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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025876
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】コイル装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 30/10 20060101AFI20250214BHJP
   H01F 27/22 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
H01F30/10 S
H01F30/10 A
H01F30/10 F
H01F30/10 J
H01F27/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023131084
(22)【出願日】2023-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】長田 昌之
(72)【発明者】
【氏名】堀川 俊之
(72)【発明者】
【氏名】岩倉 正明
(72)【発明者】
【氏名】古市 朋広
(72)【発明者】
【氏名】谷▲崎▼ 海斗
【テーマコード(参考)】
5E050
【Fターム(参考)】
5E050JA03
(57)【要約】
【課題】コアに生じる熱応力の低減を図ることができるコイル装置を提供すること。
【解決手段】磁性体を含むコアと、コアの少なくとも一部の回りにコイル状に配置してあるワイヤと、を有するコイル装置である。コアが、ワイヤの巻回部が配置してある中脚部と、巻回部の巻回軸に沿って前記中脚部の一端に、所定距離で離れて配置してある第1ベース部とを有する。中脚部の体積の70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、あるいは95%以上が放熱性樹脂の大気開放面より下方に位置する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体を含むコアと、
前記コアの少なくとも一部の回りにコイル状に配置してあるワイヤと、を有するコイル装置であって、
前記コアが、
前記ワイヤの巻回部が配置してある中脚部と、
前記巻回部の巻回軸に沿って前記中脚部の一端に、所定距離で離れて配置してある第1ベース部とを有し、
前記中脚部の体積の70%以上が放熱性樹脂の大気開放面より下方に位置するコイル装置。
【請求項2】
前記第1ベース部の体積の30%以上が前記放熱性樹脂から露出している請求項1に記載のコイル装置。
【請求項3】
前記コアは、前記巻回軸に沿って前記中脚部の他端に連続して形成してある第2ベース部をさらに有する請求項1に記載のコイル装置。
【請求項4】
前記コアは、前記巻回軸に沿って前記中脚部の他端に、所定距離で離れて配置してある第2ベース部をさらに有する請求項1に記載のコイル装置。
【請求項5】
前記第2ベース部は、前記放熱性樹脂が充填してあるケースの冷却壁面に近接している請求項3または4に記載のコイル装置。
【請求項6】
前記第1ベース部と前記中脚部の前記一端との間には、1.9mm以下の空気層が存在する請求項1に記載のコイル装置。
【請求項7】
前記中脚部の前記一端は、前記放熱性樹脂の前記大気開放面より下側に位置する請求項6に記載のコイル装置。
【請求項8】
前記中脚部の前記一端は、前記放熱性樹脂の前記大気開放面より上側に位置する請求項6に記載のコイル装置。
【請求項9】
前記放熱性樹脂の前記大気開放面は、前記中脚部の周囲に配置してある前記ワイヤの前記巻回部を前記放熱性樹脂が覆っている位置にある請求項7または8に記載のコイル装置。
【請求項10】
前記中脚部の他端と前記第2ベース部の表面との間には、接着剤または前記放熱性樹脂が少なくとも一部に介在している請求項4に記載のコイル装置。
【請求項11】
前記中脚部と前記ワイヤの巻回部との間には、ボビンの筒部が配置してある請求項1に記載のコイル装置。
【請求項12】
前記ワイヤのリード部を保持する端子ブロックをさらに有する請求項1に記載のコイル装置。
【請求項13】
前記端子ブロックは、ボビン、前記放熱性樹脂を収容するケース、または前記第1ベース部に装着してある請求項12に記載のコイル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばトランスなどとしても好適に用いることができるコイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コイル装置の耐熱性を向上させるために、たとえば特許文献1では、コアの一部を放熱性樹脂に浸して冷却効果を高めている。しかしながら、この技術では、放熱性樹脂で覆う部分が少なく、十分な放熱効果が期待できないという課題を有する。
【0003】
そこで、コアの大部分を放熱性樹脂で覆うことも考えられるが、そのように構成すると、放熱性樹脂を貯留するためのケースが大きくなりすぎて、コイル装置の小型化の要請に反してしまう。そこで、必要最小限の範囲でワイヤの巻回部を浸すように、放熱性樹脂を貯留するケースを小さくすることもある。その場合には、コアの一部、たとえばワイヤの巻回軸に沿って上方に位置するコア部分が放熱性樹脂の外に露出することもある。
【0004】
そのような場合には、コアには、放熱性樹脂により冷却される部分と、放熱性樹脂により冷却されない部分とが生じ、コアに熱応力が発生し、コアの耐久性を著しく低下させるおそれがある。特に、近年のコイル装置の大電流化に伴い、コアに生じる熱応力の低減が課題になっている。
【0005】
なお、コアの一部が放熱性樹脂から露出しなくても、ワイヤの巻回軸に沿って放熱性樹脂の冷却温度に大きな差異が生じる場合には、コアに過大な熱応力が生じる場合があり、そのような場合でも、コアの耐久性を低下させることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-36194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、コアに生じる熱応力の低減を図ることができるコイル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係るコイル装置は、
磁性体を含むコアと、
前記コアの少なくとも一部の回りにコイル状に配置してあるワイヤと、を有するコイル装置であって、
前記コアが、
前記ワイヤの巻回部が配置してある中脚部と、
前記巻回部の巻回軸に沿って前記中脚部の一端に、所定距離で離れて配置してある第1ベース部とを有し、
前記中脚部の体積の70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、あるいは95%以上が放熱性樹脂の大気開放面より下方に位置する。
【0009】
このコイル装置では、中脚部の体積の大部分が放熱性樹脂の大気開放面より下方に位置するため、中脚部と共に中脚部の周囲に配置してあるワイヤの巻回部も、それらの体積の大部分が放熱性樹脂により冷却され、放熱性が向上する。しかも、第1ベース部が、巻回部の巻回軸に沿って前記中脚部の一端に、所定距離で離れて配置してあるため、仮に第1ベース部の一部が放熱性樹脂から露出していたとしても、中脚部に生じる熱膨張力などの応力が第1ベース部に伝達しない。そのため、第1ベース部に生じるおそれがあった過大な熱応力を低減することができる。
【0010】
前記第1ベース部の体積の30%以上、50%以上、80%以上、あるいは95%以上が、前記放熱性樹脂から露出していてもよい。第1ベース部の大部分を露出させることで、放熱性樹脂を収容するケースの小型化を図ることができると共に、放熱性樹脂の量を低減することもできる。しかも、その場合でも、第1ベース部が、巻回部の巻回軸に沿って前記中脚部の一端に、所定距離で離れて配置してあるため、中脚部に生じる熱膨張力などの応力が第1ベース部に伝達しない。そのため、第1ベース部に生じるおそれがあった過大な熱応力を低減することができる。
【0011】
前記コアは、前記巻回軸に沿って前記中脚部の他端に連続して形成してある第2ベース部をさらに有していてもよい。あるいは、前記コアは、前記巻回軸に沿って前記中脚部の他端に、所定距離で離れて配置してある第2ベース部をさらに有していてもよい。
【0012】
前記第2ベース部は、前記放熱性樹脂が充填してあるケースの冷却壁面に近接していてもよい。たとえばケースの冷却壁面が、ケースの底面である場合には、ワイヤの巻回部の軸芯がケースの底面に対して略垂直となるように、コアがケースの内部に収容される。また、ケースの冷却壁面が、ケースの側面である場合には、ワイヤの巻回部の軸芯がケースの底面に対して略平行となるように、コアがケースの内部に収容される。
【0013】
好ましくは、前記第1ベース部と前記中脚部の前記一端との間には、1.9mm以下の空気層が存在する。前記第1ベース部と前記中脚部の前記一端との間に空気層が存在することで、より確実に、中脚部に生じる熱膨張力などの応力が第1ベース部に伝達しない。なお、空気層の間隔を所定値以下とすることで、中脚とベース部との間に磁気回路を形成しやすくなる。
【0014】
前記中脚部の前記一端は、前記放熱性樹脂の前記大気開放面より下側に位置してもよい。このように構成することで、中脚部と、その周りに配置してあるワイヤの巻回部の放熱性が向上する。
【0015】
前記中脚部の前記一端は、前記放熱性樹脂の前記大気開放面より上側に位置していてもよい。このように構成することで、前記第1ベース部と前記中脚部の前記一端との間に、1.9mm以下の空気層を形成しやすくなる。
【0016】
好ましくは、前記放熱性樹脂の前記大気開放面は、前記中脚部の周囲に配置してある前記ワイヤの前記巻回部を前記放熱性樹脂が覆っている位置にある。このように構成することで、放熱性が向上する。
【0017】
前記中脚部の他端と前記第2ベース部の表面との間には、接着剤または前記放熱性樹脂が少なくとも一部に介在していてもよい。また、中脚部の他端と前記第2ベース部とは一体に形成してあってもよい。
【0018】
前記中脚部と前記ワイヤの巻回部との間には、ボビンの筒部が配置してあってもよい。あるいはボビンを配置することなく、中脚部の回りにワイヤの巻回部(たとえば空芯コイル)が配置してあってもよい。
【0019】
コイル装置は、前記ワイヤのリード部を保持する端子ブロックをさらに有していてもよい。前記端子ブロックは、ボビン、前記放熱性樹脂を収容するケース、または前記第1ベース部に装着してあってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は本発明の一実施形態に係るコイル装置の概略斜視図である。
図2図2図1に示すコイル装置の概略分解斜視図である。
図3図3図1に示すIII-IIIに沿う概略断面図であり、端子の図示は省略してある。
図4A図4A図3に示すコアのIV-IV線に沿う概略断面図である。
図4B図4B図4Aに示すコアの変形例に係る概略断面図である。
図4C図4C図4Aに示すコアのその他の変形例に係る概略断面図である。
図4D図4D図4Aに示すコアのさらにその他の変形例に係る概略断面図である。
図4E図4E図4Aに示すコアのさらにその他の変形例に係る概略断面図である。
図5図5図3に示すボビンの要部断面斜視図である。
図6図6図5に示すボビンの変形例を示す要部断面斜視図である。
図7図7図2に示すボビンから一部のコアを取り外して異なる角度から見たボビンとコアの一部分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、図示する内容は、本発明の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観や寸法比などは実物と異なり得る。また、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0022】
(第1実施形態)
図1に示す本発明の実施形態に係るコイル装置1は、たとえばリーケージトランスなどとして機能し、車載用充電器や各種電気機器の電源回路などに用いられる。図2に示すように、コイル装置1は、コア2と、ボビン3と、継線下カバー70と組み合わされた端子ブロック7と、ケース8と、を有する。なお、図面において、X軸とY軸とZ軸とは、相互に垂直であり、Z軸が、コイル装置1の高さ方向(コイルの巻軸方向)に平行である。以下の説明では、X軸、Y軸およびZ軸の各々について、コイル装置1の中心に向かう方向を内側と呼び、コイル装置1の中心から離れる方向を外側と呼ぶ。
【0023】
図3に示すように、ボビン3の筒部30のZ軸に沿って途中位置には、一次側コイルと二次側コイルとを絶縁するための主隔壁鍔31が筒部30の外周面から半径方向に飛び出すように具備してある。主隔壁鍔31のZ軸に沿って上方位置には、Z軸に沿って所定間隔で複数の副隔壁鍔32が筒部30の外周面から半径方向に飛び出すように具備してある。主隔壁鍔31と副隔壁鍔32との間、および副隔壁鍔32の相互間には、第1ワイヤ4が巻回してあり、第1ワイヤ巻回部40が形成してある。
【0024】
また、同様に、主隔壁鍔31のZ軸に沿って下方位置には、Z軸に沿って所定間隔で複数の副隔壁鍔32が筒部30の外周面から半径方向に飛び出すように具備してある。主隔壁鍔31と副隔壁鍔32との間の区画隙間、および副隔壁鍔32の相互間の区画隙間には、第2ワイヤ5が巻回してあり、第2ワイヤ巻回部50が形成してある。
【0025】
なお、主隔壁鍔31と副隔壁鍔32との間のZ軸に沿う区画隙間と、副隔壁鍔32の相互間の区画隙間とは、第1ワイヤ4または第2ワイヤ5の外径よりも少し大きい程度に形成してあり、これらの各区画隙間には、Z軸に沿っては1列のワイヤ4または5のみが入り込める隙間になっている。このため、ワイヤ4または5は、ボビン3の筒部30の外周面に対して整然と巻回されることができる。
【0026】
それぞれの副隔壁鍔32の周方向に沿って少なくとも一カ所には、鍔32の外周位置から筒部30の外周位置まで届く径方向の切欠が形成してある。この切欠を通して、ワイヤ4または5は、Z軸に沿って隣の区画隙間に移動可能になっており、連続したワイヤ4または5の巻回作業が可能になっている。ワイヤ4または5の巻き方は、特に限定されず、たとえば通常巻きまたはα巻きなどが例示される。
【0027】
なお、本実施形態では、第2ワイヤ巻回部50は、第1ワイヤ巻回部40のZ軸に沿って下側に配置してあるが、逆でもよい。本実施形態では、たとえば第1ワイヤ巻回部40がトランスの一次側コイルとなり、第2ワイヤ巻回部50がトランスの二次側コイルとなるが、逆でもよい。第1ワイヤ巻回部40と第2ワイヤ巻回部50とは、主隔壁鍔31によりZ軸方向に隔てられ、結合係数などが調整されている。
【0028】
本実施形態では、第1ワイヤ4および第2ワイヤ5は、それぞれ導電性ワイヤで構成してあり、絶縁被覆されていなくともよいが、好ましくは絶縁被覆されていることが好ましい。導電線の種類は特に限定されず、丸線、平角線、撚り線、リッツ線、編組線などの導電性芯線である。芯線を被覆する融着層または絶縁層の材質としては、特に限定されないが、ポリウレタン、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエステルなどが例示される。
【0029】
なお、本実施形態では、第1ワイヤ4および第2ワイヤ5のいずれも自己融着型のワイヤで構成してあるが、いずれか一方のみが自己融着型ワイヤでもよく、あるいは双方が、その他のワイヤで構成してあってもよい。また、第1ワイヤ巻回部40および第2ワイヤ巻回部50の少なくとも一方は、平板コイルであってもよい。第1ワイヤ4および第2ワイヤ5の線径は、同じでも異なってもよく、双方共に、特に限定されないが、たとえば1.0~3.0mmの範囲内であることが好ましい。
【0030】
第1ワイヤ巻回部40を構成する第1ワイヤ4の両端には、それぞれリード部41a,41bが形成してあり、それぞれのリード部41a,41bは、第1巻回部40からZ軸に沿って上側に引き出されて、それぞれ図1に示す端子6,6に接続してある。また、図3に示す第2ワイヤ巻回部50を構成する第2ワイヤ5の両端には、それぞれ図2に示すリード部51a,51bが形成してあり、それぞれのリード部51a,51bは、第2巻回部50からZ軸に沿って上側に引き出されて、それぞれ端子6,6に接続してある。
【0031】
これらの複数のリード部41a,41b,51a,51bがそれぞれ接続される複数の端子6は、一対の端子ブロック7に取り付けてある。各端子ブロック7には、継線下カバー70が装着してある。継線下カバー70が端子ブロック7と組み合わされることにより、一対の端子6は、Y軸に沿って所定間隔で端子ブロック7に固定される。端子ブロック7と継線下カバー70とは、合成樹脂などの絶縁部材で構成してあることが好ましく、同じ絶縁材料で構成してもよいが、異なる絶縁材料で構成してもよい。
【0032】
本実施形態では、図1に示すように、端子ブロック7は、継線下カバー70と共に、ケース8の側板81の上端に取り付けられるようになっている。たとえば、継線下カバー70は、端子ブロック7に埋め込まれた端子6の継線部61をZ軸に沿って下から覆う底板片71と、底板71に対して略垂直に一体成形してある側板片72とを有し、側板片72には、装着溝73が具備してある。
【0033】
側板片72の装着溝73には、ケース8のX軸に沿って両側に位置する側板81の上端81aが入り込むように、側板片72の装着溝73は、側板81の上端の形状に合わせてある。それぞれの継線下カバー70の装着溝73にケース8のX軸に沿って両側に位置する側板81の上端が入り込むことで、それぞれの継線下カバー70は、ケース8に装着される。
【0034】
端子ブロック7は、継線下カバーとは別体であることが好ましく、各リード部41a.41b,51a,51bのそれぞれを、端子6の継線部61に接続する際には、端子ブロックから継線下カバーが離れていること方が作業しやすい。継線部61には、リード部41a,41b,51a,51bのいずれかがカシメや熱圧着あるいはレーザ溶接またはハンダ付けなどで接続される。各端子6の継線部61にリード部41a,41b,51a,51bのいずれかが接続された後に、端子ブロック7と継線下カバー70とが組み合わされて、ケース8および/またはボビン3に取り付けられることが好ましい。
【0035】
本実施形態では、各端子6は、端子ブロック7に対して、継線部61および外部接続部62が露出するようにインサート成形してあることが好ましい。継線部61は、端子ブロック7に対して、X軸に沿って外側に突出し、外部接続部62は、端子ブロック7に対して、Z軸に沿って上側に突出するように、各端子6は、端子ブロック7に固定してある。外部接続部62は、図示しない外部接続端子あるいは回路基板の端子接続凹部などに接続される部分である。継線部61および外部接続部62を有する端子6は、たとえば一枚の金属板をプレス加工することにより形成される。
【0036】
図2に示すように、本実施形態では、コア2は、Z軸に沿って上側に配置してある第1コア21と、第1コア21のZ軸に沿って下側に配置される第2コア22と、第1コア21と第2コア22との間に配置してある中脚部23とに分解することができる。また、第1コア21は、X軸に沿って2つの第1分割コア21αに分割してあり、同様に、第2コア22も、X軸に沿って2つの第2分割コア22αに分割してある。
【0037】
それぞれの第1分割コア21αは、平板状の第1ベース部21aと、第1ベース部21aのY軸に沿って両側から各々Z軸に沿って下方に突出する側脚部21b,21bとを有する。また、それぞれの第2分割コア22αは、平板状の第1ベース部22aと、第1ベース部22aのY軸に沿って両側から各々Z軸に沿って上方に突出する側脚部22b,22bとを有する。
【0038】
本実施形態では、第1分割コア21αと第2分割コア22αとは、それぞれZ軸とY軸とを含む面に平行な断面で略U字形状のU型コアからなり、相互に同じ形状を有するが、相互に異なっていてもよい。たとえば一方のコアがU型コアであり、他方のコアがI型コアであってもよい。
【0039】
一対の第1分割コア21αの第1ベース部21aは、ボビン3にコア抑え92が取り付けられる前に、ボビン3の筒部30の上端に具備してある隔壁鍔32の外面に取り付けられる。なお、筒部30の上端に位置する隔壁鍔32の外面(上面32a)には、位置決め凸部33が具備してあり、隣接する第1ベース部21a,21aの相互間に隙間を形成可能になっている。このような隙間を形成することで、放熱性の向上が期待できる。
【0040】
一対の第2分割コア22αの第2ベース部22aは、ボビン3の筒部30の下端に具備してある隔壁鍔32の外面に取り付けられる。なお、筒部30の下端に位置する隔壁鍔32の外面(下面32b)には、位置決め凸部33が具備してあり、隣接する第2ベース部22a,22aの相互間に隙間を形成可能になっている。このような隙間を形成することで、放熱性の向上が期待できる。
【0041】
図2に示すように、ボビン3の筒部30のZ軸に沿う上端に位置する隔壁鍔32のX軸に沿って両側には、コアガイド壁34が具備してある。コアガイド壁34の内側には、コア抑え92が配置してある。それぞれのコア抑え92がコアガイド壁34の内側に配置される前に、まず、中脚部23が、ボビン3の筒部30の内周面に形成してある貫通孔にZ軸の上方から挿入される。
【0042】
その後に、一対の第1分割コア21αから成る第1コア21のベース部21aが、一対のコアガイド壁34の間に位置する隔壁鍔部32の外表面(上面)に設置される。第1コア21の側脚部21bは、それぞれボビン3のY軸に沿って両側のZ軸に沿って上部を覆う。その後に、コアガイド壁34の内側で、壁34とコア21との隙間にコア抑え92が差し込まれる。
【0043】
図7に示すように、ボビン3の筒部30のZ軸に沿う下端に位置する隔壁鍔32のX軸に沿って両側には、コアガイド壁35が具備してある。一対のコアガイド壁34の間に位置する隔壁鍔部32の外表面(下面)には、一対の第2分割コア22αから成る第2コア22のベース部22aが設置される。第2コア22の側脚部22bは、それぞれボビン3のY軸に沿って両側のZ軸に沿って下部を覆う。それぞれの側脚部22bの先端部22b1は、第1コア21の側脚部21bの先端部21b1に突き合わされ、必要に応じて接着剤で接合される。
【0044】
ボビン3の筒部30のZ軸に沿う下端に位置する隔壁鍔32の内周面には、筒部30の内周面から内側に突出している内方凸片36が、周方向に沿って複数箇所で形成してある。これらの内方凸片36は、筒部30の内周面で構成される貫通孔のZ軸に沿う下端を塞がない程度に筒部30の内周面から突出しており、図3に示すように、中脚部23のZ軸に沿う下端外周部に当接する。その結果、中脚部23のZ軸に沿う下端と第2コア22の第2ベース部22aとの間に隙間37を形成することができるようになっている。隙間37には、放熱性樹脂82が入り込むようになっている。なお、隙間37の間隔は、内方凸片36のZ軸に沿う設計厚みを変化させることで調整することができる。
【0045】
また、中脚部23のZ軸に沿う長さを、内方凸片33から最上端に位置する隔壁鍔32の上面32aまでのZ軸に沿う筒部30の高さに対して所定の長さで短く調節することで、中脚部23のZ軸に沿う上端と第1コア21の第1ベース部21aとの間に隙間38を形成することができる。
【0046】
本実施形態では、この隙間38には、少なくとも一部で放熱性樹脂82が入り込まないように、しかも中脚部23が十分に冷却されるように、ケース8の内部に充填してある放熱性樹脂82の大気開放面82aが、中脚部23の体積などとの関係で決定される。すなわち、中脚部23の体積の70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、あるいは95%以上が放熱性樹脂82の大気開放面82aより下方に位置し、しかも、ベース部21aの下面よりもZ軸に沿って下側に位置するように、大気開放面82が設定される。このように構成することで、隙間38には、放熱性樹脂82が入り込まない空気層が形成される。
【0047】
また、放熱性樹脂82の大気開放面82aは、第2ワイヤ5の巻回部50が放熱性樹脂82で十分に浸され、第1ワイヤ4の巻回部40の内の好ましくは80%以上、さらに好ましくは95%以上、あるいは実質的に100%以上が放熱性樹脂82で浸されるように決定される。このように構成することで、ワイヤ4または5の巻回部40または50に発生する熱も、放熱性樹脂82により冷やされる。なお、本実施形態では、ワイヤ4または5の巻回部40または50、またはコア2から放熱性樹脂82に伝達した熱は、ケース8を通して、ケース8の底板80の下面に設置してある冷却部材(たとえば冷却通路付きの冷却ブロックなど)に伝達されて放熱される。なお、大気開放面82aとは、流動状態の放熱性樹脂82をケース8に流し込んで形成される液面が固形化した面である。
【0048】
本実施形態では、コア21,22および中脚部23は、それぞれ磁性体を有するコアであれば特に限定されず、たとえばフェライト、金属磁性体、あるいは磁性粉含有樹脂などで構成してある。
【0049】
図1に示すように、ケース8は、略矩形の底板80と、底板80の4辺位置からZ軸に沿って上方に立ち上げられて内部に有底の収容空間を形成する側板81とを有し、Z軸に沿う上部には、上部開口部が形成してある。ケース8は、熱伝導性に優れたアルミニウムなどの金属製であることが好ましいが、樹脂製であってもよい。
【0050】
放熱性樹脂82は、ポッティング樹脂とも称され、注入後も軟質なシリコーン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などで構成され、ポッティング樹脂の縦弾性率は、好ましくは0.1~100MPaである。本実施形態では、たとえば放熱性樹脂82およびケース8を介して、第1巻回部40と、第2巻回部50と、コア2とに生じる熱を、ケース8の底部から外部に効率よく放熱し、コイル装置1の冷却効率を高めることができる。
【0051】
なお、放熱性樹脂82は、ケース8の内部に予め充填した後に、図2に示すコア2が取り付けられたボビン(ワイヤが巻回してある)3を収容してもよく、ケース8の内部に、コア2が取り付けられたボビン(ワイヤが巻回してある)3を収容してから、放熱性樹脂82をケース8の内部に流し込んでもよい。
【0052】
本実施形態に係るコイル装置1では、図3に示すように、コア2の中脚部23の体積の大部分が放熱性樹脂82の大気開放面82aより下方に位置するため、中脚部23と共に中脚部23の周囲に配置してあるワイヤ4,5の巻回部40,50も、それらの体積の大部分が放熱性樹脂82により冷却され、放熱性が向上する。しかも、第1ベース部21aが、Z軸に沿って中脚部23の一端(上端)に、所定距離の隙間38で離れて配置してあるため、仮に第1ベース部21aの一部が放熱性樹脂82から露出していたとしても、中脚部23に生じる熱膨張力などの応力が第1ベース部21aに伝達しない。そのため、第1ベース部21aに生じるおそれがあった過大な熱応力を低減することができる。
【0053】
なお、従来では、ケース8の内部に収容されるコア2としては、Z軸に沿って上側に位置するベース部21aと中脚部23とが一体化されているコアが一般的であったため、ベース部21aと中脚部23との温度差が大きくなることにより、特にベース部に応力が集中し、コアの割れや欠けなどの不都合が生じるおそれがあった。
【0054】
本実施形態では、ベース部21aと中脚部23との温度差が大きくなったとしても、ベース部21aと中脚部23との間に、空気層を有する隙間があるため、ベース部に応力が集中し難くなり、コアの割れや欠けなどの不都合が生じるおそれを低減することができる。本発明者等の実験によれば、従来のコアに生じるベース部の背面最大応力に対して、約25%以上で、本実施形態のコアのベース部に生じる背面最大応力を低減することが確認できた。
【0055】
また、本実施形態では、第1ベース部21aの体積の30%以上、50%以上、80%以上、あるいは95%以上、好ましくは100%以上が、放熱性樹脂82から露出している。第1ベース部21aの大部分を露出させることで、放熱性樹脂82を収容するケース8の小型化を図ることができると共に、放熱性樹脂82の量を低減することもできる。しかも、その場合でも、第1ベース部21aが、Z軸に沿って中脚部23の上端に、所定距離の隙間38で離れて配置してあるため、熱が籠もり易い中脚部23に生じる熱膨張力などの応力が第1ベース部21aに伝達しない。そのため、第1ベース部21aに生じるおそれがあった過大な熱応力を低減することができる。
【0056】
コア2は、Z軸に沿って中脚部23の他端(下端)に連続して形成してある第2ベース部22aをさらに有していてもよいが、本実施形態では、コア2は、Z軸に沿って中脚部23の下端に、所定距離の隙間37で離れて配置してある第2ベース部22aをさらに有する。
【0057】
第2ベース部22aは、放熱性樹脂82が充填してあるケース8の冷却壁面である底板80に近接してある。本実施形態では、ケース8の冷却壁面が、ケース8の底面であることから、ワイヤ4,5の巻回部40,50の軸芯がケース8の底面に対して略垂直となるように、コア2がケース8の内部に収容される。なお、別の実施形態では、ケース8の冷却壁面が、ケース8の側面(側板81)である場合には、ワイヤ4,5の巻回部40,50の軸芯がケース8の底面に対して略平行となるように、コア2がケース8の内部に収容されてもよい。
【0058】
本実施形態では、第1ベース部21aと中脚部23の上端との間の隙間38には、1.9mm以下の空気層が存在する。隙間38に放熱性樹脂82が入り込まない空気層が存在することで、より確実に、中脚部23に生じる熱膨張力などの応力が第1ベース部21aに伝達しない。なお、隙間38の空気層の間隔を所定値以下とすることで、中脚23とベース部21aとの間に磁気回路を形成しやすくなる。図4Aに示すように、隙間38のZ軸に沿う間隔t1と、隙間37のZ軸に沿う間隔t2とは、同じで異なってもよいが、好ましくは、いずれも3mm以下、2mm以下、あるいは1.9mm以下である。
【0059】
本実施形態では、中脚部23の上端は、放熱性樹脂82の大気開放面82aよりZ軸に沿って下側に位置してもよい。このように構成することで、中脚部と、その周りに配置してあるワイヤの巻回部の放熱性が向上する。この場合でも、隙間38には、空気層が形成されるように、大気開放面82aの位置が隙間38の途中に位置することが好ましい。
【0060】
あるいは、中脚部23の上端は、放熱性樹脂82の大気開放面82aより上側に位置していてもよい。このように構成することで、隙間38に、1.9mm以下の空気層を形成しやすくなる。
【0061】
本実施形態では、放熱性樹脂82の大気開放面82aは、中脚部23の周囲に配置してあるワイヤ4,5の巻回部40,50を放熱性樹脂82が覆っている位置にある。このように構成することで、放熱性が、さらに向上する。
【0062】
また本実施形態では、中脚部23のZ軸に沿う下端と第2ベース部22aの表面との間には、接着剤または放熱性樹脂82が少なくとも一部に介在していてもよい。また、中脚部23の下端と第2ベース部22aとは一体に形成してあってもよい。
【0063】
さらに、本実施形態では、中脚部23とワイヤ4,5の巻回部40,50との間には、ボビン3の筒部30が配置してあるが、ボビン3を配置することなく、中脚部23の回りにワイヤ4,5の巻回部(たとえば空芯コイル)40,50が配置してあってもよい。
【0064】
また、本実施形態では、コイル装置1は、ワイヤ4,5のリード部41a,41b,51a,51bを保持する端子ブロック7をさらに有し、端子ブロック7は、ボビン3またはケース8に保持してあるが、コア2の第1ベース部21aに直接に固定または装着してあってもよい。
【0065】
(第2実施形態)
図6に示すように、本実施形態のコイル装置は、以下に示す以外は、前述した実施形態のコイル装置1と同様であり、同様な作用効果を奏する。すなわち、本実施形態では、ボビン3のZ軸に沿って最上方に位置する隔壁鍔32の表面から突出するように、筒部30の内周面から連続する凸枠39が貫通孔の回りに沿って形成してある。凸枠39の頂面は、たとえば図3に示すベース部21aの内面に突出する。そのため、凸枠39の突出高さは、隙間38のZ軸に沿う間隔を調整する一因にも成る。
【0066】
この凸枠39が存在することで、放熱性樹脂82の大気開放面82aが隔壁鍔32の上面32aよりも高くなっても、凸枠39の回りからは、隙間38に放熱性樹脂82が入り込み難くなり、隙間に空気層を形成しやすくなる。その他の構成および作用効果は、上述した実施形態と同様であり、重複する部分の説明は省略する。
【0067】
(第3実施形態)
図4Bに示すように、本実施形態のコイル装置は、以下に示す以外は、前述した第1実施形態または第2実施形態のコイル装置1と同様であり、同様な作用効果を奏する。すなわち、本実施形態のコイル装置は、前述した実施形態のコア2と異なるコア2Aを有する以外は、同様な構成を有し、同様な作用効果を奏する。
【0068】
本実施形態のコア2Aは、前述した実施形態のコア2と異なり、中脚部23のZ軸に沿う上端または下端に向き合うベース部21aの内面に、段差状凸部24が形成してある。段差状凸部24の突出高さ(Z軸に沿う)は、特に限定されず、段差状凸部24のZ軸に沿う先端と、中脚部23の上端または下端との間に、隙間38または37を形成していればよい。
【0069】
ただし、中脚部23の上端と向き合う段差状凸部24の突出高さは、できる限り小さいことが望ましい。隙間38に空気層を形成するためには、隙間38のZ軸に沿う高さ位置の範囲内に放熱性樹脂の大気開放面82aを位置させることが好ましいが、大気開放面82aが低くなりすぎないように、段差状凸部24の突出高さを調整することが好ましい。その他の構成および作用効果は、上述した実施形態と同様であり、重複する部分の説明は省略する。
【0070】
(第4実施形態)
図4Cに示すように、本実施形態のコイル装置は、以下に示す以外は、前述した第1~第3実施形態のコイル装置1と同様であり、同様な作用効果を奏する。すなわち、本実施形態のコイル装置は、前述した実施形態のコア2または2Aと異なるコア2Bを有する以外は、同様な構成を有し、同様な作用効果を奏する。
【0071】
本実施形態のコア2Bは、前述した実施形態のコア2と異なり、第1コア21は、側脚部25から独立した第1ベース部21aを有し、第2コア22は、側脚部25から独立した第2ベース部22aを有する。側脚部25は、前述した実施形態のZ軸方向に沿って向き合う側脚部21bと側脚部22bとを一体化させてそれぞれのベース部21a.22aから分離独立させている構成を有する。その他の構成および作用効果は、上述した実施形態と同様であり、重複する部分の説明は省略する。
【0072】
(第5実施形態)
図4Dに示すように、本実施形態のコイル装置は、以下に示す以外は、前述した第1~第4実施形態のコイル装置1と同様であり、同様な作用効果を奏する。すなわち、本実施形態のコイル装置は、前述した実施形態のコア2、2Aまたは2Bと異なるコア2Cを有する以外は、同様な構成を有し、同様な作用効果を奏する。
【0073】
本実施形態のコア2Cは、前述した実施形態のコア2と異なり、中脚部23Cの下端が第2コア22の第2ベース部22aと一体的に成形してある。その他の構成および作用効果は、上述した実施形態と同様であり、重複する部分の説明は省略する。
【0074】
(第6実施形態)
図4Eに示すように、本実施形態のコイル装置は、以下に示す以外は、前述した第1~第4実施形態のコイル装置1と同様であり、同様な作用効果を奏する。すなわち、本実施形態のコイル装置は、前述した実施形態のコア2、2A、2Bまたは2Cと異なるコア2Dを有する以外は、同様な構成を有し、同様な作用効果を奏する。
【0075】
本実施形態のコア2Dは、前述した図4Cに示す実施形態のコア2Bと異なり、中脚部23Cの下端が第2コア22の第2ベース部22aと一体的に成形してある。その他の構成および作用効果は、上述した実施形態と同様であり、重複する部分の説明は省略する。
【0076】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0077】
たとえば、上述した実施形態では、コア2は、5分割のコア、7分割のコアが組み合わされて構成してあるが、これらの分割数に限らず、たとえば二分割、三分割、4分割、その他の分割数のコアの組み合わせで構成することもできる。
【0078】
また、前述したように、ボビン3はなくてもよく、中脚部23の回りに、第1ワイヤ巻回部40および第2ワイヤ巻回部50から成る空芯コイルがボビン3を介在させることなく配置してあってもよい。
【0079】
ボビン3の筒部30がなくワイヤの巻回部40または50がコア2の中芯部23の回りに直接に配置してある場合には、第1ワイヤ4および第2ワイヤ5は、好ましくは、融着層および絶縁層を有する自己融着型の導電線で構成してある。また、第1ワイヤ4が巻回してある第1巻回部40と、第2ワイヤ5が巻回してある第2巻回部50とは、それぞれ予めコイル状に成形してあることが好ましく、たとえば空芯コイルの形態で提供されることが好ましい。
【0080】
また、継線部下カバー70を具備する端子ブロック7は、ケース8に取り付けてあってもよいが、Z軸に沿って上側に位置するコア2のベース部21aに直接に取り付けてあってもよい。なお、端子ブロック7をコア2に直接に固定するための手段としては、特に限定されず、接着、融着、テープにより固定などの手段が例示され、ボビンによる固定以外の全ての固定手段が含まれる。
【0081】
さらに、上述した実施形態では、たとえば図2に示すように、放熱板9の放熱板分割体9a,9aが、コア2のベース部21a,21aと側脚部21b,22bを覆うように配置してあるが、放熱板9の構成は、図示する例に限定されない。たとえば図2に示す放熱板9の放熱板分割体9aは、それぞれ天板部90と側板部91とを有するが、一対の放熱板分割体9aが連続していてもよい。あるいは、放熱板9は、配置していなくてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1…コイル装置
2,2A~2D…コア
21…第1コア
21α…第1分割コア
21a…第1ベース部
21b……側脚部
21b1…先端
22…第2コア
22α…第1分割コア
22a…第2ベース部
22b…側脚部
22b1…先端
23,23C…中脚部
24…段差状凸部
25…側脚部
3…ボビン
30…筒部
31…主隔壁鍔
32…副隔壁鍔
32a…上端
32b…下端
33…位置決め凸部
34,35…コアガイド壁
36…内方凸片
37,38…隙間
39…凸枠
4…第1ワイヤ
40…第1ワイヤ巻回部
41a,41b…リード部
5…第2ワイヤ
50…第2ワイヤ巻回部
51a,51b…リード部
6…端子
61…継線部
62…外部接続部
7…端子ブロック
70…継線下カバー
71…底板片
72…側板片
73…装着溝
8…ケース
80…底板
81…側板
81a…上端
82…放熱性樹脂
82a…大気開放面
9…放熱板
9a…放熱板分割体
90…天板部
91…側板部
92…コア抑え
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6
図7