する。この状態で、被処理対象基板の処理対象部分(本検討例では、端子TM1)に電圧を印加することでグロー放電が発生し、グロー放電により発生したプラズマが処理対象部分に衝突する。この衝突のエネルギーにより、チタン酸化膜やカーボンなどを除去することができる。以下、この方法を逆スパッタ法と呼ぶ。
【0082】
逆スパッタ法は、印加する電力およびプロセスガスの圧力を調整することにより、被処理対象部分に衝突するプラズマのエネルギーを調整することができる。表示装置DSP3は、異種金属を接合するための前処理でとして逆スパッタ法を用いるので、ある程度高いエネルギーのプラズマを衝突させる必要がある。このため、図8に拡大して示すように、絶縁層16と金属層ML3との間に空洞(ボイド)32が発生する場合がある。
【0083】
また、上記したように、銅シード層を利用して金属膜MF3を形成する場合、バンプ電極30の周囲の銅シード層を除去する工程において、エッチング処理により銅シード層を除去する。この時、エッチングの程度によっては、金属膜MF3の一部分がエッチングされ、端子TM1の金属層ML3の一部が露出してしまう懸念がある。この場合、金属膜MF3と絶縁層16との間に形成された隙間が、図7を用いて説明した空洞32と同様に表示装置DSP3の電気的な接続信頼性を低下させる原因となる場合がある。
【0084】
上記を踏まえ、図6に示す表示装置DSP1は、図7に示す表示装置DSP2や図8に示す表示装置DSP3と比較して以下の点で優れている。
【0085】
まず、表示装置DSP1の端子TM1は、キャップ膜CP1との接合界面には、チタンから成る金属層ML3が配置されている。このため、キャップ膜CP1を形成する工程において、銅から成る金属膜MF3を形成する工程において、電気メッキ法を利用した場合でも、金属層ML2の一部分が銅メッキ用のメッキ液に浸食されることを防止できる。
【0086】
また、キャップ膜CP1は、端子TM1との接合界面に、金属層ML3と同じチタンから成る金属膜MF1を備えている。このため、金属膜MF1を形成する工程の前に実施する前処理工程(チタン酸化膜を除去する工程)における金属層ML3のダメージを低減させることができる。
【0087】
例えば金属膜MF1の表面にチタン酸化膜が形成されている状態で金属膜MF1を形成した場合でも、接合強度を高くすることができる。また、チタン酸化膜の厚さが厚い場合には、逆スパッタ処理を行う場合がある。ただし、表示相違DSP1の製造工程においては、チタン酸化膜を完全に除去する必要はないので、図8に示す空洞32が形成されない程度のエネルギーで端子TM1にプラズマが衝突するように調整することができる。この結果、図7図8に示す空洞32の発生を防止できる。
【0088】
また、上記したように、金属膜MF1は、図6に示す端子TM1の金属層ML3のうち、開口部16H1の底において絶縁層16から露出する部分の全体を覆っているコンタクト部CPcを有している。金属膜MF1は、開口部16H1の外側にあり、かつ、図5に示すように、平面視においてコンタクト部CPcの周囲を連続的に囲むように配置されている周縁部CPpを含んでいる。言い換えれば、開口部16H1の底およびその周囲は、チタンから成る金属膜MF1に覆われている。
【0089】
このため、銅シード層を利用して金属膜MF3を形成する場合に銅シード層を除去する工程で銅膜が多く除去された場合でも、絶縁層16と金属膜MF1との間には隙間が生じない。
【0090】
このように、本実施の形態の表示装置DSP1は、図7および図8に示す空洞32(あるいは上記した隙間)の発生に起因する接続信頼性の低下を防止することができる点で図7に示す表示装置DSP2や図8に示す表示装置DSP3よりも優れている。
【0091】
また、図6に示す例では、キャップ膜CP1の金属膜MF1の厚さTF1は、端子TM1の金属層ML3の厚さTL3よりも厚い。金属膜MF1の損傷を抑制する観点からは、キャップ膜CP1の最下層に配置される金属膜MF1の厚さを厚くすることが好ましい。
【0092】
キャップ膜CP1は、金属膜MF1の上に積層されている金属膜MF2を有している。金属膜MF2は、アルミニウムから成る。図示は省略するが、図6に示す例に対する変形例として、金属膜MF1のみをキャップ膜CP1として、金属膜MF1上にバンプ電極30を形成する場合がある。あるいは、変形例として後述するように、金属膜MF1上に密着するように銅から成る金属膜MF3を積層する場合がある。
【0093】
図6に示す例のように、銅から成る金属膜MF3とチタンから成る金属膜MF1との間に、アルミニウムから成る金属膜MF2が介在することにより、金属膜MF2上に直接的に電気メッキ法により金属膜MF3を形成することができる。また、金属膜MF2は、金属膜MF1を構成するチタンよりも電気伝導度が高い金属から成る。このため、金属膜MF1のみをキャップ膜CP1とする場合と比較してバンプ電極30と端子TM1とを電気的に接続する経路のインピーダンスを低減できる。
【0094】
キャップ膜CP1の金属膜MF1の厚さTF1は、キャップ膜CP1の金属膜MF2の厚さTF2よりも薄い。上記したように、バンプ電極30と端子TM1とを電気的に接続する経路のインピーダンスを低減させる観点からは、金属膜MF1の厚さTF1よりも金属膜MF2の厚さTF2が厚くなっていることが好ましい。
【0095】
また、図6に示す例の場合、キャップ膜CP1は、金属膜MF2の上に積層されている金属膜MF3を有している。金属膜MF3は、銅から成り、かつ、金属膜MF1および金属膜MF2の全体を覆っている。銅はアルミニウムよりも電気伝導度が高い。このため、バンプ電極30と端子TM1との間に銅から成る金属膜MF3を介在させることにより、バンプ電極30と端子TM1とを電気的に接続する経路のインピーダンスをさらに低減させることができる。
【0096】
また、図6に示す例の場合、キャップ膜CP1は、金属膜MF3の上に積層されている金属膜MF4をさらに有している。金属膜MF1の一部分は金属膜MF2から露出している。金属膜MF4は、ニッケルから成り、かつ、金属膜MF3の全体を覆っている。
【0097】
キャップ膜CP1の最上層にニッケルから成る金属膜MF4が形成されていることにより、錫から成るバンプ電極30とキャップ膜CP1との接合強度を向上させることができる。
【0098】
また、図4に示す端子TM2に関しては、図9に示すように、端子TM2がコンタクトホールCH2と重なる位置に形成されている点を除き、図6に示す端子TM1と同様である。図9は、図4に示す二つの端子のうち、図6とは別の端子を拡大して示す拡大断面図である。
【0099】
図9に示すように、端子TM2の一部は、配線層WL3に配置されている導体パターンMP2に接続されている。詳しくは、絶縁層15に形成されたコンタクトホールCH2の底において、端子TM2は導体パターンMP2に接合されている。
【0100】
端子TM2および導体パターンMP2のそれぞれは、有機材料から成る絶縁層15の上に順に積層された金属層ML1、金属層ML2、および金属層ML3を有している。金属層ML1は、チタンから成る。端子TM2の金属層ML1は、絶縁層15上に、絶縁層15に密着して配置されている。金属層ML2は、アルミニウムから成る。金属層ML2は、金属層ML1の上に、金属層ML3に密着して配置されている。金属層ML3は、チタンから成る。金属層ML3は、金属層ML2の上に、金属層ML2に密着して配置されている。端子TM2の金属層ML3は、開口部16H2の底においてキャップ膜CP2に接合されている。端子TM2の金属層ML1は、コンタクトホールCH2の底において、導体パターンMP2の金属層ML3に接合されている。
【0101】
端子TM2が備えている金属層ML1、金属層ML2、および金属層ML3は、図6を用いて説明した端子TM1が備えている金属層ML1、金属層ML2、および金属層ML3とそれぞれ同様なので重複する説明は省略する。
【0102】
キャップ膜CP2は、チタンから成り、かつ、開口部16H2の底において金属層ML3に接合されている金属膜MF1を含んでいる。図9に示す例の場合、キャップ膜CP2は、金属膜MF1上に積層された金属膜MF2、金属膜MF3および金属膜MF4のそれぞれを有している。キャップ膜CP2が備えている金属膜MF1、金属膜MF2、金属膜MF3および金属膜MF4は、図6を用いて説明した金属膜MF1、金属膜MF2、金属膜MF3および金属膜MF4とそれぞれ同様なので重複する説明は省略する。
【0103】
ただし、キャップ膜CP2の場合、金属膜MF1の一部分(および金属膜MF2の一部分)がコンタクトホールCH2内に埋め込まれている点で、図6に示すキャップ膜CP1と相違する。
【0104】
<電子装置の製造方法>
次に、本実施の形態の電子装置の製造方法として、図4に示す表示装置の製造方法について説明する。図10は、電子装置の一実施態様である表示装置の製造方法の工程フローの一例を示す説明図である。図10に示すように、本実施の形態の電子装置の製造方法は、基板構造体準備工程と、バンプ電極形成工程と、電子部品実装工程と、を有している。なお、電子部品を実装する前の基板構造体を半製品として出荷する場合には、電子部品実装工程は省略することができる。
【0105】
基板構造体準備工程では、図4に示すバンプ電極30およびバンプ電極31が形成される前の状態の基板構造体SUB1を準備する。図10に示すように、基板構造体準備工程は、端子形成工程と、絶縁層形成工程と、開口部形成工程と、キャップ膜形成工程と、を含んでいる。
【0106】
なお、図10では図示を省略したが、基板構造体準備工程は、端子形成工程の前に実施される以下の工程を含んでいる。すなわち、基板構造体準備工程では、まず、ガラスまたは樹脂から成る基板10を準備する(基板準備工程)。基板構造体準備工程は、図2または図4に示す部材が基板10の上に積層される配線層積層工程を含んでいる。配線層積層工程では、基板10の面10f上に絶縁層11、配線層WL1、絶縁層12、半導体素子(例えば図4に示す駆動トランジスタDRT)、絶縁層13、配線層WL2、絶縁層14、配線層WL3、および絶縁層15のそれぞれが順に積層される。絶縁層15には、コンタクトホールCH1およびコンタクトホールCH2が形成される。
【0107】
<端子形成工程>
図10に示す例では、端子形成工程は、第1金属層形成工程、第2金属層形成工程、および第3金属層形成工程を含んでいる。
【0108】
第1金属層形成工程では、図6に示す端子TM1の最下層、または図9に示す端子TM2の最下層に位置する金属層ML1が形成される。金属層ML1は、既に説明した通り、チタンから成る金属層であり、それぞれ絶縁層15に密着するように形成される。
【0109】
なお、図4に示すコンタクトホールCH1およびコンタクトホールCH2のそれぞれの底では、金属層ML1(図9参照)が配線層WL3に形成されている導体パターン(図4に示す導体パターンMP1または導体パターンMP2)に接合される。コンタクトホールCH1およびコンタクトホールCH2が形成された後、配線層WL3の最表面(最上層)に酸化膜が形成されている場合、この酸化膜を除去するための処理(例えば逆スパッタによる酸化膜除去)を行う場合がある。
【0110】
配線層WL3に形成されている導体パターンMP1および導体パターンMP2のそれぞれは、図9に示すように、最表面(最上層)にチタンから成る金属層ML3が形成されている。このため、図4に示す導体パターンMP1と端子TM1との接合界面、および導体パターンMP2と端子TM2との接合界面では、それぞれチタン膜が接合される。このため、チタン酸化膜を完全に除去する必要はない。したがって、仮に逆スパッタ法による酸化膜除去を行う場合でも、既に説明した空洞32(図32参照)が形成されない程度のエネルギーで配線層WL3にプラズマが衝突するように調整することができる。
【0111】
次に、第2金属層形成工程では、図6に示す端子TM1、または図9に示す端子TM2を構成する金属層ML2が形成される。金属層ML2は、既に説明した通り、アルミニウムから成る金属層であり、金属層ML1に密着するように形成される。なお、本実施の形態に対する変形例として、金属層ML1を形成しない場合には、図10に示す第1金属層形成工程は省略される。この場合、アルミニウムから成る金属層ML2は、絶縁層15に密着するように形成される。
【0112】
次に、第3金属層形成工程では、図6に示す端子TM1、または図9に示す端子TM2を構成する金属層ML3が形成される。金属層ML3は、既に説明した通り、チタンから成る金属層であり、金属層ML2に密着するように形成される。
【0113】
<絶縁層形成工程>
次に、図10に示す絶縁層形成工程では、図11に示すように、絶縁層16を形成する。図11は、図10の絶縁層形成工程を示す拡大断面図である。
【0114】
絶縁層形成工程では、絶縁層16は、端子TM1および端子TM2のそれぞれを覆うように形成される。絶縁層16は、上記したように窒化珪素などの無機絶縁膜である。このため、絶縁層16の凹凸に対する平坦化特性は、有機絶縁膜である絶縁層15と比較して低い。この結果、絶縁層16は、絶縁層15上に形成されている配線層WL4の凹凸に倣った凹凸を備えた上面を持つ。
【0115】
<開口部形成工程>
次に、図10に示す開口部形成工程では、図12に示すように、絶縁層16に開口部16H1および開口部16H2を形成する。図12は、図10の開口部形成工程を示す拡大断面図である。
【0116】
開口部形成工程では、開口部16H1を形成することにより、端子TM1の一部分を絶縁層16から露出させる。また、開口部形成工程では、開口部16H2を形成することにより、端子TM2の一部分を絶縁層16から露出させる。
【0117】
開口部16H1および開口部16H2の形成方法は、例えば以下の方法である。まず、図示しないレジストマスクを形成した後、フォトリソグラフィを利用して、レジストマスクのうち、開口部16H1および開口部16H2の形成予定領域と重なる位置に開口部を形成する。次に、レジストマスクの開口部においてレジストマスクから露出している絶縁層16をエッチングにより除去する。これにより、開口部16H1および開口部16H2が形成される。その後、レジストマスクを除去することで図12に示す絶縁層16が得られる。
【0118】
<キャップ膜形成工程>
次に、図10に示すキャップ膜形成工程では、図4図9の各図を用いて説明したキャップ膜CP1(図6参照)およびキャップ膜CP2(図9参照)を形成する。以下では、端子TM1に接続されるキャップ膜CP1を形成する方法を代表例として説明する。ただし、以下の説明と同様の方法で図9に示す端子TM2に接続されるキャップ膜CP2を形成することができる。以下の各工程の説明において、「端子TM1」を「端子TM2」に置き換え、「キャップ膜CP1」を「キャップ膜CP2」に置き換え、「開口部16H1」を「開口部16H2」に置き換えて適用することができる。なお、キャップ膜CP1とキャップ膜CP2とは同様の工程により形成されるので、一括して形成することができる。
【0119】
図10に示す例では、キャップ膜形成工程は、第1金属膜形成工程、第2金属膜形成工程、第3金属膜形成工程、および第4金属膜形成工程を含んでいる。
【0120】
第1金属膜形成工程では、図13に示すように、開口部16H1の底において端子TM1の金属層ML3と接合されるように、チタンから成る金属膜MF1が形成される。図13は、図10に示す第1金属膜形成工程を示す拡大断面図である。
【0121】
図13に示す例では、まず、絶縁層16を覆うようにレジスト膜40を形成した後、金属膜MF1を形成する予定領域において、レジスト膜40に開口部を形成する。金属膜MF1を形成する予定領域は、開口部16H1の全体およびその周辺領域を含んでいる。
【0122】
次に、レジスト膜40をマスクとして、金属膜MF1を選択的に形成する。金属膜MF1を形成する方法として、スパッタ法を例示できる。スパッタ法で金属膜MF1を形成する場合、レジスト膜40上にも金属膜MF1が形成されるが、レジスト膜40上に形成された金属膜MF1は、レジスト膜40と一緒に除去可能である。
【0123】
既に説明したように、端子TM1と金属膜MF1との接合界面では、チタン膜が接合される。このため、接合界面において、チタン酸化膜を完全に除去しない場合もある。したがって、仮に逆スパッタ法による酸化膜除去を行う場合でも、既に説明した空洞32(図32参照)が形成されない程度のエネルギーで端子TM1にプラズマが衝突するように調整することができる。
【0124】
金属膜MF1は、端子TM1の金属層ML3のうち、開口部16H1の底において絶縁層16から露出する部分の全体を覆っているコンタクト部CPcを有している。金属膜MF1は、開口部16H1の外側にある周縁部CPpを含んでいる。図5を用いて説明したように、周縁部CPpは、平面視においてコンタクト部CPcの周囲を連続的に囲むように形成される。
【0125】
図13に示すように、本工程では、金属膜MF1の厚さTF1が、金属層ML3の厚さTL3よりも厚くなるように形成されることが好ましい。
【0126】
図10に示す第2金属膜形成工程では、図14に示すように、金属膜MF1上に金属膜MF1と密着するようにアルミニウムから成る金属膜MF2が形成される。図14は、図10に示す第2金属層形成工程を示す拡大断面図である。
【0127】
図14に示す例では、レジスト膜40の開口部内に金属膜MF1が形成された状態で金属膜MF2を積層する。金属膜MF2を形成する方法として、スパッタ法を例示できる。スパッタ法で金属膜MF2を形成する場合、レジスト膜40上にも金属膜MF2が形成されるが、レジスト膜40上に形成された金属膜MF2は、レジスト膜40と一緒に除去可能である。
【0128】
また、本工程は、レジスト膜40を残した状態で実施される。このため、金属膜MF1のうち、レジスト膜40に密着している側面は、金属膜MF2から露出している。
【0129】
後述する第3金属膜形成工程では、銅メッキ液に金属膜MF2が浸食されて金属膜MF2の膜厚が薄くなるこのため、金属膜MF2は予め厚く形成されていることが好ましい。図14に示す例では、金属膜MF2の厚さTF2は、金属膜MF1の厚さTF1よりも厚い。
【0130】
図10に示す第2金属膜形成工程の後、かつ、第3金属膜形成工程の前に、図14に示すレジスト膜40を除去する工程、および図14に示す金属膜MF2に形成された酸化膜を除去する工程が含まれる。レジスト膜40を除去する方法には、例えばエッチング処理を用いることができる。金属膜MF2の酸化膜を除去する工程では、ジンケート処理を用いることができる。
【0131】
図10に示す第3金属膜形成工程では、図15に示すように、金属膜MF2上に金属膜MF2と密着するように銅から成る金属膜MF3が形成される。図15は、図10に示す第3金属層形成工程を示す拡大断面図である。
【0132】
金属膜MF3は、電気メッキ法により形成される。電気メッキ法では、被メッキ部材に通電した状態で被メッキ部材とメッキ液とを接触させることにより、被メッキ部材の表面に選択的に金属膜を成膜する。この時、アルミニウムから成る金属膜MF2が銅のメッキ液に浸食され、金属膜MF2の厚さTF2が薄くなる。
【0133】
本実施の形態の場合、絶縁層16の開口部16H1の全体が金属膜MF1に覆われている。このため、第3金属膜形成工程において、金属膜MF2の一部または全部がメッキ液に浸食された場合でも、メッキ液と端子TM1とが接触することを防止できる。
【0134】
また、図14を用いて説明したように、金属膜MF2の厚さTF2を予め厚くしておくことにより、金属膜MF2の全部がメッキ液に浸食されることを防止できる。
【0135】
本実施の形態の場合、電気メッキ法により銅から成る金属膜MF3を形成する工程において、メッキ液による金属膜MF2の消失に対する対策が施されている。このため、銅から成る金属膜MF3を厚く形成することができる。この結果、図6に示すバンプ電極30と端子TM3とを電気的に接続する部分の抵抗を低減させることができる。
【0136】
図15に示すように、本工程は、レジスト膜40(図14参照)が除去された状態で実施される。また、電気メッキ法により形成される金属膜は、メッキ液と接している金属膜の表面に等方的に成長する。このため、金属膜MF3は、金属膜MF1および金属膜MF2の全体を覆うように形成される。
【0137】
図10に示す第4金属膜形成工程では、図16に示すように、金属膜MF3上に金属膜MF3と密着するようにニッケルから成る金属膜MF4が形成される。図16は、図10に示す第4金属層形成工程を示す拡大断面図である。
【0138】
金属膜MF4は、電気メッキ法により形成される。このため、金属膜MF4は、金属膜MF3の全体を覆うように形成される。銅から成る金属膜MF3の全体を覆うように、ニッケルから成る金属膜MF4が形成されることにより、キャップ膜CP1とバンプ電極30(図5参照)の接合強度を向上させることができる。
【0139】
以上の各工程により、キャップ膜CP1が得られる。
【0140】
<バンプ電極形成工程>
次に、図10に示すバンプ電極形成工程では、図4図9の各図を用いて説明したバンプ電極30およびバンプ電極31(図9参照)を形成する。以下では、図6に示すキャップ膜CP1に接続されるバンプ電極30を形成する方法を代表例として説明する。ただし、以下の説明と同様の方法で図9に示すキャップ膜CP2に接続されるバンプ電極31を形成することができる。以下の各工程の説明において、「端子TM1」を「端子TM2」に置き換え、「キャップ膜CP1」を「キャップ膜CP2」に置き換え、「開口部16H1」を「開口部16H2」に置き換え、「バンプ電極30」を「バンプ電極31」に置き換えて適用することができる。なお、バンプ電極30とバンプ電極31とは同様の工程により形成されるので、一括して形成することができる。
【0141】
バンプ電極形成工程では、図6に示すように、キャップ膜CP1の上にバンプ電極30を形成する。本実施の形態では、端子TM1に通電した状態で、電気メッキ法によりバンプ電極30が形成される。バンプ電極30は例えば錫(半田)から成る。電気メッキ法によりバンプ電極30を形成する場合、キャップ膜CP1のうち、メッキ液と接触している部分に選択的にバンプ電極30を形成することができる。このため、大型のステッパ等の大規模な露光装置を新たに準備する必要がない。
【0142】
本工程により、絶縁層16の開口部16H1を覆うようにバンプ電極30を形成することができる。バンプ電極30と端子TM1との間には、キャップ膜CP1が介在している。
【0143】
電子部品を搭載する前の基板構造体SUB1(図4参照)を半製品として出荷する場合がある。この場合、図10に示す電子部品搭載工程は省略され、図6に示す基板構造体SUB1に対して必要な検査や梱包を行った後、出荷準備に入る。すなわち、図10のバンプ電極形成工程により、電子装置としての基板構造体SUB1が得られる。
【0144】
次に、図10に示す電子部品搭載工程では、バンプ電極形成工程の後、図4に示すようにバンプ電極30およびバンプ電極31のそれぞれと電子部品(図4の例ではLED素子20)とを電気的に接続する。本工程では、例えばレーザを照射することによりバンプ電極30およびバンプ電極31を軟化させる。これにより、バンプ電極30は、LED素子20のアノード電極20EAに接続され、バンプ電極31はLED素子のカソード電極20ECに接続される。なお、本工程の前に、図4に示すLED素子20のアノード電極20EAおよびカソード電極20ECのそれぞれに、予め半田膜が形成されている場合もある。この場合、半田から成るバンプ電極30およびバンプ電極31と電極に形成された半田膜とを容易に一体化させることができる。
【0145】
<キャップ膜の変形例>
次に、キャップ膜の変形例について説明する。図17は、図6に対する変形例を示す拡大断面図である。図18は、図9に対する変形例を示す拡大断面図である。
【0146】
図17および図18に示す表示装置DSP4は、以下の点で図6および図9に示す表示装置DSP1と相違する。
【0147】
まず、表示装置DSP4が有するキャップ膜CP1およびキャップ膜CP2のそれぞれは、チタンから成る金属膜MF1と、銅から成る金属膜MF2と、ニッケルから成る金属膜MF3との3層構造である。
【0148】
また、表示装置DSP4が有するキャップ膜CP1およびキャップ膜CP2のそれぞれは、一部分(詳しくは側面)がバンプ電極30またはバンプ電極31から露出している。
【0149】
また、図17および図18に示す例では、金属膜MF1の一部分は、金属膜MF2および金属膜MF3から露出している。
【0150】
図17および図18に示す表示装置DSP4の製造方法は、以下の点で図10から図16を用いて説明した表示装置DSP1(図4参照)の製造方法と相違する。図19は、図10に対する変形例である表示装置の製造方法の工程フローの一例を示す説明図である。なお、図19に示す端子形成工程は、図10を用いて説明した端子形成工程と同様なので、図10に記載されている第1金属層形成工程、第2金属層形成工程、およい第3金属層形成工程のそれぞれは図示を省略している。図19に示す製造方法は、図10を用いて説明した製造方法と、キャップ膜形成工程が相違する。また、図19に示す製造方法は、バンプ電極形成工程の後、かつ、電子部品実装工程の前に、レジスト膜除去工程およびシード層除去工程がある点で図10を用いて説明した製造方法と相違する。
【0151】
以下、図10と異なる工程について説明する。以下では、図17に示す端子TM1に接続されるキャップ膜CP1を形成する方法、およびキャップ膜CP1に接続されるバンプ電極30を形成する方法を代表例として説明する。ただし、以下の説明と同様の方法で図18に示す端子TM2に接続されるキャップ膜CP2を形成することができる。以下の各工程の説明において、「端子TM1」を「端子TM2」に置き換え、「キャップ膜CP1」を「キャップ膜CP2」に置き換え、「開口部16H1」を「開口部16H2」置き換え、「バンプ電極30」を「バンプ電極31」に置き換えて適用することができる。
【0152】
図19に示すキャップ膜形成工程は、第1金属膜形成工程、シード層形成工程、レジスト膜形成工程、第2金属膜形成工程、および第3金属膜形成工程を含んでいる。
【0153】
第1金属膜形成工程は、図13を用いて説明した例と同様に、開口部16H1の底において端子TM1の金属層ML3と接合されるように、チタンから成る金属膜MF1が形成される。なお、本変形例の場合、第1金属膜形成工程の後、かつ、シード層形成工程の前に、図13に示すレジスト膜40は除去される。
【0154】
図19に示すシード層形成工程では、図20に示すように、金属膜MF1の上および絶縁層16の上に金属膜MF1および絶縁層16と密着するように銅から成るシード層(銅シード層)MS1が形成される。図20は、図19に示すシード層形成工程を示す拡大断面図である。
【0155】
図20に示すように、シード層形成工程は、図13に示すレジスト膜40が除去された状態で実施される。また、シード層MS1は、銅からなる金属薄膜であり、スパッタ法により形成される。このため、図20に示すように、本工程では、シード層MS1は、絶縁層16および金属膜MF1の全体を覆うように形成される。
【0156】
ところで、本変形例の場合、チタンから成る金属膜MF1と銅から成るシード層MS1とを密着させる。このため、金属膜MF1の表面に形成されたチタン酸化膜を除去する工程、あるいはカーボンなどの汚れを除去するための工程として、上記した逆スパッタ法による処理を行うことが好ましい。逆スパッタ法は、上記した通り、プラズマを処理対象部分に衝突させる処理である。
【0157】
本変形例の場合、端子TM1のうち、開口部16H1において絶縁層16から露出している部分(コンタクト部CPc)は、全体が金属膜MF1に覆われている。このため、逆スパッタ法により、強いエネルギーが金属膜MF1に印加された場合でも、図8を用いて説明した空洞32が形成されることを防止できる。金属膜MF1が逆スパッタ法により焼失することを防ぐ観点からは、図17に示すように、金属膜MF1の厚さTF1が、端子TM1の金属層ML3の厚さTL3よりも厚いことが好ましい。
【0158】
図19に示すレジスト膜形成工程では、図21に示すように、シード層MS1を覆うようにレジスト膜41を形成した後、レジスト膜41に開口部を形成する。図21は、図19に示すレジスト膜形成工程を示す拡大断面図である。シード層MS1のうち、金属膜MF1と重なる位置に配置されている部分の少なくとも一部は、レジスト膜41から露出する。
【0159】
図19に示す第2金属膜形成工程では、図22に示すように、シード層MS1上にシード層MS1と密着するように銅から成る金属膜MF2が形成される。図22は、図19に示す第2金属層形成工程を示す拡大断面図である。
【0160】
本工程では、金属膜MF2は、例えば電気メッキ法により形成される。電気メッキ法の場合、スパッタ法と比較して、金属膜の膜厚を厚くすることが可能である。このため、図17に示すように、金属膜MF2の厚さTF2は、金属膜,MF1の厚さMF1よりも厚い。
【0161】
また、本工程は、図22に示すように、絶縁層16上にレジスト膜41が形成された状態で実施される。したがって、金属膜MF2は、シード層MS1の表面のうち、レジスト膜41の開口部内においてレジスト膜41から露出している部分の上に選択的に形成される。また、図17に示すように、金属膜MF1の一部分は、金属膜MF2から露出している。
【0162】
図19に示す第3金属膜形成工程では、図23に示すように、金属膜MF2上に金属膜MF2と密着するようにニッケルから成る金属膜MF3が形成される。図23は、図19に示す第3金属層形成工程を示す拡大断面図である。
【0163】
本工程では、金属膜MF3は、例えば電気メッキ法により形成される。本工程は、第2金属膜形成工程と同様に、絶縁層16上にレジスト膜41が形成された状態で実施される。このため、図17に示すように、金属膜MF1の一部分は、金属膜MF3から露出している。
【0164】
次に、図19に示すバンプ電極形成工程では、図24に示すように、キャップ膜CP1の上にバンプ電極30を形成する。図24は、図19に示すバンプ電極形成工程を示す拡大断面図である。本変形例では、端子TM1に通電した状態で、電気メッキ法によりバンプ電極30が形成される。バンプ電極30は例えば錫(半田)から成る。
【0165】
本工程は、上記した第2金属膜形成工程および第3金属膜形成工程と同様に、絶縁層16上にレジスト膜41が形成された状態で実施される。このため、図17に示すように、金属膜MF1および金属膜MF2のそれぞれの一部分は、バンプ電極30から露出している。
【0166】
次に、図19に示すレジスト膜除去工程では、図25に示すように、レジスト膜41(図24参照)を除去する。図25は、図19に示すレジスト膜除去工程を示す拡大断面図である。レジスト膜41の除去方法は、例えばエッチングにより行う。
【0167】
次に、図19に示すシード層除去工程では、図26に示すように、シード層MS1の一部分を除去する。図26は、図19に示すシード層除去工程を示す拡大断面図である。シード層MS1は、エッチングにより除去される。なお、シード層除去工程で用いるエッチング液は、銅に対するエッチングレートがチタンに対するエッチングレートよりも高いものを選択することが好ましい。
【0168】
この場合、金属膜MF2の一部がシード層MS1と一緒にエッチングされる。ただし、金属膜MF2の厚さは、シード層MS1の厚さと比較して十分に厚くすることができるので、本工程において金属膜MF2の全体が除去されることを防止できる。
【0169】
また、絶縁層16の開口部16H1(図20参照)には、チタンから成る金属膜MF1が密着している。このため、開口部内へのエッチング液の侵入により、開口部内に空洞が形成されることを防止できる。
【0170】
なお、シード層MS1のうち、金属膜MF2と金属膜MF1との間に介在する部分は残留する。ただし、シード層MS1と金属膜MF2は、同じ銅からなる金属膜でありその境界も明確ではない場合がある。したがって、シード層MS1のうち、本工程において除去されなかった残部は、図26に示すように金属膜MF2の一部分と見なすことができる。
【0171】
以上、実施の形態および代表的な変形例について説明したが、上記した技術は、例示した変形例以外の種々の変形例に適用可能である。例えば、上記した変形例同士を組み合わせてもよい。
【0172】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0173】
本発明は、表示装置等の電子装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0174】
5 制御回路
6 駆動回路
10 基板
10b,10f 面
11,12,13,14,15,16 絶縁層
16H1,16H2 開口部
20,20A,20B,20C LED素子(発光素子,電子部品)
20b,20f 面
20EA アノード電極
20EC カソード電極
30,31 バンプ電極
32 空洞(ボイド)
40,41 レジスト膜
50 半導体層
BCT 出力トランジスタ(スイッチング素子)
Cad 補助容量
CH1,CH2,CH3 コンタクトホール
CP1,CP2,CP3,CP4 キャップ膜
CPc コンタクト部
CPp 周縁部
Cs 保持容量
DA 表示領域
DRT 駆動トランジスタ(スイッチング素子)
DSP1,DSP2,DSP3,DSP4 表示装置
ED ドレイン電極
EG ゲート電極
ES ソース電極
GLB,GLR,GLS 走査信号線
Grs,Gsb,Gss 制御信号
MF1,MF2,MF3,MF4 金属膜
ML1,ML2,ML3 金属層
MP1,MP2 導体パターン
MS1 シード層(銅シード層)
MW1 配線パターン
PC 画素回路
PFA 周辺領域
PIXA,PIXB,PIXC 画素
PL1,PL2 電源線
Pvdd 高電位
Pvss 低電位
RSL リセット配線
RST リセットトランジスタ(スイッチング素子)
SST 画素選択トランジスタ(スイッチング素子)
SUB1 基板構造体
SW スイッチング素子
TM1,TM2,TM3 端子(導体パターン)
VL 映像信号線
Vrs リセット信号
Vsg 映像信号
WL1,WL2,WL3,WL4 配線層
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